JP7135366B2 - 2価のホスファゼニウム塩およびその製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1は、P=N結合を有する化合物を触媒として、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと、所定の固体酸とを接触させ、ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒残存量を150ppm以下に制御することを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法を開示している。また、特許文献1は、該P=N結合を有する化合物として1価のホスファゼニウム塩を開示している。
ところで、ポリアルキレンオキシドはポリウレタンやポリエステル等の樹脂の原料として有用であって、その用途には室内や車内で用いられる製品が含まれる。ポリアルキレンオキシドやそれを用いた樹脂は、室内や車内などの生活空間において発生するアルデヒド類を低減することが強く求められている。
また、これらの樹脂が用いられる製品を製造する工程中において、当該樹脂が高温に曝されることがあるため、熱安定性に優れることが望まれている。
そこで、本発明の一態様は、中性であり、熱安定性およびアルデヒド捕捉能に優れる2価のホスファゼニウム塩およびその製造方法を提供することに向けられている。
R1及びR2は、各々独立して、
水素原子、
炭素数1~20の炭化水素基、
R1とR2とが互いに結合した環構造を表す;
An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表す;
n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。
式(2)で示されるホスファゼニウム塩1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を反応させることを特徴とする製造方法である:
本発明の一態様にかかる2価のホスファゼニウム塩は、式(1)で示される2価のホスファゼニウム塩である:
R1及びR2は、各々独立して、
水素原子、
炭素数1~20の炭化水素基、
R1とR2とが互いに結合した環構造を表す;
An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表す;
n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。
式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、R1とR2とが互いに結合した環構造を表す。
An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表す。
有機スルホン酸、有機ジスルホン酸としては、一般的に知られている有機スルホン酸、有機ジスルホン酸の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよい。
有機スルホン酸としては、例えば、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、高級アルコール硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられる。
有機ジスルホン酸としては、例えば、アルカンジスルホン酸、α-オレフィンジスルホン酸、高級アルコール二硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル二硫酸等が挙げられる。
本発明の一態様にかかる2価のホスファゼニウム塩の製造方法は、上記2価のホスファゼニウム塩の製造方法であって、
式(2)で示されるホスファゼニウム塩1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を反応させることを特徴とする製造方法である:
R1及びR2は、各々独立して、
水素原子、
炭素数1~20の炭化水素基、
R1とR2とが互いに結合した環構造を表す;
X-は、ヒドロキシアニオン、炭素数1~4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。
核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定装置(日本電子社製、(商品名)GSX270WB)を用い、重溶媒に重クロロホルムを使用して、1H-NMRを測定した。
0.01mol/Lのホスファゼニウム塩水溶液をpH試験紙につけ、ホスファゼニウム塩のpHを測定した。
JIS K-1557-5に記載の方法に従い、ポリアルキレンオキシド10gをイソプロパノール/水=10/6混合溶媒(60mL)に溶解し、YOKOGAWA社製pH/ORPメータPH72を使用して、ポリアルキレンオキシドのpHを測定した。
ポリアルキレンオキシド10gをインピンジャー(株式会社末永理化学社製、容量:30ml)に入れ、65℃で2時間加熱しながら、65℃でハイドロカーボントラップ通気済みの窒素ガスを0.5L/minの流速で吹き込んだ。通気後のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジに捕集し、5mlの溶出液を用いて吸着成分を溶出した。溶出液の高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography;HPLC)測定を行い、ポリアルキレンオキシドからのアルデヒド揮発量を測定した。
磁気回転子を付した100mlシュレンク管を窒素雰囲気下とし、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド5.7g(7.4mmol、Sigma-Aldrich社製)、2-プロパノール16mlを加え、25℃で攪拌し溶解させた。攪拌を維持したまま、85重量%水酸化カリウム0.53g(8.1mmol、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドに対して1.1mol当量)を2-プロパノールに溶解した溶液を加えた。25℃で5時間攪拌後、析出した副生塩を濾過により除去することによって、1価のホスファゼニウム塩-Aの2-プロパノール溶液33gが、濃度17質量%、収率98%で得られた。ホスファゼニウム塩-Aは、上記式(2)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、X-がヒドロキシアニオンに相当するホスファゼニウム塩である。得られたホスファゼニウム塩-AのpHは、12(塩基性)であった。
スターラーバーを入れた100ミリリットルのビーカーに、合成例1で得られた1価のホスファゼニウム塩-Aの2-プロパノール溶液95mgおよびメタノール60mlを加え、よく撹拌した。そこへ、ドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール溶液(0.02mol/L)を滴下することによって、中和滴定を行った。
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のホスファゼニウム塩-Aの2-プロパノール溶液50g(11mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、ドデシルベンゼンスルホン酸7.5g(23mmol、1価のホスファゼニウム塩1molに対して2.1mol)を加えた。10分間攪拌を継続後、減圧下で溶媒を除去することによって、目的とする2価のホスファゼニウム塩-Bを得た。2価のホスファゼニウム塩-Bは、上記式(1)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、[An-]mがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩である。得られたホスファゼニウム塩のpHは、7(中性)であった。
スターラーバーを入れた0.2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、合成例1で得られた1価のホスファゼニウム塩-Aの2-プロパノール溶液50g(11mmol)を加えた。そこへ、撹拌を維持しながら、ドデシルベンゼンスルホン酸3.6g(11mmol、1価のホスファゼニウム塩1molに対して1mol)を加えた。10分間攪拌を継続後、減圧下で溶媒を除去することによって、目的とする1価のホスファゼニウム塩-Cを得た。1価のホスファゼニウム塩-Cは、上記式(1)におけるR1がメチル基、R2がメチル基、[An-]mがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩である。得られたホスファゼニウム塩-CのpHは12で、強い塩基性を示すものであった。
Claims (5)
- R1及びR2が、メチル基であり、
An-が、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、または、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)の脱プロトン化体であることを特徴とする請求項1に記載の2価のホスファゼニウム塩。 - 該2価のホスファゼニウム塩の0.01mol/L水溶液のpHが、5以上8以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の2価のホスファゼニウム塩。
- アルデヒド捕捉剤として使用される請求項1~3のいずれか1項に記載の2価のホスファゼニウム塩。
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