JP2012135816A - 銅基ろう材 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧粉体および焼結体のように接合面の表面状態にばらつきがあっても、高い接合強度を維持することができるろう材を提供する。
【解決手段】本発明の銅基ろう材は、全体を100質量%としたときに(以下単に「%」という)、20%以上36%以下のNiと、19%以上30%以下のMnと、0%以上16%以下のFeと、0%を超え2%以下のSiと、0.1%以上0.5%以下のBと、残部がCuと不可避不純物および/または改質元素と、を含む。Feを含まない場合のMnの含有量に対するNiの含有量(Ni/Mn)は、1.1以上2以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、鉄系材料からなる部材同士、特に、少なくとも一方の部材が焼結体である部材同士のろう付けに関するものである。
鉄系焼結部品は、所定の成分組成となるように配合された鉄を含む原料粉末を、金型で所定の形状に成形して圧粉体とし、この圧粉体を焼結することにより製造されることが多い。しかし、金型で成形することが困難な複雑形状の焼結部品は、予め複数の分割された部品形状に成形し、得られた圧粉体を焼結した後これらを組合せて当接する接合面同士をろう付けするか、圧粉体の焼結時に同時にろう付けすることにより作製されている。しかし、圧粉体および焼結体には複数の気孔が存在するため、溶融したろう材が毛細管力により接合面から気孔内に浸透する「溶浸現象」が生じ、良好なろう付けが阻害される。そのため、このようなろう付けに好適なろう材が、提案されている。
たとえば、特許文献1に記載のろう材はニッケル合金からなり、ニッケル合金は銅、マンガン、鉄、ケイ素およびホウ素を含む。特許文献2および特許文献3に記載のろう材は銅合金からなり、銅合金はニッケル、マンガン、鉄、ケイ素およびホウ素を含む。
米国特許第4029476号明細書 特開平5−186810号公報 特開平2−15875号公報
特許文献1、2および3において実施例として記載されているろう材は、ホウ素の含有量が多く、少ない場合であっても1質量%前後含まれる。ろう付け時に生成されるホウ素酸化物の効果で接合面に対する濡れ性が良好となるため、従来のろう材は、ホウ素を多く含んだ組成となっている。ところが、ホウ素は、焼結温度付近で鉄などと反応して、脆弱な金属組織(FeBなど)を形成することがわかった。脆弱な金属組織が接合部およびその近傍に形成されると、接合強度の低下につながる。
また、圧粉体および焼結体は、厳密には均質ではなく、ひとつの圧粉体であっても、ひとつの焼結体であっても、部位によって、密度、気孔サイズおよび表面粗さなどにばらつきがある。たとえば、圧粉体および焼結体は、低密度であると接合面から溶融したろう材が溶浸しやすいため、ろう材不足による接合不良を起こしやすい。また、同じ密度であっても、気孔サイズ、表面粗さなどの違いにより溶融したろう材の溶浸しやすさは大きく異なる。そのため、圧粉体および/または焼結体に対してろう付けして得られる接合体は、接合面の部位によって接合強度にばらつきが生じるため、ひとつの接合部全体において一定の接合強度を維持することすら困難である。その結果、同じ密度の圧粉体または同じ密度の焼結体に対して一定の条件でろう付けを行って接合体を量産した場合、接合強度のばらつきが大きくなり、個々の接合体の品質の確保が困難となる。
そこで本発明は、圧粉体および焼結体のように接合面の性状にばらつきがあっても、高い接合強度を維持することができるろう材を提供することを目的とする。
FeBなどの脆弱な金属組織の生成を抑えるには、ホウ素、およびホウ素と同様に他の元素と反応して脆弱な組織を形成しやすいケイ素の配合量を抑えればよい。しかし、ホウ素は、ろう付け時に生成されるホウ素酸化物の効果で、接合面に対するろう材の濡れ性を良好にする元素である。また、ケイ素は、ろう材の流動性および濡れ性を改善する元素である。そのため、これらの元素の含有量の低減は、かえって接合強度の低下を招く虞がある。そこで、本発明者らは、ろう材の全体組成を適切な範囲とすることで、ホウ素およびケイ素の含有量が少なくても良好な接合強度を維持することができる銅基ろう材を見出した。
本発明の銅基ろう材は、鉄系材料からなり接合された少なくとも一方が焼結体からなる接合部を有する接合体の製造に用いられるろう材であって、
全体を100質量%としたときに(以下単に「%」という)、
20%以上36%以下のニッケル(Ni)と、
19%以上30%以下のマンガン(Mn)と、
0%以上16%以下の鉄(Fe)と、
0%を超え2%以下の珪素(Si)と、
0.1%以上0.5%以下のホウ素(B)と、
残部が銅(Cu)と不可避不純物および/または改質元素と、
を含み、Feを含まない場合のMnの含有量に対するNiの含有量(Ni/Mn)が、1.1以上2以下であることを特徴とする。
本発明の銅基ろう材は、従来のろう材に比較して、B量さらにはSi量の含有量が低減されている。B量の低減により、ろう付け時には脆弱な金属組織の形成が抑制され、脆弱な金属組織が低減されるとともに、微分散することで、接合部が高強度になるものと考えられる。一方、B量の低減により接合面に対するろう材の濡れ性は低下すると推測されるが、その他の合金元素の配合割合を適切な範囲に収めることで、過度の溶浸を抑えつつ接合面全体を濡らすことができる適度な濡れ性を保つことができる。その結果、本発明の銅基ろう材は、表面性状の均一性に乏しい圧粉体および焼結体に対してろう付けを行っても、強度のばらつきが抑えられ、接合強度を高く維持することができる。
上記のような本発明の銅基ろう材を用いれば、品質が不均一になりがちな圧粉体および焼結体に対して、信頼性の高いろう付けが可能となる。その結果、ろう付けに要するろう材の供給量を、従来よりも低減することも可能となる。
なお、本発明の銅基ろう材は、鉄を含まないCu−Ni−Mn−Si−B系、鉄を含むCu−Ni−Mn−Fe−Si−B系、のろう材のいずれも含まれる。ただし、本発明の銅基ろう材は、ろう付けに供される際に全体として上記組成を満たせばよく、後に詳説する通り、ろう付け時にFeを粉末状で添加する場合であっても、その時点での全体組成が本発明の銅基ろう材の範囲にあれば、本発明の銅基ろう材に含まれることは言うまでもない。
本発明の銅基ろう材によれば、従来のろう材を使用した場合に比べ、接合部の強度が高い接合体が得られる。さらに望ましい組成範囲では、接合部の強度のばらつきが抑えられ、信頼性の高い接合が可能となる。
図1は、ろう付け方法の一例を説明する模式図である。 図2は、破断強度の測定方法を説明する模式図である。 図3は、種々の銅基ろう材によりろう付けされて作製された接合体の破断強度を示すグラフであって、銅基ろう材に含まれるホウ素および珪素の含有量に対する破断強度を示す。 図4は、本発明の銅基ろう材によりろう付けされて作製された接合体の接合部の断面を観察した結果を示す図面代用写真である。 図5は、本発明の銅基ろう材によりろう付けされて作製された接合体の接合部の断面を観察した結果を示す図面代用写真である。 図6は、従来の銅基ろう材によりろう付けされて作製された接合体の破断試験後の接合部の断面を観察した結果を示す図面代用写真である。 図7は、接合部の断面において電子線マイクロアナライザ(EPMA)により元素分析を行った部位を具体的に示す図面代用写真である。 図8は、薄板状に加工した本発明の銅基ろう材によりろう付けされて作製された接合体の接合部の断面を観察した結果を示す図面代用写真である。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本明細書に記載した数値を任意に組み合わせることで、任意に数値範囲を構成し得る。また、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。
本発明の銅基ろう材は、鉄系材料からなり接合された少なくとも一方が焼結体からなる接合部を有する接合体の製造に用いられる。接合部は鉄系材料からなるが、鉄系材料は、その種類に特に限定はなく、鉄または鉄を主成分とする合金(たとえば炭素鋼、合金鋼)からなればよい。なお、少なくとも接合面を含む表層が鉄系材料からなればよく、その他の部分については特に限定はない。本発明の銅基ろう材は、接合された少なくとも一方が焼結体である接合体の製造に用いられる。たとえば、本発明の銅基ろう材を用いて作製された接合体の少なくとも一部が焼結体であればよい。接合する部材を「第一部材」および「第二部材」としたとき、本発明の銅基ろう材により接合される部材の接合前の形態は、第一部材については、少なくとも接合される部位が、圧粉体および/または焼結体からなる。第二部材については、少なくとも接合される部位が、種々の鋳造法で作製された鋳物、溶製材、圧粉体および焼結体のうちのいずれかであればよい。なお、圧粉体に対して接合を行う場合は、後述の通り、ろう付けと同時に圧粉体の焼結を行うとよい。本発明の銅基ろう材は、幅広い密度の圧粉体および焼結体の接合に対して有効であるが、鋳物の密度(ρ)に対する圧粉体または焼結体の密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0-×100:%)が、80%以上さらには85%以上であるのが好ましい。
本発明の銅基ろう材は、全体を100%としたときに、20%以上36%以下のNiと、19%以上30%以下のMnと、0%以上16%以下のFeと、0%を超え2%以下のSiと、0.1%以上0.5%以下のBと、残部がCuと不可避不純物および/または改質元素と、を含む。
Bは、ろう材において一般的にフラックスとして働く酸化物を形成するため、ろう材の濡れ性を高める元素である。しかし、ろう付け時に、接合強度の低下につながる脆弱な金属間化合物(FeB)を形成する。B量を0.5%以下に抑えることで、脆弱な金属間化合物の晶出量が低減するとともに、晶出しても、微分散するため、接合部の強度が高く維持される。B量は、好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.45%以下である。B量が少なすぎると接合自体が困難となるが、0.1%以上であれば、他の元素の含有割合を調整することにより濡れ性ひいては接合強度を高く維持することができる。B量は、0.2%以上が好ましく、さらに接合強度を向上したい場合には0.3%以上であるのが好ましい。
Siは、ろう材の流動性および濡れ性を改善する元素である。また、Bとともに複合的に添加することで、接合強度が大きく向上する。そのため、Siは本発明の銅基ろう材に少しでも(0%を超えて)含まれていればよく、好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5%以上である。しかし、Si量が2.0%を超えると接合強度が低下したり、ばらつきが大きくなったりするため、Si量は2.0%以下、好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.6%以下である。
BおよびSiは、ともに、ろう材の融点を下げる効果があるため融点の調整に用いられるが、一方で、脆弱な金属間化合物、脆弱な共晶組織などを形成しやすい。そのため、特にFeを含まない本発明の銅基ろう材では、BとSiとの合計の含有量(B+Si)を2.3%以下、さらには2.25%以下に抑えるのが好ましい。
本発明の銅基ろう材は、NiおよびMn、必要に応じてFeの含有量を適切な範囲とすることで、配合量を低減したBさらにはSiの効果を補う。Ni量は20%以上36%以下好ましくは20%以上35%以下さらに好ましくは23%以上32%以下、Mn量は19%以上30%以下好ましくは20%以上28%以下さらに好ましくは20%以上27%以下、Fe量は0%(Feを含まない)または0%を超え16%以下好ましくは0%を超え15%以下さらに好ましくは2%以上13%以下、である。Ni、MnおよびFeは、強度向上に寄与する元素である。しかし、Niは高価であるため、36%以下とするのが好ましい。Mnは、配合量が過剰では靱性が低下するため、30%以下とするのが好ましい。Feは、接合面の不均一性に起因する接合強度のばらつきを低減させるため、2%以上添加するとよい。しかし、Fe量が過剰であると相分離域の拡大により、ろう材の融け分かれが生じるため、16%以下に抑えるとよい。なお、Feは本発明の銅基ろう材の必須の元素ではないが、Feの添加は、Bの原料として安価なフェロボロンが使用できるため、ろう材コストの大幅な低減を図れる利点もある。
Ni、MnおよびFeは、強度向上に寄与する元素である。しかし、上述の通りMnは、配合量が過剰では靱性が低下する。そのため、Mnの含有量に対するNiとFeとの合計の含有量((Ni+Fe)/Mn)を規定することは、接合強度の指標となる。なお、Feを含まない場合には、本指標はNi/Mnであらわされる。Feを含まないCu−Ni−Mn−Si−B系ろう材の場合には、Ni/Mnを1.1以上2以下とする。Feを含むCu−Ni−Mn−Si−B−Fe系ろう材であれば、(Ni+Fe)/Mnを1.1以上2.5以下とするのが好ましく、さらに好ましい上限値は2.4以下、2.1以下、2以下である。さらに好ましくは、(Ni+Fe)/Mn(あるいはNi/Mn)が、1.1以上1.9以下さらには1.15以上1.85以下である。
なお、当然ながら、不可避不純物および改質元素の組成は特に限定されない。不可避不純物は、原料粉末中に含まれる不純物や各工程時に混入等する不純物などであって、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。改質元素は、Cu、Ni、Mn、Fe、Si、B以外であって、ろう材の特性改善に有効な微量の元素である。本明細書中でいう改善される特性の種類は問わない。
本発明の銅基ろう材は、その形状に限定はなく、上記の組成を有する合金からなる鋳塊または粉末、全体として上記の組成を有する圧粉成形体、などを使用するとよい。
本発明の銅基ろう材を溶製する場合には、たとえば高周波溶解法などの一般的な溶解法を用いて鋳塊とするとよい。また、ろう材を粉末化する場合には、鋳塊を粉砕して粉末化してもよいし、溶解した溶湯をアトマイズ法を用いて粉末化してもよい。
また、溶融法を用いて得られた鋳塊は、公知の方法により、ろう付け時に接合面の形状に合わせてろう材を供しやすい薄板または線材など所望の形状に加工してもよい。本発明の銅基ろう材は、ろう材に含まれるB量が従来よりも低減されていることで脆弱な化合物の生成が抑制されるため、その鋳塊を種々の加工に供することが可能である。具体的には、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延、熱間スエージ、冷間スエージ、ダイス伸線、引き抜き、押し出し等の各種塑性加工である。熱間加工であれば、750〜900℃で行うのが好ましい。冷間加工または温間加工であれば、室温あるいは25〜750℃で行うのが好ましい。寸法精度などの点でろう材品質を高めるために、鋳塊を熱間加工の後、焼鈍後、必要に応じて冷間加工を行うのが望ましい。なお、ここで説明する薄板とは厚さが0.05〜1mm程度、線材とは線径がφ0.5〜10mm程度、を想定しているが、接合体に応じて変化するためこの範囲に限定されない。また、薄板および線材は、任意の寸法に切断して使用するとよい。
しかし、本発明の銅基ろう材は、組成によっては鋳塊は比較的脆く、寸法や形状によっては薄板または線材に加工することが困難である場合がある。そこで、上記の方法により加工が困難な場合には、次に説明する方法により、ろう付け時に接合面の形状に合わせてろう材を供しやすい寸法または形状の薄板状または線状の銅基ろう材を作製するとよい。
はじめに、混合粉末調製工程において、少なくともNi、Mn、Si、Bを含む合金からなるNi−Mn−Si−B系合金粉末と、Cuを含む銅粉末と、を目的組成に応じた割合で混合して混合粉末を調製する。次に、この混合粉末を成形工程において加圧成形して圧粉成形体を得る。成形工程では、粉末圧延法によりシート状に成形してもよい。この圧粉成形体をこのままろう付けに供する、あるいはこの圧粉成形体を焼結して合金化したものをろう付けに供してもよいが、使用しやすい形状にするために、さらなる付形を行うとよい。
成形工程において得られた圧粉成形体は、必要に応じて仮焼成をした後、二次成形工程において所定の形状に加工するとよい。仮焼成は、たとえば700〜850℃で20〜90分間加熱して行うとよい。また、仮焼成は、MnおよびFe等の酸化を防止する観点から、不活性雰囲気中で行うのが好ましい。二次成形工程は、たとえば塑性加工により、仮焼成後の圧粉成形体を成形する。具体的には、冷間圧延による薄板化、圧延またはスエージによる線材化、などが挙げられる。なお、ここで説明する薄板とは厚さが0.05〜1mm程度、線材とは線径がφ0.5〜10mm程度、を想定しているが、接合体に応じて変化するためこの範囲に限定されない。薄板および線材は、任意の寸法に切断するとよい。二次成形工程後の圧粉成形体をこのままろう付けに供してもよいが、二次成形工程後の圧粉成形体を融点以下の温度で加熱して焼結させてもよい。本焼成は、たとえば700〜900℃で10〜90分間加熱して行うとよい。本焼成についても、MnおよびFe等の酸化を防止する観点から、不活性雰囲気中で行うのが好ましい。
上記の混合粉末調製工程において、使用するNi−Mn−Si−B系合金粉末は、合金組成にFeを含んでもよい。あるいは、Feを含む鉄粉末を、Ni−Mn−Si−B系合金粉末および銅粉末とともに混合してもよい。これらの粉末の粒径に特に限定はないが、たとえば、200μm以下さらには150μm以下に分級してから使用するのが望ましい。
以上説明した方法は、銅が本来有する延性を利用して塑性加工を良好に行っている。そのため、銅粉末の量がある程度の量で含まれないと、塑性加工は困難である。望ましい銅粉末の量は、混合粉末を100%としたときに30%以上さらには40〜60%である。Feの含有量が多いろう材の場合には、上記のような製造方法を適用することが困難な場合もあるため、後述のように鉄を別途添加するとよい。
本発明の銅基ろう材は、従来のろう材と同様の方法でろう付けが可能である。したがって、ろう材を二つの接合面の間に挟持した状態で溶融させてもよいし、ろう材を接合面の付近に配置した状態で溶融させて接合面に沿ってろう材を自然に侵入させてもよい。また、上記の組成を有する本発明の銅基ろう材の融点は970〜1100℃程度であるため、ろう付けの際には、溶融温度まで昇温させたのち凝固させて、二つの接合面の間にろう材層を形成するとよい。この時の昇温速度に特に限定はないが、速過ぎると温度分布が不均一になって、接合強度のばらつきが大きくなるため、5〜100℃/分とするのが望ましい。また、ろう付けは、MnおよびFe等の酸化を防止する観点から、不活性雰囲気中、特に窒素ガス雰囲気で行うのが好ましい。
本発明の銅基ろう材は、0.5g/cm以下の少ない供給量であっても高い接合強度が維持される。0.35g/cm以下さらには0.25g/cm以下であってもよい。望ましい供給量を規定するのであれば、0.1〜0.4g/cmである。なお、銅基ろう材の供給量は、ろう材が侵入した面の面積(接合時に対向させる二面のうちの一方の面であって接合面以外にろう材が侵入した面があればその面も含む)当たりに供給したろう材の質量である。
また、鉄系材料からなる圧粉体の焼結温度が、本発明の銅基ろう材の溶融温度に重なるため、圧粉体のろう付けと焼結とを一度に行うことも可能である。この場合の望ましい加熱温度は、1000〜1200℃さらには1100〜1200℃である。
本発明の銅基ろう材は、ろう付けの際にFeを添加してもよい。たとえば、予めFeを含まない組成の未添加ろう材を準備しておき、ろう付けの際には、未添加ろう材とは別に接合面近傍に所定の量の鉄源を配置する。このとき、未添加ろう材と鉄源との合計を100%としたときに、本発明の銅基ろう材の組成範囲にあればよい。鉄源は、鉄粉、箔などの状態であるとよい。
また、接合部の材質によっては、ろう材の濡れ性が劣ることで良好な接合が得られないことも考えられる。このような場合には、従来のろう付け法と同様に、フラックスを使用することで濡れ性の改善を図ってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〔銅基ろう材合金の作製I〕
以下の手順で、表1に示した組成を有するCu−Ni−Mn−Si−B(−Fe)ろう材合金を作製した。なお、表1には、(Ni+Fe)/Mnの計算値を示した。Feを含まない場合にはNi/Mn値であるが、以下の説明では、いずれの値も(Ni+Fe)/Mn値と呼ぶこととする。
はじめに、それぞれの元素を含む金属粉末(粒径:145μm以下)を所定量に秤量し、それらの金属粉末を容器に入れて回転させる混合処理により、混合粉末を得た。得られた混合粉末を金型に充填して加圧成形することで、直径φ20mm×10〜15mmの円柱状の圧粉成形体に成形した。
この圧粉成形体を、Arガスプラズマボタン溶解炉を用いて溶解(Arガスプラズマボタン溶解)して、20〜30gの銅基ろう材合金の鋳塊を作製した。Arガスプラズマボタン溶解は、アルゴンガス雰囲気中でArガスプラズマを発生させて種々の金属材料を溶解させ、ボタン状の鋳塊を得る方法である。チャンバー内には、水冷された銅製坩堝が配置されており、銅製坩堝には圧粉成形体を収容した。次に、チャンバー内を真空引きしてからArガスを導入することで、チャンバー内をArガス置換した。その後、チャンバー内でArガスプラズマを発生させて圧粉体を溶解させた。坩堝内で溶解した溶融原料は、プラズマを停止後、坩堝内で凝固させて鋳塊を得た。
次に、この鋳塊の上下を反転させて、同様の手順で、再溶解および凝固を行った。この作業をさらに2回行い、ボタン状の銅基ろう材合金を得た。
なお、次に説明する接合体の作製には、得られた銅基ろう材合金の鋳塊を所定の寸法に切断して用いた。
〔接合体の作製I〕
二つの圧粉体を焼結すると同時にろう付けして、焼結部材からなる接合体を作製した。以下に、その手順を説明する。
はじめに、全体の組成が、Cu:2質量%、C:0.8質量%、残部が主としてFeであり、寸法および密度の異なる種々の圧粉体を作製した。原料粉末として、純鉄粉、Cuを10質量%含むFe−10Cu粉末および黒鉛粉末を準備した。いずれの粉末も、粒子径は145μm以下であった。それぞれの粉末を所定量に秤量し、容器内で回転混合処理を30分間行い、混合粉末を得た。
得られた混合粉末を、金型を用いた型潤滑法により成形し、(1)φ20mm×5mm、(2)φ12.7mm×10mmの円柱形状の圧粉体を得た。なお、成形時の成形圧力を変えることで、圧粉体の密度を6.8g/cmまたは7.0g/cm(密度比にして87.2%または89.7%)に調整した。
密度が同じで寸法が異なる二つの圧粉体を焼結およびろう付けして、接合強度評価用の接合体を作製した。接合体の作製手順を、図1を用いて説明する。まず、(1)の圧粉体の中央に、圧粉体と同軸的になるようにφ8.5mmの貫通孔13をドリルにより穴加工し、円筒形状の圧粉体10を得た。圧粉体10は、(2)の圧粉体20に同軸的に載置した。ろう材30は、所定量に秤量した後、貫通孔13の中央部に位置するように圧粉体20に載置した。なお、表1では、使用したろう材の量を、圧粉体20の端面の面積当たりの質量で示した。圧粉体の焼結およびろう付けは、窒素ガス雰囲気(N流量:2.0L/分)にて1150℃で15分間、焼成処理を行った。
焼成の際には、ろう材30が溶融して、ろう材30を載置した圧粉体20の上端面を流動し、圧粉体10の内周角部1bに達した後に、接合面3bへと流入し、圧粉体20の外周角部2bに到達して、接合が完了した。その間に、圧粉体の焼結も進行し、焼結接合体が得られた。
なお、参考例として焼結体SB1および焼結体SB2を作製した。焼結体は、上記と同じ混合粉末を用いてφ20mm×14mmの円柱形状の圧粉体を成形した後、上記と同じ条件で焼結させ、上記の焼結接合体と同じ寸法形状に切削加工して作製した。また、圧粉体10および圧粉体20のかわりに、圧粉体10および圧粉体20と同じ寸法形状の溶製材(S45C)を準備し、上記と同様の手順で接合体(#29および#33)を作製した。
〔評価I〕
〔接合強度〕
接合強度の評価は、図2に示した方法により破断強度を測定することで行った。なお、図2において、接合体40は、圧粉体10が焼結した円筒部11および圧粉体20が焼結した円柱部21からなる。接合体40は、外径φ22mm、内径φ14mm、長さ25mmの円筒形状の支持台51の上端面に、円柱部21が支持台51の筒内に収まるように同軸的に載置された。次に、支持台51に載置された円筒部11の孔内にφ6mmのパンチ52を同軸的に挿入し、パンチ52で円柱部21に荷重を加えることで円筒部11と円柱部21とを分離(破断)させた。接合体40を破断させるのに要した最大荷重を測定し、破断強度を算出した。破断強度は、最大破断荷重を接合面の面積で除した値、つまり、破断強度(MPa)=〔最大破断荷重(N)〕/〔接合面の面積(mm)〕とした。破断強度を表1および図3に示した。表中の破断強度は、同一条件で作製した4個の接合体の測定値の平均値(平均破断強度)である。また、4個の破断強度の値から、ばらつき幅を求めた。破断強度のばらつき幅は、ばらつき幅(%)=〔(最大破断強度)−(最小破断強度)〕/(平均破断強度)×100、で求めた。結果を表1に示した。
〔接合部の観察〕
#02、#08および#30の接合体の接合部を光学顕微鏡で観察した。顕微鏡観察は、作製した接合体を直径の位置で軸方向に切断し、その切断面を観察した。結果を図4〜図6に示した。
なお、図7には、接合体#16の接合部を同様の方法で観察した結果を示した。図7より、溶融したろう材が、ろう材を載置した圧粉体(焼結体21)の上端面を流動し、他方の圧粉体(焼結体11)の内周角部1bに達した後に、接合面間へと流入し、圧粉体(焼結体21)の外周角部2bに到達してろう付け層が形成された様子が確認できた。ろう材は、図7の矢印の方向に流動した。
〔ろう付け隅肉部の元素分析〕
電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用い、ろう付け隅肉部の元素分析を行った。元素分析は、接合体の内周1b(内周隅肉)と接合体の外周2b(外周隅肉)との二か所について行った。具体的な分析位置は、図7に示した。結果を表2に示した。
#01〜#08および#30の接合体の破断強度を図3に示した。使用したろう材のB量が0.25〜0.5%の範囲で、400MPaを超える高い破断強度を示した。特に、B量が0.4〜0.5%程度では、同密度焼結体SB1の破断強度(490MPa)を越える破断強度を示すことがわかった。したがって、B量を0.5%以下に低減することが、高強度化に有効であることがわかった。また、Si量が少ないほど接合強度が高くなり、Si量が1.5%以下である#02、#03、#05、#06および#08の接合体では、接合面以外の接合体本体である焼結体側で破断した。破断強度のばらつき幅は、ろう材のSi量が1.5%以下で小さくなった(表1)。つまり、接合体の高強度化および接合部品質の確保には、Si量の低減が効果的であることが明らかとなった。
以上の結果から、接合体の高強度化および接合部品質の向上には、BおよびSi量を低減したろう材が効果的であり、かつそれらの複合添加が有効であることが明らかとなった。なお、表1には示していないが、Bを添加しないろう材(たとえば、Cu−30Ni−25Mn−1.5Siろう材)は、接合することができなかった。
また、図4は、B量が0.25%のろう材を用いて作製された接合体#02の接合部である。B量が少ないため、FeBのような脆性化合物はほとんど見られなかった。図5は、B量が0.4%のろう材を用いて作製された接合体#08の接合部である。図4に比べてB量が多いため、ろう材層および気孔内で凝固したろう材に微細な脆性化合物が分散しているのが観察された。図4および図5では、気孔内に侵入したろう材が焼結体を構成する鉄系粒子の表面と合金化して強固に結合しており、鉄系粒子を明確に観察することができた。一方、図6は、B量が1.5%のろう材を用いて作製された接合体#30の接合部である。図6では、焼結体を構成する鉄系粒子を明確に観察することはできず、液相焼結特有の粒子の再配列が生じ、焼結材の組織が失われた金属組織であった。そして、再配列した粒子の粒界および三重点に、粗大なFeBおよびその共晶組織が多量に形成されているのが観察された。また、接合部の破断は、これらの脆性化合物の形成部位に沿って進行したことが確認できた。この結果から、B量およびSi量を低減したろう材を使用することが、接合部の組織改善ひいては強度向上に効果的であることが明らかとなった。
さらに、接合体#08および#30のろう付け隅肉部の元素分析によれば、いずれの接合体においても、形成された隅肉部には圧粉体からのFeの固溶が生じ、ろう材の供給位置に近い内周側に比べて、ろう材の供給位置から遠い外周側でFe量が多くなっていた。接合体#30では、含有Fe量が30〜40%と多く、内周側と外周側とでFe量の差が大きかった。したがって、接合部の位置によって組成の変動が大きく生じていることが推測された。一方、接合体#08では、外周側であっても含有Fe量が接合体#30の約半分(19%)であり、かつ内周側と外周側とでFe量の差が小さかった。そのため、接合体#08では、接合部の位置による組成変動が少ない均質な接合が達成されたと考えられる。隅肉部で観察される晶出相(図示せず)の組成は、(Fe、Mn、Ni)Bであり、ろう材中のBは主に金属間化合物の生成に消費されたと推定される。したがって、接合体#30に比べてB量が低減されている接合体#08は、脆性化合物の生成量が低減され、圧粉体を構成する鉄系粉末との反応による焼結体の溶融が抑制されていると言える。
接合体#09〜#22は、接合体#01〜#08よりも密度の小さい圧粉体(6.8g/cm)を用いて作製された接合体である。#01〜#22のろう材供給量は、同じとした。同じ組成のろう材を使用した#08および#09を比較すると、低密度である#09の接合体の破断強度のほうが低くなった。しかし、適切な範囲の組成をもつろう材を使用して作製された#09〜12、#14〜17および#19〜22の接合体は、同密度焼結体SB2の破断強度(429MPa)以上の接合強度を示した。
接合体#09〜11、#13〜17および#18〜21は、それぞれ、Fe量の異なるCu−Ni−Mn−Si−B系ろう材を用いて作製した接合体である。Fe量ひいては(Ni+Fe)/Mn値が増加すると、破断強度は増大し、ばらつき幅は低減する傾向にあった。しかし、Fe量が過剰であると、組成によっては接合体#17のように強度低下をもたらすことがわかった。これは、ろう材の融け分かれが生じて流動性が変化したためであると考えられる。
また、#11および#12は、B量が異なるがFeを含有するろう材を用いて作製した接合体である。いずれも、B量の添加を抑えているため高い破断強度を示し、焼結体SB2以上の強度であった。しかし、B量が0.25%であるろう材を用いて作製した接合体#12は、接合体#11よりも破断強度が小さく、ばらつき幅が大きかった。
接合体#22は、Mn量を20%まで低減したろう材を用いて作製された。接合体#22は、同密度焼結体SB2の破断強度以上の接合強度を示した。
なお、#16の接合部の観察結果を図7に示した。接合体#16では、ろう材の溶浸深さも浅く、良好な接合状態であることがわかった。
接合体#23〜25および#26〜28は、それぞれ、接合体#09〜11および#13〜15と同じろう材を用いて密度7.0g/cmの圧粉体をろう付けしたものである。なお、接合体#08および#23は、同じろう材を用いて同じ密度の圧粉体をろう付けしているが、破断強度の差は、ろう材供給量の違いから生じたものである。ろう材供給量を低減しても、接合体#23は焼結体SB1の破断強度以上を示し、かつ、ばらつき幅は小さく、接合品質が安定していることがわかった。#23〜#28のいずれの接合体も、400MPa以上の高い破断強度を示した。しかし、接合体#26に用いたろう材は、密度6.8g/cmの圧粉体の接合(#13)に対しては高い接合強度を示さなかった。つまり、#13および#26で用いたろう材は、密度の違いで接合強度にばらつきが生じやすいと言える。このような接合体の製造に用いたろう材は、(Ni+Fe)/Mnが、1.1未満であった。
〔薄板状の銅系ろう材の作製〕
粉末原料を用いて、薄板状の銅系ろう材を作製した。作製した銅系ろう材は、Cu−30Ni−25Mn−2.0Si−0.25Bであった。以下に作製手順を説明する。
はじめに、それぞれの元素を含む金属粉末を所定量に秤量し、目的の組成からCuを除いた金属粉末からなる混合粉末を得た。得られた混合粉末を溶融させて、Ni−Mn−Si−B合金を溶製した。Ni−Mn−Si−B合金は容易に解砕できるため、粉末状(粒径:145μm以下)になるまで粉砕した。得られたNi−Mn−Si−B合金粉末にCu粉末(粒径:75μm以下)を加え、粉末全体が目的組成となるように調製し、混合した。この粉末を加圧成形し、幅10mm×長さ55mm×厚さ2mmの圧粉成形体を得た。この圧粉成形体を、窒素ガス雰囲気(N流量:2.0L/分)にて700℃で15分間加熱し、仮焼成を行った。
仮焼成後の圧粉成形体に対して、冷間圧延を施した。この加工により、厚さ2mmの圧粉成形体を厚さ0.1mmまで圧延した。圧延後、窒素ガス雰囲気(N流量:2.0L/分)にて850℃で20分間加熱し、本焼成を行った。
〔薄板状の銅系ろう材を用いた接合体の作製〕
上記の手順で作製した薄板状の銅系ろう材(薄板状ろう材)を用いて、二つの圧粉体を焼結すると同時にろう付けして、焼結部材からなる接合体を作製した。接合される圧粉体として、既に説明した密度が7.0g/cmの上記(2)の円柱形状の圧粉体を準備した。以下の手順で、この圧粉体を同軸的に二つ接合した。
薄板状ろう材は、接合面と同じ寸法の円形に切断した。そして、二つの圧粉体で薄板状ろう材を挟持し、この状態で圧粉体の焼結およびろう付けを行った。焼結およびろう付けは、窒素ガス雰囲気(N流量:2.0L/分)にて1150℃で15分間行った。
Cu−30Ni−25Mn−2.0Si−0.25Bの薄板状ろう材を用いてろう付けされた接合体の接合部の断面を観察した結果を図8に示した。図8では、気孔内に侵入したろう材が焼結体を構成する鉄系粒子の表面と合金化して強固に結合しており、鉄系粒子を明確に観察することができた。図8より、この接合体は、高強度で強度のばらつきが少ないと推測される。
〔銅基ろう材合金の作製II〕
表3に示した組成を有するCu−Ni−Mn−Si−B−Feろう材合金を用い、接合体#34〜#36を作製した。接合体#35および#36は、上記の手順と同様にして作製したボタン状のCu−Ni−Mn−Si−B−Feろう材合金を用いて作製した。接合体#34は、以下に説明する手順で加工を施して線材にしたろう材を使用して作製した。
一般的な溶解法である高周波溶解にて、各元素を含む塊状金属および母合金(Fe−B)を所定量に秤量して得た総量1kgの原料を溶解して鋳塊を得た。鋳塊は、φ20mm×200mmであった。この鋳塊に、820℃で熱間スエージ加工を施しφ5mmにし、徐冷した後、さらに室温(25℃)にて冷間スエージ加工を行い、φ3.5mmの線材を得た。
〔接合体の作製II〕
前述の圧粉体のうち、密度が6.8g/cmである二つの圧粉体を焼結すると同時にろう付けして、焼結接合体を作製した。ろう材供給量を0.31g/cmとした他は、前述と同様の作製手順および条件で接合体#34〜36を作製した。ただし、接合体#34は、上記冷間スエージ加工前のφ5mmの線材を長さ2.5mmに切断してから所定量に秤量して、貫通孔13の中央に位置するように載置した。
〔評価II〕
前述と同様にして、破断強度とばらつき幅を求めた。結果を表3に示した。
接合体#34および#35は、いずれも優れた破断強度および低いばらつき幅を示す接合強度の高い接合体であった。
接合体#34に用いたろう材は、表1の接合体#22に用いたろう材よりもFe含有量が多かった。両者にろう材供給量に差はあるが、接合体#34の特性が接合体#22よりも優れているのは、Feの効果であると推測される。
接合体#35は、接合体#34に用いたろう材の(Ni+Fe)量を増加させたろう材を用いて作製された。(Ni+Fe)/Mnの値が2を超えても、0.31g/cmという少ないろう材供給量で高い接合強度が維持されることがわかった。つまり、(Ni+Fe)/Mnの値が2.5以下であれば、所望の接合強度が得られることがわかった。
接合体#36は、Feの含有量が多すぎるろう材を使用したため、表1に示した接合体よりもろう材供給量を多くして接合を行っても、接合強度が得られなかった。十分な接合強度を得るには、Fe量を16%以下に抑える必要があることがわかった。

Claims (15)

  1. 鉄系材料からなり接合された少なくとも一方が焼結体からなる接合部を有する接合体の製造に用いられるろう材であって、
    全体を100質量%としたときに(以下単に「%」という)、
    20%以上36%以下のニッケル(Ni)と、
    19%以上30%以下のマンガン(Mn)と、
    0%以上16%以下の鉄(Fe)と、
    0%を超え2%以下の珪素(Si)と、
    0.1%以上0.5%以下のホウ素(B)と、
    残部が銅(Cu)と不可避不純物および/または改質元素と、
    を含み、Feを含まない場合のMnの含有量に対するNiの含有量(Ni/Mn)が、1.1以上2以下であることを特徴とする銅基ろう材。
  2. 前記Bおよび前記Siの合計は、2.3%以下である請求項1記載の銅基ろう材。
  3. 前記Bは、0.2%以上0.5%以下である請求項1または2に記載の銅基ろう材。
  4. 前記Siは、0.1%以上1.8%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の銅基ろう材。
  5. Ni/Mnが、1.15以上1.9以下である請求項1〜4のいずれかに記載の銅基ろう材。
  6. さらに、Feを含む場合のMnの含有量に対するNiとFeとの合計の含有量((Ni+Fe)/Mn)が、1.1以上2.5以下である請求項1〜4のいずれかに記載の銅基ろう材。
  7. (Ni+Fe)/Mnが、1.15以上2.4以下である請求項6に記載の銅基ろう材。
  8. 少なくともNi、Mn、Si、Bを含む合金からなるNi−Mn−Si−B系合金粉末と、Cuを含む銅粉末と、を目的組成に応じた割合で混合して混合粉末を成形した圧粉成形体からなる請求項1〜7のいずれかに記載の銅基ろう材。
  9. さらに、前記圧粉成形体を焼成してから所定の形状に塑性加工して得られた請求項8に記載の銅基ろう材。
  10. 塑性加工により薄板または線材に加工された請求項9に記載の銅基ろう材。
  11. 前記Ni−Mn−Si−B系合金は、Feを含む請求項8〜10のいずれかに記載の銅基ろう材。
  12. 前記混合粉末は、前記Ni−Mn−Si−B系合金粉末、前記銅粉末およびFeを含む鉄粉末を含む請求項8〜10のいずれかに記載の銅基ろう材。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成の銅合金からなる銅基ろう材。
  14. 前記銅合金は、鋳塊または粉末状である請求項13記載の銅基ろう材。
  15. 前記銅合金からなる鋳塊を薄板または線材に塑性加工されてなる請求項13記載の銅基ろう材。
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