JP2012131221A - 金属複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属材同士、または金属材と他の構造部材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体の製造方法であって、金属材の複雑形状への加工性と短時間での複合化とを容易に達成し、且つ、接着強度に優れる金属複合体を製造可能な、製造方法を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂を含有するシート状基材2と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材1、3とを備えるプリフォーム10を加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、成形金型11、12内に配置された該プリフォームにおける該金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、該シート状基材を加熱して該熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、該第1の工程で加熱された該プリフォームを、加圧により複合体に成形する第2の工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属複合体の製造方法に関する。
金属材と繊維強化樹脂材とを積層・接着した金属複合体は、金属が有する均質的な強度や弾性率、優れた耐衝撃性、熱伝導性等の特性と、繊維強化樹脂が有する優れた軽量性、比強度、比弾性率および繊維方向による補強の異方性等の特性とを両立することができ、航空機部材、自動車部材、船舶部材、機械機構部材、ゴルフクラブ、ノートパソコンやビデオカメラなどの電子機器の部材などの多様な用途に用いられている(特許文献1〜5を参照。)。
従来、このような金属複合体を製造する場合に、金属材を所定の形状に成形した後、熱硬化性樹脂を配置して硬化させ、繊維強化樹脂部材を形成することが一般的であった。例えば、特許文献4では、成形された後の金属パイプに、強化繊維および熱硬化樹脂を注入して硬化させることにより複合構造材を製造している。
また、二つ以上の金属材を、熱硬化性樹脂を介して接着した金属複合材を製造する場合にも、同様に金属材をそれぞれ所定形状に成形した後、金属材と金属材の間に熱硬化性樹脂を配置して硬化させて接着することが一般的であった。
しかしながら、このような製造方法では、金属材の成形工程と、複合化される他の構造部材の成形工程とが必須となり、製造効率が悪いという問題がある。また、金属材を複雑形状に成形した後で熱硬化性樹脂を配置するため、製造工程の中で接着強度を保証することが困難であり、例えば一部でも熱硬化性樹脂が十分に配置されていないと、金属複合体が剥離するなどして使用時に問題が生じる恐れがある。
特開2006−297929号公報 特開2010−131789号公報 特開2005−161852号公報 特開2006−123209号公報 特開2009−045129号公報 特開平3−177418号公報 特開平3−296525号公報 特開昭64−70523号公報
本発明の課題は、金属材同士、または金属材と他の構造材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体の製造方法であって、金属材の複雑形状への加工性と短時間での複合化を容易に達成し、且つ、接着強度に優れる金属複合体を製造可能な、製造方法を提供することにある。
本第1の発明は、熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、成形金型内に配置された上記プリフォームにおける該金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、該シート状基材を加熱して該熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、該第1の工程で加熱された上記プリフォームを、加圧により複合体に成形する第2の工程と、を備え、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である、金属複合体の製造方法を提供する。
本第2の発明は、熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、180℃を超える表面温度を有する成形金型に該プリフォームを配置する第1の工程と、該第1の工程で加熱されてなる該金属材の表面が180℃を超えてから、該プリフォームを加圧により複合体に成形する第2の工程と、を備え、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である、金属複合体の製造方法を提供する。
従来、上記のような熱硬化性樹脂を用いる場合、その硬化反応が暴走することを避けるため、高くても180℃以下の温度で硬化させることが一般的である。これは、金属複合体の製造においても同様で、通常、上記のような熱硬化性樹脂を、180℃を超える温度で硬化させると、硬化反応が暴走して金属複合体の成形を阻害することが考えられる。
さらに、金属材の熱間加工には高い圧力が必要であり、上記のような熱硬化性樹脂を用いる場合、その圧力で成形金型の外へ熱硬化性樹脂が過剰に流出してしまい、金属複合体の成形を阻害することが考えられる。
しかしながら、本発明においては、第1の工程で熱硬化性樹脂を半硬化させるため、第2の工程で金属を熱間加工してもその圧力で成形金型の外へ過剰に流出することがなく、かつ金属材と樹脂硬化層との強固な接着構造を形成することができる。
ここで、金属の熱間加工を行う場合、180℃以下の温度では金属材の成形性に劣り、複雑形状への成形が困難であったところ、本発明では金属材を、180℃を超える温度に加熱しているため、金属材を十分に軟化させることができ、複雑形状を容易に成形することができる。さらに、本発明においては、上記のような熱硬化性樹脂を常に180℃を超える温度に曝す必要がないため、従来のような硬化反応の暴走を抑制することができる。
本発明によれば、金属材と樹脂硬化層との間には強固な接着構造が形成されるが、この理由としては、金属材の表面の粗大または微細な凹凸形状に沿って熱硬化性樹脂が充填して硬化したことで、金属材との化学的・物理的結合力が高められたためと考えられる。
本発明の製造方法において、前記第1の工程と前記第2の工程とは、同一の成形金型内で行うことができる。このような製造方法によれば、より高い生産性と経済性で金属複合体を製造することができる。
本発明の製造方法においては、前記第2の工程において、前記プリフォームを成形するとともに、前記熱硬化性樹脂を硬化させておくことが好ましい。このような製造方法によれば、前記プリフォームの成形と熱硬化性樹脂の硬化とが1工程で行われるため、より高い生産性で金属複合体を製造することができる。
本発明の製造方法において、前記第1の工程における前記温度は、200〜250℃とすることが好ましい。このような製造方法によれば、金属材の軟化により、複雑形状への成形が一層容易となる。
本発明の製造方法において、前記第2の工程における前記加圧は、3〜30MPaの加圧とすることができる。このような製造方法によれば、金属材の成形が一層容易となる。
本発明の製造方法においては、前記第2の工程において、前記プリフォームのエッジがヘミング加工または圧接加工されてもよい。このような製造方法によれば、金属複合体の末端部の美観が良好となるとともに、金属材と樹脂硬化層との接合がより強固なものとなる。
本発明の製造方法は、前記第2の工程で成形された前記複合体に対してアフターキュアを行う工程を更に備えていてもよい。このような製造方法によれば、成形金型の拘束時間を低減することができるとともに、金属材と樹脂硬化層との接着性が一層向上する。
本発明の製造方法において、前記シート状基材は、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸したプリプレグであってもよい。このようなシート状基材は、成形後に繊維強化複合材料として機能する。そのため、このような製造方法により得られる金属複合体は、金属材と繊維強化複合材料との積層体となり、優れた軽量性と高い力学特性とを満足することができる。
本発明の製造方法において、前記シート状基材は、130℃×10分の条件において前記熱硬化性樹脂が硬化状態になるものであることが好ましい。このような製造方法によれば、成形サイクルを短縮することができる。
本発明の製造方法において、上記シート状基材は、硬化促進剤をさらに含有していてもよい。このような製造方法により、上記熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させ、成形サイクルを一層短縮することができる。
本発明の製造方法において、前記金属材は、厚みが0.1〜1mmの板状体であってもよい。このような金属材を用いて製造されることで、金属材の成形性を高め、複雑形状への成形を一層容易となる。
本発明の製造方法において、前記金属材は、少なくとも前記シート状基材と接する面が、物理的、化学的または電気的に表面粗化されていてもよい。このような金属材によれば、金属材と樹脂硬化層との接着性に一層優れる金属複合体が製造される。
本発明の製造方法において、前記金属材は、少なくとも前記シート状基材と接する面に、0.01〜100μmの孔が複数形成されていてもよい。このような金属材によれば、金属材と樹脂硬化層との接着性に一層優れる金属複合体が製造される。
本発明の製造方法において、前記金属材は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、および、それらを含む合金からなる群より選択される少なくとも一種のであることが好ましい。このような金属材は、前記製造方法において複雑形状への成形を特に容易に行うことができる。
本発明の製造方法において、前記プリフォームは、前記シート状基材の両面にそれぞれ前記金属材を積層したサンドイッチ構造を有するものとすることができる。このようなプリフォームによれば、樹脂硬化層の両面に金属材が積層されたサンドイッチ構造を有する金属複合体が製造される。このような製造方法によると、二つの金属材をそれぞれ個別に成形して熱硬化性樹脂で接着するような方法と比べて、金属複合体としての寸法精度に優れ、かつ高い生産性と経済性で金属複合体を製造することができる。
本発明の製造方法によれば、例えば、前記金属材と前記樹脂硬化層との接着強度が10MPa以上である金属複合体を製造することができる。
本発明はまた、前記本発明に係る金属複合体の製造方法によって製造された金属複合体を備える、電子機器筐体を提供する。
本発明によれば、金属材同士、または金属材と他の構造材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体の製造方法であって、金属材の複雑形状への加工性と短時間での複合化とを容易に達成し、且つ、接着強度に優れる金属複合体を製造可能な、製造方法が提供される。
本発明に係る金属複合体の製造方法の一実施形態を説明する模式断面図である。 本発明に係る金属複合体の製造方法の他の実施形態を説明する模式断面図である。 本発明に係る金属複合体の製造方法における温度、時間および圧力の関係の一例を示す図である。 本発明において、金属複合体の接着強度測定のためのサンプルを示す模式斜視図である。 本発明の実施例16でヘミング加工した金属複合体の製造方法を説明する模式断面図である。
本発明に係る成形体の製造方法の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態においては、後述する第1の工程と第2の工程とを備える製造方法により、熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームから、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体が製造される。
(シート状基材)
シート状基材は、熱硬化性樹脂を含有し、後述する第1の工程で該熱硬化性樹脂は硬化反応が開始される。また、シート状基材は、後述する第2の工程で金属材とともに成形され、金属複合体における樹脂硬化層を形成する。
シート状基材は、熱硬化性樹脂または該熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を、シート状で取り扱うために加工した材料であれば特に制限はなく、例えば離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムであってよい。さらに、繊維基材に熱硬化性樹脂または該熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を含浸させたプリプレグであってもよい。
このとき、含浸の度合いについては特に制限はなく、ボイドがない完全含浸状態や、繊維基材の内部に全体的にボイドを有する半含浸状態、繊維基材に不均一に含浸部と未含浸部を有する部分含浸状態、さらには基材の表層部に樹脂組成物が付着し固定されている状態であってもよい。 熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を用いることで、生産性と経済性に優れた金属複合体を得ることができる。なかでも、接着強度の高さと、最終製品が使用される環境に応じて設計の自由度の高さからエポキシ樹脂が好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂組成物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂およびこれらの混合物を用いることができる。エポキシ樹脂は、これらの樹脂単独でも混合でもよい。特に、耐熱性、機械特性のバランスがとれた複合材料を要する場合には、多官能エポキシ樹脂に、2官能エポキシ樹脂を組み合わせたもの、例えば、多官能エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、2官能エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂を組み合わせることが好ましい。
シート状基材は、130℃×10分の条件で熱硬化性樹脂が硬化状態になるものであることが好ましい。このようなシート状基材を得るため、上記の熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物に、さらに硬化剤を含有させてもよい。硬化剤の種類は、熱硬化性樹脂に応じて適宜変更することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、アミン化合物、酸無水物、フェノール類、メルカプタン、イソシアネートなどの重付加型の重合をする硬化剤、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸などのアニオン重合またはカチオン重合の開始剤として機能する硬化剤が例示できる。とりわけアミン化合物は、用途に応じて設計の自由度が高く好ましい。
アミン系硬化剤とは、硬化剤分子中に窒素原子を有する硬化剤をいう。かかる硬化剤としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンのような活性水素を有する芳香族ポリアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などを用いることができる。
アミン系硬化剤としては、上記のうち、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン化合物が好ましく用いられる。ジシアンジアミドまたは芳香族ポリアミン化合物を用いると、熱硬化性樹脂から弾性率、耐熱性の高い硬化物が得られるようになる。中でも、ジシアンジアミド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンは、耐熱性、特に耐湿耐熱性に優れる樹脂組成物が得られること、エポキシ樹脂中に混合し一液化した場合に優れた貯蔵安定性を有すること、等の理由から特に好ましい。
上記樹脂組成物においては、上記硬化剤に、硬化活性を高めるために適当な硬化促進剤を組み合わせることができる。例えば、ジシアンジアミドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体やイミダゾール誘導体を硬化促進剤として組み合わせて好適に用いることができる。特に、ジシアンジアミドと1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物との組み合わせが好ましい。1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物としては、1,1’−4(メチル−m−フェニレン)ビス(3,3−ジメチルウレア)あるいは4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)が好ましく、これらの化合物を用いた場合、厚みの薄い板での難燃性が大幅に向上し、電気・電子材料用途等に応用した場合、特に好ましい。
このほかには、芳香族アミンに三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化促進剤として組合せる例などがあげられる。
また、硬化剤として、70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤を用いることもできる。ここで、70〜125℃で活性化するとは、反応開始温度が70〜125℃の範囲にあることをいう。かかる反応開始温度(以下、活性化温度という)は示差走査熱量分析(DSC)により求めることができる。具体的には、エポキシ当量184〜194程度のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に評価対象の硬化剤10重量部を加えたエポキシ樹脂組成物について、示差走査熱量分析により得られる発熱曲線の変曲点の接線とベースラインの接線の交点から求められる。かかる活性化温度が70℃未満であると保存安定性が十分でない場合があり、125℃を超えると期待されるような硬化性が得られない場合がある。
70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤としては、かかる活性化温度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アミンアダクト型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、アミンイミド、ブロックイソシアネート、エポキシ基にカルバミン酸エステルを反応させオキサゾリジノン環とした化合物、ビニルエーテルブロックカルボン酸、イミダゾールとカルボン酸との塩、アミンのカルバミン塩、オニウム塩などが挙げられる。
ここで、アミンアダクト型潜在性硬化剤とは、一級、二級もしくは三級アミノ基をもつ化合物や、種々のイミダゾール化合物などの活性成分を、それらの化合物と反応しうる何らかの化合物と反応させることによって高分子量化し、保存温度にて不溶化したもののことをいう。アミンアダクト型潜在性硬化剤としては、“アミキュア”(登録商標)PN−23、MY−24(以上、味の素ファインテクノ(株)製)、“アデカハードナー”(登録商標)EH−3293S,EH−3615S、EH−4070S(以上、旭電化工業(株)製)、“フジキュアー”(登録商標)FXE1000,FXR−1020(以上、富士化成工業(株)製)などを用いることができ、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、“ノバキュア”(登録商標)HX−3721、HX−3722(旭化成工業(株)製)などを用いることができる。これらの中でも、特に“アミキュア”PN−23のようなアミンアダクト型潜在性硬化剤は、室温での優れた保存安定性を有しかつ速硬化性が顕著なため好ましく用いることができる。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤とは、硬化剤を核とし、これをエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン系、ポリイミドなどの高分子物質や、サイクロデキストリン等をシェルとして被膜したりすることにより、エポキシ樹脂と硬化剤との接触を減少させたものである。
また、硬化剤が70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤に特定の硬化剤を組み合わせると、低温で速硬化が可能となる。例えば、“アミキュア”PN−23などの潜在性硬化剤にバジンジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジドを組み合わせた硬化剤系や、潜在性硬化剤にDCMUなどの硬化促進剤を組み合わせた硬化剤系は、110℃に10分程度で硬化が可能となり好ましく用いられる。
また、上記特許文献6記載のアミン化合物とエポキシ樹脂と尿素を加熱反応させてなる硬化剤化合物、上記特許文献7記載のN、N−ジアルキルアミノアルキルアミンと活性水素を持つ窒素原子を有する環状アミンとイソシアネート、或いはさらにエポキシドとを加熱反応させて得られた硬化性化合物、上記特許文献8記載の特定のアミン化合物をコアとし、それとエポキシ樹脂の反応生成物をシェルとしてなるマスターバッチ型硬化剤等も用いることができる。これらを単独または複数組み合わせてもよい。
上記樹脂組成物には、上記以外の化合物を配合してもよく、例えば、粘弾性制御や靭性付与のために熱可塑性樹脂を配合することができる。また、難燃性を向上させるためにハロゲン化合物、リン系化合物、窒素系化合物、金属酸化物、金属水酸化物等を配合することもできる。
シート状基材がプリプレグである場合、繊維基材としては、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、不織布、マット、組み紐などの繊維構造物を用いることができる。
一方向プリプレグは、繊維の方向が揃っており、繊維の曲がりが少ないため繊維方向の強度利用率が高いため好ましい。また、複数の一方向プリプレグを、適切な層構成で積層したものを繊維基材として用いると、各方向の弾性率、強度を自由に制御できるため好ましい。織物プリプレグも、強度、弾性率の異方性が少ない材料が得られることから好ましい。複数種のプリプレグ、例えば一方向プリプレグと織物プリプレグの両方を用いて、繊維基材を形成することも可能である。
繊維基材に用いられる繊維としては特に制限はないが、いわゆる強化繊維が好ましく、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途において、比弾性率、比強度に優れた炭素繊維が特に好ましい。繊維強化として、炭素繊維以外にも、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、および炭化ケイ素繊維などの繊維を用いることができ、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。
熱硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、繊維基材の内部まで含浸されていても良いし、シート状プリプレグの場合などはその表面付近に局在化されていても良い。
プリプレグは、熱硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を、メチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し含浸させるウェット法や、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法等によって製造できる。
ウェット法は、繊維基材を熱硬化性樹脂(または熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物)の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂(または熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物)を直接繊維基材に含浸させる方法、または熱硬化性樹脂(または熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物)を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に繊維基材の両側若しくは片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂を含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に溶媒が実質的に残存しないため好ましい。
ホットメルト法にてプリプレグを得る場合には、樹脂フィルムをコーティングする工程における熱硬化性樹脂の温度は30〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。30℃未満であると粘度が高くなって樹脂フィルムの目付が安定しない場合があり、また80℃を超えるとコーティング中に樹脂の硬化が進行して大きく粘度上昇してしまう場合がある。
(金属材)
金属材は、後述する第1の工程で180℃を超える温度に加熱されるとともに、後述する第2の工程で成形され、金属複合体における金属材を形成する。
金属材としては、好ましくはアルミニウム、マグネシウム、チタン、および、それらを含む合金からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらの金属は、目的の用途、物性に応じて選択することが可能であるが、例えば、アルミニウムおよび、アルミニウムを含むアルミニウム合金としては、工業用純アルミニウムのA1050やA1100、A1200、Al−Cu系のA2017、A2024、Al−Mn系のA3003、A3004、Al−Si系のA4032、Al−Mg系のA5005、A5052、A5083、Al−Mg−Si系のA6061、A6063、Al−Zn系のA7075等が挙げられる。
マグネシウムおよび、マグネシウムを含むマグネシウム合金としては、例えば、Mg−Al−Zn系のAZ31やAZ61、AZ91等が挙げられる。純マグネシウムについては、板状のものは流通が乏しく、マグネシウム合金が一般的とされる。
チタンおよび、チタンを含むチタン合金としては、工業用純チタンである1〜4種のTP270Hや11〜23種のパラジウムを添加した合金やコバルトとパラジウムを添加した合金、50種(α合金)、60種(α−β合金)、80種(β合金)に該当するTi−6Al−4Vなどが挙げられる。このような金属材は、本実施形態にかかる製造方法において、複雑形状への成形を特に容易に行うことができる。
金属材の形状は特に制限されず、成形材料として未成形のままでもよく、目的の形状に成形されていてもよく、また目的の形状により近く予備賦形されていてもよい。
経済性の観点からは、成形材料として未成形の状態が好ましく、例えば、厚みが0.1〜1mmの板状体を使用することがより好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.8mmである。このような金属材を用いることで、複雑形状への成形を特に容易に行うことができる。
金属材は、物理的、化学的または電気的に表面粗化されていていてもよく、前記シート状基材と接する面において表面粗化されていると、金属材と樹脂硬化層との接着性に優れる金属複合体が製造される観点から好ましい。
これらの表面粗化の方法は、公知の方法を使用することができる。物理的な表面粗化としては、例えば、サンドブラスト、サンドペーパーによる研磨処理等が挙げられる。また、化学的な表面粗化の方法としては、例えば、金属材を侵食しえる研磨液に、金属材の上記の面を浸漬する方法が挙げられる。また、電気的な表面粗化の方法としては、例えば、電解液に金属材の上記の面を浸漬し、電気化学的に表面を粗化する方法が挙げられる。これらの表面粗化方法は、1種または2種以上を併用してもよい。
また、金属材は、前記シート状基材と接する面に、0.01〜100μmの孔が複数形成されていることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmである。このような金属材によれば、金属材と樹脂硬化層との接着性に一層優れる金属複合体が製造される。
(プリフォーム)
プリフォームは、前記シート状基材と、該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備える。プリフォームは、後述する第1の工程において加熱されるとともに、後述する第2の工程において加圧成形され、金属複合体を形成する。
プリフォームとしては、例えば、シート状基材に金属材を積層した二層構造を有するプリフォーム、シート状基材の両面にそれぞれ金属材を積層したサンドイッチ構造を有するプリフォーム、シート基材の側面に金属材を突き当てた構造を有するプリフォーム等、目的とする金属複合体に応じて様々な形態のものを使用することができる。さらに、それらを応用して、シート状基材と金属材の交互積層した構造を有するプリフォームや、シート状基材の積層体に金属材を積層した構造を有するプリフォームや、これらの構造にサンドイッチ構造体で使用される公用公知の芯材をさらに積層したサンドイッチ構造を有するプリフォーム等が例示できる。 なお、これらの積層した構造では、積層構成を対称に積層することが、得られる金属複合体の反りや捻れを抑制できる観点で好ましい。
前記プリフォームの中でも、シート状基材の両面にそれぞれ金属材を積層したサンドイチ構造体を有するプリフォーム、シート状基材の積層体の両面にそれぞれ金属材を積層したサンドイッチ構造体を有するプリフォームが好ましい。このようなプリフォームによれば、樹脂硬化層の両面に金属材が積層されたサンドイッチ構造を有する金属複合体成形体が製造される。すなわち、このようなプリフォームを用いて本実施形態に係る製造方法を実施すると、二つの金属材をそれぞれ個別に成形して熱硬化性樹脂で接着するような方法と比べて、金属複合体としての寸法精度に優れ、かつ金属複合体を短工程で容易に製造できる。
前記プリフォームの厚みについては、特に制限はないものの、金属複合体の複雑形状を成形する観点から、0.5〜5mmが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
(金属複合体の製造方法)
以下、本実施形態に係る金属複合体の製造方法の各工程について詳細に説明する。
(第1の発明)
第1の工程では、成形金型内に配置されたプリフォームにおける金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、シート状基材をも同時に加熱することになり熱硬化性樹脂を半硬化させる。
ここで、半硬化とは、未硬化状態と硬化状態との間にある状態を意味する。半硬化状態の熱硬化性樹脂は、ある程度の流動性を有する。具体的には、例えば、熱硬化性樹脂を加熱して、経時変化による粘度カーブを測定したとき、飽和した粘度から最低粘度の差分を百分率表示し、飽和した粘度に対して10〜90%の粘度である状態を、半硬化ということができる。なお、硬化状態は、熱硬化性樹脂が脱型により流動ないし変形しない状態であり、前記の測定により、飽和した粘度に対して90%を超える粘度である状態を、硬化状態ということができる。
また、熱硬化性樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと省略する)からも硬化状態を確認する方法も例示できる。例えば、飽和したTgから最低のTgを予め測定し、飽和したTgから最低のTgの差分を百分率表示し、飽和したTgに対して10〜90%のTgである状態を、半硬化ということができる。飽和したTgに対して90%を超えるTgである状態を、硬化状態ということができる。次に、熱硬化性樹脂を加熱して、加熱温度と加熱時間とTgの相関関係を得て、成形条件からおおよそのTgを内挿することができる。なお、Tgは示差走査熱量計(以下、DSCと省略する)で公知の方法で測定することができる。
さらには、熱硬化性樹脂のDSCで測定される発熱量からも硬化状態を確認する方法も例示できる。例えば、熱硬化性樹脂の発熱量を予め測定しておき、加熱後の熱硬化性樹脂の発熱量の割合から残存反応率がおおよそ求めることができる。この残存反応率が10〜90%である状態を、半硬化ということができる。10%未満である状態を、硬化状態ということができる。
前記いずれか一項の測定方法において半硬化状態といえれば、本発明においては、熱硬化性樹脂は半硬化状態とみなせる。
第1の工程を経た熱硬化性樹脂は半硬化状態にあり、第2の工程において金属材に追従して成形されるも、過剰に流動せず、金属材に応じた形状で硬化状態となる。
金属材への加熱には特に制限はなく、例えば、上記温度に加熱した成形金型を金属材と接触させることにより行うことができる。また、加熱時間を短縮するたに、ヒーター、オーブン、トーチなどで予め加熱してもよい。
第2の工程では、第1の工程で加熱されたプリフォームを、加圧により目的形状に成形する。
(第2の発明)
第1の工程では、該プリフォームを、180℃を超える表面温度を有する成形金型に配置する。ここでの表面温度とは、金属複合体を成形するキャビティの温度を意味する。成形金型の表面温度を上げる方法に特に制限はなく、成形金型をホットプレス機に装着する方法、成形金型内にヒーターを埋設する方法、電磁誘導加熱やハロゲンヒーターなどで外部から直接加熱するなど、公知の方法が例示できる。
第1の工程では、シート状基材をも同時に加熱することになり、熱硬化性樹脂の硬化反応が開始される。
第2の工程では、第1の工程で加熱されたプリフォームを、金属材の表面が180℃を超えてから、プリフォームを加圧により複合体に成形する。ここでの金属材とは、前記成形金型に接している金属材を意味する。
本発明において、第1の工程では、金属材の表面温度は、200〜250℃とすることが好ましい。このような製造方法によれば、金属材の軟化により、続く第2の工程において複雑形状への成形が一層容易となる。ここで金属材は、少なくとも一部が上記温度まで加熱されていればよい。
第1の工程では、プリフォームに必要に応じて加圧を行うこともできる。例えば、プリフォームを上下から保持するための加圧や、プリフォームを目的の形状に成形するために予備的な加圧を行うことなどが例示できる。このとき、プリフォームの加圧としては、0〜3MPaが好ましく、0.2〜2MPaがより好ましい。
ここで、シート状基材も同様に加熱されることになるが、金属材とは温度差が生じることや、シート状基材全体を前記温度まで昇温するにはさらに熱量が必要となるため、常に上記温度となることはなく、熱硬化性樹脂の硬化反応を調整することができる。すなわち、金属材よりも熱伝導率が低いことや、金属材を介して加熱されること、熱源から距離が遠いこと、比熱が大きいことなどが、本発明の効果が奏される一因と考えられる。
本発明において、第2の工程では、金属材は180℃を超える温度に加熱されており、好ましくは200〜250℃に加熱されている。
第2の工程は、第1の工程とは異なる成形金型内で行ってもよいが、同一の成形金型内で行うことが好ましい。また、第1の工程で加熱した金属材は、少なくとも180℃を超える温度のまま第2の工程に供されることが好ましく、200〜250℃の範囲内で第2の工程に供されることがより好ましい。また、前記加熱による成形金型の温度は、前記第2の工程の加圧によりプリフォームが目的の形状に成形された後では、温度を低下させてもよい。
第2の工程では、プリフォームの成形には、例えば、3〜30MPaの加圧により行うことが好ましく、5〜25MPaがより好ましい。このような加圧により成形することで、複雑形状であっても容易に成形することができる。また、前記圧力は、プリフォームが目的の形状に成形されるまで保持しておくことが好ましく、一方で目的の形状に成形された後では、圧力を減少させてもよい。
さらに、第2の工程では、プリフォームのエッジは、ヘミング加工または圧接加工されてもよい。このような加工によって、金属複合体の末端部の美観が良好となるとともに、金属材と樹脂硬化層との接合がより強固なものとなる。なお、このような加工は、第2の工程の後に、追加の工程として実施してもよい。
第2の工程において、熱硬化性樹脂は、硬化状態まで硬化されていることが好ましい。例えば、プリフォームが目的の形状に成形された後、成形金型内にプリフォームを保持することによって、熱硬化性樹脂を硬化することができる。このときの保持時間については特に制限はないが、生産性の観点からは短時間であればあるほど好ましく、例えば、10分以内であることが好ましく、3分以内であることがより好ましく、1分以内であることがとりわけ好ましい。また、このときの保持温度については、硬化反応の観点からシート状基材の温度が180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。第1の工程において、十分に硬化反応を進行させた状態で、前記保持時間を短縮することで本効果を得ることができる。 また、本実施形態に係る製造方法は、第2の工程の後に、アフターキュアを行う第3の工程をさらに備えていてもよい。第3の工程を有する場合、例えば前記のように成形金型内への保持が短縮できる。アフターキュアの方法は、熱硬化性樹脂を硬化し得る方法であればよく、例えば、第2の工程を経たプリフォームを所定の温度に加熱した乾燥機やオーブンなどに保持するなどの公知の方法により行うことができる。
図1は、本発明に係る金属複合体の製造方法の一実施形態を説明する模式断面図である。図1(a)に示すように、成形金型は上側成形金型11と下側成形金型12とを備える。また、プリフォーム10は、シート状基材2の両面に板状の金属材1および金属材3が積層された、サンドイッチ構造を有している。
第1の工程において、プリフォーム10は、図1(b)に示すように、上側成形金型11と下側成形金型12との間に挟まれる。ここで上側成形金型11および下側成形金型12は、いずれも180℃を超える温度に加熱されており、金属材1および金属材3は、それぞれ接触する上側成形金型11および下側成形金型12を介して180℃を超える温度に加熱される。そして、加熱された金属材1および金属材3を介してシート状基材2が加熱され、該加熱によって、シート状基材2の熱硬化性樹脂の硬化反応が開始され、半硬化状態にいたる。
次いで、同一の上側成形金型11および下側成形金型12を用いて、第2の工程を行う。第2の工程では、図1(c)に示すように、上側成形金型11および下側成形金型12によりプリフォーム10が加圧され、プリフォーム10は成形金型に追従するように変形し、成形される。
図2は、本発明に係る金属複合体の製造方法の他の実施形態を説明する模式断面図である。図2に示すように、第2の工程における「成形」とは、必ずしも金属材を変形する必要はなく、板状の金属材1および金属材3を、シート状基材2を介して加圧して接着するものであってもよい。
図3は、本発明に係る金属複合体の製造方法における温度、時間および圧力の関係の一例を示す図である。図3の中で、金型温度は、上側成形金型および下側成形金型の表面温度を示す。第1の工程では、180℃を超える温度に加熱された成形金型に接触した金属材が加熱されて、180℃を超える温度まで金属材温度が上昇する。これに伴い、シート状基材の熱硬化性樹脂の硬化反応が開始され、半硬化状態にいたる。
次いで、第2の工程において、所定の圧力によりプリフォームを加圧して成形する。このとき、金属材は、金型温度と同程度の温度に加熱されている。同時に、熱硬化性樹脂の硬化反応は進行し、好ましくは硬化状態まで硬化される。また、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるため、加圧しても過剰に流動することなく、金属材に沿って樹脂硬化層が形成される。
第2の工程が終了した時点で、上下の成形金型を開放して、金属複合体を脱型する。
本実施形態に係る製造方法においては、第1の工程で熱硬化性樹脂を半硬化させるため、第2の工程で金属を熱間加工してもその圧力で成形金型の外へ流出するなど過剰な流動を起こすことなく、かつ金属材と樹脂硬化層との強固な接着構造を形成することができる。
ここで、金属の熱間加工を行う場合、180℃以下の温度では金属材の成形性が低く、複雑形状への成形が困難であるところ、本実施形態に係る製造方法では金属材を180℃を超える温度に加熱しているため、金属材を十分に軟化させることができ、複雑形状を容易に成形することができる。
(金属複合体)
本実施形態に係る製造方法により製造される金属複合体は、金属材と、該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える。ここで、樹脂硬化層は、上記シート状基材を加熱して、シート状基材に含まれる熱硬化性樹脂を硬化してなる層である。
本実施形態に係る製造方法によれば、金属材と樹脂硬化層との間には強固な接着構造が形成されるが、この理由としては、金属材の表面の粗大または微細な凹凸形状に沿って熱硬化性樹脂が充填して硬化したことや、比較的高温での硬化反応により金属材との化学的結合力が高められたことなどが一因として挙げられる。
ここで、金属材と樹脂硬化層との接着強度としては、10MPa以上が好ましく、20MPa以上がより好ましい。これらの指標としては、金属材同士、または金属材と他の構造部材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体が、使用環境や用途に応じた十分な接着力を保持していることを意味する。
接着強度が10MPa以上であれば一般的な接着剤が使用される用途において十分な接着力があり、接着剤を使用した金属複合体よりも優れた耐久性を有する。接着強度が20MPa以上であればより厳しい環境で使用される用途において十分な接着力があり、構造用接着剤を使用した金属複合体よりも優れた耐久性を有する。
ここで、接着強度とは、例えばJIS K 6849の接着剤の引張り接着強さ試験方法などの公知な方法で測定ができる。ただし、金属複合体は一般的には複雑形状であるため、規格に従った接着強度試験を実施することが難しい。そこで、接着強度が予め判っている接着剤を用いて、金属複合体から一部を切り出し、その両端を治具に接着し、治具を介して接着強度試験を行うことで、前記接着強度が接着剤の接着強度よりも優位であるか劣位であるかの大凡の目安を得ることができる。すなわち、接着剤の層内で破壊されれば金属複合体の接着強度は、接着剤の接着強度よりもおおよそ高いと判断される。一方、金属複合体の剥離で破壊されれば金属複合体の接着強度は、接着剤の接着強度よりもおおよそ低いと判断される。
本発明の金属複合体の用途としては、例えば、航空機用部材、自動車用部材、二輪車用部材、船舶用部材、機械機構部材、土木用部材、建材用部材、電子機器用部材が挙げられる。中でも、生産性を高める効果から、自動車用部材や、電気機器用部材で好ましく使用され、とりわけ、軽量性、力学特性、放熱性などに優れる効果から、電子機器の筐体により好ましく使用される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(熱硬化性樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂として“エピコート”828、“エピコート”834、“エピコート”1001(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピコート”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、硬化剤としてDicy7(ジシアンアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)、硬化促進剤として“オミキュア”24(2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイジャパン(株)製)を用い、表1に示す質量比で混合して樹脂組成物を調製した。
ここで調製した樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を測定する。測定方法は、JIS K 7121記載の方法に基づき、Pyris 1DSC(パーキンエルマー・インスツルメント社製示差走査熱量計)を用いて、昇温速度10分/分とし、DSC曲線が階段状変化を示す部分について中間点をガラス転移温度とした。この測定方法において、樹脂組成物のTgは6℃であり、飽和したTgは138℃であった。すなわち、Tgが19〜125℃の範囲内を半硬化状態といえる。
次に、調製した樹脂組成物の加熱温度と加熱時間によるTgの関係を求める。加熱温度が130℃と、150℃の場合について、加熱時間によるTg変化を測定すると、130℃×10分においてTgが138℃となり、硬化状態となることがわかった。ここで、加熱温度とは、プレス装置で挟んで加熱する際の、加熱プレートの表面温度を意味する。
(シート状基材の作製)
調製した樹脂組成物を、リバースロールコータを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、25g/mとした。
次に、単位面積あたりの繊維重量が125g/mとなるようにシート状に一方向に整列させた炭素繊維トレカ(登録商標)T700SC−12K−50C(東レ(株)製、引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa)に樹脂フィルムを炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸させ、一方向プリプレグ(連続繊維強化プリプレグ(CF−PPg))を作製した。作製したプリプレグから所定の大きさを有する長方形のプリプレグシートを4枚切り出した。長方形の切り出したプリプレグシート長辺の方向を0°として、連続した強化繊維が[0°/90°/90°/0°]の対称積層となるように、4枚のプリプレグシートを積層し、厚み0.5mmのシート状基材を作製した。積層の際、プリプレグ基材の90°層間にK熱電対を内挿した。
ここで、プレス成形装置を用い、表面温度が130℃のプレートにシート状基材を配置して、10分間加熱し1MPaで加圧した。得られた成形品のTgを前記同様の方法で測定したところ137℃であり、硬化状態であった。
(プリフォームの製造)
次いで、金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム板(A1100)を準備した。なお、アルミニウム板の表面には、平均孔径30μmの多数の孔が観測された。
作製したシート状基材および金属材を、金属材/シート状基材/金属材の順で積層し、プリフォームを作製した。積層の際、一方の金属材の表面にK熱電対を、耐熱テープを用いて貼り付けた。
(金属複合体の製造)
図2(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも220℃である。
第1の工程でプリフォームを配置して約1分後、第2の工程で上側成形金型と下側成形金型とによりプリフォームを10MPaで加圧した。このとき、金属材の温度は210℃であり、シート状基材の温度が150℃である。上記加熱温度と加熱時間、Tgの相関関係より、Tgは115℃であり、飽和したTgに対して82%のTgを示すことから、半硬化状態であることがわかる。なお、金属材の温度変化と、加圧の様子を図3に示す。
約2分間加圧を行った後、成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。得られた金属複合体は、金属材同士が強固に接着されており、マニュアルでの剥離は困難であった。さらに、二つの金属材の間にズレはなく、厚み1.5mmのヒケや捻れのない金属複合体が得られる。金属複合体について、後述する接着強度測定を行った結果、16MPaであった。接着試験終了後に、金属板に形成される樹脂硬化層を削り出し、Tgの測定を行った結果137℃であり、硬化状態である。
(実施例2)
(プリフォームの作製)
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのマグネシウム合金板(AZ31)を準備した。なおマグネシウム合金板の表面には平均孔径50μmの多数の孔が観察された。実施例1で用いたシート状基材を用いて、実施例1と同様にプリフォームを作製した。
(複合体の製造)
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも210℃である。
プリフォームを配置して約1分後、上側成形金型と下側成形金型とによりプリフォームを15MPaで加圧した。このとき、金属材の温度は200℃であり、シート状基材の温度が140℃である。同様に、熱硬化性樹脂のTgは108℃であり、飽和したTgに対して77%のTgを示すことから、半硬化状態であることがわかる。
約2分間加圧を行った後、成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。得られる金属複合体では、二つの金属材の間にズレはなく、また皺、割れ、破れといった表面欠陥はなく、厚み約1.5mmの凹凸形状のついた金属複合体が得られる。この金属複合体は、金属材同士が強固に接着されており、マニュアルでの剥離は困難であった。実施例1と同様に、接着強度測定を行った結果、18MPaであった。接着試験終了後に、金属板に形成される樹脂硬化層を削り出し、Tgの測定を行った結果137℃であり、硬化状態である。
(実施例3)
金属材として、金属表面にアルマイト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム板(A1100)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。なお、金属板の表面には平均孔径0.05μmの多数の孔が観察された。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
(実施例4)
(シート状基材の作製)
実施例1で調整した熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、50g/mとした。
シート状基材として、得られた樹脂フィルムを用いた以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
(実施例5)
(プリフォームの作製)
実施例1で製造したシート状基材と金属材を用い、金属材/シート状基材の二層を積層し、プリフォームとした以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
(実施例6)
第1の工程でプリフォームを配置して約0.5分後、第2の工程での加圧時間を約1分間とした以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造した。約2分間加圧を行った後、成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。次に、金属複合体を雰囲気温度が150℃に調整された熱風オーブンに入れ、10分間アフターキュアを行った。得られた金属複合体において、実施例1と同様に評価を行った。製造条件および、評価結果を表1に記載する。
(実施例7)
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金(A5052)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。
(実施例8)
金属材として、金属表面にアルマイト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を用いた以外は、実施例3と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。
(実施例9〜11)
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金(A5052)を用いたこと以外は、実施例4〜6と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。
(実施例12)
ベンゾオキサジン樹脂として、F−a型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成工業(株)製)、酸触媒として、DY9577(ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ(株)製、三塩化ホウ素オクチルアミン錯体)を用い、表2に示す質量比で混合した。この樹脂組成物を、シート状基材を形成する熱硬化性樹脂として用いた以外は、実施例1と同様とした。粘度計を用いて樹脂の粘度を測定した結果から、樹脂の硬化度を算出したところ、第1の工程において、半硬化の状態であることがわかった。
(実施例13)
フェノール樹脂として、フェノライト(登録商標)5010(DIC(株)製、レゾール型フェノール樹脂)を準備し、シート状基材を形成する熱硬化性樹脂として用いたこと以外は、実施例1と同様とした。
(実施例14)
金属材として、金属表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.2mmのチタン合金板(Ti−6Al−4V)を用いることと、成形金型の表面温度を240℃とすること以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。なお、金属板の表面には平均孔径15μmの多数の孔が観察された。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
(実施例15)
上下の成形金型温度を190℃とすること以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。なお、第1の工程時の金属材の表面温度は、185℃であった。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
(実施例16)
金属材の対向する2辺の端辺を図5(a)に示すように、約90°のL曲げ加工したアルミニウム合金(A5052)を準備した。実施例1と同じシート状基材を図5(b)に示すように配置し、L曲げ部分を曲げ込んで、プリフォームとした。これら以外は、実施例5と同様にして成形を行った。成形金型の加圧によって、曲げ込んだL曲げ部が平潰しされ、端部がヘミング加工された金属複合体を得た。
(比較例1)
(プリフォームの作製)
熱硬化性樹脂を表3に示す組成質量比で混合する以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造する。
ここで、プレス成形装置を用い、表面温度が130℃のプレートにシート状基材を配置して、10分間加熱し1MPaで加圧した。得られた成形品のTgを前記同様の方法で測定したところ75℃であり、飽和したTgに対して52%のTgを示すことから、半硬化状態であることがわかる。
(金属複合体の製造)
図2(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。
第1の工程でプリフォームを配置して約1分後、第2の工程で上側成形金型と下側成形金型とによりプリフォームを10MPaで加圧した。このとき、成形金型の間から、樹脂組成物がフローした。
約2分間加圧を行った後、成形金型を開放したところ、金属材と金属材がズレており、かつ金属材の間から、シート状基材の一部が飛び出しており、目的の金属複合体が得られない。さらには、金属複合体を取り出そうとしたところ、金属材が成形金型に固着してしまい、複合体としての脱型が困難である。従って、後述する接着強度の測定は不可能である。
(比較例2)
実施例2のプリフォームを用いて、金属複合体の製造を行う。
(金属複合体の製造)
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも130℃とした以外は、実施例2と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。製造条件および、評価結果を表3に記載する。
得られた金属複合体は、二つの金属材にズレが生じ、金属材の間から熱硬化性樹脂が少し漏れている。また、凹凸の絞り部には皺が見られ、深く絞られた箇所では表面割れが生じる。さらに、金属複合体は、マニュアルにて金属材が剥離可能である。
(比較例3)
(プリフォームの作製)
金属材に、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を用いること以外は、比較例1と同様の方法で金属複合体を製造する。
(比較例4)
シート状基材を用いず、金属材として、金属表面にアルマイト処理を施した厚み1.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を用いてプリフォームとすることと、第1の工程および第2の工程における成形圧力を0.5MPaとすることを除いて、実施例3と同じ要領で加熱および加圧を行った。
プリフォームを配置してから約3分間後、成形金型を開放したところ、プリフォームが目的の形状に賦形されていないことを確認した。
以上の実施例および比較例について、製造条件および評価結果などを表1〜3にまとめた。
(金属材表面の平均孔径測定)
金属材として用いる金属の表面を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(コントローラー部)/VK−9510(測定部)((株)キーエンス製)を使用して、拡大倍率100倍で撮影した。撮影した画像より解析アプリケーションVK−H1A9を使用して金属表面に形成される任意の孔径D(n)(n=1〜100)を測定し、平均孔径を求めた。
(金属複合体の接着強度測定)
製造された金属複合体の平滑部より、40mm角の試験片を切り出し、サンドブラストを用いて両表面を粗化し、アセトンで油分を拭き取った後、構造用エポキシ樹脂(東レファインケミカル(株)製ケミットTE−2220)を用いて、直径10mmの貫通孔を備えた40mm立方のアルミニウム合金製ブロックを接着した。もう一方の面に対しても同様にアルミニウム合金製ブロックを接着し、図4に示す接着強度測定用サンプルを作製した。引張試験装置“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)の上下に取り付けた固定具とアルミニウム合金製ブロックの貫通孔にピンを通して接続し、引張速度1.6mm/分で評価サンプル数nを5として評価を行った。得られた値と次式(1)より金属複合体の接着強度Sを算出した。計算によって得られた接着強度が10MPa以上であれば、おおよそマニュアルでの剥離は困難である。
S=P/A (1)
S:接着強度[MPa]、P:最大荷重[N]、A:サンプルの断面積[mm
Figure 2012131221
Figure 2012131221
Figure 2012131221
1 金属材
2 シート状基材
3 金属材
4 一方の部材
5 他方の部材
6 接着剤
7 アルミニウム合金製ブロック
8 L曲げされた金属材
10 プリフォーム
11 上側成形金型
12 下側成形金型
20 金属複合体から切り出した試験片
21 上側成形金型
22 下側成形金型

Claims (18)

  1. 熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、
    成形金型内に配置された該プリフォームにおける該金属材を、180℃を超える温度に加熱するとともに、該シート状基材を加熱して該熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、
    該第1の工程で加熱された該プリフォームを、加圧により複合体に成形する第2の工程と、
    を備え、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である、金属複合体の製造方法。
  2. 熱硬化性樹脂を含有するシート状基材と該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱および加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、
    180℃を超える表面温度を有する成形金型に該プリフォームを配置する第1の工程と、
    該第1の工程で加熱されてなる該金属材の表面が180℃を超えてから、該プリフォームを加圧により複合体に成形する第2の工程と、
    を備え、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である、金属複合体の製造方法。
  3. 前記第1の工程と前記第2の工程とを同一の成形金型内で行う、請求項1または2に記載の金属複合体の製造方法。
  4. 前記第2の工程において、前記プリフォームを成形するとともに、前記熱硬化性樹脂を硬化させる、請求項1〜3のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  5. 前記第1の工程における前記温度が、200〜250℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  6. 前記第2の工程における前記加圧が、3〜30MPaの加圧である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  7. 前記第2の工程において、前記プリフォームのエッジがヘミング加工または圧接加工される、請求項1〜6のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  8. 前記第2の工程で成形された前記複合体に対してアフターキュアを行う工程を更に備える、請求項1〜7のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  9. 前記シート状基材は、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸したプリプレグである、請求項1〜8のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  10. 前記シート状基材は、130℃×10分の条件において前記熱硬化性樹脂が硬化状態になるものである、請求項1〜9のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  11. 前記シート状基材は、硬化促進剤をさらに含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  12. 前記金属材は、厚みが0.1〜1mmの板状体である、請求項1〜11のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  13. 前記金属材は、少なくとも前記シート状基材と接する面が、物理的、化学的または電気的に表面粗化されている、請求項1〜12のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  14. 前記金属材は、少なくとも前記シート状基材と接する面に、0.01〜100μmの孔が複数形成されている、請求項1〜13のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  15. 前記金属材は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、および、それらを含む合金からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜14のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  16. 前記プリフォームは、前記シート状基材の両面にそれぞれ前記金属材を積層したサンドイッチ構造を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の成形体の製造方法。
  17. 前記金属材と前記樹脂硬化層との接着強度が10MPa以上である金属複合体を製造する、請求項1〜16のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の金属複合体の製造方法によって製造された金属複合体を備える、電子機器筐体。
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