JP4803659B2 - 絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

本発明は、絞り及びしごき加工性が良好な樹脂塗膜が形成されている絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板に係わり、さらに詳しくは、加工時に樹脂塗膜が割れることなく、且つアルミニウム合金板と該樹脂塗膜との間で剥離が生じない絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板に関するものである。
従来のアルミニウム電解コンデンサの多くは、アルミニウム合金板を絞り及びしごき加工にて成形した有底円筒形のケース内に、電解液を含浸させたコンデンサ素子を収納し、開口部をゴム等で封口し、さらに外周面に電気絶縁や内容物表示を目的とした塩化ビニル樹脂やオレフィン樹脂等の熱収縮性チューブで被覆された構成になっていた。
近年、電子部品の小型化が進んでおり、アルミニウム電解コンデンサも同様である。アルミニウム電解コンデンサを小型化するため、表面実装用のリード線を無くしたチップタイプのコンデンサが実用化されているが、このような小型のアルミニウム電解コンデンサでは、熱収縮チューブの被覆が極めて困難である。
そのため、熱収縮性チューブを被覆する工程を省略する方法、すなわち、アルミニウム合金板に、ポリエステル又はポリアミド等の樹脂フィルムをラミネートすることにより、あるいは、熱硬化性樹脂等の樹脂を含有する樹脂塗膜形成用塗料を、アルミニウム合金板に塗布して、該アルミニウム合金板の表面に樹脂塗膜を形成させることにより、予め樹脂が被覆された樹脂被覆アルミニウム合金板を得、次いで、該樹脂被覆アルミニウム合金板を絞り及びしごき加工する方法が提案されている。
樹脂フィルムがラミネートされたアルミニウム合金板(以下、ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板とも記載する。)としては、例えば、特許文献1の特開2004−122765号公報には、金属板の少なくとも片面に、接着剤より構成される接着層を介して樹脂フィルムを被覆した樹脂フィルム被覆金属板であって、前記接着剤は、メラミン系硬化剤及びイソシアネート系硬化剤の中から選ばれた少なくとも1種で構成され、前記樹脂フィルムは、20〜90%の結晶化度を有し、更に、前記接着層と接する面での前記樹脂フィルイムの複屈折率が0.005未満であって、かつ、前記樹脂フィルム最表面から5μmの深さにおける前記樹脂フィルムの複屈折率が0.005以上であるポリエステル系樹脂で構成される樹脂フィルム被覆金属板が開示されている。
また、該樹脂塗膜を形成することにより得られる樹脂被覆アルミニウム合金板(以下、樹脂塗膜法樹脂被覆アルミニウム合金板とも記載する。)としては、例えば、特許文献2の特開平10−199768号公報には、ワックス含有樹脂の塗料を、アルミニウム合金に塗布することにより、樹脂アルミニウム又はアルミニウム合金からなるベース材と、前記ベース材の表面に設けられたワックス含有樹脂の塗膜とを具備するコンデンサ用ケース材料が開示されており、また、特許文献3の特開2005−171330号公報には、樹脂及び潤滑剤を含有する塗料をアルミニウム合金板に塗布し、焼付け・乾燥することにより、アルミニウム合金板上に化成皮膜が設けられ、その上に樹脂塗膜が設けられた樹脂被覆アルミニウム合金板において、樹脂塗膜が、エポキシを主成分として、フェノール系、アクリル系、ウレタン系、尿素系の群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を添加したものからなり、潤滑剤を樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部含有し、この樹脂塗膜の引張強度が40N/mm以上で且つ伸びが2%以上であり、樹脂塗膜の厚さが3〜10μmである電気電子部品用樹脂被覆アルミニウム合金板が開示されている。
特開2004−122765号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開平10−199768号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2005−171330号公報(特許請求の範囲、実施例)
従来の樹脂塗膜法樹脂被覆アルミニウム合金板は、該ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板に比べ、製造コストが低いものの、絞り及びしごき加工性が悪いため、加工時に、樹脂塗膜の割れや剥離が生じるという問題、あるいは、加工時には樹脂塗膜の割れや剥離が生じなくても、高温多湿環境に曝されると、樹脂塗膜の割れや剥離が生じるという問題があった。
一方、該ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板を製造するためには、樹脂原料をフィルム状に加工する工程が必要なため、該ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板は、該樹脂塗膜法樹脂被覆アルミニウム合金板よりも製造コストが割高になるという問題があった。
また、近年、製造コストの削減のために、樹脂被覆アルミニウム合金の樹脂被覆層の厚さを小さくすることが行われるようになった。ところが、該ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板では、厚さが6μm程度以下の樹脂フィルムを製造することができないか、又は6μm程度以下にすることができたとしても、製造コストが極めて高くなるため、実質上樹脂フィルムの製造ができないに等しかった。
従って、本発明の課題は、安価な樹脂被覆アルミニウム合金板、すなわち、樹脂塗膜が形成されている樹脂被覆アルミニウム合金板であって、絞り及びしごき加工時に樹脂塗膜の割れや剥離が生じ難く、且つ高温多湿環境に曝されても樹脂塗膜の割れや剥離が生じ難い樹脂被覆アルミニウム合金板を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有するポリエステル樹脂に、エポキシ樹脂及びアミノ樹脂を組合わせ、それらを特定の配合割合で含有させた樹脂塗膜形成用塗料を用いて形成させた樹脂塗膜は、加工性及び密着性が高いので、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れや剥離が生じ難くく、且つ、高温多湿環境に曝されても樹脂塗膜の割れや剥離が生じ難いことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、化成皮膜が形成されているアルミニウム合金板、及び該化成皮膜の表面に形成されている樹脂塗膜からなる絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板であって、該樹脂塗膜が、(a)数平均分子量が7000〜30000であり且つガラス転移温度が−20℃以上であるポリエステル樹脂、(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有する樹脂混合物の硬化物であり、硬化前の該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が50〜90質量部、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が3〜40質量部、該(c)アミノ樹脂の含有量が5〜30質量部であることを特徴とする絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板を提供するものである。
また、本発明は、化成皮膜が形成されているアルミニウム合金板の該化成皮膜の表面に、樹脂塗膜形成用塗料を塗装し、次いで、焼付けて得られる絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板であって、該樹脂塗膜形成用塗料が、(a)数平均分子量が7000〜30000であり且つガラス転移温度が−20℃以上であるポリエステル樹脂、(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有しており、該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が50〜90質量部、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が3〜40質量部、該(c)アミノ樹脂の含有量が5〜30質量部であることを特徴とする絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板を提供するものである。
本発明によれば、安価な樹脂被覆アルミニウム合金板、すなわち、樹脂塗膜が形成されている樹脂被覆アルミニウム合金板であって、絞り及びしごき加工時に樹脂塗膜の割れや剥離が生じ難く、且つ高温多湿環境に曝されても樹脂塗膜の割れや剥離が生じ難い樹脂被覆アルミニウム合金板を提供することができる。
本発明の絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板(以下、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板とも記載する。)は、化成皮膜が形成されているアルミニウム合金板、及び該化成皮膜の表面に形成されている樹脂塗膜からなる絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板であって、該樹脂塗膜が、(a)数平均分子量が7000〜30000であり且つガラス転移温度が−20℃以上であるポリエステル樹脂、(b)エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有する樹脂混合物の硬化物であり、硬化前の該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が50〜90質量部、該(b)エポキシ樹脂の含有量が3〜40質量部、該(c)アミノ樹脂の含有量が5〜30質量部である絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板である。
本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の模式的な断面図である。図1中、樹脂被覆アルミニウム合金板1は、アルミニウム合金板2の表面に形成されている化成皮膜3及び該化成皮膜3の表面に形成されている樹脂塗膜4からなる。
本発明において、アルミニウム合金板とは、アルミニウム又はアルミニウム合金のいずれかからなる板である。該アルミニウム合金板2としては、通常、アルミニウム電解コンデンサの有底円筒形のケースの製造に用いられるアルミニウム合金であれば、特に制限されず、該有底円筒形のケースの形状により、適宜選択される。
該化成皮膜3は、該アルミニウム合金板2に、樹脂を被覆するための下地、すなわち、該樹脂塗膜4を形成させるための下地として、通常用いられている化成皮膜であれば、特に制限されない。該化成皮膜としては、例えば、アルカリ−クロム酸塩系、クロム酸塩系、リン酸−クロム酸塩系、リン酸亜鉛系、非クロム酸塩系、酸化皮膜系等が挙げられ、更に具体的には、アルミニウムの酸化物及びクロムの酸化物の混合皮膜、リン酸クロム及びリン酸アルミニウムの混合皮膜、リン酸亜鉛皮膜、酸化アルミニウム及びリン酸エステルの混合皮膜、クロムの酸化物及びポリアクリル酸樹脂の混合皮膜、アルミニウムの水和酸化物皮膜が挙げれる。
該化成皮膜を形成させる方法としては、通常、該アルミニウム合金板に樹脂塗膜を形成させるための下地としての化成皮膜の形成に用いられる方法であれば、特に制限されない。例えば、圧延等により得られたアルミニウム合金板の表面を、中性洗剤、弱酸性洗剤、弱アルカリ性洗剤又は脱脂剤等で洗浄するか、あるいは、エッチング処理して、該圧延等により得られたアルミニウム合金板の表面に付着している潤滑油等の油脂分を除去し、次いで、得られた脱脂アルミニウム合金板の表面を、皮膜処理することにより、アルミニウム合金板の表面に化成皮膜を形成させる方法が挙げられる。該皮膜処理としては、リン酸、無水クロム酸、フッ化水素を含有する処理液に、該脱脂アルミニウム合金板を浸漬するリン酸クロメート処理;無水クロム酸等を含有する処理液に、該脱脂アルミニウム合金板を浸漬するクロム酸クロメート処理;ジルコニウム化合物又はチタン化合物を主とする化合物を含有する処理液に、該脱脂アルミニウム合金板を浸漬する処理;有機樹脂及び金属塩を含有する処理液を、該脱脂アルミニウム合金板に塗布・乾燥する塗布型処理等が挙げられる。
該樹脂塗膜4は、(a)ポリエステル樹脂、(b)エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有する樹脂混合物の硬化物である。つまり、該樹脂塗膜4は、該樹脂混合物を熱硬化させて得られる。
硬化前の該樹脂混合物は、(a)ポリエステル樹脂、(b)エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有する。
該(a)ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化物である。該(a)ポリエステル樹脂に係る多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、イタコン酸、ダイマー酸等の二塩基酸が挙げられ、該二塩基酸は、1種単独であっても、2種以上の組合わせであってもよい。また、該(a)ポリエステル樹脂に係る多塩基酸は、該二塩基酸と、トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多塩基酸との組合わせであってもよい。また、該(a)ポリエステル樹脂は、該多塩基酸に加えて、必要に応じて、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸等の一塩基酸が、併用されていてもよい。該(a)ポリエステル樹脂に係る多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の二価アルコールが挙げられ、該二価アルコールは、1種単独であっても、2種以上の組合わせであってもよい。また、該(a)ポリエステル樹脂に係る多価アルコールは、該二価アルコールと、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとの組合わせであってもよい。
該(a)ポリエステル樹脂を製造する方法としては、特に制限されず、例えば、該多塩基酸又は必要に応じて併用される該一塩基酸と、該多価アルコールとを、公知の方法により、エステル化させる方法、あるいは、該多塩基酸の低級アルコールエステル又は必要に応じて併用される該一塩基酸の低級アルコールエステルを、該多価アルコールで、公知の方法により、エステル交換する方法が挙げられる。
該(a)ポリエステル樹脂の数平均分子量は、7000〜30000、好ましくは10000〜25000である。該(a)ポリエステル樹脂の数平均分子量が、上記範囲にあることにより、樹脂塗膜の加工性及び密着性が高くなるので、絞り及びしごき加工時に又は高温多湿環境に曝された時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じ難い。該(a)ポリエステル樹脂の数平均分子量が7000未満では、樹脂塗膜の伸びが少なくなるため、樹脂塗膜の密着性が低くなり、樹脂塗膜が剥離し易くなる。また、該(a)ポリエステル樹脂の数平均分子量が30000を超えると、樹脂塗膜形成用塗料の溶媒として有機溶媒を用いる場合は、ポリエステル樹脂が該有機溶媒に溶解し難くなるため、樹脂塗膜を製造することが困難になり、一方、樹脂塗膜形成用塗料の溶媒として水を用いる場合は、ポリエステル樹脂が水溶媒に分散はするが、樹脂混合物が硬化し難くなる。
該(a)ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−20℃以上、好ましくは−20〜80℃、特に好ましくは−10〜40℃である。該(a)ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、上記範囲にあることにより、樹脂被覆アルミニウム合金板のブロッキング性能が良好になる。該(a)ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、−20℃未満だと、アルミニウム合金板の片面に樹脂塗膜を形成させた後、得られた樹脂被覆アルミニウム合金板を、コイルに巻き取る場合、樹脂被覆アルミニウム合金板の樹脂塗膜が、該樹脂塗膜が接触する無塗装面のアルミニウム合金板に貼り付く、すなわち、ブロッキング性能が悪くなる。なお、該ブロッキング性能について説明すると、ブロッキング性とは、片面に樹脂塗膜が形成されている2枚の樹脂被覆アルミニウム合金板を、一方の樹脂被覆アルミニウム合金板の樹脂塗膜と、他方の樹脂被覆アルミニウム合金板の樹脂塗膜が形成されていないアルミニウム合金板面(ベア面)とが接触するように重ね合わせた時の、該一方の樹脂被覆アルミニウム合金板の樹脂塗膜と、該他方の樹脂被覆アルミニウム合金板のベア面との貼り付き難さ指す。そして、樹脂被覆アルミニウム合金板のブロッキング性能が良好であるとは、該重ね合わせ後に、一方の樹脂被覆アルミニウム合金板の樹脂塗膜と、他方の樹脂被覆アルミニウム合金板のベア面とが貼り付かない場合を指し、樹脂被覆アルミニウム合金板のブロッキング性能が不良であるとは、該重ね合わせ後に、一方の樹脂被覆アルミニウム合金板の樹脂塗膜と、他方の樹脂被覆アルミニウム合金板のベア面とが貼り付く場合を指す。製造ラインにおいては、通常、製造後の樹脂被覆アルミニウム合金板をコイルに巻き取りながら、樹脂被覆アルミニウム合金板の製造が行われるため、コイルに巻き取りながら製造される樹脂被覆アルミニウム合金板においては、ブロッキング性能が良好であることは、必須である。
該(b)エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂、又は該エポキシ基を有する樹脂のエポキシ基若しくは水酸基に、各種変性剤を反応させて得られる変性エポキシ樹脂である。
該(b)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂、あるいは、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂中のエポキシ基若しくは水酸基に、各種変性剤を反応させて得られる変性エポキシ樹脂が挙げられる。
該(b)エポキシ樹脂に係るビスフェノール型エポキシ樹脂は、下記化学式(1):
に示すような、エピクロルヒドリンとビスフェノール化合物との縮合物である。なお、上記化学式(1)には、該エピクロルヒドリンとビスフェノール化合物との縮合物のうち、該ビスフェノール化合物がビスフェノールAの場合を示した。該ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノール化合物とを、必要に応じてアルカリ触媒等の触媒の存在下、高分子量まで縮合させることにより、あるいは、エピクロルヒドリンとビスフェノール化合物とを、必要に応じてアルカリ触媒等の触媒の存在下、縮合させて低分子量物を得、次いで、該低分子量物とビスフェノール化合物とを重付加反応させることにより得られる。
該ビスフェノール型エポキシ樹脂に係るビスフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン:ビスフェノールF、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン:ビスフェノールB、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン等が挙げられる。また、該ビスフェノール化合物は、1種単独であっても、2種以上の組合せであってもよい。また、該ビスフェノール化合物は、芳香族環が水素化された水素化ビスフェノール化合物であってもよい。
該ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1010(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製);AER6097、AER6099(以上、いずれも旭化成エポキシ社製);エポミックR−309(三井化学社製)等が挙げられる。
該(b)エポキシ樹脂に係るノボラック型エポキシ樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、酸性触媒下で縮合反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテルであり、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、分子内に多数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
該フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート152、エピコート154(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製);EPPN−201(日本化薬社製);エポトートYDPN−638(東都化成社製)等が挙げられ、該クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、エピコート180S65、エピコート180H65(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製);EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(以上、いずれも日本化薬社製);エポトートYDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704(以上、いずれも東都化成社製)等が挙げられ、その他のノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、エポトートZX−1071T、エポトートZX−1015、エポトートZX−1247、エポトートYDG−414S(以上、いずれも東都化成社製)等が挙げられる。
該(b)エポキシ樹脂に係る変性エポキシ樹脂としては、該ビスフェノール型エポキシ樹脂又は該ノボラック型エポキシ樹脂に、例えば、乾性油脂肪酸を反応させて得られるエポキシエステル樹脂、アクリル酸又はメタクリル酸等を含有する重合性不飽和モノマーを反応させて得られるエポキシアクリレート樹脂、イソシアネート化合物を反応さて得られるウレタン変性エポキシ樹脂が挙げられる。また、該変性エポキシ樹脂としては、該ビスフェノール型エポキシ樹脂、該ノボラック型エポキシ樹脂、該エポキシエステル樹脂、該エポキシアクリレート樹脂又は該ウレタン変性エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させて、アミノ基又は4級アンモニウム塩を導入して得られるアミン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
該(b)エポキシ樹脂のうち、樹脂塗膜の密着性及び加工性が高い点で、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
該(c)アミノ樹脂は、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ基を有するアミノ化合物とアルデヒドとの付加縮合反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂、又は該メチロール化アミノ樹脂をエーテル化したアルキルエーテル化メチロールアミノ樹脂である。該メチロール化アミノ樹脂に係るアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。該アルキルエーテル化メチロールアミノ樹脂において、該メチロール化アミノ樹脂のエーテル化に用いられるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
また、硬化前の該樹脂混合物は、必要に応じて、硬化促進剤、顔料、顔料分散剤、可塑剤、着色剤、塗膜調整剤、改質剤等の各種添加剤を含有することができる。該硬化促進剤としては、リン酸、スルホン酸化合物、スルホン酸化合物のアミン中和物等が挙げられる。該顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ粉末、アエロジル、カーボンブラック、アルミペースト等の無機顔料、及び各種有機顔料が挙げられる。該塗膜調製剤としては、樹脂塗膜の平滑性を向上させる表面平滑剤、潤滑剤、揺変剤、消泡剤、樹脂塗膜のピンホールやはじきを防止する界面活性剤等が挙げられる。
硬化前の該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部とした時の該(a)ポリエステル樹脂の含有量は、50〜90質量部、好ましくは65〜85質量部である。該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部とした時の該(a)ポリエステル樹脂の含有量が、50質量部未満だと、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じ、また、90質量部を超えると、高温多湿環境に曝された時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離・溶融が生じる。
また、硬化前の該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部とした時の該(b)エポキシ樹脂の含有量は、3〜40質量部、好ましくは10〜30質量部である。該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部とした時の該(b)エポキシ樹脂の含有量が、3質量部未満だと、高温多湿環境に曝された時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じ、また、40質量部を超えると、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じる。
また、硬化前の該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部とした時の該(c)アミノ樹脂の含有量は、5〜30質量部、好ましくは5〜15質量部である。該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部とした時の該(c)アミノ樹脂の含有量が、5質量部未満だと、高温高湿環境に曝された時に、樹脂塗膜の割れ又は溶融が生じ、また、30質量部を超えると、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じる。
該樹脂塗膜4の厚み(図1中、符号t)は、特に制限されず、アルミニウム電解コンデンサの有底円筒形のケースの製造に用いられる場合、通常、3〜20μm、好ましくは5〜10μmである。
該樹脂塗膜4は、樹脂塗膜形成用塗料を、該化成皮膜3の表面に塗装し、次いで、焼付けることにより、該樹脂塗膜形成用塗料中の溶媒を蒸発させると共に、該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂を含有する樹脂混合物を熱硬化させて形成される。
該樹脂塗膜形成用塗料は、該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂を含有する。また、該樹脂塗膜形成用塗料は、必要に応じて、該各種添加剤を含有してもよい。そして、該樹脂塗膜形成用塗料中で、該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂は、溶媒に溶解又は分散されており、該添加剤は、該溶媒に溶解又は分散されている。
そして、該樹脂塗膜形成用塗料は、該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂、並びに必要に応じて含有される該添加剤を、該溶媒に混合して、該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂、並びに該添加剤を、該溶媒に、溶解又は分散させることにより調製される。
該樹脂塗膜形成用塗料に係る溶媒は、水又は有機溶媒である。該有機溶媒としては、特に制限されず、樹脂の溶解性、金属面へ塗布した場合の蒸発速度を考慮して適宜選択される。該有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150、ブチルセロソルブ、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレングリコールアセテート、メタノール、エタノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。また、該溶媒は、1種単独であっても、2種以上の組合わせであってもよい。
該溶媒の沸点は、好ましくは60〜230℃、特に好ましくは80〜200℃である。
該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量は、50〜90質量部、好ましくは65〜85質量部である。該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が、50質量部未満だと、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じ、また、90質量部を超えると、高温多湿環境に曝された時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じる。
該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(b)エポキシ樹脂の含有量は、3〜40質量部、好ましくは10〜30質量部である。該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(b)エポキシ樹脂の含有量が、3質量%未満だと、高温多湿環境に曝された時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じ、また、40質量部を超えると、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じる。
該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(c)アミノ樹脂の含有量は、5〜30質量部、好ましくは5〜15質量部である。該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(c)アミノ樹脂の含有量が、5質量部未満だと、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じ、また、30質量部を超えると、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が生じる。
また、該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量、すなわち、固形分濃度は、20〜60質量%、好ましくは25〜50質量%である。
該樹脂塗膜形成用塗料を、該化成皮膜3の表面に塗装する方法としては、特に制限されず、例えば、バーコート法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法等が挙げられる。
該樹脂塗膜形成用塗料を、該化成皮膜3の表面に塗装した後、該樹脂塗膜形成用塗料が塗布されているアルミニウム合金板を加熱して、焼付けを行うが、該焼付けを行う際の加熱温度は、該溶媒が蒸発し且つ(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂を含有する樹脂混合物が熱硬化する温度であれば、特に制限されず、通常、150〜280℃、好ましくは200〜260℃である。また、該焼付けを行う際の加熱時間は、30〜180秒、好ましくは40〜100秒である。
このようにして、該化成皮膜3の表面に該樹脂塗膜4が形成される。すなわち、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、該化成皮膜が形成されているアルミニウム合金板の該化成皮膜の表面に、該樹脂塗膜形成用塗料を塗装し、次いで、焼付けて得られる絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板であって、該樹脂塗膜形成用塗料が、該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂、及び該(c)アミノ樹脂を含有しており、該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が50〜90質量部、該(b)エポキシ樹脂の含有量が3〜40質量部、該(c)アミノ樹脂の含有量が5〜30質量部である絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板である。
本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、絞り及びしごき加工時に、該樹脂塗膜の割れ又は剥離が発生し難く、且つ高温多湿環境に曝されても、該樹脂塗膜の割れ又は剥離が発生し難い。
そして、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、該樹脂塗膜を形成させることにより製造されるので、該ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板に比べ、製造コストが低い。また、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、該ラミネート法樹脂被覆アルミニウム合金板に比べ、樹脂被覆層の厚みを小さくすることができる。
また、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、従来の樹脂塗膜法樹脂被覆アルミニウム合金板に比べ、絞り及びしごき加工時に、樹脂塗膜の割れ又は剥離が発生し難く、且つ高温多湿環境に曝された時に、該樹脂塗膜の割れ又は剥離が発生し難い。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1〜12及び比較例1〜9)
(1)アルミニウム合金板
厚さ0.26mm、幅200mm、長さ300mmのA3003−H34を使用した。
(2)化成皮膜の形成
上記アルミニウム合金板を、市販の弱アルカリ性脱脂剤ファインクリーナー4377(日本パーカライジング製、10g/L、65℃)に、1分間浸漬した後、上水で水洗して、脱脂した。次いで、アルサーフ401(日本ペイント社製)30gとアルサーフ41(日本ペイント社製)3gの混合液に、上水を加え、全量を1リットルとした、42℃の溶液に、脱脂したアルミニウム合金板を、20秒間浸漬することにより、リン酸クロメート処理を行い、化成皮膜が形成されたアルミニウム合金板を得た。この時、リン酸クロメート処理の目付け量を、クロム量で15mg/mとした。
(3)樹脂塗膜の形成
表1又は表2に示す混合量で、溶媒としてキシレン、(a)ポリエステル樹脂、(b)エポキシ樹脂及び(c)アミノ樹脂を混合して樹脂塗膜形成用塗料を得、次いで、得られた樹脂塗膜形成用塗料を、上記のようにして得られた化成皮膜が形成されたアルミニウム合金板の一方の面に、バーコート法により塗布し、電気炉中260℃で1分間加熱した後、炉から取り出し、放冷し、樹脂被覆アルミニウム合金板を得た。この時、加熱後の樹脂塗膜の膜厚が、6μmになるようにバーの番手を選定した。
(4)ブロッキング試験
上記のようにして得られた樹脂被覆アルミニウム合金板5枚を、50mm×50mmに切断し、樹脂塗膜の形成面とベア面が重なるように、重ね合わせ、その上から、1kgの荷重をのせた状態で50℃、90%RHの環境に3日間保管した後、板同士の貼り付きを観察した。荷重を除いた時、5枚全ての板において、貼り付きがなければ、ブロッキング性能は良好とし、1枚でも張り付いていた場合は、ブロッキング性能は不良とした。結果を表1又は表2に示す。
(5)絞り及びしごき加工試験
上記のようにして得られた樹脂被覆アルミニウム合金板を、直径140mmの円形にカットし、次いで、該樹脂被覆アルミニウム合金板の両面に、プレス油G−6284M(日本工作油社製)を塗布し、樹脂塗膜の形成面が外面になるようにして、絞り及びしごき成形機を使用して、絞り及びしごき加工を実施し、直径65mm、高さ140mmの円筒形に成形した。しごき率は62%とした。成形したプレス品は、トリクレン蒸気中に10分間暴露することにより脱脂した。絞り及びしごき加工後の樹脂塗膜を倍率100倍の顕微鏡で観察し、樹脂塗膜に割れ及び剥離のいずれもが観察されなかった場合を「○」、樹脂塗膜に割れが観察された場合を「×(割れ)」と、樹脂塗膜に剥離が観察された場合を「×(剥離)」とした。また、加工時に樹脂被覆アルミニウム合金基板が破断した場合を「×(破断)」とした。結果を表1又は表2に示す。
(6)レトルト試験
該絞り及びしごき加工試験において、樹脂塗膜の剥離が観察されなかったプレス品を、蒸気釜中で、120℃の水蒸気に、5日間暴露した。レトルト試験後の樹脂塗膜を倍率100倍の顕微鏡で観察し、樹脂塗膜の剥離が観察されなかった場合を「○」、樹脂塗膜に剥離が観察された場合又は割れの拡大が観察された場合を「×」とした。結果を表1又は表2に示す。
実施例及び比較例で用いた樹脂は、以下の通りである。
(a)ポリエステル樹脂
・ポリエステル樹脂A:数平均分子量7000、ガラス転移温度15℃、バイロンGK590(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂B:数平均分子量10000、ガラス転移温度23℃、バイロンGK180(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂C:数平均分子量13000、ガラス転移温度11℃、バイロンGK190(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂D:数平均分子量17000、ガラス転移温度67℃、バイロンGK200(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂E:数平均分子量18000、ガラス転移温度40℃、アラキード7029P5(荒川化学工業社製)
・ポリエステル樹脂F:数平均分子量22000、ガラス転移温度72℃、バイロン290(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂G:数平均分子量28000、ガラス転移温度−18℃、バイロンBX1001(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂H:数平均分子量30000、ガラス転移温度−20℃、バイロンGA−6400(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂J:数平均分子量6000、ガラス転移温度46℃、バイロンGK810(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂K:数平均分子量25000、ガラス転移温度−28℃、バイロン30P(東洋紡績社製)
・ポリエステル樹脂L:数平均分子量35000、ガラス転移温度−70℃、バイロンGM−913(東洋紡績社製)
なお、樹脂の数平均分子量の測定には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリスチレン換算)を用いた。また、樹脂のガラス転移温度の測定には、示差走査熱量計を用いて、20℃/分の昇温速度で測定した。
(b)エポキシ樹脂:ビスフェノール型エポキシ樹脂、エピコート1004(ジャパンエポキシレジン社製)
(c)アミノ樹脂:スミマールM−40S(住友化学工業社製)
本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の模式的な断面図である。
符号の説明
1 樹脂被覆アルミニウム合金板
2 アルミニウム合金板
3 化成皮膜
4 樹脂塗膜

Claims (3)

  1. 化成皮膜が形成されているアルミニウム合金板、及び該化成皮膜の表面に形成されている樹脂塗膜からなる絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板であって、該樹脂塗膜が、(a)数平均分子量が7000〜30000であり且つガラス転移温度が−20℃以上であるポリエステル樹脂、(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有する樹脂混合物の硬化物であり、硬化前の該樹脂混合物中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が50〜90質量部、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が3〜40質量部、該(c)アミノ樹脂の含有量が5〜30質量部であることを特徴とする絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板。
  2. 化成皮膜が形成されているアルミニウム合金板の該化成皮膜の表面に、樹脂塗膜形成用塗料を塗装し、次いで、焼付けて得られる絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板であって、該樹脂塗膜形成用塗料が、(a)数平均分子量が7000〜30000であり且つガラス転移温度が−20℃以上であるポリエステル樹脂、(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂、及び(c)アミノ樹脂を含有しており、該樹脂塗膜形成用塗料中の該(a)ポリエステル樹脂、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂及び該(c)アミノ樹脂の合計含有量を100質量部としたときの該(a)ポリエステル樹脂の含有量が50〜90質量部、該(b)ビスフェノール型エポキシ樹脂の含有量が3〜40質量部、該(c)アミノ樹脂の含有量が5〜30質量部であることを特徴とする絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板。
  3. 前記(a)ポリエステル樹脂の多価アルコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの群から選ばれる1種又は2種以上の二価のアルコール、又は該二価のアルコールと三価以上の多価アルコールとの組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の絞り及びしごき加工用樹脂被覆アルミニウム合金板。
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