JP2005048285A - Al−Si系合金焼結部品用原料粉末、Al−Si系合金焼結部品の製造方法およびAl−Si系合金焼結部品 - Google Patents

Al−Si系合金焼結部品用原料粉末、Al−Si系合金焼結部品の製造方法およびAl−Si系合金焼結部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 低熱膨張で機械的性質、特に、延性に優れた複雑形状のAl−Si系合金部品を経済的に製造するAl−Si系合金焼結部品用原料粉末を提供する。
【解決手段】 主原料粉末および従原料粉末からなるAl−Si系合金焼結部品用原料粉末であって、主原料粉末は、Cuを0.2%質量〜2質量%およびSiを10質量%〜45質量%含み、残部がAlからなるAl−Cu−Si合金粉末と、純Al粉末との混合粉末で、従原料粉末は、Si粉末、Al−Mg合金粉末、Al−Cu合金粉末、Al−Mg−Si合金粉末、Al−Cu−Si合金粉末、Al−Cu−Mg合金粉末、Al−Cu−Mg−Si合金粉末のうちから選ばれた一種以上の粉末であり、主原料粉末80質量%以上と従原料粉末20%以下とを混合して、最終組成をCuが0.2質量%〜4質量%で、Mgが0.2質量%〜2質量%で、Siが10質量%〜35質量%で、残部がAlである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、事務機器やコンピューター関連機器等に用いられる低熱膨張で高延性の、Al−Si系合金焼結部品を製造するためのAl−Si系合金焼結部品用原料粉末、Al−Si系合金焼結部品の製造方法、および、Al−Si系合金焼結部品に関するものである。
最近、事務機器やコンピューター関連機器の分野では、Al合金製部品の利用が増えつつある。例えば、事務機器やコンピューター関連機器等に用いられるモーターの軸受け部品においては、使用温度環境が変化しても熱膨張による狂いが生じないように、熱膨張係数を低減したいという要請がある。
上記した要請に応える、低熱膨張のAl−Si系合金の複雑な形状の部品の製造方法としては、ダイキャスト法が一般的であった。しかしながら、ダイキャスト法では、三次元的な複雑な形状の部品を作れるといった利点がある一方で、寸法精度が不十分で、また、型抜きのためにテーパーをつける必要があり、鋳造後に高コストの機械加工を必要とする場合が少なくない。また、ブローホール等の鋳造欠陥のため、特性面で信頼性に欠けるといった問題点があった。
上記した要請に応える別の製造方法としては、溶製インゴットを出発原料とした展伸材を素材とし、旋盤等による機械加工で製造する方法も採用されている。しかしながら、インゴットの鋳造時に偏析が起こり易く、また、Si量の増加と共に粗大な初晶Siが晶出して加工性が劣化するため、このような方法で製造できる合金におけるSiの含有量は高々17質量%程度であり、また、かなりの工数の機械加工を必要とし、しかも、加工歩留まりが低く、結果的に部品のコストを高める原因となっていた。
このような問題点を解決するために、ニアネットシェイプ法としての特長を活かせる粉末冶金法での製造についても試みられている。
特開昭53−128512号公報 特開平4−72002号公報
粉末を金型成形し、それを焼結させる通常の圧粉成形焼結法は、単純なプロセスでニアネットシェイプ部品を製造できるため、特に、コスト面で大きな利点を持っている。しかしながら、Al−Si系合金粉末は、硬質で成形圧縮性が悪いので、成形体を十分に緻密化できず、また、融点が低いため、焼結温度を十分高めることができないので、焼結を十分に進行させることが難しい。そのため、従来、この方法では十分な機械的性質、特に、延性の良好な部品を経済的に得ることができなかった。
これらの問題点を解決する方法として、圧粉成形焼結法でまずプリフォームを得、それを熱間で型鍛造して部品に加工する方法、いわゆる、粉末鍛造法についても試みられている。しかしながら、粉末鍛造法では、プリフォームの鍛造を熱間で行うため、金型への焼き付きが生じ易く、金型寿命が短くなり、さらに、寸法精度を出しにくく、最終的に寸法精度を上げるためには機械加工に頼らざるを得ないといった種々の問題点がある。
また、Al−Si系合金粉末をプレス成形して得たビレットを熱間押し出しして塑性変形を与えることにより、粉末表面の酸化皮膜の破壊と新生面の結合をはかり、特性を向上させる手法も提案されている。しかしながら、このような方法では高価な熱間押し出し工程を必要とし、しかも、得られる製品は中間製品の押出形材であり、最終部品形状に加工するためにはさらに鍛造や機械加工を必要とし、歩留まりが低く経済的でないといった問題点がある。
本発明は、上記したような従来技術の問題点を改善し、ニアネットシェイプ加工法としての特長を生かせる通常の粉末冶金法、すなわち、圧粉成形し、その後真空下あるいは窒素ないしアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で加熱焼結させることにより、低熱膨張で機械的性質、特に、延性に優れた複雑な形状のAl−Si系合金部品を経済的に製造するためのAl−Si系合金焼結部品用原料粉末、Al−Si系合金焼結部品の製造方法、および、Al−Si系合金焼結部品を提供することを目的とするものである。
本発明は、以下のような発明である。
(1)主原料粉末および従原料粉末からなるAl−Si系合金焼結部品用原料粉末であって、主原料粉末は、Cuを0.2%質量〜2質量%およびSiを10質量%〜45質量%含み、残部が不可避的不純物を含むAlからなるAl−Cu−Si合金粉末と、不可避的不純物を含む純Al粉末との混合粉末で、かつ、Al−Cu−Si合金粉末と純Al粉末との混合比率が50質量%:50質量%〜80質量%:20質量%の範囲であり、従原料粉末は、Si粉末、Al−Mg合金粉末、Al−Cu合金粉末、Al−Mg−Si合金粉末、Al−Cu−Si合金粉末、Al−Cu−Mg合金粉末、Al−Cu−Mg−Si合金粉末のうちから選ばれた一種以上の粉末であり、主原料粉末80質量%以上と従原料粉末20%以下とを混合して、最終組成をCuが0.2質量%〜4質量%で、Mgが0.2質量%〜2質量%で、Siが10質量%〜35質量%で、残部がAlであることを特徴としたAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
(2)従原料粉末の融解開始温度が450℃〜550℃であることを特徴とする上記(1)に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
(3)主原料粉末および従原料粉末の粒度が、50メッシュ以下635メッシュ以上が90%以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
(4)Al−Si系合金焼結部品用原料粉末の量に対して0.5質量%以上2質量%以下の潤滑剤を混合したことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
(5)潤滑剤がアミド系潤滑剤であることを特徴とする上記(4)に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末を2ton/cm2〜8ton/cm2の加圧力で圧縮して圧粉体を成形した後、圧粉体を非酸化性雰囲気中において500℃〜570℃の温度範囲で焼結させることを特徴とするAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
(7)非酸化性雰囲気が13Pa以下の真空雰囲気であることを特徴とする上記(6)に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
(8)非酸化性雰囲気が、露点が−40℃以下の不活性ガス雰囲気であることを特徴とする上記(6)に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
(9)上記(6)から(8)のいずれか1つに記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法によって製造したAl−Si系合金焼結部品を3ton/cm2〜11ton/cm2の加圧力で再圧縮することを特徴とするAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
(10)Al−Si系合金焼結部品をさらに再焼結させることを特徴とする上記(9)に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
(11)上記(6)から(10)のいずれか1つに記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法によって製造したAl−Si系合金焼結部品を時効熱処理することを特徴とするAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
(12)上記(6)から(11)のいずれか1つに記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法によって製造したことを特徴とするAl−Si系合金焼結部品。
(13)Al−Si系合金焼結部品が、モーターの軸受け部品であることを特徴とする上記(12)に記載のAl−Si系合金焼結部品。
本発明によれば、主原料粉末としてAl−Cu−Si合金粉末と、成形性を向上させると共に合金組成を調整する目的の純Al粉末との混合粉末を用い、これに最終合金組成調整と焼結促進の目的で従原料粉末を添加混合したAl−Si系合金焼結部品用原料粉末に適した成形条件、焼結条件を選定することにより、低熱膨張で機械的性質、特に、延性に優れた複雑な形状のAl−Si系合金部品を経済的に製造することができる。
その結果、例えば、事務機器やコンピューター関連機器等に用いられるモーターの軸受け部品は、使用温度環境が変化しても熱膨張による狂いが生じないものを製造することができる。
本発明は、従来技術の問題点を解決するため、粉末の成形性、焼結性、さらには、焼結部品の特性に及ぼす合金元素の影響について詳細に検討した結果到達したものである。
即ち、従来のAl−Si系合金の粉末冶金法では、主原料粉末としてAl−Si合金粉末またはAl−Cu−Si合金粉末を使用しているのに対して、本発明では主原料粉末としてAl−Cu−Si合金粉末と純Al粉末との混合粉末をAl−Si系合金焼結用部品用原料粉末として用いる。さらに、そのAl−Si系合金焼結用部品用原料粉末に適した成形条件、焼結条件を選定することにより、機械的性質の良好なアルミニウム合金焼結部品を製造できることを見出したものである。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
始めに目的とするAl−Si系合金の最終合金組成について述べる。
Siは熱膨張率を低減させるために添加する。その場合、10質量%以上必要で、最終焼結部品に求められる熱膨張率に応じて決定される。しかし、35質量%を越えると、最終的に実用に耐え得る機械的性質を持った焼結体が得られなくなる。そのため、Siは10質量%〜35質量%とした。
Mgは固溶強化、さらに、Siとの共存下で時効硬化に寄与する重要な元素である。しかしながら、過剰な添加は延性、靭性を低下させるため、その量は0.2質量%〜2質量%とした。
Cuも材料の強度増加に寄与する時効硬化元素として重要である。これも過剰添加による特性低下を招かない範囲の、0.2質量%〜4質量%とした。
また、残部は不可避的不純物を含むAlである。ここで、不可避的不純物としては、例えば、FeやZnであり、その割合は、各々が0.5質量%以下であるのが望ましい。
次に、最終合金組成に至る原料粉末の組成と配合とについて述べる。
本発明のAl−Si系合金焼結用部品原料粉末は、80質量%以上を占める、Al−Cu−Si合金粉末(A−1)と純Al粉(A−2)との混合粉末である主原料粉末(A)と、20質量%以下を占める従原料粉末(B)とを配合する。
始めに主原料粉末(A)について説明する。
主原料粉末(A)は、Cuを0.2質量%〜2質量%およびSiを10質量%〜45質量%含み、残部が不可避的不純物を含むAlからなるAl−Cu−Si合金粉末(A−1)50質量%〜80質量%と、不可避的不純物を含む純Al粉末(A−2)20質量%〜50質量%との混合粉末である。
Al−Cu−Si合金粉末(A−1)は、本発明のAl−Si系合金焼結部品の主たる合金元素SiおよびCuを含む粉末である。
SiはAl−Si系合金焼結部品の熱膨張率を低減させるために有効に働く。Al−Si系合金焼結部品用原料粉末中にSiを混合する際、Siは単体の粉の状態で混合するより、Alとの合金の状態で混合する方が、最終のAl−Si系合金焼結部品の延性が向上する。そのため、Al−Cu−Si合金粉末(A−1)中にSiは10質量%以上添加しておくことが必要である。
Si量の増加に伴ってAl−Si系合金の熱膨張率は直線的に低下するので、低熱膨張のためには、Si量が多い程よい。しかし、Si量の増加に伴ってAl−Cu−Si合金粉末の液相線温度が高くなり、粉末製造が難しくなる。このため、Siは45質量%以下にするのが好ましい。
Cuは材料の強度の増加に寄与する時効硬化元素として重要であり、また、適当量のCuを加えることによってAl−Cu−Si合金粉末は焼結が促進され、焼結体の機械的性質、特に、延性が改善されるという効果がある。従って、Al−Cu−Si合金粉末(A−1)は、Cuを0.2質量%以上含むものとする。しかし、Cuの量が2質量%を超えると、合金の融点が低下するので、焼結温度をより低く設定する必要が生じる。その結果、焼結が進みにくくなり、十分な強度・延性を有した焼結材が得られなくなる。このため、Cuの量は2質量%以下とする必要がある。
尚、本発明の最終合金組成ではMgが必須元素となっているが、主原料粉末(A)のAl−Cu−Si合金粉末(A−1)がMgを含有していないのは次の理由による。
即ち、Al−Cu−Si合金粉末(A−1)にあらかじめMgを合金化すると、焼結が良好に進行せず、その焼結材についてはほとんど伸びが得られないからである。このため、後述するように、Mgは融解開始温度の低い従原料粉末(B)で添加するが、この点が本発明の特徴でもある。
そして、純Al粉末(A−2)はアトマイズ粉末からなり、不可避的不純物としてFeやZnを含む場合がある。
また、主原料粉末(A)におけるAl−Cu−Si合金粉末(A−1)と純Al粉末(A−2)との配合割合は、50質量%:50質量%〜80質量%:20質量%の範囲であるが、その限定理由について説明する。
Al−Cu−Si合金粉末(A−1)は、Siを多量に含み、かつ、Cuも添加されているため、硬質粉末になっており、成形圧縮性が悪い。この結果、Al−Cu−Si合金粉末(A−1)だけでは緻密な成形体が得られず、最終的に良好な機械的性質を有するAl−Si系合金焼結部品を製造することが困難になる。そこで、成形圧縮性を改良するためには、軟質粉を混合することが有効であり、本発明では純Al粉末(A−2)を添加する。
純Al粉末(A−2)を添加しない場合および添加した場合について圧粉成形比較試験を行い、図1の結果を得た。
図1において、Aは、Cuが1質量%で、Siが30質量%で、残部がAlのAl−Cu−Si合金粉末(A−1)60質量%と、純Al粉末(A−2)40質量%とを混合した特性曲線、Bは、Cuが1質量%で、Siが30質量%で、残部がAlのAl−Cu−Si合金粉末(A−1)80質量%と、純Al粉末(A−2)20質量%とを混合した特性曲線、Cは、Cuが1質量%で、Siが30質量%で、残部がAlのAl−Cu−Si合金粉末(A−1)100質量%〔純Al粉末(A−2)0質量%〕の特性曲線を示す。
図1に示すように、軟質の純Al粉末(A−2)の配合割合が20質量%(特性曲線B)になると、同一成形圧で比較した場合の理論密度比は特性曲線Cよりも約5%高くなり、緻密な成形体が得られるようになる。一方、特性曲線Aに示すように、純Al粉末(A−2)の添加量を増していくと、成形圧縮性はよくなるものの、合金元素の均一化に要する焼結時間が長くなり、コスト高になるという問題がある。このため、純Al粉末(A−2)の配合割合の上限を50質量%とした。
次に、従原料粉末(B)について説明する。
従原料粉末(B)を用いる目的は、主原料粉末(A)からの合金元素の供給だけでは最終焼結部品の組成に対して足りない合金元素を供給すると同時に、焼結中に適当量の液相を生じさせ、いわゆる、液相焼結によって焼結を進行させることにある。
Al−Si系合金は低融点の共晶をつくるため、焼結温度を十分高くすることができず、そのために拡散・焼結を十分に進行させてやることが難しい。本発明ではこの問題を解決すべく液相焼結を利用している。
即ち、自ら低融点であり、また、主原料粉末(A)との反応でより低融点の共晶をつくる従原料粉末(B)を混合させることにより、焼結中に適当量の液相を生じさせ、その濡れ広がりを利用して焼結を進行させるものである。
この時の液相の量が少ないと、効果がないが、多すぎると、発汗現象などが起こってAl−Si系合金焼結部品としての形状を保てなくなる。このため、良好な液相焼結を行わせるために従原料粉末(B)は全体の20質量%以下の配合率とする。
また、焼結の際に適当量の液相を生じさせるため、従原料粉末(B)の融解開始温度をは450℃〜550℃とするのが望ましい。
ここで、従原料粉末(B)の具体的内容として、以下の粉末(a)〜(g)の利点、選択理由について述べる。
Si粉末(a)は、最終組成のSi量に調整する目的で添加する。
Al−Mg合金粉末(b)およびAl−Mg−Si合金粉末(d)はMgの添加を目的としたものであり、AlまたはAl−Siと合金化することにより、純Mg粉末よりも融解開始温度を低く調整でき、また、Mg濃度を変えることによってAl−Mg合金粉末(b)、Al−Mg−Si合金粉末(d)の量、即ち、焼結初期に現われる液相の量を調整することができる。
Al−Cu合金粉末(c)、Al−Cu−Si合金粉末(e)は、Cuの添加を目的としたものであり、AlまたはAl−Siと合金化することにより、純Cu粉末よりも融解開始温度を低く調整でき、また、Cu濃度を変えることによってAl−Cu合金粉末(c)、Al−Cu−Si合金粉末(e)の量、即ち、焼結初期に現われる液相の量を調整することができる。
Al−Cu−Mg合金粉末(f)、Al−Cu−Mg−Si合金粉末(g)はCu、Mgの同時添加を目的としたもので、純金属添加の場合よりも融解開始温度を低く調整でき、また、Cu、Mg濃度を変えることによって液相の量を調整することができる。
また、さらに細かく液相の発生量を調整する、あるいは、入手し易い組成の粉末を利用し、それらを組み合わせて最終合金組成に調整するといった目的から2種以上を混合して用いることも可能である。
尚、主原料粉末(A)、従原料粉末(B)に用いる粉末の粒度は、50メッシュ以下635メッシュ以上が90%以上であることが望ましい。これは、50メッシュよりも大きい粉末が多いと、金型への充填性が悪く、一方、635メッシュ未満の粉末が多いと、流動性を害し、さらに、成形時に金型の隙間に入り込んでカジリを生じ易いためである。
そして、主原料粉末(A)、従原料粉末(B)は、母合金の粉砕、あるいは、アトマイズ法によって作製することができる。
また、上記粉末に潤滑剤を混合してもよい。その量は、Al−Si系合金焼結部品用原料粉末の量に対して0.5質量%未満では潤滑効果が不十分であり、Al−Si系合金焼結部品用原料粉末の量に対して2質量%よりも多いと、潤滑効果が飽和するだけでなく、粉末の流動性・成形性を害する。さらに、潤滑剤は焼結時に揮発飛散し、材料特性に有害な影響のないものが好ましい。このような観点から金属塩系の潤滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウムなど)よりもアミド系潤滑剤が望ましく、例えば、エチレンビスステアロアマイド等を挙げることができる。
次に、製造条件について述べる。
成形圧は2ton/cm2未満では成形体の緻密化が足りず、粉末同士の接触が不十分で、良好な焼結体強度・延性が得られない。従って、2ton/cm2以上で成形する必要がある。さらに、成形体の密度を上げるため、より高い圧力で成形する場合、金型の寿命、ラミネ−ションの発生、金型へのカジリ等の問題が生じる。そのため、実操業上8ton/cm2を超える成形圧は不適である。
焼結雰囲気については、活性なAl合金粉末粒子の酸化を防いで十分に焼結を進行させるため、非酸化性雰囲気、すなわち真空、窒素ガス雰囲気、あるいは、アルゴンガス等の不活性雰囲気中で焼結させる必要がある。真空で焼結する場合、その真空度は13Pa以下、望ましくは1.3Pa以下にするのがよい。また、焼結炉の内部を真空置換後、減圧下で窒素ガス等の不活性ガスを少量流しながら焼結させることも、焼結体から発生するガス成分を除去する効果を高める。
尚、窒素ガスあるいはアルゴンガス等の不活性雰囲気中で焼結させる場合は、ガスの純度が重要である。特に、ガス中に含まれる水分は焼結部品の特性に悪影響を及ぼすため、露点を十分低く管理する必要があり、望ましくは−40℃以下に保つ必要がある。
焼結温度が500℃より低いと、元素の拡散が不十分であり、粉末同士の焼結が不十分となる。しかし、焼結温度が570℃よりも高いと、多量の液相が生成し、昇温と共に部品形状を保てなくなる。このため、焼結は500℃以上、570℃以下で行うのが望ましい。
また、こうして得られた焼結体を再圧縮することによって組織を緻密化させて機械的性質を一層向上させることができる。一般に再圧縮では寸法出し(サイジング)を目的とする場合が多く、それと併せて再圧縮条件を選定するが、通常は、3ton/cm2〜11ton/cm2の範囲の再圧縮圧とする。
さらに、再焼結させることによって機械的性質、特に、延性を改善することができ、再圧縮によって緻密化した組織を再度焼結させることにより、拡散・焼結を一層進行させることができる。その際の条件は、基本的には焼結の場合と同じである。
また、これら焼結体の合金成分であるCu、Mg、Siは本来熱処理によって機械的性質の向上に寄与するものである。従って、通常のAl合金同様、溶体化−時効熱処理を施して、その機械的性質を調整、向上させることは有効である。
〔実施例1〜実施例7〕
以下、本発明の実施例1〜実施例7について説明する。
大気アトマイズ法によって製造した100メッシュ〜325メッシュの表1に示す主原料粉末(A−1a〜A−1d)と、大気アトマイズ法によって製造した100メッシュ〜325メッシュの表2に示す従原料粉末(B1〜B7)と、大気アトマイズ法によって製造した50メッシュ〜325メッシュの純Al粉末(A−2)とを、表3に示す割合で配合してAl−Si系合金焼結部品用原料粉末とした。そして、このAl−Si系合金焼結部品用原料粉末に、潤滑剤としてアミド系潤滑剤を、Al−Si系合金焼結部品用原料粉末の量に対して1質量%添加した。これをJIS Z2550の引張試験片形状に成形圧4ton/cm2で成形し、それを1.3Paの真空、550℃で焼結させた。この焼結体にT4熱処理を施し、引張試験に供した。その結果を比較例と共に表3に示す。
Figure 2005048285
Figure 2005048285
Figure 2005048285
本発明によるAl−Si系焼結合金は良好な引張強度と伸びを示し、実用材料として十分な特性を有している。これに対し、比較例は引張強度と伸びが劣っており、主原料粉末(A−1)にCuを含まない場合、あるいは、主原料粉末(A−1)にMgを含んでいる場合には十分な特性が得られない。本発明のAl−Si系焼結合金は、機械部品、特にモーターの軸受け部品として用いるのに適している。
〔実施例11、実施例15〜実施例17〕
以下、本発明の実施例11、実施例15〜実施例17について説明する。
実施例1、実施例5〜実施例7の焼結体について、焼結後5ton/cm2で再圧縮し、さらに、焼結条件と同条件で再焼結させた。この焼結体にT4処理を施し、引張試験を行った。その結果を表4に、実施例11(実施例1に対応)、実施例15(実施例5に対応)、実施例16(実施例6に対応)〜実施例17(実施例7に対応)として示す。再圧縮、再焼結により機械的性質は改善された。
Figure 2005048285
主原料粉末の配合割合を変えた時の、成形圧と成形体の理論密度比との関係を示す図である。

Claims (13)

  1. 主原料粉末および従原料粉末からなるAl−Si系合金焼結部品用原料粉末であって、
    主原料粉末は、Cuを0.2%質量〜2質量%およびSiを10質量%〜45質量%含み、残部が不可避的不純物を含むAlからなるAl−Cu−Si合金粉末と、不可避的不純物を含む純Al粉末との混合粉末で、かつ、Al−Cu−Si合金粉末と純Al粉末との混合比率が50質量%:50質量%〜80質量%:20質量%の範囲であり、
    従原料粉末は、Si粉末、Al−Mg合金粉末、Al−Cu合金粉末、Al−Mg−Si合金粉末、Al−Cu−Si合金粉末、Al−Cu−Mg合金粉末、Al−Cu−Mg−Si合金粉末のうちから選ばれた一種以上の粉末であり、
    主原料粉末80質量%以上と従原料粉末20%以下とを混合して、最終組成をCuが0.2質量%〜4質量%で、Mgが0.2質量%〜2質量%で、Siが10質量%〜35質量%で、残部がAlであることを特徴とするAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
  2. 従原料粉末の融解開始温度が450℃〜550℃であることを特徴とする請求項1に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
  3. 主原料粉末および従原料粉末の粒度が、50メッシュ以下635メッシュ以上が90%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
  4. Al−Si系合金焼結部品用原料粉末の量に対して0.5質量%以上2質量%以下の潤滑剤を混合したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
  5. 潤滑剤がアミド系潤滑剤であることを特徴とする請求項4に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のAl−Si系合金焼結部品用原料粉末を2ton/cm2〜8ton/cm2の加圧力で圧縮して圧粉体を成形した後、圧粉体を非酸化性雰囲気中において500℃〜570℃の温度範囲で焼結させることを特徴とするAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
  7. 非酸化性雰囲気が13Pa以下の真空雰囲気であることを特徴とする請求項6に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
  8. 非酸化性雰囲気が、露点が−40℃以下の不活性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項6に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法によって製造したAl−Si系合金焼結部品を、3ton/cm2〜11ton/cm2の加圧力で再圧縮することを特徴とするAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
  10. Al−Si系合金焼結部品をさらに再焼結させることを特徴とする請求項9に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
  11. 請求項6から請求項10のいずれか1項に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法によって製造したAl−Si系合金焼結部品を時効熱処理することを特徴とするAl−Si系合金焼結部品の製造方法。
  12. 請求項6から請求項11のいずれか1項に記載のAl−Si系合金焼結部品の製造方法によって製造したことを特徴とするAl−Si系合金焼結部品。
  13. Al−Si系合金焼結部品が、モーターの軸受け部品であることを特徴とする請求項12に記載のAl−Si系合金焼結部品。
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