JP2012116842A - 環状ホスファゼン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルケニルオキシ基、アクリロイルオキシ基などの反応性基を有する環状ホスファゼン化合物を製造するための中間体として有用な環状ホスファゼン化合物の提供。
【解決手段】下式で表されるホスファゼン化合物。
Figure 2012116842

nは3〜15の整数を示す。Qの一例は、下式で示される置換フェニルオキシ基であり、式中のZは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示す。
Figure 2012116842

【選択図】なし

Description

本発明は、環状ホスファゼン化合物およびその製造方法、特に、反応性基含有環状ホスファゼン化合物およびその製造方法に関する。
産業用および民生用の機器並びに電気製品などの分野において、合成樹脂は、その加工性、耐薬品性、耐候性、電気的特性および機械的強度等の点で他の材料に比べて優位性を有するため多用されており、また、使用量が増加している。しかし、合成樹脂は、燃焼し易い性質を有するため、難燃性の付与が求められており、近年その要求性能が次第に高まっている。このため、LSI等の電子部品の封止剤や基板等に使用されている樹脂組成物、例えばエポキシ樹脂組成物は、難燃化するために、ハロゲン含有化合物やハロゲン含有化合物と酸化アンチモンなどのアンチモン化合物との混合物が一般的な難燃剤として添加されている。ところが、このような難燃剤を配合した樹脂組成物は、燃焼時や成形時等において、環境汚染のおそれがあるハロゲン系ガスを発生する可能性がある。また、ハロゲン系ガスは、電子部品の電気的特性や機械的特性を阻害する可能性がある。そこで、最近では、合成樹脂用の難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤やリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、リン酸アミド系、ポリリン酸アンモニウム系およびホスファゼン系などのリン系難燃剤が多用されるようになっている。
このうち、金属水和物系難燃剤は、脱水熱分解の吸熱反応とそれに伴う水の放出が合成樹脂の熱分解や燃焼開始温度と重複した温度領域で起こることで難燃化効果を発揮するが、その効果を高めるためには樹脂組成物に対して多量に配合する必要がある。このため、この種の難燃剤を含む樹脂組成物の成形品は、機械的強度が損なわれるという欠点がある。一方、リン系難燃剤のうち、リン酸エステル系および縮合リン酸エステル系のものは、可塑効果を有するため、難燃性を高めるために樹脂組成物に対して多量に添加すると、樹脂成形品の機械的強度が低下するなどの欠点が生じる。また、リン酸エステル系、リン酸アミド系およびポリリン酸アンモニウム系のものは、容易に加水分解することから、機械的および電気的な長期信頼性が要求される樹脂成形品の製造用材料においては実質的に使用が困難である。これらに対し、ホスファゼン系の難燃剤は、他のリン系難燃剤に比べて可塑効果および加水分解性が小さく、樹脂組成物に対する添加量を大きくすることができるため、特許文献1〜5に記載のように、合成樹脂用の有効な難燃剤として多用されつつあるが、樹脂組成物に対する添加量を増やすと、高温下における樹脂成形品の信頼性を損なう可能性がある。具体的には、熱可塑性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形品からホフスァゼン系の難燃剤がブリードアウト(溶出)し易く、また、熱硬化性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形品にフクレ等の変形が発生し、当該樹脂成形品が積層基板等の電気・電子分野において用いられている場合は変形によるショートを引き起こす可能性がある。
そこで、ホスファゼン系の難燃剤は、高温下での樹脂成形品の信頼性(高温信頼性)を高めるための改良が検討されており、その例として特許文献6〜10には、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基を有するホスファゼン系化合物およびそれを用いた重合体が開示されている。この種のホスファゼン系化合物は、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基が重合反応性を有するため、それ自体を単独で熱硬化性樹脂として使用することができ、また、樹脂形成用の単量体成分の一部として用いることもできる。そして、このホスファゼン系化合物の重合体およびこのホスファゼン系化合物を単量体の一部として得られた重合体は、その成形体の高温信頼性が良好であり、しかもホスファゼン化合物による難燃性を有するため、電気・電子部品用等の製品の樹脂材料としての利用が期待されている。
しかし、この種の重合物からなる樹脂成形体は、本質的効果として求められる難燃性の点で不十分であり、また、機械的特性(特に、高いガラス転移温度)においても不十分である。
特開2000−103939号公報 特開2004−83671号公報 特開2004−210849号公報 特開2005−8835号公報 特開2005−248134号公報
特開昭64−14239号公報 特開昭64−14240号公報 特開2001−335676号公報 特開平6−247989号公報 特開平8−193091号公報
本発明の目的は、樹脂成形体の機械的特性を損なわずにその難燃性を効果的に高めることができ、しかも樹脂成形体の高温信頼性を損ないにくいホスファゼン化合物を実現することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく研究を重ねた結果、特定の反応性基を有する新規なホスファゼン化合物を含む樹脂組成物からなる成形体が優れた機械的特性および難燃性を示し、同時に高温下での信頼性が高いことを見出した。
本発明のホスファゼン化合物は、下記の式(1)で表される反応性基含有環状ホスファゼン化合物である。
Figure 2012116842
式(1)中、nは3〜15の整数を示す。また、Aは、下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがA3基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(3)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(4)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(5)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
式(2)、(3)、(4)および(5)中のZは、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基を示す。また、式(3)中のYは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。さらに、式(4)および式(5)中のRおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。
この反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(1)において、2n個のAのうちの2〜(2n−2)個がA3基である。
また、この反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(1)のnが3若しくは4である。さらに、この反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(1)のnが異なる二種以上の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含んでいる。
本発明に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法は、次の工程1〜3を含んでいる。
[工程1]
下記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する工程。
Figure 2012116842
式(6)中、nは3〜15の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
式(7)、式(8)、式(9)および式(10)中のZは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示す。式(8)中のYは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。式(9)および式(10)中のRおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。
[工程2]
工程1で得られた環状ホスホニトリル置換体のQ3基から保護基を脱離させ、ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物を得る工程。
[工程3]
工程2で得られたヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物において、保護基の脱離により形成されたヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基に置換する工程。
この製造方法の一形態では、上述の保護基として炭素数が2〜6のアルケニル基を用い、かつ、工程2において、環状ホスホニトリル置換体の一部のQ3基から当該保護基を脱離させる。
また、本発明に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の他の製造方法は、上記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換する工程を含んでいる。
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(11)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(12)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(13)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(14)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
式(11)、式(12)、式(13)および式(14)中のZは、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基を示す。式(12)中のYは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。式(13)および式(14)中のRおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。
本発明に係る他のホスファゼン化合物は、下記の式(15)で表される環状ホスファゼン化合物である。
Figure 2012116842
式(15)中、nは3〜15の整数を示す。Qは下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがQ3基である。
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:上記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、上記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、上記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および上記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物とを含んでいる。この樹脂組成物は、例えば、熱重合性モノマー、熱重合性オリゴマー、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーからなる重合性材料群から選ばれた少なくとも一つの重合性材料をさらに含んでいる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物からなるものである。
本発明の重合性組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含んでいる。この重合性組成物は、例えば、反応性基含有環状ホスファゼン化合物と重合可能なモノマーおよびオリゴマーのうちの少なくとも一つの重合性材料をさらに含んでいる。
本発明の他の樹脂成形体は、本発明の重合性組成物の重合体からなるものである。
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、上述のような特定の構造を有するものであるため、樹脂成形体の機械的特性を損なわずにその難燃性を効果的に高めることができ、しかも樹脂成形体の高温信頼性を損ないにくい。
本発明に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の各製造方法は、上述のような工程を含むものであるため、本発明に係る上述のような特定の構造を有する反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造することができる。
本発明に係る環状ホスファゼン化合物は、上述のような特定の構造を有するものであるため、例えば、本発明に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造するための中間体として有用である。
本発明の樹脂組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を難燃剤として用いたものであるため、実用的な機械的特性および難燃性を示し、しかも高温信頼性の高い樹脂成形体を得ることができる。
本発明の重合性組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含むため、その重合体は、実用的な機械的特性および難燃性を示し、しかも高温信頼性が高い樹脂成形体を得ることができる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物若しくは本発明の重合性組成物の重合体からなるものであるため、実用的な機械的特性および難燃性を示し、しかも高温信頼性が高い。
反応性基含有環状ホスファゼン化合物
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、下記の式(1)で表されるものである。
Figure 2012116842
式(1)において、nは、3から15の整数を示しているが、3から8の整数が好ましく、3若しくは4が特に好ましい。すなわち、この反応性基含有環状ホスファゼン化合物として特に好ましいものは、nが3の反応性基含有シクロトリホスファゼン(3量体)およびnが4の反応性基含有シクロテトラホスファゼン(4量体)である。また、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、nが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。
また、式(1)において、Aは、下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基を示している。但し、Aのうちの少なくとも一つはA3基である。
[A1基]
炭素数が1〜8のアルコキシ基。このアルコキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい。
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、1−プロピル−2−ブテニルオキシ基、5−オクテニルオキシ基、ベンジルオキシ基および2−フェニルエトキシ基等を挙げることができる。このうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、1−プロペニルオキシ基およびベンジルオキシ基が好ましく、エトキシ基およびn−プロポキシ基が特に好ましい。
[A2基]
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
[A3基]
下記の式(2)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(3)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(4)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(5)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
式(2)、(3)、(4)および(5)において、Zは、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基(以下、「反応性オキシ基」という場合がある)を示す。炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基としては、例えば、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−ブテニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、sec−ブテニルオキシ基、1−ペンテニルオキシ基および1−ヘキセニルオキシ基が挙げられる。反応性オキシ基は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基および3−ブテニルオキシ基が好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基および2−プロペニルオキシ基が特に好ましい。
また、式(3)において、Yは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。
さらに、式(4)および式(5)において、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示しており、アルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基の場合は、それぞれ、結合している環構造に対して同種若しくは異種のものが複数個結合していてもよい。
上述のA3基の具体例としては、次のものを挙げることができる。
<式(2)で示される置換フェニルオキシ基>
4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基等。このうち、4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基が好ましく、4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基が特に好ましい。
<式(3)で示される置換フェニルオキシ基>
4’−反応性オキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基および4’−反応性オキシベンゾイル−4−フェニルオキシ基。このうち、4’−反応性オキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基および4’−反応性オキシベンゾイル−4−フェニルオキシ基が好ましい。特に、4’−反応性オキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−反応性オキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基が好ましい。
上記4’−反応性オキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。このうち、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基が好ましい。特に、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基が好ましい。
上記4’−反応性オキシフェニルチオ−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。このうち、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェニルオキシ基が好ましい。
上記4’−反応性オキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。このうち、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基が好ましい。特に、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基が好ましい。
上記4’−反応性オキシベンジル−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)ベンジル−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。
上記4’−反応性オキシフェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。
上記4’−反応性オキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。このうち、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基が好ましい。特に、4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基が好ましい。
上記4’−反応性オキシフェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。
上記4’−反応性オキシベンゾイル−4−フェニルオキシ基の具体例としては、4’−(アクリロイルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(エテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(イソプロペニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ブテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−ブテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(sec−ブテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−ペンテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基および4’−(1−ヘキセニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基等を挙げることができる。このうち、4’−(アクリロイルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(メタクリロイルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(1−プロペニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(2−プロペニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基、4’−(3−ブテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェニルオキシ基が好ましい。
<式(4)で示される置換インダンオキシ基>
1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(エテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(イソプロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−ブテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−ブテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(3−ブテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(sec−ブテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−ペンテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−ヘキセニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(エテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−プロペニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(イソプロペニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−ブテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−ブテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(3−ブテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(sec−ブテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−ペンテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1−ヘキセニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(アクリロイルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(メタクリロイルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(エテニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(1−プロペニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(2−プロペニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(イソプロペニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(1−ブテニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(2−ブテニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(3−ブテニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(sec−ブテニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(1−ペンテニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(1−ヘキセニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(エテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(1−プロペニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(イソプロペニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(1−ブテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(2−ブテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(3−ブテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(sec−ブテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(1−ペンテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(1−ヘキセニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基等。このうち、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)−3−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(アクリロイルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(メタクリロイルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1−(4’−(2−プロペニルオキシ)−3’−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−5−フェニル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オキシ基が好ましく、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基が特に好ましい。
<式(5)で示される置換フェニルオキシ基>
4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(エテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(イソプロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(3−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(sec−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−ペンテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−ヘキセニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(エテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(イソプロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(3−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(sec−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−ペンテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(1−ヘキセニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(エテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(1−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(イソプロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(1−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(2−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(3−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(sec−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(1−ペンテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(1−ヘキセニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(エテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(1−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(イソプロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(1−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(2−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(3−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(sec−ブテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(1−ペンテニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(1−ヘキセニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基等。
このうち、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、
3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−メチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−tert−ブチル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−tert−ブチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、3−フェニル−4−[1’,3’,3’−トリメチル−5’−フェニル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基が好ましく、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基、4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基が特に好ましい。
式(1)において、Aは、2n個含まれており、このうちの少なくとも一つがA3基である。したがって、式(1)で表される本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、次の形態に大別することができる。
[形態1]
2n個の全てのAがA3基のものである。この場合、Aは、全てが同じA3基であってもよいし、二種以上のA3基であってもよい。
このような形態の反応性基含有環状ホスファゼン化合物として好ましいものの具体例としては、式(1)のnが3である反応性基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4である反応性基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5である反応性基含有シクロペンタホスファゼン化合物および式(1)のnが6である反応性基含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aの全てが式(2)で示される置換フェニルオキシ基、式(3)で示される置換フェニルオキシ基、式(4)で示される置換インダンオキシ基および式(5)で示される置換フェニルオキシ基からなるA3基群から選ばれた一種のA3基であるものおよびAの全てが当該A3基群から選ばれた二種以上のA3基であるもの並びにこれらの任意の混合物を挙げることができる。
[形態2]
2n個のAのうちの一部(すなわち、少なくとも一つ)がA3基であり、他のAがA1基およびA2基から選ばれた基のものである。この場合、A3基以外の他のAは、全てが同じA1基若しくはA2基であってもよいし、二種以上のA1基若しくはA2基または一種若しくは二種以上のA1基とA2基とが混在した状態であってもよい。
この形態の反応性基含有環状ホスファゼン化合物として好ましいものは、2n個のAのうちの2個〜(2n−2)個がA3基のものである。特に、式(1)のnが3である反応性基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4である反応性基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5である反応性基含有シクロペンタホスファゼン化合物および式(1)のnが6である反応性基含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、2n個のAのうちの2個〜(2n−2)個がA3基のもの並びにこれらの任意の混合物である。この種の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、本発明の他の反応性基含有環状ホスファゼン化合物に比べ、高温信頼性および機械的特性(特に、ガラス転移温度)がより優れた樹脂成形体を実現可能な点において有利である。
なお、2n個のAのうちの2個〜(2n−2)個がA3基であるか否かは、反応性基含有環状ホスファゼン化合物若しくはその製造過程における中間体のTOF−MS分析により確認することができる。
このような形態の反応性基含有環状ホスファゼン化合物として好ましいものの具体例としては、式(1)のnが3である反応性基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4である反応性基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5である反応性基含有シクロペンタホスファゼン化合物若しくは式(1)のnが6である反応性基含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aが、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニ
ルオキシ基とA1基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるジナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのものおよびこれらの任意の混合物を挙げることができる。
このうち、式(1)のnが3である反応性基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4である反応性基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5である反応性基含有シクロペンタホスファゼン化合物、式(1)のnが6である反応性基含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aが、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−グ(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのものA3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのものおよびこれらの任意の混合物が好ましい。
特に、式(1)のnが3である反応性基含有シクロトリホスファゼン化合物若しくは式(1)のnが4である反応性基含有シクロテトラホスファゼン化合物であって、Aが、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−グ(アクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(アクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(メタクリロイルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4’−(2−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(アクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である1,3,3−トリメチル−1−[4’−(2−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(アクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(メタクリロイルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−[1’,3’,3’−トリメチル−6’−(2−プロペニルオキシ)インダン−1’−イル]フェノキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのものおよびこれらの任意の混合物が好ましい。
上述のような本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、互いに架橋されたものではない。すなわち、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、ジフェノール類の二つのヒドロキシル基による架橋構造を全く有していないものである。本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、このような特徴の点において新規であり、従来の反応性基含有環状ホスファゼン化合物とは異なる。
反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合は、先ず、下記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドを用意する。
Figure 2012116842
式(6)において、nは、3から15の整数を示している。また、Xは、ハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子若しくは塩素原子である。因みに、ここで用意する環状ホスホニトリルジハライドは、nが異なる数種類のものの混合物であってもよい。
このような環状ホスホニトリルジハライドの製造方法その他は、各種の文献、例えば、下記のような非特許文献1、2に記載されている。
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、ACADEMIC PRESS社 PHOSPHAZENES、A WORLDWIDE INSIGHT、M.GLERIA、R.DE JAEGER著、2004年刊、NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
これらの文献に記載されているように、式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドは、通常、重合度が3から15程度の環状ホスホニトリルジハライドと鎖状ホスホニトリルジハライドとの混合物として得られる。このため、式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドは、上記各文献に記載されているように、当該混合物から溶媒への溶解度の差を利用して鎖状ホスホニトリルジハライドを取り除いて入手するか、或いは、当該混合物から環状ホスホニトリルジハライドを蒸留又は再結晶によって分離して入手する必要がある。
この製造方法において用いる環状ホスホニトリルジハライドとして好ましいものは、例えば、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン(nが3のもの)、オクタフルオロシクロテトラホスファゼン(nが4のもの)、デカフルオロシクロペンタホスファゼン(nが5のもの)、ドデカフルオロシクロヘキサホスファゼン(nが6のもの)、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼンとオクタフルオロシクロテトラホスファゼンとの混合物、nが3から15の環状ホスホニトリルジフルオリドの混合物、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(nが3のもの)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン(nが4のもの)、デカクロロシクロペンタホスファゼン(nが5のもの)、ドデカクロロシクロヘキサホスファゼン(nが6のもの)、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが3から15の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物等である。このうち、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが3から15の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物がより好ましく、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが3から15の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物が特に好ましい。
また、上述の環状ホスホニトリルジハライドと反応させる化合物として、次の化合物B1、化合物B2および化合物B3を用意する。
[化合物B1]
炭素数が1〜8のアルコール類。
このアルコール類は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい。
このようなアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノ−ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、ビニルアルコール、1−プロペン−1−オール、2−プロペン−1−オール(アリルアルコール)、1−メチル1−エテン−1−オール、3−ブテン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプテン−4−オール、5−オクテン−1−オール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコール等を挙げることができる。このうち、メタノール、エタノール、n−プロパノール、アリルアルコールおよびベンジルアルコールが好ましく、エタノールおよびn−プロパノールが特に好ましい。
[化合物B2]
炭素数が6〜20のフェノール類。
このフェノール類は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい。
このようなフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、エチルフェノール、エチルメチルフェノール、ジエチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、イソプロピルエチルフェノール、ジイソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、n−ペンチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、ビニルフェノール、1−プロペニルフェノール、2−プロペニルフェノール、イソプロペニルフェノール、1−ブテニルフェノール、sec−ブテニルフェノール、1−ペンテニルフェノール、1−ヘキセニルフェノール、フェニルフェノール、ナフトール、アントラノールおよびフェナントラノール等を挙げることができる。このうち、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、ジエチルフェノール、2−プロペニルフェノール、フェニルフェノールおよびナフトールが好ましく、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノールおよびナフトールが特に好ましい。
[化合物B3]
次の化合物B3−1、化合物B3−2、化合物B3−3および化合物B3−4の四種類の保護ジフェノール類。
◎化合物B3−1
下記の式(16)で表される、一方のヒドロキシル基が保護基により保護された保護ジフェノール類。
Figure 2012116842
式(16)中、Zは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示している。
このジフェノール類は、下記の式(17)で表されるジフェノール化合物、すなわち、4,4’−ジフェノールの一方のヒドロキシル基を上記保護基により保護することで得ることができる。
Figure 2012116842
◎化合物B3−2
下記の式(18)で表される、一方のヒドロキシル基が保護基により保護された保護ジフェノール類。
Figure 2012116842
式(18)中、Zは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示している。また、Yは、次に説明する式(19)中のYと同じである。
この保護ジフェノール類は、下記の式(19)で表されるジフェノール化合物の一方のヒドロキシル基を上記保護基により保護することで得ることができる。
Figure 2012116842
式(19)中、Yは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。式(19)で表されるジフェノール類は、具体的には、4,4’−オキシジフェノール、4,4’−チオジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール(ビスフェノール−S)、4,4’−メチレンジフェノール(ビスフェノール−F)、4,4’−エチリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノール−A)、4,4’−(1−メチルプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノール−B)および4,4−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
◎化合物B3−3
下記の式(20)で表される、一方のヒドロキシル基、すなわち、インダンの1位に位置する4−ヒドロキシフェニル基のヒドロキシル基が保護基により保護された保護ジフェノール類。
Figure 2012116842
式(20)中、Zは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示している。また、RおよびRは、それぞれ、次に説明する式(21)中のRおよびRと同じである。
この保護ジフェノール類は、下記の式(21)で表されるジフェノール化合物において、インダンの1位に位置する4−ヒドロキシフェニル基のヒドロキシル基を上記保護基により保護することで得ることができる。
Figure 2012116842
式(21)中、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示し、当該アルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基の場合は、結合している環構造に対して同種若しくは異種のものが複数個結合していてもよい。式(21)で表されるジフェノール類は、p−イソプロペニルフェノールの線状二量体、すなわち、2,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−ペンテン−1および2,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−ペンテン−2の混合物を酸触媒の存在下に環化反応させて得た、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)インダン−6−オールまたはそのアルキル、シクロアルキル若しくはフェニル誘導体である。具体的には、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)インダン−6−オール、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)インダン−6−オール、1,3,3―トリメチル―1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オール、1,3,3―トリメチル―5−tert−ブチル−1−(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オール、1,3,3―トリメチル―5−tert−ブチル−1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)インダン−6−オール、1,3,3―トリメチル―5−iso−プロピル−1−(4−ヒドロキシ−3−iso−プロピルフェニル)インダン−6−オール、1,3,3―トリメチル―5−フェニル−1−(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)インダン−6−オール等を挙げることができる。
◎化合物B3−4
下記の式(22)で表される、一方のヒドロキシル基、すなわち、インダンの6位に位置するヒドロキシル基が保護基により保護された保護ジフェノール類。
Figure 2012116842
式(22)中、Zは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示している。また、RおよびRは、それぞれ、上記式(21)中のRおよびRと同じである。
この保護ジフェノール類は、上記式(21)で表されるジフェノール化合物において、インダンの6位に位置するヒドロキシル基を上記保護基により保護することで得ることができる。
上述の化合物B3−1、化合物B3−2、化合物B3−3および化合物B3−4の四種類の保護ジフェノール類、すなわち、式(16)、式(18)、式(20)および式(22)で示される保護ジフェノール類において、Zで示される保護基の種類は、下記の非特許文献3および非特許文献4等の多数の公知文献に記載されている。また、式(17)、式(19)および式(21)で示されるジフェノール類から式(16)、式(18)および式(20)若しくは式(22)で示される保護ジフェノール類を選択的に調製する方法も、これらの非特許文献において記載されている。
PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、T.W.GREENE、P.G.M.WUTS著、1999年刊、WILEY−INTERSCIENCE社 PROTECTING GROUP CHEMISTRY(OXFORD CHEMISTRY PRIMERS)、J.ROBERTSON著、2000年刊、OXFORD UNIVERSITY PRESS社
で示される保護基の具体例としては、メチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−エトキシエチル基、tert−ブチル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、ベンジル基、o−ニトロベンジル基、トリフェニルメチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基およびトリイソプロピルシリル基等を挙げることができる。これらの保護基のうち、メチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、tert−ブチル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、ベンジル基およびtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、メチル基、メトキシメチル基、tert−ブチル基、炭素数が2〜6のアルケニル基およびベンジル基が特に好ましい。
ここで、炭素数が2〜6のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、sec−ブテニル基、4−ペンテニル基および5−ヘキセニル基等を挙げることができる。このうち、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基および3−ブテニル基が好ましく、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)および3−ブテニル基が特に好ましい。
上述の化合物B3−1、化合物B3−2、化合物B3−3および化合物B3−4として好ましいものの具体例は、次の通りである。
[化合物B3−1]
4’−メトキシフェニル−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニル−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニル−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニル−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニル−4−フェノール、4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニル−4−フェノ−ル等。
[化合物B3−2]
4’−メトキシフェニルオキシ−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニルオキシ−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニルオキシ−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニルオキシ−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニルオキシ−4−フェノール、4’−メトキシフェニルチオ−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニルチオ−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニルチオ−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニルチオ−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニルチオ−4−フェノール、4’−メトキシフェニルスルホニル−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニルスルホニル−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール、4’−メトキシベンジル−4−フェノール、4’−メトキシメトキシベンジル−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシベンジル−4−フェノール、4’−アリルオキシベンジル−4−フェノール、4’−ベンジルオキシベンジル−4−フェノール、4’−メトキシフェニルエチル−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニルエチル−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニルエチル−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニルエチル−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニルエチル−4−フェノール、4’−メトキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール、4’−メトキシフェニル(1−メチルプロピリデン)−4−フェノール、4’−メトキシメトキシフェニル(1−メチルプロピリデン)−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシフェニル(1−メチルプロピリデン)−4−フェノール、4’−アリルオキシフェニル(1−メチルプロピリデン)−4−フェノール、4’−ベンジルオキシフェニル(1−メチルプロピリデン)−4−フェノール、4’−メトキシベンゾイル−4−フェノール、4’−メトキシメトキシベンゾイル−4−フェノール、4’−tert−ブチルオキシベンゾイル−4−フェノール、4’−アリルオキシベンゾイル−4−フェノール、4’−ベンジルオキシベンゾイル−4−フェノール、4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシフェニルオキシ−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニルオキシ−4−フェノ−ル、4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニルチオ−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシフェニルチオ−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニルチオ−4−フェノ−ル、4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシフェニルスルホニル−4−フェノ−ル4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェノ−ル、4’−(1’’−プロペニルオキシ)ベンジル−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシベンジル−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)ベンジル−4−フェノ−ル、4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシフェニルエチリデン−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニルエチリデン−4−フェノ−ル、4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニルイソプロピリデン−4−フェノ−ル、[4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニル−1−メチルプロピリデン]−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシフェニル−1−メチルプロピリデン−4−フェノ−ル、[4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニル−1−メチルプロピリデン]−4−フェノ−ル、4’−(1’’−プロペニルオキシ)ベンゾイル−4−フェノ−ル、4’−アリルオキシベンゾイル−4−フェノ−ル、4’−(3’’−ブテニルオキシ)ベンゾイル−4−フェノ−ル等。
[化合物B3−3]
1,3,3−トリメチル−1−(4−メトキシフェニル)インダン−6−オール、1,3,3−トリメチル−1−(4−メトキシメトキシフェニル)インダン−6−オール、1,3,3−トリメチル−1−(4−tert−ブチルオキシフェニル)インダン−6−オール、1,3,3−トリメチル−1−(4−アリルオキシフェニル)インダン−6−オール、1,3,3−トリメチル−1−(4−ベンジルオキシフェニル)インダン−6−オール、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1’’−プロペニルオキシ)フェニル]インダン−6−オ−ル、1,3,3−トリメチル−1−(4’−アリルオキシフェニル)インダン−6−オ−ル、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(3’’−ブテニルオキシ)フェニル]インダン−6−オ−ル1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1’’−プロペニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オ−ル、1,3,3−トリメチル−1−[4’−アリルオキシ−3’−メチルフェニル]インダン−6−オ−ル、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(3’’−ブテニルオキシ)−3’−メチルフェニル]インダン−6−オ−ル1,3,3−トリメチル−1−[4’−(1’’−プロペニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オ−ル、1,3,3−トリメチル−1−(4’−アリルオキシ−3’−フェニルフェニル)インダン−6−オ−ル、1,3,3−トリメチル−1−[4’−(3’’−ブテニルオキシ)−3’−フェニルフェニル]インダン−6−オ−ル等。
[化合物B3−4]
1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシメトキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−6−tert−ブチルオキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−6−アリルオキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−6−ベンジルオキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)−6−(1’’−プロペニルオキシ)インダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)−6−アリルオキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)−6−(3’’−ブテニルオキシ)インダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)−6−(1’’−プロペニルオキシ)インダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)−6−アリルオキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)−6−(3’’−ブテニルオキシ)インダン1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシ−3’−フェニルフェニル)−6−(1’’−プロペニルオキシ)インダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシ−3’−フェニルフェニル)−6−アリルオキシインダン、1,3,3−トリメチル−1−(4’−ヒドロキシ−3’−フェニルフェニル)−6−(3’’−ブテニルオキシ)インダン等。
化合物B3−1、化合物B3−2、化合物B3−3および化合物B3−4は、いずれも、市販のものや、上述の非特許文献3、4に記載の方法などの公知の方法に従って製造したものを使用することができる。
[工程1]
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法では、先ず、上述の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドと上述の化合物B1〜B3とを用いて次の式(15)で示される中間体、すなわち、環状ホスホニトリル置換体(環状ホスファゼン化合物)を製造する。
Figure 2012116842
式(15)において、nは3〜15の整数を示す。また、Qは下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基を示す、但し、Qのうちの少なくとも一つはQ3基である。このような中間体は、上述の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドと上述の化合物B1〜B3とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換すると製造することができる。
[Q1基]
炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
この基は、化合物B1によりハロゲン原子と置換されるものであり、既述のA1基に該当する。
[Q2基]
炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
この基は、化合物B2によりハロゲン原子と置換されるものであり、既述のA2基に該当する。
[Q3基]
下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
Figure 2012116842
式(7)〜(10)中、Zは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示し、具体的には上述の化合物B3−1、化合物B3−2、化合物B3−3および化合物B3−4の四種類の保護ジフェノール類に関して説明したものと同じである。また、式(8)中、Yは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示している。さらに、式(9)および式(10)中、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示している。
この工程では、製造する反応性基含有環状ホスファゼン化合物の種類、すなわち、上述の形態1に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合と、上述の形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合とで、化合物B1〜B3を適宜選択して使用する。具体的には次の通りである。
[形態1の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合]
この場合は、環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドのハロゲン原子(以下、活性ハロゲン原子という場合がある)の全てを化合物B3に由来のQ3基で置換する。ここで用いられる化合物B3は、上述の化合物B3−1、化合物B3−2、化合物B3−3および化合物B3−4の四種類の保護ジフェノール類のうちの一種若しくは二種以上である。環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの全ての活性ハロゲン原子をQ3基で置換する方法としては、次のいずれかの方法を採用することができる。
<方法1−A>
環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3のアルカリ金属塩とを反応させる。
この方法による場合、化合物B3のアルカリ金属塩の使用量は、通常、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
<方法1−B>
環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3とを、ハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させる。
この方法による場合、化合物B3の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。また、塩基の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.1〜2.1当量に設定するのが好ましく、1.1〜1.4当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.1当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.1当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
[形態2の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合]
この場合は、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3のうちの少なくとも一種と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの一部の活性ハロゲン原子を化合物B3に由来のQ3基で置換し、残りの他の活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のQ1基および化合物B2に由来のQ2基のうちの少なくとも一つの基で置換する。このための方法としては、次のいずれかの方法を採用することができる。
<方法2−A>
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3のアルカリ金属塩と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩との混合物を反応させ、活性ハロゲン原子の全てを置換する。当該混合物において、化合物B3のアルカリ金属塩の割合は、製造するヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物の種類に応じて適宜設定することができる。
この方法による場合、上述の混合物の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
<方法2−B>
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物との混合物を、ハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させ、活性ハロゲン原子の全てを置換する。
この方法による場合、上述の混合物の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。また、また、塩基の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.1〜2.1当量に設定するのが好ましく、1.1〜1.4当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.1当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.1当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
<方法2−C>
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B3を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B3に由来のQ3基により置換した部分置換体を得る(工程A)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のQ1基および化合物B2に由来のQ2基のうちの少なくとも一つにより置換する(工程B)。
この方法の工程Aは、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B3のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3をハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させてもよい。また、工程Bは、工程Aで得られた部分置換体に対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、工程Aで得られた部分置換体に対し、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物をハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させてもよい。
<方法2−D>
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B1に由来のQ1基および化合物B2に由来のQ2基のうちの少なくとも一つにより置換した部分置換体を得る(工程A)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B3を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B3に由来のQ3基により置換する(工程B)。
この方法の工程Aは、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物をハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させてもよい。また、工程Bは、工程Aで得られた部分置換体に対して化合物B3のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、工程Aで得られた部分置換体に対し、化合物B3をハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させてもよい。
上述の各方法において用いられるアルカリ金属塩は、通常、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩が好ましい。特に、リチウム塩およびナトリウム塩が好ましい。このようなアルカリ金属塩は、化合物B1〜B3と、金属リチウム、金属ナトリウム若しくは金属カリウム等との脱水素反応、または、化合物B1〜B3と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物との混合物からの脱水反応によって得ることができる。
また、上述の各方法において用いられる塩基は、特に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルアニリン、ピリジン、4,4−ジメチルアミノピリジン、4,4−ジエチルアミノピリジンおよび4−ジイソプロピルアミノピリジン等の脂肪族若しくは芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物等が好ましい。特に、トリエチルアミン、ピリジンおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
上述の環状ホスホニトリルジハライドと化合物B1〜B3との反応は、上述のいずれの方法についても、無溶媒で実施することができ、また、溶媒を使用して実施することもできる。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタンおよびジフェニルエーテル等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、エチルベンゼンおよびイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系、クロロホルムおよび塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカンおよびドデカン等の脂肪族炭化水素系、ピリジン等の複素環式芳香族炭化水素系、第三級アミン系並びにシアン化合物系等の有機溶媒を用いるのが好ましい。このうち、分子内にエーテル結合を有し、かつ、化合物B1〜B3およびそれらのアルカリ金属塩の溶解度が高いエーテル系の有機溶媒および水との分離が容易である芳香族炭化水素系の有機溶媒を用いるのが特に好ましい。
上述の環状ホスホニトリルジハライドと化合物B1〜B3とを反応させる際の反応温度は、上述のいずれの方法によるか、或いは、反応生成物の熱安定性等を考慮して適宜設定することができる。但し、溶媒を用いて当該反応を実施する場合は、通常、0℃から溶媒の沸点までの温度範囲に反応温度を設定するのが好ましい。一方、無溶媒で当該反応を実施する場合、反応温度は、通常、40〜200℃の範囲に設定するのが好ましい。
なお、本発明のヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物として上述の形態2に係るもの、特に、式(1)における2n個のAのうちの2個〜(2n−2)個がA3基のものを製造する場合は、上述の方法2−C若しくは方法2−Dを採用するのが好ましい。
ここで、方法2−Cを採用する場合は、先ず、環状ホスホニトリルジハライドのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を調製する。そして、この溶媒溶液に対し、化合物B3のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B3とハロゲン化水素を捕捉する塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、−20〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、同温度範囲で1〜24時間反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B3に由来のQ3基により置換した部分置換体を製造する。次に、得られた部分置換体のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液に対し、化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物とハロゲン化水素を捕捉する塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、0〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、0℃から溶媒の沸点までの温度で反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のQ1基および化合物B2に由来のQ2基のうちの少なくとも一つにより置換する。
一方、方法2−Dを採用する場合は、先ず、環状ホスホニトリルジハライドのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を調製する。そして、この溶媒溶液に対し、化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物とハロゲン化水素を捕捉する塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、−20〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、同温度範囲で1〜24時間反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B1に由来のQ1基および化合物B2に由来のQ2基のうちの少なくとも一つにより置換した部分置換体を製造する。次に、得られた部分置換体のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液に対し、化合物B3のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B3とハロゲン化水素を捕捉する塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、0〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、0℃から溶媒の沸点までの温度で反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B3に由来のQ3基により置換する。
なお、上述のような工程1において、化合物B3として保護基が炭素数2〜6のアルケニル基であるもののみを用いた場合(すなわち、化合物B3として保護基が炭素数2〜6のアルケニル基であるもの以外のものを用いなかった場合)は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物の一種、すなわち、式(1)のAのうちのA3基として式(2)、(3)、(4)および(5)で示される各基のZが炭素数2〜6のアルケニルオキシ基のもの(以下、「アルケニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物」という場合がある)が得られる。すなわち、工程1のみにより、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物の一種であるアルケニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物が得られる。
工程1のみにより得られるアルケニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、通常、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の方法によって、反応系から単離精製することができる。
[工程2]
次に、上述の工程1において得られた環状ホスホニトリル置換体のQ3基から保護基(Z)を脱離させ、全てのQ3基の−OZ基部分を−OH基に変換する。これにより、工程1において得られた環状ホスホニトリル置換体は、全てのQ3基の−OZ基部分が−OH基に変換されたヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物になる。保護基を脱離させるための方法は、上述の非特許文献3、4等の多数の公知文献に記載されており、保護基の種類および保護基の安定性等に応じて各種の脱保護反応から選択することができる。例えば、保護基がメチル基の場合、環状ホスホニトリル置換体を三フッ化ホウ素、ヨウ化トリメチルシラン若しくはピリジン塩酸塩と反応させるのが好ましい。また、保護基がtert−ブチル基の場合、環状ホスホニトリル置換体をトリフルオロ酢酸、臭化水素若しくはヨウ化トリメチルシランと反応させるのが好ましい。さらに、保護基がベンジル基の場合、環状ホスホニトリル置換体を水素/Pd−C、金属ナトリウム/アンモニア、ヨウ化トリメチルシラン、水素化リチウムアルミニウム、三臭化ホウ素若しくは三フッ化ホウ素と反応させるのが好ましい。
このような保護基の脱離により得られるヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物は、次の工程のために、必要に応じて反応系から単離精製されてもよい。単離精製は、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の方法に従って実施することができる。
[工程3]
この工程では、上述の工程2において得られたヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物について、保護基の脱離により形成された全てのヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のうちの少なくとも一つの基に置換する。ヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基に置換するための方法としては、ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の酸ハライド(例えばアクリル酸クロライド)、メタクリル酸の酸ハライド(例えばメタクリル酸クロライド)、アクリル酸の酸無水物およびメタクリル酸の酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物とを反応させる。この際、化合物の使用量は、少なくとも、ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物が有するヒドロキシル基の全てをアクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基に置換するために十分な量に設定する。
ここで、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの少なくとも一つを用いる場合は、触媒として、塩酸や硫酸等の鉱酸、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸等の有機酸並びに塩化スズ、塩化亜鉛、塩化第二鉄および塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物等からなる群から選ばれた一種または二種以上を用いることができる。また、アクリル酸の酸ハライドおよびメタクリル酸の酸ハライドのうちの少なくとも一つを用いる場合は、脱ハロゲン化水素反応を円滑化するために、トリエチルアミンやピリジン等の塩基若しくは合成ゼオライト等の合成吸着剤を反応系に添加することができる。さらに、アクリル酸の酸無水物およびメタクリル酸の酸無水物のうちの少なくとも一つを用いる場合は、反応を円滑化するために、反応系に生成するアクリル酸やメタクリル酸を溶媒と共に系外に除去するのが好ましい。
この工程において得られる、目的とする反応性基含有環状ホスファゼン化合物、すなわち、反応性オキシ基としてアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のうちの少なくとも一つの基のみを有する反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の方法によって、反応系から単離精製することができる。
本発明の製造方法では、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の全て若しくは一部を工程1においてQ3基に置換し、当該Q3基の保護基を次の工程2において脱離させ、さらに工程3において保護基の脱離により形成された全てのヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のうちの少なくとも一つの基に置換しているため、得られる反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、既述の通り、ジフェノール類の二つのヒドロキシル基による反応性基含有環状ホスファゼン化合物間での架橋構造を全く有していない新規なものになる。
[他の製造方法]
この製造方法では、上述の工程1において、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物の一種であるアルケニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を製造する。次に、このアルケニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に対して上述の工程2を実施し、その一部のQ3基から保護基(Z)であるアルケニル基を脱離させる。これにより、一部のQ3基の−OZ基部分が−OH基に変換された部分ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物を得る。このような部分ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物は、工程2において、保護基の脱離反応条件を適宜設定すると製造することができる。次に、得られた部分ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物に対して上述の工程3を実施し、アルケニル基の脱離により形成されたヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のうちの少なくとも一つの基に置換する。
この製造方法によると、反応性オキシ基として、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基と、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のうちの少なくとも一つの基とを同時に有する反応性基含有環状ホスファゼン化合物を得ることができる。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物と樹脂成分とを含むものである。本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、一種類のものが用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。また、樹脂成分としては、各種の熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を使用することができる。これらの樹脂成分は、天然のものであってもよいし、合成のものであってもよい。
ここで利用可能な熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン並びに液晶ポリマー等を挙げることができる。変性ポリフェニレンエーテルとしては、ポリフェニレンエーテルの一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、無水ジカルボキシル基などの反応性官能基をグラフト反応や共重合など何らかの方法で導入したものが用いられる。なお、本発明の樹脂組成物を電子機器用途、特に、OA機器、AV機器、通信機器および家電製品用の筐体や部品用の材料として用いる場合は、熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル若しくはポリアミド等を用いるのが好ましい。
一方、ここで利用可能な熱硬化性樹脂の具体例としては、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドおよびポリエステルイミド等のポリイミド系樹脂並びにエポキシ樹脂等を挙げることができる。なお、本発明の樹脂組成物を電子部品用途、特に、各種IC素子の封止材、配線板の基板材料、層間絶縁材料や絶縁性接着材料等の絶縁材料、導電材料および表面保護材料として用いる場合は、熱硬化性樹脂として、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド系樹脂若しくはエポキシ樹脂等を用いるのが好ましい。
上述の各種樹脂成分は、それぞれ単独で用いられてもよいし、必要に応じて二種以上のものが併用されてもよい。
本発明の樹脂組成物において、反応性基含有環状ホスファゼン化合物の使用量は、樹脂成分の種類、樹脂組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での樹脂成分100重量部に対して0.1〜50重量部に設定するのが好ましく、0.5〜40重量部に設定するのがより好ましく、1〜30重量部に設定するのがさらに好ましい。反応性基含有環状ホスファゼン化合物の使用量が0.1重量部未満の場合は、当該樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。逆に、50重量部を超えると、樹脂成分本来の特性を損ない、当該特性による樹脂成形体が得られなくなるおそれがある。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂成分の種類や樹脂組成物の用途等に応じ、その目的とする物性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合することができる。利用可能な添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、マイカ、タルク、ガラス繊維およびチタン酸カリウム繊維等の無機充填剤、シランカップリング剤などの充填材の表面処理剤、ワックス類、脂肪酸およびその金属塩、酸アミド類およびパラフィン等の離型剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、リン酸アンモニウム、赤リン、塩素化パラフィン、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンおよびサクシノグアナミン等の窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤並びに臭素系難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のドリッピング防止剤、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤並びに帯電防止剤等を挙げることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、熱重合性モノマー、熱重合性オリゴマー、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーからなる重合性材料群から選ばれた少なくとも一つの重合性材料をさらに含んでいてもよい。この場合、本発明の樹脂組成物は、これらの重合性材料と本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物との重合作用により、熱、紫外線、可視光線などの電磁波および電子ビーム等の電子線などのエネルギー線の照射により硬化させることができる。
ここで用いられる上述の重合性材料としては、例えば、ビニル系化合物、ビニリデン系化合物、ジエン化合物、ラクトン、ラクタムおよび環状エーテル等の環状化合物、アクリル系化合物並びにエポキシ系化合物が挙げられる。より具体的には、塩化ビニル、ブタジエン、スチレン、耐衝撃性ポリスチレン前駆体、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)前駆体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)前駆体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)前駆体、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)前駆体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)前駆体、メチル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート樹脂前駆体、エポキシ化油アクリレート樹脂前駆体、ウレタンアクリレート樹脂前駆体、ポリエステルアクリレート樹脂前駆体、ポリエーテルアクリレート樹脂前駆体、アクリルアクリレート樹脂前駆体、不飽和ポリエステル樹脂前駆体、ビニル/アクリレート樹脂前駆体、ビニルエーテル系樹脂前駆体、ポリエン/チオール樹脂前駆体、シリコンアクリレート樹脂前駆体、ポリブタジエンアクリレート樹脂前駆体、ポリスチリル(エチル)メタクリレート樹脂前駆体、ポリカーボネートアクリレート樹脂前駆体、光硬化性ポリイミド樹脂前駆体、光硬化性ケイ素含有樹脂前駆体、光硬化性エポキシ樹脂前駆体、脂環式エポキシ樹脂前駆体、グリシジルエーテルエポキシ樹脂前駆体等を挙げることができる。このうち、スチレン、ブタジエン、エポキシアクリレート樹脂前駆体、ウレタンアクリレート樹脂前駆体およびポリエステルアクリレート樹脂前駆体等が好ましい。これらの重合性材料は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
本発明の樹脂組成物を電気・電子分野用の材料、具体的には、LSI等の電子部品の封止剤や基板等に用いる場合、樹脂成分は、エポキシ樹脂が好ましい。利用可能なエポキシ樹脂は、電気、電子分野において通常用いられている各種のものであり、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびナフトールノボラック型エポキシ樹脂等の、フェノール類とアルデヒド類との反応により得られるノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−AD型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、アルキル置換ビフェノール型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等のフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン、オリゴプロピレングリコールおよび水添ビスフェノール−A等のアルコール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる脂肪族エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸若しくはフタル酸とエピクロルヒドリン若しくは2−メチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンやアミノフェノール等のアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン系エポキシ樹脂、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られる複素環式エポキシ樹脂、グリシジル基を有するホスファゼン化合物、エポキシ変性ホスファゼン樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂並びにウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂およびトリス(ヒドロキシフェニル)メタンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
樹脂成分として上述のエポキシ樹脂を用いる場合(以下、「エポキシ樹脂組成物」という場合がある)、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物がエポキシ樹脂組成物中に占める割合は、0.1〜80重量%が好ましく、0.5〜70重量%がより好ましい。反応性基含有環状ホスファゼン化合物の割合が0.1重量%未満の場合は、当該エポキシ樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。逆に、80重量%を超えると、エポキシ樹脂成分本来の特性を損ない、当該特性による樹脂成形体が得られなくなるおそれがある。
エポキシ樹脂組成物は、通常、硬化剤を含んでいる。硬化剤は、エポキシ樹脂用の硬化剤として用いられるものであれば種類が特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンおよびポリアミドポリアミン等のポリアミン系硬化剤、無水ヘキサヒドロフタル酸および無水メチルテトラヒドロフタル酸等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等のフェノール系硬化剤、水酸基を有するホスファゼン化合物、三フッ化ホウ素等のルイス酸およびそれらの塩類並びにジシアンジアミド類等を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物において、硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量になるよう設定するのが好ましく、0.6〜1.2当量になるよう設定するのがより好ましい。
硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。利用可能な硬化促進剤は、公知の種々のものであり、特に限定されるものではないが、例えば、2−メチルイミダゾールおよび2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3アミン系化合物、トリフェニルホスフィン化合物等を挙げることができる。硬化促進剤を用いる場合、その使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部に設定するのが好ましく、0.1〜10重量部に設定するのがより好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて公知の反応性希釈剤や添加剤が配合されていてもよい。利用可能な反応性希釈剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよび3級カルボン酸グリシジルエステル等のアルキルグリシジルエステル、スチレンオキサイドおよびフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびノニルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族アルキルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの反応性希釈剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。一方、添加剤としては、既述のようなものを用いることができる。
上述のエポキシ樹脂組成物等の本発明の樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。この樹脂組成物は、樹脂成分に応じて100〜250℃程度の温度範囲で1〜36時間放置すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。例えば、エポキシ樹脂組成物は、通常、150〜250℃の温度で2〜15時間放置すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。このような硬化過程において、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、樹脂成分とともに架橋し、硬化物中において安定に保持されることになるため、当該硬化物の高温信頼性を損ないにくい。また、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、そのような硬化物の機械的特性(特に、ガラス転移温度)を損なわずに、その難燃性を高めることができ、また、硬化物に対して低発煙性を付与することができる。このため、本発明の樹脂組成物は、各種の樹脂成形体の製造用材料、塗料用、接着剤用およびその他の用途用として、広く用いることができる。特に、本発明の樹脂組成物は、半導体封止用や回路基板(特に、金属張り積層板、プリント配線板用基板、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用接着剤シート、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、プリント配線板用導電ペースト、多層プリント配線板用封止剤、回路保護剤、カバーレイフィルム、カバーインク)形成用等の電気・電子部品の製造用材料として好適である。
重合性組成物
本発明の重合性組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物、好ましくは反応性オキシ基としてアクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基を有する反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含んでいる。ここで用いられる反応性基含有環状ホスファゼン化合物は、二種以上のものであってもよい。
この重合性組成物は、通常、加熱または紫外線若しくは電子線などのエネルギー線の照射により反応性基含有環状ホスファゼン化合物間での重合が進行し、重合体が得られる。この重合性組成物を加熱により重合させる場合、重合開始剤を用いるのが好ましい。ここで用いられる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾビスシアノ吉草酸および2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物等を挙げることができる。重合性組成物を加熱により重合させる場合は、通常、有機溶媒中に反応性基含有環状ホスファゼン化合物を添加し、これに重合開始剤を添加して加熱するこで重合反応を進行させる。そして、反応終了後、溶媒および重合開始剤を濃縮・洗浄等の操作で除去すると、目的の重合体を得ることができる。例えば、反応性オキシ基としてアクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基を有する反応性基含有環状ホスファゼン化合物の重合体を得る場合は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エーテル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中において、ベンゾイルパーオキサイドを重合開始剤として使用し、50℃から溶媒の還流下の温度で1〜20時間反応を行う。そして、反応終了後、溶媒および重合開始剤を濃縮・洗浄等の操作で除去すると、目的の重合体を得ることができる。
一方、この重合性組成物をエネルギー線の照射により重合させる場合、光重合開始剤と、必要に応じて増感剤を用いるのが好ましい。ここで用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、スルホニウム系光重合開始剤およびヨードニウム系光重合開始剤等を挙げることができる。また、増感剤としては、例えば三級アミン等が用いられる。重合性組成物をエネルギー線の照射により重合させる場合は、通常、重合性組成物に対して光重合開始剤および必要に応じて増感剤を添加し、これに対して各種のエネルギー線を照射すると、目的の重合物を得ることができる。例えば、反応性オキシ基としてアクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基を有する反応性基含有環状ホスファゼン化合物の重合物を得る場合は、重合性組成物に対してベンゾフェノンを光重合性開始剤として添加し、400ワットの高圧水銀ランプで紫外線を30秒間照射すると、目的の重合体を得ることが出来る。
本発明の重合性組成物は、必要に応じ、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物と共重合可能な他の重合性材料を含んでいてもよい。ここで用いられる重合性材料は、特に限定されるものではないが、通常、芳香族ビニルモノマー、極性官能基含有ビニルモノマーおよびビニルエーテルモノマーなどのビニル基を有する化合物が好ましく用いられる。これらの重合性材料は、二種以上のものが併用されてもよい。芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレンおよびブロモスチレン等が挙げられる。このうち、スチレンが特に好ましい。極性官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタアクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタアクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタアクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ビニルおよびメタアクリル酸ビニル等のアクリル酸エステル若しくはメタアクリル酸エステル並びに酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニルおよびステアリン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。このうち、アクリロニトリル、アクリル酸メチルおよびメタアクリル酸メチルが特に好ましい。ビニルエーテルモノマーとしては、通常、ジビニルエーテル類を用いるのが好ましい。
さらに、本発明の重合性組成物は、必要に応じて公知の反応性希釈剤や添加剤を含んでいてもよい。利用可能な反応性希釈剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよび3級カルボン酸グリシジルエステル等のアルキルグリシジルエステル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびノニルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族アルキルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの反応性希釈剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。一方、本発明の樹脂組成物において用いられるものと同様のものを用いることができる。
なお、本発明の重合性組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。
本発明の重合性組成物は、通常、150〜250℃の温度で2〜15時間加熱すると充分な硬化反応が進行し、硬化物(重合体)になるため、樹脂成形体を製造するための材料になり得る。このようにして得られる硬化物は、耐熱特性、電気特性、機械的特性(特に、高ガラス転移温度)および高温信頼性に優れており、また、反応性基含有環状ホスファゼン化合物に基づく優れた難燃性および低発煙性を示す。このため、この重合性組成物は、各種の樹脂成形体の製造用材料、塗料用、接着剤用およびその他の用途用として、広く用いることができる。特に、この重合性組成物は、半導体封止用や回路基板(特に、金属張り積層板、プリント配線板用基板、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用接着剤シート、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、プリント配線板用導電ペースト、多層プリント配線板用封止剤、回路保護剤、カバーレイフィルム、カバーインク)形成用等の電気・電子部品の製造用材料として好適である。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、一般式(1)については(PNA)を意味し、一般式(6)については(PNX)を意味する。一般式(6)において、Xが塩素の場合、その1unit molは115.87gである。
また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例等で得られたホスファゼン化合物は、H−NMRスペクトルおよび31P−NMRスペクトルの測定、CHN元素分析、アルカリ溶融後の硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析、マイクロウエーブ湿式分解後のICP−AESによるリン元素の分析並びにTOF−MS分析の結果に基づいて同定した。また、水酸基当量は、JIS K 0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」において規定された水酸基価測定方法の中和滴定法に従い測定し、水酸基価mgKOH/gの値を水酸基当量g/eq.に変換した。エポキシ当量は、JIS K 7236−1995「エポキシ樹脂のエポキシ当量試験方法」の電位差滴定法に従い測定した。
実施例1(形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法2−Cによる環状ホスホニトリル置換体の製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液41.7g(0.50mol)、トルエン1,000ml、4’−メトキシフェニル−4−フェノール100.1g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約30ml)、4’−メトキシフェニル−4−フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、テトラヒドロフラン(THF)500mlを加えて均一溶液を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50unit mol)、THF500ml〕を仕込んだ。これに対して上記4’−メトキシフェニル−4−フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で6時間かけて滴下した後、還流下(85℃)で12時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応液を約700mlまで濃縮し、トルエン300mlと水500mlとを加えて反応物を溶解した後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後、水−トルエンを共沸脱水し、無水状態の4’−メトキシフェニル−4−フェノキシ部分置換体のトルエン溶液を得た。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に上記無水状態の4’−メトキシフェニル−4−フェノキシ部分置換体のトルエン溶液、n−プロパノール39.1g(0.65mol)、トリエチルアミン111.3ml(0.80mol)およびジメチルアミノピリジン0.6g(5mmol)を仕込み、還流温度(103℃)で10時間撹拌反応を行った。反応終了後、反応液を約700mlまで濃縮し、トルエン300mlと水500mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を2%塩酸で2回洗浄し、続けて水での洗浄を3回行った後、トルエンを留去し、淡褐色で粘稠液体の生成物122.7g(収率:84%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH 0.9(3H),−CH− 1.6(2H),−CH− 3.6(2H),−CH 3.7(3H),フェニルC−H 6.5〜7.8(8H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 12.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:62.5%,H:6.1%,N:4.8%,P:10.6%
実測値 C:62.3%,H:6.2%,N:4.9%,P:10.4%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
771,911,1051
以上の結果から、この工程で得られた生成物は、[N=P(OC−COCH(OCHCHCH]、[N=P(OC−COCH(OCHCHCH]、[N=P(OC−COCH(OCHCHCH]の混合物であり、その平均組成が[N=P(OC−COCH0.92(OCHCHCH1.08であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物87.6g(0.30unit mol)とトルエン650mlとを仕込んだ。これに、窒素雰囲気下で47%三フッ化ホウ素エチルエーテル75.5ml(0.28mol)溶液を5〜10℃で1時間かけて滴下し、同温度で2時間撹拌熟成した。反応後、反応液を水400mlに添加し、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後、トルエンを留去し、淡褐色粘稠液体の生成物76.2g(収率:91%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH 0.9(3H),−CH− 1.6(2H),−CH− 3.3(2H),フェニルC−H 6.5〜7.9(8H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.8
◎CHNP元素分析:
理論値 C:61.6%,H:5.4%,N:5.0%,P:11.1%
実測値 C:61.4%,H:5.7%,N:4.9%,P:10.9%
◎水酸基当量:
276g/eq.(理論値279g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた化合物は、[N=P(OC−COH)0.92(OCHCHCH1.08であることを確認した。
[工程3:ヒドロキシル基の置換工程]
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた1リットルのフラスコ中に工程2で得られた生成物55.8g(0.20unit mol)、トリエチルアミン20.5g(0.20mol)およびTHF300mlを仕込んだ。これに対してメタクリル酸クロライド20.2g(0.19mol)を10℃以下で4時間かけて滴下し、20℃で12時間反応を行った。反応終了後、THFおよびメタクリル酸クロライドを留去し、7%炭酸水素ナトリウム水溶液500mlおよびクロロホルム500mlを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、クロロホルムを濃縮すると、淡黄色固体の生成物65.6g(収率:96%)が得られた。この生成物の融点は、ガラス状固体のため明確な値を示さなかった。得られた生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 0.9(3H),−CH− 1.6(2H),−CH 2.1(3H),−CH− 3.6(2H),=CH 5.8(1H),6.4(1H),フェニルC−H 6.5〜7.8(8H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 12.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:63.1%,H:5.8%,N:4.1%,P:9.1%
実測値 C:62.9%,H:5.9%,N:4.0%,P:9.1%
◎水酸基当量:
水酸基価測定方法の中和滴定法により、水酸基が残存していないことを確認した。
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、工程2で得られた生成物のヒドロキシル基がメタクリロイルオキシ基により置換されたもの、すなわち、[N=P(OC−COCOC(CH)=CH0.92(OCHCHCH1.08であることを確認した。
実施例2(形態1に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法1−Aによる環状ホスホニトリル置換体の製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液152.0g(1.30mol)、トルエン2,000mlおよび4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール442.5g(1.30mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約102ml)、4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF400mlを仕込んで均一溶液とした。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にクロロホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン52.2g(0.45unit mol)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン5.8g(0.05unit mol)およびTHF300ml〕を仕込んだ。これに対して上記4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下した後、還流下(86℃)で8時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応液を約1,500mlまで濃縮し、トルエン500mlと水1,000mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、続いて2%硫酸で中和し、更に水で3回洗浄した後、トルエンを留去し、白色固体の生成物314.8g(収率:87%)を得た。この生成物の融点(融解ピーク温度)は149℃であった。生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH− 5.0(4H),フェニルC−H 6.8〜7.9(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4
◎CHNP元素分析:
理論値 C:63.1%,H:4.2%,N:1.9%,P:4.3%
実測値 C:62.8%,H:4.4%,N:2.1%,P:4.2%
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程での生成物は、[N=P(OC−SO−COCHと[N=P(OC−SO−COCHとの混合物であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物217.1g(0.30unit mol)および酢酸800mlを仕込んだ。これに対し、窒素雰囲気下で30%臭化水素酸の酢酸溶液323.6g(1.20mol)を5〜10℃で2時間かけて滴下した後、50℃で8時間撹拌熟成した。反応終了後、反応液を濃縮して過剰の臭化水素酸と酢酸を留去し、次に、残留物にメチルイソブチルケトン(MIBK)700mlと水600mlとを添加して溶解した後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後、MIBKを留去し、白色固体の生成物145.1g(収率:89%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため、明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
フェニルC−H 6.8〜7.9(16H),−OH 9.5(2H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4
◎CHNP元素分析:
理論値 C:53.0%,H:3.3%,N:2.6%,P:5.7%
実測値 C:52.8%,H:3.6%,N:2.5%,P:5.6%
◎水酸基当量
274g/eq.(理論値272g/eq.)
以上の分析結果から、この工程での生成物は、[N=P(OC−SO−COH)と[N=P(OC−SO−COH)との混合物であることを確認した。
[工程3:ヒドロキシル基の置換工程]
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた1リットルのフラスコ中に工程2で得られた生成物108.7g(0.20unit mol)、合成ゼオライト(3A)およびアセトニトリル400mlを仕込んだ。これに対してメタクリル酸クロライド44.0g(0.42mol)を10℃以下で4時間かけて滴下し、20℃で12時間反応を行った。反応終了後、合成ゼオライトを濾別し、アセトニトリルおよびメタクリル酸クロライドを留去し、7%炭酸水素ナトリウム水溶液500mlおよびクロロホルム500mlを加え内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、アセトニトリルを濃縮すると、淡黄色固体の生成物123.7g(収率:91%)が得られた。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 2.1(6H),=CH 5.8(2H),6.4(2H),フェニルC−H 6.8〜7.9(16H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 8.9,四量体(P=N) −12.4
◎CHNP元素分析:
理論値 C:56.6%,H:3.9%,N:2.1%,P:4.6%
実測値 C:56.4%,H:4.2%,N:2.0%,P:4.5%
◎水酸基当量:
水酸基価測定方法の中和滴定法により、水酸基は残存していないことを確認した。
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、工程2で得られた生成物のヒドロキシル基がメタクリロイルオキシ基により置換されたもの、すなわち、[N=P(OC−SO−COCOC(CH)=CHと[N=P(OC−SO−COCOC(CH)=CHとの混合物であることを確認した。
実施例3(形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法2−Cによる環状ホスホニトリル置換体の製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液41.7g(0.50mol)、トルエン1,200mlおよび4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール170.2g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約30ml)、4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF600mlを加えて均一溶液を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液87.7g(0.75mol)、トルエン550mlおよびフェノール70.6g(0.75mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約58ml)、フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF200mlを加えて均一溶液を調製した。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50unit mol)、THF300ml〕を仕込んだ。これに対し、上記4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で6時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を4時間行った。次に、この反応液に上記フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下し、還流下(103℃)で撹拌反応を2時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mlまで濃縮し、トルエン200mlと水400mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、続いて2%硫酸で中和し、更に水での洗浄を3回行った後、トルエンを留去し、淡黄色固体の生成物201.1g(収率:87%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH− 5.1(2H),フェニルC−H 6.7〜7.0(4H),7.0〜7.2(5H),7.3〜7.4(5H),7.6〜7.9(4H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:62.9%,H:4.2%,N:3.0%,P:6.7%
実測値 C:62.9%,H:4.2%,N:3.1%,P:6.9%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1187,1434,1680
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N=P(OC−SO−COCH(OC]、[N=P(OC−SO−COCH(OC]、[N=P(OC−SO−COCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N=P(OC−SO−COCH0.95(OC1.05であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物139.5g(0.30unit mol)とトルエン800mlとを仕込んだ。これに対し、窒素雰囲気下で三臭化ホウ素26.9ml(0.29mol)を5〜10℃で4時間かけて滴下した後、25〜30℃で12時間撹拌熟成した。反応後、反応液を水800mlに添加し、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後、トルエンを留去し、茶色固体の生成物105.9g(収率:93%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
フェニルC−H 6.8〜7.3(9H),7.7〜7.9(4H),−OH 9.5(1H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.6
◎CHNP元素分析:
理論値 C:56.0%,H:3.4%,N:3.7%,P:8.2%
実測値 C:55.7%,H:3.7%,N:3.8%,P:8.4%
◎水酸基当量
378g/eq.(理論値380g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N=P(OC−SO−COH)0.95(OC1.05であることを確認した。
[工程3:ヒドロキシル基の置換工程]
工程2で得られた生成物75.9g(0.20unit mol)を用い、また、メタクリル酸クロライドをアクリル酸クロライド18.1g(0.20mol)に代えた点を除いて実施例1の工程3と同様に操作し、淡黄色固体の生成物80.1g(収率:93%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
=CH 6.0(1H),6.7(1H),−CH= 6.3(1H),フェニルC−H 6.8〜7.4(9H),7.7〜8.1(4H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.2
◎CHNP元素分析:
理論値 C:57.3%,H:3.7%,N:3.3%,P:7.2%
実測値 C:57.1%,H:3.8%,N:3.2%,P:7.2%
◎水酸基当量
水酸基価測定方法の中和滴定法により、水酸基は残存していないことを確認した。
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、工程2で得られた生成物のヒドロキシル基がアクリロイルオキシ基に置換されたもの、すなわち、[N=P(OC−SO−COCOCH=CH0.95(OC1.05であることを確認した。
実施例4(形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法2−Dによる環状ホスホニトリル置換体の製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液41.7g(0.50mol)、トルエン250mlおよびフェノール47.1g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約29ml)、フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF200mlを加えて均一溶液を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液87.7g(0.75mol)、トルエン1,500mlおよび4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール238.8g(0.75mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約59ml)、4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF500mlを加えて均一溶液を調製した。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50unit mol)、THF500ml〕を仕込んだ。これに対し、上記フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で6時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を2時間行った。次に、この反応液に対して上記4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下し、還流下(85℃)で撹拌反応を14時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mlまで濃縮し、トルエン500mlと水1,000mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、次に2%硫酸で中和し、更に水での洗浄を3回行った後、トルエンを留去したところ、茶色固体の生成物221.9g(収率:96%)が得られた。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6(6H),−CH− 5.0(2H),フェニルC−H 6.8〜6.9(5H),7.0〜7.1(8H),7.2〜7.4(5H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.9
◎CHNP元素分析:
理論値 C:74.0%,H:5.8%,N:3.0%,P:6.7%
実測値 C:74.2%,H:5.8%,N:2.9%,P:6.6%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1143,1368,1592
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N=P(OC−C(CH−COCH(OC]、[N=P(OC−C(CH−COCH(OC]、[N=P(OC−C(CH−COCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N=P(OC−C(CH−COCH1.03(OC0.97であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物138.7g(0.30unit mol)、Pd/C(Degussa社製、“E 101 NE/W”:10%Pd)3.8gおよびメタノール2,500mlを仕込み、水素雰囲気下50℃で5時間撹拌反応した。反応終了後、反応液を濾過してPd/Cを除去した後、この濾液を濃縮してメタノールを回収した。次に、残留物に対してMIBK1,000mlと水700mlとを添加して溶解した後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後、MIBKを留去し、茶色固体の生成物96.4g(収率:87%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH 1.7(6H),フェニルC−H 6.8〜6.9(4H),6.9〜7.2(5H),7.2〜7.3(4H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:69.2%,H:5.5%,N:3.8%,P:8.4%
実測値 C:69.3%,H:5.3%,N:3.8%,P:8.3%
◎水酸基当量
371g/eq.(理論値369g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、N=P(OC−C(CH−COH)1.03(OC0.97であることを確認した。
[工程3:ヒドロキシル基の置換工程]
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた1リットルのフラスコ中に工程2で得られた生成物73.9g(0.20unit mol)、メタクリル酸無水物33.3g(0.22 mol)、4−ジメチルアミノピリジン5.0g(0.04 mol)およびクロロホルム300mlを仕込み、50℃で12時間反応を行った。反応終了後、2%NaOH水溶液500mlを添加し、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を1%塩酸500mlと水300mlとで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、クロロホルムを濃縮したところ、淡黄色ガラス状固体の生成物78.2g(収率:89%)が得られた。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6(6H),−CH 2.1(3H),=CH 5.7(1H),6.3(1H),フェニルC−H 6.8〜7.2(13H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.6
◎CHNP元素分析:
理論値 C:68.5%,H:5.8%,N:3.3%,P:7.3%
実測値 C:68.4%,H:6.0%,N:3.3%,P:7.2%
◎水酸基当量
水酸基価測定方法の中和滴定法により、水酸基は残存していないことを確認した。
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、工程2で得られた生成物のヒドロキシル基がメタクリロイルオキシ基により置換されたもの、すなわち、[N=P(OC−C(CH−COCOC(CH)=CH1.03(OC0.97であることを確認した。
実施例5(形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法2−Aによる環状ホスホニトリル置換体の製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に窒素雰囲気下で1,2−ジメトキシエタン(DME)500mlおよび60%NaH/油性44.0g(1.10mol)を仕込み、これに対して撹拌下でp−クレゾール並びに1,3,3−トリメチル−1−(4−ベンジルオキシフェニル)インダン−6−オール(45%)および1,3,3−トリメチル−1−(4−ビドロキシフェニル)−6−ベンジルオキシインダン(55%)の混合物とのDME溶液〔p−クレゾール54.1g(0.50mol)、1,3,3−トリメチル−1−(4−ベンジルオキシフェニル)インダン−6−オール96.7g(0.27mol)、1,3,3−トリメチル−1−(4−ビドロキシフェニル)−6−ベンジルオキシインダン118.8g(0.33mol)、DME1,000ml〕を5℃以下で2時間かけて滴下し、次に50℃で2時間撹拌し、p−クレゾールのナトリウム塩およびインダン誘導体のナトリウム塩を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中にシクロホスファゼンのDME溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン46.4g(0.40unit mol)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン5.8g(0.05unit mol)、デカクロロシクロペンタホスファゼン2.9g(0.025unit mol)、ドデカクロロシクロヘキサホスファゼン1.7g(0.015unit mol)、テトラデカクロロシクロヘプタホスファゼン以上の大環状物1.2g(0.01unit mol)、DME500ml〕を仕込んだ。これに対し、窒素雰囲気下で上記のp−クレゾールのナトリウム塩およびインダン誘導体のナトリウム塩溶液を撹拌下、25℃で1時間かけて滴下し、還流下(75℃)で撹拌反応を8時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mlまで濃縮し、トルエン500mlと水500mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、次に2%硫酸で中和し、更に水での洗浄を3回行った後、DMEおよびトルエンを留去したところ、黄色粘稠液体の生成物228.4g(収率:89%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH1.0〜1.6(12H),−CH− 2.1〜2.4(2H),−CH− 5.0(2H),フェニルC−H 6.8〜7.9(11H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4,五、六量体(P=N)5,6 −17.0,七量体以上(P=N)≧7 −18.0〜−23.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:75.5%,H:6.4%,N:2.7%,P:6.0%
実測値 C:75.2%,H:6.6%,N:2.7%,P:5.8%
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N=P(OC−Indane−OCH1.05(OCCH0.95]nおよび[N=P(O−Indane−COCH0.98(OCCH1.02]nの混合物であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物154.0g(0.30unit mol)およびトルエン1,000mlを仕込んだ。これに対し、窒素雰囲気下、ヨウ化トリメチルシラン120.1g(0.60mol)を5〜10℃で10時間かけて滴下した後、25〜30℃で12時間撹拌反応した。反応終了後、反応液を水1,000mlに投入し、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後、トルエンを留去したところ、黄色粘稠液体の生成物113.9g(収率:90%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH1.0〜1.6(12H),−CH− 2.1〜2.4(2H),−CH− 5.0(2H),フェニルC−H 6.8〜7.9(11H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4,五、六量体(P=N)5,6 −17.0,七量体以上(P=N)≧7 −18.0〜−23.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:71.6%,H:6.3%,N:3.3%,P:7.3%
実測値 C:70.2%,H:6.2%,N:3.3%,P:7.1%
◎水酸基当量
418g/eq.(理論値422g/eq.)
以上の分析結果から、この工程において得られた生成物は、[N=P(OC−Indane−OH)1.05(OCCH0.95]n及び[N=P(O−Indane−COH)0.98(OCCH1.02]nの混合物であることを確認した。
[工程3:ヒドロキシル基の置換工程]
工程2で得られた生成物84.4g(0.20unit mol)を用い、また、メタクリル酸クロライドの使用量を22.3g(0.21mol)に変更した点を除き、実施例1と同様に操作して淡黄色粘稠液体の生成物85.4g(収率:87%)を得た。得られた生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):−CH 1.0〜1.6(9H),−CH 2.0〜2.3(6H),−CH− 2.1〜2.4(2H),=CH 5.6(1H),6.6(1H),フェニルC−H 6.8〜7.9(11H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4,五,六量体(P=N)5,6 −17.0,七量体以上(P=N)≧7 −18.0〜−23.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:70.6%,H:6.6%,N:2.9%,P:6.5%
実測値 C:70.4%,H:6.9%,N:2.8%,P:6.6%
◎水酸基当量
水酸基価測定方法の中和滴定法により、水酸基が残存していないことを確認した。
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、工程2で得られた生成物のヒドロキシル基がメタクリロイルオキシ基により置換されたもの、すなわち、[N=P(OC−Indane−OCOC(CH)=CH1.05(OCCH0.95]nおよび[N=P(O−Indane−COCOC(CH)=CH0.98(OCCH1.02]nの混合物であることを確認した。
実施例6(上記方法1−Aによる、形態1に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に窒素雰囲気下でDME500mlおよび60%NaH/油性52.0g(1.30mol)を仕込んだ。これに対し、撹拌下で4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェノールのDME溶液〔4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェノール294.2g(1.30mol)、DME1,000ml〕を5℃以下で2時間かけて滴下した後、50℃で2時間撹拌し、上記4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェノールのナトリウム塩を調製した。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中にクロロホスファゼンのDME溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン52.2g(0.45unit mol)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン5.8g(0.05unit mol)、DME300ml〕を仕込んだ。これに対し、上記4’−(1−プロペニルオキシ)フェニル−4−フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下し、還流下(68℃)で12時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応液を約500mlまで濃縮し、トルエン1,000mlと水1,500mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、次に2%硫酸で中和し、更に水で洗浄した後、トルエンを留去したところ、白色固体の生成物225.5g(収率:91%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.7(6H),−CH= 4.9(2H),=CH− 5.7(2H),フェニルC−H 6.5〜7.8(16H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 8.5,四量体(P=N) −13.2
◎CHNP元素分析:
理論値 C:72.7%,H:5.3%,N:2.8%,P:6.3%
実測値 C:72.5%,H:5.4%,N:2.8%,P:6.3%
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N=P(OC−COCH=CHCHと[N=P(OC−COCH=CHCHとの混合物であることを確認した。
実施例7(上記方法2−Dによる、形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液58.4g(0.50mol)、クロルベンゼン450mlおよびフェノール47.1g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約39ml)、フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF200mlを加えて均一溶液を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液76.0g(0.65mol)、クロルベンゼン800mlおよび4’−アリルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール188.8g(0.65mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約51ml)、4’−アリルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF300mlを加えて均一溶液を調製した。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50unit mol)、THF200ml〕を仕込んだ。これに対し、上記フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下5℃で10時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を5時間行った。次に、この反応液に上記4’−アリルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下し、還流下(86℃)で撹拌反応を10時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mlまで濃縮し、クロルベンゼン600mlと水600mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、次に2%硫酸で中和し、更に水での洗浄を3回行った後、クロルベンゼンを留去したところ、淡黄色固体の生成物207.1g(収率:96%)が得られた。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH− 4.6(2H),=CH5.3〜5.4(2H),−CH= 6.0(1H),フェニルC−H 6.8〜7.2(9H),7.8〜8.0(4H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 8.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:58.9%,H:4.2%,N:3.2%,P:7.2%
実測値 C:58.7%,H:4.4%,N:3.1%,P:7.0%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1087,1283,1480
以上の分析結果から、生成物は、[N=P(OC−SO−COCHCH=CH(OC]、[N=P(OC−SO−COCHCH=CH(OC]および[N=P(OC−SO−COCHCH=CH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N=P(OC−SO−COCHCH=CH1.02(OC0.98であることを確認した。
実施例8(上記方法2−Cによる、形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液41.7g(0.50mol)、トルエン1,000mlおよび4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェノール152.2g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約30ml)、4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF400mlを加えて均一溶液を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に48%KOH76.0g(0.65mol)、トルエン500mlおよびフェノール61.2g(0.65mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去し(回収水:約51ml)、フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF200mlを加えて均一溶液を調製した。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.5unit mol)、THF300ml〕を仕込んだ。これに対し、上記4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で10時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を2時間行った。次に、この反応液に上記フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下し、還流下(85℃)で撹拌反応を12時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mlまで濃縮し、トルエン500mlと水1,000mlとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄し、次に2%硫酸で中和し、更に水での洗浄を行った後、トルエンを留去したところ、白色固体の生成物201.5g(収率94%)が得られた。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH− 2.3(2H),−CH− 3.6(2H),=CH 5.1(2H),−CH= 5.8(1H),フェニルC−H 6.8〜7.4(9H),7.7〜8.1(4H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 8.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:59.9%,H:4.6%,N:3.3%,P:7.2%
実測値 C:59.8%,H:4.8%,N:3.1%,P:7.0%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1,115,1,326,1,536
以上の分析結果から、この生成物は、[N=P(OC−SO−CH4OCHCHCH=CH(OC]、[N=P(OC−SO−COCHCHCH=CH(OC]および[N=P(OC−SO−COCHCHCH=CH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N=P(OC−SO−COCHCHCH=CH0.94(OC1.06であることを確認した。
実施例9(上記方法2−Dによる、形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
4’−アリルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール188.8g(0.65mol)の代わりに4’−アリルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール174.5g(0.65mol)を用いた点以外は実施例7と同様に操作し、淡黄色固体の生成物193.4g(収率93%)を得た。この生成物は、ガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6(6H),−CH−4.6(2H),=CH 5.3〜5.4(2H),−CH= 6.0(1H),フェニルC−H 6.8〜7.2(13H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.8
◎CHNP元素分析:
理論値 C:71.4%,H:6.0%,N:3.4%,P:7.4%
実測値 C:71.3%,H:6.2%,N:3.4%,P:7.3%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1,073、1,263、1,452
以上の分析結果から、この生成物は、[N=P(OC−C(CH−COCHCH=CH(OC]、[N=P(OC−C(CH−COCHCH=CH(OC]および[N=P(OC−C(CH−COCHCH=CH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N=P(OC−C(CH−COCHCH=CH1.06(OC0.94であることを確認した。
実施例10(上記方法2−Cによる、形態2に係る反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
4’−(3−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル−4−フェノール152.2g(0.50mol)の代わりに1,3,3−トリメチル−1−(4−(3−ブテニルオキシ)フェニル)インダン−6−オール(47%)と1,3,3−トリメチル−1−(4−ビドロキシフェニル)−6−(3−ブテニルオキシ)インダン(53%)との混合物161.2g(0.50mol)を用い、また、フェノール61.2g(0.65mol)の代わりにp−クレゾール70.3g(0.65mol)を用いた点以外は実施例8と同様に操作し、淡黄色粘稠液体の生成物210.2g(収率:90%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.0〜1.6(9H),−CH− 2.1〜2.4(4H),−CH 2.3(3H),−CH− 3.6(2H),=CH 5.1(2H),−CH= 5.8(1H)、フェニルC−H 6.8〜7.9(11H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4,五,六量体(P=N)5,6 −17.0,七量体以上(P=N)≧7 −18.0〜−23.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:73.4%,H:6.8%,N:3.0%,P:6.6%
実測値 C:73.1%,H:7.0%,N:2.8%,P:6.6%
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この生成物は、N=P(OC−Indane−OCHCHCH=CH0.96(OCCH1.04]nおよび[N=P(O−Indane−COCHCHCH=CH0.98(OCCH1.02]nの混合物であることを確認した。
比較例1(環状ホスファゼン化合物の製造)
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、151頁、ACADEMIC PRESS社に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン81%とオクタクロロシクロテトラホスファゼン19%とのシクロホスファゼン混合物を用いて[N=P(OCと[N=P(OCとの混合物(白色固体/融点:65〜112℃)を得た。
実施例11〜16および比較例2(樹脂組成物の調製)
PC樹脂(ポリカーボネート樹脂:三菱瓦斯化学株式会社製「ユーピロンS3000」)100部に対して実施例2,3,5,7,8若しくは10で製造した反応性基含有環状ホスファゼン化合物または比較例1で製造した環状ホスファゼン化合物を表1に示す割合で添加し、220℃で5分間溶融混練した。
これにより得られた樹脂組成物を、プレス成形機を用いて200℃で10分間加熱プレスし、厚さ1/16インチのシートを得た。この段階では、樹脂組成物に含まれる反応性基含有環状ホスファゼン化合物の反応性オキシ基は反応していなかった。このシートの両面に対し、室温で加速電圧200KV、照射線量2MRad、吸収線量10KGyの条件下で電子線照射を行った。これにより得られた硬化シートから長さ5インチ、幅0.5インチ、厚さ1/16インチの試験片を切り出し、この試験片について燃焼性試験(UL−94難燃性試験)を実施し、また、熱変形温度およびブルーミング性を調べた。各項目の評価方法は下記の通りである。結果を表1に示す。
(燃焼性試験)
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)試験片5本のうち、少なくとも一本、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(熱変形温度)
ASTM D−648に準じ、荷重1.82MPaで試験した。
(ブルーミング性)
試験片を150℃で6時間加熱し、試験片表面での染み出し状態(試験片内部からの浸出状態)を目視観察した。評価の基準は次の通りである。
◎:染み出しが全く見られない。
〇:染み出しがほとんど見られない。
△:若干の染み出しが見られる。
×:著しい染み出しが見られる。
Figure 2012116842
表1から明らかなように、実施例11〜16の樹脂組成物からなるシート(樹脂成形体)は、比較例2のものに比べ、難燃性に優れ、また、熱変形温度が高いことから機械的物性が優れており、しかも、ブルーミング性で評価したホスファゼン化合物のブリードアウトが実質的に見られない。
実施例17(反応性基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーの製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコに実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物50.0gとトルエン500mlとを仕込んだ。この溶液に、窒素雰囲気下でベンゾイルパーオキシド0.7gを添加した後、90℃で10時間反応した。反応後、トルエンを濃縮して大過剰量のメタノールに投入し、析出した固体を濾過で分離して減圧下60℃で12時間乾燥した。これにより、メタクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物48.9gを得た。この生成物のIRスペクトルは、メタクリロイルオキシ基の二重結合が消失したことを示していた。
実施例18(反応性基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーの製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコに実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物15.0gとスチレン35.0gとを仕込んだ。この溶液に、窒素雰囲気下でベンゾイルパーオキシド0.7gを添加した後、90℃で10時間反応した。反応後、トルエンを濃縮して大過剰量のメタノールに投入し、析出した固体を濾過で分離して減圧下60℃で12時間乾燥した。これにより、メタクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とスチレンとのオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物49.1gを得た。この生成物のIRスペクトルは、二重結合の消失を示し、スチレンが共重合成分として反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物と反応して得られる上記オリゴマーが生成したことを示していた。
実施例19(反応性基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーの製造)
実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物の代わりに実施例2で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物を用いた点を除いて実施例18と同様に操作し、メタクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とスチレンとのオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物47.9gを得た。この生成物のIRスペクトルは、二重結合の消失を示し、スチレンが共重合成分として反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物と反応して得られる上記オリゴマーが生成したことを示していた。
実施例20(反応性基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーの製造)
実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物の代わりに実施例4で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物を用いた点を除いて実施例18と同様に操作し、メタクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とスチレンとのオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物48.7gを得た。この生成物のIRスペクトルは、二重結合の消失を示し、スチレンが共重合成分として反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物と反応して得られる上記オリゴマーが生成したことを示していた。
実施例21(反応性基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーの製造)
実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物の代わりに実施例9で製造した反応性基(アリルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物を用いた点を除いて実施例18と同様に操作し、アリルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とスチレンとのオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物47.9gを得た。この生成物のIRスペクトルは、二重結合の消失を示し、スチレンが共重合成分として反応性基(アリルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物と反応して得られる上記オリゴマーが生成したことを示していた。
実施例22〜32および比較例3,4(樹脂組成物の調製)
ABS樹脂(三井化学株式会社製「サンタック」)若しくはPC樹脂(ポリカーボネート樹脂:三菱瓦斯化学株式会社製「ユーピロンS3000」)100部に対し、実施例17〜21で製造したオリゴマー若しくは比較例1で得られた環状ホスファゼン化合物を表2に示す割合で添加し、180〜220℃で5分間溶融混練した。これにより得られた樹脂組成物を、プレス成形機を用いて150〜200℃で10分間加熱プレスし、厚さ1.6mmのシートを得た。このシートについて、UL−94難燃性試験を実施し、また、熱変形温度およびブルーミング性を調べた。各項目の試験方法は、実施例11〜16および比較例2の場合と同じである。結果を表2に示す。
Figure 2012116842
表2から明らかなように、実施例22〜32の樹脂組成物からなるシート(樹脂成形体)は、比較例3、4のものに比べ、難燃性に優れ、また、熱変形温度が高いことから機械的物性が優れており、しかも、ブルーミング性で評価したホスファゼン化合物のブリードアウトが実質的に見られない。
実施例33〜39および比較例5(樹脂組成物の調製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1001(ジャパン・エポキシ・レジン社の商品名:エポキシ当量456g/eq.、樹脂固形分70%)651部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂であるYDCN−704P(東都化成株式会社の商品名:エポキシ当量210g/eq.、樹脂固形分70%)300部、ノボラック型フェノール樹脂であるBRG−558(昭和高分子株式会社の商品名:水酸基価106g/eq.、樹脂固形分70%)303部、水酸化アルミニウム361部および2−エチル−4−メチルイミダゾール0.9部の混合物に対し、実施例3、4、7、9、17、18若しくは23で得られた反応性基含有環状ホスファゼン化合物若しくはオリゴマーまたは比較例1で得られた環状ホスファゼン化合物を表3に示す割合で添加し、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて樹脂固形分65%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。
次に、調製したエポキシ樹脂ワニスを180μmガラス織布に塗布して含浸させ、160℃の温度で乾燥してプリプレグを製造した。こうして得られた180μmガラス織布プリプレグを8枚積層し、これを170℃の温度、4MPaの圧力で100分間加熱・加圧して厚さ1.2mmのガラスエポキシ積層板を得た。
このガラスエポキシ積層板から長さ5インチ、幅0.5インチ、厚さ1.2mmの試験片を切り出し、その燃焼性、ガラス転移温度(Tg)および耐熱性を調べた。ここで、燃焼性は、実施例11〜16および比較例2の場合と同じく、UL−94規格垂直燃焼試験に準拠した方法により評価した。また、ガラス転移温度は、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準じ、DSCによって測定した。さらに、耐熱性は、試験片を290℃で20分間処理し、外観の変化を観察した。結果を表3に示す。なお、表3の耐熱性の結果において、「有」は上述の混合物に対して添加した反応性基含有環状ホスファゼン化合物等のブリードアウトがないことを意味し、「無」はそのブリードアウトがあることを意味している。
Figure 2012116842
表3から明らかなように、実施例33〜39の樹脂組成物からなるガラスエポキシ積層板(樹脂成形体)は、比較例5のものに比べ、難燃性に優れ、また、ガラス転移温度が高いことから機械的物性が優れており、しかも、耐熱性で評価したホスファゼン化合物のブリードアウトが実質的に見られない。
実施例40〜46および比較例6(樹脂組成物の調整)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であるESCN−195XL(住友化学株式会社の商品名:エポキシ当量200g/eq.)10部、フェノールノボラック樹脂であるDL−92(明和化成株式会社の商品名:フェノール性水酸基当量110g/eq.)5部、球状溶融シリカ(龍森株式会社製:平均粒径20μm)100部、カルナバワックス(東亜化成株式会社社製)0.5部およびDBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7)0.5部の混合物に対し、実施例3、7、17〜21で得られた反応性基含有環状ホスファゼン化合物若しくはオリゴマーまたは比較例1で得られた環状ホスファゼン化合物を表4に示す割合で常温で混合し、さらに90〜95℃で混練した。そして、これを冷却粉砕して成形材料を製造した。この成形材料からなる成形品について、燃焼性および高温放置信頼性を評価した。評価方法は下記の通りである。結果を表4に示す。
(燃焼性)
成形材料を175℃に加熱した金型内にトランスファー注入して8時間の後硬化処理をし、長さ5インチ、幅0.5インチ、厚さ1/32インチの成形品(封止品)を得た。この成形品について、実施例11〜16および比較例2の場合と同じく、UL−94規格垂直燃焼試験に準拠して燃焼性を評価した。
(高温放置信頼性)
上述の混合物に対して添加した反応性基含有環状ホスファゼン化合物等の安定性評価のため、次のような試験を行った。成形材料を用いて2本のアルミ配線を有するシリコン製チップ(テスト素子)を通常の42アロイフレームに接着し、これを170℃で4分間トランスファー成形した後、170℃において4時間後硬化処理した。このようにして得られた20個の成形品を、30℃,60%,100時間の吸湿処理した後、250℃の半田浴に10秒間浸漬した。その後、200℃における高温放置試験を2,000時間実施し、アルミニウム配線のオープン・ショートをしたものを不良成形品として評価した。
Figure 2012116842
表4より明らかなように、実施例40〜46の成形材料は、比較例6のものに比べ、難燃性および高温放置信頼性に優れた樹脂成形品を形成することができる。
合成例1(可溶性ポリイミド樹脂の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのガラス製フラスコ中に、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン277.7g(0.95mol)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル10.7g(0.05mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)700mlを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌溶解した。次に、フラスコ内の溶液を、窒素雰囲気下で撹拌し、4、4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物(IPBP)のDMF溶液[IPBP520.5g(1.00mol)、DMF1,100ml]を5〜10℃で2時間かけて滴下し、さらに室温で3時間撹拌してポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液2,500gをフッ素樹脂(PTFE)でコートしたトレイに移し、真空オーブンで減圧加熱(条件:200℃、5.7hPa以下、6時間)することによって、可溶性ポリイミド樹脂750gを得た。
合成例2(2官能PPEオリゴマーの合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管および空気導入管を備えた2リットルのガラス製フラスコ中に、CuCl1.3g(0.012mol)、ジ−n−ブチルアミン70.7g(0.55mol)およびメチルエチルケトン500mlを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、予めメチルエチルケトン1,000mlに溶解させた4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)45.4g(0.16mol)と2,6−ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2リットル/分の空気のバブリングを行いながら2時間かけて滴下し、さらに滴下終了後1時間、2リットル/分の空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、3%塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水でさらに洗浄を行った。得られた溶液を濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、両末端にヒドロキシル基を有するPPEオリゴマーを101.3g得た。このオリゴマーは、数平均分子量が860、重量平均分子量が1150、水酸基当量が455g/eq.であった。
次に、撹拌機、温度計および還流冷却管を備えた1リットルのガラス製フラスコ中に、上記工程で得られた両末端にヒドロキシル基を有するPPEオリゴマー50g(水酸基0.11mol)、炭酸カリウム15.3gおよびアセトン400mlを仕込み、窒素下で3時間還流した。その後、6−ブロモ−1−ヘキサノール22.1gを1時間かけて滴下し、滴下終了後に24時間還流した。反応後、反応液を塩酸で中和し、多量の脱イオン水を加えて生成物を沈殿させ、トルエンを加えて抽出を行った。得られた溶液を濃縮してメタノール中に滴下して再沈殿を行い、ろ過して固体を回収した後、減圧乾燥を行った。これにより、両末端にヒドロキシルヘキシル基を有するPPEオリゴマー55.9gを得た。このオリゴマーは、数平均分子量が1,045、重量平均分子量が1,390、水酸基当量が550g/eq.であった。
次に、撹拌機、温度計および還流冷却管を備えた0.3リットルのガラス製フラスコ中に、上記工程で得られた両末端にヒドロキシルヘキシル基を有するPPEオリゴマー30g、アクリル酸クロライド6.0g、トリエチルアミントルエン7.0g、ハイドロキノン0.03gおよびトルエン100mlを仕込んだ。そして、これを加熱還流して2時間反応した。反応後、反応混合物を濃縮し、トルエン60mlを添加した。これを2%塩酸で2回洗浄し、次に脱イオン水で3回洗浄した。これにより、トルエンを減圧留去して両末端にアクリレート基を有するPPEオリゴマー30.5gを得た。この両末端にアクリレート基を有するPPEオリゴマーは、数平均分子量が1,190、重量平均分子量が1,590であった。
実施例47(樹脂組成物の調製)
合成例1で得られた可溶性ポリイミド樹脂50.0g、実施例1で合成した環状ホスファゼン化合物20.0g、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社の商品名“NKエステル A−BPE−30”)15.0g並びに光反応開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社の商品名“IRGACURE 184”)1.0gおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバスペシャリティケミカルズ社の商品名“IRGACURE 819”)1.0gを混合して感光性樹脂組成物のワニスを調製した。
このワニスをPETフィルム(厚み25μm)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、45℃で5分間、続いて65℃で5分間乾燥して有機溶剤を除去することにより、PETフィルム上にBステージ化した感光性フィルム層を形成させ、PETフィルムにBステージ化した感光性フィルムが積層された感光性ドライフィルムレジストを作製した。この感光性ドライフィルムレジストの感光性フィルム層上に、ポリエチレン樹脂とエチレンビニルアルコール樹脂との共重合体からなる保護フィルム(積水化学株式会社の商品名“プロテクト(#6221F)フィルム”)をラミネート(条件:ロール温度40℃、ニップ圧1500Pa・m)し、三層構造のシート状感光性ドライフィルムレジストを作製した。これについて現像性試験を行ったところ、100μmφの微細な穴および100μm/100μmのラインが現像できた。また、この感光性ドライフィルムレジストを硬化したシートの燃焼性(難燃性)、ガラス転移温度およびブルーミング性を測定した。結果を表5に示す。ここで、燃焼性は実施例11〜16および比較例2と同様の方法で評価した。また、ガラス転移温度は、実施例33〜39および比較例5と同じ方法で測定した。さらに、ブルーミング性は、次のようにして評価した。
硬化したシートを170℃で6時間加熱し、シート表面での染み出し状態(シート内部からの浸出状態)を目視観察した。評価の基準は次の通りである。
◎:染み出しが全く見られない。
○:染み出しがほとんど見られない。
△:若干の染み出しが見られる。
×:著しい染み出しが見られる。
実施例48〜51(樹脂組成物の調製)
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、表5に示した環状ホスファゼン化合物を同表に表示の配合量で使用した点を除いて実施例47と同様に操作し、樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを用いて、実施例47と同様の方法・条件にて三層構造のシート状感光性ドライフィルムレジストを作製した。そして、この感光性ドライフィルムレジストについて実施例47と同様の方法により現像性試験を実施したところ、実施例47と同様の結果が得られた。また、この感光性ドライフィルムレジストについて、実施例47と同様の方法・条件にて燃焼性(難燃性)、ガラス転移温度およびブルーミング性を測定した。結果を表5に示す。
比較例6(樹脂組成物の調製)
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、比較例1で製造した環状ホスファゼン化合物20.0gを使用した点を除いて実施例47と同様に操作し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて硬化シートを作製し、このシートについて、実施例47と同様の方法・条件にて燃焼性(難燃性)、ガラス転移温度およびブルーミング性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2012116842
表5から明らかなように、実施例47〜51の硬化シートは、比較例7のものに比べ、難燃性に優れ、ガラス転移温度が高いことから機械的物性が優れており、しかもブルーミング性で評価した環状ホスファゼン化合物のブリードアウトが実質的に見られない。
実施例52(樹脂組成物の調製)
合成例2で得られた両末端にアクリレート基を有するPPEオリゴマー45.0g、実施例1で得られた環状ホスファゼン化合物10.0g、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社の商品名“NKエステル A−BPE−10”)5.0g、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gおよびトルエン30mlを混合・溶解した後、150℃で溶融、脱気して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をシート状に成形し、これを6時間200℃で加熱した。これにより、硬化された樹脂シートを得た。この樹脂シートについて、実施例47と同様にしてブルーミング性、ガラス転移温度および燃焼性(難燃性)を測定した。結果を表6に示す。
実施例53〜55(樹脂組成物の調製)
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、表6に示した環状ホスファゼン化合物を同表に表示の配合量で使用した点を除いて実施例52と同様に操作し、樹脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物を実施例52と同様の方法・条件にて成形、硬化し、硬化された樹脂シートを得た。この樹脂シートについて、実施例47と同様にしてブルーミング性、ガラス転移温度および燃焼性(難燃性)を測定した。結果を表6に示す。
比較例8(樹脂組成物の調製)
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、比較例1で製造した環状ホスファゼン化合物10.0gを使用した点を除いて実施例52と同様に操作し、樹脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物を実施例52と同様の方法・条件にて成形、硬化し、硬化された樹脂シートを得た。この樹脂シートについて、実施例47と同様にしてブルーミング性、ガラス転移温度および燃焼性(難燃性)を測定した。結果を表6に示す。
Figure 2012116842
表6から明らかなように、実施例52〜55の硬化シートは、比較例8のものに比べ、難燃性に優れ、ガラス転移温度が高いことから機械的物性が優れており、しかもブルーミング性で評価した環状ホスファゼン化合物のブリードアウトが実質的に見られない。

Claims (1)

  1. 下記の式(15)で表される環状ホスファゼン化合物。
    Figure 2012116842
    (式(15)中、nは3〜15の整数を示し、Qは下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがQ3基である。
    Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
    Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
    Q3基:下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
    Figure 2012116842
    Figure 2012116842
    Figure 2012116842
    Figure 2012116842
    式(7)、式(8)、式(9)および式(10)中のZは、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示し、式(8)中のYは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CH)CHCH若しくはCOを示し、式(9)および式(10)中のRおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
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