JP2012136849A - 地盤排水構造、およびその施工方法 - Google Patents

地盤排水構造、およびその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設される上、下排水材が埋設される地盤排水構造の施工作業がより容易にできるようにする。
【解決手段】地盤排水構造は、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設され、地盤1内に埋設される板形状の上、下排水材8(U),8(L)と、上、下排水材8(U),8(L)の厚さ方向の左右各側方近傍にそれぞれ配設されて地盤1に埋設される左右一対の柱材10,10とを備える。下排水材8(L)の各側方に位置する左右柱材10,10の各上端部をそれぞれ下排水材8(L)の上端縁部よりも上方に位置させる。下排水材8(L)の上端縁部に掛止され、上排水材8(U)の下端縁部を嵌入させるよう上方に向かって開口する凹部24が形成された連結具9を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、盛土などの地盤内に、その外部から浸入してきた水を、この地盤の外部に円滑に排水させるようにするための地盤排水構造、およびその施工方法に関するものである。
地盤の含有水分が多くなると、この地盤を構成している土砂が流動化してその強度が低下し、地盤が不安定になるおそれがある。
そこで、従来、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設される板形状の上、下排水材を擁壁の裏面に配設した面状排水材が提案されており、上記排水材には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。
そして、雨天時など、上記擁壁の裏面にその外部から水が浸入してきた場合には、この水は上記上、下排水材の内部を順次流下することにより外部に排水される。これにより、上記擁壁は、所定強度に保持されるようになっている。
ここで、上記上、下排水材が埋設される擁壁の裏面構造を施工する場合、次のような施工方法が考えられる。
即ち、まず、擁壁裏面の地盤基部側の上面に下排水材が縦向き姿勢を保つよう、擁壁裏面に配設し、この状態で、上記下排水材の擁壁と反対側の面を盛土により埋設する。
次に、作業者が、上記下排水材の上端縁部の上面に対し上記上排水材の下端縁部を、これら排水材の厚さ方向で位置決めして載置し、この載置状態を保つと共に、この上排水材が縦向き姿勢を保つよう、擁壁裏面に配設し、この状態で、上記上排水材の擁壁と反対側の面を盛土により埋設する。
次に、上記上排水材を前記下排水材と見なして、この下排水材の上端縁部の上面に他の上排水材を立設し、以下、前記したのと同様にして、各排水材を擁壁裏面と盛土の間に順次埋設すれば、上記擁壁裏面の面状排水材の施工作業が終了する。
特開2006−16875号公報
ところで、前記従来の技術における排水材の施工方法とは異なり、排水材を擁壁裏面ではなく、盛土内部に埋設しようとすれば、次のような問題点がある。
即ち、第1に、上記上、下排水材を擁壁裏面でなく、各排水材の両面に盛土しようとした場合、すなわち、盛土内部に埋設する時、作業者は、擁壁が存在しないため、これら上、下排水材が縦向き姿勢を保つようこれら上、下排水材をそれぞれ把持しておくことが求められる。しかし、このような作業は煩雑である。
また、第2に、上記下排水材を盛土に埋設した後には、擁壁が存在しないため、この下排水材の上端縁部の上面の所定位置に上排水材の下端縁部を位置決めして載置させるが、このような位置決め作業は煩雑である。
また、第3に、上記上排水材を盛土に埋設する場合には、盛土に埋設した下排水材の上端縁部の上面への上排水材の載置状態を保ったままで、この上排水材を盛土に埋設するが、この際、上排水材は、その両側方から盛土による土圧が与えられる。このため、上記下排水材の上端縁部の上面に対する上排水材の下端縁部の載置状態が上記土圧によって不意に解除されないよう、上記上排水材を把持しておくことが要求される。しかし、このような作業も極めて煩雑である。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設される上、下排水材が埋設される地盤排水構造の施工作業がより容易にできるようにすることである。
請求項1の発明は、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設され、地盤1内に埋設される板形状の上、下排水材8(U),8(L)と、これら上、下排水材8(U),8(L)の厚さ方向の左右各側方近傍にそれぞれ配設されて地盤1に埋設される左右一対の柱材10,10とを備え、上記下排水材8(L)の各側方に位置する左右柱材10,10の各上端部をそれぞれ上記下排水材8(L)の上端縁部よりも上方に位置させたことを特徴とする地盤排水構造である。
請求項2の発明は、上記下排水材8(L)の上端縁部に掛止され、上記上排水材8(U)の下端縁部を嵌入させるよう上方に向かって開口する凹部24が形成された連結具9を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地盤排水構造である。
請求項3の発明は、上記上排水材8(U)の各側面からそれぞれ下方に向かって延び、上記下排水材8(L)の少なくとも上端縁部の各側面を覆う通水性カバーシート19を設けたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の地盤排水構造である。
請求項4の発明は、図7に例示するように、上記下排水材8(L)の上端縁部に掛止され、この下排水材8(L)の上端よりも低位置で上記左右柱材10,10の上下方向の各中途部をそれぞれ係止させる係止具35を備えたことを特徴とする請求項3に記載の地盤排水構造である。
請求項5の発明は、請求項1に記載の地盤排水構造の施工方法であって、地盤1の地盤基部2側の上面から盛土3の下部側3Lと上部側3Uとを順次積み上げると共に、上記下排水材8(L)と上排水材8(U)とを順次積み上げながら上記盛土3に埋設させるに際し、
まず、上記地盤基部2側の上面に上記下排水材8(L)を立設すると共に、この下排水材8(L)の各側方に上記左右柱材10,10を立設し、上記地盤基部2側の上面に立設させられた上記下排水材8(L)と左右柱材10,10との組み合わせ体39の下部側を上記盛土3の下部側3Lに埋設して自立させ、
次に、上記左右柱材10,10の各上端部側の間に上記上排水材8(U)の下端縁部を挿入し、この上排水材8(U)を上記下排水材8(L)の上端縁部の上面に立設するようにしたことを特徴とする地盤排水構造の施工方法である。
請求項6の発明は、上記組み合わせ体39の左右柱材10,10の各上端部側同士を、少なくとも上記組み合わせ体39の下部側を盛土3に埋設するまでの間、連結するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の地盤排水構造の施工方法である。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設され、地盤内に埋設される板形状の上、下排水材と、これら上、下排水材の厚さ方向の左右各側方近傍にそれぞれ配設されて地盤に埋設される左右一対の柱材とを備え、上記下排水材の各側方に位置する左右柱材の各上端部をそれぞれ上記下排水材の上端縁部よりも上方に位置させている。
このため、上記地盤排水構造を施工する場合には、まず、下排水材と、この下排水材の各側方の左右柱材との組み合わせ体の下部側を盛土に埋設して、自立させる。次に、この自立状態にした上記組み合わせ体の下排水材の上端縁部の上面に上排水材の下端縁部を載置するが、この場合、上記組み合わせ体の左右柱材の各上端部の間に上記上排水材の下端縁部を挿入する。すると、この上排水材の下端縁部は、上記左右柱材の各上端部側に挟まれることにより案内されて、上記下排水材の上端縁部の上面における排水材の幅方向での所定位置に位置決めされ、載置される。
よって、上記下排水材の上端縁部の上面の所定位置に対する上排水材の載置による立設が容易かつ迅速に達成されることから、上記地盤排水構造の施工作業が容易にできる。
また、上記したように盛土に埋設した下排水材の上部側と上排水材の下部側とを更に盛土に埋設するとき、上記下排水材の上端縁部の上面の所定位置から上排水材の下端縁部が上記盛土の土圧により位置ずれすることは、上記上排水材の下端縁部が上記左右柱材の各上端部側の挟み付けによって防止される。よって、この点でも、地盤排水構造の施工作業が容易にできる。
請求項2の発明は、上記下排水材の上端縁部に掛止され、上記上排水材の下端縁部を嵌入させるよう上方に向かって開口する凹部が形成された連結具を備えている。
このため、上記下排水材の上端縁部の上面に上排水材の下端縁部を載置するとき、この上排水材の下端縁部を上記連結具の凹部に嵌入させれば、上記下排水材の上端縁部の上面における排水材の厚さ方向での所定位置に対し、上記上排水材の下端縁部が、より精度よく位置決めされて載置される。
よって、上記下排水材の上端縁部の上面の所定位置に対する上排水材の立設が、より容易かつ迅速に達成されることから、上記地盤排水構造の施工作業が、より容易にできる。
請求項3の発明は、上記上排水材の各側面からそれぞれ下方に向かって延び、上記下排水材の少なくとも上端縁部の各側面を覆う通水性カバーシートを設けている。
ここで、上記下排水材の上部側と、この下排水材の上端縁部の上面に立設された上記上排水材の下部側とを盛土に埋設しようとするときや、埋設後には、上記下排水材の上端縁部と上記上排水材の下端縁部との間に盛土の土砂が入り込んで目詰りが発生するおそれがある。
しかし、上記上、下排水材の間への土砂の入り込みは、上記各カバーシートによって防止されて、目詰りの発生が防止される。よって、上記各排水材による地盤の排水性が良好に維持される。
請求項4の発明は、上記下排水材の上端縁部に掛止され、この下排水材の上端よりも低位置で上記左右柱材の上下方向の各中途部をそれぞれ係止させる係止具を備えている。
このため、上記係止具により、上記左右柱材は上記下排水材を挟むようにして互いに連結されることから、これら下排水材と左右柱材との互いの連結が強固となる。よって、上記下排水材と左右柱材との組み合わせ体の下部側を盛土に埋設するとき、この埋設は安定してすることができ、その分、上記地盤排水構造の施工作業が、更に容易にできる。
そして、その後、前記したように下排水材の上端縁部の上面に上排水材を立設し、この上排水材から延出した左右一対のカバーシートにより上記下排水材の上端縁部を左右各側方から覆うとき、このような各カバーシートの被覆動作に対し上記係止具が邪魔になることは防止される。よって、上記左右柱材の各上端部から上記係止具を離脱させる作業はしないで済むことから、上記地盤排水構造の施工作業は更に容易にできる。
請求項5の発明は、請求項1に記載の地盤排水構造の施工方法であって、地盤の地盤基部側の上面から盛土の下部側と上部側とを順次積み上げると共に、上記下排水材と上排水材とを順次積み上げながら上記盛土に埋設させるに際し、
まず、上記地盤基部側の上面に上記下排水材を立設すると共に、この下排水材の各側方に上記左右柱材を立設し、上記地盤基部側の上面に立設させられた上記下排水材と左右柱材との組み合わせ体の下部側を上記盛土の下部側に埋設して自立させ、
次に、上記左右柱材の各上端部側の間に上記上排水材の下端縁部を挿入し、この上排水材を上記下排水材の上端縁部の上面に立設するようにしている。
このため、請求項1の効果と同様の効果が生じる。
請求項6の発明は、上記組み合わせ体の左右柱材の各上端部側同士を、少なくとも上記組み合わせ体の下部側を盛土に埋設するまでの間、連結するようにしている。
このため、上記組み合わせ体において、少なくとも上記組み合わせ体の下部側を盛土に埋設するまでの間、上記下排水材は互いに連結された左右柱材に挟まれることから、盛土の作業中においても下排水材が左右柱材の間に挟持される。よって、この組み合わせ体の下部側を盛土に埋設するとき、この埋設は安定してすることができ、その分、上記地盤排水構造の施工作業が、より容易にできる。また、特に盛土の作業中に上記柱材の周辺を締め固めする場合、左右柱材の上端部側が互いに離れようとする場合があるが、このような柱材の挙動を防止することができる。さらに、上記連結を、恒久的に連結される構造にすることも可能であり、この場合は、上記上排水材と下排水材のずれ防止効果を高めることが可能となる。
実施例1を示し、部分斜視図である。 実施例1を示し、全体側面断面図である。 実施例1を示し、図2の部分拡大図である。 実施例1を示し、図3のIV−IV線矢視図である。 実施例1を示し、図1で示したものの展開図である。 実施例2を示し、図5に相当する図である。 実施例3を示し、(a)は図4に相当する図で、(b)は(a)の側面図である。 実施例4を示し、(a)〜(c)は、連結具のそれぞれ変形例を示す図である。
本発明の地盤排水構造に関し、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設される上、下排水材が埋設される地盤排水構造の施工作業がより容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
即ち、地盤排水構造は、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設され、地盤内に埋設される板形状の上、下排水材と、これら上、下排水材の厚さ方向の左右各側方近傍にそれぞれ配設されて地盤に埋設される左右一対の柱材とを備える。上記下排水材の各側方に位置する左右柱材の各上端部は、それぞれ上記下排水材の上端縁部よりも上方に位置している。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1〜5に従って説明する。
図2において、符号1は地盤であって、この地盤1は、その底部に位置する地盤基部2と、この地盤基部2の水平に延びる上面に敷設される盛土3と、上下方向で所定の間隔Pをあけてこの盛土3に埋設され、それぞれ水平方向に延びる複数枚の地盤補強材4とを備えている。なお、この地盤補強材4は設けなくてもよい。
上記地盤基部2は、地山や盛土であり、その地面は傾斜していてもよい。また、地盤補強材4は、ジオグリッドやジオテキスタイルといわれるもので、多孔性かつ可撓性シートに形成されたもので、上記盛土3を補強して、その強度を向上させる。
以下、上記地盤1についての地盤排水構造につき、説明する。
上記地盤基部2の上面と盛土3の下面との間に水平方向に延びる排水基材7が介設され、この排水基材7の水平方向(面方向)の一端部は、地盤1の外部に連通させられている。また、それぞれ縦向き姿勢とされて上下に連続的に列設され、盛土3に埋設される複数枚の板形状の排水材8が設けられている。これら各排水材8は水平方向に長く延びる長尺体であるが、所定長さの長方形状であってもよい。上記排水基材7は排水材8と同構成のものであるが、砂れきや人工的なブロックなどで構成してもよい。
上記各排水材8のうち、上下方向で互いに隣り合う上、下排水材8(U),8(L)を互いに連結可能とする連結具9が設けられる。また、上記排水材8の厚さ方向の左右側方近傍には、上下方向に延びて上記地盤1に埋設される左右一対の柱材10,10が配設されている。上記連結具9と左右柱材10,10とは、上記各排水材8の長手方向(水平方向)に向かって交互に複数設けられる。
図1,3〜5において、上記各排水材8は、縦向きで水平方向に長く延びて帯板形状をなす通水性排水材本体13と、この排水材本体13の左右各側面をそれぞれ全体的に覆う通水性の左右一対の排水シート14,14とを備えている。また、上記各排水材8は、上記排水材本体13と各排水シート14との長手方向の各端縁部を一体的に覆う端縁部保護材17と、この端縁部保護材17を上記各排水シート14にそれぞれ連結する接着テープ18とを備えている。
特に、上記端縁部保護材17を設けることによって、上記各排水材8の長手方向の各両端部(各排水材8を長手方向に別の排水材8を連続して設ける場合の端部を含む)からこの各排水材8内への土砂の流入が防止できる。さらに、最上層の排水材8の上端部に上記端縁部保護材17を設ければ、最上層の排水材8の上端部からこの排水材8内への土砂の流入も防止できる。
上記排水材本体13は、高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)などの樹脂製であり、可撓性を有している。また、上記排水材本体13は、各排水材8にその外部から与えられる土圧などの大きい外力に対抗できるよう十分の強度と剛性とを有している。
上記排水シート14と端縁部保護材17とはポリプロピレンなどの樹脂製であって、長繊維の不織布製であり、十分な引張強度を備えている。上記接着テープ18は、上記端縁部保護材17を各排水シート14の端縁部に粘着性接着剤により接着させる。
なお、上記端縁部保護材17は、上記排水材本体13と各排水シート14との各上端縁部や各下端縁部を一体的に覆うようにしてよい。また、上記各排水シート14と端縁部保護材17とを一体的に形成して、上記排水材本体13を内包する袋形状にしてもよい。
上記排水材8の各排水シート14の下部側の外面から上記排水材8の下端縁部よりも下方にまで延出する通水性の左右一対のカバーシート19,19が設けられる。これらカバーシート19は、前記排水シート14や端縁部保護材17と同材質とされている。なお、上記各カバーシート19は、前記排水シート14から一体的に延長されたものであってもよい。
前記連結具9は、上記排水材8の厚さ方向で互いに離れて対面する左右一対の側板22,22と、これら各側板22の上下方向の中途部同士を連結する連結板23とを備えている。上記各側板22の上部と連結板23とにより、上方に向かって開口する溝形状の上側凹部24が形成され、上記各側板22の下部と連結板23とにより、下方に向かって開口する溝形状の下側凹部25が形成されている。上記連結具9は樹脂製であってもよく、板金製など金属製であってもよい。また、上記連結具9は、上記上排水材8(U)と下排水材8(L)の間を連続して連結できるよう長尺であってもよく、このようにすれば、土圧による上記上排水材8(U)と下排水材8(L)のずれ防止効果をさらに高めることが可能となる。
前記下排水材8(L)の上端縁部の長手方向の一部分に上記連結具9の下側凹部25が、がたつきが生じないよう嵌合して、上記下排水材8(L)の上端縁部の長手方向の一部分に上記連結具9が掛止される。一方、この連結具9の上側凹部24には、上記上排水材8(U)の下端縁部の長手方向の一部分が、がたつきが生じないよう嵌入されている。そして、上記連結具9により、上記上、下排水材8(U),8(L)が互いに連結されている。
前記各柱材10は、上記各排水材8毎にその側方近傍に個別に設けられる断面円形の棒材28と、上記上、下排水材8(U),8(L)の各側方に設けられた上、下棒材28,28の対向端部同士を連結する連結材29とを備えている。この場合、各排水材8の各側方に位置する左右棒材28,28の各上端部は、それぞれ上記排水材8の上端縁部よりも上方に位置している。
上記連結材29は、軸心が縦向きのパイプ材31と、このパイプ材31の上下方向の中途部に設けられ、上記パイプ材31の上、下内孔を仕切る仕切体32とを備えている。そして、上記上、下棒材28,28の対向端部と上記パイプ材31の上、下内孔とががたつきなく嵌合することにより、上記上、下棒材28,28が互いに連結される。上記連結材29は樹脂製であってもよく、金属製であってもよく、また、鉄筋材を屈曲させることにより形成してもよい。また、上記連結材29は、上、下棒材28,28の対向端部側同士を結合させる接着テープや針金材であってもよい。
なお、上記連結具9や柱材10については、上記排水材8のうち、上下方向で互いに隣り合う上、下排水材8(U),8(L)の関連構成として図に従い説明したが、これら連結具9や柱材10の構成は、上下方向で互いに隣り合う他の上、下排水材8,8に関連するものと同様の構成である。
そして、雨天時など、上記地盤1内に、その外部から水Wが浸入してきた場合には、この水Wは、上記各排水材8の内部を順次流下して、上記排水基材7に流入する。次に、上記水Wは上記排水基材7内を流動した後、その一端部から地盤1の外部に排水される。これにより、上記地盤1は、所望の含水量に維持されて、所定強度に保持される。
主に、図5により、上記した地盤排水構造の施工方法につき、説明する。
まず、地盤基部2の上面に、上記排水基材7を介し下排水材8(L)を縦向き姿勢で設置(立設)する。一方、この下排水材8(L)の左右側方近傍に上記左右柱材10,10の各棒材28を配置し、これら左右柱材10の各棒材28の下端部を上記排水基材7を貫通させて地盤基部2に突き刺して立設する。また、この際、上記下排水材8(L)の上端縁部よりも上方に位置する上記左右柱材10,10の各棒材28の各上端部同士を係止具35による係止により仮連結させる。また、上記左右柱材10,10の各棒材28の長手方向の中途部を上記下排水材8(L)の側面に接着テープ36により接着する。すると、上記下排水材8(L)と左右柱材10,10の各棒材28とが上記地盤基部2の上面に立設させられる。
なお、上記各棒材28の下端部を上記排水基材7に貫通させることによってできる孔から土砂が流入することを防止するため、上記排水基材7の上記各棒材28の周囲に沿って織布や不織布等を設置し、上記孔をカバーすることが好ましい。
そこで、上記地盤基部2の上面に立設させられた上記下排水材8(L)と左右柱材10,10との組み合わせ体39の下部側を盛土3の下部側3Lに埋設して、上記組み合わせ体39を上記盛土3の下部側3L上に自立させる。また、その一方、上記下排水材8(L)の上端縁部の長手方向の一部分に上記連結具9を掛止させる。
このため、上記組み合わせ体39において、上記係止具35と接着テープ36とにより、上記下排水材8(L)は互いに連結された左右柱材10,10に挟まれて、上記下排水材8(L)は、上記左右柱材10,10の間に挟持される。よって、この組み合わせ体39の下部側を盛土3の下部側3Lに埋設するとき、この埋設は安定してすることができ、その分、上記地盤排水構造の施工作業が、より容易にできる。
次に、上記下排水材8(L)の上端縁部の上面における排水材8の厚さ方向での所定位置に、上記上排水材8(U)の下端縁部を載置させて、この上排水材8(U)を上記下排水材8(L)上に立設させる。この場合、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部側の間にその上方から上排水材8(U)の下端縁部を挿入する。すると、この上排水材8(U)の下端縁部は、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部側に挟まれることにより案内されて、上記下排水材8(L)の上端縁部の上面の所定位置に位置決めされ、載置される。
よって、上記下排水材8(L)の上端縁部の上面の所定位置に対する上排水材8(U)の載置による立設が容易かつ迅速に達成されることから、上記地盤排水構造の施工作業が容易にできる。
また、上記したように、下排水材8(L)の上端縁部の上面に上排水材8(U)の下端縁部を載置するとき、この上排水材8(U)の下端縁部の長手方向の一部分を上記連結具9の上側凹部24に嵌入させる。すると、上記下排水材8(L)の上端縁部の上面の所定位置に対し、上記上排水材8(U)の下端縁部は、より精度よく位置決めされて載置される。
よって、上記下排水材8(L)の上端縁部の上面の所定位置に対する上排水材8(U)の立設が、より容易かつ迅速に達成されることから、上記地盤排水構造の施工作業が、より容易にできる。
また、上記したように、下排水材8(L)の上端縁部の上面に上排水材8(U)を立設したとき、この上排水材8(U)の下部側が、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部側で挟まれる作用と、上記連結具9の上側凹部24に嵌入させられる作用との少なくともいずれか一方の作用により、上記上排水材8(U)は下排水材8(L)上に自立させられるようになっている。
よって、その後、作業者が上記上排水材8(U)を把持して、この上排水材8(U)を上記下排水材8(L)上で縦向き姿勢に保つ、という作業を不要にできることから、上記地盤排水構造の施工作業は更に容易にできる。
また、上記したように、下排水材8(L)の上端縁部の上面に上排水材8(U)を立設したとき、この上排水材8(U)から延出した左右一対のカバーシート19,19が、上記下排水材8(L)の上端縁部と連結具9とを、それぞれ左右側方から覆うこととされる。
ここで、上記したように、下排水材8(L)の上端縁部の上面に上排水材8(U)を立設するとき、または、各カバーシート19が上記下排水材8(L)の上端縁部と連結具9とをその側方から覆うとき、このような上排水材8(U)の立設作業や、各カバーシート19の被覆動作に対し前記係止具35は邪魔になる。そこで、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部から上記係止具35を離脱させて、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部同士の前記仮連結を解除する。
また、上記したように、下排水材8(L)の上端縁部の上面に上排水材8(U)を立設する一方で、この上排水材8(U)の側方近傍に左右柱材10,10の他の各棒材28を配置し、これら他の各棒材28,28の下端部を、上記したように盛土3の下部側3Lに埋設した各棒材28の上端部に連結材29により連結させて、それぞれ自立させる。
そして、図1で示すように、前記した下排水材8(L)による組み合わせ体39を形成したことと同様に、上排水材8(U)と左右柱材10,10の他の各棒材28との他の組み合わせ体40を上記組み合わせ体39上に立設させる。
そして、上記組み合わせ体39の上部側と、この組み合わせ体39上に立設された上記他の組み合わせ体40の下部側とを盛土3の上部側3Uに埋設して、上記他の組み合わせ体40を上記盛土3の上部側3U上に自立させる。この場合、上記他の組み合わせ体40の上排水材8(U)の下端縁部は、これを埋設する上記盛土3の上部側3Uからの土圧により、下排水材8(L)の上端縁部の上面の所定位置から位置ずれしようとする。しかし、この位置ずれは、前記したように、上排水材8(U)の下部側が、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部側で挟まれる作用と、上記連結具9の上側凹部24に嵌入させられる作用との少なくともいずれか一方の作用により防止される。
また、上記したように、組み合わせ体39の上部側と、この組み合わせ体39上に立設された上記他の組み合わせ体40の下部側とを盛土3の上部側3Uに埋設しようとするときや、埋設後には、上記組み合わせ体39の下排水材8(L)の上端縁部と上記他の組み合わせ体40の上排水材8(U)の下端縁部との間に、盛土3の上部側3Uの土砂が入り込んで目詰りが発生するおそれがある。
しかし、上記上、下排水材8(U),8(L)の間への土砂の入り込みは、上記各カバーシート19によって防止されて、目詰りの発生が防止される。よって、上記上、下排水材8(U),8(L)による地盤1の排水性が良好に維持される。
次に、上記上排水材8(U)を前記下排水材8(L)と見なして、この下排水材8(L)の上端縁部の上面に他の上排水材8を立設し、以下、前記したのと同様に、各排水材8を盛土3に順次埋設すれば、上記地盤排水構造の施工作業が終了する。
そして、上記地盤排水構造の施工方法によれば、上、下排水材8(U),8(L)が互いに精度よく地盤1内に埋設されることから、雨天時など、上記地盤1内にその外部から水Wが浸入してきた場合には、この水Wは上記上、下排水材8(U),8(L)の内部を順次流下することにより地盤1の外部に排水される。これにより、上記地盤1は、所望の含水量に維持されて、所定強度に保持される。
以下の図6〜8は、実施例2〜4を示している。これら各実施例は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら各実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図6に従って説明する。
図6において、上記下排水材8(L)の下端縁部は、上記排水基材7を介し地盤基部2の上面に設置された左右一対のアングルである型鋼42,42に挟まれている。また、上記各型鋼42は上記排水基材7の上面に接着テープ44により接着され、また、上記左右柱材10,10の下端部は上記各型鋼42に他の接着テープ45により接着されている。また、前記係止具35は、接着テープで構成されている。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例3を添付の図7に従って説明する。
図7において、前記接着テープ18は、両面テープもしくは面ファスナーとされて、上記各排水シート14の端縁部と端縁部保護材17との間に介設され、これら14,17は、上記接着テープ18により互いに連結されている。
一方、上記下排水材8(L)の上端縁部に掛止され、この下排水材8(L)の上端よりも低位置で上記左右柱材10,10の上下方向の各中途部をそれぞれ係止させる係止具35が設けられる。具体的には、前記連結具9の各側板22の下端部から前記係止具35がそれぞれ側方に向かって突設され、つまり、上記連結具9と係止具35とが一体的に形成されている。
そして、上記構成によれば、上記係止具35により、上記左右柱材10,10は上記下排水材8(L)を挟むようにして互いに連結されることから、これら下排水材8(L)と左右柱材10,10との互いの連結が強固となる。よって、上記下排水材8(L)と左右柱材10,10との組み合わせ体39の下部側を盛土3に埋設するとき、この埋設は安定してすることができ、その分、上記地盤排水構造の施工作業が、更に容易にできる。
そして、その後、前記したように下排水材8(L)の上端縁部の上面に上排水材8(U)を立設し、この上排水材8(U)から延出した左右一対のカバーシート19,19により上記下排水材8(L)の上端縁部と連結具9とを、それぞれ左右各側方から覆うとき、このような各カバーシート19の被覆動作に対し前記係止具35が邪魔になることは防止される。よって、上記左右柱材10,10の各棒材28の上端部から上記係止具35を離脱させる作業はしないで済むことから、上記地盤排水構造の施工作業は更に容易にできる。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例4を添付の図8に従って説明する。
図8(a)において,連結具9は、一枚の板材からの切り起こしにより、各側板22と連結板23とが形成され、これにより、簡単な構成の連結具9が得られる。また、左右側板22,22のうち、一方の側板22の上、下端縁部にはそれぞれ外向きフランジ47が形成され、これら各外向きフランジ47には貫通孔48が形成されている。なお、これら外向きフランジ47や貫通孔48は無くてもよい。
図8(b)において、上記連結具9の左右側板22,22のうち、一方の側板22は、上記(a)のものと同構成であるが、他方の側板22は、前後一対の板ばねで形成されている。
このため、上記各凹部24,25に嵌入された下排水材8(L)の上端縁部と上排水材8(U)の下端縁部とは、上記左右側板22,22により、それぞれ弾性的に挟み付けられて、がたつきの発生が、より確実に防止される。
図8(c)において、連結具9は、上記(b)のものとほぼ同構成であるが前後一対の板ばねが一体的に形成されている。
1 地盤
2 地盤基部
3 盛土
3U 上部側
3L 下部側
4 地盤補強材
7 排水基材
8 排水材
8(U) 上排水材
8(L) 下排水材
9 連結具
10 柱材
13 排水材本体
14 排水シート
17 端縁部保護材
18 接着テープ
19 カバーシート
24 凹部
28 棒材
29 連結材
35 係止具
36 接着テープ
39 組み合わせ体
40 他の組み合わせ体
P 間隔
W 水

Claims (6)

  1. それぞれ縦向き姿勢とされて上下に列設され、地盤内に埋設される板形状の上、下排水材と、これら上、下排水材の厚さ方向の左右各側方近傍にそれぞれ配設されて地盤に埋設される左右一対の柱材とを備え、上記下排水材の各側方に位置する左右柱材の各上端部をそれぞれ上記下排水材の上端縁部よりも上方に位置させたことを特徴とする地盤排水構造。
  2. 上記下排水材の上端縁部に掛止され、上記上排水材の下端縁部を嵌入させるよう上方に向かって開口する凹部が形成された連結具を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地盤排水構造。
  3. 上記上排水材の各側面からそれぞれ下方に向かって延び、上記下排水材の少なくとも上端縁部の各側面を覆う通水性カバーシートを設けたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の地盤排水構造。
  4. 上記下排水材の上端縁部に掛止され、この下排水材の上端よりも低位置で上記左右柱材の上下方向の各中途部をそれぞれ係止させる係止具を備えたことを特徴とする請求項3に記載の地盤排水構造。
  5. 請求項1に記載の地盤排水構造の施工方法であって、地盤の地盤基部側の上面から盛土の下部側と上部側とを順次積み上げると共に、上記下排水材と上排水材とを順次積み上げながら上記盛土に埋設させるに際し、
    まず、上記地盤基部側の上面に上記下排水材を立設すると共に、この下排水材の各側方に上記左右柱材を立設し、上記地盤基部側の上面に立設させられた上記下排水材と左右柱材との組み合わせ体の下部側を上記盛土の下部側に埋設して自立させ、
    次に、上記左右柱材の各上端部側の間に上記上排水材の下端縁部を挿入し、この上排水材を上記下排水材の上端縁部の上面に立設するようにしたことを特徴とする地盤排水構造の施工方法。
  6. 上記組み合わせ体の左右柱材の各上端部側同士を、少なくとも上記組み合わせ体の下部側を盛土に埋設するまでの間、連結するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の地盤排水構造の施工方法。
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