JP2012135917A - プレコートアルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐トラッキング性及び高温水処理後の耐電圧性に優れ、更に曲げ加工性にも優れたプレコートアルミニウム材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム基材と;当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した化成処理皮膜と;当該化成処理皮膜の表面に形成した下塗り層と;当該下塗り層の表面に形成した上塗り層と;を含み、前記下塗り層が、エポキシ系樹脂からなるベース樹脂を含み3〜8μmの乾燥厚さを有し、前記上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15のベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み35〜60μmの乾燥厚さを有し、当該上塗り層の表面エネルギーが50mJ/m以下であることを特徴とするプレコートアルミニウム材ならびに、その製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品や電気・電子部品などに用いられ、耐トラッキング性及び高温水処理後の耐電圧性に優れ、更に曲げ加工性にも優れたプレコートアルミニウム材及びその製造方法に関する。
近年、自動車部品や電気・電子部品等において、軽量化やコストダウン等を目的として、プレコートアルミニウム材の適用が検討されている。これらの部品等を構成する絶縁皮膜には、優れた電気特性が求められる。その電気特性としては、耐トラッキング性と高温水処理後の耐電圧性が挙げられる。
トラッキングとは、絶縁体表面の大気中に生じた放電によって表面が熱的に劣化され、絶縁物表面に沿って炭化した導電路が発生する現象をいう。耐トラッキング性は、絶縁物表面に電圧を印加した状態で塩化アンモニウム0.1%水溶液を滴下した際に、トラッキングが発生するまでの最大の電圧を測定することによって評価される。この最大電圧値が大きい程、耐トラッキング性に優れた材料と判断される。
耐電圧性は、耐電圧試験(試験電圧:1kV、印加時間:1分間)を行い、絶縁破壊の有無を測定することによって評価される。試験電圧1kVは通常印加される電圧と比較して、極めて高い電圧である。また、自動車部品や電気・電子部品等は、高温高湿下に曝しても性能に変化がないことが求められ、その加速試験として高温水処理(プレッシャークッカー試験)後の性能が評価される。高温水処理を行うことにより材料中に水分が浸入し、加水分解反応等によって材料が劣化する。その為、高温水処理を行った後に前述のような耐電圧試験を行って、絶縁破壊が発生しなければ優れた耐電圧性を有する材料と判断される。
このような電気特性の他に、絶縁皮膜には、加工性、耐候性等が要求される。耐候性に優れた樹脂として、フッ素樹脂が挙げられる。フッ素樹脂を塗膜のベース樹脂に用いたものとして、特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1には、エポキシ系樹脂を3〜10μm塗布した塗装下地処理層と、フッ素系樹脂を15〜25μm塗布した上塗り塗膜を備えためっき鋼板が記載されている。しかしながら、樹脂被膜厚が不足することにより、高温水処理後の耐電圧性(1kV、1分間)が満たされないという問題が残った。
特許文献2には、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂の配合割合が100/0〜60/40のベース樹脂からなる塗料を塗布して得られる1〜15μm厚のプライマー層と、フッ素樹脂を主成分とする10〜100μm厚の上塗り塗膜とを備えた塗装金属板が記載されている。しかしながら、プライマー層にポリエステル樹脂を用いているために、高温水処理中にエステル結合が加水分解して樹脂が劣化し、高温水処理後の耐電圧性(1kV、1分間)が満たされないという問題が残った。
特開2004−323932号公報 特開平09−286950号公報
本発明は、耐トラッキング性及び高温水処理後の耐電圧性に優れ、更に曲げ加工性にも優れたプレコートアルミニウム材及びその製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。
本発明は請求項1において、アルミニウム基材と;当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した化成処理皮膜と;当該化成処理皮膜の表面に形成した下塗り層と;当該下塗り層の表面に形成した上塗り層と;を含み、前記下塗り層が、エポキシ系樹脂からなるベース樹脂を含み3〜8μmの乾燥厚さを有し、前記上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15のベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み35〜60μmの乾燥厚さを有し、当該上塗り層の表面エネルギーが50mJ/m以下であることを特徴とするプレコートアルミニウム材とした。
本発明は請求項2において、前記上塗り層が、前記下塗り層の表面に形成した第1上塗り層と;当該第1上塗り層の表面に形成した第2上塗り層と;からなり、前記第1上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜60/40の第1ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み5〜10μmの乾燥厚さを有し、前記第2上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が65/35〜85/15の第2ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み30〜50μmの乾燥厚さを有し、当該第2上塗り層の表面エネルギーが50mJ/m以下とした。
本発明は請求項4において、アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に化成処理皮膜を形成する工程と;当該化成処理皮膜の表面にエポキシ系樹脂からなるベース樹脂を含む塗料を塗布し、最高到達板温度180〜220℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ3〜8μmを有する下塗り層を形成する工程と;ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15のベース樹脂と絶縁性添加剤とを含む塗料を前記下塗り層の表面に塗布し、最高到達板温度230〜280℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ35〜60μmを有する上塗り層を形成する工程と;を含むことを特徴とするプレコートアルミニウム材の製造方法とした。
本発明は請求項5において、前記上塗り層の形成工程が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜60/40の第1ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含む第1塗料を前記下塗り層の表面に塗布し、最高到達板温度230〜280℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ5〜10μmを有する第1上塗り層を形成する工程と;ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が65/35〜85/15の第2ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含む第2塗料を前記第1上塗り層の表面に塗布し、最高到達板温度230〜280℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ30〜50μmを有する第2上塗り層を形成する工程と;からなるものとした。
請求項3においては上塗り層に含有される絶縁性添加剤が、請求項6においては第1上塗り層及び第2上塗り層に含有される絶縁性添加剤が、酸化チタン及びアルミナの少なくとも一方を含有するものとした。
本発明に係るプレコートアルミニウム材では、上塗り層における表面エネルギーが特定の範囲にある為、これら表面のうち水分が濡れる部分が最小となる。そのため、導電路の形成が抑制されて耐トラッキング性が向上する。また、高温水処理を行うことにより、上塗り層に含有されるアクリル系樹脂は劣化するが、上塗り層には絶縁性添加剤が所定量含有されており、かつ、上塗り層と下塗り層の厚さが所定の範囲にある為、優れた耐電圧性を満足することができる。また、上塗り層を二層構造とすることにより、二層間でフッ化ビニリデン樹脂と絶縁性添加剤の濃度勾配が生じ、これにより、耐トラッキング性と高温水処理後の耐電圧性を更に向上させることができる。更に、上塗り層と下塗り層の乾燥厚さと成分を特定することによりこれら層の追随性が向上し、耐割れ性や密着性などの曲げ加工性にも優れる。
(1)アルミニウム基材
本発明で用いるアルミニウム基材は特に限定されるものではないが、材質としては1000系、3000系及び5000系のアルミニウム合金が好ましく、形状としては0.1〜2.0mm厚さのものが好適に用いられる。
(2)化成処理皮膜
アルミニウム基材表面には、化成処理皮膜が形成される。化成処理皮膜としては、塗布型及び反応型の皮膜を用いることができる。塗布型及び反応型の皮膜のいずれでもよく、特に制限されるものではないが、アルミニウム基材と下塗り層の両方に対して密着性が良好な反応型の化成処理皮膜を用いるのが好ましい。反応型の化成処理皮膜には、りん酸クロメート、クロム酸クロメート、りん酸ジルコニウム、りん酸チタニウム等の処理液で形成される皮膜が挙げられる。特に、耐食性や密着性に優れるりん酸クロメート皮膜が好ましい。
(3)下塗り層
(3−1)乾燥厚さ
下塗り層の乾燥厚さは3〜8μmである。この厚さが3μm未満であると、厚さが不足して高温水処理後の耐電圧性が劣る。一方、乾燥厚さが8μmを超えると曲げ加工性が劣る。
(3−2)ベース樹脂
下塗り層に用いるベース樹脂は、エポキシ系樹脂である。エポキシ系樹脂は耐高温水性に優れる樹脂であり、フッ素系樹脂との間に十分な密着性を確保することができる。このようなエポキシ系樹脂としては、飽和又は不飽和;環状又は非環状;脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は複素環族;のものを用いることができる。また、適当な置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ基及びエーテル基を有していてもよい。
具体的には、エピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン又はエピブロモヒドリン)とポリフェノールとを、アルカリの存在下に反応させて得られるエポキシポリエーテルが挙げられる。ポリフェノールの例としてはレゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(すなわち、ビスフェノールA);ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン;4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン;及び1,5−ヒドロキシナフタレンが挙げられる。最も好ましいのはビスフェノールAのポリグリシジルエーテルである。
エポキシ樹脂の他の具体例としては、多価アルコールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールが挙げられる。
更に他の具体例としては、ポリカルボン酸のポリグリシジルエーテルが挙げられる。このような化合物は、エピクロロヒドリン又は同様のエポキシ化合物と、脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テトラフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び二量化リノール酸との反応により得られる。
別の具体例としては、オレフィン系不飽和脂環族化合物のエポキシ化により調製されるものが挙げられる。このようなポリエポキシドは、フェノール性ではなく、脂環族オレフィンのエポキシ化、例えば酸素及びある種の金属触媒の作用により;過安息香酸の作用により;酸−アルデヒドモノ過酢酸又は過酢酸によって得られる。このようなポリエポキシドの例としては、公知のエポキシ脂環族エーテル又はエステルが挙げられる。
更に他の具体例としては、エポキシ分子中にオキシアルキレン基を有するものが挙げられる。更に他の例としては、エポキシノボラック樹脂が挙げられる。このような樹脂はエピハロヒドリンとアルデヒド及び単官能又は多官能フェノール類の縮合物との反応により得られる。典型的な反応例としては、エピクロロヒドリンとフェノールホルムアルデヒド縮合物との反応が挙げられる。
他の例としては、共重合性グリシジルアクリレート又はメタクリレートユニットを有するアクリル共重合体が挙げられる。これらのアクリル共重合体は、α、β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアルキルエステルとグリシジルアクリレート又はメタクリレートのいずれかとの反応により調製される。他のグリシジル含有共重合性モノマー、例えばジグリシジルイタコン酸及びジグリシジルマレエートを用いてもよい。このようなモノマーは必要により他の共重合性モノマー、例えばビニル芳香族化合物(例えば、スチレン又はビニルトルエン)又はアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの存在下に共重合してもよい。
更に、変性エポキシ樹脂を用いても良い。変性エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂にリン酸もしくは低分子アルコール又はそれらの誘導体を反応させて得られる変性エポキシ樹脂や、ウレタン変性エポキシ樹脂を用いることができる。
本発明で用いるエポキシ樹脂の数平均分子量は400〜9000であることが好ましく、エポキシ当量は200〜5000(g/eq)の範囲にあるものが好ましい。硬化剤としては、メラミン樹脂やブロックイソシアネート樹脂を用いることが好ましい。
(4)上塗り層
(4−1)乾燥厚さ
上塗り層の乾燥厚さは、35〜60μmである。35μm未満では高温水処理後の耐電圧性が劣り、60μmを超えると曲げ加工性が劣る。上塗り層は二層構成であることが好ましく、その場合には、下塗り層表面に形成される第1上塗り層の乾燥厚さが5〜10μm、第1上塗り層表面に形成される第2上塗り層の乾燥厚さが30〜50μmであることが好ましい。第1上塗り層の乾燥厚さが5μm未満では高温水処理後の耐電圧性が劣る場合があり、10μmを超えると曲げ加工性が劣る場合がある。また、第2上塗り層の乾燥厚さが30μm未満では高温水処理後の耐電圧性が劣る場合があり、50μmを超えると曲げ加工性が劣る場合がある。
(4−2)ベース樹脂
上塗り層に用いられるベース樹脂は、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル系樹脂の混合物である。ポリフッ化ビニリデン樹脂は耐高温水性に優れ、樹脂皮膜表面の表面エネルギーを小さくすることにも寄与する。アクリル系樹脂は耐高温水性に若干劣るが、下塗り層との密着性を向上させることに寄与する。ポリフッ化ビニリデン樹脂としては、重量平均分子量が300000〜700000、融点が150〜180℃のものが好ましい。
本発明に用いるアクリル系樹脂は、以下のようなモノマーの少なくとも1種(但し、少なくとも1種のアクリルモノマーを含む)を通常の方法により重合又は共重合させることにより得ることができる。(a)アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、N−メチロールアクリルアミン等のヒドロキシル基を有するエチレン性モノマー、(b)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性モノマー、(c)アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル等の、上述のモノマー(a)及び(b)と共重合可能なエチレン性モノマー、(d)スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のスチレン誘導体。
また、上記モノマーのうち、水酸基やカルボキシル基などの官能基を有するモノマーを使用することにより、他の反応可能な成分との架橋反応が可能である。アクリル樹脂は自己架橋性である必要はないが、自己架橋性とする場合には、分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する、所謂架橋性モノマーを含有させる。このラジカル重合可能なモノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリエスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルプロパンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルプロパントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルプロパンジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルプロパントリメタクリレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の重合性不飽和化合物等が挙げられる。架橋性モノマーはアクリル樹脂の20重量%まで添加することができる。なお、アクリル系樹脂としては、数平均分子量が1000〜2000のものが好ましい。
上塗り層は二層構成であることが好ましく、その場合には、第1上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合は50/50〜60/40であることが好ましく、第2上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合は65/35〜85/15であることが好ましい。第1上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂の重量割合が50未満であると、高温水処理後の耐電圧性が劣り、60を超えると、曲げ加工性が劣る場合がある。第2上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂の重量割合が65未満では、樹脂皮膜表面の表面エネルギーが大きくなって耐トラッキング性が劣る場合があり、85を超えると、塗装性が劣って塗装外観が不均一となる。
(5)絶縁性添加剤
高温水処理後においては、上塗り層に含まれるアクリル系樹脂が劣化する。そのため、上塗り層に絶縁性添加剤が含有されていないと耐電圧性が劣るが、絶縁性添加剤が含有されることにより耐電圧性が良好となる。絶縁性添加剤としては、酸化チタン及びアルミナの少なくとも一方を含有することが好ましい。上塗り層に含有される絶縁性添加剤の配合割合は、ベース樹脂100重量部に対して80〜182重量部であるのが好ましい。また、上塗り層が二層構造の場合には、第2上塗り層における絶縁性添加剤の配合割合はベース樹脂100重量部に対して80〜140重量部であることが好ましく、第1上塗り層における絶縁性添加剤の配合割合は第2上塗り層における配合割合の1.1〜1.3倍であることが好ましい。
(6)上塗り層における表面エネルギー
上塗り層における表面エネルギーは、50mJ/m以下である。この表面エネルギーが50mJ/mを超えると、表面の濡れ性が向上して水分が表面に濡れ広がる。そうすると、アルミニウム材に電流を流した際に発生する熱により、濡れ広がった上塗り層表面の水分が蒸発する。その結果、濡れ広がった部分では、熱によって上塗り層が炭化し易くなり耐トラッキング性に劣ることになる。水分の濡れ性を抑制して濡れ広がらないようにすれば、炭化部分も少なくトラッキング性の低下も抑制できる。なお、表面エネルギーは、好ましくは45mJ/m以下である。
(7)プレコートアルミニウム材の製造方法
(7−1)化成処理工程
アルミニウム基材にりん酸クロメート、クロム酸クロメート、りん酸ジルコニウム、りん酸チタニウム等の処理液をスプレーし、或いは、これら処理液に浸漬することによって化成処理を施し、アルミニウム基材表面に化成処理皮膜が形成される。処理液には、市販のものが用いられる。処理温度及び処理時間は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
なお、上記化成処理に先立って、アルミニウム基材表面の汚れを除去したり表面性状を調整したりするために、アルミニウム基材を、硫酸、硝酸、リン酸等による酸洗浄処理、及び/又は、カセイソーダ、リン酸ソーダ、ケイ酸ソーダ等によるアルカリ洗浄処理することが望ましい。このような洗浄処理は、アルミニウム基材に処理液をスプレーしたり、アルミニウム基材を処理液中に浸漬したりすることによって施される。処理温度及び処理時間は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
(7−2)下塗り層の形成工程
上記化成処理皮膜の表面に、ベース樹脂であるエポキシ系樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗料をロールコートによって塗布する。塗料中のエポキシ系樹脂の含有量は、10〜60重量%である。なお、必要に応じて、防錆剤、レベリング剤、充填剤等を添加してもよい。溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の有機溶媒や水等の水性溶媒が用いられる。ロールコートでは、通常、塗料をパンに溜めておき、ピックアップロールでパンから塗料をかきあげ、アプリケーターロールに転移し、次いで、アルミニウム基材表面の化成処理皮膜上に塗料を転移させる。アルミニウム基材の搬送はバックアップロールを用いて行う。なお、焼付乾燥後における下塗り層の乾燥厚さが3〜8μmとなるように、ピックアップロールとアプリケーターロール間のニップ圧や塗料粘度を適宜調整する。
塗布した下塗り層の焼付工程では、最高到達板温度180〜220℃にて、焼付時間が20〜80秒の条件で焼付硬化させる。焼付には熱風炉が用いられ、炉の温度と炉内の通過時間を調整する。最高到達板温度が180℃未満又は焼付時間が20秒未満では、ベース樹脂の硬化が不十分となり、高温水処理後の耐電圧性が劣る。一方、最高到達板温度が220℃を超えるか又は焼付時間が80秒を超えると、ベース樹脂の劣化が始まり高温水処理後の耐電圧性が劣る。
(7−3)上塗り層の形成工程
上記下塗り層の表面に、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の重量割合が50/50〜85/15であるベース樹脂と絶縁性添加剤を溶媒に溶解又は分散させた塗料をロールコートによって塗布する。塗料中のベース樹脂の含有量は、10〜60重量%であり、ベース樹脂に対する絶縁性添加剤の添加量は上述の通りである。なお、必要に応じて、防錆剤、レベリング剤、充填剤等を添加してもよい。溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の有機溶媒や水等の水性溶媒が用いられる。ロールコートでは、通常、塗料をパンに溜めておき、ピックアップロールでパンから塗料をかき上げ、アプリケーターロールに転移し、次いで、下塗り層上に塗料を転移させる。アルミニウム基材の搬送はバックアップロールを用いて行う。なお、焼付乾燥後における上塗り層の乾燥厚さが5〜10μmとなるように、ピックアップロールとアプリケーターロール間のニップ圧や塗料粘度を適宜調整する。
塗布した上塗り層の焼付工程では、最高到達板温度230〜280℃にて、焼付時間が20〜80秒の条件で焼付硬化させる。焼付には熱風炉が用いられ、炉の温度と炉内の通過時間を調整する。最高到達板温度が230℃未満又は焼付時間が20秒未満では、ベース樹脂の硬化が不十分となり、高温水処理後の耐電圧性が劣る。一方、最高到達板温度が280℃を超える又は焼付時間が80秒を超えると、ベース樹脂の劣化が開始し高温水処理後の耐電圧性が劣る。
(7−4)二層構造の上塗り層の形成
一層構造の上塗り層に代えて二層構造の上塗り層は、以下のようにして形成される。
一層構造の上塗り層用の塗料に代えて、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の重量割合が50/50〜60/40である第1ベース樹脂と絶縁性添加剤を溶媒に溶解又は分散させた第1塗料を用いて、下塗り層表面に第1上塗り層を形成する。この第1塗料を、一層構造の上塗り層の場合と同様にして、下塗り層上に塗布する。塗布量は、焼付乾燥後における乾燥厚さが5〜10μmとなるように、ピックアップロールとアプリケーターロール間のニップ圧や塗料粘度を適宜調整する。なお、第1塗料中のベース樹脂の含有量は、10〜60重量%であり、ベース樹脂に対する絶縁性添加剤の添加量は上述の通りである。また、必要に応じた添加剤の添加、塗料の溶媒、ならびに、ロールコートの方法は、一層構造の上塗り層の形成の場合と同じである。
上記のようにして塗布した第1上塗り層の焼付工程の条件(焼付け温度及び焼付け時間)は、一層構造の上塗り層の形成の場合と同じである。
次に、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の重量割合が65/35〜85/15である第2ベース樹脂と絶縁性添加剤を溶媒に溶解又は分散させた第2塗料を用いて、第1上塗り層表面に第2上塗り層を形成する。この第2塗料を、一層構造の上塗り層の場合と同様にして、第1上塗り層上に塗布する。塗布量は、焼付乾燥後における乾燥厚さが30〜50μmとなるように、ピックアップロールとアプリケーターロール間のニップ圧や塗料粘度を適宜調整する。なお、第2塗料中のベース樹脂の含有量は、10〜60重量%であり、ベース樹脂に対する絶縁性添加剤の添加量は上述の通りである。また、必要に応じた添加剤の添加、塗料の溶媒、ならびに、ロールコートの方法は、一層構造の上塗り層の形成の場合と同じである。
上記のようにして塗布した第2上塗り層の焼付工程の条件(焼付け温度及び焼付け時間)も、一層構造の上塗り層の形成の場合と同じである。
以下に、本発明を本発明例及び比較例に基づいて詳細に説明する。
本発明例1〜22及び比較例1〜19
アルミニウム基材として、アルミニウム合金板(材質:JIS A5052、板厚:0.6mm)を用いた。この両面を市販のアルミニウム用脱脂剤にてアルカリ洗浄処理を行い、水洗後に市販のりん酸クロメート処理液により両面を化成処理した。次いで、表1〜4に示す下塗り層用塗料をロールコートで塗布し熱風炉で焼付けて、下塗り層を形成した。焼付け条件は、本発明例1〜10及び比較例1〜9に関しては、最高到達板温度が200℃、焼付時間が50秒であった。本発明例11〜13及び17〜19に関しては、最高到達板温度が180℃、焼付時間が20秒であった。本発明例14〜16及び20〜22、比較例11、12、13、16、18、19に関しては、最高到達板温度が220℃、焼付時間が80秒であった。比較例10、15に関しては、最高到達板温度が170℃、焼付時間が15秒であった。比較例14、17に関しては、最高到達板温度が230℃、焼付時間が90秒であった。
Figure 2012135917
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次に、表1〜4に示す第1上塗り層用の第1塗料をロールコートによって下塗り層上に塗布し、熱風炉で焼付けて第1上塗り層を形成した。焼付け条件は、本発明例1〜10及び比較例1〜9に関しては、最高到達板温度が250℃、焼付時間が50秒であった。本発明例11〜13及び17〜19に関しては、最高到達板温度が230℃、焼付時間が20秒であった。本発明例14〜16及び20〜22、比較例11、12、13、16、18、19に関しては、最高到達板温度が280℃、焼付時間が80秒であった。比較例10、15に関しては、最高到達板温度が220℃、焼付時間が15秒であった。比較例14、17に関しては、最高到達板温度が290℃、焼付時間が90秒であった。
更に、表1〜4に示す第2上塗り層用の第2塗料をロールコートによって第1上塗り層上に塗布し、熱風炉で焼付けて第2上塗り層を形成した。焼付け条件は、本発明例1〜10及び比較例1〜9に関しては、最高到達板温度が250℃、焼付時間が50秒であった。本発明例17〜19に関しては、最高到達板温度が230℃、焼付時間が20秒であった。本発明例20〜22、比較例16、18、19に関しては、最高到達板温度が280℃、焼付時間が80秒であった。比較例15に関しては、最高到達板温度が220℃、焼付時間が15秒であった。比較例17に関しては、最高到達板温度が290℃、焼付時間が90秒であった。
第1及び第2の塗料において、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル系樹脂の欄の数値は両者の重量割合を示す。第1及び第2の塗料において、絶縁性添加剤の重量部は、第1ベース樹脂及び第2ベース樹脂のそれぞれ100重量部に対するものである。また、第1及び第2の塗料の溶媒には、いずれもシクロヘキサノンを用い、第1塗料における第1ベース樹脂の含有量は18重量%、第2塗料における第2ベース樹脂の含有量は24重量%であった。以上のようにして、プレコートアルミニウム材の試料を作製した。
なお、上述した方法で得られた化成処理皮膜の皮膜量を蛍光X線分析装置により測定した結果、クロム量は30mg/mであった。
上記のようにして作製したプレコートアルミニウム材の試料について、表面エネルギー、耐トラッキング性、高温水処理後の耐電圧性、曲げ加工性(耐割れ性及び密着性)を下記の方法にて評価した。○、△を合格とし、×を不合格とした。
<表面エネルギー>
接触角計を用いて、対水接触角と対ヨウ化メチレン接触角を測定し、下記(1)式により算出した。
γ=6.281cosθ+1.132cosθ−0.1541 (1)
ここで、γ:表面エネルギー(mJ/m)、θ:対水接触角 (ラジアン)、θ:対ヨウ化メチレン接触角(ラジアン)である。
<耐トラッキング性>
塩化アンモニウム水溶液(0.1wt%)を用い、CTI値を測定した。評価の基準は、以下の通りである。
○:CTI≧200V
×:CTI<200V
<高温水処理後の耐電圧性>
プレッシャークッカー試験を8時間行った試験片について、耐電圧試験(試験電圧:1kV、印加時間:1分間)を行った。評価の基準は、以下の通りである。
○:絶縁破壊なし
×:絶縁破壊あり
<曲げ加工性>(耐割れ性) 評価面を外側にして90度曲げ(0.1R)を行い、割れを目視で観察した。評価の基準は、以下の通りである。
○:割れなし
△:小さな割れがあるが使用可能
×:大きな割れあり使用不可
割れ観察後に、曲げ部にセロハンテープを密着させた。次いで、セロハンテープを急激に剥離した際の剥がれ具合を観察した。評価の基準は、以下の通りである。
○:剥離なし
×:剥離あり
評価結果を表1〜4に示す。本発明例1〜10及び17〜22は、上塗り層が第1及び第2の上塗り層からなる例であり、本発明例11〜16は、上塗り層が第1上塗り層のみからなる例である。これら本発明例1〜22では、耐トラッキング性、高温水処理後の耐電圧性及び曲げ加工性(耐割れ性及び密着性)が全て合格であった。
比較例1〜9及び15〜19は、上塗り層が第1及び第2の上塗り層からなる例であり、比較例10〜14は、上塗り層が第1上塗り層のみからなる例である。
比較例1では、下塗り層の乾燥厚さが3μm未満の為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例2では、下塗り層の乾燥厚さが8μmを超えた為に、曲げ加工性(耐割れ性及び密着性)が不合格であった。
比較例3では、第1上塗り層の乾燥厚さが5μm未満の為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例4では、第1上塗り層の乾燥厚さが10μmを超えた為に、曲げ加工性(耐割れ性及び密着性)が不合格であった。
比較例5では、第2上塗り層の乾燥厚さが30μm未満の為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例6では、第2上塗り層の乾燥厚さが50μmを超えた為に、曲げ加工性(耐割れ性及び密着性)が不合格であった。
比較例7では、上塗り層に絶縁性添加剤を含有しない為、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例8では、下塗り層のベース樹脂にエポキシ系樹脂を用いずポリステル系樹脂を用いた為、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例9では、第2上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が65/35〜85/15の範囲内になく、かつ、上塗り層の表面エネルギーが50mJ/mを超えていたため、耐トラッキング性が不合格であった。
比較例10では、下塗り層の乾燥厚さが3μm未満の為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例11では、下塗り層の乾燥厚さが8μmを超えた為に、曲げ加工性(耐割れ性)が不合格であった。
比較例12では、第1上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15の範囲内になく、かつ、上塗り層の表面エネルギーが50mJ/mを超えていたため、耐トラッキング性が不合格であった。
比較例13では、第1上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15の範囲内になく、ポリフッ化ビニリデン樹脂の重量割合が多過ぎたため、塗装外観が劣り評価できなかった。
比較例14では、下塗り層の乾燥厚さが3μm未満であり、かつ、第1上塗り層の厚さが35μm未満の為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例15では、第1上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15の範囲内にない為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例16では、第1上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15の範囲内にない為に、曲げ加工性(耐割れ性)が不合格であった。
比較例17では、第1ベース樹脂のポリフッ化ビニリデン樹脂に代えてポリエステル系樹脂を用いた為に、高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
比較例18では、第2上塗り層におけるポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15の範囲内になく、ポリフッ化ビニリデン樹脂の重量割合が多過ぎたため、塗装外観が劣り評価できなかった。
比較例19では、第2ベース樹脂のポリフッ化ビニリデン樹脂に代えてポリエステル系樹脂を用いた為に、耐トラッキング性及び高温水処理後の耐電圧性が不合格であった。
本発明により、自動車部品や電気・電子部品などに用いられ、耐トラッキング性及び高温水処理後の耐電圧性に優れ、更に曲げ加工性に優れたプレコートアルミニウム材及びその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. アルミニウム基材と;当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した化成処理皮膜と;当該化成処理皮膜の表面に形成した下塗り層と;当該下塗り層の表面に形成した上塗り層と;を含み、前記下塗り層が、エポキシ系樹脂からなるベース樹脂を含み3〜8μmの乾燥厚さを有し、前記上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15のベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み35〜60μmの乾燥厚さを有し、当該上塗り層の表面エネルギーが50mJ/m以下であることを特徴とするプレコートアルミニウム材。
  2. 前記上塗り層が、前記下塗り層の表面に形成した第1上塗り層と;当該第1上塗り層の表面に形成した第2上塗り層と;からなり、前記第1上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜60/40の第1ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み5〜10μmの乾燥厚さを有し、前記第2上塗り層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が65/35〜85/15の第2ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含み30〜50μmの乾燥厚さを有し、当該第2上塗り層の表面エネルギーが50mJ/m以下である、請求項1に記載のプレコートアルミニウム材。
  3. 前記絶縁性添加剤が酸化チタン及びアルミナの少なくとも一方を含有する、請求項1又は2に記載のプレコートアルミニウム材。
  4. アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に化成処理皮膜を形成する工程と;当該化成処理皮膜の表面にエポキシ系樹脂からなるベース樹脂を含む塗料を塗布し、最高到達板温度180〜220℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ3〜8μmを有する下塗り層を形成する工程と;ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜85/15のベース樹脂と絶縁性添加剤とを含む塗料を前記下塗り層の表面に塗布し、最高到達板温度230〜280℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ35〜60μmを有する上塗り層を形成する工程と;を含むことを特徴とするプレコートアルミニウム材の製造方法。
  5. 前記上塗り層の形成工程が、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が50/50〜60/40の第1ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含む第1塗料を前記下塗り層の表面に塗布し、最高到達板温度230〜280℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ5〜10μmを有する第1上塗り層を形成する工程と;ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル系樹脂の重量割合が65/35〜85/15の第2ベース樹脂と絶縁性添加剤とを含む第2塗料を前記第1上塗り層の表面に塗布し、最高到達板温度230〜280℃で20〜80秒間焼付けて、乾燥厚さ30〜50μmを有する第2上塗り層を形成する工程と;からなる、請求項4に記載のプレコートアルミニウム材の製造方法。
  6. 前記絶縁性添加剤が酸化チタン及びアルミナの少なくとも一方を含有する、請求項4又は5に記載のプレコートアルミニウム材の製造方法。
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