JP2012020981A - 保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 塩基性イミノホスファゼニウム塩を、溶解度パラメータ10(cal/cm3)1/2以上であるプロトン性有機溶媒を少なくとも1種類以上含有する溶媒に溶解してなる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液であって、溶解後10日経過した該塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液中の塩基性イミノホスファゼニウム塩を1H−NMRにより測定した際の(2.84〜2.88ppmのピークの積分値/2.80〜3.00ppmの範囲のピークの積分値)×100で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩の残存率が90%以上である保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液。
【選択図】 なし
Description
以下に本発明を詳細に説明する。
そして、塩基性化合物を用いて上記一般式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩を上記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩へイオン交換する方法としては、例えば上記一般式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩を有機溶媒中、塩基性化合物で処理し、上記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩へイオン交換する方法が挙げられる。ここで、塩基性化合物としては、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素化物等を挙げることができ、その中でも、入手が容易で塩基性が強くイオン交換が容易に進行することから、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、ネオペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール等のアルコールを挙げることができ、その中でも、目的とするイオン交換反応の反応率が高くなることから、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノールが好ましい。
本発明の保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液を構成する溶媒は、溶解度パラメータ10(cal/cm3)1/2以上であるプロトン性有機溶媒を少なくとも1種類以上含有する溶媒である。ここで、非プロトン性溶媒、又は、溶解度パラメータ10(cal/cm3)1/2未満のプロトン性有機溶媒のみからなる溶媒である場合、該塩基性イミノホスファゼニウム塩の保存安定性が低下するものとなる。
核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定装置(日本電子社製、(商品名)GSX270WB)を用い、重溶媒に重水を使用して1H−NMRを測定した。2.80〜3.00ppmの範囲のピークの積分値(aとする)中の2.84〜2.88ppmのピークの積分値(bとする)の割合により、塩基性イミノホスファゼニウム塩の残存率を算出した。すなわち、塩基性イミノホスファゼニウム塩の残存率は、次式によって算出した。
塩基性イミノホスファゼニウム塩の残存率(積分%)=(b/a)×100
〜塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液の濃度(単位:重量%)測定〜
微量全窒素分析装置(三菱化学製、(商品名)TN−100)を用い、ヒーター温度T1:600℃、T2:800℃、ガス流量O2:500ml/min、O3:200ml/minの条件で、塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液の窒素濃度(cとする)を測定した。この窒素濃度から、水溶液中の塩基性イミノホスファゼニウム塩の濃度を算出した。すなわち、塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液の濃度は、次式によって算出した。
塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液の濃度(重量%)=c/0.33
合成例1(イミノホスファゼニウム塩の塩化物体の合成)
攪拌翼を付した200mlの4つ口フラスコを窒素雰囲気とし、五塩化リン2.3g(11mmol)とトルエン23mlを加え、−20℃で攪拌した。フラスコ内を−20℃に維持したまま、テトラメチルグアニジン13g(110mmol)を滴下し、−20℃で1時間攪拌を継続した。さらに、110℃に昇温し15時間攪拌を行った。得られた白色懸濁液を濾過し、濾物として白色固体を得た。この白色固体をアセトンに溶解し、濾過を行い、無色透明の濾液を得た。得られた濾液を濃縮し、目的とするイミノホスファゼニウム塩の塩化物体の粗生成物を白色固体として得た。
磁気回転子を付した300mlのシュレンクフラスコに、合成例1で得られたイミノホスファゼニウム塩の塩化物体21g(40mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。そこへ水酸化カリウム2.2g(40mmol)、イソプロパノール80mlを加え、室温中で3時間攪拌した。反応終了後に得られる白色固体を含む懸濁溶液を、濾紙を付した漏斗を用い、減圧下にて濾過を行った。濾液側に目的とする塩基性イミノホスファゼニウム塩のイソプロパノール溶液が得られ、濾物側に副生塩である塩化カリウムが得られた。
磁気回転子を付した100mlのシュレンクフラスコに、合成例2で得られた塩基性イミノホスファゼニウム塩1.5g(3.0mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。そこへ、t−ブタノール1.5g(20mmol)を加え、塩基性イミノホスファゼニウム塩−t−ブタノール溶液とした。詳細を表1に示す。
磁気回転子を付した100mlのシュレンクフラスコに、合成例2において濾過後に得られた塩基性イミノホスファゼニウム塩のイソプロパノール溶液6.2g(3.0mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。減圧下、イソプロパノールの留去をおこない、塩基性イミノホスファゼニウム塩1.5g(3.0mmol)とイソプロパノール1.5g(25mmol)を含有する塩基性イミノホスファゼニウム塩−イソプロパノール溶液を濃縮・調製した。詳細を表1に示す。
t−ブタノール1.5g(20mmol)の代わりに、アセトニトリル1.5g(37mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−アセトニトリル溶液を合成した。詳細を表1に示す。
t−ブタノール1.5g(20mmol)の代わりに、ジメチルスルホキシド1.5g(19mmol)とエタノール1.5g(33mmol)の混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−ジメチルスルホキシド/エタノール混合溶液を合成した。詳細を表1に示す。
t−ブタノール1.5g(20mmol)の代わりに、エタノール1.5g(33mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−エタノール溶液を合成した。詳細を表1に示す。
t−ブタノール1.5g(20mmol)の代わりに、エタノール1.5g(33mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−エタノール溶液を合成し、空気下にさらした。詳細を表1に示す。
t−ブタノール1.5g(20mmol)の代わりに、メタノール1.5g(47mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−メタノール溶液を合成した。詳細の表1に示す。
磁気回転子を付した100mlのシュレンクフラスコに、合成例2で得られた塩基性イミノホスファゼニウム塩1.5g(3.0mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。そこへ、テトラヒドロフラン1.5g(21mmol)を加え、塩基性イミノホスファゼニウム塩−テトラヒドロフラン溶液とした。詳細を表2に示す。
テトラヒドロフラン1.5g(21mmol)の代わりに、ピリジン1.5g(19mmol)を用いた以外は、比較例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−ピリジン溶液を合成した。詳細を表2に示す。
テトラヒドロフラン1.5g(21mmol)の代わりに、ジメチルスルホキシド1.5g(19mmol)を用いた以外は、比較例1と同様の方法を行い、塩基性イミノホスファゼニウム塩−ジメチルスルホキシド溶液を合成した。詳細を表2に示す。
磁気回転子を付した100mlのシュレンクフラスコに、合成例2で得られた塩基性イミノホスファゼニウム塩1.5g(3.0mmol)を加え、フラスコ内を窒素雰囲気とした。10日間放置した後の塩基性イミノホスファゼニウム塩(K)の残存率を1H−NMRにより測定したところ、残存率は28%と低いものであり、固体状態の塩基性イミノホスファゼニウム塩は保存安定性に劣るものであった。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩を、溶解度パラメータ10(cal/cm3)1/2以上であるプロトン性有機溶媒を少なくとも1種類以上含有する溶媒に溶解してなる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液であって、溶解後10日経過した該塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液中の塩基性イミノホスファゼニウム塩を1H−NMRにより測定した際の(2.84〜2.88ppmのピークの積分値/2.80〜3.00ppmの範囲のピークの積分値)×100で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩の残存率が90%以上であることを特徴とする保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液。
- 溶解度パラメータ10(cal/cm3)1/2以上であるプロトン性有機溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、アセトニトリルからなる群より選択されるプロトン性有機溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液。
- 上記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩を、溶解度パラメータ10(cal/cm3)1/2以上であるプロトン性有機溶媒を少なくとも1種類以上含有する溶媒に溶解してなることを特徴とする保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液の製造方法。
- 上記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩が、上記一般式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩を、塩基性化合物又はイオン交換樹脂によってイオン交換を行い得られる塩基性イミノホスファゼニウム塩であることを特徴とする請求項4に記載の保存安定性に優れる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液の製造方法。
- 上記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩と溶解度パラメータが10(cal/cm3)1/2以上であるプロトン性有機溶媒を少なくとも1種類以上含有する溶媒からなる塩基性イミノホスファゼニウム塩溶液とすることを特徴とする塩基性イミノホスファゼニウム塩の保存安定化方法。
- 上記一般式(1)で示される塩基性イミノホスファゼニウム塩が、上記一般式(2)で示されるイミノホスファゼニウム塩を、塩基性化合物又はイオン交換樹脂によってイオン交換を行い得られる塩基性イミノホスファゼニウム塩であることを特徴とする請求項6に記載の塩基性イミノホスファゼニウム塩の保存安定化方法。
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