JP2012122728A - 磁歪式トルクセンサ及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

磁歪式トルクセンサ及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストに製造でき、曲げモーメント分をキャンセルできる磁歪式トルクセンサを提供する。
【解決手段】回転軸21の表面に設けられ回転軸21に作用する回転トルクの大きさに応じて歪量が変わり透磁率を変化させる磁歪材30と、回転軸21の周辺に配置され磁歪材30の透磁率の変化を電気的変化として検出する2つの検出手段37、38とを備えた磁歪式トルクセンサ3において、歪量の変化量が磁歪材30内で均一になるように変化した場合に互いに異なった量の電気的変化を検出する。検出手段37、38はそれぞれに、磁歪材30の置かれた領域に磁場を発生させる励磁コイル31、33と、透磁率に応じた磁場の強さを電気的に検出する検出コイル32、34とを有し、検出手段37、38では互いに、励磁コイル31、33又は検出コイル32、34の巻線の巻数N1、N2が異なっている(N1≠N2)。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸に加えられたトルクを検出する磁歪式トルクセンサ、及び、それを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
磁歪式トルクセンサは、自動車用の電動パワーステアリング装置に備えられており、電動パワーステアリング装置は、自動車の運転中に、運転者がハンドル(ステアリングホイール)を操舵するとき、モータを連動させて操舵力を補助する支援装置である。電動パワーステアリング装置において、磁歪式トルクセンサは、運転者のハンドルの操舵によりハンドルに連結された回転軸(操舵軸)に生じる操舵トルクを検出している。電動パワーステアリング装置は、少なくとも検出された操舵トルクと、自動車の車速を検出する車速センサからの車速信号とに基づいて、モータからの出力である補助操舵力を制御することで、運転者の操舵力を軽減している。
磁歪式トルクセンサとしては、回転軸の表面の上下2箇所にそれぞれ、磁歪材が互いに逆方向の磁気異方性を有するように設けられているものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。回転軸に操舵トルクが作用すると、回転モーメントが生じ、回転軸がねじれて2つの磁歪材が歪み、磁気異方性に基づく逆磁歪特性により、一方の磁歪材の歪を更に歪ませ、他方の磁歪材の歪を減少させる。これらの歪の増減により磁歪材それぞれの周囲に配設された検出回路のインピーダンス等が変化する。磁歪式トルクセンサは、この変化を検出することで、回転軸にかかる操舵トルクを検出することができる。
ただ、モータからの補助操舵力をギアを介して回転軸に伝達させると、回転軸には、軸の周りの回転モーメントだけでなく、回転軸の中心軸を曲げようとする曲げモーメントが作用する。この曲げモーメントは、回転軸の軸方向の位置で大きさが異なり、具体的には、曲げモーメントの作用点では0(ゼロ)、位置が作用点から離れるにしたがって大きくなるので、形成される位置が異なる2つの磁歪材には、大きさの異なる曲げモーメントが作用する。2つの磁歪材にとっては、回転モーメントも曲げモーメントも、同じ歪として検出されるので、回転モーメントを検出するための磁歪式トルクセンサとしては、検出の精度が低下してしまう。2つの磁歪材には、大きさの異なる曲げモーメントが作用しているので、それぞれ対応する検出回路からインピーダンス等の出力の差分を取っても曲げモーメント分はキャンセルできないからである。そこで、曲げモーメント分をキャンセルできるように、2つの磁歪材を設ける箇所の回転軸の断面2次モーメントを、互いに異ならせることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−245636号公報 特開2008−216162号公報
特許文献2の技術では、回転軸の断面2次モーメントを磁歪材を設ける箇所毎に変えるので、その箇所毎に回転軸の直径が異なることになり、回転軸の製造に工数がかかり製造コストが高くなったり、異径により異なった曲率の曲面に同じ物性の磁歪材を設ける必要があるため、磁歪材の成膜工程にも工数がかかり成膜コストが高くなったりすると考えられた。曲げモーメント分をキャンセルできる磁歪式トルクセンサを、低コストに製造できることが望ましい。
本発明は、前記問題点に鑑み、低コストに製造でき、曲げモーメント分をキャンセルできる磁歪式トルクセンサを提供し、さらに、そのような磁歪式トルクセンサを備えた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸の表面に設けられ、前記回転軸に作用する回転トルクの大きさに応じて歪量が変わり透磁率を変化させる磁歪材と、
前記回転軸の周辺に配置され、前記磁歪材の前記透磁率の変化を電気的変化として検出する少なくとも2つの検出手段とを備えた磁歪式トルクセンサにおいて、
前記歪量の変化量が前記磁歪材内で均一になるように変化した場合に、互いに異なった量の前記電気的変化を検出することを特徴としている。
これによれば、磁歪材の歪量の変化量に対して検出手段の電気的変化は単調に増減するところ、少なくとも2つの内の1つの検出手段の側の磁歪材と、他の検出手段の側の磁歪材とに生じた歪量の変化量が等しくても、これらの検出手段を介して互いに異なった量の電気的変化を検出することができるので、逆に、曲げモーメントによる異なった歪量の変化量に対しては、これらの検出手段を介して等しい量の電気的変化を検出することができ、曲げモーメント分をキャンセルすることができる。なお、歪量の変化量という物理量を、電気的変化の量という物理量に変換することで検出していると考えると、磁歪式トルクセンサは、歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えることができる。これらの歪量の変化量を検出するセンサはそれぞれ、1つの前記検出手段と、この検出手段と磁気的に結合する前記磁歪材の領域とで構成されると考えることができる。そして、これらのセンサでは、歪量の等しい変化量に対して、互いに異なった量の電気的変化を検出するので、いわゆる、検出感度が互いに異なっていると考えることができる。
また、曲げモーメントは、検出手段毎に対応する磁歪材の設けられた回転軸上の位置によって異なってもよいので、磁歪材を設ける位置毎に、回転軸の直径を変える必要が無い。そのため、回転軸の製造コストを抑えることができる。また、磁歪材も、一定の曲率の曲面に物性が均一になるように設ければよいので、成膜コストも抑えることができる。これにより、磁歪式トルクセンサを、低コストに製造することができる。
また、本発明では、前記検出手段はそれぞれに、
前記磁歪材の置かれた領域に磁場を発生させる励磁コイルと、
前記透磁率に応じた前記磁場の強さを電気的に検出する検出コイルとを有し、
前記検出手段では互いに、前記励磁コイル、又は、前記検出コイルの巻線の巻数が異なっていることが好ましい。
励磁コイルは、その巻線の巻数に応じた強さの磁場を発生させることができ、検出コイルは、その巻線の巻数に応じて、磁場の強さに対して検出される電気的な量の比を変えることができる。そこで、検出手段毎に、励磁コイル、又は、検出コイルの巻線の巻数を異ならせることで、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、励磁コイル、又は、検出コイルの巻線の巻数を異ならせることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明の前記検出手段では互いに、前記磁歪材と前記検出手段の間に設けるエアギャップの大きさが異なっていることが好ましい。
検出手段のそれぞれは、磁歪材の透磁率の変化を電気的変化として検出するので、磁歪材と磁気的に結合している。それぞれの検出手段は、磁歪材と共に磁気回路を構成している。このため、検出手段毎に、磁歪材と検出手段の間に設けるエアギャップの大きさを異ならせることで、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、磁歪材と検出手段の間に設けるエアギャップの大きさを異ならせることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明では、前記検出手段はそれぞれに、
前記回転軸の周方向に巻線が巻かれ、前記磁歪材の置かれた領域に磁場を発生させる励磁コイルと、
前記回転軸の周方向に巻線が巻かれ、前記透磁率に応じた前記磁場の強さを電気的に検出する検出コイルとを有し、
前記検出手段では互いに、前記励磁コイル、又は、前記検出コイルの、前記巻線の束の前記回転軸の軸方向の幅が異なっていることが好ましい。
これによっても、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、励磁コイル、又は、検出コイルの巻線の束の幅を異ならせることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明では、前記磁歪材は、前記検出手段毎に分割されて、対応する前記検出手段に対向するように前記回転軸の表面に設けられ、
分割された前記磁歪材では互いに幅が異なっていることが好ましい。
これによっても、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、分割された磁歪材の幅を異ならせることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明の前記磁歪材の前記検出手段のそれぞれに対向する領域では、予め、互いに異なった前記歪量が歪ませられ、
前記歪量の変化量が前記磁歪材内で均一になるように変化した場合に、それぞれの前記領域では、透磁率が互いに異なった量変化することが好ましい。
磁歪材は、歪量に応じて透磁率が変化するが、歪量の全域にわたり比例して変化するわけではないので、予め歪ませて歪量をオフセットしておけば、歪量の変化量に対して、検出手段が検出する電気的変化の量を変えることができる。このため、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、磁歪材の検出手段のそれぞれに対向する領域において、予め、互いに異なった歪量を歪ませることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明の前記磁歪材の前記検出手段のそれぞれに対向する領域では、鉄の組成比が互いに異なることが好ましい。
これによっても、歪量の変化量に対して、検出手段が検出する電気的変化の量を変えることができる。このため、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、磁歪材の検出手段のそれぞれに対向する領域において、鉄の組成比を互いに異ならせることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明では、前記検出手段はそれぞれ、前記電気的変化を増幅させる増幅手段に接続し、
前記検出手段毎に前記電気的変化を増幅させる増幅率が異なることが好ましい。
これによれば、歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、検出手段を介して、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。そして、磁歪式トルクセンサが、前記したように歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを少なくとも2つ有していると考えた場合には、これらのセンサでは、検出手段毎に増幅率を異ならせることで、低コストかつ容易に検出感度を互いに異ならせることができる。
また、本発明は、本発明の磁歪式トルクセンサを備える電動パワーステアリング装置であって、
前記回転軸は、操舵軸として使用され、
前記操舵軸の回転を伝達するラックアンドピニオンギア機構と、
前記検出手段と前記ラックアンドピニオンギア機構との間に設けられ、前記操舵軸を回転自在に支持する軸受けを備え、
前記検出手段は、互いに前記回転軸の軸方向にずれて配置され、
前記歪量が前記磁歪材内で均一に変化した場合に、前記軸受けに近い側の検出手段を介して、遠い側の検出手段を介すよりも、小さい量の前記電気的変化を検出することを特徴としている。
ラックアンドピニオンギア機構は、回転軸の回転を確実に伝達するために、回転軸に押し付けられている。軸受けは、回転軸を支持している。そして、回転軸の検出手段を挟んだ軸受けの反対側は、ステアリングホイールや別の軸受けによって支持される。これらにより、回転軸には、中心軸を曲げようとする曲げモーメントが作用する。この曲げモーメントは、回転軸の軸方向の位置で大きさが異なる。具体的には、検出手段とラックアンドピニオンギア機構の間に設けられた軸受けから検出手段への方向に沿って、曲げモーメントは小さくなる。軸受けに近い側では、遠い側よりも、曲げモーメントが大きくなっている。これにより、歪量が磁歪材内で均一に変化した場合に、軸受けに近い側の検出手段を介して、遠い側の検出手段を介すよりも、小さい量の電気的変化を検出することで、この曲げモーメントをキャンセルすることができる。
本発明によれば、低コストに製造でき、曲げモーメント分をキャンセルできる磁歪式トルクセンサを提供でき、さらに、そのような磁歪式トルクセンサを備えた電動パワーステアリング装置を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成図である。 電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサの周辺の構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁歪式トルクセンサ(両端が固定端の場合)に関し、(a)は、回転軸の中心軸の曲がりを強調して示した図であり、(b)は、曲げモーメントの大きさを回転軸に沿って示した曲げモーメント図である。 第1の実施形態の磁歪式トルクセンサにおいて、入力される操舵トルクに対するインピーダンス又は誘導電圧のグラフである。 第1の実施形態の磁歪式トルクセンサにおいて、入力される操舵トルクに対するトルク検出電圧のグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサの周辺の構成図である。 本発明の第3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサの周辺の構成図である。 本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサの周辺の構成図である。 第5の実施形態の磁歪式トルクセンサにおいて、入力される操舵トルクに対するインピーダンス又は誘導電圧のグラフである。 第6の実施形態の磁歪式トルクセンサにおいて、入力される操舵トルクに対するインピーダンス又は誘導電圧のグラフである。 本発明の第7の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサの周辺の構成図である。 本発明の第8の実施形態に係る磁歪式トルクセンサ(一端が開放端で、他端が固定端の場合)に関し、(a)は、磁歪式トルクセンサの周辺の構成図であり、(b)は、回転軸の中心軸の曲がりを強調して示した図であり、(c)は、曲げモーメントの大きさを回転軸に沿って示した曲げモーメント図である。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置1の構成図を示す。 電動パワーステアリング装置1は、運転者がハンドル2を回転操作した際に、ハンドル2に連結された回転軸(操舵軸)21に補助トルクAを付加し、運転者の操舵力を軽減させるための装置である。この電動パワーステアリング装置1は、運転者がハンドル2を回転操作した際に、回転軸(操舵軸)21に作用する回転トルク(操舵トルク)Tsの大きさ及び方向を検出する磁歪式トルクセンサ3と、補助トルクAを発生する電動機4と、電動機4で発生した補助トルクAを倍力して回転軸(操舵軸)21に伝達する減速機構5と、磁歪式トルクセンサ3での検出結果に応じた補助トルクAを発生するように電動機4を制御する制御部9とを備えて構成されている。
ハンドル(ステアリングホイール)2は、自在継ぎ手13a、13bを介して、回転軸(操舵軸)21の上端に連結されている。回転軸(操舵軸)21の下端にはピニオンギア11bが取り付けられている。ピニオンギア11bはラックギア11aに噛み合っており、ラックギア11aとピニオンギア11bとでラックアンドピニオンギア機構11を構成している。ラックアンドピニオンギア機構11は、回転軸(操舵軸)21の操舵トルクTsをラック軸6の軸方向の推力(ピニオントルクTp)に変換する。ラックギア11aは、ラック軸6に刻まれて設けられている。ラック軸6は、ステアリングギアボックス12内に回転させないで軸方向に移動が自在にできるように保持されている。ラック軸6の両端にはタイロッド14の一端が固定され、各タイロッド14の他端には自動車の前輪(車輪)10が取り付けられている。このように構成することで、運転者がハンドル2を回転操作することにより、左右の車輪10を転舵させることができる。
回転軸(操舵軸)21の上部には、回転軸(操舵軸)21とステアリングギアボックス12との間をシールするシール23が設けられている。また、回転軸(操舵軸)21は、軸受け24、25、26によって、ステアリングギアボックス12内に回転自在に支持されている。軸受け24は、回転軸(操舵軸)21の上部を支持している。軸受け25と26は、ピニオンギア11bの上側と下側を支持している。
減速機構5は、軸受け25を挟んで、ピニオンギア11bの反対側の回転軸(操舵軸)21上に設けられている。減速機構5は、電動機4の駆動軸に形成されたウォームギア5aと、回転軸(操舵軸)21に結合されたウォームホイールギア5bとを組み合わせた機構であり、電動機4で発生した補助トルクAを、ウォームギア5a及びウォームホイールギア5bを介して回転軸(操舵軸)21に伝達するように構成されている。なお、電動機4で発生した補助トルクAは、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとのギア比に応じて倍力される。ラックアンドピニオンギア機構11は、倍力された補助トルクAをラック軸6の軸方向の推力(ピニオントルクTp)に変換する。
回転軸(操舵軸)21には、磁歪式トルクセンサ3が設けられている。磁歪式トルクセンサ3は、軸受け24と25の間の回転軸(操舵軸)21に設けられている。回転軸(操舵軸)21は、磁歪式トルクセンサ3の回転軸を兼ねている。磁歪式トルクセンサ3は、ハンドル2から運転者によって入力される操舵トルクTsを検出する。磁歪式トルクセンサ3は、回転軸(操舵軸)21の表面に設けられた磁歪材30を有している。磁歪材30では、回転軸(操舵軸)21に作用する回転トルクの大きさ及び方向に応じて歪量が変わり透磁率が変化する。磁歪材30は、第1磁歪材(領域)3aと第2磁歪材(領域)3bとを有している。第1磁歪材(領域)3aと第2磁歪材(領域)3bとは、一体となっていてもよいし、分離していてもよい。第1磁歪材3aと第2磁歪材3bとは、回転軸(操舵軸)21の全周にわたり円環状に形成されている。磁歪材30(第1磁歪材3a、第2磁歪材3b)は、Fe−Ni系やFe−Cr系の磁歪膜が好適である。磁歪材30(第1磁歪材3a、第2磁歪材3b)は、メッキ法や蒸着法等により、回転軸(操舵軸)21上等、例えば、回転軸(操舵軸)21の表面上や、回転軸(操舵軸)21に圧入させる中空管に成膜し、回転軸(操舵軸)21と磁歪材30(第1磁歪材3a、第2磁歪材3b)を一体化してもよいし、予め作製された磁歪材30(第1磁歪材3a、第2磁歪材3b)を、接着剤を用いて回転軸(操舵軸)21に接着にて設けてもよい。第1磁歪材3aと第2磁歪材3bには、予め、互いが逆の異方性を持つように、互いに逆方向に等しい歪量が歪ませられている。このため、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bに、一方向に歪量の変化量が均一になるように変化させると、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bの透磁率は、一方は増加し、他方は減少するように変化し、その増加分と減少分は等しくなる。
さらに、磁歪式トルクセンサ3には、第1磁歪材3aの周辺に第1検出手段37が設けられ、第2磁歪材3bの周辺に第2検出手段38が設けられている。第1検出手段37と第2検出手段38は、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bの透磁率の変化を電気的変化として検出する。
第1検出手段37は、回転軸(操舵軸)21の周方向に巻線がボビン36に巻かれ、第1磁歪材3aの置かれた領域に磁場を発生させる第1励磁回路(励磁コイル)31と、回転軸(操舵軸)21の周方向に巻線がボビン36に巻かれ、第1磁歪材3aの透磁率に応じた磁場の強さを電気的に検出する第1検出回路(検出コイル)32とを有している。なお、第1励磁回路31と第1検出回路32とは、巻線を多重巻きされたコイルで別々に設けられているが、一つのコイルで兼用しても良い。
同様に、第2検出手段38は、回転軸(操舵軸)21の周方向に巻線がボビン36に巻かれ、第2磁歪材3bの置かれた領域に磁場を発生させる第2励磁回路(励磁コイル)33と、回転軸(操舵軸)21の周方向に巻線がボビン36に巻かれ、第2磁歪材3bの透磁率に応じた磁場の強さを電気的に検出する第2検出回路(検出コイル)34とを有している。なお、第2励磁回路33と第2検出回路34とは、巻線を多重巻きされたコイルで別々に設けられているが、一つのコイルで兼用しても良い。
第1励磁回路(励磁コイル)31の巻線の巻数N1と、第2励磁回路(励磁コイル)33の巻線の巻数N2とは、互いに異なっている(N1≠N2)。また、第1検出回路(検出コイル)32の巻線の巻数N3と、第2検出回路(検出コイル)34の巻線の巻数N4とは、互いに異なっている(N3≠N4)。
第1励磁回路(励磁コイル)31と第2励磁回路(励磁コイル)33は、それらの巻線の巻数N1、N2に応じた強さの磁場を発生させることができる。また、第1検出回路(検出コイル)32と第2検出回路(検出コイル)34は、それらの巻線の巻数N1、N2に応じて、磁場の強さに対して検出される電気的な量の比を変えることができる。そこで、検出手段37、38毎に、励磁コイル31、33、又は、検出コイル32、34の巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を異ならせることで(N1≠N2、N3≠N4)、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bの歪量の変化量が磁歪材内で均一になるように変化した場合に、第1検出回路(検出コイル)32と第2検出回路(検出コイル)34は、互いに異なった量の電気的変化を検出することができる。
第1磁歪材3aと第2磁歪材3bの歪量の変化量に対して、第1検出手段37と第2検出手段38の電気的変化は単調に増減する。そして、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bとに生じた歪量の変化量が等しくても、これらの第1検出手段37と第2検出手段38は、前記巻線の巻数N1、N2(N3、N4)によって、互いに異なった量の電気的変化を検出することができるので、逆に、曲げモーメントによる異なった歪量の変化量に対しては、その巻数を調整することによって、等しい量の電気的変化を検出することができ、曲げモーメント分をキャンセルすることができる。
なお、歪量の変化量という物理量を、電気的変化の量という物理量に変換することで検出していると考えると、磁歪式トルクセンサ3は、歪量の変化量を電気的変化の量として検出するセンサを2つ有していると考えることができる。これらの歪量の変化量を検出する2つセンサはそれぞれ、1つの検出手段37、38と、この検出手段37、38と磁気的に結合する磁歪材3a、3bとで構成されると考えることができる。そして、これら2つのセンサでは、歪量の等しい変化量に対して、互いに、巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を異ならせることで、異なった量の電気的変化を検出するので、いわゆる、検出感度が互いに異なっていると考えることができる。
また、曲げモーメントが、回転軸(操舵軸)21上の位置によって異なってもよいので、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bを設ける位置毎に、回転軸(操舵軸)21の直径を変える必要が無い。そのため、回転軸(操舵軸)21の製造コストを抑えることができる。また、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bも、直径が変わらず一定の曲率の曲面に、物性が均一になるように設ければよいので、第1磁歪材3aと第2磁歪材3bを容易に成膜でき、成膜コストも抑えることができる。これらにより、磁歪式トルクセンサ3を、低コストに製造することができる。
運転者がハンドル2を操舵することによって、操舵トルクTsが生じ、操舵トルクTsは回転軸(操舵軸)21に伝達される。伝達された操舵トルクTsは、磁歪式トルクセンサ3に検出され、検出した信号として、第1検出手段37から出力VT10を出力する。同様に、第2検出手段38から出力VT21を出力する。出力VT10、VT21は、制御部9に入力される。制御部9は、自動車の車速を検出する車速センサ8から車速信号Vを受信する。また、制御部9は、電動機4にモータ電流Dを送電すると共に、モータ電流Dを計測した電流計測信号Doと、電動機4の回転子の回転角を計測したモータ回転角信号aなども受信する。制御部9は、受信した出力VT10、VT21と、車速信号V、電流計測信号Do、モータ回転角信号a等に基づいて、電動機4にモータ電流Dを出力する。
電動機4は、モータ電流Dにより、操舵トルクTsを補助する補助トルクAを出力し、補助トルクAは、減速機構5とラックアンドピニオンギア機構11を経由して、ラック軸6に伝達するとともに直線運動に変換される。なお、運転者が直に発生させた操舵トルクTsも、ラックアンドピニオンギア機構11を経由して、ラック軸6に伝達するとともに直線運動に変換される。
ラック軸6に伝達した操舵トルクTsの直線運動と補助トルクAの直線運動とは合わさって、タイロッド14を動かし、車輪10の走行方向を変化させる。操舵トルクTsに補助トルクAが合わさることで、運転者の操舵に必要な操舵トルクTsを軽減することができる。そして、ハンドル2を操舵角θだけ回転することにより、車輪10の走行方向を転舵角αだけ回転させることができる。
例えば、操舵トルクTsの値を理解を容易にするために単にTsとし、補助トルクAの値を単にAとし、補助トルクAの操舵トルクTsに対する補助の比率を表す係数を定数kAとすると、A=kA×Tsであり、負荷であるピニオントルクをTpとすると、ピニオントルクTpは操舵トルクTsと補助トルクAの和(Tp=Ts+A)であるから、Ts=Tp/(1+kA)となる。したがって操舵トルクTsは、ピニオントルクTpの1/(1+kA)、(kA≧0)となりピニオントルクTpより小さくなり、操舵トルクTsは軽減されることになる。なお、上記では、理解を容易にするためにkAを定数としたが、kAは車速(車速信号V)の増大に伴って小さくなることが好ましい。このことにより、自動車が高速走行になるに従って車輪10を路面に対して転舵角αだけ回転させる負荷が減少しても、車輪10を転舵角αだけ回転させるに要する操舵トルクTsを大きくするために、補助トルクAを小さくして運転者に手応え感を付与することができる。
図2に、電動パワーステアリング装置1における磁歪式トルクセンサ3の周辺の構成図を示す。図2は、図1のA−A方向の矢視断面図になっている。制御部9は、インターフェイス部15を有している。インターフェイス部15は、変換回路35と増幅手段AMPを有している。増幅手段AMPは、出力VT10を増幅する増幅手段AMP1と、出力VT21を増幅する増幅手段AMP2とを有している。変換回路35は、増幅手段AMP1から出力される出力VT10と、増幅手段AMP2から出力される出力VT21との差(VT10−VT21)を計算して、これにゲインkを乗じることで、トルク検出信号VT3を算出する。また、制御部9は、トルク検出信号(出力)VT3と車速信号Vと電流計測信号Doとモータ回転角信号aに基づいて、電動機4を回転動作させるモータ電流Dを出力するモータ電流制御部18を有している。なお、制御部9は、出力VT10と出力VT21の和を計算して(VT10+VT21)、この和の値が所定の範囲に入っているかどうかを判定することによる故障診断等を実施している。
ステアリングギアボックス12は、互いにボルト止めされた中部ハウジング12A、下部ハウジング12B、上部ハウジング12Cで構成されている。回転軸(操舵軸)21、磁歪式トルクセンサ3、減速機構5、ラックアンドピニオンギア機構11などは、ステアリングギアボックス12内に収納されている。回転軸(操舵軸)21の上端部は、上部ハウジング12C上部から外部に突出しており、自在継手13a、13b(図1参照)を介してハンドル2(図1参照)に連結可能になっている。また、下部ハウジング12Bには、電動機4が取り付けられている。下部ハウジング12Bには、ラック軸6の軸方向のスライドをガイドするラックガイド6aと、このラックガイド6aをピニオンギア11bの方向に押圧するバネ6bとが設けられている。ラック軸6から回転軸(操舵軸)21(ピニオンギア11b)へ、回転軸(操舵軸)21の軸方向に垂直な力F1が作用している。また、ウォームギア5aから回転軸(操舵軸)21(ウォームホイールギア5b)へ、回転軸(操舵軸)21の軸方向に垂直な力F2が作用している。この力F1とF2により、回転軸(操舵軸)21に、さらには、回転軸(操舵軸)21上の第1磁歪材3aと第2磁歪材3bには、曲げモーメントが生じている。
次に、磁歪式トルクセンサ3の第1磁歪材3aと第2磁歪材3bに生じる曲げモーメントについて詳細に検討する。
図3(a)に、回転軸(操舵軸)21に曲げが生じていることの理解を容易にするために、支点、作用点(力点)となる磁歪式トルクセンサ3の構造物を抜粋して示す。回転軸(操舵軸)21は、軸受け24、25、26によって回転自在に支持されている。軸受け24、25、26は、支点となっている。軸受け24は、回転軸(操舵軸)21の上端部に設けられている。軸受け24と25とは、第1磁歪材3aと対向して配置される第1検出手段37(第1励磁回路31、第1検出回路32)と、第2磁歪材3bと対向して配置される第2検出手段38(第2励磁回路33、第2検出回路34)を挟むように配置されている。軸受け25は、減速機構5による力F2が作用する作用点(力点)と、ラックアンドピニオンギア機構11による力F1が作用する作用点(力点)との間に設けられている。力F2が作用する作用点(力点)は、第2検出手段38の下側に設けられている。軸受け26は、回転軸(操舵軸)21の下端部に設けられ、力F1が作用する作用点(力点)に対して端部側に設けられている。
そして、電動機4から補助トルクAが出力されると、減速機構5を介して補助トルクAは、回転軸(操舵軸)21に伝達される。このとき、減速機構5においては、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとの噛み合いによって、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bの圧力角(例えば約10度)の影響で、ウォームギア5aから離れる方向に傾き角(ヘリカルアングル)がついているので、ウォームギア5aとウォームホイールギア5bとには、互いに離れる方向に力F2が生じる。そして、この力F2が回転軸(操舵軸)21に作用する。この力F2は、補助トルクAが大きいほど大きくなる。
回転軸(操舵軸)21に伝達された補助トルクAは、ラックアンドピニオンギア機構11を介して、ラック軸6に伝達される。このとき、ラックアンドピニオンギア機構11においては、ピニオンギア11bとラックギア11aとの噛み合いによって、ピニオンギア11bとラックギア11aの圧力角(例えば約20度)の影響で、ラック軸6から離れる方向に傾き角(ヘリカルアングル)がついているので、ピニオンギア11bとラックギア11aとには、互いに離れる方向に力F1が生じる。そして、この力F1が回転軸(操舵軸)21に作用する。この力F1も、補助トルクAが大きいほど大きくなる。
なお、力F1と力F2とを比較すると、力F1と力F2の方向は、略平行になっている。力F1の大きさは、力F2より大きくなっている(F1>F2)。
図3(a)の太線により、この力F1と力F2で曲がった回転軸(操舵軸)21の中心軸の変位を誇張して示す。この太線のように回転軸(操舵軸)21を曲げようとする曲げモーメントが、この力F1と力F2により発生する。回転軸(操舵軸)21の中心軸の変位は、軸受け24、25、26を節としている。そして、軸受け25と26の間では、力F1がこの間に力点として存在するので、力F1が作用する側が縮み、反対側が伸びるように、回転軸(操舵軸)21は変位する。また、軸受け24と25の間では、力F1による回転軸(操舵軸)21の中心軸の変位が、軸受け25を不動点として反対方向に振れ、力F1が作用する側が伸び、反対側が縮むように変位する。ただ、軸受け24と25の間には、力F2が作用している。力F2は、その方向は力F1の方向と同じであるが、その大きさは力F1より小さい。このため、力F2は、軸受け24と25の間では、力F1による回転軸(操舵軸)21の中心軸の変位を、小さくするに留まる。これにより、第1検出手段37(第1励磁回路31、第1検出回路32)と対向して配置される第1磁歪材3aと、第2検出手段38(第2励磁回路33、第2検出回路34)と対向して配置される第2磁歪材3bとの位置する回転軸(操舵軸)21では、曲げモーメントにより曲げられ、回転軸(操舵軸)21さらには第1磁歪材3aと第2磁歪材3bも歪むことになる。
図3(b)に、曲げモーメントの大きさを回転軸(操舵軸)21に沿った方向の曲げモーメントダイヤグラムD3として示した曲げモーメント図(BMD:Bending Moment Diagram)を示す。この曲げモーメントダイヤグラムD3(太線で示す)は、力F1と力F2の2つの力が作用していて複雑であるので、力F2を省いて力F1を作用させた場合の曲げモーメントダイヤグラムD1(破線で示す)と、力F1を省いて力F2を作用させた場合の曲げモーメントダイヤグラムD2(一点鎖線で示す)とをそれぞれ算出(取得)し、算出した曲げモーメントダイヤグラムD1と曲げモーメントダイヤグラムD2を足すことで、所望の曲げモーメントダイヤグラムD3を取得している(D3=D1+D2)。曲げモーメントダイヤグラムD3と、曲げモーメントダイヤグラムD1を比較すると、曲げモーメントダイヤグラムD2の効果、すなわち、力F2の効果がわかる。すなわち、曲げモーメントダイヤグラムD3とD1では、軸受け24から力F2の作用点まで、曲げモーメントは共に増加してくるが、曲げモーメントダイヤグラムD3は、曲げモーメントダイヤグラムD1に比べて、軸受け24から力F2の作用点までの曲げモーメントの傾き(増加率)が小さくなっている。ただ、小さいながらも傾きは存在しているので、第1検出手段37(第1励磁回路31、第1検出回路32)に対向して位置する第1磁歪材3aにおける曲げモーメントb1は、第2検出手段38(第2励磁回路33、第2検出回路34)に対向して位置する第2磁歪材3bにおける曲げモーメントb2と異なり(b1≠b2)、曲げモーメントb1は、曲げモーメントb2より小さくなっている(b1<b2)。
図4に、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3における逆磁歪特性の一例を示す。横軸は、入力される操舵トルクTsであり、縦軸は、励磁回路31、33に交流電圧を印加したときに検出回路32、34によって検出されるインピーダンスあるいは誘導電圧を示している。
曲線C1は、第1励磁回路31に交流電圧を印加したときに第1検出回路32によって検出されるインピーダンスあるいは誘導電圧を示している。曲線C1では、操舵トルクが負から正になるにつれてインピーダンスあるいは誘導電圧は増加し、操舵トルクが正の値T1となったときインピーダンスあるいは誘導電圧はピーク値P1をとり、操舵トルクがT1以上では減少する。操舵トルクTsの検出上限Rと検出下限−Rの間の検出範囲では、曲線C1は、傾きが略一定で正の右肩上がりの直線状になっている。
曲線C2は、従来の第2励磁回路33と第2検出回路34の巻線の巻数N2が第1励磁回路31と第1検出回路32の巻線の巻数N1に等しい場合に、第2励磁回路33に交流電圧を印加したときに第2検出回路34によって検出されるインピーダンスあるいは誘導電圧を示している。曲線C2では、操舵トルクが正から負になるにつれてインピーダンスあるいは誘導電圧は増加し、操舵トルクが負の値−T1のときインピーダンスあるいは誘導電圧はピーク値P2をとり、さらに操舵トルクを負の方向に増加すると減少する。なお、負の値−T1の絶対値は、正の値T1に略等しくなっている。また、ピーク値P2は、ピーク値P1に略等しくなっている。操舵トルクTsの検出上限Rと検出下限−Rの間の検出範囲では、曲線C2は、傾きが略一定で負の右肩下がりの直線状になっている。この曲線C2の傾きの絶対値は、曲線C1の検出範囲内での正の傾きに略等しくなっている。曲線C1とC2は、操舵トルクTsが0(ゼロ)のときに、略等しくなる。曲線C1とC2は、縦軸を対称線として略線対称になっている。これより、検出範囲において、曲線C1のインピーダンスあるいは誘導電圧から、曲線C2のインピーダンスあるいは誘導電圧を引くと、直線Lが得られる。直線Lは、原点(操舵トルクTsが0(ゼロ)のとき、インピーダンスあるいは誘導電圧も0(ゼロ)になる)を通り、傾きは、曲線C1の検出範囲内での正の傾きの2倍になる。この直線Lの関係を利用して磁歪式トルクセンサ3は操舵トルクを高感度に検出する。
第1の実施形態では、第2励磁回路33の巻線の巻数N2が、第1励磁回路31の巻線の巻数N1とは異なり少なくなり(N2<N1)、又は/及び、第2検出回路34の巻線の巻数N4が、第1検出回路32の巻線の巻数N3とは異なり少なくなっている(N4<N3)ので、曲線C20(破線)に示すように、第2励磁回路33に交流電圧を印加したときに第2検出回路34によって検出されるインピーダンスあるいは誘導電圧は、補正分だけ曲線C2より低くなり、傾きが曲線C2より小さくなだらかになっている。この補正分は、曲げモーメントb1とb2(図3参照)の差分(b2−b1)に対応している。
なお、第1の実施形態では、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を小さくさせて、第2検出手段38側の傾きを、曲線C2の傾きから曲線C20の傾きへのように、小さくさせた。しかし、これに限定されることはない。すなわち、第1検出手段37側の検出感度を、第2検出手段38側の検出感度よりも大きくして、第1検出手段37側の傾きを、曲線C1の傾きからさらに大きくして、曲げモーメントb1、b2の差の影響をキャンセルしても良い。後記する他の実施形態でも同様である。
なお、逆磁歪特性(磁気異方性)を与えるには、例えば、次の方法を実施すれば良い。まず、回転軸(操舵軸)21に磁歪材30(第1磁歪材(領域)3a、第2磁歪材(領域)3b)を40μmの厚さでメッキ処理する。次に、第1磁歪材(領域)3aと第2磁歪材(領域)3bの中間を回転しないように支持して、第1磁歪材(領域)3aと第2磁歪材(領域)の外側の回転軸(操舵軸)21を、同じ回転方向に捩じり、捩じりトルクを2kgm作用させたまま、150〜550℃にて10分から20時間熱処理する。
図5に、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3において、入力される操舵トルクTsに対するトルク検出電圧(出力)VT10、VT21(図1、図2参照)のグラフである。図5の横軸の操舵トルクTsの範囲は、図4の操舵トルクTsの検出上限Rと検出下限−Rの間の検出範囲に対応している。また、図5の縦軸のトルク検出電圧(出力)という物理量は、図4の縦軸のインピーダンスまたは誘導電圧という物理量に対して、相関関係(比例関係)を有している。
具体的には、図4の検出範囲の曲線C1は、図5のトルク検出電圧(出力)VT1に対応している。図4の検出範囲の曲線C2は、図5のトルク検出電圧(出力)VT2に対応している。
トルク検出電圧(出力)VT1は、第1検出手段37から出力され、第1検出手段37では、図3(a)と(b)に示すように、曲げモーメントb1が生じるので、実際には、第1検出手段37からは、トルク検出電圧(出力)VT1に、曲げモーメントb1分が上乗せされたトルク検出電圧(出力)VT10が出力される。
トルク検出電圧(出力)VT2は、第2検出手段38から出力され、第2検出手段38では、図3(a)と(b)に示すように、曲げモーメントb2が生じるので、第2検出手段38からは、トルク検出電圧(出力)VT2に、曲げモーメントb2分が上乗せされたトルク検出電圧(出力)VT20が出力されることになるが、第1の実施形態では、トルク検出電圧(出力)VT20から、補正分として曲げモーメントb1とb2の差分(b2−b1)を差し引いたトルク検出電圧(出力)VT21が出力される。
曲げモーメントb1とb2が発生していないとした理想的な場合には、トルク検出電圧(出力)VT3は、トルク検出電圧(出力)VT1からトルク検出電圧(出力)VT2を引いて求められる。トルク検出電圧(出力)VT1とVT2は、傾きの正負が異なり傾きの絶対値が等しく、操舵トルク0(ゼロ)において等しいので、トルク検出電圧(出力)VT3は、原点を通り、傾きがトルク検出電圧(出力)VT1の傾きの2倍になる。これにより、操舵トルクを高感度に検出することができる。
次に、曲げモーメントb1とb2が発生しているが、補正はしていない従来の場合には、トルク検出電圧(出力)VT10からトルク検出電圧(出力)VT20を引いたトルク検出電圧(出力)VT30によって、操舵トルクが検出されることになる。曲げモーメントb1とb2は、大きさが異なり、曲げモーメントb1より、曲げモーメントb2の方が大きいので(b1<b2)、曲げモーメント分をキャンセルできずに、操舵トルクTsが正の領域においてトルク検出電圧が0(ゼロ)となり、運転者に違和感を与えてしまう。
そこで、第1の実施形態では、トルク検出電圧(出力)VT20から、補正分として曲げモーメントb1とb2の差分(b2−b1)を差し引いたトルク検出電圧(出力)VT21を出力させる。これは、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることに相当する。トルク検出電圧(出力)VT21とVT10は、傾きの正負が異なり傾きの絶対値が等しく、操舵トルク0(ゼロ)において等しいので、トルク検出電圧(出力)VT10からVT21を引いたトルク検出電圧(出力)VT3は、前記した理想的な場合に一致し、原点を通り、傾きがトルク検出電圧(出力)VT1の傾きの2倍になる。これにより、曲げモーメントはキャンセルでき、操舵トルクを高感度に検出することができる。なお、実際には、変換回路35(図2参照)において、VTl0からVT21を減算し、この減算値に係数kを積算することによってVT3を算出(VT3=k・(VTl0−VT21))している。さらに、VT3は、操舵トルクTsが0(ゼロ)のときに、2.5Vを出力するようにシフトされている。また、補正分の具体的な補正量は、曲げモーメントの比(b1/b2)の逆数に、巻線の巻数の比(N1/N2、N3/N4)が等しくなるように調整することで設定することができる。
(第2の実施形態)
図6(a)に、本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサ3の周辺の構成図を示し、図6(b)に、図6(a)の一点破線の丸枠内の拡大図を示す。第2の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、巻線の巻数N1、N2を等しくした一方で(N1=N2)、磁歪材30と検出手段37、38の間に設けるエアギャップA1、A2の大きさが互いに異なり(A1≠A2)、ボビン36が段付きになっている点である。具体的には、第1磁歪材3aと第1検出手段37の間に設けられるエアギャップA1は、第2磁歪材3bと第2検出手段38の間に設けられるエアギャップA2より小さくなっている(A1<A2)。これによっても、第1の実施形態と同様に、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることができるので、第1の実施形態と同様に、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
(第3の実施形態)
図7(a)に、本発明の第3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサ3の周辺の構成図を示し、図7(b)に、図7(a)の一点破線の丸枠内の拡大図を示す。第3の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を等しくした一方で(N1=N2、N3=N4)、検出手段37、38の回転軸(操舵軸)21の周方向にボビン36に巻かれた巻線の束の回転軸(操舵軸)21の軸方向の幅W1、W2が互いに異なっている(W1≠W2)点である。具体的には、第1検出手段37の巻線の束の幅W1は、第2検出手段38の巻線の束の幅W2より広くなっている(W1>W2)。これによっても、第1の実施形態と同様に、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることができるので、第1の実施形態と同様に、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。なお、幅W1、W2は、ボビン36に巻線を巻きつけるための溝の幅に一致し、この溝幅を調整することで、幅W1、W2を変更することができる。
(第4の実施形態)
図8(a)に、本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサ3の周辺の構成図を示し、図8(b)に、図8(a)の一点破線の丸枠内の拡大図を示す。第4の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を等しくした一方で(N1=N2、N3=N4)、検出手段37、38に対向するように分割された第1磁歪材3aと第2磁歪材3bの幅M1、M2が互いに異なっている(M1≠M2)点である。具体的には、第1磁歪材3aの幅M1は、第2磁歪材3bの幅M2より広くなっている(M1>M2)。これによっても、第1の実施形態と同様に、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることができるので、第1の実施形態と同様に、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
(第5の実施形態)
図9に、第5の実施形態の磁歪式トルクセンサ3において、入力される操舵トルクTsに対するインピーダンス又は誘導電圧のグラフを示す。第5の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を等しくした一方で(N1=N2、N3=N4)、検出手段37、38に対向する第1磁歪材3aと第2磁歪材3bでは、予め、互いに異なった歪量が歪ませられている(プリトルクが異なっている)点である。具体的には、第1磁歪材3aに起因する曲線C1のピーク値P1は、操舵トルクT1で得られる。そして、従来であれば、第2磁歪材3bに起因する曲線は、曲線C2に示すように、ピーク値P2が、操舵トルクT1と正負が反対で絶対値が等しい操舵トルク−T1で得られるところ、第5の実施形態では、第2磁歪材3bに起因する曲線は、曲線C20に示すように、ピーク値P2が、操舵トルクT1と正負が反対で絶対値がさらに大きい操舵トルク−T2で得られる(T2>T1)。第1磁歪材3aにおける予め歪ませた歪量に対して、第2磁歪材3bにおける予め歪ませた歪量は、向きが逆で、大きさが大きくなっている。第5の実施形態の第2磁歪材3bに起因する曲線C20は、従来の曲線C2に比べ、操舵トルクTsの負方向にシフトした形状になっている。
磁歪材は、歪量に応じて透磁率が変化するが、歪量の全域にわたり一定の傾きで変化するわけではないので、予め歪ませて歪量をオフセットしておけば、歪量の変化量に対して、検出手段が検出する電気的変化の量(検出感度)を変えることができる。具体的には、第2磁歪材3bのプリトルクを大きくして、検出領域(−RとRの間)における曲線C20の傾きΔC20の絶対値を、検出領域における曲線C2(C1)の傾きΔC2(ΔC1)の絶対値より小さくし、検出感度を小さくさせた。これによっても、第1の実施形態と同様に、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることができるので、第1の実施形態と同様に、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
(第6の実施形態)
図10に、第6の実施形態の磁歪式トルクセンサ3において、入力される操舵トルクTsに対するインピーダンス又は誘導電圧のグラフを示す。第6の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を等しくした一方で(N1=N2、N3=N4)、検出手段37、38に対向する第1磁歪材3aと第2磁歪材3bでは、鉄の組成比を互いに異ならせている点である。具体的には、第2磁歪材3bの鉄の組成比を、第1磁歪材3aの鉄の組成比より小さくして、曲線C2に替えて曲線C21を発生させた。検出領域(−RとRの間)における曲線C21の傾きΔC21の絶対値を、検出領域における曲線C2(C1)の傾きΔC2(ΔC1)の絶対値より小さくし、検出感度を小さくさせた。これによっても、第1の実施形態と同様に、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることができるので、第1の実施形態と同様に、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
(第7の実施形態)
図11に、本発明の第7の実施形態に係る電動パワーステアリング装置における磁歪式トルクセンサ3の周辺の構成図を示す。第7の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、巻線の巻数N1、N2(N3、N4)を等しくした一方で(N1=N2、N3=N4)、検出手段37、38からトルク検出電圧(出力)VT10とVT20が出力され、そのトルク検出電圧(出力)VT10とVT20が増幅手段AMP1、AMP2で互いに異なる増幅率K1、K2で増幅され(K1≠K2)、トルク検出電圧(出力)VT10とVT21を出力する点である。具体的には、第1検出手段37側の増幅手段AMP1の増幅率K1に対して、第2検出手段38側の増幅手段AMP2の増幅率K2を小さくした(K1>K2)。これによっても、第1の実施形態と同様に、第1検出手段37側の検出感度に対して、第2検出手段38側の検出感度を、異ならせて、小さくすることができるので、第1の実施形態と同様に、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。なお、検出感度が変更できるのであれば、増幅率に限らない。具体的には、検出手段37、38の駆動周波数やデューティ、サンプリングタイミングを、回路定数もしくはソフトウェアで変化させることによって、検出感度を変化させてもよい。
(第8の実施形態)
図12(a)に、本発明の第8の実施形態に係る磁歪式トルクセンサ(一端が開放端で、他端が固定端の場合)3の周辺の構成図を示す。第8の実施形態の磁歪式トルクセンサ3が、第1の実施形態の磁歪式トルクセンサ3と異なる点は、軸受け24が省かれ、回転軸(操舵軸)21の上端が回転自在に支持されておらず、回転軸(操舵軸)21の上端が開放端になっている点である。ただ、実際には、回転軸(操舵軸)21の上端は完全に開放端になっているわけではなく、その上端には、ハンドル2が連結されており、例えば、車庫入れ時の据え切りする場合のようにハンドル2を強<切る場合には、ハンドル2から自在継手13a、13bを介して回転軸(操舵軸)21の上端に力Gが作用する。
そして、力Gにより、回転軸(操舵軸)21を回転させる回転モーメントが発生する。同時に、曲げモーメントも発生し、この曲げモーメントによって、図12(b)の太い実線で示すように、回転軸(操舵軸)21の中心軸は曲がる。なお、力F1とF2も回転軸(操舵軸)21に作用しているのであるが、第8の実施形態では、検出手段37、38における曲げモーメントb1、b2の大きさに大きく寄与しないので省いている。そして、力Gにより、軸受け25より上では、力Gを作用点(力点)として、力Gが作用する側が伸び、反対側が縮むように、回転軸(操舵軸)21は変位する。
図12(c)に、曲げモーメントb1、b2の大きさを回転軸に沿って示した曲げモーメント図を示す。曲げモーメントダイヤグラムでは、力Gの作用点から軸受け25まで、曲げモーメントは増加してくる。このため、第1検出手段37(第1励磁回路31、第1検出回路32)に対向して位置する第1磁歪材3aにおける曲げモーメントb1は、第2検出手段38(第2励磁回路33、第2検出回路34)に対向して位置する第2磁歪材3bにおける曲げモーメントb2と異なり(b1≠b2)、曲げモーメントb1は、曲げモーメントb2より小さくなっている(b1<b2)。この曲げモーメントb1、b2の大小関係は、第1の実施形態の回転軸(操舵軸)21の両端が固定端の場合の大小関係に一致する。このため、第8の実施形態の回転軸(操舵軸)21の一端が開放端で、他端が固定端の場合でも、第1の実施形態、さらには、第2の実施形態から第7の実施形態を用いることで、曲げモーメントをキャンセルすることができる。そして、回転軸(操舵軸)21の回転モーメントを高精度に検出することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
3 磁歪式トルクセンサ
3a 第1磁歪材(領域)
3b 第2磁歪材(領域)
4 電動機
5 減速機構
5a ウォームギア
5b ウォームホイールギア
6 ラック軸
8 車速センサ
9 制御部
11 ラックアンドピニオンギア機構
11a ラックギア
11b ピニオンギア
15 インターフェイス部
18 モータ電流制御部
21 回転軸(操舵軸)
24、25、26 軸受け
30 磁歪材
31 第1励磁回路
32 第1検出回路
33 第2励磁回路
34 第2検出回路
35 変換回路
36 ボビン
37 第1検出手段
38 第2検出手段

Claims (9)

  1. 回転自在に支持された回転軸と、
    前記回転軸の表面に設けられ、前記回転軸に作用する回転トルクの大きさに応じて歪量が変わり透磁率を変化させる磁歪材と、
    前記回転軸の周辺に配置され、前記磁歪材の前記透磁率の変化を電気的変化として検出する少なくとも2つの検出手段とを備えた磁歪式トルクセンサにおいて、
    前記歪量の変化量が前記磁歪材内で均一になるように変化した場合に、互いに異なった量の前記電気的変化を検出することを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  2. 請求項1に記載の磁歪式トルクセンサを備える電動パワーステアリング装置であって、
    前記回転軸は、操舵軸として使用され、
    前記操舵軸の回転を伝達するラックアンドピニオンギア機構と、
    前記検出手段と前記ラックアンドピニオンギア機構との間に設けられ、前記操舵軸を回転自在に支持する軸受けを備え、
    前記検出手段は、互いに前記回転軸の軸方向にずれて配置され、
    前記歪量が前記磁歪材内で均一に変化した場合に、前記軸受けに近い側の検出手段は、遠い側の検出手段よりも、小さい量の前記電気的変化を検出することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 前記検出手段はそれぞれに、
    前記磁歪材の置かれた領域に磁場を発生させる励磁コイルと、
    前記透磁率に応じた前記磁場の強さを電気的に検出する検出コイルとを有し、
    前記検出手段では互いに、前記励磁コイル、又は、前記検出コイルの巻線の巻数が異なっていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記検出手段では互いに、前記磁歪材と前記検出手段の間に設けるエアギャップの大きさが異なっていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記検出手段はそれぞれに、
    前記回転軸の周方向に巻線が巻かれ、前記磁歪材の置かれた領域に磁場を発生させる励磁コイルと、
    前記回転軸の周方向に巻線が巻かれ、前記透磁率に応じた前記磁場の強さを電気的に検出する検出コイルとを有し、
    前記検出手段では互いに、前記励磁コイル、又は、前記検出コイルの、前記巻線の束の前記回転軸の軸方向の幅が異なっていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記磁歪材は、前記検出手段毎に分割されて、対応する前記検出手段に対向するように前記回転軸の表面に設けられ、
    分割された前記磁歪材では互いに幅が異なっていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記磁歪材の前記検出手段のそれぞれに対向する領域では、予め、互いに異なった前記歪量が歪ませられ、
    前記歪量の変化量が前記磁歪材内で均一になるように変化した場合に、それぞれの前記領域では、透磁率が互いに異なった量変化することを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記磁歪材の前記検出手段のそれぞれに対向する領域では、鉄の組成比が互いに異なることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記検出手段はそれぞれ、前記電気的変化を増幅させる増幅手段に接続し、
    前記検出手段毎に前記電気的変化を増幅させる増幅率が異なることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
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