JP6003628B2 - レスベラトロールとシンナムアルデヒドとの反応生成物 - Google Patents
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Description
また、非天然型のレスベラトロール誘導体についての報告もある(特許文献3)。
しかしながら、後述する本発明の新規化合物については、報告した例は見られない。
また、本発明は、前記新規化合物を含有することを特徴とする抗癌剤、口腔癌細胞に対する抗癌剤、さらには、食品、医薬品及び医薬部外品を提供することを目的とする。
〔1〕式(1):
〔2〕前記〔1〕記載の新規化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有する抗癌剤、
〔3〕前記〔1〕記載の新規化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有する口腔癌細胞に対する抗癌剤、
〔4〕前記〔1〕記載の新規化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有する食品、医薬品又は医薬部外品、
〔5〕レスベラトロールとシンナムアルデヒドを金属塩存在下で加熱することにより、目的の化合物を生成することを特徴とする前記〔1〕記載の新規化合物又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法、
に関する。
また、本発明の新規化合物は、前記のような生理活性に優れることから、食品、医薬品及び医薬部外品に配合することで、抗癌活性に優れた食品、医薬品及び医薬部外品を提供することができる。
ただし、本発明の新規化合物の回収率の観点からは、レスベラトロール換算で5重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。
前記レスベラトロールとしては、ブドウ果皮・茎・葉、ピーナッツの渋皮、メリンジョ、イタドリ等の原料からの抽出物、凍結乾燥品等を使用してもよい
ただし、本発明の新規化合物の回収量の観点からは、シンナムアルデヒド換算で5重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。このようなシンナムアルデヒドの原料としては、例えば、シナモンオイル、シナモンパウダー等が挙げられる。
また、前記金属塩の混合物としては、例えば、ミネラルプレミックス(田辺製薬株式会社、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸カルシウム、グルコン酸銅、リン酸マグネシウムを主成分としたミネラル混合物)のように金属塩を数種類含む物質が挙げられる。また、複数の金属塩を含む混合物として、ミネラルウォーターも挙げることができる。
なお、前記金属塩の含有量としては、本発明の新規化合物を生成可能な量であればよく、特に限定はない。
また、安全な原料のみを用いた工程で本発明の新規化合物を製造した場合には、本発明の新規化合物を含む混合物の状態で食品、医薬品又は医薬部外品に使用することが可能である。例えば、天然由来のレスベラトロール、シンナムアルデヒドを含水エタノール溶媒に溶解し、ミネラルウォーターやミネラルプレミックスを添加して加熱処理した場合には、得られる反応溶液を食品、医薬品又は医薬部外品の原料の一つとして使用することが可能である。
したがって、本発明の新規化合物は、食品、医薬品、医薬部外品等に配合して使用することができる。このような食品、医薬品、医薬部外品は、抗癌作用を有する食品、医薬品、医薬部外品となる。特に、抗癌作用が知られていない材料のみからなる抗癌作用のない食品、医薬品、医薬部外品でも、本発明の新規化合物を配合することで、簡単に抗癌作用を付与することができる。
例えば、食品の場合には、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料又は素材と組み合わせることができる。
医薬品や医薬部外品の場合には、主剤、基材、界面活性剤、起泡剤、湿潤剤、増粘剤、透明剤、着香料、着色料、安定剤、防腐剤、殺菌剤等に組み合わせ、常法に基づいて、液状、軟膏状又はスプレー噴射可能な最終形態等にすることができる。
レスベラトロール(東京化成工業(株)製)100mg、シンナムアルデヒド(和光純薬工業(株)製)400mgをエタノール2mLに溶解し、(1)クエン酸(和光純薬工業(株)製、)100mg、水2mL、(2)ミネラルウォーター(商品名「ゲロルシュタイナー」サッポロ飲料(株)製)2mL、をそれぞれ加えて、シンナムアルデヒド、レスベラトロール含有溶液(pH:(1)3.5、(2)5.5)を2種類調製した。このシンナムアルデヒド、レスベラトロール含有溶液をオートクレーブ(三洋電機(株)製、「SANYO LABO AUTOCLAVE」)にて130℃、30分間加熱した。得られた2種類の反応溶液(1)、(2)からそれぞれ1mLを取り出して、メタノールにて50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。
カラム:逆相用カラム「CAPCELL PAK C18 UG−80」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):100%A/0%Bから0%A/100%Bまで33分間、100%Bで7分間(全て直線)
なお、(1)の反応溶液中には前記のAのピークは確認されなかった。
レスベラトロール1g、シンナムアルデヒド4gをエタノール20mLに溶解し、ミネラルウォーター20mLを加えて、レスベラトロール、シンナムアルデヒド含有溶液(pH=5.6)を得た。このレスベラトロール、シンナムアルデヒド含有溶液をオートクレーブにて130℃、90分間加熱した。得られた反応溶液のうち1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析したところ、実施例1と同様のクロマトグラムが確認できた。
実施例2で得られた反応生成物のうち、図1のAで示したピークに含まれる化合物を分取HPLCにより単離し、常法により乾燥したところ、黄色粉末状の物質442.7mgを得、この物質をUHA1146と命名した。
理論値C23H19O4(M−H-):359.3946
分子式C23H20O4
値はδ、ppmで、溶媒はメタノール−d4(CD3OD)で測定した。
(性状)
黄色粉末
(溶解性)
水:難溶
メタノール:溶解
エタノール:溶解
DMSO:溶解
クロロホルム:溶解
酢酸エチル:溶解
次に癌細胞に対する実施例3で得られたUHA1146の効果を見るため、HL−60細胞(Human promyelocytic leokemia cells:ヒト骨髄球性白血病細胞)を用いた癌細胞増殖抑制作用について試験した。
表2に示す結果から、UHA1146に優れた癌細胞増殖抑制能が認められた。この抗癌作用は、レスベラトロールよりも高く、シンナムアルデヒドよりも高い抗癌活性を示した。したがってレスベラトロールとシンナムアルデヒドを前記式(1)で表される新規化合物に変換する高い有意性が示された。
次に口腔癌細胞に対するUHA1146の効果を見るため、SCC−4細胞(ヒト舌扁平上皮癌細胞、ATCC社製)を用いた口腔癌細胞増殖抑制作用について試験した。
表3に示す結果から、UHA1146に優れた口腔癌細胞増殖抑制能が認められた。この抗癌作用は、レスベラトロール及びシンナムアルデヒドには全く認められなかった。したがってレスベラトロールとシンナムアルデヒドを前記式(1)で表される新規化合物に変換する高い有意性が示された。
レスベラトロール100mg、シンナムアルデヒド100mg、エタノール2mL、ミネラルウォーター2mLの混合溶液(pH=5.5)を、オートクレーブにて70℃、90℃、110℃、130℃の各温度条件で20分間加熱した。それぞれの温度条件で得られた反応後組成物1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析した。
ブドウ種子エキスパウダー(レスベラトロール含有素材)1g、シナモンオイル(シンナムアルデヒド含有素材)6g、エタノール10mL、ミネラルウォーター10mLを加えて調製した混合溶液(pH=5.0)を、オートクレーブにて130℃、180分間加熱した。得られた反応溶液を減圧加熱させて乾固し、UHA1146含有エキスを8g得た。得られたUHA1146含有エキス8g中には、実施例3と同様の手法で確認したところUHA1146が0.335g含有されていた。必要に応じてこの作業を繰り返した。
実施例7で得たUHA1146含有エキス1gをあらかじめ100mLのエタノールに溶解させ、これに砂糖500g、水飴400gを混合溶解し、生クリーム100g、バター20g、練乳70g、乳化剤1.0gを混合した後、真空釜にて−550mmHg減圧させ、115℃の条件下で濃縮し、水分値3.0重量%のミルクハードキャンディを得た。このミルクハードキャンディは、菓子として食べ易いものであることはもちろん、癌患者における癌の拡散のリスクを低減したり、癌の発症のリスクを低減したり、癌の予防を期待した機能性食品としても利用できる。
実施例2,3と同様の方法で得たUHA1146をエタノールに溶解し、これを微結晶セルロースに添加して吸着させた後に、減圧乾燥させた。この吸着物を用いて常法に従い、打錠品を得た。処方はUHA1146を10重量部、コーンスターチ23重量部、乳糖12重量部、カルボキシメチルセルロース8重量部、微結晶セルロース32重量部、ポリビニルピロリドン4重量部、ステアリン酸マグネシウム3重量部、タルク8重量部である。本打錠品は、癌の治癒を目的とする医薬品として有効に利用できる。
実施例2、3の方法で得たUHA1146 1.2gを10mLのエタノールに溶解し、これにタウリン20g、ビタミンB1硝酸塩0.12g、安息香酸ナトリウム0.6g、クエン酸4g、砂糖60g、ポリビニルピロリドン10gを溶解させた精製水を混合し、さらに精製水で1000mLにメスアップした。なお、pHは、希塩酸を用いて3.2に調整した。得られた溶液1000mLのうち50mLをガラス瓶に充填し、80℃で30分間滅菌して、医薬部外品であるドリンク剤を完成させた。本ドリンク剤は、栄養補給の目的に加えて、癌患者における癌の拡散のリスクを低減したり、癌の発症のリスクを低減したり、癌の予防を目的とする医薬部外品として有効に利用できる。
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