JP2012111735A - 新規レスベラトロール誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、スチルベン類であるレスベラトロールは、ブドウ果皮やピーナッツなどに含まれ、様々な機能性が研究され、注目を浴びている成分である。
前記p−クマル酸、レスベラトロールは共に食経験があり、安全性の高い成分である。
また、p−クマル酸誘導体に関連した先行技術がある。例えば、クマル酸を化学合成させたリグニン類を有効成分とする抗菌剤(特許文献4)、カフェイン酸アミド誘導体又はエステル誘導体を有効成分とするアディポネクチン産生増強剤(特許文献5)、p−クマル酸二量体を原料とした抗菌剤であるベンゾフランカルボキサミド誘導体の合成方法(特許文献6)が挙げられる。
また、前記p−クマル酸やp−クマル酸誘導体は、植物中にも多く含まれていることから、リンゴ、ナシ又はモモの未熟果実の果実ポリフェノールとして、p−クマル酸やp−クマル酸誘導体などを含む酸化防止剤、血圧降下剤、抗変異原性作用剤、アレルギー抑制剤、抗う蝕剤及び消臭剤(特許文献7)が挙げられる。また、p−クマル酸が弱いながらも抗癌活性を有するとの報告もある(非特許文献1)。
また、前記レスベラトロールの誘導体として、天然にはレスベラトロールの重合体、例えばε−ビニフェリン(二量体)、α−ビニフェリン(三量体)、バチカノールC(四量体)等が数々報告されているが、いずれもレスベラトロールと同様に天然の希少成分であり、十分量に供給されることは困難である。
現在の研究で、日常的に摂取できる天然物由来の化合物としては、ルテオリンが知られている。(非特許文献4)
しかし、より抗癌活性が強く、日常的に摂取できる安全な癌、特に口腔癌の治療薬、予防薬の開発が望まれている。
また、本発明は、前記新規レスベラトロール誘導体を含有することを特徴とする抗癌剤さらには食品、医薬品を提供することを目的とする。
〔1〕式(1):
〔2〕前記〔1〕記載の新規レスベラトロール誘導体を含有する抗癌剤
〔3〕前記〔1〕記載の新規レスベラトロール誘導体を含有する口腔癌細胞に対する抗癌剤
〔4〕前記〔1〕記載の新規レスベラトロール誘導体を含有する食品、医薬品または医薬部外品。
〔5〕レスベラトロールとp−クマル酸を金属塩存在下で加熱処理することにより目的の化合物を生成することを特徴とする前記〔1〕記載の新規レスベラトロール誘導体の製造方法
に関する。
また、本発明の新規レスベラトロール誘導体は、前記のような生理活性に優れることに加えて、安全性にも優れることから、食品、医薬品および医薬部外品に配合することができる。
本発明の新規レスベラトロール誘導体は、式(1):
ただし、新規レスベラトロール誘導体の回収率の観点からは、レスベラトロール換算で1重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。
前記レスベラトロールとしては、ブドウ果皮、ピーナッツなどの原料からの抽出物、凍結乾燥品などを使用してもよい。
ただし、新規レスベラトロール誘導体の回収量の観点からは、p−クマル酸が1重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。このような原料としては、様々な果実やジュース、濃縮果汁、又は、破棄されることの多い果皮の抽出物、プロポリス又はその抽出物あるいは前記特許文献8等に記載される先行技術に示されるような微生物発酵によるp−クマル酸含有培養液等が挙げられる。
得られるレスベラトロール、p−クマル酸、またはレスベラトロールとp−クマル酸との混合物を含有する溶液中のレスベラトロールおよびp−クマル酸の濃度に制限はない。それぞれの濃度が高いほど、溶媒使用量が少ない等のメリットもあるため、レスベラトロールおよびp−クマル酸の濃度は各々の溶媒に対しレスベラトロールおよびp−クマル酸がそれぞれ飽和する濃度近辺が好ましい。
また、レスベラトロール、p−クマル酸は前記溶液中において生成反応前に完全に溶解していなくともよい。例えば、レスベラトロール含有溶液とp−クマル酸含有溶液とを混合する場合、それぞれの溶液中のレスベラトロール濃度、p−クマル酸濃度が飽和濃度以上であっても、混合液とした場合には、飽和濃度付近になるように調整しておけばよい。
また、前記金属塩の混合物としては、例えば、ミネラルプレミックス(田辺製薬株式会社、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸カルシウム、グルコン酸銅、リン酸マグネシウムを主成分としたミネラル混合物)のように金属塩を数種類含む物質が挙げられる。また、複数の金属塩を含む混合物として、ミネラルウォーターも挙げることができる。
なお、前記金属塩の含有量としては、新規レスベラトロール誘導体を生成可能な量であればよく、特に限定はない。
また、安全な原料のみを用いた工程で新規レスベラトロール誘導体を製造した場合には、前記新規レスベラトロール誘導体を含む混合物の状態で食品、医薬品または医薬部外品に使用することが可能である。例えば、天然由来のレスベラトロール、p−クマル酸を含水エタノール溶媒に溶解し、ミネラルウォーターやミネラルプレミックスを用い、加熱処理した場合には、得られる反応液を食品原料の一つとして使用することが可能である。
例えば、食品の場合には、水、アルコール、澱粉室、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料または素材と組み合わせることができる。
医薬部外品の場合には、主剤、基材、界面活性剤、起泡剤、湿潤剤、増粘剤、透明剤、着香料、着色料、安定剤、防腐剤、殺菌剤等組み合わせ、常法に基づいて、液状、軟膏状あるいはスプレー噴射可能な最終形態等にすることができる。
特に、本発明の新規レスベラトロール誘導体の生理活性分野を考慮すると、癌予防・癌治療等の健康維持増進、さらには疾病治癒分野において用いることが好ましい。
トランス−レスベラトロール(東京化成工業(株)製)100mg、p−クマル酸(和光純薬工業(株)製)100mgをエタノール2mLに溶解し、(1)ミネラルウォーター(商品名「ゲロルシュタイナー」サッポロ飲料(株)製)2mL、(2)ミネラルプレミックス100mg、水2mL、(3)リン酸マグネシウム・3水和物(和光純薬工業(株)製、ミネラルプレミックスの主成分)100mg、水2mLをそれぞれ加えて、レスベラトロール、p−クマル酸含有溶液(pH:(1)4.6、(2)5.0、(3)5.2)を得た。このレスベラトロール、p−クマル酸含有溶液をオートクレーブ(SANYO LABO AUTOCLAVE)にて130℃、30分間加熱した。得られた反応溶液のうち1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
なお、図中、Aのピークは、p−クマル酸の分解物であり、それ以外で、顕著な差があったのが、Bのピークである。特に、ミネラルウォーターを用いた(1)の反応溶液においてBのピークが最も多くなった。
トランス−レスベラトロール1g、p−クマル酸1gをエタノール20mLに溶解し、ミネラルウォーター20mLを加えて、レスベラトロール、p−クマル酸含有溶液(pH=4.6)を得た。このレスベラトロール、p−クマル酸含有溶液をオートクレーブにて130℃、90分間加熱した。得られた反応溶液のうち1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析し、実施例1と同様のクロマトグラムが確認できた。
実施例2で得られた反応物のうち、図1のBで示したピークに含まれる化合物を分取HPLCにより単離し、常法により乾燥したところ新規化合物(以下UHA9021)を110mg得た。単離精製したUHA9021は、褐色粉末状物質となった。
理論値C22H20O4(M+):348.3918
分子式C22H20O4
(性状)
褐色粉末
(溶解性)
水:難溶
メタノール:溶解
エタノール:溶解
DMSO:溶解
クロロホルム:溶解
酢酸エチル:溶解
次に癌細胞に対する各化合物の効果を見るため、「SCC−4細胞」(ヒト口腔癌細胞細胞、ATCC)を用いた癌細胞増殖抑制作用について試験した。
レスベラトロール100mg、p−クマル酸100mg、エタノール2mL、ミネラルウォーター2mLの混合溶液(pH=4.6)を、オートクレーブにて70℃、90℃、110℃、130℃の各温度条件で20分間加熱した。それぞれの温度条件で得られた反応後組成物1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析した。
ブドウ果皮抽出エキスパウダー(レスベラトロール原料)10g、プロポリスエキス(p−クマル酸原料)10g、エタノール10mL、ミネラルウォーターを10mL加えて調製した混合溶液を、オートクレーブにて130℃、60分間加熱した。得られた反応溶液を減圧加熱させて乾固し、UHA9021含有エキスを13g得た。得られたUHA9021エキス13g中には、実施例3と同様の手法で確認したところUHA9021が0.095g含有されていた。必要に応じてこの作業を繰り返した。
実施例6で得たUHA9021含有エキス1gをあらかじめ100mLのエタノールに溶解させ、これに砂糖500g、水飴400gを混合溶解し、生クリーム100g、バター20g、練乳70g、乳化剤1.0gを混合した後、真空釜にて−550mmHg減圧させ、115℃の条件下で濃縮し、水分値3.0重量%のミルクハードキャンディを得た。このミルクハードキャンディは、菓子として食べ易いものであることはもちろん、癌患者における癌の拡散のリスクを低減したり、癌の発症のリスクを低減したり、癌の予防を期待した機能性食品としても利用できる。
実施例2、3と同様の方法で得たUHA9021をエタノールに溶解し、これを微結晶セルロースに吸着させた後に、減圧乾燥させた。これを常法に従い、打錠品を得た。処方は、UHA9021を10重量部、コーンスターチ23重量部、乳糖12重量部、カルボキシメチルセルロース8重量部、微結晶セルロース32重量部、ポリビニルピロリドン4重量部、ステアリン酸マグネシウム3重量部、タルク8重量部の通りである。本打錠品は、癌治癒を目的とする医薬品として有効に利用できる。
実施例2、3の方法で得たUHA9021 1.2gを10mLのエタノールに溶解し、タウリン20g、ビタミンB1硝酸塩0.12g、安息香酸ナトリウム0.6g、クエン酸4g、砂糖60g、ポリビニルピロリドン10gを全て精製水に溶解させ、1000mLにメスアップした。なお、pHは、希塩酸を用いて3.2に調整した。得られた溶液1000mLのうち50mLをガラス瓶に充填し、80℃で30分間滅菌して、医薬部外品であるドリンク剤を完成させた。本ドリンク剤は、栄養補給の目的に加えて、癌患者における癌の拡散のリスクを低減したり、癌の発症のリスクを低減したり、癌の予防を目的とする医薬部外品として有効に利用できる。
Claims (5)
- 請求項1記載の新規レスベラトロール誘導体又はその薬学的に許容可能な塩、エステル若しくはエーテルを含有する抗癌剤。
- 請求項1記載の新規レスベラトロール誘導体又はその薬学的に許容可能な塩、エステル若しくはエーテルを含有する口腔癌細胞に対する抗癌剤。
- 請求項1記載の新規レスベラトロール誘導体又はその薬学的に許容可能な塩、エステル若しくはエーテルを含有する食品、医薬品または医薬部外品。
- レスベラトロールとp−クマル酸を金属塩存在下で加熱処理することにより、目的の化合物を生成することを特徴とする請求項1記載の新規レスベラトロール誘導体又はその薬学的に許容可能な塩、エステル若しくはエーテルの製造方法。
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US10338061B2 (en) | 2013-07-12 | 2019-07-02 | Young Ah Kwon | Method for diagnosis of diseases using morphological characteristics of luterial |
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