JP2012131221A - 金属複合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱硬化性樹脂を含有するシート状基材2と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材1、3とを備えるプリフォーム10を加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、成形金型11、12内に配置された該プリフォームにおける該金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、該シート状基材を加熱して該熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、該第1の工程で加熱された該プリフォームを、加圧により複合体に成形する第2の工程とを備える。
【選択図】図1
Description
シート状基材は、熱硬化性樹脂を含有し、後述する第1の工程で該熱硬化性樹脂は硬化反応が開始される。また、シート状基材は、後述する第2の工程で金属材とともに成形され、金属複合体における樹脂硬化層を形成する。
金属材は、後述する第1の工程で180℃を超える温度に加熱されるとともに、後述する第2の工程で成形され、金属複合体における金属材を形成する。
プリフォームは、前記シート状基材と、該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備える。プリフォームは、後述する第1の工程において加熱されるとともに、後述する第2の工程において加圧成形され、金属複合体を形成する。
以下、本実施形態に係る金属複合体の製造方法の各工程について詳細に説明する。
第1の工程では、成形金型内に配置されたプリフォームにおける金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、シート状基材をも同時に加熱することになり熱硬化性樹脂を半硬化させる。
第1の工程では、該プリフォームを、180℃を超える表面温度を有する成形金型に配置する。ここでの表面温度とは、金属複合体を成形するキャビティの温度を意味する。成形金型の表面温度を上げる方法に特に制限はなく、成形金型をホットプレス機に装着する方法、成形金型内にヒーターを埋設する方法、電磁誘導加熱やハロゲンヒーターなどで外部から直接加熱するなど、公知の方法が例示できる。
本発明において、第2の工程では、金属材は180℃を超える温度に加熱されており、好ましくは200〜250℃に加熱されている。
本実施形態に係る製造方法により製造される金属複合体は、金属材と、該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える。ここで、樹脂硬化層は、上記シート状基材を加熱して、シート状基材に含まれる熱硬化性樹脂を硬化してなる層である。
本実施形態に係る製造方法によれば、金属材と樹脂硬化層との間には強固な接着構造が形成されるが、この理由としては、金属材の表面の粗大または微細な凹凸形状に沿って熱硬化性樹脂が充填して硬化したことや、比較的高温での硬化反応により金属材との化学的結合力が高められたことなどが一因として挙げられる。
(熱硬化性樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂として“エピコート”828、“エピコート”834、“エピコート”1001(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピコート”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、硬化剤としてDicy7(ジシアンアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)、硬化促進剤として“オミキュア”24(2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイジャパン(株)製)を用い、表1に示す質量比で混合して樹脂組成物を調製した。
調製した樹脂組成物を、リバースロールコータを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、25g/m2とした。
次いで、金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム板(A1100)を準備した。なお、アルミニウム板の表面には、平均孔径30μmの多数の孔が観測された。
図2(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも220℃である。
(プリフォームの作製)
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのマグネシウム合金板(AZ31)を準備した。なおマグネシウム合金板の表面には平均孔径50μmの多数の孔が観察された。実施例1で用いたシート状基材を用いて、実施例1と同様にプリフォームを作製した。
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも210℃である。
金属材として、金属表面にアルマイト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム板(A1100)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。なお、金属板の表面には平均孔径0.05μmの多数の孔が観察された。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
(シート状基材の作製)
実施例1で調整した熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、50g/m2とした。
(プリフォームの作製)
実施例1で製造したシート状基材と金属材を用い、金属材/シート状基材の二層を積層し、プリフォームとした以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
第1の工程でプリフォームを配置して約0.5分後、第2の工程での加圧時間を約1分間とした以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造した。約2分間加圧を行った後、成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。次に、金属複合体を雰囲気温度が150℃に調整された熱風オーブンに入れ、10分間アフターキュアを行った。得られた金属複合体において、実施例1と同様に評価を行った。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金(A5052)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。
金属材として、金属表面にアルマイト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を用いた以外は、実施例3と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金(A5052)を用いたこと以外は、実施例4〜6と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。
ベンゾオキサジン樹脂として、F−a型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成工業(株)製)、酸触媒として、DY9577(ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ(株)製、三塩化ホウ素オクチルアミン錯体)を用い、表2に示す質量比で混合した。この樹脂組成物を、シート状基材を形成する熱硬化性樹脂として用いた以外は、実施例1と同様とした。粘度計を用いて樹脂の粘度を測定した結果から、樹脂の硬化度を算出したところ、第1の工程において、半硬化の状態であることがわかった。
フェノール樹脂として、フェノライト(登録商標)5010(DIC(株)製、レゾール型フェノール樹脂)を準備し、シート状基材を形成する熱硬化性樹脂として用いたこと以外は、実施例1と同様とした。
金属材として、金属表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.2mmのチタン合金板(Ti−6Al−4V)を用いることと、成形金型の表面温度を240℃とすること以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。なお、金属板の表面には平均孔径15μmの多数の孔が観察された。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
上下の成形金型温度を190℃とすること以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。なお、第1の工程時の金属材の表面温度は、185℃であった。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
金属材の対向する2辺の端辺を図5(a)に示すように、約90°のL曲げ加工したアルミニウム合金(A5052)を準備した。実施例1と同じシート状基材を図5(b)に示すように配置し、L曲げ部分を曲げ込んで、プリフォームとした。これら以外は、実施例5と同様にして成形を行った。成形金型の加圧によって、曲げ込んだL曲げ部が平潰しされ、端部がヘミング加工された金属複合体を得た。
(プリフォームの作製)
熱硬化性樹脂を表3に示す組成質量比で混合する以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造する。
図2(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。
実施例2のプリフォームを用いて、金属複合体の製造を行う。
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも130℃とした以外は、実施例2と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。製造条件および、評価結果を表3に記載する。
(プリフォームの作製)
金属材に、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を用いること以外は、比較例1と同様の方法で金属複合体を製造する。
シート状基材を用いず、金属材として、金属表面にアルマイト処理を施した厚み1.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を用いてプリフォームとすることと、第1の工程および第2の工程における成形圧力を0.5MPaとすることを除いて、実施例3と同じ要領で加熱および加圧を行った。
金属材として用いる金属の表面を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(コントローラー部)/VK−9510(測定部)((株)キーエンス製)を使用して、拡大倍率100倍で撮影した。撮影した画像より解析アプリケーションVK−H1A9を使用して金属表面に形成される任意の孔径D(n)(n=1〜100)を測定し、平均孔径を求めた。
製造された金属複合体の平滑部より、40mm角の試験片を切り出し、サンドブラストを用いて両表面を粗化し、アセトンで油分を拭き取った後、構造用エポキシ樹脂(東レファインケミカル(株)製ケミットTE−2220)を用いて、直径10mmの貫通孔を備えた40mm立方のアルミニウム合金製ブロックを接着した。もう一方の面に対しても同様にアルミニウム合金製ブロックを接着し、図4に示す接着強度測定用サンプルを作製した。引張試験装置“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)の上下に取り付けた固定具とアルミニウム合金製ブロックの貫通孔にピンを通して接続し、引張速度1.6mm/分で評価サンプル数nを5として評価を行った。得られた値と次式(1)より金属複合体の接着強度Sを算出した。計算によって得られた接着強度が10MPa以上であれば、おおよそマニュアルでの剥離は困難である。
S=P/A (1)
S:接着強度[MPa]、P:最大荷重[N]、A:サンプルの断面積[mm2]
2 シート状基材
3 金属材
4 一方の部材
5 他方の部材
6 接着剤
7 アルミニウム合金製ブロック
8 L曲げされた金属材
10 プリフォーム
11 上側成形金型
12 下側成形金型
20 金属複合体から切り出した試験片
21 上側成形金型
22 下側成形金型
Claims (18)
- 熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、
成形金型内に配置された該プリフォームにおける該金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、該シート状基材を加熱して該熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、
該第1の工程で加熱された該プリフォームを、加圧により複合体に成形する第2の工程と、
を備え、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である、金属複合体の製造方法。 - 熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、
180℃を超える表面温度を有する成形金型に該プリフォームを配置する第1の工程と、
該第1の工程で加熱されてなる該金属材の表面が180℃を超えてから、該プリフォームを加圧により複合体に成形する第2の工程と、
を備え、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である、金属複合体の製造方法。 - 前記第1の工程と前記第2の工程とを同一の成形金型内で行う、請求項1または2に記載の金属複合体の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記プリフォームを成形するとともに、前記熱硬化性樹脂を硬化させる、請求項1〜3のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記第1の工程における前記温度が、200〜250℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記第2の工程における前記加圧が、3〜30MPaの加圧である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記プリフォームのエッジがヘミング加工または圧接加工される、請求項1〜6のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記第2の工程で成形された前記複合体に対してアフターキュアを行う工程を更に備える、請求項1〜7のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記シート状基材は、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸したプリプレグである、請求項1〜8のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記シート状基材は、130℃×10分の条件において前記熱硬化性樹脂が硬化状態になるものである、請求項1〜9のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記シート状基材は、硬化促進剤をさらに含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記金属材は、厚みが0.1〜1mmの板状体である、請求項1〜11のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記金属材は、少なくとも前記シート状基材と接する面が、物理的、化学的または電気的に表面粗化されている、請求項1〜12のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記金属材は、少なくとも前記シート状基材と接する面に、0.01〜100μmの孔が複数形成されている、請求項1〜13のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記金属材は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、および、それらを含む合金からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜14のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 前記プリフォームは、前記シート状基材の両面にそれぞれ前記金属材を積層したサンドイッチ構造を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の成形体の製造方法。
- 前記金属材と前記樹脂硬化層との接着強度が10MPa以上である金属複合体を製造する、請求項1〜16のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の金属複合体の製造方法によって製造された金属複合体を備える、電子機器筐体。
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