JP5998613B2 - 新規ケルセチン誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、新規ケルセチン誘導体の製造方法、及び新規ケルセチン誘導体を含有する抗炎症剤ならびに抗癌剤に関するものである。
タマネギやエシャロットの鬼皮に多く含まれているケルセチンは、フラボノイドの1種であり、非常に多くの果実や野菜中には配糖体の形で含まれている。その作用として、抗酸化作用を始め、抗アレルギー、抗がん、循環器疾患や高血圧、糖尿病等メタボリックシンドロームなど、様々な症状に効果を及ぼす報告がある(非特許文献1)。ケルセチン自身にも抗炎症作用が見られ、TNF−α産生抑制作用があることが報告されている(非特許文献2)。さらに、ケルセチンには癌細胞のDNAを損傷し、アポトーシスを引き起こす形での抗がん活性のみならず、抗がん剤の排出遺伝子の発現を阻害し、薬剤の効果を高める報告もある(特許文献1)。
ケルセチンは、上記のような有用性を有することから、その抽出方法ついてもいくつか検討されており、例えば、特許文献2では還元性物質存在下にて玉葱の薄皮抽出物中のケルセチン含有量を増大させる方法が開示されており、また、特許文献3では低級アルコールを用い安価にケルセチンを抽出する方法が報告されている。その他、特許文献3、4では微生物を用いた発酵法によるケルセチン含有量の増加が試みられている。しかし、いずれの報告も、風味を良好にした結果の副産物として、含有するケルセチン量が増大したものや、ケルセチン及びその配糖体の含量を増大させることに注目したものであり、ケルセチンの高機能化を試みたものではない。
一方、シナピン酸は植物の二次代謝産物の一つであり、樹木の主成分であるリグニンやリグナンの前駆体として植物界に多く存在する成分である。例えばリンゴなどの果実や、小麦などの穀物などに含まれている。また、シナピン酸の前駆体がアブラナ科の植物に多く含まれている。
シナピン酸やシナピン酸誘導体の有用性としては、例えば、シナピン酸を含有する抗菌剤(特許文献5)、シナピン酸におけるげっ歯類の脳保護効果および認知改善効果(非特許文献3)、シナピン酸誘導体を有効成分とする脳機能改善剤(特許文献6)、シナピン酸を有効成分とする抗酸化剤(特許文献7)、ジヒドロシナピン酸を有効成分とする抗酸化剤および発癌予防剤(特許文献8)などが知られている。
このように、ケルセチンやシナピン酸は食経験の豊かな天然物質であり、生体調節機能に優れた安全な化合物である。よって多岐に渡る各々の誘導体についての取り組みも多い。
シナピン酸、ケルセチン、それらの誘導体を、原料やリード化合物として、効率的に製造する技術も提案されている。例えば、ヒドロキシけい皮酸誘導体の製造方法(特許文献9)、キノベオン製造方法(特許文献10)、フェノール酸糖エステルの製造法(特許文献11)、キノリノン配糖体の製造方法(特許文献12)、酵素法によるフェルラ酸エステル類化合物の製造方法(特許文献13)、けい皮酸誘導体の酵素合成法(特許文献14)等が知られている。
近年、生活スタイルの変化や、ストレスの増大などに起因し、化学物質過敏症、花粉症、アトピー性皮膚炎、乾癬など炎症性疾患の罹患患者数が増大傾向にある。
これら炎症性疾患の多くはヒト腫瘍壊死因子(Human Tumor Necrosis Factor−α:hTNF−α)に代表される内因性サイトカインの異常産生が原因であることが知られており、有用な抗炎症剤についていくつか提案されている。例えば、特許文献15や特許文献16ではイヌカラマツ、タブノキなどの樹木からの抽出物を有効成分とする抗炎症剤を提案されており、特許文献17では抗炎症作用のあるペプチド又はその酸付加塩、及び、担体を含む抗炎症剤、特許文献18ではビチス(Vitis)属に属する植物の種子、サビアナタケ(Fuscoporia)属に属するきのこ、マルス(Malus)属に属する植物の果皮の抽出物を有効成分とするタイプ2ヘルパーT細胞型サイトカイン産生抑制剤、特許文献19では柿の葉、ヨモギ、杉の葉、ミント、ヘチマ、シラカバ、ブドウ種子、アマチャヅル、ギムネマ、グアバ、クコ、クマザサ、ジャスミン、スギナ、ドクダミ、ハトムギ、ビワの葉、モロヘイヤ、ウド、サフラン、クワ、ラフマ、ベニバナ、トチュウ、スズラン、ゼンマイ等の植物から抽出されるフラボノイド化合物を有効成分とするTh2サイトカイン発現抑制剤が提案されている。
また、ライフスタイルの変化は日本人の死亡原因の変化ももたらし、厚生労働省の統計によると、悪性新生物が死亡原因である例が昭和56年以降死因の第一位を占め続け、現在なおその死亡原因に対する割合が上昇し続けている。すなわち、癌細胞の増殖を抑え、発症を予防することがよりよい生活を送る為に求められている。日常的に摂取が可能な抗癌活性を持つ天然物由来化合物としては前記ケルセチンを初めとしたフラボノイド類が一般的である(非特許文献4)。
しかしながら、例えば植物由来の抽出物については、日常的に摂取することは可能である一方、抗炎症活性、抗癌活性のいずれも、当該活性をもたらす物質の効果が十分とはいえず、被食経験を有する原料よりもたらされる、より高い活性を持ち合わせた物質が求められている。
特許第2514500号公報 特許第4313961号公報 特許第4038537号公報 特許第4031637号公報 特開平7−194356号公報 特開平7−179338号公報 特開2000−256260号公報 特開2003−95976号公報 特開2003−55314号公報 特許第3337251号公報 特開平9−322794号公報 特開平11−269191号公報 特開2007−10号公報 特開2009−207492号公報 特開2000−226323号公報 特許第4315255号公報 特許第4278028号公報 特開2004−75619号公報 特開2001−114686号公報
Alternative Medicine Review 16(2) 172−194 Drug Discovery Today,11(15),2006 唐木田 文仁,金沢大学十全医学会雑誌 第117巻 第1号 2−9(2008) Medical Research Reviews,23(4),519−534(2003)
本発明者らは、ケルセチンやシナピン酸やこれらの誘導体に関する前記の状況を鑑みて、より優れた生理活性を有する化合物の探索と、その製造方法を確立すべく鋭意検討した結果、意外にもケルセチンとシナピン酸を金属塩存在下で加熱処理するという簡便且つ安全な方法により、ケルセチン、シナピン酸に比べて優れた抗炎症活性、抗癌活性を有する新規なケルセチン誘導体を製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、ケルセチン、シナピン酸と比べて優れた抗炎症作用および抗癌作用を有する新規ケルセチン誘導体を提供し、さらに該新規ケルセチン誘導体を、効率よく、安全に生成する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記新規ケルセチン誘導体を含有することを特徴とする、抗炎症剤および抗癌剤を含有する食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
〔1〕式(1):
Figure 0005998613
で表される新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩、
〔2〕前記〔1〕記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする抗炎症剤、
〔3〕前記〔1〕記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする抗癌剤、
〔4〕前記〔1〕記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする食品、
〔5〕前記〔1〕記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする化粧品、
〔6〕前記〔1〕記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする医薬品又は医薬部外品、
〕ケルセチンとシナピン酸を金属塩存在下で加熱処理することにより、目的の化合物を生成することを特徴とする前記〔1〕記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法
に関する。
本発明で用いる新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩(以下、新規ケルセチン誘導体という)は、前駆物質であるケルセチン、シナピン酸と比べて、抗炎症作用および抗癌作用に優れていることから、新規な抗炎症剤および抗癌剤として有用である。
本発明の新規ケルセチン誘導体は、食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品に好適に使用することができる。
図1は、実施例1で得られたクロマトグラムを示している。上から、反応前のクロマトグラム、(1)金属塩としてミネラルウォーターを用いたクロマトグラム、(2)リン酸三マグネシウム八水和物(ミネラルプレミックスの主成分)を用いたクロマトグラムを用いたクロマトグラムを示している。図中、Aのピークは本発明の新規ケルセチン誘導体を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる新規ケルセチン誘導体は、
式(1):
Figure 0005998613
で表される化合物である。
前記新規ケルセチン誘導体の薬学的に許容可能な塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アルミニウムヒドロキシド塩等の金属ヒドロキシド塩;アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキレンジアミン塩、シクロアルキルアミン塩、アリールアミン塩、アラルキルアミン塩、複素環式アミン塩等のアミン塩;α−アミノ酸塩、ω−アミノ酸塩等のアミノ酸塩;ペプチド塩又はそれらから誘導される第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミン塩等が挙げられる。これらの薬理的に許容可能な塩は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記新規ケルセチン誘導体は、ケルセチン、シナピン酸などの原料化合物を金属塩存在下で加熱処理することで得られる。
前記原料化合物のケルセチンは、天然由来のものであっても、化学合成された純度の高い化成品であっても良い。天然由来の原料化合物としては、完全に精製されたものである必要はなく、各原料化合物を含む混合物も使用できる。また、前記原料化合物には塩類も含まれるが、本発明では、これらの誘導体も原料として使用することができる。
前記原料化合物の塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の塩類が挙げられる。
ただし、前記新規ケルセチン誘導体の生成効率や回収率を高める観点からは、前記原料化合物合計で5重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。このような原料としては、例えば玉葱鬼皮や、エシャロット鬼皮、柑橘類等の原料からの抽出物や凍結乾燥品等を使用しても良い。
また、本発明の製造方法では、前駆体としてシナピン酸も必要である。シナピン酸は、天然由来のものであっても、化学合成された純度の高い化成品であっても良い。天然由来のシナピン酸を用いる場合は、完全に精製されたものである必要はなく、後述のように所望の生成反応が進み最終的に本発明の新規ケルセチン誘導体が得られるのであれば、シナピン酸以外の成分を含む混合物も使用できる。
ただし、新規ケルセチン誘導体の回収量の観点からは、シナピン酸換算で5重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。このような原料としては、例えば、リンゴ果実、アブラナ等の原料からの抽出物、凍結乾燥品等を使用してもよい。
本発明の製造方法では、ケルセチン、シナピン酸、またはケルセチンとシナピン酸との混合物を適切な溶媒に溶解させる。この際、溶媒が水のみであれば、ケルセチンやシナピン酸の水への溶解度が著しく低いために、水と有機溶媒の混合液や、有機溶媒のみに溶解させればよい。水と有機溶媒の配合比や、有機溶媒の種類については特に制限はなく、ケルセチンやシナピン酸が十分に溶解すれば良い。中でも、メタノールやエタノールのみの溶媒や、水とメタノール、水とエタノール等の混合液を使用することが、安全性やコスト面から好ましい。新規ケルセチン誘導体を含む反応後組成物に対して最終的な精製を十分に適用せずにその組成物を食品に使用する場合には、安全性や法規面から溶媒としてエタノールや含水エタノールを使用することが望ましい。
得られるケルセチン、シナピン酸、またはケルセチンとシナピン酸との混合物を含有する溶液中のケルセチンおよびシナピン酸の濃度について特に制限はないが、それぞれの濃度が高いほど、溶媒使用量が少ない等のメリットもあるため、ケルセチンおよびシナピン酸の濃度は各々の溶媒に対しケルセチンおよびシナピン酸がそれぞれ飽和する濃度近くが好ましい。
また、ケルセチン、シナピン酸は前記溶液中において生成反応前に完全に溶解していなくともよい。例えば、ケルセチン含有溶液とシナピン酸含有溶液とを混合する場合、それぞれの溶液中のケルセチン濃度、シナピン酸濃度がともに飽和濃度以上であっても、混合液とした場合には、飽和濃度近くになるように調整しておけばよい。
本発明では、原料化合物を反応させて目的の新規ケルセチン誘導体を得るために、前記原料化合物を含有する溶液(以下、原料溶液)に金属塩を添加する。
前記金属塩としては、酸性塩、塩基性塩、正塩のいずれでもよく、また、単塩、複塩、錯塩のいずれでもよい。さらに、金属塩は1種類であっても、複数種類の混合物であってもよい。金属塩の例としては、食品添加物として認可されているものが安全性の面で好ましい。例えば、食品に添加することが認められているマグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩等が挙げられる。
また、前記金属塩の混合物としては、例えば、ミネラルプレミックス(田辺製薬株式会社、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸カルシウム、グルコン酸銅、リン酸マグネシウムを主成分としたミネラル混合物)のように金属塩を数種類含む混合物が挙げられる。また、複数の金属塩を含む混合物として、ミネラルウォーターも挙げることができる。
なお、前記原料溶液中における前記金属塩の含有量としては、目的の新規ケルセチン誘導体を生成可能な量であればよく、特に限定はない。
前記金属塩存在下であれば、酸性条件下で、新規ケルセチン誘導体を生成する反応は進む。
ただし、得られる新規ケルセチン誘導体の使用目的や精製、単離作業の有無、食品に添加する場合には味の面等を考慮して、適宜反応条件を選択することが望ましい。
次に、金属塩存在下で、前記原料溶液を加熱処理する。この加熱処理により、目的の新規ケルセチン誘導体の生成反応を行う。前記生成反応を効率的に進ませるために、前記原料溶液の加熱温度は90℃以上に調整することが好ましい。また、使用する溶媒の沸点から考えて、加圧加熱を行うことが望ましい。例えば、開放容器に原料溶液を入れ、溶媒の沸点を超える高温で前記容器を加熱する、密閉容器に原料溶液を入れて前記容器を加熱する、レトルト装置やオートクレーブを用いて加圧加熱する等、少なくとも部分的に溶液温度が110℃以上に達するように加熱することが好ましい。目的の新規ケルセチン誘導体の生成効率及び回収効率を高める点から、溶液温度が均一に110℃〜150℃になることが、さらに好ましい。加熱時間も加熱温度と同様に限られたものではなく、効率的に目的の反応が進行する時間条件とすればよい。特に、加熱時間は加熱温度と溶媒量の兼ね合いによるものであり、加熱温度、溶媒量に応じた加熱時間にすることが望ましい。例えば、130℃付近で原料溶液を加熱する場合は、溶液温度が130℃になってから、5分〜6時間の加熱を行うことが好ましい。また、加熱は、一度でも良いし、複数回に分けて繰り返し加熱しても良い。複数回に分けて原料溶液を加熱する場合、溶媒のみ又は金属塩を含有する溶媒を新たに追加して行うことが好ましい。
前記加熱処理による新規ケルセチン誘導体の生成反応の終了は、例えば、後述の実施例に記載するHPLCによる成分分析により新規ケルセチン誘導体の生成量を確認して判断すればよい。
また、安全な原料のみを用いた工程で前記新規ケルセチン誘導体を製造した場合には、前記新規ケルセチン誘導体を含む混合物の状態で後述のように食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品に使用することが可能である。例えば、天然由来の原料化合物を含水エタノール溶媒に溶解し、ミネラルウォーターやミネラルプレミックスを用い、加熱処理した場合には、得られる液状の反応物を食品原料の一つとして使用することが可能である。
また、風味の改良やさらなる高機能化を望む場合は、前記反応物を濃縮して新規ケルセチン誘導体の濃度を高める、あるいは前記反応物を精製し新規ケルセチン誘導体の純品を得ることができる。前記濃縮や精製は、公知の方法で実施可能である。例えば、クロロホルム、酢酸エチル、エタノール、メタノール等の溶媒抽出法や炭酸ガスによる超臨界抽出法等で抽出して新規ケルセチン誘導体を濃縮できる。また、カラムクロマトグラフィーを利用して濃縮や精製を施すことも可能である。また、前記濃縮や精製には、再結晶法や限外ろ過膜等の膜処理法も使用できる。
前記新規ケルセチン誘導体を前記反応物から分離して回収する場合には、カラムクロマトグラフィー、HPLC等を用いてもよい。
また、前記濃縮物や精製物を、必要に応じて、減圧乾燥や凍結乾燥して溶媒を除去することで、粉末状の固形物を得ることができる。
本発明で使用する原料化合物の安全性は、すでに一般的に確認されていることから、本発明で得られる新規ケルセチン誘導体の安全性も同様に優れたものであると考えられる。
以上のようにして得られる新規ケルセチン誘導体はいずれも、原料であるケルセチン、シナピン酸に比べて、より強い抗炎症作用および抗癌作用を有する。
したがって、前記新規ケルセチン誘導体を有効成分として含有する抗炎症剤および抗癌剤を提供することができる。
前記抗炎症剤および抗癌剤は、前記新規ケルセチン誘導体のみを含有していてもよいが、前記新規ケルセチン誘導体をエタノール又はエタノール含有水溶液などの溶媒に溶解した液剤としたり、公知の方法で乳剤、懸濁剤としたりしてもよい。前記抗炎症剤中の前記新規ケルセチン誘導体の含有量は、0.001重量%以上であればよい。
また、本発明の新規ケルセチン誘導体は、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品等に配合して使用することもできる。
前記食品としては、例えば、飲料、アルコール飲料、ゼリー、菓子等、どのような形態のものでもよい。菓子類としては、その容量等から保存や携帯に優れた、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット等が挙げられるが、特に限定はない。また、新規ケルセチン誘導体は後述のように、抗炎症作用を有することから、慢性的炎症の軽減、それに伴うメタボリックシンドロームの予防効果などを目的に、容易に摂取できるハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレットなどにすることもできる。なお、食品には、機能性食品、健康食品、健康志向食品等も含まれる。
前記化粧品としては、クリーム、ローション、溶液、エアゾル、石鹸、シャンプー、リンス、洗顔クリーム等のスキンケア用品を例示できる。
前記医薬品としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、ゲル剤等が挙げられる。錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施したりしてもよいし、胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、前記の製剤に公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、液剤を注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
前記医薬部外品としては、例えば、歯磨き、マウスウオッシュ、マウスリンス、また、ドリンク剤等が挙げられる。
本発明の新規ケルセチン誘導体を用いて食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品を調製する場合、本発明の効果が損なわれない範囲内で食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品に通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。
例えば、食品の場合には、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料又は素材と組み合わせることができる。
化粧品、医薬品又は医薬部外品の場合には、主剤、基材、界面活性剤、起泡剤、湿潤剤、増粘剤、透明剤、着香料、着色料、安定剤、防腐剤、殺菌剤等と組み合わせ、常法に基づいて、液状、軟膏状あるいはスプレー噴射可能な最終形態等にすることができる。
本発明の新規ケルセチン誘導体を食品に添加する場合には、該食品中に対して、通常は0.001〜20重量%添加することが好ましい。
本発明の新規ケルセチン誘導体を医薬用途で使用する場合、例えば、その摂取量は、所望の改善、治療又は予防効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。1日当たり約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
本発明の新規ケルセチン誘導体を化粧品又は医薬部外品に添加する場合には、該医薬部外品中に、通常0.001〜30重量%添加するのが好ましい。
また、本発明の新規ケルセチン誘導体は、安全性に優れたものであるので、ヒトに対してだけでなく、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤又は飼料に配合してもよい。飼料としては、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ニワトリ等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、イヌ、ネコ、小鳥、リス等に用いるペットフードが挙げられる。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1:新規ケルセチン誘導体の生成方法検討)
ケルセチン二水和物(東京化成工業(株)製)100mg、シナピン酸(和光純薬工業(株)製)100mgをエタノール2mLに溶解し、(1)ミネラルウォーター(商品名「ゲロルシュタイナー」サッポロ飲料(株)製)2mL、(2)リン酸三マグネシウム八水和物(和光純薬工業(株)製、ミネラルプレミックスの主成分)100mg、水2mLをそれぞれ加えて、ケルセチン、シナピン酸含有溶液(pH:(1)4.9、(2)5.5)を3種類調製した。このケルセチン、シナピン酸含有溶液をオートクレーブ(三洋電機(株)製、「SANYO LABO AUTOCLAVE」)にて130℃、30分間加熱した。得られた反応溶液からそれぞれ1mLを取り出して、メタノールにて50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。
HPLC分析は以下条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):100%A/0%Bから0%A/100%Bまで33分間、100%Bで7分間(全て直線)
得られたクロマトグラムを図1に示す。上から、反応前、(1)、(2)の反応溶液のクロマトグラムをそれぞれ示している。反応後には、ケルセチンやシナピン酸以外のピークが検出され、複数の化合物が生成されていることが確認された。
反応前後で生成量に顕著な差があったのが、後述する新規ケルセチン誘導体であるAのピークである。なお、(1)、(2)両方ともAのピークは確認できたが、生成効率としては(1)の方が良かった。これは、金属塩の溶媒への溶解度の差が出た可能性がある。
(実施例2:新規ケルセチン誘導体の大量生成)
ケルセチン二水和物1g、シナピン酸1gをエタノール20mLに溶解し、ミネラルウォーター20mLを加えて、ケルセチン、シナピン酸含有溶液(pH=4.9)を得た。このケルセチン、シナピン酸含有溶液をオートクレーブにて130℃、180分間加熱した。得られた反応溶液のうち1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析したところ、実施例1と同様のクロマトグラムが確認できた。
(実施例3:新規ケルセチン誘導体の単離・構造決定)
実施例2で得られた反応物のうち、図1のAで示したピークに含まれる化合物を分取HPLCにより単離し、常法により乾燥したところ、新規化合物(以下UHA2037)を172mg得た。単離精製したUHA2037は、黄色粉末状の物質であった。
次いで、前記UHA2037の分子量を高分解能Negative−FAB−MS(Fast Atom Bombardment−Mass Spectrometry)にて測定したところ、測定値は481.4275であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
理論値C25H21O10(M−H-):481.4282
分子式C252210
次に、前記UHA2037を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、1H−NMR、13C−NMR及び各種2次元NMRデータの解析から、前記UHA2037が式(1)で表される構造を有することを確認した。式(1)で表される新規ケルセチン誘導体は本発明の方法で効率的に生成できることが示された。
NMR測定値について、UHA2037を
Figure 0005998613
として、その1H核磁気共鳴スペクトル、13C核磁気共鳴スペクトルを表1に示す。
値はδ、ppmで、溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO−d6)で測定した。
Figure 0005998613
また、UHA2037の物理化学的性状は、以下のようになった。
(性状)
黄色粉末
(溶解性)
水:難溶
メタノール:溶解
エタノール:溶解
DMSO:溶解
クロロホルム:溶解
酢酸エチル:溶解
(実施例4:加熱温度によるUHA2037の生成量の違い)
ケルセチン二水和物100mg、シナピン酸100mg、エタノール2mL、ミネラルウォーター2mLの混合溶液(pH=4.9)を、オートクレーブにて70℃、90℃、110℃、130℃の各温度条件で20分間加熱した。それぞれの温度条件で得られた反応後組成物1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析した。
その結果、110℃以上でUHA2037の生成は確認できた。ケルセチンおよびシナピン酸の合計量からの生成比率(重量%)は、70℃、90℃が非生成、110℃が極微量、130℃が6.5%となり、130℃での加熱がもっとも多くUHA2037を生成していた。
(実施例5:UHA2037の抗炎症作用の検討)
THP−1細胞(ヒト単球性白血病細胞)を4mMグルタミン(L−Glutamine シグマアルドリッチジャパン社製)、10%ウシ胎児血清(Foetal Bovine Serum:FBS Biological industries社製)、0.1μMホルボールエステル(PMA)(シグマアルドリッチジャパン社製)を含むRPMI−1640培地(シグマアルドリッチジャパン社製)中にて5%CO2、37℃、24時間培養し、単球・マクロファージに分化誘導した。分化誘導後、ケルセチン、シナピン酸、実施例2,3で得られたUHA2037を各0.37〜30μMとなるように添加し、さらにリポ多糖(Lipopolysaccharide:LPS、Alexis社)を100ng/mLの終濃度で添加し48時間培養を行った。
培養上清中のヒト腫瘍壊死因子α(hTNF−α)はELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay:酵素免疫測定法)にて測定を行い、比較した。
前記ELISAは、マキシソープ・イムノプレート(96ウェルタイプ、NUNC製)を用いて行った。抗ヒトTNF−α抗体(abcam社)を5μg/mLとなるようにPBS(−)バッファー(組成:塩化ナトリウム137mM,リン酸水素二ナトリウム8.1mM,塩化カリウム2.7mM,リン酸二水素カリウム1.5mM)で調整し、50μLずつ各ウェルにアプライした。4℃で1晩静置後、PBS(−)バッファーで各ウェルを400μL×3回で洗浄し、20%イムノブロックを含むPBS(−)バッファー300μLを各ウェルにアプライした。25℃で2時間静置した後に、PBS(−)バッファーで各ウェルを400μL×3回で洗浄し、各培養上清を50μLずつ各ウェルにアプライした。4℃で1時間静置した後に、PBS(−)バッファーで各ウェルを400μL×3回で洗浄し、抗ヒトTNF−α抗体(abcam社)を0.5μg/mLとなるようにPBS(−)/0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)で調整し、各ウェルにアプライした。25℃で1時間静置した後に、PBS(−)バッファーで各ウェルを400μL×3回で洗浄し、抗ウサギIgG抗体(HRP標識)をPBS(−)/0.1% BSAで適当量希釈し、50μLずつ各ウェルにアプライした。室温で1時間の静置後、PBS(−)バッファーで各ウェルを400μL×5回で洗浄し、3,3’,5,5’−テトラメチルベンヂジン(TMB)ペルオキシダーゼ−酵素免疫測定(EIA)−基質−キット試薬(Bio−rad社製)を50μLずつ各ウェルにアプライした。適当な反応時間後に、0.5M 硫酸を25μLずつ各ウェルにアプライして反応を停止させた。最終的に450nmで検出を行い、TNF−α産生量を比較した。これらから得られたデータを基に算出したTNF−α産生阻害率と各化合物濃度の関係から、TNF−αの産生を50%阻害する濃度IC50(50%阻害濃度:half maximal inhibitory concentration)を算出した(表2)。
その結果、ケルセチン、シナピン酸添加時と比較して、UHA2037添加時のTNF−α産生量が有意に抑制されていることが見いだされ、抗炎症作用を有するケルセチンと比べ、極めて強い抗炎症作用を有することが示された。したがって、ケルセチンとシナピン酸を新規ケルセチン誘導体に変換する高い有意性が示された。
Figure 0005998613
(実施例6:UHA2037のヒト骨髄球性白血病細胞に対する抗癌作用)
HL−60細胞(Human promyelocytic leokemia cells:ヒト骨髄球性白血病細胞)を用いた癌細胞増殖抑制作用について試験した。細胞の培養としては、4mMグルタミン、10%FBSを含む高栄養培地RPMI−1690を培養液とし、継代培養を行った。試験は細胞培養用96ウェルプレート(コーニングジャパン(株)製)を用いた。試験当日にHL−60細胞を5×105cell/mLとなるように細胞数を調整し、96ウェルプレートに、1ウェルあたり100μLずつ播種した。
試料調整については、実施例2,3より得られたものをDMSO(Dimethyl sulfoxide:DMSO、和光純薬工業(株)製)にて溶解し、これを6.3〜100μMとなるようにHL−60細胞の培養液に懸濁し、試験を開始した。試料の種類は、UHA2037に加え、ケルセチン、シナピン酸、さらに、ネガティブコントロールとしてDMSOを用いた。
生存細胞数の定量は「Cell counting kit−8」((株)同人化学研究所製)を用いてMTT法にて検出を行った。つまり、試験開始より24時間後、各ウェルにCell counting kit−8溶液を10μL添加し、よく攪拌した。37℃、5%CO2条件下で1時間の遮光反応を行った。その後にプレートリーダー(「BIO−RAD Model 680」、バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)を用いて測定波長450nmの吸光度測定を行い、得られたデータをもとに細胞生存率を算出した。細胞生存率とは、溶媒であるDMSOのみを添加した培養液の生存細胞数を100%とし、各化合物の濃度下における細胞の生存細胞数を相対値として算出した値である。各化合物濃度と細胞生存率の関係から、細胞増殖を50%抑制する濃度IC50(50%阻害濃度)を算出した。結果を表3に示す。これらの結果から、UHA2037のIC50が最も低かったことから、強い癌細胞増殖抑制能が認められた。
UHA2037は、前駆物質のケルセチンやシナピン酸よりも、細胞生存率が低く、HL−60細胞の増殖を抑制する効果がより高いことが示唆され、ケルセチンとシナピン酸を新規ケルセチン誘導体に変換する高い有意性が示された。
Figure 0005998613
(実施例7:UHA2037含有エキスの調製)
玉葱鬼皮抽出エキスパウダー(ケルセチン含有素材)10g、りんご濃縮7倍果汁(シナピン酸含有素材)15g、エタノール10mL、ミネラルウォーター10mLを加えて調製した混合溶液(pH=3.5)を、オートクレーブにて130℃、180分間加熱した。得られた反応溶液を減圧加熱させて乾固し、UHA2037含有エキスを20g得た。得られたUHA2037含有エキス20g中には、実施例3と同様の手法で確認したところUHA2037が0.056g含有されていた。必要に応じてこの作業を繰り返した。
(実施例8:UHA2037を含有する食品)
実施例7で得たUHA2037含有エキス1gをあらかじめ100mLのエタノールに溶解させ、これに砂糖500g、水飴400gを混合溶解し、生クリーム100g、バター20g、練乳70g、乳化剤1.0gを混合した後、真空釜にて−550mmHg減圧させ、115℃の条件下で濃縮し、水分値3.0重量%のミルクハードキャンディを得た。このミルクハードキャンディは、菓子として食べ易いものであることはもちろん、癌患者における癌の拡散のリスクを低減したり、癌の発症のリスクを低減したり、癌の予防を期待した機能性食品としても利用できる。
(実施例9:UHA2037を含有する医薬品)
実施例7と同様の方法で得たUHA2037含有エキスをエタノールに溶解し、これを微結晶セルロースに添加して吸着させた後に、減圧乾燥させた。この吸着物を用いて常法に従い、打錠品を得た。処方は、UHA2037含有エキスを10重量部、コーンスターチ23重量部、乳糖12重量部、カルボキシメチルセルロース8重量部、微結晶セルロース32重量部、ポリビニルピロリドン4重量部、ステアリン酸マグネシウム3重量部、タルク8重量部の通りである。本打錠品は、癌の治癒を目的とする医薬品として有効に利用できる。
(実施例10:UHA2037を含有する化粧品)
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット1重量部、ポリオキシエチレンステアリルエーテル0.5重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ピルビン酸0.5重量部、ステアリルアルコール0.5重量部、アボガド油1重量部、実施例7で得たUHA2037含有エキス0.1重量部を混合し、常法に従って溶解させ、これに、乳酸ナトリウム1重量部、プロピレングリコール5重量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部、ごく少量の香料及び精製水89.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけて乳化して、乳液を得た。本乳液は、UHA2037を含有することから、乾癬やアトピー性皮膚炎の皮膚疾患治療や予防効果をもつ薬用化粧品として有効に利用できる。
(実施例11:UHA2037を含有する医薬部外品)
実施例7で得たUHA2037含有エキス1.2gを10mLのエタノールに溶解し、これにタウリン20g、ビタミンB1硝酸塩0.12g、安息香酸ナトリウム0.6g、クエン酸4g及びポリビニルピロリドン10gを溶解した精製水を混合した後、精製水で1000mLにメスアップした。なお、pHは、希塩酸を用いて3.2に調整した。得られた溶液1000mLのうち50mLをガラス瓶に充填し、80℃で30分間加熱滅菌して、医薬部外品であるドリンク剤を完成させた。本ドリンク剤は、栄養補給の目的に加えて、炎症性サイトカインの異常産生を治癒することを目的とする医薬部外品として有効に利用できる。

Claims (7)

  1. 式(1):
    Figure 0005998613
    で示される新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩。
  2. 請求項1に記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする抗炎症剤。
  3. 請求項1に記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする抗癌剤
  4. 請求項1に記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有する食品。
  5. 請求項1に記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有する化粧品。
  6. 請求項1に記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩を含有する医薬品又は医薬部外品。
  7. ケルセチンとシナピン酸を金属塩存在下で加熱処理することにより、目的の化合物を生成することを特徴とする請求項1記載の新規ケルセチン誘導体又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法。
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