JP2012114249A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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正志 鵜澤
Kohei Yamada
耕平 山田
Akira Yamazaki
明 山嵜
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Abstract

【課題】良好な耐久性を有するコンデンサを得ることが可能な、鉄含有量が少ない導電性高分子化合物で含浸されたセパレーターを使用した固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】特定の重合性単量体(a)及び塩基性化合物(b)の重合物の層が形成されたセパレーターを使用した固体電解コンデンサ及びセパレーターを使用した固体電解コンデンサ素子を、特定の重合性単量体(a)、塩基性化合物(b)、遷移金属を含まない酸化剤(c)及び溶剤(d)を含有する、−5℃以下に冷却された導電性高分子層形成用組成物中に浸漬する浸漬工程、溶剤(d)を揮発させると共に重合性単量体(a)及び塩基性化合物(b)を含む重合物の層を形成する乾燥・重合工程を有する固体電解コンデンサの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
近年、アルミニウム、ニオブ、タンタル、チタン、マグネシウム等の弁作用金属体の多孔質体を使用した陽極体の表面に、陽極酸化法により陽極酸化皮膜を形成し、次いでこの陽極酸化皮膜上に固体電解質として導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサが開発されている。このようなコンデンサでは、固体電解質として二酸化マンガンを用いた従来の固体電解コンデンサに比較して固体電解質の導電率が10〜100倍高く、また等価直列抵抗(ESR)を大きく減少させることが可能であるため、小型電子機器の高周波ノイズ吸収等の様々な用途への応用が期待されている。
多孔質の陽極酸化皮膜の表面に固体電解質層を形成する方法として、導電性高分子化合物を含む溶液を作製して、この溶液を多孔質の陽極酸化皮膜の表面に積層させ、次いで乾燥及び硬化させて導電性高分子層を形成する、スラリーポリマー塗布法が知られている。スラリーポリマー塗布法では重合反応を陽極酸化皮膜上で行う必要がないため、作製工程の制御が比較的容易であるという特徴を持つ。
一般に陽極酸化皮膜内部への導電性高分子溶液の浸透性とその分子量の大きさとの間には相反関係があることが知られている。一方、塗布によって形成される導電性高分子の皮膜の導電率は導電性高分子の分子量に比例する傾向がある。従って、導電性高分子溶液の塗布により固体電解コンデンサの固体電解質層を形成する場合に、固体電解質層の導電率を上げてESRを低下させるためには、分子量の大きな高分子溶液を用いればよいことになる。しかしその場合には、導電性高分子溶液の浸透性が低いために、陽極酸化皮膜の微細な凹凸の内部には固体電解質層がほとんど形成されず、表層のみに形成されてしまい、得られる固体電解コンデンサの静電容量が低くなってしまう。
この問題を解決する方法として、モノマーに酸化剤及びドーパント(導電補助剤)を加えた組成物を多孔質の陽極酸化皮膜の表面に積層させ、モノマーと酸化剤とを陽極酸化皮膜上において直接反応させて導電性高分子層を形成する、化学酸化重合法が用いられている。
特許文献1には、エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン化合物と、ドーパントを兼ねるp−トルエンスルホン酸鉄(III)等の酸化剤を有機溶媒に溶解させて表面酸化が施されたアルミニウム電極の表面に塗布した後に重合体を形成し、次いで有機溶媒を除去して導電性高分子層を形成する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1で得られる導電性高分子層中には酸化剤であるp−トルエンスルホン酸鉄(III)由来の鉄が大量に残存していることから、得られるコンデンサの耐久性(耐高湿性)が充分ではない。
また、上記課題の解決手段として、特許文献2のようにスラリーポリマーを用いる方法を発展させ、酸化皮膜層を持つ弁作用金属体にポリエチレンジオキシチオフェン及びポリスチレンスルホン酸の水分散体を吐出機により塗布した後に弁作用金属体の表面を水により洗浄する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2の方法では機械装置の初期投資が嵩む上、吐出工程では比較的高価な導電性高分子の利用率が低く、コスト高になってしまう。更に、特許文献2の方法ではポリジオキシチオフェン等の分散液を使用しているため、静電容量の大きなコンデンサの微細孔への含浸に適しているとはいえない。
特開平02−15611号公報 特開2009−147122号公報
本発明の目的は、良好な耐久性を有するコンデンサを得ることが可能な、鉄含有量が少ない導電性高分子化合物で含浸されたセパレーターを使用した固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第一の要旨は、少なくとも下式(1)及び/または(2)で示される重合性単量体(a)(以下、「(a)成分」という)及び塩基性化合物(b)(以下、「(b)成分」という)とを反応させて得られる重合物の層が形成されたセパレーターを使用した固体電解コンデンサにある。
Figure 2012114249
(式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br又は−Iであり、nは1〜3の整数である。)
本発明の第二の要旨は、セパレーターを使用した固体電解コンデンサ素子を、上記(a)成分と、上記(b)成分と、遷移金属を含まない酸化剤(c)(以下、「(c)成分」という)と、溶剤(d)(以下、「(d)成分」という)とを含有する導電性高分子層形成用組成物中に、浸漬する浸漬工程、(d)成分を揮発させると共に(a)成分及び(b)成分を含む重合物の層を形成する重合物形成工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法にある。
本発明の第三の要旨は、前記浸漬工程において、導電性高分子層形成用組成物が−5℃以下に冷却されているものである固体電解コンデンサの製造方法にある。
本発明により、導電性高分子層の製造に適した導電性高分子層形成用組成物を用いて陽極酸化皮膜を形成させた弁作用金属の表面への導電性高分子層の被覆率を高めて静電容量を確保することができ、且つ良好な耐久性を有することが可能な固体電解コンデンサを得ることができることから、小型電子機器の高周波ノイズ吸収用コンデンサ等として好適である。
図1は固体電解コンデンサ素子の概略構成図である。
<重合性単量体(a)成分>
(a)成分は、本発明の固体電解コンデンサにおけるセパレーター中、及び陽極酸化皮膜を形成させた弁作用金属上に導電性高分子層となる重合物を構成するための単量体である。
本発明で使用される(a)成分は下式(1)の単量体である。
Figure 2012114249
(式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br又は−Iであり、nは1〜3の整数である。)
これらの中で、後述する導電性高分子層の導電性の点で、単量体中にスルホン酸基(−SOH)及びカルボキシ基(−COOH)から選ばれる少なくとも1種の酸性基を有するものが好ましい。
また、(a)成分としては、(a)成分の重合性の点で、R〜Rのうちいずれか一つが炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、他のいずれか一つが−SO−又は−SOHであり、残りが−Hである単量体が好ましい。
(a)成分の具体例としては、スルホン基置換アニリン、カルボキシ基置換アニリン及びその他アニリン誘導体が挙げられる。
スルホン基置換アニリンとしては、例えば、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸等のアミノベンゼンスルホン酸類;メチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;及びフルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が挙げられる。これらの中で、得られる重合物の導電性が良好である点でアミノベンゼンスルホン酸類、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類及びヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましい。
スルホン酸基置換アニリンは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
カルボキシ基置換アニリンとしては、例えば、o−アミノベンゼンカルボン酸、m−アミノベンゼンカルボン酸、p−アミノベンゼンカルボン酸、アニリン−2,6−ジカルボン酸、アニリン−2,5−ジカルボン酸、アニリン−3,5−ジカルボン酸、アニリン−2,4−ジカルボン酸、アニリン−3,4−ジカルボン酸等のアミノベンゼンカルボン酸類;メチルアミノベンゼンカルボン酸、エチルアミノベンゼンカルボン酸,n−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、iso−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、n−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、sec−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、t−ブチルアミノベンゼンカルボン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンカルボン酸類;メトキシアミノベンゼンカルボン酸、エトキシアミノベンゼンカルボン酸、プロポキシアミノベンゼンカルボン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンカルボン酸類;及びフルオロアミノベンゼンカルボン酸、クロロアミノベンゼンカルボン酸、ブロムアミノベンゼンカルボン酸等のハロゲン基置換アミノベンゼンカルボン酸類が挙げられる。これらの中で、得られる重合物の導電性が良好である点でアミノベンゼンカルボン酸類、アルキル基置換アミノベンゼンカルボン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類及びヒドロキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類が好ましい。
カルボキシ基置換アニリンは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
その他アニリン誘導体としては、例えば、フルオロアニリン、クロロアニリン、ブロモアニリン等のハロゲン基置換アニリン;メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン等のアルキル基置換アニリン;メトキシアニリン、エトキシアニリン等のアルコキシ基置換アニリン;アニリン;ヒドロキシアニリン;及びニトロアニリンが挙げられる。
その他アニリン誘導体は単独で又は2種以上を併せて使用できる。
その他アニリン誘導体を使用する場合には、得られる重合物の導電性が良好である点でスルホン酸基置換アニリン及びカルボキシ基置換アニリンから選ばれる少なくとも1種と混合して用いることが好ましい。
前記式(1)の単量体は、例えば、2−アミノアニソール−4−スルホン酸、p−アミノジフェニルアミン、アニリン等の公知の化合物を利用することができる。
前記式(2)の単量体は、例えば、非特許文献(Synthetic Metals 123(2001),273−277)等で開示されている2−フェニルアミノ−5−アミノベンゼンスルホン酸等の公知の化合物を利用することができる。
<塩基性化合物(b)成分>
本発明で使用される(b)成分は、(d)成分への(a)成分の溶解性を良好とするための成分である。
(b)成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等の無機塩基;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機水酸化物;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等の1級アルキルアミン;ベンジルアミン、アニリン等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等の2級アルキルアミン;メチルアニリン等の2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン等の3級アルキルアミン;ジメチルアニリン等の3級アミン;2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピリジン、ピレリジン等のヘテロ環式アミン類;ベンジルアミン;メトキシエチルアミン;アミノピリジン;ヒドロキシメチルピリジン;ピリジノール;エチレンジアミン;及びアンモニアが挙げられる。これらの中で、(a)成分を溶剤に溶解させる効果が高い点で、水酸化ナトリウム、ピリジン及びアンモニアが好ましい。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
<酸化剤(c)成分>
本発明において、(c)成分は遷移金属を含まないもので、(a)成分を重合させるための成分である。
(c)成分としては、(a)成分の重合性の点で、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤が好ましい。
(c)成分としては、例えば、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類及び過酸化水素が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
(c)成分としては、(c)成分の安定性が良好である点で、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム及び過酸化水素が好ましい。
<溶剤(d)成分>
(d)成分は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を溶解し、後述する導電性高分子層形成用組成物の溶液を得るための成分である。
(d)成分としては、例えば、水及び水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。
(d)成分として水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を使用する場合、水と水溶性有機溶剤との混合比としては、例えば、水:水溶性有機溶剤=1:100〜100:1の混合比率が挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール系化合物;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール系化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;及びN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類が挙げられる。
これらの中で、(a)成分及び(b)成分を溶解させる効果が高い点で、アルコール類、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドが好ましく、グリコール系化合物及びアルコール類がより好ましい。また、グリコール系化合物としてはエチレングリコール及びプロピレングリコールが好ましく、アルコール類としてはメタノール、エタノール及びイソプロパノールが好ましい。
(d)成分は単独で又は2種以上を併せて使用できる。
<導電性高分子層形成用組成物>
本発明で使用される導電性高分子層形成用組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する溶液である。
導電性高分子層形成用組成物中の(a)成分の含有量としては、(c)成分100質量部に対して(a)成分1〜500質量部が好ましい。(a)成分の含有量を1〜500質量部とすることにより、後述するコンデンサ素子中への導電性高分子層形成用組成物の充填率が良好となり、コンデンサ性能が向上する傾向にある。
導電性高分子層形成用組成物中の(b)成分の含有量としては、(a)成分の(d)成分への溶解性の点で、(a)成分1モルに対して0.1〜5モルが好ましく、0.3〜3モルがより好ましい。
導電性高分子層形成用組成物中の(c)成分の含有量としては、(a)成分の重合性の点で、(a)成分1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、0.5〜3モルがより好ましい。
本発明においては、導電性高分子層形成用組成物は、必要に応じて、界面活性剤等の公知の添加剤を含有することができる。
導電性高分子層形成用組成物を得る方法としては、例えば、(a)成分及び(b)成分を(d)成分に溶解して得られる(a)成分含有溶液を−5℃以下に冷却した後に、この溶液に(c)成分を溶解させて得る方法が挙げられる。
この方法で得られた導電性高分子層形成用組成物は導電性高分子層を形成する前の重合反応が抑制され、後述する固体電解コンデンサ素子におけるセパレーター中への導電性高分子層形成用組成物の浸漬性を良好とすることができる。
なお、(a)成分含有溶液に(c)成分を溶解させる際には、(c)成分として(c)成分を(d)成分に予め溶解させたものを用いることができる。
<重合物>
本発明において、重合物は導電性高分子層形成用組成物を重合して得られる、(a)成分の重合体及び(b)成分を含有するもので、導電性高分子層を形成するものである。
重合物を得る方法としては、例えば、後述するセパレーターを使用した、後述する固体電解コンデンサ素子を、後述する浸漬工程及び重合物形成工程にて順次処理する方法が挙げられる。
<セパレーター>
本発明におけるセパレーターは本発明の固体電解コンデンサ中の電解質層を形成するためのものである。
セパレーターとしては公知のアクリル繊維、ポエステル繊維等の各種繊維又は紙で形成されたものを使用することができる。
本発明におけるセパレーターとしては、絶縁油を染み込ませたものを使用することができる。
上記の絶縁油としては、例えば、鉱油;ジアリルエタン油;アルキルベンゼン油;脂肪族エステル油;フマル酸エステル、マレイン酸エステル等の不飽和エステル油;フタル酸エステル等の芳香族エステル油;多環芳香族油;及びシリコン油が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
<固体電解コンデンサ素子>
本発明において、固体電解コンデンサ素子とは、本発明の固体電解コンデンサにおけるセパレーター中、及び陽極酸化皮膜を形成させた弁作用金属上例えば、アルミニウム、ニオブ、タンタル、チタン、マグネシウム等)に重合物の層が形成される前の状態のものをいう。
<浸漬工程>
本発明において、浸漬工程は、固体電解コンデンサ素子を導電性高分子層形成用組成物中に浸漬して、導電性高分子層形成用組成物をセパレーター中に含浸させる工程である。
浸漬工程において、導電性高分子層形成用組成物の温度は、−5℃以下であることが好ましい。上記温度であれば、導電性高分子層形成用組成物の重合反応の開始を抑制することができるため、導電性高分子層形成用組成物のコンデンサ素子への浸漬性の低下を抑制することができる。
<重合物形成工程>
本発明において、重合物形成工程は、セパレーターに含浸された導電性高分子層形成用組成物中の(d)成分を揮発させると共に(a)成分を重合するための工程である。
(d)成分を揮発させると共に(a)成分を重合するための温度としては、例えば、20〜190℃が挙げられる。
<固体電解コンデンサ>
本発明の固体電解コンデンサは、(a)成分及び(b)成分を反応させて得られる重合物からなる導電性高分子層が形成されたセパレーターを使用したものである。
本発明の固体電解コンデンサは、例えば、セパレーターを使用した固体電解コンデンサ素子を、浸漬工程及び重合物形成工程にて順次処理することにより得られる。
本発明においては、本発明の固体電解コンデンサの特性を向上させるために、上記の処理の後に導電性高分子層形成用組成物の残渣を低減するための洗浄工程を追加することができる。
洗浄工程における洗浄剤としては、例えば、(d)成分と同じ溶剤を使用することができる。
洗浄工程における洗浄方法としては、例えば、ディップ洗浄法、攪拌洗浄法及び超音波洗浄法が挙げられる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1〜5並びに比較例1及び2]
表1に示す、所定量の(a)成分及び(b)成分を所定量の(d)成分に溶解して単量体溶液を調整し、得られた単量体溶液を表1に示す温度に冷却した。
また、表1に示す、所定量の(c)成分を所定量の(d)成分に溶解して酸化剤溶液を調整し、得られた酸化剤溶液を表1に示す温度に冷却した。
前記の単量体溶液中に上記の酸化剤溶液を1分間で加えた後に、5分間撹拌し、導電性高分子層形成用組成物を得た。
次いで、得られた導電性高分子層形成用組成物の温度を維持しながら、図1に示す固体電解コンデンサ素子を、導電性高分子層形成用組成物中に5分間浸漬した。
この後、導電性高分子層形成用組成物が含浸した固体電解コンデンサ素子を引き上げ、室温で10分間放置し、更に150℃にて10分間乾燥し、(a)成分の重合を完了させて洗浄前固体電解コンデンサを得た。
得られた洗浄前固体電解コンデンサを純水中に浸漬して洗浄前固体電解コンデンサの洗浄を行なった。この洗浄前固体電解コンデンサの洗浄を5回繰り返した。
得られた洗浄後固体電解コンデンサを120℃にて10分間乾燥し、固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの鉄元素(Fe)の質量ベースの含有量を、ICP発光分析装置を用いて測定した。評価結果を表1に示す。
なお、固体電解コンデンサの導電性高分子層含有セパレーター中のFe含有量の測定は以下の条件にて実施した。
作製した固体電解コンデンサから導電性高分子層含有セパレーターを剥離して取り出し、その一部を分析用サンプルとして正確に一定量を秤量した
次いで、上記の分析用サンプルを分析用サンプルの100倍量の濃硝酸と共にテフロン(登録商標)製密閉容器に入れ、マイクロ波湿式分解装置(CEM社製、MARS密閉タイプマイクロ波式湿式分解装置)を使用して導電性高分子層含有セパレーターを加熱溶解した。
上記の加熱溶解液を100倍量の水により希釈し、ICP発光分光分析装置(日本ジャーレルアッシュ(株)製、商品名:ICAP−577)にて元素量を測定した。
Figure 2012114249
表1中の記号は以下の化合物を示す。
a−1:2−アミノアニソール−4−スルホン酸
a−2:p−アミノジフェニルアミン
a−3:アニリン
a’−1:エチレンジオキシチオフェン
b−1:28%アンモニア水
b−2:ピリジン
c−1:ペルオキソ二硫酸アンモニウム
c’−1:トルエンスルホン酸鉄塩
d−1:水
d−2:エタノール
d−3:エチレングリコール
表1において、重合性単量体にエチレンジオキシチオフェン、酸化剤としてトルエンスルホン酸鉄塩を使用した比較例1及び2では、固体電解コンデンサ中のFe含有量が2%と、実施例1〜4と比較すると極めて多いことが明らかである。
したがって、本発明によれば、コンデンサの耐久性を良好なものとすることができる、Fe含有量の少ない固体電解コンデンサが得られる。
1:固体電解コンデンサ素子
2:陽極
3:陰極
4:セパレーター

Claims (3)

  1. 少なくとも下式(1)及び/または(2)で示される重合性単量体(a)と、塩基性化合物(b)とを反応させて得られる重合物の層が形成されたセパレーターを使用した固体電解コンデンサ。
    Figure 2012114249
    (式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br又は−Iであり、nは1〜3の整数である。)
  2. セパレーターを使用した固体電解コンデンサ素子を、下式(1)及び/または(2)で示される重合性単量体(a)と、塩基性化合物(b)と、遷移金属を含まない酸化剤(c)と、溶剤(d)とを含有する、導電性高分子層形成用組成物中に、浸漬する浸漬工程と、溶剤(d)を揮発させると共に重合性単量体(a)と、塩基性化合物(b)とを反応させて得られる重合物の層を形成する重合物形成工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法。
    Figure 2012114249
    (式(1)中、R〜Rは、各々独立に、−H、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br又は−Iであり、nは1〜3の整数である。)
  3. 前記浸漬工程において、導電性高分子層形成用組成物が−5℃以下に冷却されているものである請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
JP2010262039A 2010-11-25 2010-11-25 固体電解コンデンサ及びその製造方法 Pending JP2012114249A (ja)

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