JP4064507B2 - 硬質表面洗浄用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質表面洗浄用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスの表面に固くこびりついた汚れを除去するためのガラス洗浄剤としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を基剤溶液とし、これに各種補助剤を配合した強アルカリ性洗浄用組成物が知られている。補助剤は、たとえば、グルコン酸(塩);縮合リン酸塩、エチレンジアミン四酢酸等の金属イオン封止剤(キレート剤);ソルビトール;アルミニウム塩、コバルト塩、鉛塩等の各種金属塩;または、界面活性剤等である。しかし、この洗浄用組成物には、アルカリ等の作用でガラス表面を侵食する問題点があった。
【0003】
この問題点の解消を目的として、特開平7−238300号公報には、アルカリ金属水酸化物を主成分とし、これにソルビトールおよびアルミン酸ナトリウムを配合したガラス洗浄用組成物と、この組成物にさらにグルコン酸塩および2−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸塩のうちの少なくとも一方を配合したガラス洗浄用組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のガラス洗浄用組成物は、ソルビトール等の補助剤によりある程度汚れをほぐすので、軽い汚れに対しては、アルカリ金属水酸化物の濃度を低くしたり洗浄時間を短くしたりすることができるため、ガラス表面の侵蝕をある程度抑えることができるが、ひどい汚れや固くこびりついた汚れに対しては、アルカリ金属水酸化物の濃度を低くしたり洗浄時間を短くしたりすると、良い洗浄結果が得られない。ひどい汚れや固くこびりついた汚れに対する洗浄力を上げるためにアルカリ金属水酸化物の濃度を高くしたり洗浄時間を長くしたりすると、今度はガラス表面の侵蝕がひどくなる。前記特開平7−238300号公報に開示のガラス洗浄用組成物についても同様の問題点があり、その洗浄力と、ガラス表面の侵蝕抑制効果は充分なものとは言えなかった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、上記従来の洗浄用組成物と比べて、洗浄力が向上しているとともに、硬質表面をより侵蝕しにくい硬質表面洗浄用組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルカリ金属水酸化物を含む洗浄剤に配合する補助剤として重量平均分子量(Mw)が下記特定範囲のポリカルボン酸(塩)を用いれば、アルカリ金属水酸化物とポリカルボン酸(塩)との相乗作用で洗浄力が向上するとともに、ポリカルボン酸(塩)が硬質表面に保護膜を形成するため、アルカリ金属水酸化物による硬質表面の侵蝕が抑えられることを実験で確認して、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明にかかる硬質表面洗浄用組成物は、アルカリ金属水酸化物のほかに、重量平均分子量1,000以上のポリカルボン酸(塩)を含むとともに、ソルビトールを含み、残部が水であって、前記ポリカルボン酸(塩)がグリオキシル酸(塩)系重合体、ポリアスパラギン(塩)系重合体または(メタ)アクリル(塩)系重合体であり、前記アルカリ金属水酸化物の配合量が組成物全体の1〜10重量%である。
なお、ここで言う「ポリカルボン酸(塩)」には、純粋なポリカルボン酸(塩)だけでなく、その誘導体も含まれる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の硬質表面洗浄用組成物が適用される硬質表面としては、特に限定はされないが、たとえば、ガラス、陶磁器等の硬質表面が挙げられる。
本発明で用いられるアルカリ金属水酸化物としては、特に限定はされないが、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウムがコスト低減の点で好ましい。アルカリ金属水酸化物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0009】
硬質表面洗浄用組成物中、アルカリ金属水酸化物の配合量は、特に限定はされないが、たとえば、組成物全体に対し、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは2〜5重量%の割合である。配合量が0.5重量%未満だと、洗浄力が低下し、洗浄時に組成物を多量に使用する必要が出てくる恐れがあり、50重量%を超えると、高アルカリ性となるため安全性に問題が出る恐れがある。
【0010】
本発明で用いられるポリカルボン酸(塩)の重量平均分子量は1,000以上であり、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上である。ポリカルボン酸(塩)の重量平均分子量が1,000未満だと、洗浄力が低下するとともに、硬質表面の保護膜が形成されにくくなる。
【0011】
ポリカルボン酸(塩)の具体例としては、特に限定はされないが、たとえば、ポリアスパラギン酸(塩)系重合体、グリオキシル酸(塩)系重合体、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体、マレイン酸(塩)系重合体、(メタ)アクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体が、高硬度水での洗浄力が向上する点で好ましい。ポリカルボン酸(塩)は、1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0012】
硬質表面洗浄用組成物中、ポリカルボン酸(塩)の配合量は、特に限定はされないが、たとえば、アルカリ金属水酸化物に対し、好ましくは0.5〜400重量%、より好ましくは1〜100重量%、さらに好ましくは5〜50重量%の割合である。配合量が0.5重量%未満だと、硬質表面侵蝕抑制効果や洗浄性能の向上効果を示さない恐れがあり、400重量%を超えると、添加量増加に見合った効果が期待できない恐れがある。
【0013】
希釈溶媒としては、通常、水が用いられるが、これに限定されず、メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロパノール、メチルエチルケトン等の1種または2種以上の親水性有機溶媒を水と併用してもよい。
硬質表面洗浄用組成物中、希釈溶媒の配合量は、特に限定はされないが、たとえば、組成物全体に対し、好ましくは20〜99重量%、より好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは50〜90重量%の割合である。配合量が20重量%未満だと、粘度が高くなりすぎるため取り扱いが困難になる恐れがあり、99重量%を超えると、硬質表面洗浄用組成物の使用量が多くなり、不便となる恐れがある。
【0014】
本発明の硬質表面洗浄用組成物は、必要に応じ、洗浄力、キレート力等をさらに向上させることが可能な分子量1,000未満の低分子量成分をさらに含んでいてもよい。このような低分子量成分としては、特に限定はされないが、たとえば、ソルビトール、グルコン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、イミノジコハク酸、オキシジコハク酸、ヒドロキシオキシジコハク酸等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0015】
硬質表面洗浄用組成物中、上記低分子量成分の配合量は、特に限定はされないが、たとえば、アルカリ金属水酸化物に対し、好ましくは1〜200重量%、より好ましくは2〜100重量%、さらに好ましくは3〜50重量%の割合である。配合量が1重量%未満だと、添加による洗浄力向上の効果が得られない恐れがあり、200重量%を超えると、添加量増加に見合った効果が期待できない恐れがある。
【0016】
本発明の硬質表面洗浄用組成物は、必要に応じ、その他の成分をさらに含んでいてもよい。その他の成分としては、特に限定はされないが、たとえば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0017】
硬質表面洗浄用組成物中、上記他の成分の配合量は、特に限定はされないが、たとえば、アルカリ金属水酸化物に対し、好ましくは0.1〜200重量%、より好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜30重量%の割合である。配合量が0.1重量%未満だと、添加による洗浄力向上の効果が得られない恐れがあり、200重量%を超えると、泡立ちが多く泡切れが悪いため洗浄工程が長くかかる恐れがある。
【0018】
次に、ポリカルボン酸(塩)の具体例として前述したポリアスパラギン酸(塩)系重合体、グリオキシル酸(塩)系重合体、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体、マレイン酸(塩)系重合体、(メタ)アクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体について説明する。
〔ポリアスパラギン酸(塩)系重合体〕
本発明で用いられるポリアスパラギン酸(塩)系重合体としては、特に限定はされないが、たとえば、下記(A)、(B)のポリアスパラギン酸(塩)系重合体等が挙げられる。
【0019】
(A)下記一般式(1)および/または(2)で示される繰り返し単位と、下記一般式(3)および/または(4)で示される繰り返し単位とを有するポリアスパラギン酸(塩)系重合体。
(B)下記一般式(1)および/または(2)で示される繰り返し単位を主成分とするポリアスパラギン酸(塩)系重合体であって、下記一般式(3)および/または(4)で示される繰り返し単位を少なくとも1個有するポリアスパラギン酸(塩)系重合体。
【0020】
【化1】
【0021】
(但し、一般式(1)および(2)中、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表し、繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよい。)
【0022】
【化2】
【0023】
(但し、一般式(3)および(4)中、R1、R2はそれぞれ2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基、1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し、少なくとも一方は2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基または1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基である。)
以下では、上記(A)、(B)のポリアスパラギン酸(塩)系重合体を、それらの製造方法とともに説明する。
【0024】
通常ポリアスパラギン酸は、アスパラギン酸、マレイン酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、マレアミック酸、マレイミド等の熱縮重合によりポリコハク酸イミドとなり得るモノマーを熱縮重合してポリコハク酸イミドを得て、次いでそれを加水分解することで得られる。ここで、アスパラギン酸としては、DL−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸のいずれも使用可能である。
【0025】
ポリアスパラギン酸(塩)系重合体は、例えば、
(方法1)熱縮重合によりポリコハク酸イミドとなりうるモノマーと下記一般式(5)で示される化合物とを熱縮重合して変性ポリコハク酸イミドを得た後、かかる変性ポリコハク酸イミドを加水分解するか、あるいは、
(方法2)熱縮重合によりポリコハク酸イミドとなりうるモノマーを熱縮重合して得られたポリコハク酸イミド系重合体に下記一般式(5)で示される化合物を反応させて変性ポリコハク酸イミドを得た後、かかる変性ポリコハク酸イミドを加水分解する、
ことにより得られる。
【0026】
【化3】
【0027】
(但し、一般式(5)中、R1、R2はそれぞれ2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基、1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し、少なくとも一方は2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基または1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基である。)
ポリコハク酸イミドの繰り返し単位:
【0028】
【化4】
【0029】
を加水分解することにより、一般式(1)および/または(2)で示される、ポリアスパラギン酸の繰り返し単位が得られる。ポリアスパラギン酸(塩)系重合体は、一般式(1)および/または(2)で示される繰り返し単位を含むものであり、主成分としていてもよい。「主成分」とは、一般式(1)および(2)で示される繰り返し単位の合計量が全体の50mol%以上であることをいう。水溶性を高めるためには、全体の60mol%以上であることが好ましく、80mol%以上であることがより好ましい。一般式(1)と(2)の割合としては特に限定されず、加水分解の条件等により異なってくるが、通常モル比で1:99〜99:1程度の範囲で使用可能である。一般式(1)および(2)におけるMは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基であり、繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよい。これらの中で、加水分解の速度が速いという点からアルカリ金属原子が好ましい。加水分解の際に用いる加水分解剤の種類等を選択することにより、Mをいずれの原子または基とするかを調整することができる。
【0030】
Mの一例であるアルカリ金属原子としては、特に限定はされないが、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができ、これらのアルカリ金属原子が1種または2種以上使用される。
Mの他の例であるアルカリ土類金属原子としては、特に限定はされないが、たとえば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等を挙げることができ、これらのアルカリ土類金属原子が1種または2種以上使用される。
【0031】
Mの他の例である有機アミン基としては、特に限定はされないが、たとえば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができ、これらの有機アミン基が1種または2種以上使用される。
ポリアスパラギン酸(塩)系重合体は、一般式(3)および/または(4)で示される繰り返し単位を含むものであり、少なくとも1個有することを特徴とする。上記(方法1)および(方法2)において、一般式(5)で示される化合物を用いることにより、ポリマー中に一般式(3)および/または一般式(4)で示される繰り返し単位を形成することができるが、もちろんこれらの製造方法には限定されない。一般式(3)と(4)の関係は、上記一般式(1)と(2)の関係と同様であり、一般式(3)と(4)の割合は特に限定されず、通常モル比で1:99〜99:1程度の範囲で使用可能である。
【0032】
一般式(3)および(4)において、R1およびR2のうちの少なくとも一方が、2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基または1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基であることが重要であり、これによって、疎水性付与という効果を奏して洗浄力が向上する効果がある。2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基としては、ナフタレン環、アントラセン環等の2個以上のベンゼン環が縮合した多環式のベンゼン環を有する有機基や、縮合していないベンゼン環を単独で2個以上有している有機基や、これらの組み合わせを挙げることができる。1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基としては、複素環がベンゼン環と縮合している有機基を挙げることができる。具体的には、後で一般式(5)で示される化合物として例示されている化合物の残基(R1、R2)が挙げられる。
【0033】
一般式(3)および(4)において、R1およびR2のうちの一方のみが、2個以上のベンゼン環を有する芳香族化合物から誘導された有機基または1個以上のベンゼン環を有する複素環式化合物から誘導された有機基である場合、他方は、水素または炭素数1〜2のアルキル基である。
一般式(3)および/または(4)で示される繰り返し単位がポリマー中に少なくとも1個あれば前記効果を奏することが可能であるが、一般式(3)および(4)で示される繰り返し単位の合計量が0.01mol%以上であることが好ましく、0.1mol%以上であることがより好ましい。また、上限としては、カルボン酸量の低下を防ぐという理由から、20mol%以下であることが好ましく、15mol%以下であることがより好ましい。
【0034】
ポリアスパラギン酸(塩)系重合体の分子量は、反応温度、反応時間、酸触媒の有無やその量などの反応条件を調節することにより制御することが可能である。
次に、ポリアスパラギン酸(塩)系重合体の製造方法についてさらに詳細に説明する。以下の説明において特に断りがない限り、方法1および方法2に共通の事項である。
【0035】
熱縮重合時には、アミノ酸や、2以上の官能基を有する多官能モノマーを共重合してもよい。このようなアミノ酸の例としては、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、システン、システイン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、α−アミノ−アジピン酸、アミノマロン酸、α−アミノ−セバシン酸、α−メチルグルタミン酸、β,β−ジメチルアスパラギン酸、オルニチン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、β−アラニン、β−フェニルアラニン、β−アミノ酪酸、α−メチル−β−アミノプロピオン酸、イソセリン、β−チロシン、タウリン等が挙げられ、また多官能モノマーとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類、ジエチレントリアミン等のポリアミン類、コハク酸等のジカルボン酸類、ポリカルボン酸類等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いてもよい。この場合、アミノ酸や2つ以上の官能基を有する多官能モノマーの量としては、全体のうちの50重量%未満であることが好ましい。これよりも多いと水溶性が低下し、水に溶解しなくなるおそれがある。
【0036】
熱縮重合反応は、原料の混合物を好ましくは110〜300℃、より好ましくは150〜270℃の温度に加熱することにより行われる。熱縮重合反応の時間は、反応温度、反応圧力、装置の形式等の条件により異なるが、通常1分〜12時間必要である。加熱を行う装置は、特に制限はないが、例えば原料の混合物を均一に加熱できるような回分式ミキサーや連続式ミキサーが挙げられる。
【0037】
熱縮重合反応は、生成する水を反応系外に除去することができれば常圧で問題なく行うことができるが、生成する水をより効率よく除去するためには減圧下で行ってもよい。
熱縮重合反応の際には、必要に応じて熱縮重合触媒を用いてもよい。熱縮重合触媒としては、燐酸、五酸化燐、ポリ燐酸、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、亜燐酸、次亜燐酸/硝酸、亜硝酸/硫酸、亜硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸/塩酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸/臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸/ヨウ素酸/モリブデン酸、タングステン酸、硫化水素、臭化水素、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0038】
また、熱縮重合は無溶媒で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラリン、ドデシルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒が挙げられる。
【0039】
一般式(5)で示される化合物としては、例えば、1−ナフチルアミン−2−スルホン酸、1−ナフチルアミン−3−スルホン酸、1−ナフチルアミン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−7−スルホン酸、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、2−ナフチルアミン−4−スルホン酸、2−ナフチルアミン−5−スルホン酸、2−ナフチルアミン−6−スルホン酸、2−ナフチルアミン−7−スルホン酸、2−ナフチルアミン−8−スルホン酸等のナフチルアミンスルホン酸;1−ナフチルアミン−2,4−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−2,5−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−2,7−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−2,8−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−3,5−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−3,6−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−3,7−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−3,8−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−4,6−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−4,7−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−4,8−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−5,7−ジスルホン酸、1−ナフチルアミン−5,8−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−1,5−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−1,6−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−1,7−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−3,6−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−3,7−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−4,7−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−4,8−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−5,7−ジスルホン酸、2−ナフチルアミン−6,8−ジスルホン酸等のナフチルアミンジスルホン酸;1−ナフチルアミン−2,4,6−トリスルホン酸、1−ナフチルアミン−2,4,7−トリスルホン酸、1−ナフチルアミン−2,5,7−トリスルホン酸、1−ナフチルアミン−3,5,7−トリスルホン酸、1−ナフチルアミン−3,6,8−トリスルホン酸、1−ナフチルアミン−4,6,8−トリスルホン酸等のナフチルアミントリスルホン酸;1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−6−スルホン酸、5−アミノ−1−ナフトール−2−スルホン酸、1−アミノ−7−ナフトール−3−スルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−4−スルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−3−ナフトール−6−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、2−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸等のアミノナフトールスルホン酸;1−アミノ−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−3,5−ジスルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−4,6−ジスルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−5,7−ジスルホン酸、2−アミノ−1−ナフトール−4,8−ジスルホン酸、2−アミノ−8−ナフトール−3,6−ジスルホン酸等のアミノナフトールジスルホン酸;1−アミノ−2−エトキシナフタレン−6−スルホン酸等のアミノエトキシナフタレンスルホン酸;2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、1−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール等のアミノナフトール;1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1−ナフチルメチルアミン、2−ナフチルメチルアミン等のナフチルアミン類;さらに以下については置換基(アミノ基)の位置はそれぞれの化合物において多数存在するため省略するが、アミノアゾナフタレン:ナフチルエチルアミン;アミノアクリジン;アミノアクリドン;アミノキノリン;アミノイソキノリン;アミノフェナントレン;アミノフルオレン;アミノアントラセン;アミノフルオレノン;アミノピレン;アミノフルオランテン;アミノフルオロセイン;アミノクマリン;アミノメトキシジベンゾフラン;ジアミノナフタレン;ジアミノナフタレンスルホン酸;ジアミノナフタレンジスルホン酸;アミノアントラキノン;アミノヒドロキシアントラキノン;アミノクロルアントラキノン;アミノブロムアントラキノン;アミノブロムアントラキノンスルホン酸;アミノメチルアントラキノン;アミノブロムヒドロキシアントラキノン;C.I.Acid Blue 25、C.I.Acid Yellow 7等のアミノ基を有するアントラキノン染料;等が挙げられる。
【0040】
一般式(5)で表される化合物の量としては、ポリマー1分子中に、一般式(3)および/または(4)で示される繰り返し単位が1個以上となるように設計すればよいが、好ましくは熱縮重合によりポリコハク酸イミドとなりうるモノマーまたはそれらを熱縮重合して得られたポリコハク酸イミド系重合体に対して0.1重量%以上である。
【0041】
方法1においては、熱縮重合によりポリコハク酸イミドとなりうるモノマーと一般式(5)で示される化合物および必要に応じてその他の原料を混合等した後、熱縮重合される。特に、モノマーとしてアスパラギン酸を用い、かつ、溶媒を用いない場合は、一般式(5)で示される化合物として、下記一般式(6):
【0042】
【化5】
【0043】
(但し、一般式(6)中、R3、R4、R5はそれぞれスルホン酸基または水素を表し、少なくとも1つはスルホン酸基である。R6は水素または水酸基を表す。)
で示される化合物(ナフチルアミン(モノ、ジ、トリ)スルホン酸)や、アミノナフトール(モノ、ジ)スルホン酸であって、その塩が水溶性を示すものを用いることが好ましい。この場合、アスパラギン酸の塩と一般式(6)で示される化合物の塩とを含む水溶液に酸を加えて結晶を析出させる前処理工程を行った後、熱縮重合を行うことが好ましい。このような前処理工程を行うことによりアスパラギン酸と一般式(5)で示される化合物が結晶中で均一に混合される。この場合の塩の塩基としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどが挙げられ、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、マレイン酸、フマル酸、アスパラギン酸などを使用することができる。
【0044】
方法2においては、熱縮重合によりポリコハク酸イミドとなりうるモノマーと必要に応じてその他のモノマーを原料とを熱縮重合してポリコハク酸イミド系重合体を得た後、該ポリコハク酸イミド系重合体と一般式(5)で示される化合物とを反応させる。ポリコハク酸イミド系重合体と一般式(5)で示される化合物の反応は、好ましくは溶媒中で行われる。溶媒としては、エチレングリコール等の上述の熱縮重合時に用いられる溶媒と同様の溶媒が使用される。また反応は好ましくは20〜300℃、より好ましくは40〜270℃の温度に加熱することにより行われる。溶媒としてエチレングリコールやプロピレングリコール等のOH基を有する溶剤を使用した場合、一般式(5)で示される化合物としては、反応性の点からは特に限定されないが、コストの点からはナフタレン系やアントラキノン系の化合物が好ましい。ジメチルホルムアミド等の上記以外の溶剤を用いる場合には、反応性の高いアミンを用いることが好ましく、例えば、ナフタレンメチルアミン等が挙げられる。
【0045】
変性ポリコハク酸イミドの加水分解は、ポリコハク酸イミドの公知の加水分解法と同様に行うことができる。加水分解に使用される加水分解剤としては、酸化合物、アルカリ化合物を挙げることができる。酸化合物としては塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸が好ましく、またアルカリ化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物;または炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンが好ましい。
〔グリオキシル酸(塩)系重合体〕
本発明で用いられるグリオキシル酸(塩)系重合体としては、特に限定はされないが、下記一般式(7)で示されるグリオキシル酸構造単位を分子内に有する重合体等が挙げられる。
【0046】
【化6】
【0047】
上記グリオキシル酸構造単位はグリオキシル酸に由来する構造単位である。上記一般式(7)中、Mの具体例や、その好ましいもの等は前記式(1)および(2)中のものと同じである。
グリオキシル酸構造単位のグリオキシル酸(塩)系重合体中での割合については、特に限定はないが、グリオキシル酸(塩)系重合体全体に対し、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。グリオキシル酸構造単位の割合が30重量%未満であると、生分解性が低下したり、金属イオンキレート能の低下により洗浄力が低下したりする恐れがある。
【0048】
グリオキシル酸(塩)系重合体は、グリオキシル酸構造単位のみからなる単独重合体であってもよく、また、グリオキシル酸構造単位と他の構造単位とを含む共重合体であってもよい。他の構造単位としては、たとえば、アルキレングリコール、アルキルアルコール、芳香族アルコール等の化合物に由来する構造単位を挙げることができ、これらの構造単位は1種のみ存在するほか、2種以上共存することもできる。これらのうち、他の構造単位としては、アルキレングリコールに由来する構造単位(アルキレングリコール構造単位)が相溶性、無機粒子の汚れに対する洗浄力向上の点で好適である。
【0049】
グリオキシル酸(塩)系重合体が共重合体の場合は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよいが、好ましいものの一例として、複数のグリオキシル酸構造単位からなるポリグリオキシル酸構造単位と、複数のアルキレングリコール構造単位からなるポリアルキレングリコール構造単位を含む、以下に詳しく述べるブロック共重合体を挙げることができる。
【0050】
ここに言うブロック共重合体は、下記一般式(8)で示されるポリグリオキシル酸構造単位と、下記一般式(9)で示されるポリアルキレングリコール構造単位とを含むブロック共重合体である。
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
上記一般式(8)のポリグリオキシル酸構造単位は、グリオキシル酸が重合したポリグリオキシル酸に由来する構造単位である。式(8)中、yの平均値は10以上であり、好ましくは15以上である。yの平均値が10未満であると、洗浄力が低下したり、硬質表面の侵蝕防止効果が低下したりする。また、式(8)中のMの具体例や、その好ましいもの等は前記式(1)および(2)中のものと同じである。
【0054】
上記一般式(9)のポリアルキレングリコール構造単位は、ポリアルキレングリコールに由来する構造単位である。式(9)中、nは2〜4の整数、xの平均値は5以上である。nは2〜4の整数であれば特に限定はなく、したがって、n=2であるポリエチレングリコール構造単位、n=3であるポリプロピレングリコール構造単位、n=4であるポリブチレングリコール構造単位のいずれでもよいが、水に対する溶解性の点からは、n=2のポリエチレングリコール構造単位が好ましい。xの平均値は5以上であり、好ましくは10以上である。xの平均値が5未満であると、相溶性が低下する。
【0055】
上記ブロック共重合体中のポリグリオキシル酸構造単位の割合は、グリオキシル酸(塩)系重合体について前述したものと同じである。
上記ブロック共重合体の各構造単位の配列は、ポリアルキレングリコール構造単位を「a」と表し、ポリグリオキシル酸構造単位を「b」と表すと、下記▲1▼〜▲4▼の配列に大別される。
【0056】
▲1▼ ab型ブロック共重合体
▲2▼ bab型ブロック共重合体
▲3▼ aba型ブロック共重合体
▲4▼ 前記▲1▼〜▲3▼を繰り返したブロック共重合体
グリオキシル酸(塩)系重合体は、好適には以下の方法で得られるが、これ以外の製造方法で得られたものであっても良い。
【0057】
グリオキシル酸(塩)系重合体は、たとえば、グリオキシル酸アルキルエステルを、アルコールおよび触媒の存在下で、アルコールを開始点として重合させた後、アルカリ性物質でケン化反応させることによって得られる。
アルコールとしては特に限定はなく、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール等の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の二価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコール類を挙げることができ、1種または2種以上使用される。これらのうち、ポリアルキレングリコール類を用いた場合、得られる重合体は、上記ブロック共重合体となる。
【0058】
グリオキシル酸アルキルエステルとしては、たとえば、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸n−プロピル、グリオキシル酸iso−プロピル、グリオキシル酸n−ブチル、グリオキシル酸iso−ブチル、グリオキシル酸sec−ブチル、グリオキシル酸tert−ブチル等を挙げることができ、1種または2種以上使用される。
【0059】
上記重合の触媒としては特に限定はないが、好ましいものとして、カチオン重合触媒、アニオン重合触媒等を挙げることができる。カチオン重合触媒としては、たとえば、三フッ化ホウ素エーテラート(BF3 ・Et2 O)、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。アニオン重合触媒としては、たとえば、ジエチル亜鉛、n−ブチルリチウム等の有機金属化合物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属化合物;トリエチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン等のアミン;ソジオメチルマロネートエステル;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド等を挙げることができる。グリオキシル酸アルキルエステルの重合には、一般にアニオン重合触媒を用いたほうが、重合体の分子量の制御が容易であり好ましい。触媒の使用量については特に限定はなく、触媒の種類により異なるが、たとえば、アミン触媒では、グリオキシル酸アルキルエステルに対して0.001〜10重量%である。
【0060】
上記重合の反応温度は、反応条件によって異なり、用いられる触媒や溶媒の種類により適宜定められ、特に限定はないが、通常は−50〜50℃の範囲内で行われる。−50℃より低い温度であれば冷却を行うのが困難であり、50℃を超える温度では収率が低下する。
グリオキシル酸アルキルエステルの重合は、溶媒を使用した溶液重合、無溶媒系の塊状重合のいずれでもよい。なお、溶液重合は回分式、連続式のいずれの方式でも行うことができる。
【0061】
溶液重合で使用される溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香属炭化水素;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物等を挙げることができる。これらのうち、トルエン、酢酸メチル、ジオキサンおよびアセトンからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0062】
上記のようにして、グリオキシル酸アルキルエステルを重合させると、エステル基が主鎖にペンダントした構造の重合体が得られる。これをグリオキシル酸(塩)系重合体に変換するため、アルカリ性物質でケン化反応させる。
アルカリ性物質としては、たとえば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を挙げることができる。これらのアルカリ性物質は1種または2種以上を使用することができる。アルカリ性物質の使用量については特に限定はないが、グリオキシル酸アルキルエステルに対して1.0〜2.0(モル比)であると好ましい。さらに好ましくは1.1〜1.5である。
【0063】
ケン化反応は、アルカリ性物質を含む水溶液中で、反応温度0〜100℃、さらに好ましくは20〜70℃で行う。
ケン化反応によって得られるカルボン酸のアルカリ金属塩からなる基を、さらにイオン交換法等によって、必要に応じて、カルボン酸アンモニウム塩からなる基や、カルボキシル基に容易に変換することができる。
〔(メタ)アクリル酸(塩)系重合体、マレイン酸(塩)系重合体および(メタ)アクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体〕
(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、下記一般式(10)で示されるアクリル酸構造単位および下記一般式(11)で示されるメタクリル酸構造単位のうちのいずれか一方または両方を必須とする重合体であり、マレイン酸(塩)系重合体は、下記一般式(12)で示されるマレイン酸構造単位を必須とする重合体であり、(メタ)アクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体は、下記一般式(10)で示されるアクリル酸構造単位および下記一般式(11)で示されるメタクリル酸構造単位のうちのいずれか一方または両方と、下記一般式(12)で示されるマレイン酸構造単位とを必須とする重合体である(以下、これら3種の重合体を「不飽和カルボン酸(塩)系重合体」と総称する)。
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
上記式(10)のアクリル酸構造単位はアクリル酸に由来する構造単位であり、上記式(11)のメタクリル酸構造単位はメタクリル酸に由来する構造単位であり、上記式(12)のマレイン酸構造単位はマレイン酸に由来する構造単位である(以下、これらの構造単位を「不飽和カルボン酸構造単位」と総称する)。上記式(10)〜(12)中、Mの具体例および好ましいもの等は、前記式(1)および(2)中のものと同じである。
【0068】
不飽和カルボン酸(塩)系重合体中、不飽和カルボン酸構造単位の割合については、特に限定はないが、不飽和カルボン酸(塩)系重合体全体に対し、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。不飽和カルボン酸構造単位の割合が30重量%未満であると、金属イオンキレート能が低下し、洗浄力が低下する恐れがある。
【0069】
不飽和カルボン酸(塩)系重合体は、1種類の不飽和カルボン酸構造単位のみの単独重合体であってもよく、また、2種類以上の不飽和カルボン酸構造単位を含む共重合体や、不飽和カルボン酸構造単位と他の単量体構造単位とを含む共重合体であってもよい。他の単量体構造単位としては、特に限定はされないが、たとえば、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ナフトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アリルアルコール、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の他の単量体に由来する構造単位を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。
【0070】
不飽和カルボン酸(塩)系重合体が共重合体の場合は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。
不飽和カルボン酸(塩)系重合体の製造方法については、特に限定はなく、任意の方法で製造できる。その好ましい一例として、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸を、ラジカル重合開始剤の存在下で、必要に応じて上記他の単量体とともに、重合させる方法がある。さらに必要に応じて、得られた重合体のカルボキシル基を、カルボン酸のアルカリ金属塩からなる基や、イオン交換法等によってカルボン酸アンモニウム塩からなる基に変換して、不飽和カルボン酸(塩)系重合体を製造してもよい。
【0071】
【実施例】
以下に本発明のさらに具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、下記例中、特に断らない限り、量の単位「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ示す。
まず、実施例で使用するポリカルボン酸(塩)を以下の調製例により、準備した。
<調製例1>
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、コンデンサー、滴下漏斗を備えたガラス製反応器にトルエン80ml、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:4,400)33g、重合触媒としてビリジン12μlを供給した。新たに蒸留したグリオキシル酸メチル50gを30分を要して前記反応器に滴下した。なお、グリオキシル酸メチル滴下中、反応器を冷却して反応温度を約40℃以下に制御した。
【0072】
反応混合物を20℃に冷却し、三フッ化ホウ素エーテラート0.03gを加え、10分間攪拌して完全に溶解させた。ついでエチレンオキシド1.0gとトルエン10mlとの混合液を30分間で添加した。添加終了後、さらに60分間攪拌を継続して安定化エステル重合体を製造した。なお、上記の各操作はすべて窒素雰囲気下、非水系で行った。
【0073】
得られた安定化エステル重合体を含む反応溶液に、重合に使用したグリオキシル酸メチルの1.2倍モルの水酸化ナトリウムを加えてケン化反応を行った。得られた生成物の溶液からトルエン、メタノールを除くことにより、Mw(重量平均分子量)10,000のグリオキシル酸(塩)系重合体を含むポリマー水溶液を得た。
<調製例2>
調製例1において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:4,400)33gの代わりにポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:1,000)10gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、Mw5,000のグリオキシル酸(塩)系重合体を含むポリマー水溶液を得た。
<調製例3>
DL−アスパラギン酸を250℃で1時間加熱することにより得られたポリコハク酸イミド6gに、ジメチルホルムアミド16gを加え溶解させた。そこに、1−ナフチルメチルアミン0.629gを加え、100℃で3時間加熱撹拌した。次に、大量のメタノール中に投入した。生成した沈澱をろ過分別し、50℃の減圧乾燥機中で乾燥した後、水に分散させ48%水酸化ナトリウム水溶液で加水分解を行うことにより、Mw3,000のポリアスパラギン酸(塩)系重合体を得た。
<調製例4>
攪拌装置、温度計、コンデンサー、滴下漏斗を備えたガラス製反応器に、水100gを入れ、沸点まで昇温した後、30%メタクリル酸ナトリウム水溶液80gおよび10%過硫酸ナトリウム水溶液2.3gを2時間に渡って沸点下で滴下することにより、Mw5,000のメタクリル酸(塩)系重合体を含む水溶液を得た。
<調製例5>
Mw5,000のアクリル酸(塩)系重合体として(株)日本触媒製アクアリックDL−40を用いた。
<調製例6>
Mw60,000のアクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体として(株)日本触媒製アクアリックTL−300を用いた。
<参考例1〜5、実施例1〜3および比較例1〜2>
表1に示す配合の硬質表面洗浄用組成物を調製した。その際、各組成物が全体で100gとなるようにイオン交換水で希釈した。
【0074】
以上で得られた各硬質表面洗浄用組成物に炭酸カルシウムをその濃度が200ppmになるように添加して硬度を調整したものについて、洗浄効率とガラス表面の侵蝕性を以下の試験方法で評価した。
(1)洗浄効率試験
珪藻土を分散した水溶液をガラス板上に均一に塗布した後110℃で8時間加熱乾燥したものを試験片(人工汚垢)とした。この試験片を、80℃に加熱した各硬質表面洗浄用組成物中に10分間浸漬した後、取り出し、温水中に浸漬して濯ぎ、その後、乾燥させた。この試験片の表面の汚れ残量を光沢度計で測定し、得られた測定値と洗浄前の光沢度の測定値から下記式に従って洗浄効率を求めた。
【0075】
【数1】
【0076】
(2)侵蝕性試験
一定の大きさのガラス板の表面を充分に洗浄し、乾燥したものを試験片とした。この試験片を80℃に加熱した各硬質表面洗浄用組成物中に72時間浸漬した後、さらに希塩酸水溶液中に短時間浸漬して酸洗いし、次いで、温水で充分濯いだ後、乾燥させ、その重量を化学天秤で測定した。得られた測定値と、硬質表面洗浄用組成物への浸漬前の試験片の重量から、下記式に従って侵蝕率を求めた。
【0077】
【数2】
【0078】
結果を表2に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
表2にみるように、ポリカルボン酸(塩)を配合した実施例の硬質表面洗浄用組成物は、比較例のものと比べて、侵蝕率を大幅に低下させながら、高い洗浄効率を示すことがわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の硬質表面洗浄用組成物は、アルカリ金属水酸化物を含む洗浄剤に配合する補助剤として重量平均分子量が前記特定範囲のポリカルボン酸(塩)が用いられているため、アルカリ金属水酸化物のアルカリ作用とポリカルボン酸(塩)のキレート作用との相乗効果により洗浄力が向上している。そのため、ひどい汚れや固くこびりついた汚れに対しても、優れた洗浄力を発揮できる。したがって、アルカリ金属水酸化物の濃度を高くしたり洗浄時間を長くしたりする必要がないので、アルカリ金属水酸化物による硬質表面の侵蝕が抑えられる。しかも、ポリカルボン酸(塩)が硬質表面に保護膜を形成するので、アルカリ金属水酸化物の濃度が高かったり洗浄時間が長かったりしても、アルカリ金属水酸化物による硬質表面の侵蝕を防ぐことができる。
Claims (2)
- アルカリ金属水酸化物のほかに、重量平均分子量1,000以上のポリカルボン酸(塩)を含むとともに、ソルビトールを含み、残部が水であって、前記ポリカルボン酸(塩)がグリオキシル酸(塩)系重合体、ポリアスパラギン(塩)系重合体または(メタ)アクリル(塩)系重合体であり、前記アルカリ金属水酸化物の配合量が組成物全体の1〜10重量%である、硬質表面洗浄用組成物。
- 前記ポリカルボン酸(塩)の配合量が、前記アルカリ金属水酸化物に対し、5〜50重量%の割合である請求項1に記載の硬質表面洗浄用組成物。
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