JP2014169471A - Ni基金属間化合物焼結体およびその製造方法 - Google Patents

Ni基金属間化合物焼結体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Ni(Si,Ti)金属間化合物を含み、高温で高い耐摩耗性を有し、かつ高い寸法精度(ニアネットシェイプ)を有する材料および同材料の製造方法を提供する。
【解決手段】75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含んでなる主相であって、結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有することを特徴とする焼結体である。
【選択図】図37

Description

本発明はNi(ニッケル)基金属間化合物を含む焼結体、とりわけNi(Si,Ti)金属間化合物を含む焼結体およびその製造方法に関する。
金型、切削工具およびベアリング等の耐摩耗性が要求される用途には、従来から工具鋼、超硬合金およびセラミックスが用いられている。
そして、これらの用途の多くでは、高温においても耐摩耗性を有することが期待されている。
例えば、金型および切削工具では、より高い温度で耐摩耗性を確保することで、加工速度の向上等、より好ましい加工条件を選択でき、ベアリングについてはより高い回転速度および/またはより高い温度での使用が可能となる。
しかし、工具鋼は、高い硬さを得るために実施する焼入焼戻処理の焼戻温度よりも高い温度になると、焼入焼戻組織が分解し軟化してしまうなど高温で耐摩耗性を維持することが困難である。
また、超硬合金は、WC(炭化タングステン)自体は高温でも高い硬さを有しているものの、WC粒子同士を結合するための結合剤として用いるCo(コバルト)等の金属相が、高温では軟化してしまうことから高温で耐摩耗性を維持するのは困難である。
一方、セラミックスは高温でも高い硬さを有することから高温でも耐摩耗性を維持できる。しかし、セラミックス材料は、室温および高温のどちらにおいても延性および靱性に乏しく、またコストも高いことから、使用できる用途が狭い範囲に限定されてしまい、多くの用途で用いることが困難である。
そこで、高温で耐摩耗性を有し、広い用途で用いることができる材料として、Ni基金属間化合物、とりわけNi(Si,Ti)金属間化合物が注目されている(非特許文献1)。
Ni(Si,Ti)は、工具鋼および超硬合金を含む一般の金属材料と比べて、高温での硬さが高く、このため高温での耐摩耗性に優れている。
また、Ni(Si,Ti)は室温および高温において、十分な延性および靱性を有している。
このため、Ni(Si,Ti)を含む材料を用いることで、幅広い用途において、高温で高い耐摩耗性を得ることができる。
金属 Vol.80(2010)No.7 p.548−554
しかし、従来のNi(Si,Ti)金属間化合物を含む材料は、溶製材として作製されるため、アーク溶解等を用いて高温に加熱して鋳造材を得る必要があり、高温の液相から鋳造するために、例え、精密鋳造を実施しても熱収縮等の影響で所望の形状を得ることができず、鋳造後、更に切断加工および切削加工等の加工を行う必要があるという問題があった。
さらに、溶解鋳造法で作製した鋳塊は凝固組織となるため、全体に結晶粒径が粗大で、かつ製品部位によって結晶粒形状や粒径が不均一であり、材料強度や延性、靱性にバラツキが生じやすいという問題もある。
そこで、本発明は、Ni(Si,Ti)金属間化合物を含み、高温で高い耐摩耗性を有し、かつ高い寸法精度(ニアネットシェイプ)を有する材料および同材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含んでなる主相であって、結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有することを特徴とする焼結体である。
本発明の態様2は、前記主相が、更にボロン(B)を含み、該ボロン(B)の含有量が前記主相のボロン以外の元素の合計質量に対して10mass ppm〜1000mass ppmであることを特徴とする態様1に記載の焼結体である。
本発明の態様3は、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む硬質粒子であって、前記主相の間に分散した硬質粒子を更に含むことを特徴とする態様1または2〜3に記載の焼結体である。
本発明の態様4は、前記硬質粒子が、チタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むTi化合物硬質粒子であることを特徴とする態様3に記載の焼結体である。
本発明の態様5は、前記Ti化合物硬質粒子が、TiC粒子、TiN粒子、TiCN粒子、TiO粒子およびTiB粒子から選択される少なくとも1つであることを特徴とする態様4に記載の焼結体である。
本発明の態様6は、前記主相が、タンタル(Ta):0.5at%〜8at%、ニオブ(Nb):0.5at%〜4at%、アルミニウム(Al):0.5at%〜8at%、クロム(Cr):0.5at%〜8at%、モリブデン(Mo):0.5at%〜8at%およびコバルト(Co):0.5at%〜4at%から選択される少なくとも1つを更に含むことを特徴とする態様1〜5のいずれかに記載の焼結体である。
本発明の態様7は、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含有する混合粉末または合金粉末を準備する粉末準備工程と、
前記混合粉末または合金粉末に圧力を付与した状態で、前記混合粉末または合金粉末を加熱し、結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有する焼結体を形成する焼結工程と、
を含むことを特徴とするニッケル(Ni)基金属間化合物焼結体の製造方法である。
本発明の態様8は、前記焼結工程の前に、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む硬質粒子を混合する工程を更に含むことを特徴とする態様7に記載の製造方法である。
本発明の態様9は、前記硬質粒子がチタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むTi化合物硬質粒子であることを特徴とする態様8に記載の製造方法である。
本発明の態様10は、タンタル(Ta):0.5at%〜8at%、ニオブ(Nb):0.5at%〜4at%、アルミニウム(Al):0.5at%〜8at%、クロム(Cr):0.5at%〜8at%、モリブデン(Mo):0.5at%〜8at%およびコバルト(Co):0.5at%〜4at%から選択される少なくとも1つを更に含有することを特徴とする態様7〜9のいずれかに記載の製造方法である。
本発明の態様11は、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含有する母材と、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つと、を用いて、少なくとも前記母材が溶融した溶融金属を得る溶融工程と、前記溶融金属をアトマイズして、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含むニッケル基合金マトリクス中に金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを有するアトマイズ粉末を得るアトマイズ工程と、前記アトマイズ粉末に圧力を付与した状態で加熱し、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%の(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含んでなり、且つ結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相と、該主相の間に分散した、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むチタン化合物硬質粒子とを含む焼結体を得る工程と、を含むことを特徴とするニッケル(Ni)基金属間化合物焼結体の製造方法である。
本発明の態様12は、前記金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物が、チタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つであり、前記硬質粒子が、前記チタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むTi化合物硬質粒子であることを特徴とする態様11に記載の製造方法である。
本発明に係る焼結体は、所定量のNiとTiとSiとを含み且つ結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含むことを特徴としている。
これにより本発明に係る焼結体は、高温で高い耐摩耗性を有するとともに、最終製品の形状に近い(ニアネットシェイプ)形状を容易に得ることができる。
また、本発明に係る製造方法により、このような特徴を有する焼結体を得ることができる。
図1(a)は、Ni−Si−Tiの3元状態図(部分)であり、図1(b)は図1(a)の直線bに沿った断面を示す状態図である。 図2は、放電プラズマ焼結を行うのに用いる放電プラズマ焼結装置100を示す模式側面図である。 図3(a)は、焼結温度800℃の焼結後サンプルのSEM観察結果であり、図3(b)は、焼結温度800℃の均質化処理後サンプルのSEM観察結果である。 図4(a)は、焼結温度800℃の焼結後サンプルのX線回折(XRD)結果であり、図4(b)は、焼結温度800℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果である。 図5(a)は、焼結温度900℃の焼結後サンプルのSEM観察結果であり、図5(b)は、焼結温度900℃の均質化処理後サンプルのSEM観察結果である。 図6(a)は、焼結温度900℃の焼結後サンプルのX線回折結果であり、図6(b)は、焼結温度900℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果である。 図7は、かさ密度測定結果を示す。比較のため溶製材の密度を図7中に点線で示した。 図8は、室温硬さ試験結果である。 図9は、焼結後(均質化処理前)のSEM観察結果であり、図9(a)は実施例1−3の金属組織、図9(b)は実施例1−2の金属組織、図9(c)実施例1−1の金属組織を示す。 図10は、焼結後(均質化処理前)のX線回折結果であり、図10(a)は実施例1−3のX線回折結果を示し、図10(b)は実施例1−2のX線回折結果を示し、図10(c)実施例1−1のX線回折結果を示す。 図11は、900℃×120時間の均質化処理後のSEM観察結果であり、図11(a)は実施例1−3の金属組織、図11(b)は実施例1−2の金属組織、図11(c)は実施例1−1の金属組織を示す。 図12は、900℃×120時間の均質化処理後のX線回折結果であり、図12(a)は実施例1−3のX線回折結果を示し、図12(b)は実施例1−2のX線回折結果を示し、図12(c)実施例1−1のX線回折結果を示す。 図13は、1050℃×48時間の均質化処理後のSEM観察結果であり、図13(a)は実施例1−3の金属組織、図13(b)は実施例1−2の金属組織、図13(c)実施例1−1の金属組織を示す。 図14は、1050℃×48時間の均質化処理後のX線回折結果であり、図14(a)は実施例1−3のX線回折結果を示し、図14(b)は実施例1−2のX線回折結果を示し、図14(c)実施例1−1のX線回折結果を示す。 図15は、実施例1−1〜1−3のサンプルの焼結後および1050℃×48時間の均質化処理後のかさ密度を示すグラフである。 図16は、得られたアトマイズ粉末の粒度分布測定結果を示すグラフである。 図17は、アトマイズ粉末のX線回折結果である。 図18(a)は焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果であり、図18(b)は焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果である。 図19は、密度測定結果を示すグラフである。 図20(a)は実施例1−3サンプルの平均結晶粒径測定結果を示し、図20(b)は実施例1−2サンプルの平均結晶粒径測定結果を示し、図20(c)は実施例1−1サンプルの平均結晶粒径測定結果を示し、図20(d)は実施例2サンプルの平均結晶粒径測定結果を示す。 図21は室温硬さ試験結果を示すグラフである。 図22は高温硬さ試験結果を示すグラフである。 図23は引張試験の結果を示すグラフである。 図24(a)は実施例1−3サンプルの引張試験破断面のSEM観察結果であり、図24(b)は実施例1−2サンプルの引張試験破断面のSEM観察結果である。 図25(a)は焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果であり、図25(b)は焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果である。 図26(a)は焼結温度900℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果であり、図26(b)は焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果である。 図27は、焼結後および均質化処理後のかさ密度測定結果を示すグラフである。 図28は、焼結後および均質化処理後の室温硬さを示すグラフである。 図29(a)は実施例4−1サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果であり、図29(b)は実施例4−2サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果であり、図29(c)は実施例4−3サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果であり、図29(d)は実施例4−4サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果である。 図30は、図29と同じサンプルの同じ部位の金属組織の高倍率での観察結果であり、図30(a)は実施例4−1サンプル、図30(b)は実施例4−2サンプル、図30(c)は実施例4−3サンプル、図30(d)は実施例4−4サンプルの結果を示す。 図31(a)は実施例4−1サンプルのX線回折結果を示し、図31(b)は実施例4−2サンプルのX線回折結果を示し、図31(c)は実施例4−3サンプルのX線回折結果を示し、図31(d)は実施例4−4サンプルのX線回折結果を示す。 図32は、実施例4−0〜4−4サンプルの室温硬さを示すグラフであり、横軸をTiC粒子の体積率にして整理している。 図33は、実施例4−0、4−1および4−3サンプルの高温硬さを示すグラフである。 図34は、実施例4−0〜4−4サンプルのかさ密度の測定結果と理論値とを示すグラフである。 図35は実施例4−4サンプルの金属組織観察において認められたボイドを示す写真であり、丸で囲った部分にボイドが認められる。 図36(a)は、SEMによる実施例4−5サンプルの金属組織観察結果であり、図36(b)は、図36(a)よりも高い倍率でのSEMによる実施例4−5サンプルの金属組織観察結果である。 図37は、実施例5−0〜5−4サンプルの均質化処理後の室温硬さ試験定結果を示すグラフであり、横軸をTiB粒子の体積率にして整理している。 図38は、均質化処理後の実施例5−0(0%TiB)、実施例5−1(10%TiB)および実施例5−3サンプル(30%TiB)および比較のために用いた実用材料として最高レベルの高温での耐摩耗性を有するWC−Coの高温硬さを示すグラフである。 図39は、均質化処理後の実施例5−5サンプルのX線回折結果である。 図40(a)は均質化処理後の実施例5−3サンプルの金属組織観察結果であり、図40(b)は図40(a)の拡大写真であり、図40(c)は均質化処理後の実施例5−5サンプルの金属組織観察結果であり、図40(d)は図40(c)の拡大写真である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
本願発明者らは、鋭意検討した結果、詳細を後述するように、焼結法(粉末冶金法)、より詳細には、所定の組成を有する粉末を用い、加圧下で焼結を行う焼結法を用いることで、75at%〜85at%のNiと、8at%〜13at%のSiと、3at%〜13at%のTiとを含んでなり且つ結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有する焼結体を得ることができることを見いだした。
一般に複数成分、とりわけ3つ以上の元素(金属元素)を含む焼結体を得ようとすると、目的とする相以外に脆い中間相が出現することが多く、例え、本発明に係るNi(Si、Ti)金属間化合物のような規則結晶構造を焼結により形成できたとしても、同時に存在する中間相に起因して、所望の耐摩耗性(硬さ)を得ることは困難であると考えられてきた。
しかし、本願発明者らは、加圧下で焼結を行うことで、硬さを著しく低下させるような中間相(有害な中間相)を形成せずに、Ni(Si、Ti)金属間化合物を含み所望の耐摩耗性を有する焼結体が得られることを初めて見出したものである。そして、好適な実施形態の1つにおいては、実質的にNi(Si、Ti)金属間化合物のみから成る(Ni(Si、Ti)金属間化合物単相)の焼結体が得られることも初めて見出したものである。
すなわち、このような焼結法を用いることで、鋳造材を得ることなく、Ni(Si,Ti)金属間化合物を含む材料をニアネットシェイプで得ることができることを見出した。
以下にこれを実施形態1として説明する。
さらに本願発明者らは、主相(主相同士の間)の間に金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む粒子(硬質粒子)、好ましくはTiの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1種を含む粒子(Ti化合物硬質粒子)、を分散させることで高温での硬さがよりいっそう向上し、さらに優れた耐摩耗性を有する複合材料を得ることができることを見出した。
また、Ti化合物硬質粒子を分散させた焼結体の中には室温においても優れた耐摩耗性を有するものがあることも見出した。
以下にこれを実施形態2として説明する。
本願発明の実施形態1および2に係る焼結体およびその製造方法について以下に詳述するが、その前に本明細書で用いるいくつかの用語の意味について明らかにしておく。
用語「主相」とは、文字通り主たる相であり、通常は最も量の多い相であり、より具体的には、例えば、視野が100μm×100μm以上の断面組織観察において、画像解析等により求めた面積比が50%以上である。
ただし、詳細を後述する実施形態2においては、硬さ向上を目的に意図的に分散させた硬質粒子(例えばTi化合物硬質粒子)の方が体積比(または面積比)で主相より多くてもよい。この場合を考慮すると、主相は上述の面積比で30%以上存在すればよい。
また、用語「主相」を用いる理由の1つは、実施形態2において、硬さ向上(耐摩耗性向上)を目的に意図的に分散させた金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1種を含む粒子(金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1種を含む粒子を「硬質粒子」と言う場合がある)と、Ni(Si,Ti)金属間化合物を含むように形成された75at%〜85at%のNi、8at%〜13at%のSiおよび3at%〜13at%のTiを含んでなる部分(マトリクス)と、を区別することである。
このため、「主相」は、硬質粒子以外の部分を総称して指す場合がある。そして、「主相」は、その全体としての組成が、75at%〜85at%のNiと、8at%〜13at%のSiと、3at%〜13at%のTiとを含み、かつNi(Si,Ti)金属間化合物を含む限りは。例えば後述する実施例にあるように、Ni(Si,Ti)金属間化合物と、これ以外のNi16TiSiの化合物のように複数の相(Ni(Si,Ti)金属間化合物とそれ以外の相)を含んでよい。
「主相がNi(Si,Ti)金属間化合物を含む」とは、通常のX線回折(XRD)、すなわち、シンクロトロン放射光等の特殊なX線源を用いずに通常の測定条件において、Ni(Si,Ti)金属間化合物のL1構造に起因する回折ピークを確認できる程度の量を含んでいることを意味する。そして、通常は、主相全体に対し、体積比で5%以上含まれていればこの条件を確実に満足する。
Ni(Si,Ti)金属間化合物は、L1型の結晶構造を有する金属間化合物である。L1型の金属間化合物としてよく知られているNiSiのSiの一部がTiにより置換された金属間化合物である。なお、本明細書において「金属間化合物Ni(Si,Ti)」という場合、L1型の結晶構造を有する限り、原子比でNiの量と、SiおよびTiの合計量との比率が3:1である化学量論組成にある場合だけでなく、化学量論組成から外れた組成を有していてよい。
次に用語「Ni基(ニッケル基)」とは、含有されるそれぞれの元素の中でNiの量が最も多いことを意味し、好ましくは原子比(at%)で50%以上のNiを含み、より好ましくは原子比(at%)で60%以上のNiを含む。
以下、本発明の実施形態を詳述する。
A.実施形態1
1.焼結用粉末
(1)焼結用粉末の形態
上述のように、本願発明は、加圧下で焼結を行う焼結法を用いることを特徴の1つとしていることから、焼結の前に所定の組成を有する焼結用粉末を作製する。
焼結用粉末は、例えば、Ni粉末、Si粉末、Ti粉末、必要に応じてTa粉末およびB粉末等の元素粉末を原料粉末とし、これらを混合した混合粉末であってよい。これらの原料粉末は、全体としてその組成が、本発明に係る所定の範囲内であれば、単一の粉末が2種類以上の元素を含有する合金粉末を含んでよい。
また、所定の組成を有する溶湯(溶融合金)をアトマイズする等により得た合金粉末であってよい。さらには、元素粉末と合金粉末とを混合した混合粉末であってもよい。
アトマイズ粉末を作製する場合、好ましい条件として、不活性ガス雰囲気中1400〜1800℃で溶融させた溶湯を滴下し、そこへ30〜100kg/cmの圧力で不活性ガスを吹き付けることを例示できる。
これらの中でも元素粉末が好ましい。元素粉末を用いることで配合組成を容易に変更することが出来、かつ、アトマイズ粉末を作製する手間が省略でき、低コスト化に有利になるからである。
なお、焼結用粉末の粒子径は、任意の粒子径を有してよい。
しかし、粉末の粒子径は1〜150μmが好ましい。粒子径が150μmより大きいと、焼結体の密度低下を防止するために、場合によっては焼結温度を高くする必要があるからである。また、粉末の粒子径が1μmより小さいと粉末の酸化が過度に進み、もって酸化物の生成など焼結体に悪影響をもたらす場合があるからである。
混合粉末を得る際の原料粉末の混合は、乳鉢と乳棒等当該技術分野で用いられる任意の方法を用いてよいが、好ましくはボールミルを用いて混合する。ボールミルが好ましい理由は、より均一に原料粉末を分散・混合できるためである。
なお、ボールミルを用いた好適な混合条件として、アルコール等の媒液を用いて、湿式で混合することを例示できる。
(2)焼結用粉末の組成
焼結用粉末の組成は、詳細を後述する焼結後または焼結後に必要に応じて適宜実施する熱処理後の主相の組成とほぼ等しい。
すなわち、ここで焼結用粉末の組成を規定することは、焼結体の主相の組成を規定することである。
従って、焼結用粉末(主相)の組成は、75at%〜85at%のNiと、8at%〜13at%のSiと、3at%〜13at%のTiとを含む
残部は、不可避的不純物からなってもよい。
また、焼結用粉末(すなわち、主相)は、Ni、SiおよびTi以外の任意の元素を意図的に添加されてよい。
このような元素として、B(ボロン)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Co(コバルト)を挙げることができる。
Bは、粒界破壊抑制効果を有する。その効果は、B以外の元素の合計質量(質量で示した合計含有量)に対して10mass ppm(質量ppm)未満では限定的であり、B以外の元素の合計質量に対して1000mass ppmを超えるとB化合物(ボライド)を形成して脆化を引き起こす場合がある。従って、B以外の元素の合計質量(質量で示した合計含有量)に対して10〜1000mass ppmの範囲(すなわち、B以外の元素の合計質量:Bの質量=1:0.00001〜1:0.001)が好ましい。
Taは、固溶強化(硬化)に有効な元素である。その効果は、Taの含有量が0.5at%未満では限定的であり、8at%を超えると硬さ向上の効果が飽和してしまい、主相中にNiTaなどの金属間化合物相がより多く出現するという問題を生じる場合がある。従って、Taの含有量は0.5at%〜8at%が好ましい。
Nbは、固溶強化(硬化)と耐酸化性向上に有効な元素である。その効果は、Nbの含有量が0.5at%未満では限定的であり、4at%を超えると強度向上の効果が飽和してしまい、主相中にNiNbなどの金属間化合物相がより多く出現するという問題を生じる場合がある。従って、Nbの含有量は0.5at%〜4at%が好ましい。
Alも、固溶強化(硬化)と耐酸化性向上に有効な元素である。その効果は、Alの含有量が0.5at%未満では限定的であり、8at%を超えると延性が低下する問題を生じる場合がある。従って、Alの含有量は0.5at%〜8at%が好ましい。
Crは、高温延性と耐酸化性向上に有効な元素である。その効果は、Crの含有量が0.5at%未満では限定的である。Cr添加の上限は特に規定されないが、おおよそ8at%を超えると延性や耐酸化性向上効果は飽和すると考えられ、従って、Crの含有量は0.5at%〜8at%が好ましい。
Moは、強度向上に有効な元素である。その効果は、Moの含有量が0.5at%未満では限定的であり、8at%を超えると強度向上の効果が飽和してしまい、主相中にNiMoなどの金属間化合物相がより多く出現するという問題を生じる場合がある。従って、Moの含有量は0.5at%〜8at%が好ましい。
Coは、強度、延性向上に有効な元素である。その効果は、Coの含有量が0.5at%未満では限定的である。Coも添加量の上限値は特に規定されないが、おおよそ4at%を超えると強度、延性向上の効果が飽和してしまうと考えられるので、従って、Coの含有量は0.5at%〜4at%が好ましい。
・焼結用粉末の好ましい組成1
好ましい組成範囲の1つは、Ni:75.5〜82at%と、Si:10〜13at%と、Ti:9〜11at%とを含む。
この組成が好ましい理由を説明する。
図1(a)は、Ni−Si−Tiの3元状態図(部分)であり、図1(b)は図1(a)の直線bに沿った断面を示す状態図である。
Ni:75.5〜82at%、Si:10〜13at%、Ti:9〜11at%であればL1単相、もしくは、大部分がL1相となり、常温延性、高温強度、高温硬さの観点から望ましい特性が得られる。
残部は不可避的不純物のみであってもよく、また例えばBのような任意の元素が添加されていてよい。Bを添加する場合、B以外の元素の合計質量(質量で示した合計含有量)に対して10〜1000mass ppmの範囲でBを含んでもよい。
また、上述した、Ta、Nb、Al、Cr、MoおよびCoから選択される1種以上を含んでよい(含有量の好ましい範囲も上述の通りである)。
また、Si含有量とTi含有量とは1つの好ましい実施形態においては、その比率が原子比で、Si:Ti=11.0:9.2〜9.7となっている。これにより常温延性と高温強度の両方の高特性が実現できる。
・焼結用粉末の好ましい組成2
好ましい組成範囲の1つは、Ni:76.5〜82at%と、Si:10〜13at%と、Ti:4〜11at%と、Ta:0.5〜7.5at%とを含む。
この組成が好ましい理由を説明する。
この組成は、上述の組成において、NiまたはTiの一部をTaに置き換えた組成となっている。L1結晶構造のNi(Si,Ti)相にNiあるいはTiを減じてTaを添加すると顕著な固溶硬化が発現する。同一量のTaを添加する場合、Tiを減じて添加するよりも、Niを減じてTa添加する方が硬化の度合いは大きいが、延性低下の度合いも大きい。一方、Tiを減じてTaを添加する場合は、Niを減じて添加する場合に比べてより多くのTaを添加することができ、その結果、合金中のTi量が減少することによって耐酸化性が向上できるメリットがある。Niを減じて添加する場合はおよそ2at%以上のTa添加で硬さの値は飽和する。一方、Tiを減じて添加する場合はおよそ7.5at%以上のTa添加で硬さは飽和する。いずれの場合も、過剰のTa添加はL1相以外の金属相の出現を招き、強度・延性などの機械的特性や耐食性や耐酸化性などの化学的特性を損なう恐れが生じる。
したがって、上述したTa添加の効果をより確実に得ることができる。
残部は不可避的不純物のみであってもよく、また例えばBのような任意の元素が添加されていてよい。Bを添加する場合、B以外の元素の合計質量(質量で示した合計含有量)に対して10〜1000mass ppmの範囲でBを含んでもよい。
また、上述した、Ta、Nb、Al、Cr、MoおよびCoから選択される1種以上を含んでよい(含有量の好ましい範囲も上述の通りである)。
また、Siの含有量と、TiおよびTaの合計含有量とは、1つの好ましい実施形態においては、その比率が原子比で、Si:(Ti+Ta)=11.0:9.2〜9.7となっている。これにより常温延性と高温強度の両方の高特性が実現できる。
2.焼結
次に、所望の組成を有する焼結用粉末を用いて焼結を行う。
焼結は、例えば、焼結用粉末をダイに入れてパンチにて圧力を付与して成形体(圧粉体)を得た後、所定の焼結温度に加熱する、一般的な焼結法により行ってもよい。
実施形態1では、適切な条件を選択することにより、得られた焼結体のほとんど(例えば実質的に焼結体全体)を、75at%〜85at%のNiと、8at%〜13at%のSiと、3at%〜13atの%Tiとを含んでなり、且つ結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相とすることができる。
本願発明に係る製造方法では、焼結法を用いることで、容易に最終製品の形状またはこれに近い形状(ニアネットシェイプ)を有する焼結体を得ることができる。すなわち高い寸法精度で焼結体を製造できる。
焼結用粉末に圧力を付与しながら焼結すること(加圧焼結)が好ましい。得られる焼結体のかさ密度を高くすることができ、溶製材の密度(真密度)により近づけることができるからである。
なお、「焼結用粉末に圧力を付与する」とは、成形体を得た後に焼結を行う場合、成形体に圧力を付与することにより、成形体中の焼結用粉末に圧力が付与されることを含む。
このような、焼結用粉末に圧力を付与しながら焼結する方法(加圧焼結法)の好ましい例としてホットプレスを挙げることをできる。
また、ホットプレス以外の例として真空焼結後に熱間静水圧成形(HIP処理)またはガス圧焼結を行う方法などがある。
ホットプレス法による加圧焼結は、以下のように行ってよい。
例えば黒鉛より成るダイに設けた上下方向に延在する貫通孔に下方から下パンチを挿入し、貫通孔の内部でかつ下パンチの上部に上述の焼結用粉末または焼結用粉末を含む粉末を配置する。
その後貫通孔の上方から上パンチを挿入し、焼結用粉末に所定の圧力が付与されるように上パンチと下パンチに応力を付与する。
そして、焼結用粉末に所定の圧力が付与された状態で、例えばダイを加熱する等により焼結用粉末を加熱し焼結する。
また、ダイの貫通孔内部でかつ下パンチの上部に焼結用粉末または焼結用粉末を含む粉末を配置することに代えて、焼結用粉末または焼結用粉末を含む粉末を用いて作製した成形体を配置してもよい。
ホットプレス法を用いる際の焼結温度、昇温速度、焼結時間、焼結用粉末(または成形体)を加圧する応力、焼結雰囲気等の焼結条件は、用いる焼結用粉末の組成、得ようとする焼結体の特性に応じて適宜調整すればよい。
以下に、好適な条件を例示する。
焼結温度は、好ましくは750℃〜1050℃である。この温度範囲であればL1結晶構造のNi(Si,Ti)相を得ることができるからである。より好ましくは、焼結温度は、780℃〜1020℃である。より確実にNi(Si,Ti)金属間化合物を形成し、高温でより高い硬さを得ることができるからである。
この焼結温度まで昇温する際の昇温速度は、10℃/分以下が好ましい。昇温速度が速すぎた場合、温度分布が不均一となり、焼結体の特性に内外差が生じる場合があるためである。
また、上述の好ましい焼結温度で保持する時間は、60分〜360分が好ましい。保持時間が短過ぎると緻密化が不十分となる場合があり、長過ぎると結晶粒が粗大化して特性が低下(または劣化)する場合があるからである。
焼結用粉末(または成形体)に付与する応力は、10MPa〜60MPaが好ましい。応力が低すぎると緻密化が不十分となる場合があり、高すぎるとカーボン型が破損する場合があるからである。
また、焼結は、真空中またはAr(アルゴン)、N(窒素)およびHe(ヘリウム)のような不活性ガスの減圧雰囲気中であることが好ましい。酸素を含む雰囲気中では粉末が酸化し、緻密化が阻害される場合があるからである。
各種の焼結方法の中でも放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)法がより好ましい。放電プラズマ焼結法を用いることで、以下の効果を得ることができるからである。
1)より高密度の焼結体を比較的低温、短時間で得ることができる。
2)得られる焼結体の平均結晶粒径を微細にすることができる。
3)ランニングコストが比較的安価である。
放電プラズマ焼結法は、焼結用粉末の粒子間(または圧粉体粒子間)にパルス電流(パルス状電流)を流しながら、焼結を行う焼結法である。上述の効果をより確実に得るために、焼結用粉末の粒子に圧力を付与しながら焼結を行うことが好ましい。
このように、焼結用粉末の粒子間(または圧粉体粒子間)にパルス状電流、好ましくは低電圧のパルス状大電流を流すことにより、上述の効果が得られるメカニズムは、焼結用粉末の粒子間(または圧粉体粒子間)の間隙に火花放電現象により瞬時に発生する放電プラズマの高エネルギーが熱拡散および/または電界拡散等を促進するためであると考えられる。
但し、このメカニズムは得られている効果を基に推定されているものであって、本願発明の範囲を制限することを意図したものではないことに留意されたい。
図2は、放電プラズマ焼結を行うのに用いる放電プラズマ焼結装置100を示す模式側面図である。
図2を用いて、放電プラズマ焼結法の詳細を以下に説明する。
放電プラズマ焼結装置100の真空チャンバー30の中にはその内部に焼結用粉末10(または圧粉体)を配置可能なダイ20と、パンチ22内の焼結用粉末10に加圧する(圧縮応力を付与する)ためのパンチ22と、パンチ22が焼結用粉末10を加圧(圧縮)するための応力をパンチ22に供給する加圧装置24が配置されている。
パンチ22は、加圧装置24を介して、焼結電源(パルス電源)32と電気的に接続されている。
また、放電プラズマ焼結装置100は、制御装置34を有している。制御装置34は、焼結温度(ダイ20の焼結用粉末10が配置されている部分の温度)、パルス電流および加圧装置24がパンチ22に付与する応力等を制御できる。また、制御装置34は、必要に応じて温度センサー等のセンサーと接続されており、これらセンサーの計測結果を用いたフィードバック制御を行ってよい。
所定の組成を有する焼結用粉末10(または所定の組成を有する焼結用粉末を用いて得た圧粉体)をダイ20内の上下方向に延在する貫通孔内に配置した後、当該貫通孔に上下方向それぞれからパンチ22を挿入する。
その後、真空チャンバー30内を真空にした後、加圧装置24により、パンチ22を介して焼結用粉末10を加圧し、装置24およびパンチ22を介して、焼結電源32から焼結用粉末10にパルス電流を印加することにより、焼結用粉末10(または圧粉体)を所定の焼結温度まで加熱してよい。
なお、「焼結用粉末にパルス電流を印加する」とは、成形体を得た後に焼結を行う場合、成形体にパルス電流を印加することにより、成形体中の焼結用粉末にパルス電流が印加されることを含む。
焼結温度、昇温速度、焼結時間、焼結用粉末10(または圧粉体)を加圧する応力、パルス電流(電圧、電流、パルス幅、通電時間等)等の焼結条件は、用いる焼結用粉末10の組成、得ようとする焼結体の特性に応じて適宜調整すればよい。
以下に好適な条件を例示する。
焼結温度は、好ましくは750℃〜1050℃である。より好ましくは、焼結温度は、780〜1020℃である。焼結後に粒子の形状まま残る未反応粒子の形成をより確実に防止できるからである。
また、得られた焼結体の高密度化(低気孔率化)の観点からは、焼結温度は好ましくは、800℃〜1000℃であり、より好ましくは900℃〜1000℃である。この温度であれば、十分な硬さ(強度)を確保した焼結体を得ることができるからである。
なお、焼結温度は上述した好ましい範囲に限定されるものではない。例えば、上述の焼結温度範囲外(より高い温度)おいて、焼結中に液相を形成する液相焼結を行ってもよい。
所定の焼結温度まで昇温する際の昇温速度は、1℃/分〜200℃/分が好ましい。昇温速度が1℃/分より遅い場合は生産性が悪くなり、200℃/分を超える昇温速度では望む焼結温度に制御することが困難となるためである。
また、上述の好ましい焼結温度で保持する時間は、1分〜60分が好ましい。保持時間が短すぎると、組織の不均一が生ずる場合があり、保持時間が長すぎると組織の均一化に対する効果が飽和する場合があるからである。
焼結体を加圧する応力は、0.5MPa〜50MPaが好ましい。低過ぎる圧力では気孔率が過度に大きくなってしまい、十分な硬さを得られない場合がある。高過ぎる圧力では効果が飽和し、さらにはカーボン型が破損する場合があるためである。
また、焼結用粉末10(または圧粉体)に付与するパルス電流は、得ようとする焼結体の特性に合わせて、オン/オフ値および電流値を適宜調整する等、任意の方法で印加してよい。
3.熱処理
このようにして作製した複合焼結材料(焼結体)は、焼結条件によっては、焼結体の一部(主相の一部)にNi(Si,Ti)以外の金属間化合物が形成される場合がある。このような部分の少なくとも一部からNi(Si,Ti)を形成するように熱処理を行ってよい。
焼結温度より高く、液相が出ない1100℃以下、好ましくは1080℃以下の温度まで加熱する熱処理を行うことが好ましい。
このような熱処理を行ったとしても、熱処理温度は、溶製材(鋳造材)を作製する際の溶融温度よりも低い温度が選択されることから、より低い温度でNi(Si,Ti)金属間化合物を形成でき、本願の効果が得られる。
以下に好適な条件を例示する。
好ましい、熱処理温度は、900℃〜1050℃である。
この熱処理温度で、0.5時間〜72時間保持することが好ましい。
また、熱処理は、真空中、またはAr等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
以上により、Ni(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有する焼結体を得ることができる。
そして、好ましい実施形態の1つでは、本発明に係る焼結体は、その全体が実質的にNi(Si,Ti)金属間化合物のみから成る。
II.実施形態2
本実施形態では、主相と、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む粒子(硬質粒子)とを複合させた焼結体およびその製造方法について説明する。
実施形態2に係る複合焼結体では、実施形態1で示したNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相に加え、主相の間(または主相内に)に硬質粒子が分散している。
硬質粒子の中でもTiの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物または硼化物から選択される1種以上を含む粒子(以下、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物または硼化物から選択される1種以上を含む粒子を「Ti化合物硬質粒子(チタン化合物硬質粒子)」という場合がある。)が好ましい。
Ti化合物粒子が好ましい理由として、本発明者らが現在までに得られている知見に基づいて考える、本発明の技術的範囲を拘束するものではない理由は以下の通りである。
Tiの炭化物、窒化物、硼化物は他の金属元素の炭化物、窒化物、硼化物に比べて総じて硬さの値が高く、また融点および熱的安定性(形成エネルギーの絶対値が大きい)も高いため、高温での高さ向上の効果がより大きいと考えられる。
このように、硬さが高く、かつ融点および熱的安定性(形成エネルギーの絶対値が大きい)も高い硬質粒子であればTi化合物硬質粒子と同様な効果が得られると考えられる。このような硬質粒子としてWB(硼化タングステン)を含む粒子(より好ましくはWB粒子)を例示できる。
従来の溶解鋳造法では,Ti化合物硬質粒子等の硬質粒子を金属・合金中に比較的均一に分散させることは困難であったが、本発明では、詳細を後述するように焼結法を用いていることから、マトリクスである主相中にTi化合物硬質粒子等の硬質粒子を均質に分散できるという効果を有する。
実施形態2に係る焼結体は、Ni(Si,Ti)金属間化合物に加えて、硬質粒子に含まれる金属の炭化物、金属の窒化物、金属の炭窒化物、金属の酸化物または金属の硼化物(「金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物」と記載する場合がある)から選択される1種以上が存在していることから、より高い硬さを有する。
本実施形態では、主相の間に分散させる粒子として、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物または硼化物(好ましくはTiの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物または硼化物)から選択される1種以上を含む粒子を用いることを特徴とする。
主相の間に分散させる金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物を含む硬質粒子として、実に多くの種類の粒子が考えられる。本発明者らは、例えば、後述の実施例で比較例として示すNbC(炭化ニオブ)、Al(アルミナ)、SiC(炭化ケイ素)のように、粒子の種類によっては所望の特性を得ることができない場合があることを見出している。しかし、当業者であれば、過度な負荷を伴うことなく、試験・評価を行うことで、適当でない金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物およびこれらを含む粒子を排除し、適切な金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物およびこれらを含む粒子に到達できることは言うまでもない。
そして本願発明者らは硬質粒子の中でも、Ti化合物硬質粒子を用いることでより確実に高温においてより高い硬さを得ることができる。また、Ti化合物硬質粒子を用いると、室温においても高い硬さを有し、室温および高温の両方で耐摩耗性を有する焼結体が得られ場合があることを見出したものである。
以下に実施形態2に係る焼結体の製造方法について説明する。
以下に硬質粒子として好適なTi化合物硬質粒子を用いた実施形態を説明する。
しかし、本実施形態において、Ti化合物硬質粒子について説明したことは、Ti化合物硬質粒子以外の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む硬質粒子(このような硬質粒子は「セラミックス硬質粒子」と呼ばれる場合がある)についてもそのまま適用可能であることに留意されたい。
1.Ti化合物硬質粒子を含有した焼結用粉末の作製
(1)Ti化合物硬質粒子
上述のように、Ti化合物硬質粒子は、炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物または硼化物から選択される1種以上を含む粒子であり、好ましくはTiの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物または硼化物から選択される1種以上を主成分(質量比で50%以上)とする。
このような硬質粒子として、TiC粒子、TiN粒子、TiCN粒子、TiO粒子およびTiB粒子を例示できる。
硬質粒子の粒径は、好ましくは、0.5〜10μmである。この場合、粒径の測定は、各種方法により行ってよく、測定法の1つとしてフィッシャーサブシーブサイザーによる方法を例示できる。
(2)Ti化合物硬質粒子と焼結用粉末の混合
次に、上述の硬質粒子と焼結用粉末(実施形態1に示した焼結用粉末)を混合し、Ti化合物硬質粒子含有焼結用粉末を得る。
混合は、粉末の混合に用いられる各種の方法を用いてよい。
例えば、焼結用粉末が元素粉末を混合した混合粉末の場合、乳棒と乳鉢またはボールミルを用いて、元素粉末を混合する際に、硬質粒子を添加して、混合粉末の作製と混合粉末とTi化合物硬質粒子の混合を同時に行ってもよい。
また、予め乳棒と乳鉢またはボールミルを用いて、混合粉末を得た後、袋の中に混合粉末とTi化合物硬質粒子とを入れて、例えば袋を振動させて混合してもよい。
焼結用粉末がアトマイズ粉末のような合金粉末の場合、合金粉末を得た後、袋または乳鉢等の中に合金粉末とTi化合物硬質粒子とを入れて、例えば、袋または乳鉢等を振動させて混合し、Ti化合物硬質粒子含有焼結用粉末を得てよい。
Ti化合物硬質粒子と焼結用粉末との混合比は、得ようとする焼結体の特性に合わせて調整してよい。
例えば、Ti化合物硬質粒子含有焼結用粉末(すなわち、Ti化合物硬質粒子と焼結用粉末との合計)に対して、Ti化合物硬質粒子が10〜90体積%、より好ましくは10〜60体積%である。
Ti化合物硬質粒子の割合が大きいほど、得られた焼結体の硬さの値は高くなる傾向がある。
なお、このような方法に代えて、例えば、焼結用粉末の組成を得るための母材と、Ti化合物硬質粒子とを予め混合し、この混合物を例えば2000℃以上に加熱して母材を溶融して、アトマイズを行って、その内部にTi化合物硬質粒子を含むアトマイズ粉末を得て、これをTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末として用いてよい。アトマイズ粉末を作製するために母材を溶融させる際に、Ti化合物硬質粒子は、その一部分または全部を溶融させてよい。
母材は、例えば合金インゴット、各成分に対応した純金属のインゴット(すなわち、複数の種類のインゴット)、合金粉末、混合粉末等の任意の形態であってよい。
2.焼結
焼結は、実施形態1と同じ方法により実施してよい。
すなわち、実施形態1で示した焼結方法において、焼結用粉末をTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末に置き換えることで焼結を行うことができる。
その他の焼結条件は実施形態1と同じでよい。
3.熱処理
得られた焼結体の主相の少なくとも一部(Ni(Si,Ti)金属間化合物以外の部分)にNi(Si,Ti)金属間化合物を形成するように、実施形態1と同じ条件で熱処理を行ってよい。
熱処理の条件は、実施形態1と同じであってよい。
1.実施例1
1−1.焼結温度の影響
(1)混合粉末の作製
表1に示す粉末サイズ(粒子径)を有する元素粉末を用いて、表2に示す組成を有する混合粉末(「要素粉末」と呼ばれる場合がある)を作製した。なお、BについてはB以外の元素の合計質量に対する比率(mass ppm)で示した。
混合は、乳鉢と乳棒を用いて行いて30分間行った。
(2)焼結
得られた実施例1−1の混合粉末(焼結用粉末)を用いて、図2に示す放電プラズマ焼結装置100(住友石炭鉱業(現:富士電波工機)株式会社製 SPS−1020)にて放電プラズマ焼結を行った。
焼結温度が800℃と900℃の2種類のサンプルを作製した。
いずれの焼結温度においても、雰囲気は真空中、昇温速度100℃/分、保持時間5分、加圧力30MPa、パルス電流オン/オフ比 12/2で焼結を行った。
(3)熱処理(均質化処理)
得られた焼結体サンプルを放電加工機で切り出した後、真空中で1050℃×48時間、均質化熱処理を行った。
(3)組織観察とX線回折
焼結温度800℃と900℃の両方のサンプルについて、焼結後(均質化処理なし)および均質化処理後(熱処理後)の金属組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに、X線回折(CuKα)を行った。
図3(a)は、焼結温度800℃の焼結後サンプルのSEM観察結果であり、図3(b)は、焼結温度800℃の均質化処理後サンプルのSEM観察結果である。
図4(a)は、焼結温度800℃の焼結後サンプルのX線回折(XRD)結果であり、図4(b)は、焼結温度800℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果である。
図5(a)は、焼結温度900℃の焼結後サンプルのSEM観察結果であり、図5(b)は、焼結温度900℃の均質化処理後サンプルのSEM観察結果である。
図6(a)は、焼結温度900℃の焼結後サンプルのX線回折結果であり、図6(b)は、焼結温度900℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果である。
なお、図3(b)および図5(b)において、左下部に白枠で囲って示した部分は、中央部に白枠で囲って示した部分をより高い倍率で観察した結果を示す。
図3(以下、図3(a)および図3(b)のように数字が同じで括弧内のアルファベットが異なる図を総称して、「図3」のように数字で表す場合がある。)および図4から判るように、焼結温度が800℃の場合、焼結体は実質的に主相のみから成り、焼結後では主相にNi(Si,Ti)金属間化合物が認められないが、均質化処理後は、主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体相とからなる二相組織となっている。
一方、焼結温度が900℃の場合、図5および図6から明らかなように、焼結体は実質的に主相のみから成り、焼結後では主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体とを主とし、少量のNiTiを含んでおり、均質化処理後は、主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体相とからなる二相組織となっている。
(5)かさ密度、硬さ試験結果
次に、800℃焼結材および900℃焼結材の両方について、焼結後と均質化処理後のかさ密度と均質化処理後の室温硬さを測定した。
かさ密度は以下の方法で求めた。
各サンプルを耐水エメリー紙にて#1500まで湿式研磨を行い、吊り下げ式電子天秤を用いて乾燥重量、水中重量、含水重量を測定し、アルキメデス法にてかさ密度を算出した。また比較のために組成の等しい溶製材についても同様に密度測定を行った。密度(かさ密度)は以下の(2)式を用いて算出した。

ρ=Wρ/(W−W’) (2)
ここで、ρは密度(かさ密度)であり、Wは乾燥重量であり、Wは含水重量であり、W’は水中重量である。
硬さは、以下の方法により求めた。
各サンプルを耐水エメリー紙にて#1500まで湿式研磨した後、アルミナ粉末を用いバフ研磨をした。その後、この研磨したサンプルを用いて、室温硬さと高温硬さを測定した。室温硬さは、マイクロビッカース硬さ計を用いて、各サンプルについて12箇所で測定を行い、最大値および最小値を除いた10点の測定値の平均値を算出し硬さとした。高温硬さの測定はビッカース硬さ計を用い、各測定温度において、それぞれ5箇所で測定を行い、測定値の平均値を算出し硬さとした。室温硬さおよび高温硬さのどちらも測定条件は、荷重1kg、保持時間20秒であった。
図7は、かさ密度測定結果を示す。比較のため溶製材の密度を図7中に点線で示した。
図8は、室温硬さ試験結果である。図8中には、硬さの平均値に加え、平均値を算出するのに用いた10点の測定値の最大値と最小値も示した。また、比較のため溶製材の硬さも示した。
図7から判るように、いずれのサンプルもかさ密度が7.7g/cm以上と十分に高い値となっており、特に焼結温度900℃の場合は、焼結後および溶質化処理後の両方のサンプルとも密度8.0g/cm程度となっており、溶製材にかなり近いレベルとなっている。
また、図8から判るように、焼結温度800℃および焼結温度900℃のどちらのサンプルも高温硬さの平均値が350HV以上と高い値となっており、溶製材に近いレベルである。特に焼結温度900℃のサンプルについては370HV以上とより高い硬さが得られている。
1−1.組成と熱処理条件の影響
表3に示すように、上述した実施例1−1に加え、実施例1−2および実施例1−3の組成を有する混合粉末(焼結用粉末)を用意した。なお、BについてはB以外の元素の合計質量に対する比率(mass ppm)で示した。
なお、実施例1−1〜1−3のいずれもSiの含有量とTiの含有量を原子比で11:9.5とした。
これらの混合粉末を用いて、焼結温度900℃で焼結を行って焼結体を得た後、得られた焼結体サンプルを900℃×120時間および1050℃×48時間の2つの条件のどちらかで均質化処理(熱処理)した。
なお、特に述べない条件(製造条件および評価条件)については、本実施例で既に述べた条件と同じである(以後、説明する他の実施例でも同じ)。
得られたサンプルについて、SEMによる組織観察、X線回折および密度測定を行った。
図9は、焼結後(均質化処理前)のSEM観察結果であり、図9(a)は実施例1−3の金属組織、図9(b)は実施例1−2の金属組織、図9(c)実施例1−1の金属組織を示す。
図10は、焼結後(均質化処理前)のX線回折結果であり、図10(a)は実施例1−3のX線回折結果を示し、図10(b)は実施例1−2のX線回折結果を示し、図10(c)実施例1−1のX線回折結果を示す。
図11は、900℃×120時間の均質化処理後のSEM観察結果であり、図11(a)は実施例1−3の金属組織、図11(b)は実施例1−2の金属組織、図11(c)は実施例1−1の金属組織を示す。
図12は、900℃×120時間の均質化処理後のX線回折結果であり、図12(a)は実施例1−3のX線回折結果を示し、図12(b)は実施例1−2のX線回折結果を示し、図12(c)実施例1−1のX線回折結果を示す。
図13は、1050℃×48時間の均質化処理後のSEM観察結果であり、図13(a)は実施例1−3の金属組織、図13(b)は実施例1−2の金属組織、図13(c)実施例1−1の金属組織を示す。なお、図13(b)および図13(c)において、丸で囲った部分は面心立方(FCC)構造のNi固溶体相である。
図14は、1050℃×48時間の均質化処理後のX線回折結果であり、図14(a)は実施例1−3のX線回折結果を示し、図14(b)は実施例1−2のX線回折結果を示し、図14(c)実施例1−1のX線回折結果を示す。
いずれのサンプルも実質的に主相のみから成っている。
焼結後のサンプルについて、実施例1−3および実施例1−2では主相にNi(Si,Ti)金属間化合物が認められないが、実施例1−1では、主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体相とからなる二相組織となっている。
900℃×120時間の均質化処理後のサンプルについて、実施例1−3および実施例1−2では、焼結後では主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体とを主とし、少量のNiTiを含んでいる。一方、実施例1−1では、主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体相とからなる二相組織となっている。
1050℃×48時間の均質化処理後のサンプルについて、実施例1−3および実施例1−2では、主相は、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNi固溶体相とからなる二相組織となっている。一方、実施例1−1では、主相は実質的にNi(Si,Ti)金属間化合物のみから成っている。
図15は、実施例1−1〜1−3のサンプルの焼結後および1050℃×48時間の均質化処理後のかさ密度を示すグラフである。図15のグラフでは、横軸をNi含有量として整理した。
いずれの組成でも7.9g/cm以上と計算値(図15中の一点鎖線)に近い高いかさ密度が得られている。また、Ni量の少ないサンプルほど均質化処理による密度の上昇が大きいことが判る。
2.実施例2
本実施例では、アトマイズ粉末(合金粉末の一種)を用いた。
・アトマイズ粉末の作製
表4の組成を有するアトマイズ粉末を得た。
なお、表4では、Bは、他の元素の合計質量に対する比率(mass ppm)として示してある。
図16は、得られたアトマイズ粉末の粒度分布測定結果を示すグラフである。粒度分布は、メッシュ法により測定した。
図16より累積頻度50%の粒径が90μm、125μmに最大頻度径を有する粉末
であることが判る。
図17はアトマイズ粉末のX線回折結果である。使用したアトマイズ粉末はL1結晶構造のNi(Si,Ti)のみで、他の相は含まれていないことがわかる。
得られたアトマイズ粉末(合金粉末)を焼結用粉末として用いて、焼結温度900℃および1000℃の2つの条件のどちらかで焼結を行った。
焼結体を得た後、得られた焼結体サンプル(900℃焼結材と1000℃焼結材)を1050℃×48時間で均質化処理(熱処理)した。
得られたサンプルについて、X線回折、SEMによる金属組織観察、密度測定、平均結晶粒径測定、硬さ試験(室温、高温)および引張試験を行った。
なお、平均結晶粒径測定、室温硬さ試験および引張試験については、上述した焼結温度900℃、均質化処理条件1050℃×48時間の実施例1−1、1−2および1−3のサンプルについても実施し、高温硬さ試験については、上述した焼結温度900℃、均質化処理条件1050℃×48時間の実施例1−1および1−3のサンプルについても実施した。
また、焼結温度900℃、均質化処理条件1050℃×48時間の実施例1−2および1−3のサンプルについては、引張試験後の破面をSEMにより観察した。
なお平均結晶粒径については以下の方法により測定した。
それぞれのサンプルについて、電解研磨を行った後、SEMを用いた電子線後方散乱回折(EBSD:lctron ackcatter iffraction)法により結晶方位解析を行ってパターンクオリティマップから切片法を用いて平均切片長さLを求めた。
そして、以下の(3)式より公称粒径dを算出した。結晶方位解析を行う時、解析範囲に結晶粒が100個以上入るようにSEMの倍率を選び各試料について3箇所分析を行った。
d=1.128L (3)
図18(a)は焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果であり、図18(b)は焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果である。
図19は、密度測定結果を示すグラフである。図19のグラフでは、横軸を焼結温度にして整理している。
図18より焼結温度900℃の焼結体および1000℃の焼結体のどちらも、Ni(Si,Ti)金属間化合物から成る主相のみから成ることがわかる。
図18および図19より、いずれのサンプルも7.5g/以上と十分に高いかさ密度を有し、焼結温度1000℃のサンプルの方が焼結温度900℃のサンプルよりもかさ密度が高くなっていること、および焼結温度900℃のサンプルではボイドが認められるが、焼結温度1000℃のサンプルではボイドが認められないことが判る。
図20(a)は実施例1−3サンプルの平均結晶粒径測定結果を示し、図20(b)は実施例1−2サンプルの平均結晶粒径測定結果を示し、図20(c)は実施例1−1サンプルの平均結晶粒径測定結果を示し、図20(d)は実施例2サンプルの平均結晶粒径測定結果を示す。図20のそれぞれの写真の左下に示す数字はそれぞれのサンプルの平均結晶粒径である。
アトマイズ粉末を用いた実施例2のサンプルの結晶粒径は、混合粉末を用いた実施例1−1〜1−3のサンプルの結晶粒径より大きいことが判る。
図21は室温硬さ試験結果を示すグラフである。
図21よりいずれのサンプルも室温硬さが溶製材と同レベルと高くなっている。また、Ni含有量が少なくなるほど硬さが高くなる傾向が認められる。なお、組成が同じであるが、用いた焼結用粉末が混合粉末か合金粉末かが異なる実施例1−1のサンプルと実施例2のサンプルは、ほぼ同じ硬さを有している。
図22は高温硬さ試験結果を示すグラフである。図22は、室温、573K(300℃)、773K(500℃)、873K(600℃)および1073K(800℃)で測定した硬さを示している。
いずれのサンプルの例えば1073K(800℃)で概ね300HV程度またはそれ以上と高い高温硬さを有しており、高温で優れた耐摩耗性を有することが判る。
図23は引張試験の結果を示すグラフである。
図23から、実施例1−1〜1−3および2のサンプルは溶製材よりも高い降伏強度を有していること、および実用上十分な破断伸びを有することが判る。また、実施例1−1〜1−3サンプルを比べると、Ni含有量が少ないほど降伏応力が高くなっていることが判る。
図24(a)は実施例1−3サンプルの引張試験破断面のSEM観察結果であり、図24(b)は実施例1−2サンプルの引張試験破断面のSEM観察結果である。
実施例1−3のサンプルでは一部に粒界破壊が認められるが、実施例1−2のサンプルでは粒界破壊は認められなかった。
3.実施例3
本実施例では、アトマイズ粉末(焼結用粉末)がTaを含有する。
表5の組成を有するアトマイズ粉末を得た。
なお、表5では、Bは、他の元素の合計質量に対する比率(mass ppm)として示してある。
アトマイズ粉末の作製条件は、組成以外は実施例2と同じ条件で行った。
得られたアトマイズ粉末(合金粉末)を焼結用粉末として用いて、焼結温度900℃および1000℃の2つの条件のどちらかで焼結を行った。
焼結体を得た後、得られた焼結体サンプル(900℃焼結材と1000℃焼結材)を1050℃×48時間で均質化処理(熱処理)した。
得られたサンプルについて、SEMによる金属組織観察、X線回折、EPMAによる組成分析、室温硬さ試験およびかさ密度測定を行った。
図25(a)は焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果であり、図25(b)は焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルの金属組織観察結果である。
図26(a)は焼結温度900℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果であり、図26(b)は焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルのX線回折結果である。
いずれのサンプルも実質的に主相のみから成っている。
焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの主相は実質的にNi(Si,Ti)金属間化合物のみから成り、焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの主相はNi(Si,Ti)金属間化合物とNiTa金属間化合物とからなる二相組織となっている。
表6に焼結温度900℃の均質化処理後サンプルの主相と焼結温度1000℃の均質化処理後サンプルの主相のEPMAによる組成分析結果を示す。
表6には参考のためアトマイズ粉末の公称(目標)組成も示した。
なお、Bについては添加量が微量であるためEPMAによる分析では有意な値を検出できなかった。
表6より、焼結温度が900℃および1000℃のどちらであっても、均質化熱処理サンプルの組成はほぼ目標組成通りになっていることがわかる。
図27は、焼結後および均質化処理後のかさ密度測定結果を示すグラフである。図27では、焼結温度を横軸に整理している。
いずれのサンプルも溶製材とほぼ同等のかさ密度を有している。
図28は、焼結後および均質化処理後の室温硬さを示すグラフである。図28では、焼結温度を横軸に整理している。
いずれのサンプルも400HVを超える高い硬さを有している。特に焼結温度が900℃の場合、焼結後および均質化処理後の両方で溶製材と同じレベルの硬さを有している。
4.実施例4
4−1.混合粉末とTi化合物硬質粒子
本実施例では、混合粉末とTi化合物硬質粒子であるTiC粒子とからTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末を得て、主相の間にTiCが分散する焼結体を得た。
表1に示す粉末サイズ(粒子径)を有する元素粉末を、表2に示す組成を有するように秤量し、これに0体積%(実施例4−0)、10体積%(実施例4−1)、20体積%(実施例4−2)、30体積%(実施例4−3)および40体積%(実施例4−4)のTiC粒子を加え、それぞれの粉末サンプルをボールミルを用いて混合し、Ti化合物硬質粒子含有焼結用粉末(各30グラム)を得た。
ボールミルによる混合は、エタノールを溶媒とした湿式法で24時間行った。
得られたTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末を用いて、焼結温度1000℃で焼結した後、1050℃×48時間の均質化処理を行った。
得られたサンプルについて、SEMによる金属組織観察(PC画像解析によりTiCの面積率(体積率)を測定)、X線回折、室温硬さ試験、高温硬さ試験およびかさ密度測定を行った。
図29(a)は実施例4−1サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果であり、図29(b)は実施例4−2サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果であり、図29(c)は実施例4−3サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果であり、図29(d)は実施例4−4サンプルの均質化処理後の金属組織観察結果である。図29のそれぞれの写真の左下の数字はPC画像解析により得たTiCの体積率を示す数字である。
図30は、図29と同じサンプルの同じ部位の金属組織の高倍率での観察結果であり、図30(a)は実施例4−1サンプル、図30(b)は実施例4−2サンプル、図30(c)は実施例4−3サンプル、図30(d)は実施例4−4サンプルの結果を示す。
図31(a)は実施例4−1サンプルのX線回折結果を示し、図31(b)は実施例4−2サンプルのX線回折結果を示し、図31(c)は実施例4−3サンプルのX線回折結果を示し、図31(d)は実施例4−4サンプルのX線回折結果を示す。
均質処理後の実施例4−1〜4−4サンプルの全てが、実質的に主相と、主相の間に分散したTiC粒子とのみからなり、主相は実質的にNi(Si,Ti)金属間化合物のみから成る。
図32は、実施例4−0〜4−4サンプルの室温硬さを示すグラフであり、横軸をTiC粒子の体積率にして整理している。
TiCの体積率の増加とともに室温硬さが上昇し、実施例4−4サンプルでは783HVに達している。
図33は、実施例4−0、4−1および4−3サンプルの高温硬さを示すグラフである。高温硬さは、室温、300℃、500℃、600℃および800℃において測定した。
いずれの温度においてもTiC粒子を含有する実施例4−1および4−3サンプルの硬さがTiC粒子を含有しない実施例4−0サンプルの硬さより高くなっている。
図34は、実施例4−0〜4−4サンプルのかさ密度の測定結果と理論値とを示すグラフである。図34のグラフでは、横軸をTiCの体積率にして整理している。
図35は実施例4−4サンプルの金属組織観察において認められたボイドを示す写真であり、丸で囲った部分にボイドが認められる。
いずれのサンプルも理論値に近いかさ密度を有している。
4−1.混合粉末とTi化合物硬質粒子
上述の実施例4−3と同じ組成および同じTiCの体積率を有するTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末をアトマイズ粉末とTiC粉末を用い、実施例4−5サンプルとして形成した。
表2に示す組成を有するアトマイズ粉末を用いた以外は、実施例4−3と同じ方法により、均質化処理後のサンプルを得た。
図36(a)は、SEMによる実施例4−5サンプルの金属組織観察結果であり、図36(b)は、図36(a)よりも高い倍率でのSEMによる実施例4−5サンプルの金属組織観察結果である。
図36(a)で、灰色の球形部分(写真上で丸く灰色に見える部分)がNi(Si,Ti)相で、黒い領域がTiC粒子である。使用したアトマイズ粉末の粒子径が比較的粗大であったため、一見するとTiC粒子にNi(Si,Ti)粉末が埋まり混んだように見えるが、図36(b)の拡大写真より、TiC粒子間の細部までNi(Si,Ti)は行き渡っており、また、Ni(Si,Ti)相とTiC粒子間にはボイドや欠陥も発生しておらず、焼結が良好に行われていることがわかる。
5.実施例5
本実施例では、化合物硬質粒子としてTiB粒子を用いて、主相の間にTiB粒子が分散する焼結体を得た。
表7に示す実施例5Aの組成を有するように元素粉末を秤量し、これに0体積%(実施例5−0)、10体積%(実施例5−1)、20体積%(実施例5−2)、30体積%(実施例5−3)および40体積%(実施例5−4)のTiB粒子を加えた、それぞれの粉末サンプル(各30グラム)をボールミルにより混合し、焼結用粉末(実施例5−1〜5−4はTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末)を得た。
ボールミルによる混合は、エタノールを溶媒とした湿式法で24時間行った。
また、表7に示す実施例5Bの組成を有するようにアトマイズ粉末を作成し、このアトマイズ粉末とTiB粒子とを乳鉢を用いて混合し実施例5−5のTi化合物硬質粒子含有焼結用粉末を得た。
なお表7では、Bは、他の元素の合計質量に対する比率(mass ppm)として示してある。
得られた焼結用粉末(Ti化合物硬質粒子含有焼結用粉末)を用いて、焼結温度1000℃で焼結した後、1050℃×48時間の均質化処理を行った。
得られたサンプルについて、室温硬さ試験、高温硬さ試験、X線回折およびSEMによる金属組織観察を行った。
図37は、実施例5−0〜5−4サンプルの均質化処理後の室温硬さ試験結果を示すグラフであり、横軸をTiB粒子の体積率にして整理している。
TiB粒子の体積率の増加とともに室温硬さが上昇し、実施例5−4では1300HV以上となっている。
図38は、均質化処理後の実施例5−0(0%TiB)、実施例5−1(10%TiB)および実施例5−3サンプル(30%TiB)および比較のために用いた実用材料として最高レベルの高温での耐摩耗性を有するWC−Coの高温硬さを示すグラフである。高温硬さは、室温、300℃、500℃、600℃および800℃において測定した。
実施例5−1および5−3サンプルは800℃においてWC−Coよりも高い硬さ(耐摩耗性)を示している。また、実施例5−3サンプルは室温においてWC−Coと同程度の硬さ、300℃以上の温度でWC−Coよりも高い硬さを示している。
図39は、均質化処理後の実施例5−5サンプルのX線回折結果である。
図40(a)は均質化処理後の実施例5−3サンプルの金属組織観察結果であり、図40(b)は図40(a)の拡大写真であり、図40(c)は均質化処理後の実施例5−5サンプルの金属組織観察結果であり、図40(d)は図40(c)の拡大写真である。図40のそれぞれの写真の右上の数字は室温硬さを示している。
均質化処理後の実施例5−5サンプルは、Ni(Si,Ti)金属間化合物とNiB金属間化合物とNi16TiSi金属間化合物とを含む多相組織の主相と、当該主相の間に分散するTiB粒子とから成る。
6.比較例
実施例4のTi化合物硬質粒子に変えて、NbC粒子、SiC粒子およびAl粒子を用いたサンプルを製作した(特段記載の無い条件は実施例4と同じ)。
NbC粒子を体積率で10%および30%含む焼結体(合金粉末とNbC粒子とを乳鉢と乳棒で混合)は、均質化処理後の硬さ試験において、主相とNbC粒子との界面が剥離するという問題(主相とNbC粒子との濡れ性が不十分であることに起因すると考えられる十分な硬さおよび靱性が得られない)を生じた。
Al粒子を体積率で30%含む焼結体(元素粉末とAl粒子とをボールミルで24時間混合)は、ボールミル混合の際に粉末が分離し、Al粒子が固化凝着した。再粉砕後、焼結を行ったが一部溶解した。表面観察のために均質化処理後の焼結体を研磨したが光沢面は得られなかった(靱性が不足)。
SiC粒子を体積率で30%含む焼結体(元素粉末とSiC粒子とをボールミルで24時間混合)は、均質化処理後、評価用サンプルを得るためマイクロカッターで加工した際に割れが発生した(靱性が不足)。

Claims (12)

  1. 75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含んでなる主相であって、結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有することを特徴とする焼結体。
  2. 前記主相が、更にボロン(B)を含み、該ボロンの含有量が前記主相のボロン(B)以外の元素の合計質量に対して10mass ppm〜1000mass ppmであることを特徴とする請求項1に記載の焼結体。
  3. 金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む硬質粒子であって、前記主相の間に分散した硬質粒子を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の焼結体。
  4. 前記硬質粒子が、チタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むTi化合物硬質粒子であることを特徴とする請求項3に記載の焼結体。
  5. 前記Ti化合物硬質粒子が、TiC粒子、TiN粒子、TiCN粒子、TiO粒子およびTiB粒子から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の焼結体。
  6. 前記主相が、タンタル(Ta):0.5at%〜8at%、ニオブ(Nb):0.5at%〜4at%、アルミニウム(Al):0.5at%〜8at%、クロム(Cr):0.5at%〜8at%、モリブデン(Mo):0.5at%〜8at%およびコバルト(Co):0.5at%〜4at%から選択される少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼結体。
  7. 75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含有する混合粉末または合金粉末を準備する粉末準備工程と、
    前記混合粉末または合金粉末に圧力を付与した状態で、前記混合粉末または合金粉末を加熱し、結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相を有する焼結体を形成する焼結工程と、
    を含むことを特徴とするニッケル(Ni)基金属間化合物焼結体の製造方法。
  8. 前記焼結工程の前に、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む硬質粒子を混合する工程を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記硬質粒子がチタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むTi化合物硬質粒子であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記混合粉末または合金粉末が、タンタル(Ta):0.5at%〜8at%、ニオブ(Nb):0.5at%〜4at%、アルミニウム(Al):0.5at%〜8at%、クロム(Cr):0.5at%〜8at%、モリブデン(Mo):0.5at%〜8at%およびコバルト(Co):0.5at%〜4at%から選択される少なくとも1つを更に含有することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の製造方法。
  11. 75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含有する母材と、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つと、を用いて、少なくとも前記母材が溶融した溶融金属を得る溶融工程と、
    前記溶融金属をアトマイズして、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含むニッケル基合金マトリクス中に金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを有するアトマイズ粉末を得るアトマイズ工程と、
    前記アトマイズ粉末に圧力を付与した状態で加熱し、75at%〜85at%のニッケル(Ni)と、8at%〜13at%のシリコン(Si)と、3at%〜13at%のチタン(Ti)とを含んでなり、且つ結晶構造がL1型であるNi(Si,Ti)金属間化合物を含む主相と、該主相の間に分散した、金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含む硬質粒子とを含む焼結体を得る工程と、
    を含むことを特徴とするニッケル(Ni)基金属間化合物焼結体の製造方法。
  12. 前記金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物が、チタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つであり、
    前記硬質粒子が、前記チタン(Ti)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物および硼化物から選択される少なくとも1つを含むTi化合物硬質粒子であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
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