JP2019156722A - 2価のイミノホスファゼニウム塩およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中性であり、熱安定性およびアルデヒド捕捉能に優れる2価のイミノホスファゼニウム塩およびその製造方法を提供する。【解決手段】式(1)で示される2価のイミノホスファゼニウム塩。式中、A−は、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。【選択図】なし

Description

本開示は、2価のイミノホスファゼニウム塩およびその製造方法に関する。
1価のイミノホスファゼニウム塩が、有用な有機塩基として知られている。
例えば、特許文献1は、式(I)で示される特定の構造を有する1価のイミノホスファゼニウム塩を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、ポリオキシアルキレンオキシドを製造する方法を開示している。
Figure 2019156722
特許第5716382号公報
しかしながら、特許文献1にかかる1価のイミノホスファゼニウム塩は、該1価のイミノホスファゼニウム塩が強い塩基性を示すため、製造したポリアルキレンオキシド中から除去されていた。このため、除去する必要がない中性のイミノホスファゼニウム塩が求められている。
ところで、ポリアルキレンオキシドはポリウレタンやポリエステル等の樹脂の原料として有用であって、その用途には室内や車内で用いられる製品が含まれる。ポリアルキレンオキシドやそれを用いた樹脂は、室内や車内などの生活空間において発生するアルデヒド類を低減することが強く求められている。
また、これらの樹脂が用いられる製品を製造する工程中において、当該樹脂が高温に曝されることがあるため、熱安定性に優れることが望まれている。
そこで、本発明の一態様は、中性であり、熱安定性およびアルデヒド捕捉能に優れる2価のイミノホスファゼニウム塩およびその製造方法を提供することに向けられている。
本発明の一態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩は、式(1)で示される2価のイミノホスファゼニウム塩である:
Figure 2019156722
式(1)中、
及びRは、各々独立して、
水素原子、
炭素数1〜20の炭化水素基、
とRとが互いに結合した環構造、または、
同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す;
は、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。
本発明の他の態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩の製造方法は、上記2価のイミノホスファゼニウム塩の製造方法であって、
式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を反応させることを特徴とする製造方法である:
Figure 2019156722
式(2)中、
及びRは、各々独立して、
水素原子、
炭素数1〜20の炭化水素基、
とRとが互いに結合した環構造、または、
同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す;
は、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。
本発明の一態様は、中性であり、熱安定性およびアルデヒド捕捉能に優れる2価のイミノホスファゼニウム塩およびその製造方法を提供できる。
合成例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−AのH−NMRを示す図である。 合成例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−Aの中和滴定におけるpHの変化を示す図である。 実施例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−BのH−NMRを示す図である。 比較例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−CのH−NMRを示す図である。
以下に本発明を実施するための例示的な態様を詳細に説明する。
<2価のイミノホスファゼニウム塩>
本発明の一態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩は、式(1)で示される2価のイミノホスファゼニウム塩である:
Figure 2019156722
式(1)中、
及びRは、各々独立して、
水素原子、
炭素数1〜20の炭化水素基、
とRとが互いに結合した環構造、または、
同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す;
は、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。
本態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩は、上記式(1)で示される塩の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよい。
<<<R、R>>>
式(1)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、RとRとが互いに結合した環構造、または、R同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等が挙げられる。
とRとが互いに結合した環構造としては、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、インドリル基、イソインドリル基等が挙げられる。
同士もしくはR同士が互いに結合した環構造としては、例えば、2つのRもしくは2つのRが、各々独立に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基から選ばれる1つの基となって、一方のアルキレン基と、他方のアルキレン基と、が互いに結合した環構造が挙げられる。
これらの中で、原料であるグアニジン類の入手が容易という点から、R及びRとしては、各々独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。R及びRがメチル基であることがより好ましい。
式(1)におけるカチオン種の具体例としては、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,3−ジエチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオンが挙げられる。これらの中でもテトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオンが好ましい。
<<A>>
は、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。
有機スルホン酸としては、一般的に知られている有機スルホン酸の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、アルカンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、高級アルコール硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられる。具体例としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)、直鎖アルキルナフタリンスルホン酸、分岐鎖アルキルナフタリンスルホン酸、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、p−アニリンスルホン酸、o−アニリンスルホン酸等が挙げられる。これらの中で、イミノホスファゼニウム塩の安定性、アルデヒド捕捉効果に優れるという点から、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)が好ましい。
本態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩は、中性を示すことが好ましい。該2価のイミノホスファゼニウム塩を、例えば樹脂等に添加した際に、樹脂等のpHの変化が抑制される。該2価のイミノホスファゼニウム塩の0.01mol/Lの水溶液のpHが、5以上9以下であることが好ましく、より好ましくは5以上8以下である。pHは、例えば、2価のイミノホスファゼニウム塩の0.01mol/Lの水溶液をpH試験紙につけて測定することができる。
本態様にかかるイミノホスファゼニウム塩は、熱安定性に優れる。該2価のイミノホスファゼニウム塩は、120℃、8時間の加熱処理をおこなった際の、臭気の発生が無い、もしくはほとんど無く、かつ、NMR(nuclear magnetic resonance;核磁気共鳴)装置を用いて測定した純度に変化が無い、もしくはほとんど無いものである。
本態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩は、アルデヒド捕捉剤として使用することができる。例えば、上記式(1)で示されるイミノホスファゼニウム塩をポリアルキレンオキシドに添加することで、ポリアルキレンオキシドから揮発するアルデヒド量を低減することができる。
<2価のイミノホスファゼニウム塩の製造方法>
本発明の一態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩の製造方法は、上記2価のイミノホスファゼニウム塩の製造方法であって、
式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を反応させることを特徴とする製造方法である:
Figure 2019156722
式(2)中、
及びRは、各々独立して、
水素原子、
炭素数1〜20の炭化水素基、
とRとが互いに結合した環構造、または、
同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す;
は、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。
およびRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、RとRとが互いに結合した環構造、または、R同士もしくはR同士が互いに結合した環構造である。これらの具体例としては、上記式(1)中のRおよびRと同じものが挙げられる。そして、上記式(1)と同様に、原料であるグアニジン類の入手が容易という点から、RおよびRとしては、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。
式(2)で示される1価のイミノホスファゼニウム塩の具体例としては、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,3−ジエチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウムヒドロキシド;テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3−テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−プロピル)グアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3−テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3−テトラ(n−ブチル)グアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3−テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3−テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,3−ジエチルイミダゾリジン−2−イミノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート;等が挙げられる。これらの中でも、原料であるグアニジン類の入手が容易という点から、テトラキス(1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシドが好ましい。
式(2)で示される1価のイミノホスファゼニウム塩1モルに対する有機スルホン酸の量は、2モル以上であり、好ましくは2.1モル以上10モル以下、より好ましくは2.2モル以上5モル以下である。1価のイミノホスファゼニウム塩1モルに対する有機スルホン酸の量が2モル未満の場合、得られるイミノホスファゼニウム塩が不安定で、純度が低下することがあるため、好ましくない。
式(2)で示される1価のイミノホスファゼニウム塩と有機スルホン酸との反応は、溶媒中でおこなってもよい。溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、ネオペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール等のアルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、グリセリン等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等の多価アルコール誘導体;蟻酸、酢酸等の脂肪酸;エチレンジアミン、アニリン、アセトニトリル等の含窒素化合物等を挙げることができる。溶媒は1種のみであってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。
本発明の一態様にかかるイミノホスファゼニウム塩は、中性かつ熱安定性に優れ、さらにはアルデヒド捕捉効果を有するものである。そのため、該2価のイミノホスファゼニウム塩を、例えばポリアルキレンオキシドに添加した際、ポリアルキレンオキシドを中性に維持したまま、ポリアルキレンオキシド中のアルデヒドを捕捉することができる。
以下、実施例により本発明の各態様を説明するが、本実施例は何ら本発明の各態様を制限するものではない。まず、実施例及び比較例において用いた測定方法を示す。
(1)イミノホスファゼニウム塩のNMR
核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定装置(日本電子社製、(商品名)GSX270WB)を用い、重溶媒に重クロロホルムを使用して、H−NMRを測定した。
(2)イミノホスファゼニウム塩のpH
0.01mol/Lのイミノホスファゼニウム塩水溶液をpH試験紙につけ、イミノホスファゼニウム塩のpHを測定した。
(3)ポリアルキレンオキシドのpH
JIS K−1557−5に記載の方法に従い、ポリアルキレンオキシド10gをイソプロパノール/水=10/6混合溶媒(60mL)に溶解し、YOKOGAWA社製pH/ORPメータPH72を使用して、ポリアルキレンオキシドのpHを測定した。
(4)ポリアルキレンオキシドからのアセトアルデヒド揮発量
ポリアルキレンオキシド10gをインピンジャー(株式会社末永理化学社製、容量:30ml)に入れ、65℃で2時間加熱しながら、窒素ガスを0.5L/minの流速で吹き込んだ。通気後のガスを2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジに捕集し、吸着成分を溶出した。溶出液の高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography;HPLC)測定を行い、ポリアルキレンオキシドからのアルデヒド揮発量を測定した。
<合成例1>
攪拌翼を付した2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、五塩化リン96g(0.46mol)、脱水トルエン800mlを加え、20℃で攪拌した。撹拌を維持したまま、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン345g(2.99mol)を3時間かけて滴下した後、100℃に昇温し、さらに1,1,3,3−テトラメチルグアニジン107g(0.92mol)を1時間かけて滴下した。得られた白色のスラリー溶液を100℃で14時間攪拌した後、80℃まで冷却し、イオン交換水250mlを加えた後、さらに30分間撹拌した。撹拌を止めると、スラリーは全て溶解し、2相溶液が得られた。得られた2相溶液の油水分離を行い、水相を回収した。得られた水相にジクロロメタン100mlを加え、油水分離を行い、ジクロロメタン相を回収した。得られたジクロロメタン溶液をイオン交換水100mlで洗浄した。
得られたジクロロメタン溶液を、撹拌翼を付した2リットルの四つ口フラスコに移液し、2−プロパノール900gを加えた後、常圧下で温度を80〜100℃に昇温し、ジクロロメタンを除去した。得られた2−プロパノール溶液を撹拌しながら内部温度を60℃に放冷した後、85質量%水酸化カリウム31g(0.47mol)を加えて、60℃で2時間反応させた。温度を25℃まで冷却し、析出した副生塩を濾過により除去することによって、1価のイミノホスファゼニウム塩−Aの2−プロパノール溶液860gが、濃度25質量%、収率92%で得られた。イミノホスファゼニウム塩−Aは、上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Xがヒドロキシアニオンに相当するイミノホスファゼニウム塩である。得られたイミノホスファゼニウム塩−AのpHは、12(塩基性)であった。
ついで、得られたイミノホスファゼニウム塩−AのH−NMRを測定した。
図1は、合成例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−AのH−NMRを示す図である。
H−NMRにおける当該1価のイミノホスファゼニウムカチオンのケミカルシフトは、2.83ppmであった。
さらに、イミノホスファゼニウム塩−Aを120℃、8時間の加熱処理をおこなった結果、強い臭気が発生し、H−NMRにて不純物ピークの生成が確認された。
<試験例1>
スターラーバーを入れた100ミリリットルのビーカーに、合成例1で得られた1価のイミノホスファゼニウム塩−Aの2−プロパノール溶液10mgおよびイソプロパノール/水=10/6の混合溶液60mlを加え、よく撹拌した。そこへ、ドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール溶液(0.02mol/L)を滴下することによって、中和滴定を行った。結果を図2に示す。
図2は、合成例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−Aの中和滴定におけるpHの変化を示す図である。図2において、縦軸はpH又はpHの変化量、横軸はイミノホスファゼニウム塩−Aのモル数に対するドデシルベンゼンスルホン酸のモル数の比(モル/モル)を示す。
図2によれば、1モルの1価のイミノホスファゼニウム塩−Aに対し、約2モルのドデシルベンゼンスルホン酸を滴下した時点に等量点が観測され、2価のイミノホスファゼニウム塩の生成が確認された。2価のイミノホスファゼニウム塩は、上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するイミノホスファゼニウム塩である。
<実施例1>
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のイミノホスファゼニウム塩−Aの2−プロパノール溶液50g(36mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、ドデシルベンゼンスルホン酸22g(72mmol、1価のイミノホスファゼニウム塩1molに対し、2mol)を加えた。10分間攪拌分撹拌を継続することによって、目的とする2価のイミノホスファゼニウム塩−Bを得た。2価のイミノホスファゼニウム塩−Bは、上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するイミノホスファゼニウム塩である。得られたイミノホスファゼニウム塩のpHは、7(中性)であった。
ついで、得られたイミノホスファゼニウム塩−BのH−NMRを測定した。
図3は、実施例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−BのH−NMRを示す図である。
H−NMRにおける当該2価のイミノホスファゼニウムカチオンのケミカルシフトは2.91ppmであり、合成例1で得られた1価のイミノホスファゼニウム塩−Bと比較して低磁場にシフトした。イミノホスファゼニウム塩の価数が1価から2価に変化することによって、イミノホスファゼニウム塩のカチオン性が増大(電子密度が低下)したためと本発明者等は推測している。
さらに、イミノホスファゼニウム塩−Bを120℃、8時間の加熱処理を行った結果、臭気の発生は確認されず、また、H−NMRにおける大きな変化は確認されず、安定であった。
得られた2価のイミノホスファゼニウム塩−B 17mgを、pH:6.4(中性)、アセトアルデヒド揮発量:0.92ppmのポリアルキレンオキシド10gに加え、よく撹拌した。得られたポリアルキレンオキシドは中性(pH:7.3)を維持したまま、アセトアルデヒド揮発量は0.14ppmに低減された。2価のイミノホスファゼニウム塩によってアセトアルデヒドが捕捉され、揮発しにくくなったためと本発明者等は推測している。
<比較例1>
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のイミノホスファゼニウム塩−Aの2−プロパノール溶液50g(36mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、ドデシルベンゼンスルホン酸11g(36mmol、1価のイミノホスファゼニウム塩1molに対し、1mol)を加えた。10分間攪拌分撹拌を継続することによって、目的とする1価のイミノホスファゼニウム塩−Cを得た。1価のイミノホスファゼニウム塩−Cは、上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するイミノホスファゼニウム塩である。得られたイミノホスファゼニウム塩−CのpHは12で、強い塩基性を示すものであった。
ついで、得られたイミノホスファゼニウム塩−CのH−NMRを測定した。
図4は、比較例1で得られたイミノホスファゼニウム塩−CのH−NMRを示す図である。
H−NMRにおける当該1価のイミノホスファゼニウムカチオンのケミカルシフトは2.83ppmであり、実施例1で得られた2価のイミノホスファゼニウム塩−Bと比較して高磁場であった(図4)。2価のイミノホスファゼニウム塩−Bと比較して、カチオン性が減少(電子密度が増加)しているためと本発明者等は推測している。
得られた1価のイミノホスファゼニウム塩−Cの2−プロパノール溶液42mgを、pH:6.4(中性)、アセトアルデヒド揮発量:0.92ppmのポリアルキレンオキシド10gに加え、よく撹拌した。得られたポリアルキレンオキシドのpHは10.6で、強い塩基性を示した。得られたポリアルキレンオキシドからのアセトアルデヒド揮発量は0.94ppmで、アルデヒド捕捉効果は見られなかった。
本発明の一態様にかかる2価のイミノホスファゼニウム塩は、中性であり、熱安定性およびアルデヒド捕捉効果に優れる。したがって、例えば、該2価のイミノホスファゼニウム塩をポリアルキレンオキシドに添加することによって、アルデヒド揮発量の少ないポリアルキレンオキシドを得ることができる。当該ポリアルキレンオキシドは、ポリウレタン、ポリエステル、界面活性剤、潤滑剤等への展開が期待できる。

Claims (5)

  1. 式(1)で示される2価のイミノホスファゼニウム塩である:
    Figure 2019156722
    式(1)中、
    及びRは、各々独立して、
    水素原子、
    炭素数1〜20の炭化水素基、
    とRとが互いに結合した環構造、または、
    同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す;
    は、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。
  2. 及びRが、メチル基であり、
    が、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、または、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)の脱プロトン化体であることを特徴とする請求項1に記載の2価のイミノホスファゼニウム塩。
  3. 該2価のイミノホスファゼニウム塩の0.01mol/L水溶液のpHが、5以上8以下であることを特徴とする1又は2に記載の2価のイミノホスファゼニウム塩。
  4. アルデヒド捕捉剤として使用される請求項1〜3のいずれか1項に記載の2価のイミノホスファゼニウム塩。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の2価のイミノホスファゼニウム塩の製造方法であって、
    式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を反応させることを特徴とする製造方法である:
    Figure 2019156722
    式(2)中、
    及びRは、各々独立して、
    水素原子、
    炭素数1〜20の炭化水素基、
    とRとが互いに結合した環構造、または、
    同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を表す;
    は、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。
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