JP2012105634A - C型慢性肝炎治療効果予測のための検査方法及び検査用キット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一塩基多型のrs8113007を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである、C型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー、当該マーカーを検出するC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査方法及び検査用キットによる。
【選択図】図6
Description
1.一塩基多型のrs8113007を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである、C型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー。
2.C型慢性肝炎の治療効果が、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法による治療効果である、前項1に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー。
3.一塩基多型のrs8113007を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、rs8113007の-166塩基から+293塩基の塩基配列を含む、前項1〜3のいずれか1に記載の、C型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー。
4.下記の工程を含む、C型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法:
(1)被検者から取得したサンプルにおいて、一塩基多型のrs8113007についてアリルの遺伝子型を決定する工程;
(2)一塩基多型のrs8113007のアリルの遺伝子型が、アデニンのホモ接合型である場合に、治療有効性があると予測する工程。
5.(1)の工程が以下の工程を含む、前項4に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法:
(1−1)一塩基多型のrs8113007を含む領域を増幅する工程;
(1−2)増幅されたヌクレオチド断片を、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列または一塩基多型のrs8113007がチミンである塩基配列のいずれか一方を特異的に認識する制限酵素により切断する工程;
(1−3)制限酵素により切断して得られたヌクレオチド断片の大きさを確認することにより、一塩基多型のrs8113007についてアリルの遺伝子型を決定する工程。
6.C型慢性肝炎の治療効果が、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法による治療効果である、前項4または5に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査方法。
7.(1−2)の工程において用いられる制限酵素が、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列を認識するものである、前項4〜6のいずれか1に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
8.前記制限酵素が、BpmIである、前項4〜7のいずれか1に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
9.(2)の工程において、一塩基多型のrs8113007のアリルの遺伝子型がアデニンのホモ接合型の場合に、ペグインタ−フェロンとリバビリンの併用療法による治療有効性が90%以上と予測する、前項4〜8のいずれか1に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
10.一塩基多型のrs8113007を含むヌクレオチド断片において、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列または一塩基多型のrs8113007がチミンである塩基配列のいずれか一方の塩基配列を特異的に認識する制限酵素を少なくとも含む、C型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
11.前記制限酵素が、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列を認識するものである、前項10に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
12.前記制限酵素が、BpmIである、前項10または11に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
本発明のC型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカーは、一塩基多型であるrs8113007を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである。一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism、以下「SNP」と称する)とは、遺伝子多型(polymorphism)に含まれるものであり、個体間における一塩基の違いを意味する。遺伝子多型とは、遺伝子を構成しているDNAの配列の個体差であり、その頻度が母集団の1%以上であるものである。本明細書において、上記SNPを表す数値(rs番号)は、NCBIのデータベース(Build 35)に掲載されているヒトの遺伝子情報を参酌したものである。
また、本発明のマーカーとしてのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの大きさは、10 kbp以下が好ましく、より好ましくは1 kbp以下、更に好ましくは800 bp以下、特に好ましくは460bp以下である。例えば、本発明のマーカーをPCR等の手法で増幅させる場合には、約100bp以上であればよい。
本発明のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法は、(1)および(2)の工程を含む方法により行うことができる:
(1)被検者から取得したサンプルにおいて、SNPのrs8113007について遺伝子型を決定する工程;
(2)SNPのrs8113007の遺伝子型が、アデニンのホモ接合型である場合に、治療有効性があると予測する工程。
rs8113007増幅用プライマー
フォワードプライマー(rs8099917b):ccc act tct gga aca aat cgt ccc (配列番号5)
リバースプライマー(rs8099917bR):cag gag ctt gca cta gct ctt gtc (配列番号6)
(1−1)SNPのrs8113007を含む領域を増幅する工程;
(1−2)増幅されたヌクレオチド断片を、SNPのrs8113007がアデニンである塩基配列またはSNPのrs8113007がチミンである塩基配列のいずれか一方を特異的に認識する制限酵素により切断する工程;
(1−3)制限酵素により切断して得られたヌクレオチド断片の大きさを確認することにより、SNPのrs8113007について遺伝子型を決定する工程。
本発明は、C型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キットを包含する。本発明の検査用キットは、PCR-RELP法によるSNP検出に用いることを目的とするものであり、少なくとも、SNPのrs8113007を含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドまたはrs8113007を含むそのヌクレオチド断片において、SNPのrs8113007がアデニンである塩基配列またはSNPのrs8113007がチミンである塩基配列のいずれか一方を特異的に認識してヌクレオチド断片を切断し得る制限酵素を含む。
本発明の検査用キットはさらに、制限酵素処理に必要な反応溶媒(例えば緩衝液)等の試薬、PCR等の遺伝子増幅操作に必要なプライマーまたは試薬、例えば耐熱性DNAポリメラーゼなどを含んでいても良い。また、上述した試薬のみならず、装置・試薬・ソフト・コンピューター等のいずれかをキットに含んでいてもよく、適宜必要なものが選択される。
各種ヒト肝培養細胞を用いて、IL28B遺伝子近傍のSNPである、Tanakaらが報告したrs8099917の遺伝子型について検討した。用いた各種ヒト肝培養細胞は、以下に示す細胞を用いた。
(A)HCV RNA複製が可能な肝培養細胞:HuH-7、Li23
(B)その他の肝培養細胞:Li21、Li22、Li24、HepG2、PLC、OUMS29、PH5CH8、NKNT3、HuH-6、HLE、HLF
上記各種ヒト肝培養細胞のうち、OUMS29、PH5CH8、NKNT3はヒト肝不死化細胞株であり、それら以外はヒト肝臓癌由来の細胞株である。
まず、QIAamp(R) DNA Blood Mini Kit(Qiagen社)を用いて上記各種ヒト肝培養細胞よりゲノムDNAを抽出し、以下のプライマーセットaを用いて、KOD plus DNA polymerase (Toyobo社)によりPCR法を行った。PCR産物をQIAquick(R) PCR Purification Kit(Qiagen社)を用いて精製し、精製したPCR産物について、以下のシークエンス解析用プライマーとABI PRISM 310 genetic analyzer(Applied Biosystems 社)を用いて、シークエンス解析を行った。
・プライマーセットa(5'→3')
Forward primer rs8099917a:gtc ttg tat ttc acc tcc tgg ag (配列番号2)
Reverse primer rs8099917aR:att gac ggg cca tct gtt tcc tg (配列番号3)
・シークエンス解析用プライマー
rs8099917aS: ttg tat ttc acc tcc tgg agg (配列番号4)
新たに、プライマーセットaの外側に設定したプライマーセットbを用いて、上記(1)のプライマーセットaを用いた方法と同様にして、SNPの検出を行った。
・プライマーセットb(5'→3')
Forward primer rs8099917b:ccc act tct gga aca aat cgt ccc (配列番号5)
Reverse primer rs8099917bR:cag gag ctt gca cta gct ctt gtc (配列番号6)
・シークエンス解析用プライマー
rs8099917bS: atc gtc cca ata cat agg(配列番号7)
rs8113007の遺伝子型は、rs8099917の遺伝子型について、比較検討した。rs8113007を含む領域の増幅は、参考例1(2)と同様にプライマーセットbとシークエンス解析用プライマー(rs8099917bS)を用いて遺伝子型をdirect sequence法により決定した。
rs8113007がPEG-IFN/RBV併用療法の効果予測に関連するかどうかをさらに検討するため、Geらにより報告された、PEG-INF/RBV併用療法の効果予測に関連するrs12979860の遺伝子型をdirect sequence法により決定し、rs8113007の遺伝子型と比較検討した。
実施例1と同様に、プライマーセットbを用いてrs8113007を含む領域の増幅を行い、その後BpmI(5'-CTGGaG(N)16-3'、3'-GACCTC(N)14-5'を認識)(NEW ENGLAND BioLab社)により、増幅されたヌクレオチド断片を処理した。制限酵素による処理は、BpmIの販売元のプロトコルに準じて、37℃、20分間、制限酵素に添付されたバッファー(NEBbuffer3)を用いて行った。
rs8113007はrs8099917の約60塩基上流に存在するSNPであるが、rs8099917の約100塩基下流には別のSNP(rs73541958)が存在する。rs8099917近傍のSNPがPEG-IFN/RBV併用療法の効果予測に関連するか否かについて、rs73541958の遺伝子型をdirect sequence法により決定して検討した。
rs12979860について、実施例2と同様にして制限酵素処理によりSNPの遺伝子型の確認を試みたが、適当な制限酵素サイトが存在せず、制限酵素処理による遺伝子型の確認はできなかった。
PEG-IFN/RBV療法を実施したC型慢性肝炎患者から採取した血液(全血)より、常法に従ってゲノムDNAを得、IL28B遺伝子近傍のSNP遺伝子型を解析した。解析したSNPは、本発明のrs8113007、公知のrs8099917、rs12979860の三種である。実施例1、2、および参考例1、2と同様にしてシークエンス解析と、制限酵素処理による解析を行った。rs8113007およびrs8099917を含む領域については、プライマーセットbを用いて増幅を行った。
core aa70(core蛋白質の70番目のアミノ酸)が、野生型(アルギニン)の場合はPEG-IFN/RBV療法に感受性であり、変異型(グルタミンあるいはヒスチジン)の場合はPEG-IFN/RBV療法に感受性を有さない確率が高いことが報告されている。
症例6〜16(Pt.No. 6-16)では、rs8099917の遺伝子型は11例ともmajorのT/Tであり、治療有効と予測された。実際の治療効果の結果は、SVR(治療有効)9例、NVR(治療無効)2例であり、予測正当率は9/11(82%)であった。
全16例の治療予測の正当率は、rs8099917が81%であるのに対して、rs8113007とrs12979860では94%であった。特に、症例6(Pt.No. 6)と症例7(Pt.No. 7)は、rs8099917とrs8113007で遺伝子型に相違が見られた。これらの症例ではrs8113007の遺伝子型がminorのA/Tであり、治療無効と予測され、実際の治療効果の結果(NVR)と一致した。
Claims (12)
- 一塩基多型のrs8113007を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである、C型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー。
- C型慢性肝炎の治療効果が、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法による治療効果である、請求項1に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー。
- 一塩基多型のrs8113007を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、rs8113007の-166塩基から+293塩基の塩基配列を含む、請求項1〜3のいずれか1に記載の、C型慢性肝炎の治療効果を予測するためのマーカー。
- 下記の工程を含む、C型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法:
(1)被検者から取得したサンプルにおいて、一塩基多型のrs8113007についてアリルの遺伝子型を決定する工程;
(2)一塩基多型のrs8113007のアリルの遺伝子型が、アデニンのホモ接合型である場合に、治療有効性があると予測する工程。 - (1)の工程が以下の工程を含む、請求項4に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法:
(1−1)一塩基多型のrs8113007を含む領域を増幅する工程;
(1−2)増幅されたヌクレオチド断片を、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列または一塩基多型のrs8113007がチミンである塩基配列のいずれか一方を特異的に認識する制限酵素により切断する工程;
(1−3)制限酵素により切断して得られたヌクレオチド断片の大きさを確認することにより、一塩基多型のrs8113007についてアリルの遺伝子型を決定する工程。 - C型慢性肝炎の治療効果が、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法による治療効果である、請求項4または5に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査方法。
- (1−2)の工程において用いられる制限酵素が、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列を認識するものである、請求項4〜6のいずれか1に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
- 前記制限酵素が、BpmIである、請求項4〜7のいずれか1に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
- (2)の工程において、一塩基多型のrs8113007のアリルの遺伝子型がアデニンのホモ接合型の場合に、ペグインタ−フェロンとリバビリンの併用療法による治療有効性が90%以上と予測する、請求項4〜8のいずれか1に記載のC型慢性肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
- 一塩基多型のrs8113007を含むヌクレオチド断片において、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列または一塩基多型のrs8113007がチミンである塩基配列のいずれか一方を特異的に認識する制限酵素を少なくとも含む、C型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
- 前記制限酵素が、一塩基多型のrs8113007がアデニンである塩基配列を認識するものである、請求項10に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
- 前記制限酵素が、BpmIである、請求項10または11に記載のC型慢性肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
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