JP2012131334A - 車両のフロントピラー上部構造 - Google Patents

車両のフロントピラー上部構造 Download PDF

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Abstract

【課題】フロントピラーの剛性向上と応力集中の緩和によってフロントピラーの局部的な変形を防ぎ、フロントピラーの衝撃吸収性能を高めることができる車両のフロントピラー上部構造を提供すること。
【解決手段】インナパネル13とアウタパネル14及びリーンフォースメント15によって閉断面構造を有する車両のフロントピラー7を前側に位置する第1ピラーとその後方に位置する第2ピラーとで構成し、これらの第1ピラーと第2ピラーの間に三角窓を配置した車両のフロントピラー上部構造として、前記第2ピラーの上端位置となる前記インナパネル13に結合面13Aを設け、該結合面13Aによって当該インナパネル13とリーンフォースメント15とを結合し、これらのインナパネル13とリーンフォースメント15によって第1ピラーとルーフサイドレールに亘って連続する閉断面構造を形成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、フロントピラーに三角窓を備えた車両のフロントピラー上部構造に関するものである。
車両には、車体側方の視界を確保するために左右の各フロントピラーに三角窓を設けたものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。ここで、フロントピラーに三角窓を備えた車両のフロントピラーの上部構造の従来例を図8〜図10に基づいて以下に説明する。
即ち、図8は三角窓が設けられた車両のフロントピラー部分の側面図、図9は図8のF−F線断面図、図10は図8のG−G線断面図であり、図8に示すように、フロントピラー107は、前側に位置する第1ピラー107Aとその後方に位置する第2ピラー107Bとで構成されており、これらの第1ピラー107Aと第2ピラー107Bの間に三角窓109が設けられている。
図9に示すように、例えば前側の第1ピラー107Aは、インナパネル113とアウタパネル114及びリーンフォースメント115によって閉断面構造を構成している。
ところで、このようにフロントピラー107に三角窓109を備えた車両が前面衝突した場合のようにフロントピラー107に大きな外力が掛かると、該フロントピラー107の断面積が大きく変化する三叉路部分(第1ピラー107Aと第2ピラー107Bが交わる部分)に応力が集中することが多い。特に、三角窓107が車体上方向に大きく、その上端がルーフに近い車種にあっては、フロントピラー107の意匠形状の曲率が大きくなる部分と三叉路部分が近くなるため、より応力が集中し易い構造となる。
そこで、リーンフォースメント115をフロントピラー107の三叉路部分に設定して車両の衝突性能の向上を図ることが行われている。
特開平8−080868号公報 特開平11−235983号公報 特開2006−151103号公報
しかしながら、従来のフロントピラー上部構造においては、図10に示すようにフロントピラー107の三叉路部分でリーンフォースメント115に自由端115a(結合されない箇所)が生じて閉じ断面が消失するため、リーンフォースメント115の本来の機能が発揮されず、フロントピラー107の三叉路部分での強度及び剛性が不足し、大きな衝撃荷重を受けると三叉路部分が変形し易いという問題がある。
上記問題を解決するためにリーンフォースメントをフロントピラーの三叉路部分を跨ぐ大きな形状に設定し、該リーンフォースメントに自由端が生じないよう構成することが考えられるが、このような構成を採用すると、リーンフォースメントが大きくなって重量増加やコストアップを招くとともに、リーンフォースメントとインナパネルによって構成される閉断面構造の断面積が三叉路部分で急変(増加)するため、その断面積が急変する部分に応力が集中して該部分が変形し易いという問題が発生する。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、フロントピラーの剛性向上と応力集中の緩和によってフロントピラーの局部的な変形を防ぎ、フロントピラーの衝撃吸収性能を高めることができる車両のフロントピラー上部構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、インナパネルとアウタパネル及びリーンフォースメントによって閉断面構造を有する車両のフロントピラーを前側に位置する第1ピラーとその後方に位置する第2ピラーとで構成し、これらの第1ピラーと第2ピラーの間に三角窓を配置した車両のフロントピラー上部構造であって、前記第2ピラーの上端位置となる前記インナパネルに結合面を設け、該結合面によって当該インナパネルと前記リーンフォースメントとを結合し、これらのインナパネルとリーンフォースメントによって前記第1ピラーとルーフサイドレールに亘って連続する閉断面構造を形成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記インナパネルの結合面を、前記第2ピラーの三角窓側フランジと後側フランジとを結ぶ方向であって、且つ、前記第2ピラーを横断する方向に延設したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記第2ピラーの車両の左右方向中心位置に対して該第2ピラーの三角窓側フランジを車両外側に、後側フランジを車両内側にそれぞれ配置するとともに、これらの三角窓側フランジと後側フランジに連続する斜面に前記結合面を形成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、第2ピラーの上端位置となるインナパネルに設けられた結合面によって当該インナパネルとリーンフォースメントとを結合したため、リーンフォースメントがその本来の機能を十分発揮することができ、このリーンフォースメントによってフロントピラーの剛性が高められ、車両前方から加わる外力をフロントピラーからルーフサイドレールに伝達することができる。そして、第2ピラー上端位置のインナパネルとリーンフォースメントによって第1ピラーとルーフサイドレールに亘って連続する閉断面構造を形成したため、閉断面構造の断面積の急変による応力集中を避けることができる。
従って、フロントピラーの剛性向上と応力集中の緩和によって該フロントピラーの局部的な変形を防ぎ、フロントピラーの衝撃吸収性能を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、インナパネルの結合面を、第2ピラーの三角窓側フランジと後側フランジとを結ぶ方向であって、且つ、第2ピラーを横断する方向に延設したため、比較的長い結合面を形成することができ、該結合面によるインナパネルとリーンフォースメントとを複数箇所で結合することができ、その結合強度を高めることができる。又、第2ピラーの上端部に連続する閉断面構造を容易に形成することができ、応力集中がなくて力の伝達に有効な閉断面形状を実現することができる。
請求項3記載の発明によれば、第2ピラーの車両の左右方向中心位置に対して該第2ピラーの三角窓側フランジを車両外側に、後側フランジを車両内側にそれぞれ配置するとともに、これらの三角窓側フランジと後側フランジに連続する斜面に結合面を形成したため、第2ピラー上端位置のインナパネルとリーンフォースメントとの間に閉断面を容易に形成することができる。又、その閉断面を第1ピラーとルーフサイドレールに断面積の大きな変化を生じることなく一層滑らかに連続させることができ、応力集中の生じない剛性の高いフロントピラーを構成することができる。
本発明に係るフロントピラー上部構造を備える車両の側面図である。 本発明に係るフロントピラー上部構造を備える車両のフロントピラー部分の側面図である。 図2の矢視A方向の図である。 図2のB部(三叉路部分)拡大詳細図である。 図4のC−C線断面図である。 図4のD−D線断面図である。 図4のE−E線断面図である。 従来のフロントピラー上部構造を備える車両のフロントピラー部分の側面図である。 図8のF−F線断面図である。 図8のG−G線断面図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るフロントピラー上部構造を備える車両の側面図、図2は同車両のフロントピラー部分の側面図、図3は図2の矢視A方向の図、図4は図2のB部(三叉路部分)拡大詳細図、図5は図4のC−C線断面図、図6は図4のD−D線断面図、図7は図4のE−E線断面図である。
図1に示す車両1の前輪2と後輪3の間には左右一対のサイドシル4が車両前後方向に沿って配されており、車室の上部を形成するルーフパネル5の左右両側にはルーフサイドレール6が車両前後方向に沿って配されている。そして、左右一対のサイドシル4とルーフサイドレール6の各前端同士は左右一対の各フロントピラー7によって連結されており、各フロントピラー7のフロントガラス8に沿って緩やかに傾斜する上半部には三角窓9が固設されている。尚、各フロントピラー7の下半部はフェンダパネル10によって被覆されている。又、左右のフロントピラー7の車両後方には開閉可能な左右のフロントドア11とリヤドア12がそれぞれ設けられている。
ここで、前記フロントピラー7の上部構造を図2〜図7に基づいて以下に説明する。尚、左右一対のフロントピラー7の構造は同じであるため、以下、一方のフロントピラー7についてのみ図示及び説明する。
各フロントピラー7は,図5〜図7に示すように、板金のプレス成形品であるインナパネル13とアウタパネル14及びリーンフォースメント15によって閉断面構造を構成している。具体的には、車室内側に位置するインナパネル13と車室外側に位置するアウタパネル14の間に補強部材であるリーンフォースメント15を挟み込み、インナパネル13とアウタパネル14の各前側フランジ同士13a,14a及び後側フランジ同士13b,14bを重ね合わせて溶接することによって閉断面構造を有するフロントピラー7が構成される。
而して、閉断面構造を有するフロントピラー7は、図2に示すように、前側に位置する第1ピラー7Aとその後方に位置する第2ピラー7Bとで構成されており、これらの第1ピラー7Aと第2ピラー7Bの間に前記三角窓9が固設されている。つまり、フロントピラー7には三角窓用の開口が形成されており、三角窓用の開口でその前方側の第1ピラー7Aと開口の後方となる第2ピラー7Bに分割され、三角窓用の開口の周縁にて、インナパネル13とアウタパネル14の各三角窓側フランジ同士13c,14cを重ね合わせて溶接することによって第1ピラー7Aと第2ピラー7Bの閉断面構造が構成される。尚、この各三角窓側フランジ同士13c,14cを重ね合わせて溶接し単一面として形成されたフランジを利用して前記三角窓9が固設されている。
ところで、フロントピラー7の上部の第1ピラー7Aと第2ピラー7Bとが交わる三叉路部分においては、軽量化とコストダウンのためにリーンフォースメント15は、図4に示すように、第2ピラー7Bにまでは延びていない。このため、図6に示すように、フロントピラー7の三叉路におけるリーンフォースメント15にはこのままでは従来と同様に(図10参照)自由端15aが存在し、閉じ断面の不連続部分が存在することになる。
これに対して、フロントピラー7の三叉路部分以外の例えば第1ピラー7Aにおいては、図5に示すようにインナパネル13とアウタパネル14及びリーンフォースメント15によって閉断面構造が構成されており、この閉断面構造にはインナパネル13とリーンフォースメント15とで囲まれる閉断面X1が形成されている。尚、図示しないが、第2ピラー7Bにおいても、インナパネル13とアウタパネル14によって閉断面構造が構成されている。
又、第1ピラー7Aと第2ピラー7Bが合流して前記ルーフサイドレール6(図1参照)に連なる部分においても、図7に示すように、インナパネル13とアウタパネル14及びリーンフォースメント15によって閉断面構造が構成されており、この閉断面構造にはインナパネル13とリーンフォースメント15とで囲まれる閉断面X3が形成されている。
これに対して、フロントピラー7の第1ピラー7Aと第2ピラー7Bとが合流する三叉路部分においては、図6に示すようにリーンフォースメント15に自由端15aが形成され、そのままでは前述のようにリーンフォースメント15がその本来の機能を発揮することができないため、本実施の形態では、図3及び図6に示すように、第2ピラー7Bの上端位置となるインナパネル13にリーンフォースメント15に向かって膨出する斜面状の結合面13A(図3において斜線を付した面)を設け、該結合面13Aによってインナパネル13とリーンフォースメント15の自由端15aとを結合する構成を採用している。この結果、フロントピラー7の三叉路部分においても、インナパネル13とアウタパネル14及びリーンフォースメント15によって閉断面構造が構成され、この閉断面構造にはインナパネル13とリーンフォースメント15によって第1ピラー7Aとルーフサイドレール6に亘って連続する閉断面X2が形成されている。ここで、互いに連続する第1ピラー7Aにおける閉断面X1(図5参照)の断面積と三叉路部分における閉断面X2(図6参照)の断面積及び第1ピラー7Aと第2ピラー7Bが合流した後の部分における閉断面X3(図7参照)の断面積はほぼ同じであって、これらの連続する閉断面X1〜X3には断面積が急変する箇所や閉じ断面の不連続部分が存在しない。尚、図6に示すように、本実施の形態ではインナパネル13を2枚のパネルの接合構造としたが、該インナパネル13を1枚のパネルで構成しても良い。
ところで、第2ピラー7Bの上端位置となるインナパネル13に設けられた結合面13Aは、図6に示すように、第2ピラーの7Bのインナパネル13とアウタパネル14の三角窓側フランジ(三角窓の周縁フランジ)13c,14cと後側フランジ13b,14bとを結ぶ方向であって、且つ、第2ピラー7Bの上端位置を横断する方向に延設されている。そして、本実施の形態では、図6に示すように、第2ピラー7Bの車両の左右方向中心位置に対して該第2ピラー7Bのインナパネル13とアウタパネル14の三角窓側フランジ13c,14cは車両外側に、後側フランジ13b,14bは車両内側にそれぞれ配置されるとともに、これらの三角窓側フランジ13c,14cと後側フランジ13b,14bに連続する斜面に結合面13Aが形成されている。
以上のように、本実施の形態では、第2ピラー7Bの上端位置となるインナパネル13に設けられた結合面13Aによって当該インナパネル13とリーンフォースメント15とを結合したため、閉じ断面を形成することができリーンフォースメント15がその本来の機能を十分発揮することができ、このリーンフォースメント15によってフロントピラー7の剛性が高められ、車両前方から加わる外力をフロントピラー7からルーフサイドレール6に伝達することができる。そして、第2ピラー7B上端位置のインナパネル13とリーンフォースメント15によって第1ピラー7Aとルーフサイドレール6に亘って連続する閉断面構造を形成したため、閉断面構造の断面積の急変による応力集中を避けることができる。
従って、本発明によれば、フロントピラー7の剛性向上と応力集中の緩和によって該フロントピラー7の局部的な変形を防ぎ、フロントピラー7の衝撃吸収性能を高めることができるという効果が得られる。
又、本実施の形態では、インナパネル13の結合面13Aを、第2ピラー7Bのインナパネル13とアウタパネル14の三角窓側フランジ13c,14cと後側フランジ13b,14bとを結ぶ方向であって、且つ、第2ピラー7B上端を横断する方向に延設したため、比較的長い結合面13Aを形成することができ、該結合面13Aによるインナパネル13とリーンフォースメント15とを複数箇所で結合することができ、その結合強度を高めることができる。そして、第2ピラー7Bの上端部に連続する閉断面構造を容易に形成することができ、応力集中がなくて力の伝達に有効な閉断面形状を実現することができる。
更に、本実施の形態によれば、第2ピラー7Bの車両の左右方向中心位置に対して該第2ピラー7Bのインナパネル13とアウタパネル14の三角窓側フランジ13c,14cを車両外側に、後側フランジ13b,14bを車両内側にそれぞれ配置するとともに、これらの三角窓側フランジ13c,14cと後側フランジ13b,14bに連続する斜面に結合面13Aを形成したため、第2ピラー7Bの上端位置においてインナパネル13とリーンフォースメント15との間に閉断面を容易に形成することができる。又、その閉断面を第1ピラー7Aとルーフサイドレール6に断面積の大きな変化を生じることなく一層滑らかに連続させることができ、応力集中の生じない剛性の高いフロントピラー7を構成することができるという効果が得られる。
1 車両
6 ルーフサイドレール
7 フロントピラー
7A 第1ピラー
7B 第2ピラー
9 三角窓
13 インナパネル
13A インナパネルの結合面
13a インナパネルの前側フランジ
13b インナパネルの後側フランジ
13c インナパネルの三角窓側フランジ
14 アウタパネル
14a アウタパネルの前側フランジ
14b アウタパネルの後側フランジ
14c アウタパネルの三角窓側フランジ
15 リーンフォースメント
15a リーンフォースメントの自由端
X1〜X3 閉断面

Claims (3)

  1. インナパネルとアウタパネル及びリーンフォースメントによって閉断面構造を有する車両のフロントピラーを前側に位置する第1ピラーとその後方に位置する第2ピラーとで構成し、これらの第1ピラーと第2ピラーの間に三角窓を配置した車両のフロントピラー上部構造であって、
    前記第2ピラーの上端位置となる前記インナパネルに結合面を設け、該結合面によって当該インナパネルと前記リーンフォースメントとを結合し、これらのインナパネルとリーンフォースメントによって前記第1ピラーとルーフサイドレールに亘って連続する閉断面構造を形成したことを特徴とする車両のフロントピラー上部構造。
  2. 前記インナパネルの結合面を、前記第2ピラーの三角窓側フランジと後側フランジとを結ぶ方向であって、且つ、前記第2ピラーを横断する方向に延設したことを特徴とする請求項1記載の車両のフロントピラー上部構造。
  3. 前記第2ピラーの車両の左右方向中心位置に対して該第2ピラーの三角窓側フランジを車両外側に、後側フランジを車両内側にそれぞれ配置するとともに、これらの三角窓側フランジと後側フランジに連続する斜面に前記結合面を形成したことを特徴とする請求項2記載の車両のフロントピラーの上部構造。
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