JP5712943B2 - 金属複合体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属複合体の製造方法に関する。
金属材と繊維強化樹脂材とを積層及び接着した金属複合体は、金属が有する均質的な強度及び弾性率、優れた耐衝撃性、並びに熱伝導性等の特性と、繊維強化樹脂が有する優れた軽量性、比強度、比弾性率及び繊維方向による補強の異方性等の特性とを両立することができる。この金属複合体は、航空機部材、自動車部材、船舶部材、機械機構部材、ゴルフクラブ、ノートパソコン及びビデオカメラなどの電子機器の部材などの多様な用途に用いられている(特許文献1〜5を参照)。
従来、このような金属複合体を製造する場合には、金属材を所定の形状に成形した後、成形された金属材と強化繊維及び熱硬化性樹脂を含むシート状基材とを積層し、その状態で熱硬化性樹脂を硬化させる方法によるのが一般的であった。例えば、特許文献4では、成形された後の金属パイプに、強化繊維および熱硬化樹脂を注入して硬化させることにより複合構造材を製造している。
また、二つ以上の金属材を、熱硬化性樹脂を介して接着した金属複合材を製造する場合にも、同様に金属材をそれぞれ所定形状に成形した後、金属材と金属材の間に熱硬化性樹脂を配置し、熱硬化性樹脂の硬化により金属材を接着することが一般的であった。
しかしながら、このような製造方法では、金属材の成形工程と、複合化される他の構造部材の成形工程とが必須であり、十分に高い製造効率が得られないという問題がある。また、金属材を複雑形状に成形した後で熱硬化性樹脂を配置するため、製造工程の中で接着強度を保証することが困難であり、例えば一部でも熱硬化性樹脂が十分に配置されていないと、金属材が剥離するなど、金属複合体の使用時に問題が生じる恐れがある。
特開2006−297929号公報 特開2010−131789号公報 特開2005−161852号公報 特開2006−123209号公報 特開2009−045129号公報 特開平3−177418号公報 特開平3−296525号公報 特開昭64−70523号公報
本発明の課題は、金属材同士、又は金属材と他の構造材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体の製造方法であって、金属材の複雑形状への加工性と短時間での複合化を容易に達成し、且つ、接着強度に優れる金属複合体を製造可能な、製造方法を提供することにある。
本発明は、前記した課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である熱硬化性樹脂を含むシート状基材と、該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱及び加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、プリフォームを成形金型内に配置し、金属材の表面温度が180℃を超えるまで加熱するとともに、熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、第1の工程で加熱されたプリフォームを圧力P2の加圧により金属複合体に成形する第2の工程と、第2の工程で成形された金属複合体を、圧力P3の加圧下において、金属材の表面温度が180℃以下となるまで冷却する第3の工程とを備える、金属複合体の製造方法である。
従来、上記のような熱硬化性樹脂を硬化させる場合、硬化反応の急激な進行による暴走を避けるため、加熱温度は高くても180℃以下とすることが一般的である。このような事情は、金属複合体の製造においても同様であり、通常、熱硬化性樹脂を、180℃を超える温度で硬化させると、硬化反応が急激に進行して金属複合体の成形を阻害することが考えられる。
さらに、金属材の熱間加工には高い圧力が必要であり、高い圧力で高温に加熱すると、成形金型の外へ熱硬化性樹脂が過剰に流出してしまい、金属複合体の成形を阻害することが考えられる。
しかしながら、本発明においては、第1の工程でプリフォームにおける金属材の表面温度を、180℃を超える温度まで加熱して熱硬化性樹脂の硬化反応をある程度進行させるため、続く第2の工程で金属を熱間加工しても、そのときの圧力で成形金型の外へ熱硬化性樹脂が過剰に流出することがなく、かつ金属材と樹脂硬化層との強固な接着構造を形成することができる。
金属の熱間加工を行う場合、180℃以下の温度では金属材の成形性に劣り、複雑形状への成形が困難であったところ、本発明では金属材を、180℃を超える温度に加熱しているため、金属材を十分に軟化させることができ、複雑形状を容易に成形することができる。さらに、熱硬化性樹脂を常に180℃を超える温度に曝す必要がないため、従来のような硬化反応の急激な進行を抑制することができる。
本発明によれば、金属材と樹脂硬化層との間には強固な接着構造が形成されるが、この理由としては、金属材の表面の粗大または微細な凹凸形状に沿って熱硬化性樹脂が充填して硬化したことで、金属材との化学的・物理的結合力が高められたためと考えられる。
さらには、第3の工程において、金属複合体が加圧下で冷却されることにより、金属複合体内の残留応力が効果的に緩和される。
以上のように、本発明に係る方法によれば、金属材の複雑形状への加工性と短時間での複合化を容易に達成し、且つ、接着強度に優れる金属複合体を製造可能である。
本発明の製造方法において、シート状基材は、130℃で10分間加熱したときに、そこに含まれる熱硬化性樹脂が硬化状態になるものであることが好ましい。このような製造方法によれば、成形サイクルを短縮することができる。
本発明の製造方法においては、第1の工程において、金属材の表面温度が200〜300℃となるまで加熱することが好ましく、プリフォームを配置する際の成形金型が、200〜300℃の表面温度を有することが好ましい。このような製造方法によれば、金属材の軟化により、複雑形状への成形が一層容易となり、簡便な手法によりプリフォームを加熱することが可能となる。
第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を同一の成形金型内で行うことが好ましい。これにより、前記プリフォームの成形と熱硬化性樹脂の硬化が1工程で行われるため、より高い生産性と経済性で金属複合体を製造することができる。
第2の工程及び/又は第3の工程において、熱硬化性樹脂が硬化状態となることが好ましい。このような製造方法によれば、プリフォームの成形と熱硬化性樹脂の硬化とが同時進行的に行われるため、より高い生産性で金属複合体を製造することができる。
圧力P3は圧力P2以上であることが好ましい。これにより、冷却による反りや歪みを抑制することができる。
圧力P2は3〜30MPaであることが好ましい。これにより金属材の成形がより容易になる。
金属材の表面温度が180℃を超える温度から180℃以下まで降下するまでの時間が3分以内であることが好ましい。このような製造方法により、成形サイクルを一層短縮することができる。
第2の工程及び/又は第3の工程において、プリフォームのエッジがヘミング加工又は圧接加工されることが好ましい。このような製造方法によれば、金属複合体の末端部の美観が良好となるとともに、金属材と樹脂硬化層との接合がより強固なものとなる。
本発明に係る方法は、第3の工程の後、金属複合体をアフターキュアする工程を更に備えることが好ましい。このような製造方法によれば、成形金型の拘束時間を低減することができるとともに、金属材と樹脂硬化層との接着性が一層向上する。
シート状基材は、好ましくは、繊維基材及び該繊維基材に含浸した前記熱硬化性樹脂を含むプリプレグである。このようなシート状基材は、成形後に繊維強化複合材料として機能する。そのため、このような製造方法により得られる金属複合体は、金属材と繊維強化複合材料との積層体となり、優れた軽量性と高い力学特性とを満足することができる。
熱硬化性樹脂は、硬化促進剤を添加することが好ましい。このような製造方法により、上記熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させ、成形サイクルを一層短縮することができる。
金属材が、0.1〜1mmの厚みを有する板状体であることが好ましい。このような金属材を用いて製造されることで、金属材の成形性を高め、複雑形状への成形を一層容易となる。
金属材は、シート状基材と接する面において、物理的、化学的又は電気的に表面粗化されていることが好ましい。このような金属材によれば、金属材と樹脂硬化層との接着性に一層優れる金属複合体が製造される。
金属材は、シート状基材と接する面において、0.01〜100μmの孔が複数形成されていることが好ましい。このような金属材によれば、金属材と樹脂硬化層との接着性に一層優れる金属複合体が製造される。
金属材を形成する金属が、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。このような金属材は、前記製造方法において複雑形状への成形を特に容易に行うことができる。
プリフォームが、シート状基材の両面にそれぞれ金属材が積層されて構成されるサンドイッチ構造を有することが好ましい。このようなプリフォームによれば、樹脂硬化層の両面に金属材が積層されたサンドイッチ構造を有する金属複合体が製造される。このような製造方法によると、二つの金属材をそれぞれ個別に成形して熱硬化性樹脂で接着するような方法と比べて、金属複合体としての寸法精度に優れ、かつ高い生産性と経済性で金属複合体を製造することができる。
本発明の方法によれば、例えば、金属材と樹脂硬化層との接着強度が10MPa以上である金属複合体を製造することができる。
本発明はまた、上記した方法によって得ることのできる金属複合体を具備する、電子機器筐体に関する。
本発明によれば、金属材同士、または金属材と他の構造材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体の製造方法であって、金属材の複雑形状への加工性と短時間での複合化とを容易に達成し、且つ、接着強度に優れる金属複合体を製造可能な、製造方法が提供される。
金属複合体を製造する方法の一実施形態を説明する模式断面図である。 金属複合体を製造する方法の他の実施形態を説明する模式断面図である。 金属複合体を製造する方法における温度、時間および圧力の関係の一例を示す図である。 金属複合体の接着強度測定のためのサンプルを示す模式斜視図である。 本発明の実施例11でヘミング加工した金属複合体の製造方法を説明する模式断面図である。
本発明に係る成形体の製造方法の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態においては、後述する第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を備える方法により、熱硬化性樹脂を含むシート状基材とシート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱及び加圧により成形して、金属材と金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体が製造される。
(シート状基材)
シート状基材は、熱硬化性樹脂を含有する。後述する第1の工程で該熱硬化性樹脂の硬化反応が開始される。シート状基材は、後述する第2の工程で金属材とともに成形され、金属複合体における樹脂硬化層を形成する。
シート状基材は、熱硬化性樹脂を含み、シート状で取り扱うために加工した材料であれば特に制限はない。シート状基材は、例えば離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムであってもよく、繊維基材及び該繊維基材に含浸した熱硬化性樹脂を含むプリプレグであってもよい。このとき、プリプレグにおいて、熱硬化性樹脂の含浸の状態は特に制限されず、ボイドがない完全含浸状態、繊維基材の内部に全体的にボイドを有する半含浸状態、繊維基材に不均一に含浸部と未含浸部を有する部分含浸状態、さらには基材の表層部に熱硬化性樹脂が付着し固定されている状態であってもよい。
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を用いる。このような熱硬化性樹脂を用いることにより、生産性と経済性に優れた金属複合体を得ることができる。なかでも、接着強度の高さと、最終製品が使用される環境に応じて設計の自由度の高さからエポキシ樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂およびこれらの混合物から選ばれる。エポキシ樹脂は、これらの樹脂単独でも混合でもよい。特に、耐熱性、機械特性のバランスがとれた複合材料を要する場合には、3官能以上の多官能エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂との組み合わせ、例えば、多官能エポキシ樹脂であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂とを組み合わせることが好ましい。
通常、熱硬化性樹脂には、硬化剤が添加され、樹脂組成物として熱硬化性が付与されている。
シート状基材は、130℃で10分間加熱されたときに、そこに含まれる熱硬化性樹脂が硬化状態になるものであることが好ましい。適正な硬化特性のシート状基材を得るため、熱硬化性樹脂に添加する硬化剤が選択される。硬化剤の種類は、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜変更することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、アミン化合物、酸無水物、フェノール類、メルカプタン、イソシアネートなどの重付加型の重合をする硬化剤、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸などのアニオン重合またはカチオン重合の開始剤として機能する硬化剤が例示できる。とりわけアミン化合物は、用途に応じて設計の自由度が高く好ましい。
アミン系硬化剤とは、硬化剤分子中に窒素原子を有する硬化剤をいう。かかる硬化剤としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンのような活性水素を有する芳香族ポリアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などがある。
アミン系硬化剤としては、上記のうち、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン化合物が好ましく用いられる。ジシアンジアミドまたは芳香族ポリアミン化合物を用いると、熱硬化性樹脂から弾性率、耐熱性の高い硬化物が得られるようになる。中でも、ジシアンジアミド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンは、耐熱性、特に耐湿耐熱性に優れる樹脂組成物が得られること、エポキシ樹脂中に混合し一液化した場合に優れた貯蔵安定性を有すること、等の理由から特に好ましい。
熱硬化性樹脂には、硬化剤に加えて、硬化活性を高めるために適当な硬化促進剤を添加することができる。例えば、ジシアンジアミドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体やイミダゾール誘導体を硬化促進剤として好適に組み合わせることができる。特に、ジシアンジアミドと1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物との組み合わせが好ましい。1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物としては、1,1’−4(メチル−m−フェニレン)ビス(3,3−ジメチルウレア)あるいは4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)が好ましい。これらの化合物を用いた場合、厚みの薄い板での難燃性が大幅に向上し、電気・電子材料用途等に応用した場合、特に好ましい。
このほかには、芳香族アミンに三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化促進剤として組合せる例があげられる。
硬化剤として、70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤を用いることもできる。ここで、70〜125℃で活性化するとは、反応開始温度が70〜125℃の範囲にあることをいう。かかる反応開始温度(以下、活性化温度という)は示差走査熱量分析(以下、DSCという)により求めることができる。具体的には、エポキシ当量184〜194程度のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に評価対象の硬化剤10重量部を加えたエポキシ樹脂組成物について、DSCにより得られる発熱曲線の変曲点の接線とベースラインの接線の交点から求められる。かかる活性化温度が70℃未満であると保存安定性が十分でない場合があり、125℃を超えると期待されるような硬化性が得られない場合がある。
70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤としては、かかる活性化温度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アミンアダクト型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、アミンイミド、ブロックイソシアネート、エポキシ基にカルバミン酸エステルを反応させオキサゾリジノン環とした化合物、ビニルエーテルブロックカルボン酸、イミダゾールとカルボン酸との塩、アミンのカルバミン塩、オニウム塩などが挙げられる。
アミンアダクト型潜在性硬化剤とは、一級、二級もしくは三級アミノ基をもつ化合物や、種々のイミダゾール化合物などの活性成分を、それらの化合物と反応しうる何らかの化合物と反応させることによって高分子量化し、保存温度にて不溶化したもののことをいう。アミンアダクト型潜在性硬化剤としては、“アミキュア”(登録商標)PN−23、MY−24(以上、味の素ファインテクノ(株)製)、“アデカハードナー”(登録商標)EH−3293S,EH−3615S、EH−4070S(以上、旭電化工業(株)製)、“フジキュアー”(登録商標)FXE1000,FXR−1020(以上、富士化成工業(株)製)などを用いることができ、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、“ノバキュア”(登録商標)HX−3721、HX−3722(旭化成工業(株)製)などを用いることができる。これらの中でも、特に“アミキュア”PN−23のようなアミンアダクト型潜在性硬化剤は、室温での優れた保存安定性を有しかつ速硬化性が顕著なため好ましく用いることができる。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤とは、硬化剤を核とし、これをエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン系、ポリイミドなどの高分子物質や、サイクロデキストリン等をシェルとして被膜したりすることにより、エポキシ樹脂と硬化剤との接触を減少させたものである。
硬化剤が70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤に特定の硬化剤を組み合わせると、低温で速硬化が可能となる。例えば、“アミキュア”PN−23などの潜在性硬化剤にバジンジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジドを組み合わせた硬化剤系や、潜在性硬化剤にDCMUなどの硬化促進剤を組み合わせた硬化剤系は、110℃に10分程度で硬化が可能となり好ましく用いられる。
上記特許文献6記載のアミン化合物とエポキシ樹脂と尿素を加熱反応させてなる硬化剤化合物、上記特許文献7記載のN、N−ジアルキルアミノアルキルアミンと活性水素を持つ窒素原子を有する環状アミンとイソシアネート、或いはさらにエポキシドとを加熱反応させて得られた硬化性化合物、上記特許文献8記載の特定のアミン化合物をコアとし、それとエポキシ樹脂の反応生成物をシェルとしてなるマスターバッチ型硬化剤等も用いることができる。これらを単独または複数組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂には、以上挙げた成分以外の成分を添加していてもよい。例えば、粘弾性制御や靭性付与のために熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂に配合することができる。難燃性を向上させるためにハロゲン化合物、リン系化合物、窒素系化合物、金属酸化物、金属水酸化物等を熱硬化性樹脂に配合することもできる。
シート状基材がプリプレグである場合、繊維基材としては、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、不織布、マット、組み紐などの繊維構造物を用いることができる。
一方向プリプレグは、繊維の方向が揃っており、繊維の曲がりが少ないため繊維方向の強度利用率が高いため好ましい。また、複数の一方向プリプレグを、適切な層構成で積層したものを繊維基材として用いると、各方向の弾性率、強度を自由に制御できるため好ましい。織物プリプレグも、強度、弾性率の異方性が少ない材料が得られることから好ましい。複数種のプリプレグ、例えば一方向プリプレグと織物プリプレグの両方を用いて、繊維基材を形成することも可能である。
繊維基材に用いられる繊維としては特に制限はないが、いわゆる強化繊維が好ましく、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途において、比弾性率、比強度に優れた炭素繊維が特に好ましい。強化繊維として、炭素繊維以外にも、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、および炭化ケイ素繊維などの繊維を用いることができ、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。
熱硬化性樹脂は、繊維基材の内部まで含浸されていても良いし、シート状プリプレグの場合などはその表層に局在化されていてもよい。
プリプレグは、熱硬化性樹脂を、メチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し含浸させるウェット法や、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法等によって製造できる。
ウェット法は、繊維基材を熱硬化性樹脂の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂を直接繊維基材に含浸させる方法、または熱硬化性樹脂を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に繊維基材の両側若しくは片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂を含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に溶媒が実質的に残存しないため好ましい。
ホットメルト法にてプリプレグを得る場合には、樹脂フィルムをコーティングする工程における熱硬化性樹脂の温度は30〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。温度が30℃未満であると粘度が高くなって樹脂フィルムの目付が安定しない場合があり、80℃を超えるとコーティング中に樹脂の硬化が進行して大きく粘度上昇してしまう場合がある。
(金属材)
金属材は、後述する第1の工程で180℃を超える温度に加熱されるとともに、後述する第2の工程で成形され、金属複合体における金属材を形成する。
金属材を形成する金属としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。例えば、アルミニウム合金としては、工業用純アルミニウムのA1050やA1100、A1200、Al−Cu系のA2017、A2024、Al−Mn系のA3003、A3004、Al−Si系のA4032、Al−Mg系のA5005、A5052、A5083、Al−Mg−Si系のA6061、A6063、Al−Zn系のA7075等が挙げられる。
マグネシウムを含むマグネシウム合金としては、例えば、Mg−Al−Zn系のAZ31やAZ61、AZ91等が挙げられる。純マグネシウムについては、板状のものは流通が乏しく、マグネシウム合金が一般的とされる。
チタン合金としては、工業用純チタンである1〜4種のTP270Hや11〜23種のパラジウムを添加した合金やコバルトとパラジウムを添加した合金、50種(α合金)、60種(α−β合金)、80種(β合金)に該当するTi−6Al−4Vなどが挙げられる。
例えば、銅やステンレスなどの金属も好適に選択可能だが、本実施形態にかかる製造方法において、複雑形状への成形を特に容易に行うことが可能であり、比剛性の高い材料であることから、薄肉性および軽量性、高剛性を達成するために好ましい。
金属材の形状は特に制限されず、成形材料として未成形のままでもよく、目的の形状に成形されていてもよく、また目的の形状により近く予備賦形されていてもよい。経済性の観点からは、未成形の状態が好ましい。例えば、金属材は、厚みが0.1〜1mmの板状体であることが好ましい。金属材の厚みはさらに好ましくは0.3〜0.8mmである。このような金属材を用いることで、複雑形状への成形を特に容易に行うことができる。
金属材は、物理的、化学的または電気的に表面粗化されていていてもよい。シート状基材と接する面において金属材が表面粗化されていると、金属材と樹脂硬化層との接着性に特に優れる金属複合体が製造される。表面粗化の方法は、種々の方法を採用することができる。物理的な表面粗化としては、例えば、サンドブラスト、サンドペーパーによる研磨処理等が挙げられる。化学的な表面粗化の方法としては、例えば、金属材を侵食しえる研磨液に、金属材の上記の面を浸漬する方法が挙げられる。電気的な表面粗化の方法としては、例えば、電解液に金属材の上記の面を浸漬し、電気化学的に表面を粗化する方法が挙げられる。これらの表面粗化方法は、1種または2種以上を併用してもよい。
金属材は、シート状基材と接する面において、0.01〜100μmの孔が複数形成されていることが好ましい。0.1〜10μmの孔が複数形成されていることがより好ましい。このような金属材によれば、金属材と樹脂硬化層との接着性に一層優れる金属複合体が製造される。
(プリフォーム)
プリフォームは、シート状基材と、該シート状基材に接するように配置又は積層された金属材とを備える。プリフォームは、後述する第1の工程において加熱されるとともに、後述する第2の工程において加圧成形され、金属複合体を形成する。
プリフォームとしては、例えば、シート状基材に金属材を積層した二層構造を有するプリフォーム、シート状基材の両面にそれぞれ金属材を積層したサンドイッチ構造を有するプリフォーム、シート状基材の側面に金属材を突き当てた構造を有するプリフォーム等、目的とする金属複合体に応じて様々な形態のものを使用することができる。さらに、それらを応用して、シート状基材と金属材の交互積層した構造を有するプリフォームや、シート状基材の積層体に金属材を積層した構造を有するプリフォームや、これらの構造にサンドイッチ構造体で使用される芯材をさらに積層したサンドイッチ構造を有するプリフォームが例示できる。これらの積層構造を有するプリフォームにおいて、対称な積層構成を採用することが、得られる金属複合体の反りや捻れを抑制できる観点で好ましい。
前記プリフォームの中でも、シート状基材の両面にそれぞれ金属材を積層したサンドイッチ構造体を有するプリフォーム、シート状基材の積層体の両面にそれぞれ金属材を積層したサンドイッチ構造体を有するプリフォームが好ましい。このようなプリフォームによれば、樹脂硬化層の両面に金属材が積層されたサンドイッチ構造を有する金属複合体が製造される。すなわち、このようなプリフォームを用いて本実施形態に係る製造方法を実施すると、二つの金属材をそれぞれ個別に成形して熱硬化性樹脂で接着するような方法と比べて、金属複合体としての寸法精度に優れ、かつ金属複合体を短工程で容易に製造できる。
プリフォームの厚みは、特に制限されないものの、金属複合体の複雑形状を成形する観点から、0.5〜5mmが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
(金属複合体の製造方法)
以下、本実施形態に係る金属複合体の製造方法の各工程について詳細に説明する。
第1の工程では、成形金型内に配置されたプリフォームにおける金属材を、その表面温度が180℃を超える温度に加熱するとともに、シート状基材も同時に加熱することにより熱硬化性樹脂の硬化を進行させ、熱硬化性樹脂を半硬化させる。
ここで、「半硬化」とは、未硬化状態と硬化状態との間にある状態を意味する。半硬化状態の熱硬化性樹脂は、ある程度の流動性を有する。具体的には、熱硬化性樹脂を加熱して、経時変化による粘度カーブを測定したとき、飽和した粘度から最低粘度の差分を百分率表示し、飽和した粘度に対して10〜90%の粘度である状態を、半硬化ということができる。なお、硬化状態は、熱硬化性樹脂が脱型により流動ないし変形しない状態であり、前記の測定により、飽和した粘度に対して90%を超える粘度である状態を、硬化状態ということができる。
また、熱硬化性樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと省略する)から硬化状態を確認する方法を用いても良い。すなわち、硬化の進行にともなうTgの上昇が飽和したときのTgと、Tgの最小値(未硬化の熱硬化性樹脂のTg)とを予め測定しておき、飽和したTgからTgの最小値の差分を百分率表示し、飽和したTgに対して10〜90%のTgである状態を、半硬化ということができる。飽和したTgに対して90%を超えるTgである状態を、硬化状態ということができる。熱硬化性樹脂の加熱温度及び加熱時間とTgとの相関関係を予め測定しておき、この相関関係に基づいて、成形条件からおおよそのTgを内挿することができる。TgはDSCを用いた方法で測定することができる。
さらには、熱硬化性樹脂のDSCで測定される発熱量から硬化状態を確認する方法を用いても良い。すなわち、未硬化の熱硬化性樹脂の発熱量を予め測定しておき、加熱後の熱硬化性樹脂の発熱量の割合から残存反応率が硬化状態を見積もることができる。この残存反応率が10〜90%である状態を、半硬化ということができる。10%未満である状態を、硬化状態ということができる。
これらのうちいずれかの測定方法において半硬化状態といえれば、本発明においては、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるとみなすことができる。
第1の工程を経た熱硬化性樹脂は半硬化状態にあり、第2の工程において金属材に追従して成形されるものの、過剰に流動せず、金属材に応じた形状で硬化状態となる。
金属材を加熱する方法には特に制限はなく、例えば、180℃を超える表面温度、好ましくは200〜300℃の表面温度、より好ましくは200〜250℃の表面温度を有する成形金型を金属材と接触させる方法により金属材を加熱することができる。ここでの成形金型の表面温度は、金属複合体を成形するキャビティの温度を意味する。成形金型の表面温度を上げる方法に特に制限はなく、成形金型をホットプレス機に装着する方法、成形金型内にヒーターを埋設する方法、電磁誘導加熱やハロゲンヒーターなどで外部から直接加熱するなどの方法が例示でき、また加熱時間を短縮するたに、ヒーター、オーブン、トーチなどで予め加熱してもよい。
第1の工程では、金属材の表面温度が通常は180℃を超える温度、好ましくは200〜300℃、より好ましくは200〜250℃となるようにプリフォームが加熱される。このような製造方法によれば、金属材の軟化により、続く第2の工程において複雑形状への成形が一層容易となる。金属材の表面のうち少なくとも一部が上記温度であればよいが、加圧成形により、金属複合体が変形する箇所の表面温度が上記温度であることが好ましい。
第1の工程でプリフォームを加熱したときに、金属材とともに、シート状基材も加熱される。通常、シート状基材と金属材とでは温度差が生じ、シート状基材全体を上記温度まで昇温するには金属材よりも熱量が必要となるため、シート状基材が常に上記温度となることはない。このような温度差により、熱硬化性樹脂の硬化反応を適度に調整することができる。すなわち、シート状基材の熱伝導率が金属材よりも低いこと、シート状基材が金属材を介して加熱されること、シート状基材の熱源から距離が遠いこと、シート状基材の比熱が大きいことなどが、本発明の効果が奏される一因と考えられる。
第1の工程では、プリフォームを加圧することもできる。例えば、プリフォームを上下から保持するための加圧や、プリフォームを目的の形状に成形するために予備的な加圧を行うことなどが例示できる。このとき、プリフォームを加圧する圧力は、0〜3MPaが好ましく、0.2〜2MPaがより好ましい。
第2の工程では、第1の工程で加熱されたプリフォームを、加圧により目的形状に成形する。好ましくは、成形金型に接している金属材の表面温度が第1の工程の加熱により180℃を超えてから、プリフォームを加圧により複合体に成形する。第2の工程では、金属材の表面温度が180℃を超えるように、好ましくは200〜250℃となるように加熱されながら、プリフォームが圧力P2で加熱される。すなわち、第1の工程で加熱された金属材は、180℃を超える温度のまま第2の工程に供されることが好ましく、200〜300℃の温度のまま第2の工程に供されることがより好ましい。
第2の工程は、第1の工程とは異なる成形金型内で行ってもよいが、同一の成形金型内で行うことが好ましい。
第2の工程における圧力P2は、好ましくは3〜30MPa、より好ましくは5〜25MPaである。このような加圧により成形することで、複雑形状であっても容易に成形することができる。圧力P2は、プリフォームが目的の形状に成形されるまで上記範囲に保持されることが好ましい。プリフォームが目的の形状に成形された後、圧力を減少させてもよい。
第2の工程及び/又は第3の工程では、プリフォームのエッジは、ヘミング加工または圧接加工されてもよい。このような加工によって、金属複合体の末端部の美観が良好となるとともに、金属材と樹脂硬化層との接合がより強固なものとなる。このような加工は、第3の工程の後に、追加の工程として実施してもよい。
第3の工程では、第2の工程で成形された金属複合体を、圧力P3の加圧下において、金属材の表面温度が180℃以下となるまで冷却する。第3の工程において180℃以下の温度で金属複合体が保持される時間は、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内、更に好ましくは3分以内である。また圧力P3は、冷却による反りや歪みを強制する観点から、圧力P2以上であることが好ましく、圧力P2を超えることがより好ましい。具体的には、圧力P3は、圧力P2に対して、好ましくは0〜10MPa、より好ましくは3〜5MPa高い圧力とするのが良く、上限については、特に限定はされないが、成形金型への過負荷を考慮すると30MPa程度が良いと考えられる。
第1の工程、第2の工程及び第3の工程を同一の成形金型内で行うことが好ましい。これにより、より高い生産性と経済性で金属複合体を製造することができる。
第2の工程及び/又は第3の工程において、好ましくは、熱硬化性樹脂が、硬化状態まで硬化される。例えば、プリフォームが目的の形状に成形され、金属複合体が形成された後、そのまま成形金型内に金属複合体を保持することによって、熱硬化性樹脂を硬化することができる。第3の工程において金属複合体を180℃以下の温度で保持することによって、熱硬化性樹脂を硬化させることが好ましい。
熱硬化性樹脂を硬化させるための保持時間は特に制限されないが、生産性の観点からは短時間であればあるほど好ましく、例えば、10分以内であることが好ましく、3分以内であることがより好ましく、1分以内であることがとりわけ好ましい。硬化反応の観点から、シート状基材の温度が好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下となるように金属複合体を保持して熱硬化性樹脂を硬化させることがより好ましい。第1の工程における硬化の程度を高めることにより、第2の工程及び/又は第3の工程における硬化のための保持時間を短縮することもできる。
本実施形態に係る製造方法は、第3の工程の後に、金属複合体をアフターキュアする工程を更に備えていてもよい。アフターキュアを行う場合、熱硬化性樹脂の硬化のために金属複合体を成形金型内に保持する時間を更に短縮することができる。アフターキュアの方法は、熱硬化性樹脂を硬化し得る方法であればよく、例えば、金属複合体を所定の温度に加熱した乾燥機やオーブンなどに保持するなどの方法により行うことができる。
図1は、金属複合体を製造する方法の一実施形態を説明する模式断面図である。図1(a)に示すように、成形金型は上側成形金型11と下側成形金型12とを備える。プリフォーム10は、シート状基材2の両面に板状の金属材1および金属材3がそれぞれ積層された、サンドイッチ構造を有している。
第1の工程において、プリフォーム10は、図1(b)に示すように、上側成形金型11と下側成形金型12との間に挟まれる。上側成形金型11及び下側成形金型12は、表面温度が180℃を超えるように加熱される。金属材1は、上側成形金型11及び/又は下側成形金型12との接触により180℃を超える温度に加熱される。加熱された金属材1を介してシート状基材2が加熱されて、シート状基材2の熱硬化性樹脂の硬化反応が開始され、半硬化状態にいたる。
次いで、同一の上側成形金型11および下側成形金型12を用いて、第2の工程を行う。第2の工程では、図1(c)に示すように、上側成形金型11および下側成形金型12によりプリフォーム10が加圧され、プリフォーム10は成形金型に追従するように変形して、シート状基材2から形成された樹脂硬化層2aを有する金属複合体20に成形される。
図2は、金属複合体の製造方法の他の実施形態を説明する模式断面図である。図2に示すように、第2の工程における「成形」は、必ずしも金属材を変形するものである必要はなく、板状の金属材1同士を、シート状基材2を介して接着することも「成形」に含まれる。
図3は、金属複合体の製造方法における温度、時間および圧力の関係の一例を示す図である。図3において、成形金型温度T2及びT3は、上側成形金型および下側成形金型の表面温度である。第1の工程では、180℃を超える温度T2まで加熱された成形金型に接触した金属材の表面温度が、T2と同程度まで上昇する。これに伴い、シート状基材の熱硬化性樹脂の硬化反応が開始され、半硬化状態にいたる。
次いで、第2の工程において、所定の圧力によりプリフォームを加圧して成形する。このとき、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるため、加圧しても熱硬化性樹脂が過剰に流動することなく、金属材に沿って樹脂硬化層が形成される。
第2の工程から引き続き、加圧状態を保持しながら、成形金型温度が180℃以下の温度T3まで下げられる。第3の工程において、金属材の表面温度がT3の状態である程度の時間保持され、熱硬化性樹脂が硬化状態となる。
第2の工程において金属材の表面温度が180℃を超え、温度の降下を開始してから金属材の表面温度が180℃以下になるまでの時間が、3分以内であることが好ましい。
第3の工程が終了した時点で、上下の成形金型を開放して、金属複合体を脱型する。
(金属複合体)
本実施形態に係る製造方法により製造される金属複合体は、金属材と、該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える。樹脂硬化層は、シート状基材に含まれる熱硬化性樹脂が硬化することにより形成される層である。
本実施形態に係る製造方法によれば、金属材と樹脂硬化層との間には強固な接着構造が形成されるが、この理由としては、金属材の表面の粗大または微細な凹凸形状に沿って熱硬化性樹脂が充填して硬化したことや、比較的高温での硬化反応により金属材との化学的結合力が高められたことなどが一因として挙げられる。
金属材と樹脂硬化層との接着強度は、10MPa以上が好ましく、20MPa以上がより好ましい。これらの指標は、金属材同士、または金属材と他の構造部材とを樹脂硬化層を介して複合化した金属複合体が、使用環境や用途に応じた十分な接着力を保持していることを意味する。
接着強度が10MPa以上であれば一般的な接着剤が使用される用途において十分な接着力があり、接着剤を使用した金属複合体よりも優れた耐久性を有する。接着強度が20MPa以上であればより厳しい環境で使用される用途において十分な接着力があり、構造用接着剤を使用した金属複合体よりも優れた耐久性を有する。
接着強度は、例えばJIS K 6849の接着剤の引張り接着強さ試験方法などの方法で測定できる。ただし、金属複合体は一般的には複雑形状であるため、規格に従った接着強度試験を実施することが難しい。そこで、接着強度が予め判っている接着剤を用いて、金属複合体から一部を切り出し、その両端を治具に接着し、治具を介して接着強度試験を行うことで、前記接着強度が接着剤の接着強度よりも優位であるか劣位であるかの大凡の目安を得ることができる。すなわち、接着剤の層内で破壊されれば金属複合体の接着強度は、接着剤の接着強度よりもおおよそ高いと判断される。一方、金属複合体の剥離で破壊されれば金属複合体の接着強度は、接着剤の接着強度よりもおおよそ低いと判断される。
本発明の金属複合体の用途としては、例えば、航空機用部材、自動車用部材、二輪車用部材、船舶用部材、機械機構部材、土木用部材、建材用部材、電子機器用部材が挙げられる。中でも、生産性を高める効果から、自動車用部材や、電気機器用部材で好ましく使用され、とりわけ、軽量性、力学特性、放熱性などに優れる効果から、電子機器の筐体により好ましく使用される。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(熱硬化性樹脂の調製)
エポキシ樹脂として“エピコート”828、“エピコート”834、“エピコート”1001(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、及び“エピコート”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、硬化剤としてDicy7(ジシアンアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)、硬化促進剤として“オミキュア”24(2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイジャパン(株)製)を用い、これらを表1に示す質量比で混合して、樹脂組成物として調製した。
調製した樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を、JIS K 7121記載の方法に基づき、Pyris 1DSC(パーキンエルマー・インスツルメント社製示差走査熱量計)を用い、昇温速度10分/分で測定されるDSC曲線から求めた。DSC曲線が階段状変化を示す部分における中間点を、ガラス転移温度とした。この測定方法において、樹脂組成物のTgは6℃であり、硬化により飽和したTgは138℃であった。すなわち、Tgが19〜125℃の範囲内にあるとき、樹脂組成物が半硬化状態であるといえる。
調製した樹脂組成物の加熱温度及び加熱時間とTgとの関係を求めた。加熱温度が130℃又は150℃の場合について、加熱時間によるTg変化を測定したところ、加熱温度130℃、加熱時間10分のときにTgが138℃となり、樹脂組成物が硬化状態となることがわかった。ここでの加熱温度は、加熱プレートを有するプレス装置で樹脂組成物を挟んで加熱する際の、加熱プレートの表面温度を意味する。
(シート状基材の作製)
調製した樹脂組成物を、リバースロールコータを用いて離型紙上に塗布することにより、樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、25g/mとした。
次に、単位面積あたりの繊維重量が125g/mとなるようにシート状に一方向に整列させた炭素繊維(トレカ(登録商標)、T700SC−12K−50C、東レ(株)製、引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa)の両面から樹脂フィルムを重ね、加熱及び加圧して樹脂組成物を炭素繊維に含浸させ、一方向プリプレグ(連続繊維強化プリプレグ(CF−PPg))を作製した。作製したプリプレグから所定の大きさを有する長方形のプリプレグシートを4枚切り出した。切り出したプリプレグシート長辺の方向を0°として、連続した強化繊維の方向が[0°/90°/90°/0°]の対称構成となるように、4枚のプリプレグシートを積層し、厚み0.5mmのシート状基材を作製した。積層の際、プリプレグ基材の90°層間にK熱電対を内挿した。
プレス成形装置を用い、表面温度が130℃の加熱プレート上にシート状基材を配置して、加熱しながら1MPaで10分間加圧して、成形品を得た。得られた成形品のTgを前記と同様の方法により測定したところ137℃であり、成形品(樹脂組成物)は硬化状態であった。
(プリフォームの製造)
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を準備した。アルミニウム合金板の表面には、平均孔径30μmの多数の孔が観測された。この金属材と上述のシート状基材を、金属材/シート状基材/金属材の順で積層して、プリフォームを作製した。積層の際、一方の金属材の表面にK熱電対を、耐熱テープを用いて貼り付けた。
(金属複合体の製造)
図3に示すような第1の工程、第2の工程及び第3の工程を含む以下のプロセスにより、金属複合体を作製した。
[第1の工程]
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも220℃であった。この状態で約1分間保持して、樹脂組成物を半硬化させた。このとき、金属材の表面温度は215℃で、シート状基材の温度は150℃であった。上述のように予め取得した加熱温度及び加熱時間とTgとの相関関係に基づいて、金属複合体中の樹脂組成物のTgは115℃と見積もられた。このTgは飽和したTgに対して82%であることから、第1の工程の終了時点の樹脂組成物は半硬化状態であることがわかる。
[第2の工程]
続いて、上側成形金型及び下側成形金型によりプリフォームを10MPaで加圧して、金属複合体を成形した。
[第3の工程]
第2の工程の加圧を開始してから約1分後、冷却水を流すことにより上側成形金型及び下側成形金型を表面温度が180℃以下となるまで冷却しながら、上側成形金型及び下側成形金型の設定温度を150℃に変更した。プリフォームを配置しない状態で、冷却水量と成形金型の表面温度との相関関係を予め確認しておき、この相関関係に基づいて冷却水量を調整した。金属材の表面温度が冷却を開始してから約2分後に180℃以下の状態となり、その後、約1分間加圧を行った。
[脱型]
成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。得られた金属複合体を構成する金属材同士が強固に接着されており、人力による剥離は困難であった。二つの金属材の間にズレはなく、金属複合体の厚みは1.5mmであり、ヒケや捻れは認められず、金属複合体全体に反りや歪みも生じていなかった。金属複合体について、接着強度を後述する方法により測定したところ、16MPaであった。接着試験終了後に、金属材に付着した樹脂組成物を削り出し、そのTgを測定したところ、137℃であり、第3の工程の終了時点での樹脂組成物が硬化状態にあることが確認された。
(実施例2)
(プリフォームの作製)
金属材として、表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.5mmのマグネシウム合金板(AZ31)を準備した。マグネシウム合金板の表面には平均孔径50μmの多数の孔が観察された。金属材をこのマグネシウム合金板に変更したこと以外は実施例1と同様にして、プリフォームを作製した。
(金属複合体の作製)
[第1の工程]
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも210℃であった。この状態で約1分間保持して、樹脂組成物を半硬化させた。このとき、金属材の温度は210℃で、シート状基材の温度は140℃であった。加熱温度及び加熱時間とTgとの相関関係に基づいて、金属複合体中の樹脂組成物のTgは108℃と見積もられた。このTgは飽和したTgに対して77%であることから、第1の工程の終了時点の樹脂組成物は半硬化状態であることがわかる。
[第2の工程]
続いて、上側成形金型及び下側成形金型によりプリフォームを15MPaで加圧して、金属複合体を成形した。
[第3の工程]
第2の工程の加圧を開始してから約1分後、冷却水を流すことにより上側成形金型及び下側成形金型を180℃以下となるまで冷却しながら、上側成形金型及び下側成形金型の設定温度を150℃に変更した。金属材の表面温度が冷却を開始してから約2分後に180℃以下の状態となり、その後、約1分間加圧を行った。
[脱型]
成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。二つの金属材の間にズレはなく、金属複合体の厚みは1.5mmであり、金属複合体は凹凸形状を有していた。金属複合体に皺、割れ、破れといった表面欠陥は認められず、金属複合体全体に反りや歪みも生じていなかった。得られた金属複合体の金属材同士は強固に接着されており、人力による剥離は困難であった。金属複合体について、後述する方法により接着強度を測定したところ、18MPaであった。接着試験終了後に、金属材に付着した樹脂組成物を削り出し、そのTgを測定したところ、137℃であり、第3の工程の終了時点での樹脂組成物が硬化状態にあることが確認された。
(実施例3)
金属材として、金属表面にアルマイト処理が施された厚み0.5mmのアルミニウム合金板(A5052)を準備した。このアルミニウム合金板の表面には平均孔径0.05μmの多数の孔が観察された。金属材をこのアルミニウム合金板に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、その評価を行った。
(実施例4)
実施例1で調製した樹脂組成物を用いて樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、50g/mとした。シート状基材をこの樹脂フィルムに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、その評価を行った。
(実施例5)
実施例1で製造したシート状基材と金属材を用い、金属材/シート状基材の二層構成のプリフォームを作製した。また第1の工程において、下側成形金型の表面温度が150℃となるように設定した。このプリフォームを用いたことおよび下側成形金型の表面温度以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体を製造し、その評価を行った。
(実施例6)
実施例1と同様のプリフォームを用い、第1の工程の加熱を開始してから約30秒後、第2の工程の加圧を開始し、その約30秒後、第3の工程として、冷却水を流して上側成形金型と下側成形金型を180℃以下に冷却し、上側及び下側成形金型の設定温度を170℃に変更した。金属材の表面温度が冷却を開始してから約1分後に180℃以下の状態となり、その後、約1分間加圧を行った。その後、成形金型を開放し、金属複合体を成形金型から取り出した。取り出した金属複合体を雰囲気温度150℃に調整された熱風オーブンに入れ、10分間アフターキュアを行った。得られた金属複合体を、実施例1と同様に評価した。
(実施例7)
ベンゾオキサジン樹脂として、F−a型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成工業(株)製)、酸触媒として、DY9577(ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ(株)製、三塩化ホウ素オクチルアミン錯体)を用い、表1に示す質量比で混合した。この樹脂組成物を、シート状基材を形成する熱硬化性樹脂として用いた以外は、実施例1と同様の条件で金属複合体および電子機器筐体を製造した。粘度計を用いて樹脂の粘度を測定した結果から、樹脂の硬化度を算出したところ、第1の工程において、半硬化の状態であることがわかった。
(実施例8)
フェノール樹脂として、フェノライト(登録商標)5010(DIC(株)製、レゾール型フェノール樹脂)を準備し、シート状基材を形成する熱硬化性樹脂として用いたこと以外は、実施例1と同様とした。
(実施例9)
金属材として、金属表面にサンドブラスト処理が施された厚み0.2mmのチタン合金板(Ti−6AL−4V)を用いた。成形金型の表面温度を240℃とし、成形圧力を15MPaとすること以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体および電子機器筐体を製造し、評価を行った。なお、金属板の表面には平均孔径15μmの多数の孔が観察された。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
(実施例10)
上下の成形金型温度を190℃とすること以外は、実施例1と同様の方法で金属複合体および電子機器筐体を製造し、評価を行った。なお、第1の工程時の金属材の表面温度は、185℃であった。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
(実施例11)
金属材の対向する2辺の端辺を図5(a)に示すように、約90°のL曲げ加工したアルミニウム合金(A5052)を準備した。実施例1と同じシート状基材を図5(b)に示すように配置し、L曲げ部分を曲げ込んで、プリフォームとした。これら以外は、実施例1と同様にして成形を行った。成形金型の加圧によって、曲げ込んだL曲げ部が平潰しされ、端部がヘミング加工された金属複合体を得た。
(実施例12)
金属材として、工業用純アルミニウム板(A1100)を用いたこと以外は、実施例1と同様とした。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
(実施例13)
金属材として、工業用純チタン(KS40)を用いたこと以外は、実施例9と同様とした。製造条件および、評価結果を表2に記載する。
(比較例1)
(プリフォームの作製)
熱硬化性樹脂の組成を表2に示す質量比に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、金属複合体を製造した。プレス成形装置を用い、表面温度が130℃の加熱プレート上にシート状基材を配置して、加熱しながら10分間、1MPaで加圧した。得られた成形品のTgを前記と同様の方法で測定したところ75℃であった。このTgは飽和したTgに対して52%であることから、樹脂組成物は半硬化状態であることがわかる。
(金属複合体の製造)
[第1の工程]
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とでプリフォーム10を挟み、0.5MPaの圧力で保持した。このとき、上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも220℃で、シート状基材の温度は150℃であった。この状態で約1分間保持して、樹脂組成物を反応させた。上述のように予め取得した加熱温度及び加熱時間とTgとの相関関係に基づいて、金属複合体中の樹脂組成物のTgは14℃と見積もられた。このTgは飽和したTgに対して6%であることから、第1の工程の終了時点の樹脂組成物は半硬化状態に至っていなかった。
[第2の工程]
続いて、上側成形金型及び下側成形金型によりプリフォームを10MPaで加圧した。このとき、成形金型の間から、多量の樹脂組成物がフローした。
[脱型]
第3の工程の冷却を行わず、そのまま約3分間加圧を行った後、成形金型を開放したところ、金属材と金属材がズレ、金属複合体全体に反りが生じており、かつ金属材の間から、シート状基材の一部が飛び出しており、目的の金属複合体が得られなかった。さらに、金属複合体を取り出そうとしたところ、金属材が成形金型に固着してしまい、複合体としての脱型が困難であった。従って、後述する接着強度の測定は不可能であった。
(比較例2)
図1(b)に示すように、上側成形金型と下側成形金型とで実施例2と同様のプリフォームを挟み、0.5MPaの圧力で保持した。上側成形金型と下側成形金型の表面温度はいずれも130℃とした。これ以外は、実施例2と同様の方法で金属複合体を製造し、評価を行った。製造条件および、評価結果を表2に示す。
得られた金属複合体において、二つの金属材にズレが生じ、金属材の間から熱硬化性樹脂が少し漏れていた。凹凸の絞り部には皺が見られ、深く絞られた箇所では表面割れが生じていた。人力にて金属材が剥離可能であった。
上記実施例、比較例における製造条件、評価結果を表1および表2にまとめて示す。
Figure 0005712943
Figure 0005712943
(金属材表面の平均孔径測定)
金属材として用いる金属の表面を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(コントローラー部)/VK−9510(測定部)((株)キーエンス製)を使用して、拡大倍率100倍で撮影した。撮影した画像より解析アプリケーションVK−H1A9を使用して金属表面に形成される任意の孔径D(n)(n=1〜100)を測定し、平均孔径を求めた。
(金属複合体の接着強度測定)
製造された金属複合体の平滑部より、40mm角の試験片を切り出し、サンドブラストを用いて両表面を粗化し、アセトンで油分を拭き取った後、構造用エポキシ樹脂(東レファインケミカル(株)製ケミットTE−2220)を用いて、直径10mmの貫通孔を備えた40mm立方のアルミニウム合金製ブロックを接着した。もう一方の面に対しても同様にアルミニウム合金製ブロックを接着し、図4に示す接着強度測定用サンプルを作製した。引張試験装置“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)の上下に取り付けた固定具とアルミニウム合金製ブロックの貫通孔にピンを通して接続し、引張速度1.6mm/分で評価サンプル数nを5として評価を行った。得られた値と次式(1)より金属複合体の接着強度Sを算出した。計算によって得られた接着強度が10MPa以上であれば、おおよそ人力での剥離は困難である。
S=P/A (1)
S:接着強度[MPa]、P:最大荷重[N]、A:サンプルの断面積[mm
1 金属材
2 シート状基材
2a 樹脂硬化層
3 金属材
4 一方の部材
5 他方の部材
6 接着剤
7 アルミニウム合金製ブロック
8 L字曲げされた金属材
10 プリフォーム
11 上側成形金型
12 下側成形金型
20 金属複合体(試験片)
21 上側成形金型
22 下側成形金型

Claims (19)

  1. エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である熱硬化性樹脂を含むシート状基材と、該シート状基材に接するように配置または積層された金属材とを備えるプリフォームを加熱及び加圧により成形して、金属材と該金属材に沿って設けられた樹脂硬化層とを備える金属複合体を製造する方法であって、
    プリフォームを成形金型内に配置し、金属材の表面温度が180℃を超えるまで加熱するとともに、熱硬化性樹脂を半硬化させる第1の工程と、
    第1の工程で加熱されたプリフォームを圧力P2の加圧により金属複合体に成形する第2の工程と、
    第2の工程で成形された金属複合体を、圧力P3の加圧下において、金属材の表面温度が180℃以下となるまで冷却する第3の工程と、
    を備える、金属複合体の製造方法。
  2. シート状基材は、130℃で10分間加熱したときに、そこに含まれる熱硬化性樹脂が硬化状態になるものである、請求項1に記載の金属複合体の製造方法。
  3. 第1の工程において、金属材の表面温度が200〜300℃となるまで加熱する、請求項1または2に記載の金属複合体の製造方法。
  4. 第1の工程において、プリフォームを配置する際の成形金型が、200〜300℃の表面温度を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  5. 第1の工程、第2の工程、および第3の工程を同一の成形金型内で行う、請求項1〜4のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  6. 第2の工程及び/又は第3の工程において、熱硬化性樹脂が硬化状態となる、請求項1〜5のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  7. 圧力P3が圧力P2以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  8. 圧力P2が3〜30MPaである、請求項1〜7のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  9. 金属材の表面温度が180℃を超える温度から180℃以下まで降下するまでの時間が3分以内である、請求項1〜8のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  10. 第2の工程及び/又は第3の工程において、プリフォームのエッジがヘミング加工又は圧接加工される、請求項1〜9のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  11. 第3の工程の後、金属複合体をアフターキュアする工程を更に備える、請求項1〜10のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  12. シート状基材が、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなるプリプレグである、請求項1〜11のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  13. 熱硬化性樹脂に硬化促進剤が添加されている、請求項1〜12のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  14. 金属材が、0.1〜1mmの厚みを有する板状体である、請求項1〜13のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  15. 金属材は、シート状基材と接する面において、物理的、化学的又は電気的に表面粗化されている、請求項1〜14のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  16. 金属材は、シート状基材と接する面において、0.01〜100μmの孔が複数形成されている、請求項1〜15のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  17. 金属材を形成する金属が、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びチタン合金からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜16のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  18. プリフォームが、シート状基材またはその積層体の両面にそれぞれ金属材が積層されて構成されるサンドイッチ構造を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の金属複合体の製造方法。
  19. 金属複合体における金属材と樹脂硬化層との接着強度が10MPa以上である、請求項1〜18のいずれかに記載の金属複合体の製造方法
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