JP2012097131A - 表面処理剤と組成物、その処理加工品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリフルオロポリエーテルの中間部または末端に金属キレート基を導入したキレート基含有ポリフルオロポリエーテル、該化合物を含んでなる洗浄用、表面処理用および有用金属回収用等組成物、並びに、MRI用造影剤としての該化合物と遷移金属との錯体。
【選択図】なし
Description
式(1):
からなる群から選ばれる少なくとも1つの式で表される、新規なキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを提供するものである。
また、本発明に係るキレート基含有ポリフルオロポリエーテルおよび常磁性金属から形成された錯体は、MRI造影剤または該造影剤を用いた分子イメージング剤として有用である。
本発明に係るキレート基を含有するポリフルオロポリエーテルは、ポリフルオロポリエーテル(PFPE)鎖の片末端または両末端にキレート基含有基を有する式(1)もしくは式(1’)、または式(2)もしくは式(2’)で表される化合物、あるいは、キレート基含有基の両末端にポリフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を有する式(3)で表される化合物、または、キレート基含有エチレンジアミンの環状多量体である環状ポリアミンにPFPE鎖が複数結合している式(3’)で表される化合物である。本発明化合物は、一分子中にポリフルオロポリエーテル鎖(PFPE)とキレート基を併存することによって、ポリフルオロポリエーテル(PFPE)鎖に由来する撥水撥油性とキレート基に由来するキレート機能とが発現されて、特徴あるキレート機能を発揮する。
Rf−PFPE鎖の重量平均分子量は、例えば、500〜100000、好ましくは、1000〜80000、より好ましくは、2000〜50000の範囲にあってよい。
PFPE基(特に、パーフルオロポリエーテル基)の例は、次のとおりである。
F-(CF2CF2CF2O)n-CF2CF2- (nは1〜200)
F-(CF2C(CF3)FO)n-CF2CF2- (nは1〜200)
F-(CF2C(CF3)FO)n-(CF2O)m-CF2CF2- (nとmの合計は1〜200)
F-(CF2CF2O)n-(CF2O)m-CF2CF2- (nとmの合計は1〜200)
-CF2CF2CF20-、
-CHFCF2CF20-、
-CHClCF2CF20-、
-CH2CF2CF20-、
-CF(CF3)CF20-、
-CF2CF20-、
-CF20-
のフルオロエーテル単位のいずれか1種または2種以上を合計7個以上必須成分として有している。
なかでも、上記のフルオロエーテル単位を10個以上、より好ましくは20個以上有することが好ましく、それによって、よりすぐれた防汚性、撥水撥油性を発揮する。
ポリフルオロポリエーテル鎖中のフルオロエーテル単位が40個を超える場合は、汎用溶剤への溶解性が低下し、透明性が必要な用途においては、その透明性が低下する点で望ましくない。好ましくは35個以下、さらには30個以下である。
特に好ましいフルオロエーテル単位の連鎖は、-CF2CF2CF20-を単独で7〜40個有するものであり、特に、防汚性の点で顕著に表面処理効果を発揮し得る。
式(2)が式(2−1):
式(3)が式(3−1):
式(1’)が式(1’−1):
式(2’)が式(2’−1):
式(3’)が式(3’−1):
などが挙げられる。
式(1−1)が式(1−1−1):
式(1’−1)が式(1’−1−1):
式(2’−1)が式(2’−1−1):
特に、本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含む組成物は、従来のキレート剤に比して水系溶媒には溶けにくく、非水系で極性の溶媒には溶けやすいという特徴を有することから、従来は利用が制限されていた用途への利用も可能となる。例えば、非水溶性キレート剤として汚水・汚泥等汚染源からの重金属除去、貴金属やレアメタル等有用金属の希薄水溶液からの回収、ならびに種々の遷移金属と錯体を形成させ医療診断分野(MRI用造影剤等)のイメージング剤等の分野である。
本発明に係るキレート基含有ポリフルオロポリエーテルは、末端反応性基を有するポリフルオロポリエーテルとキレート化合物前駆体との反応によって合成され得る。ポリフルオロポリエーテルは、通常、パーフルオロエチレンオキシド、パーフルオロプロピレンオキシド、パーフルオロオキセタン等の環状ポリフルオロエーテルの開環(共)重合によって製造される。得られるポリフルオロポリエーテルの末端は重合反応の後処理条件よって異なるものになるが、ここでは、最も一般的な両末端カルボン酸フルロオリド(-C(=O)F)の場合を例にとって説明する。キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(1−1)〜(3−1)の合成方法を、より具体的な官能基構造を有する式(1−1)、(2−1−1)および(3−1−1)によって以下説明する。
両末端酸フルオリド型ポリフルオロポリエーテルから式(1−1)で示される片末端キレート基型ポリフルオロポリエーテルおよび式(2−1−1)で示される両末端キレート基型ポリフルオロポリエーテルへの変換反応を下式:
で表されるキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(1’−1−1−1)を得ることが
できる。
によって、両末端キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(2’−1−1−1)を得ることができる。
で表されるキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(3’−1−1−1)を得ることが
できる。
本発明の組成物は、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルを目的に応じた適量を非水系極性溶媒に溶解して用いる。非水系極性溶媒としては、例えば、パーフルオロカーボン等のフッ素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、セルソルブ系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることが出来る。例えば、パーフルオロエーテル、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロクロロカーボン等、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、アセトン)、アルコール(例えば、エタノール、プロパノールなどの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール(特に、2〜4価のアルコール))、エステル(例えば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)である。中でも、フッ素溶媒が好ましく、特にパーフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロクロロカーボン(AK−225等)が好ましい。
本発明の組成物で処理される対象物は特に制限はない。材質で云えば、金属材料、酸化物半導体のような酸化物被膜および樹脂製品等である。
本発明の組成物液で処理対象物を処理するには、例えば、スピンコート法、スプレー噴射法、コーティング法、浸漬法、混合撹拌法、CVD法等、処理目的に応じて適切な処方を選択することができる。
実施例で用いる原料化合物を説明する。
ポリフルオロポリエーテル(PFPE)の片末端がメチルアミン型の下式:
また、PFPEの両末端がメチルアミン型の下式:
<静的接触角と転落角の測定方法>
静的接触角は、水平に置いた基板にマイクロシリンジから水、n-ヘキサデカンを2μL滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより求めた。
また、転落角は以下の方法で求めた。水平に置いた基板にマイクロシリンジから、水の場合は20μL、n-ヘキサデカン5μL滴下し、基板を毎秒2°の速度で傾斜させ、液滴が転落し始めるまでを、ビデオマイクロスコープで動画として記録した。その動画を再生し、液滴が転落し始める角度を転落角とした。
<酢酸キレート基(−CH2CO2H)含有ポリフルオロポリエーテル(「デムナム−TEA1」と称する。)の合成>
トリエチルアミン5mlに溶解した2−ブロモ酢酸130mg(0.9mmol)を氷冷し、デムナムメチルアミンとデムナムジメチルアミン(Mw2000)3.0g(0.15mmol)の混合物(モノアミン体:ジアミン体=6:1)をゆっくり加え、室温で12時間攪拌した。反応混合物に水5mlとAK−225を5ml加え、1N−塩酸にてpH2.0に調整した。反応層は上層から水層、エマルジョン層、AK−225層に分かれエマルジョン層とAK−225層を集め硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過しオイル状粗体2.4g(収率78%)を得た。19F−NMRよりアミノ基のβ位のフッ素が−128ppmから−124ppmにシフトしたこと、IRにより1710cm−1に原料にはないカルボン酸のC=O伸縮振動が新たに観測されたことから表記化合物が合成できたことを確認した。
<酢酸キレート基(−CH2CO2H)含有ポリフルオロポリエーテル(「デムナム−TEA2」と称する。)の合成>
トリエチルアミン5mlに溶解したイミドジ酢酸400mg(3.0mmol)を氷冷し、メチル デムナムエステルとメチル デムナムジエステル(Mw2000)5.0g(0.25mmol)の混合物(モノアミン体:ジアミン体=6:1)をゆっくり加え、室温で12時間攪拌した。反応混合物に水5mlとAK−225を5ml加え、1N−塩酸にてpH2.0に調整した。反応層は上層から水層、エマルジョン層、AK−225層に分かれエマルジョン層とAK−225層を集め硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過しオイル状粗体4.4g(収率82%)を得た。19F−NMRよりエステル基のα位フッ素が−128ppmから−123ppmにシフトしたこと、IRにより1710cm−1に原料にはないカルボン酸のC=O伸縮振動が新たに観測されたことから表記化合物が合成できたことを確認した。
<ポリアミノポリカルボン酸キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(「デムナム−DTPA」と称する。)の合成>
トリエチルアミン5mlに溶解した1,3−プロパンジアミン四酢酸(DTPA)酸無水物350mg(1.0mmol)を氷冷し、デムナムメチルアミンとデムナムジメチルアミン(Mw2000)6.0g(0.15mmol)の混合物(モノアミン体:ジアミン体=6:1)をゆっくり加え、室温で12時間攪拌した。反応混合物に水5mlとAK−225を5ml加え、1N−塩酸にてpH2.0に調整した。反応層は上層から水層、固体層、AK−225層に分かれAK−225層を集め硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過しオイル状粗体2.2g(収率34%)を得た。19F−NMRよりアミノ基のβ位のフッ素が−128ppmから−124ppm(DTPAモノデムナムアミン体)、−122ppm(DTPAジデムナムアミン体)にシフトしたこと、IRにより1710cm−1に原料にはないカルボン酸のC=O伸縮振動が新たに観測されたことから表記化合物が合成できたことを確認した。
<金属表面の処理および表面物性の測定>
実施例1〜3で合成したデムナム−TEA1、デムナム−TEA2およびデムナム−DTPAをそれぞれ0.1重量%の量でAK−225(旭硝子製)溶媒中に添加して撹拌し、均一な処理剤組成物を調製した。アセトンにて超音波洗浄(5分間)したハステロイ22とSUS316テストピース(5cm×2cm)を得られた処理剤組成物に浸漬して1分間かけて引出し室温で24時間放置した後、AD−225に浸して超音波洗浄(5分間)後、風乾し乾燥塗膜の表面物性を測定した。得られた結果を表1に示す。
<未変性TEAおよび未変性DTPAによる金属表面の処理および表面物性の測定>
実施例4に準じて、ポリフルオロポリエーテルで変性されていない未変性TEAおよび未変性DTPAによる金属表面の処理を実施した。処理品表面物性の測定結果を、下記表1に併記した。
Claims (14)
- キレート基含有ポリフルオロポリエーテルであって、
式(1):
からなる群のいずれか1つの式で表される、キレート基含有ポリフルオロポリエーテル。 - PFPEが−C3F6O−、−C2F4O−および−CF2O−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位(オキシパーフルオロアルキレン基)を有するポリフルオロポリエーテルである、請求項1に記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
- Rf−PFPE鎖の重量平均分子量が500〜100000の範囲である、請求項1または2に記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
- 式(1)が式(1−1):
式(2)が式(2−1):
式(3)が式(3−1):
式(1’)が式(1’−1):
式(2’)が式(2’−1):
式(3’)が式(3’−1):
請求項1〜3のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。 - Z1がカルボキシル含有基、ホスホン酸含有基、1,3−ジケトン含有基、チオカーバメート含有基、オキサレート含有基、チオシアネート含有基から選ばれた少なくとも1種のキレート基含有基である、請求項1〜4の少なくとも1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
- Z1が式(4):
-CH2COOH または -CH2P(=O)(OH)2
で表され、
Z2が式(5):
-H 、-CH2COOH または -CH2P(=O)(OH)2
で表される、請求項1〜5のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。 - 請求項1〜7のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含んでなる組成物。
- 組成物が微量金属除去用洗浄剤組成物である請求項8に記載の組成物。
- 組成物が撥液性表面処理剤組成物である請求項8に記載の組成物。
- 請求項8〜10のいずれか1つに記載の組成物によって処理された表面を有する金属加工品、金属酸化被膜および樹脂加工品。
- 組成物が金属イオン捕集剤組成物である請求項8に記載の組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルと常磁性金属とから形成された錯体。
- 錯体がMRI造影剤または該造影剤を用いた分子イメージング剤である、請求項13に記載の錯体。
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