JP2012133944A - 面発光素子用基板、面発光素子用基板の製造方法、面発光素子、照明器具及び表示装置。 - Google Patents

面発光素子用基板、面発光素子用基板の製造方法、面発光素子、照明器具及び表示装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】量産性や製造の容易性などの上記問題を解決するとともに、有機EL層を有する面発光素子の光の取り出し効率を改善することが可能な、面発光素子用基板、面発光素子用基板の製造方法、この基板を備える面発光素子、及び、この面発光素子を用いた照明器具や表示装置を提供する。
【解決手段】透光性基板110と、該透光性基板110の表面に形成される透明導電膜130とからなる面発光素子用基板において、透光性基板110に凹凸面111を形成し、該凹凸面111を、450℃以下のガラス転移温度を有するガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物を用いて形成される透明平坦化膜120により平坦化し、透明平坦化膜120の屈折率nd1と、透明導電膜130の屈折率nd2との関係が、nd1/nd2≧0.9となるようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、面発光素子用基板、面発光素子用基板の製造方法、面発光素子、照明器具及び表示装置に関する。
近年、平板型ディスプレイの開発が盛んに行われているが、このような平板型ディスプレイに用いられる発光素子である面発光素子の代表的なものとして、エレクトロルミネッセンス(EL)素子が挙げられる。EL素子は、固体蛍光性物質の電界発光を利用した発光素子であり、無機系材料を発光体として用いた無機EL素子と、有機系材料を発光体として用いた有機EL素子とに大別される。両素子共に、屈折率の異なる材料の積層構造を有しているため、界面での反射の影響により、外部への光の放射効率が低いという問題点を抱えている。
例えば、無機EL素子は、発光体として用いる材料の屈折率が非常に大きいため、界面での全反射等の影響を強く受け、実際の発光に対する空気中への光の取り出し効率が10〜20%程度と低く、高効率化が困難である。また、無機EL素子の場合には、駆動電圧が高いことや、青色発光を得ることが困難であることなどの問題も存在している。
一方、有機EL素子の場合は、1987年にコダック社のC.W.Tangらにより、有機材料を正孔輸送層と発光層の2層に分けた機能分離型の積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が提案された。このような構造を有する有機EL素子によれば、10V以下の低電圧にもかかわらず1000cd/m以上の高い発光輝度が得られることが明らかとなった〔C.W.Tang and S.A.Vanslyke:Appl.Phys.Lett、51(1987)〕。これ以降、有機EL素子が注目され始め、現在も同様な機能分離型の積層構造を有する有機EL素子についての研究が盛んに行われており、特に有機EL素子の実用化のために不可欠である高効率化・長寿命化について十分な検討がなされており、有機EL素子を用いたディスプレイ等が数多く提案されている。
ここで、図1を参照しながら、一般的な有機EL素子の構成について説明する。図1は、一般的な有機EL素子の断面構成を示す説明図である。図1に示すように、有機EL素子10は、ガラス等で構成される基板11上に、スパッタリング法や抵抗加熱蒸着法等により形成されたITO等の透明な導電性膜からなる陽極12と、陽極12上に同じく抵抗加熱蒸着法等により形成されたN,N´−ジ(1−ナフチル)−N,N´−ジフェニルベンジジン(以下、NPDと略称する。)等からなる正孔輸送層13と、正孔輸送層13上に抵抗加熱蒸着法等により形成された8−Hydroxyquinoline Alμminμm(以下、Alq3と略称する。)等からなる発光層14と、発光層14上に抵抗加熱蒸着法等により形成されたアルミニウムなどの金属膜からなる陰極15とを備えている。上記構成を有する有機EL素子10の陽極12をプラス極として、また陰極15をマイナス極として、直流電圧又は直流電流を印加すると、陽極12から正孔輸送層13を介して発光層14に正孔が注入され、陰極15から発光層14に電子が注入される。発光層14では正孔と電子の再結合が生じ、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際に発光現象が生じる。
このような有機EL素子10において、通常、発光層14中の蛍光体から放射される光は、蛍光体を中心とした全方位に出射され、正孔輸送層13、陽極12、基板11を経由して空気中へ放射される。或いは、一旦、光取り出し方向(基板11方向)とは逆方向へ向かい、陰極15で反射され、発光層14、正孔輸送層13、陽極12、基板11を経由して、空気中へ放射される。しかし、光が各媒質の境界面を通過する際、入射側の媒質の屈折率が出射側の屈折率より大きい場合には、屈折波の出射角が90°となる角度、つまり臨界角よりも大きな角度で入射する光は、境界面を透過することができず、全反射され、光は空気中へ取り出されない。
異なる媒質間の境界面における、光の屈折角と媒質の屈折率との関係は、一般に、スネルの法則に従う。スネルの法則によれば、屈折率n1の媒質1から屈折率n2の媒質2へ光が進行する場合、入射角θ1と屈折角θ2の間に、n1sinθ1=n2sinθ2という関係式が成り立つ。この関係式において、n1>n2が成り立つ場合、θ2=90°となる入射角θ1=Arcsin(n2/n1)は、臨界角と呼ばれており、入射角がこの臨界角よりも大きな場合には、光は媒質1と媒質2との間の境界面において全反射されることとなる。従って、等方的に光が放射される有機EL素子において、この臨界角よりも大きな角度で放射される光は、境界面における全反射を繰り返し、素子内部に閉じ込められ、空気中へ放射されなくなる。
ここで、図2を参照しながら、図1に示したような一般的な有機EL素子の光取り出し割合について説明する。図2は、スネルの法則を用いて簡便な計算をした場合、一般的な有機EL素子の各層に閉じ込められて取り出せない光と外部に放射される光の割合を示す説明図である。なお、図2に示した例では、有機EL素子を構成する正孔輸送層、発光層の屈折率は概ね同じとみなしてn=1.7(図2には、まとめて有機EL層として示した。)とし、透明電極としてはITOを用いた場合でn=2.0とし、基板としてはガラス基板を用いた場合でn=1.5とした。図2に示すように、透明電極や有機EL層に閉じ込められて取り出せない導波光の割合は約45%で、基板内に閉じ込められて取り出せない基板導波光の割合は約35%で、発光した光のうちわずか20%程度の光しか外部へ取り出すことができないことがわかる。同様の結果が、Advanced Material6 491頁(1994)にも記載されている。
このように、有機EL素子は光の取り出し効率が低いことから、有機EL素子の基板に光の出射角度を変換する手段を設けることで、上述した問題点の解決を図る例が数多く提案されている。具体的には、基板上に回折格子構造を作製して特定波長の光に対して反射を防止し、取り出し効率を高めようとするものや、基板表面にレンズ構造を導入して同様の効果を期待するものなどがあげられる。これらの手法は、取り出し効率の向上には所定の効果が見られるものの、複雑な微細構造を積極的に作る必要があるため、製造工程上、現実的な適用が困難である。
これに対して、例えば、特許文献1では、透明導電膜と同程度の屈折率を有する特殊なガラス基材を用いることで薄膜導波光を消失させ、取り出し効率を向上させることが提案されている。基板の有機EL層とは反対側の光の出射側にレンズなどの構造物を設けた場合、薄膜導波光は依然層内にとどまっており、取り出すことができないが、特許文献1のような方式を用いることで薄膜導波光をも取り出すことができる点で、メリットがある。ただし、特許文献1で用いられているような特殊な高屈折率基板を工業的に量産するためには、非常に高いコストがかかり、実用化が困難である。
また、薄膜導波光を低減させるための別の方法としては、基板と透明導電膜(ITOなど)との間に回折格子や散乱構造により屈折角を変更できるような構造物を形成・挿入する方法が考えられる。このような場合には、基板上の構造物に追従するように直接透明電極膜を製膜することは困難なため、透明電極と同等の屈折率を有する材料を用いて基材表面を平坦化する必要性が生じる。
例えば、特許文献2では、無機EL素子の基板として、ランダムな凹凸を有する基板上にSpin On Glass(SOG)材料を用いて基板表面を滑らかにして無機ELを作製することが提案されている。また、特許文献3では、表面粗さRa=0.01〜0.6μmの基板上に、Chemical Vapor Deposition(CVD)法を用いて高屈折率のSiNを0.4〜2μm製膜したものを基板材料として、有機EL素子を作製し、薄膜導波光を低減させ、光取りだし効率を向上させることが提案されている。
さらに、薄膜導波光の低減方法の別の方法として、例えば、特許文献4では、ITOと基板との間に、空気などの散乱性の成分を含む高屈折率ガラス層を形成することが提案されている。
特開2009−238507号公報 特開平10−241856号公報 特開2003−297572号公報 国際公開第2009/017035号パンフレット
しかしながら、特許文献2に記載の方法を用いた場合、凹凸を平坦化する平坦化材料としてSOG材料を用いることになるが、本発明者らが実際に検討した結果、SOG材料を用いた場合には、無欠陥で1−2μm以上の膜厚を得ることが非常に困難であることが判明した。すなわち、上記特許文献2の方法を用いて、薄膜導波光の低減可能な程度に凹凸の大きさを大きくすれば、平坦化ができない一方で、平坦化ができる凹凸の大きさでは薄膜導波光の低減への効果がほとんど無いことが判明した。本来、凹凸を平坦化するための平坦化膜は、その上部の電極材料と同等程度の屈折率を有している必要があるが、特許文献2には、平坦化材料の屈折率についての記載が無く、詳細な効果が不明である。
また、特許文献3に記載の方法を用いた場合、平坦化のための高屈折率材料は、CVD法を用いて製膜されるSiNであり、大面積化や大量生産を考えた場合にプロセス上のデメリットが大きい、という問題がある。
さらに、特許文献4に記載の手法では、高屈折率ガラス層の中に意図的に気泡やフィラーなどの散乱成分を存在させて高屈折率ガラス層そのものを散乱層として機能させているが、透明電極と接する部分に気泡やフィラーが存在すると、高屈折率ガラス層(基板)の表面が平坦にならず、均質な透明導電膜の形成が困難であるため、寿命や信頼性の確保ができない、という問題がある。特許文献4には、意図的に高屈折ガラス層の表面に気泡を存在させないようにする方法が記載されているが、この方法を実現しようとする場合には、製造上の困難が予想される。
以上のように、現状では、量産性や製造の容易性と、取り出し効率の向上を両立できる方法は未だ提案されていない。
そこで、本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、量産性や製造の容易性などの上記問題を解決するとともに、有機EL層を有する面発光素子の光の取り出し効率を改善することが可能な、面発光素子用基板、面発光素子用基板の製造方法、この基板を備える面発光素子、及び、この面発光素子を用いた照明器具や表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、透光性基板表面に形成された凹凸面を平坦化する平坦化材料として、透明導電膜(透明電極)と同等以上の屈折率を有する低融点ガラスフリットを含むガラスペースト組成物を用いることにより、スネルの法則によると各層間の境界面で全反射してしまって素子内から取り出すことができない光を素子の外部(空気中)に取り出すことができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のある観点によれば、透光性基板と、該透光性基板の表面に形成される透明導電膜とからなる面発光素子用基板において、前記透光性基板は、凹凸面を有し、該凹凸面が、450℃以下のガラス転移温度を有するガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物を用いて形成される透明平坦化膜により平坦化されており、前記透明平坦化膜の屈折率nd1と、前記透明導電膜の屈折率nd2との関係が、nd1/nd2≧0.9である、面発光素子用基板が提供される。
ここで、前記面発光素子用基板において、前記透明平坦化膜の膜厚が、前記凹凸面の平均表面粗さRaの30倍以上であることが好ましい。
また、前記面発光素子用基板において、前記透明平坦化膜の膜厚が、前記凹凸面の最大表面粗さRzの1.3倍以上であることが好ましい。
また、前記面発光素子用基板において、前記透明平坦化膜の膜厚が、3μm以上100μm以下であることが好ましい。
また、前記面発光素子用基板において、前記凹凸面の平均表面粗さRaが、0.7μm以上5μm以下であることが好ましい。
また、前記面発光素子用基板において、前記凹凸面の凹凸の形状が、ピラミッド形状またはレンズ形状であってもよい。
また、本発明の別の観点によれば、透光性基板と透明導電膜とからなる面発光素子用基板の製造方法であって、透光性基板の表面に、サンドブラスト法またはウェットエッチング法により凹凸面を形成し、450℃以下のガラス転移温度を有するガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物を前記凹凸面に塗布した後に、500℃以下の温度で乾燥及び焼成することにより、前記凹凸面を平坦化する透明平坦化膜を製膜し、前記透明平坦化膜の表面に透明導電膜を形成する、面発光素子の製造方法が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、前述した面発光素子用基板と、前記面発光素子用基板の表面に積層された有機EL層と、を備える、面発光素子が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、前述した面発光素子を備える、照明器具が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、前述した面発光素子を備える、表示装置が提供される。
本発明によれば、透光性基板表面に形成された凹凸面を平坦化する平坦化材料として、透明導電膜(透明電極)と同等以上の屈折率を有する低融点ガラスフリットを含むガラスペースト組成物を用いることにより、量産性や製造の容易性などの上記問題を解決するとともに、面発光素子の光の取り出し効率を改善することが可能な、面発光素子用基板とその製造方法を提供することができる。また、この面発光素子用基板を用いることにより、高性能な面発光素子、照明器具及び表示装置を提供することができる。
一般的な有機EL素子の断面構成を示す説明図である。 一般的な有機EL素子の各層に閉じ込められて取り出せない光と外部に放射される光の割合を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る面発光素子の断面構成を示す説明図である。 臨界角以上の光が全て取り出せると仮定して、立体角換算でどの程度の光を取り出すことができるかを単一界面で計算した結果を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る面発光素子の製造方法の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る透明平坦化膜の形成方法の一例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る面発光素子の断面構成を示す説明図である。 同実施形態に係る面発光素子の製造方法の一例を示す説明図である。 実施例で使用した蛍光強度測定器の構成を示す説明図である。 本発明の実施例と比較例の光抽出強度の測定結果を示すグラフである。 実施例で使用した化合物の構造を示す図である。 本発明の実施例と比較例の電流−電圧特性の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例と比較例の電流密度−全光束特性の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例と比較例の素子の発光の様子を示す写真である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明者らは、有機EL素子などの面発光素子の光の取り出し効率を改善するために鋭意検討した結果、スネルの法則によると各層間の境界面で全反射してしまって素子内から取り出すことができない光を素子の外部(空気中)に取り出す手段を見出した。以下、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(面発光素子の構成)
まず、図3を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る面発光素子の構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る面発光素子の断面構成を示す説明図である。
図3に示すように、本発明の第1の実施形態に係る面発光素子100は、透光性基板110と、透明平坦化膜120と、透明導電膜(透明電極)130と、有機EL層140と、陰極150とを主に備える。なお、本実施形態に係る面発光素子用基板は、透光性基板110と、透明平坦化膜120と、透明導電膜130とからなる。
<透光性基板110>
透光性基板110は、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラスや、透明なプラスチックなどの透明な材料で形成される基板であり、その一方の表面に、凹凸面111を有している。透光性基板110を形成するための透明なプラスチックとしては、絶縁性の有機物が挙げられるが、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等を使用することができる。凹凸面111は、有機EL層140で発生した光が透明導電膜130を通過して透光性基板110に入射する際の入射光の屈折角に乱れを生じさせるようなランダムな凹凸を有する面である。なお、本発明では、凹凸面111上に後述する平坦化材料で透明平坦化膜120を形成するが、平坦化材料はガラスフリットからなるペースト材料であり、焼成によるガラスフリットの溶融が必要である。この焼成工程は、500℃程度の温度で行われるため、透光性基板110は、融点の低いプラスチック材料よりも、融点の高いガラス材料で形成されていることが好ましい。
この凹凸面111の凹凸の度合いは特に限定はされないが、JIS B 0601−2001で規定されている平均表面粗さRaで0.7μm以上5μm以下であることが好ましい。Raが0.7μmより小さい場合には、光取り出しの効果が十分ではない場合がある。また、Raが5μmを超えると、取り出し効率が低下する傾向にある。この理由としては、以下のように考えられる。本実施形態のように、光の散乱を利用して取り出し効率を高めようとする場合には、光は、面発光素子100内で散乱層(凹凸面111の存在する領域)を通るたびに、何度も反射を繰り返して、結果的に、面発光素子100の外部へ光を取り出すことができる。このような機構を考えた場合、Raが大きすぎて、高屈折率を有する透明平坦化膜(「光屈折率層」と称する場合もある。)120の厚みが厚すぎる場合、高屈折率層120内での光の吸収による損失が無視できなくなるためである。この点、本発明で使用される高屈折率層120の材料となるガラスフリットは、金属酸化物からなり、可視光領域の消衰係数kは非常に小さいため、少ない回数の反射や散乱による光の減衰は無視できるほど小さい。
一般的には、基板の表面粗さが大きくなるとディスプレイなどの表示素子に用いた場合には、大きな光散乱のために一つ一つの画素(ピクセル)の外まで光が散乱してにじみが生じるため好ましくないが、光の取り出し効率を高めるためには、ある程度の凹凸(粗さ)が必要になる。基板が大きな凹凸を有する場合、ディスプレイ用途には使用が難しいが、照明やバックライトなどへの使用においては大きな問題は生じない。そこで、本実施形態に係る透光性基板110には、比較的な大きなRaを有する凹凸面111を形成している。
なお、本実施形態における平均表面粗さRaや、後述する最大粗さRzは、接触式の表面粗さ測定機や、非接触式の光学粗さ測定機などを用いて容易に測定することが可能である。
ここで、透光性基板110の表面に上記のような凹凸面111を設けると、この凹凸面111に入射される光は散乱することになるので、透光性基板110と垂直に進行する光のうち、方向を変えずに透光性基板110を透過する光の割合は減少する。このような状態を基板の濁度(Haze)として表現することがある。Hazeとは、基板(本実施形態では、透光性基板110)と垂直に入射した光の透過光に対して、垂直でない透過光成分の割合を数値化(百分率)したものである。窓ガラスのように、外部の視認性を高める必要がある部分にはHazeの高い部材は使用できないが、本実施形態の面発光素子用基板の構造のように、光の取り出し効率を高めるためには、このように散乱する成分(垂直でない透過光成分)が多い方が好ましい。以上のような観点から、透光性基板110のHazeとしては、30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。Hazeは、市販の積分球付透過率測定計やHazeメーターにより容易に測定することができる。
<透明平坦化膜120>
ところで、有機EL素子などの面発光素子を作成する場合、基板には高い平滑性が求められる。多くの面発光素子が、薄膜(数十nm〜数μm)で構成されており、基板の表面に凹凸があると光のリークが発生して素子の安定駆動ができないためである。
そこで、本実施形態においては、透光性基板110上に形成した凹凸面111を平坦化するために、ガラスフリットを含むガラスペースト組成物を使用し、透光性基板110の表面に形成された凹凸面111上に、透明平坦化膜120を設けることとした。基板表面の凹凸を平坦化するための材料は、上述したように、例えば、SOG材料やCVD膜など、種々提案されているが、大きな粗さを有する凹凸を平坦化できるような膜厚を形成することができなかったり、製膜に非常に高価で高度な設備が必要で時間がかかったりするなど、実用上多くの問題を抱えている。本発明者らの検討によれば、SOG材料を用いた場合には、製膜できる最大膜厚は高々1〜2μm程度、CVD法を用いて製膜したSiNの膜でも実用的に製膜できる膜厚は数μmである。光の散乱や集光など、基板への入射光の屈折角を調整するための構造(凹凸)は、その入射光の波長よりも大きな構造物(入射光の波長よりも大きな粗さを有する凹凸面)である必要があり、SOG材料やCVD法を用いた場合には、凹凸面の平坦化を達成することは不可能である。
これに対して、本実施形態のガラスフリットを用いる方法では、ガラスフリットを、テルピネオールやブチルカルビトールアセテートなどの高沸点溶剤と、エチルセルロースやアクリル樹脂などの増粘性のバインダー樹脂と混合することにより作成されるガラスペーストを透光性基板110上に塗布し、乾燥及び焼成するだけで、容易に凹凸面111の平坦化が可能であり、かつ、十分な膜厚の透明平坦化膜120を形成することが可能である。この透明平坦化膜120を形成するためのガラスペースト組成物は、ガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むペースト状の組成物であるが、以下、本実施形態に係るガラスペースト組成物の各成分について説明する。
〔ガラスフリット〕
まず、本実施形態で用いられるガラスフリットは、透光性基板110の歪みやひずみがおきない温度で透明なガラス層(透明平坦化膜120)を形成することができるような熱特性を有している必要がある。透光性基板110として用いられる一般的なガラス基板(例えば、ソーダライムガラス)は、500℃以上の温度をかけると、歪みやひずみが発生して、透光性基板110にそりが発生するため好ましくない。500℃以下で透明平坦化膜120を形成するためには、ガラスフリットのガラス転移温度(Tg)は450℃以下である必要があり、好ましくは400℃以下である。
また、ガラスフリットの線膨張係数が透光性基板110を形成する材料の線膨張係数と異なると、透明平坦化膜120を形成した際に、透光性基板110内に応力が残留し、クラックなどの原因となる。そのため、本実施形態におけるガラスフリットの線膨張係数は、透光性基板110を形成する材料(例えば、ソーダライムガラスや無アルカリガラス等)と同程度であることが好ましい。例えば、ソーダライムガラスの場合、その線膨張係数は85×10−7/℃程度なので、(85±10)×10−7/℃程度の線膨張係数のガラスフリットが好ましい。なお、本発明者らの検討によれば、ガラスフリットと透光性基板110の形成材料との線膨張係数の差が±10×10−7よりも大きいと、ガラスフリットにより形成された膜厚の薄い透明平坦化膜120に、ひび割れ等の破壊が生じる場合があることが実験的にわかっている。
透明平坦化膜120を形成する材料、すなわち、ガラスフリットは、屈折率が、後述する透明導電膜130(例えば、ITOなどで形成される。)と同等程度である必要がある。一般的な有機EL素子等の面発光素子の基板の屈折率は1.5程度であり、透明導電膜(透明電極)の屈折率は2程度である。仮に、透明平坦化膜120の屈折率が、透光性基板110と同程度では、透明導電膜130との界面での反射は、凹凸面111及び透明平坦化膜120が無い場合と同様になり、光の取り出し効率の向上を望むことはできない。具体的には、本実施形態に係る面発光素子用基板では、透明平坦化膜120の屈折率、すなわち、ガラスフリットの屈折率nd1(dは、ナトリウムのD線である589nmを表す。)と、透明導電膜130(例えばITO)の屈折率nd2との関係が、nd1/nd2≧0.9である必要がある。以下にその理由を説明する。
既に説明した通り、異なる屈折率n1及びn2を有する媒質間の界面では、スネルの法則による臨界角θが存在し、この臨界角θは、θ=Arcsin(n2/n1)であらわされる。例えば、一般的なガラス(例えば、nd=1.5)とITO(例えば、nd=2.0)の臨界角は前述の式から48.6°となり、この臨界角以下の角度の入射光は、ITOや有機EL層を導波して失活する、すなわち、この入射光を取り出すことができない。ここで、図4は、臨界角以上の光が全て取り出せると仮定して、立体角換算でどの程度の光を取り出すことができるかを単一界面で計算した結果を示すグラフである。図4の縦軸に示す取り出し割合は、入射角θの立体角(ステラジアン:sr)=2π(1−cosθ)を半球(全ての光が取り出せた場合の全立体角に相当)の立体角2πで除した値(1−cosθ)を百分率表示したものである。
図4に示す計算結果でも明らかな通り、nd1/nd2≧0.9の場合に、界面の全反射が十分に小さくなり、透明導電膜と基板との界面での全反射が少なくなることが分かる。また、全反射の影響をほぼゼロにするためにはnd1/nd2≧1であることが好ましい。より具体的には、例えば、屈折率nd2=2.0のITOで形成した透明導電膜130を用いる場合には、本実施形態の透明平坦化膜120の屈折率のnd1は1.8以上、より好ましくは2以上である。
以上のような低いガラス転移温度や高い屈折率を有するガラスフリットの成分としては、例えば、ネットワークフォーマとして、P、SiO、B、GeO、TeOから選ばれる1種または2種以上の成分を含有し、高屈折率成分として、TiO、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO、ZnO、BaO、PbO、Sbから選ばれる1種または2種以上の成分を含有する高屈折率ガラスを使用することができる。また、本実施形態におけるガラスフリットの成分として、上記の成分の他に、ガラスの特性を調整する意味で、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、フッ化物などを屈折率に対して要求される物性を損なわない範囲で使用してもよい。具体的なガラスフリットの成分系としては、例えば、B−ZnO−La系、P−B−R’O−R”O−TiO−Nb−WO−Bi系、TeO−ZnO系、B−Bi系、SiO−Bi系、SiO−ZnO系、B−ZnO系、P−ZnO系、などが挙げられる。ここで、R’はアルカリ金属元素、R”はアルカリ土類金属元素を示す。なお、以上に挙げた成分系は単なる例示であり、上述したガラス転移温度や屈折率等の条件を満たすような成分系であれば、上記の例に限定されるものではない。以上のようなガラスフリット材料は、屈折率が高く低融点(450℃以下)のものであれば特に限定されないが、環境への問題から無鉛ガラスが好ましい。また、高屈折率成分として、TiO、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO、ZnO、BaO、PbO、Sbのうち、ソーダライムガラスのような耐熱性の比較的低い透光性基板110上にも低融点で透明平坦化膜120を形成できる例としては、Biを含むものが好適に使用できる。Biを含む好ましいガラス組成としては、例えば、Bi−B−SiO−ZnO系、Bi−B−SiO系、Bi−B−ZnO系、Bi−B−RO−Al系(Rはアルカリ金属)等が挙げられる。
〔溶剤〕
本実施形態のガラスペースト組成物に用いる溶剤としては、有機溶剤であれば特に限定されない。ただし、製造工程を考慮すると、乾燥速度が早すぎる場合には、製造中に有機溶剤が乾燥してしまい、固形分の析出などが起こるため好ましくない。このような観点から、本実施形態のガラスペースト組成物に用いる有機溶剤としては、沸点が150℃以上、より好ましくは180℃以上の溶剤が好ましく、このような溶剤として、例えば、テルペン系の溶剤(テルピネオールなど)やカルビトール系溶剤(ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート)等を使用することができる。
〔樹脂〕
本実施形態のガラスペースト組成物に用いる樹脂としては、ペーストを塗工するために適正な粘度を発現させるものであれば特に限定はされないが、ガラスフリットのガラス転移温度よりも低い温度で消失される樹脂が好ましい。ガラスフリットが流動性を発現する温度よりも低い温度で樹脂を焼成除去しておかないと、ガラスが焼成されている温度で樹脂がガス化し、ガラス内部の気泡の原因となるためである。このような樹脂として好適に用いることができる具体例を挙げると、セルロース系の樹脂として、エチルセルロースやニトロセルロース、アクリル系の樹脂として、アクリル樹脂とメタクリル樹脂などが挙げられる。
〔その他の添加剤〕
本実施形態のガラスペースト組成物には、必要に応じて、ガラスフリット及び樹脂の分散性の向上やレオロジーの調整等を目的とした添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、スリットコーティング等の工程に適正な粘度の調整や、ガラスフリットの分散性の向上を目的として添加されるポリマー、レオロジー調整の目的で添加される増粘剤、分散性の良いガラスペースト組成物の調製を目的として添加される分散剤等が挙げられる。ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマーが挙げられる。また、増粘剤としては、例えば、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレン樹脂などが挙げられる。また、分散剤としては、多価カルボン酸やそのアンモニウム塩等の分散剤を挙げることができる。多価カルボン酸は、例えば、低級〜高級脂肪族系の多価カルボン酸等が挙げられ、これらは、テトラブチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩を形成していても良い。具体的には、例えば、楠本化成社製のHIPLAADシリーズやビックケミー社製のDisperbykシリーズ等が挙げられる。なお、上記のような添加剤の含有量は、例えば、ペースト組成物全体に対して0〜3質量部であることが好ましい。
〔膜厚〕
透明平坦化膜120の膜厚は、透光性基板110の凹凸面111を平坦化するのに十分な厚みであれば特に限定されないが、本発明者らの検討によれば、概ね、透光性基板110の平均粗さRaの30倍以上40倍以下の厚みがあることが好ましい。透明平坦化膜120の膜厚の絶対的な範囲としては、3μm以上100μm以下程度であることが好ましい。これは、後述するように、サンドブラストやウェットエッチングにより形成した凹凸面111の最大高さRzが、Raの概ね10倍〜20倍であるためである。
また、上記と同様の意味から、透明平坦化膜120の厚みは、透光性基板110の凹凸面111の最大粗さRz(JIS B 0601−2001に記載)の1.3倍以上であることが好ましい。Rzの1.3倍以下では、前述した駆動安定性に対して十分な信頼性となるような透明平坦化膜120が得られないためである。
上述した繰り返しになるが、上記のような厚みの平坦化膜を容易に形成することは、SOG材料(ゾルゲル材料)や真空プロセス(CVDなど)では到底成しえない。一方で、厚膜の平坦化膜をポリマーなどの有機材料で得る方法が考えられるが、これらの方法では、ITOなどの透明導電膜(透明電極)を形成するための十分な耐熱性(300℃以上)を確保することが困難であり、さらに、上述したように、透明平坦化膜120には高屈折率(好ましくは2以上)が要求されるが、有機材料でこのような屈折率を実現できる材料は存在し得ない。すなわち、本実施形態におけるガラスフリットを含有するガラスペースト組成物を用いなければ、上記のような厚みの透明平坦化膜120を容易に形成することはできない。
透明平坦化膜120の膜厚については、焼成後の膜厚を測定することで確認が可能であるが、透光性基板110は、凹凸面111(凹凸構造)を有しているため、測定位置によって異なる膜厚となる。そこで、本実施形態における透明平坦化膜120の膜厚としては、凹凸面111の最深部から透明平坦化膜120の最上部までの高さを膜厚とするが、凹凸面111がランダムな凹凸形状である場合には、断面形状の分析をしても最深部を決定することが難しい場合もあるので、このような場合は、任意に選んだ10点以上の部位について膜厚を測定し、そのうちの最大の厚みの部分を膜厚として考えても問題はない。
〔構造の確認方法等〕
なお、凹凸面111を平坦化する場合、凹凸中(凹凸面111の谷に相当する部分)に上述したガラスフリットが隙間なく充填されている必要がある。このような透光性基板110や透明平坦化膜120の構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて断面形状を観察することで容易に確認することが可能である。
<透明導電膜130>
透明導電膜(透明電極)130は、面発光素子100の陽極として機能する層であり、導電性を有するとともに、光を面発光素子100の外部に取り出すために透明な材料が使用される。具体的には、透明導電膜130を形成する材料としては、透明な酸化物半導体、特に、仕事関数の高いITO、IZO(InZnO)、ZnO、In等が好適に使用される。
<有機EL層140>
有機EL層140は、少なくとも、正孔輸送層と発光層とを含む。また、有機EL層140はさらに、正孔注入層を含んでいてもよい。有機EL層140が、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれをも含む場合には、正孔注入層が正孔輸送層よりも透明導電膜130に近い側に配置される。また、発光層は、正孔輸送層よりも透明導電膜130から遠い側に配置される。
正孔輸送層を形成する正孔輸送材料としては、例えば、α−NPD(NPB)、TPD、TACP、トリフェニル四量体などの公知の材料を使用することができる。また、正孔注入層を形成する正孔注入材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、銅フタロシアニン(CuPc)、PEDOT:PSSなどの公知の材料を使用することができる。
有機発光層としては、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層のうち、1種または2種以上を含むことができる。
赤色発光層を形成する材料としては、例えば、テトラフェニルナフタセン(ルブレン:Rubrene)、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(btp)(acac))、トリス(ジベンゾイルメタン)フェナントロリンユウロピウム(III)(Eu(dbm)3(phen))、トリス[4,4’−ジ−tert−ブチル−(2,2’)−ビピリジン]ルテニウム(III)錯体(Ru(dtb−bpy)*2(PF))、DCM1、DCM2、Eu(テノイルトリフルオロアセトン)3(Eu(TTA)3,ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン)(DCJTB)などを使用することができ、その他にも、ポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子などの高分子発光物質を使用することができる。
また、緑色発光層を形成する材料としては、例えば、Alq3、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン(Coumarin6)、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7,−テトラメチル−1H,5H,11H−10−(2−ベンゾチアゾリル)キノリジン−[9,9a,1gh]クマリン(C545T)、N,N’−ジメチル−キナクリドン(DMQA)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))などを使用することができ、その他にも、ポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子などの高分子発光物質を使用することもできる。
また、青色発光層を形成する材料としては、例えば、オキサジアゾールダイマー染料(Bis−DAPOXP)、スピロ化合物(Spiro−DPVBi、Spiro−6P)、トリアリールアミン化合物、ビス(スチリル)アミン(DPVBi、DSA)、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TPBe)、9H−カルバゾール−3,3’−(1,4−フェニレン−ジ−2,1−エテン−ジイル)ビス[9−エチル−(9C)](BCzVB)、4,4−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、4,4’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル(BDAVBi)、ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウムIII(FIrPic)などを使用することができ、その他にも、ポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子などの高分子発光物質を使用することができる。
さらに、有機EL層140は、発光層よりも陰極150に近い側から順に、電子輸送層や電子注入層を含んでいてもよい。電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、オキサゾール誘導体(PBD、OXO−7)、トリアゾール誘導体、ボロン誘導体、シロール誘導体、Alq3などの公知の材料を使用することができる。また、電子注入材料としては、例えば、LiF、LiO、CaO、CsO、CsFなどの公知の材料を使用することができる。
<陰極150>
陰極150を形成する材料としては、金属、特に、仕事関数の小さな金属である、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物などを使用することができる。
(面発光素子の製造方法)
以上、本実施形態に係る面発光素子100の構成について詳細に説明したが、続いて、図5及び図6を参照しながら、本実施形態に係る面発光素子100の製造方法について詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る面発光素子100の製造方法の一例を示す説明図である。また、図6は、本実施形態に係る透明平坦化膜120の形成方法の一例を示す説明図である。
図5に示すように、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透光性基板110の表面に(図5(a)を参照)、サンドブラストやウェットエッチング(フロスト法)により、有機EL層140で発生した光が透明導電膜130を通過して透光性基板110に入射する際の入射光の屈折角に乱れを生じさせるようなランダムな凹凸面111を形成する(図5(b)を参照)。このときに形成する凹凸面111の凹凸の度合いは、上述したように、特に限定されないが、平均表面粗さRaで0.7μm以上5μm以下であることが好ましい。
次に、上述したようなガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物を調製する。このガラスペースト組成物の調製方法としては、ガラスフリット、(バインダ)樹脂、及びその他の成分を溶剤中に溶解混合した後、ロールミル等で混練し、ガラスフリットが分散したペーストを作製すればよい。ガラスフリットと溶剤と樹脂との配合比は、例えば、ガラスフリットを70〜80質量%、溶剤を10〜20質量%、樹脂を1〜2質量%程度とすればよい。
次に、図6に示すように、調製したガラスペースト組成物を、ドクターブレード等を用いて、透光性基板110の凹凸面111の表面にコーティング(塗布)する(図6(a)を参照)。次いで、ガラスペースト組成物をコーティングした透光性基板110を熱風乾燥機等に移して溶媒を除去する(図6(b)を参照)。その後、溶媒が除去された透光性基板110を焼成炉に移し、ガラスフリットのガラス転移温度Tg以上、軟化温度Ts以下の温度で焼成することによりバインダー樹脂を焼失除去するとともに、ガラスフリットを溶融させる(図6(c)を参照)。さらに、焼成炉にて、ガラスフリットの軟化温度Ts以上(500℃以下)の温度で焼成することにより、透明平坦化膜120を透光性基板110表面に形成する(図6(d)及び図5(c)を参照)。
次に、透明平坦化膜120により表面が平坦化された透光性基板110上に、スパッタリング等によりITO、IZO(InZnO)、ZnO、In等を製膜して、透明導電膜(透明電極)130を形成する。さらに、透明導電膜130上に正孔輸送材料や発光材料等を蒸着することにより有機EL層140を形成した後に、有機EL層140上に、Ag、Mg、Al等の金属を蒸着して陰極150を形成し、有機EL層140を備える面発光素子100を製造することができる(図5(d)を参照)。なお、有機EL層140や陰極150の形成方法としては、真空蒸着、キャスト法(スピンキャスト法、ディッピング法等)、インクジェット法、印刷法(活版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等)などの公知の方法を用いることができる。
(まとめ)
以上のように、凹凸面111を有する透光性基板110の表面を高屈折率を有するガラスフリットを含むガラスペースト組成物を用いて平坦化した基板は、ITOなどの透明導電膜130をスパッタ法などで形成した後、有機ELや無機ELなどの面発光デバイスを形成することで、光の取り出し効率を向上させることができる。また、本実施形態の透光性基板110は、波長オーダー以上の凹凸(表面粗さ)を有しており、全ての波長の光を効率良く取り出すことが可能であるので、白色の面発光素子などに好適に用いることができ、高効率が要求される照明器具などにも適用できる。
[第2の実施形態]
(面発光素子の構成)
次に、図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る面発光素子の構成について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る面発光素子の断面構成を示す説明図である。
図7に示すように、本発明の第2の実施形態に係る面発光素子200は、第1の実施形態に係る面発光素子100と同様に、透光性基板210と、透明平坦化膜220と、透明導電膜(透明電極)230と、有機EL層240と、陰極250とを主に備え、本実施形態に係る面発光素子用基板は、透光性基板210と、透明平坦化膜220と、透明導電膜230とからなる。
ただし、本実施形態に係る面発光素子200は、第1の実施形態に係る面発光素子100とは異なり、透光性基板210表面に形成する凹凸面211が、ランダムな構造ではなく、レンズ構造やピラミッド構造などの均一な構造単位を有している。これは、本発明に係る面発光素子をディスプレイ用途に適用する場合は、凹凸面は屈折角に乱れを生じさせるような不規則な構造ではなく、図7の凹凸面211に示すようなレンズ構造やピラミッド構造であることが好ましい。上述した面発光素子100では、凹凸面111がランダムな構造を有するため、各発光層で生じた光が混ざり合って、色のにじみが発生する場合がある。これに対して、本実施形態に係る面発光素子200のように、凹凸面211が均一な構造単位を有する構造をとることで、有機EL層240で発生した光を集光させることができるため、面発光素子100のように、色のにじみがなく、効率的に光の取り出し効率を高めることが可能となる。このようなレンズ構造やピラミッド構造の具体的な形状や大きさについては特に制限はなく、発生する光の波長範囲に対して十分大きく、集光効果を発現できるサイズであって、画素サイズよりも小さな構造単位を有していればよい。一般的なディスプレイの画素サイズ(ピクセルサイズ)は、100〜600μm程度であり、RGBの各サイズがその1/3であることから、概ね30〜200μmである。従って、凹凸面211の具体的な形状としては、数μmから数十μmの大きさ(凹凸の高さ)の構造単位を有するレンズ形状(略半球形状)やピラミッド形状(略四角錐形状)等が挙げられる。
ここで、図7には、凹凸面211の形状がレンズ構造の場合の例を示しているが、ピラミッド構造であっても、各構造単位の形状が異なるだけで、その他の条件に関しては、レンズ構造の場合と同様である。
また、透明平坦化膜220の膜厚は、透光性基板210の凹凸面211を平坦化するのに十分な厚みであれば特に限定されないが、本発明者らの検討によれば、概ね、透光性基板210の凹凸面211の最大高さの1.3倍以上であることが好ましい。すなわち、凹凸面211がレンズ構造を有しており、そのレンズの構造単位が直径10μmの半球形状であれば、透光性基板210の凹凸面211の最大高さは5μmとなるので、透明平坦化膜220の好適な厚みは6.5μm以上となり、レンズの構造単位が直径80μmの半球形状であれば、透明平坦化膜220の好適な厚みは52μm以上となる。
なお、面発光素子200のその他の構成については、上述した面発光素子100と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
(面発光素子の製造方法)
以上、本実施形態に係る面発光素子200の構成について説明したが、続いて、図8を参照しながら、本実施形態に係る面発光素子200の製造方法について説明する。図8は、本実施形態に係る面発光素子200の製造方法の一例を示す説明図である。
図8(a)〜(d)に示すように、本実施形態に係る面発光素子200の製造方法は、第1の実施形態に係る面発光素子100の製造方法と、凹凸面211の形状及びその形成方法のみが異なる。すなわち、本実施形態では、図8(b)に示すように、透光性基板210の表面の凹凸面211の形状が、レンズ構造やピラミッド構造などのような均一な構造単位を有する凹凸となるように形成する。このようなレンズ構造やピラミッド構造は、例えば、モールドの熱転写法、フォトリソグラフィ/ウエットエッチング法、レーザー加工、砥石による研磨などを用いて形成することができる。
また、透明平坦化膜220は、上述したガラスフリットを含有するペースト組成物をコーティング(塗工)した後に、乾燥及び焼成することにより得られるが、必要であればこの操作を複数回繰り返して、所望の厚みを得ることもできる。特に、必要な透明平坦化膜120の厚みが40〜50μmを超える場合には、複数回の塗工・焼成を繰り返す方が好ましい。前述のとおり、光の取り出し効率を向上させるためには、透光性基板210の凹凸の最大高さを大きくする必要があることから、このような大きな凹凸を平坦化するために、透明平坦化膜220の厚みも大きくすることが必要である。そこで、このような大きな凹凸を形成するに際しては、ガラスペースト組成物を複数回塗工・焼成することで、透光性基板110の表面のうねりや凹凸をより平滑にすることができる。
次に、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
(面発光素子用基板の作製及び評価)
厚み0.7mm、50×50のソーダライムガラスに、#800のアルミナ粉を0.5kPaの条件で噴射して(サンドブラスト)、凹凸面を有する透光性基板(以下、「凹凸基板」と称する。)を得た。凹凸基板の表面をKeyence社製Laser顕微鏡VK9510で観察したところ、Ra=0.7μmの凹凸が形成されていた。また、東洋精機製Hazemeter HazeガードIIで測定したところ、作製した凹凸基板の光透過率は82%、Haze値は91%であり、光散乱層が形成されていることが分かった。
これとは別に、ガラス転移温度Tg=400℃のBi−B−SiO−ZnO系ガラスフリット(粒度分布 D50=1.6μm)150g、エチルセルロースSTD45(ダウケミカル社製)3g、テルピネオール32.9g、ブチルカルビトールアセテート14.1gを溶解混合した後、3本ロールミルで混練してガラスフリット分散ペースト(ガラスペースト組成物)を作製した。
得られたガラスペースト組成物を、先に作製した凹凸基板、および、サンドブラスト加工をしていないソーダライムガラス基板(以下、「凹凸無し基板」と称する。)に、それぞれ、ドクターブレードを用いてコーティングし、120℃の熱風乾燥機で溶媒を除去した後、各基板を焼成炉に移し、350℃で20分焼成してバインダー樹脂を除去し、さらに、500℃で30分焼成して、透明な透明平坦化膜(ガラス層)を、各基板の表面に形成した。
次に、凹凸無し基板上に形成したガラス層の膜厚をアルバック社製触針式膜厚計(DEKTAK)にて測定したところ25μmであった。光学顕微鏡で観察したところガラスペースト組成物を使用して作製した膜には多少の気泡が存在するものの、光を効果的に散乱させる程の量は存在せず、無色透明で表面の平滑なガラス層が形成されていることが分かった。このガラス層が形成された凹凸無し基板のRaは30nm以下であった。
また、凹凸無し基板上にガラス層を形成した基板の全光線透過率は79%、Haze値は10%であった。さらに、プリズムカップラーMODEL2000(Metricon社製)でガラス層の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.99であった。
一方、凹凸基板上にガラス層を形成した基板の全光線透過率は71%、Haze値は90%であり、Raは30nm以下であった。このようにして基板内部に凹凸面に由来する散乱層が存在するが、表面は平滑である透光性基板が作製できた。
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、ソーダライムガラス、上記で作成した2種類のガラス基板のそれぞれに、ITOを120nm製膜した。凹凸基板上にガラス層を形成した基板を用いたものを基板(A)、凹凸無し基板上にガラス層を形成した基板を用いたものを基板(B)、ソーダライムガラスを用いたものを基板(C)とする。
次に、青色発光材料として、BASF社製LΜMOGENF650を抵抗加熱蒸着機を使用して基板(A)〜(C)に200nm蒸着した。得られた3種類の蛍光膜付基板を、図9に示す蛍光分光光度計、日立ハイテクノロジーズ社製F7000を用いて蛍光強度を測定した。積分球で集められた全方位の発光量を吸収された励起光量で規格化(光取り出し強度)すると、表1に示す結果が得られた。また、図10に蛍光分光光度計で測定した結果を示す。
この表1及び図10に示す例は、EL素子を実際に作製したものではないが、表1及び図6から明らかなように、本発明を適用した基板を用いた場合に、光の取り出し効率が大幅に改善されることが分かった。
同様にして、緑色蛍光体、赤色蛍光体、白色蛍光体を用いて、光の取り出し効率を見積もった結果を表2に示す。使用した基板は、表2に示したとおりである。表2から明らかなように、本発明を適用した透光性基板を用いた場合には、どの波長の光に対しても効果的に取り出し効率を向上させることが可能となることが分かった。
(Ra、Hazeと取り出し効率との関係)
次に、凹凸基板のRaを変化させて同様の基板を作製し、光の取り出し効率を測定した結果を表3に示す。凹凸基板のRa,Haze値、及び凹凸の形成方法は、表3に示したとおりである。表3から明らかなように、Raが0.01μmや0.1μmなど、凹凸の程度が小さい場合には、Haze値も小さく、光の取り出し効率向上の効果が少ないかほとんど無かった。一方、例えば、0.7μm以上の大きなRaを有する凹凸基板を用いた場合には、Haze値も大きく、十分な光の取り出し効率の向上が確認された。
(好適な膜厚に関する検討)
次に、凹凸基板上に形成する高屈折率のガラス層の膜厚について検討した結果を表4に示す。種々のRaを有する凹凸基板上に種々の厚みの高屈折率ガラス層を形成した結果、表面が十分に平滑な透光性基板を得るためには、Raに応じて必要なガラス層の厚みが異なることがわかった。例えば、Ra=0.7μmでは20μm以上が必要であった。完全に平坦化された表面を得るためには、概ね、Raの30−40倍の膜厚が必要であることがわかる。これは、Raの数値の10−20倍のRz(最大高さ)が存在するためである。
(凹凸面がレンズ構造の場合の実施例)
ソーダライムガラス基板上にモールドの熱転写法を用いて、直径30μmの半球状のマイクロレンズアレイを形成した。次に、前述したガラスペースト組成物を焼成後の膜厚が25μmになるように塗工・乾燥して、内部にマイクロレンズ構造を持つ透明平坦化膜を有する基板を得た。さらに、この基板にDCマグネトロンスパッタリング装置を用いてITOを120nm製膜した。(基板(A)とする)。これとは別に、ソーダライムガラス基板上にガラスペースト組成物を25μmの膜厚で形成した後に、ITOを120nmスパッタした基板(B)、および、ソーダライムガラスにITOを120nmスパッタした基板(C)を作製した。(A)〜(C)のそれぞれの基板に青色発光材料として、BASF社製LΜMOGENF650を抵抗加熱蒸着機を使用して200nm蒸着した。得られた3種類の蛍光膜付基板を図9に示す蛍光分光光度計、日立ハイテクノロジーズ社製F7000を用いて蛍光強度を測定した。積分球で集められた全方位の発光量を吸収された励起光量で規格化すると、表5の結果が得られた。ランダムな凹凸面のみならず、マイクロレンズを基板内部に内包する場合においても、光の取り出し効率の改善が確認できた。
(有機EL素子の製造及び評価)
次に、本発明を適用した透光性基板を用いて有機EL素子を作製した(素子面積は0.04cm)。まず、表2で用いたITO付基板(A)〜(C)をIPAと純水で洗浄した後、UVオゾンクリーナーにて処理した。正孔注入層としてHIL−1(図11を参照)を60nm、正孔輸送層としてNPD(図11)を20nm、緑色発光層としてAlq3(図11)を60nm真空蒸着により形成した。さらに、電子注入層としてLiFを3nm、陰極としてAlを200nm蒸着して有機EL素子を作製した。上記のように作製した有機EL素子を、周囲の大気に暴露することなく、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス中に搬送し、有機EL素子を、酸化バリウム粉末を含有する吸水材を貼付された封止板と紫外線硬化樹脂製シール剤を用いて貼り合わせ、紫外線照射によりシール剤を硬化させて、有機EL素子を封止した。
作製した有機EL素子について、KEITHLEY社ソースメータ2400、積分球および照度計を組み合わせた測定系で電流−電圧−全光束特性を測定した。電流−電圧特性はいずれの素子でもほぼ同様の結果が得られた。結果は、表6および図12に示した。本発明を適用した透光性基板を用い、同消費電力で比較した場合に、本発明を適用していない比較例と比べて、約1.5倍の光取り出し効率の改善が得られることが、EL素子において確認された。

(白色照明の製造及び評価)
次に、以下の手法で、白色有機EL素子を表2で用いた(A)〜(C)のITO付基板を用いて作製した(素子面積は0.04cm)。
まず、IPAと純水で洗浄した基板(A)〜(C)に、NPDを30nm、共蒸着によりオレンジ色発光層としてNPDにルブレン(図11)を3%ドープした層を60nm、共蒸着により青色発光層として、TBADN(図11)にTBP(図11)を1%ドープした層を50nm、Alq3を20nm、FLiを3nm、陰極としてAlを200nm真空蒸着した。上記のように作製した有機EL素子を、周囲の大気に暴露することなく、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス中に搬送し、有機EL素子を、酸化バリウム粉末を含有する吸水材を貼付された封止板と紫外線硬化樹脂製シール剤を用いて貼り合わせ、紫外線照射によりシール剤を硬化させて、有機EL素子を封止した。
作製した有機EL素子について、KEITHLEY社ソースメータ2400、積分球および照度計を組み合わせた測定系で電流−電圧−全光束特性を測定したところ、いずれの素子においても、CIE色度(0.31,0.33)の白色発光が得られた。また、電流−電圧特性はいずれの素子でもほぼ同様の結果が得られた。各素子に100mA/cmの電流を流した時の全光束測定結果を表7に示した。また、図13には、電流密度−全光束のグラフを示した。本発明を適用した透光性基板を用いた場合に、本発明を適用していない比較例と比べて、同じ電流密度で1.6倍の光束が得られることがわかり、波長依存性無く、光の取り出し効率の向上が可能であることが分かった。また、図14には実際の素子の発光の様子を示したが、本発明を適用した基板(A)では、素子の実際の面積(0.04cm)よりも大きなエリアで発光が観測され、光散乱の効果が確認できた。また、比較例の素子では基板の端面から導波光が確認され、正面に取り出せていないが、本発明の実施例の素子では導波光は確認できず、光の取り出し効率が大幅に向上していることは明らかである。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100、200 面発光素子
110、210 透光性基板
111、211 凹凸面
120、220 透明平坦化膜
130、230 透明導電膜(透明電極)
140、240 有機EL層
150、250 陰極

Claims (10)

  1. 透光性基板と、該透光性基板の表面に形成される透明導電膜とからなる面発光素子用基板において、
    前記透光性基板は、凹凸面を有し、該凹凸面が、450℃以下のガラス転移温度を有するガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物を用いて形成される透明平坦化膜により平坦化されており、
    前記透明平坦化膜の屈折率nd1と、前記透明導電膜の屈折率nd2との関係が、nd1/nd2≧0.9であることを特徴とする、面発光素子用基板。
  2. 前記透明平坦化膜の膜厚が、前記凹凸面の平均表面粗さRaの30倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の面発光素子用基板。
  3. 前記透明平坦化膜の膜厚が、前記凹凸面の最大表面粗さRzの1.3倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の面発光素子用基板。
  4. 前記透明平坦化膜の膜厚が、3μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の面発光素子用基板。
  5. 前記凹凸面の平均表面粗さRaが、0.7μm以上5μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の面発光素子用基板。
  6. 前記凹凸面の凹凸の形状が、ピラミッド形状またはレンズ形状であることを特徴とする、請求項1に記載の面発光素子用基板。
  7. 透光性基板と透明導電膜とからなる面発光素子用基板の製造方法であって、
    透光性基板の表面に、サンドブラスト法またはウェットエッチング法により凹凸面を形成し、
    450℃以下のガラス転移温度を有するガラスフリットと、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物を前記凹凸面に塗布した後に、500℃以下の温度で乾燥及び焼成することにより、前記凹凸面を平坦化する透明平坦化膜を製膜し、
    前記透明平坦化膜の表面に透明導電膜を形成することを特徴とする、面発光素子の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の面発光素子用基板と、
    前記面発光素子用基板の表面に積層された有機EL層と、
    を備える、面発光素子。
  9. 請求項8に記載の面発光素子を備える、照明器具。
  10. 請求項8に記載の面発光素子を備える、表示装置。

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