JP2012095940A - 脈拍数測定方法及び血中酸素飽和度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体の組織を透過又は反射した光を受光した受光素子による受光信号の波形のピーク間もしくはボトム間の時間幅を測定し、時間幅に基づいて脈拍推定値を算出する時間幅測定工程と、受光信号の周波数解析によってスペクトル分布を計算し、スペクトル分布に基づいて脈拍推定値を算出するスペクトル分布計算工程と、時間幅測定工程及びスペクトル分布計算工程のそれぞれにおける、現時刻の脈拍推定値と前時刻までの脈拍推定値との重み付き平均により脈拍数を算出する脈拍数算出工程と、を有し、時間幅測定工程、スペクトル分布計算手段、及び脈拍数算出工程を逐次実行することにより、時系列の脈拍推定値及び脈拍数を得る。
【選択図】図1
Description
また、従来のパルスオキシメータでは、赤色光及び赤外光のそれぞれの信号波形に対するピーク値及びボトム値を読み取ることにより、両者の比から血中酸素飽和度を求めている。
しかし、この方法は、加速度センサを別に設ける必要があり、装置のコストアップにつながること、及び、加速度センサから検出された信号が必ずしも体動を忠実に表しているとは限らないことから、雑音抑制の効果が限定的であるなどの問題がある。
この方法では、LED発光の点滅周波数を脈拍周波数より十分高く設定し、その点滅周波数近傍の周波数成分を抽出するフィルタと、それより低い周波数成分を抽出するフィルタを用い、後者により体動の周波数スペクトル成分を得て、それを前者から取り除くことによって脈拍情報を得るものである。
例えば、あるレベル以上のスペクトルピークが複数存在する場合には体動の影響があると判断し、前時刻で推定された脈拍スペクトルピークに周波数及びピーク値として近いものを選択する方法(特許文献3)や、脈拍信号の周波数スペクトピークが互いに倍音関係にあることを用いて、体動の周波数スペクトルピークと区別するする方法(特許文献4)が提案されている。
しかし、いずれの方法も、体動の影響が大きくなり一旦脈拍のスペクトルピークを追跡し損なうと、正しい脈拍ピークへの復帰が難しく、安定した脈拍推定が困難になるという問題がある。
本発明は、LEDを照射した生体の血管組織からの透過光及び/又は反射光を利用した脈拍及び血中酸素飽和度の計測において、体動下でも安定かつ高精度な測定を可能にする信号処理方式を提供するものである。
具体的な処理の流れは下記のとおりである。
パルス発生器101からのパルス信号はアンプ102で増幅され、このパルス信号によりLED(Light Emitting Diode)103が駆動される。LED103は、一定の周波数(例えば200Hz)で測定対象物S側へ発光する。受光素子104は、指や耳たぶなどの生体内血管組織Sを通過又は反射した光を受光する。脈拍にあわせて血管断面積が変化しそれに応じて光の減衰量が変わるため、受光素子104が受光した光は生体内血管組織Sにおける脈波に対応した振幅が生じる。
窓関数演算回路111は、ダウンサンプリングされた信号109(ステップS100)に窓関数を乗じる(ステップS101)。この演算結果に対して、FFT回路112は、例えば5秒の時間幅に切り出した後、FFT(高速フーリエ変換)を実行する(ステップS102)。つづいて、スペクトル分布計算回路113が、高速フーリエ変換された信号から周波数スペクトル分布(スペクトル分布1)を算出する(ステップS103、スペクトル分布計算工程)。このような短時間周波数解析によって算出された周波数スペクトル分布の例を図4に示す。また、スペクトル分布計算回路113は、算出したスペクトル分布に基づいて脈拍推定値を算出する。
したがって、ステップS113において、脈波のスペクトル分布の最大ピーク周波数から脈拍数を算出している。
以上の処理を一定の時間間隔(例えば0.5秒毎)で繰り返し計算していくことにより、時系列の脈拍推定値及び脈拍数を時系列データとして得ることができる。
パルス発生器101からは、赤外光用と赤色用のパルス信号が出力され、アンプ202a、202bでそれぞれ増幅される。増幅されたパルス信号により、赤外域の発光のためのLED203aと赤色発光のためのLED203bが駆動される。これらのLED203a、203bは、一定の周波数(例えば200Hz)で測定対象物S側へ発光する。赤外光用の受光素子204a及び赤色光用の受光素子204bは、指や耳たぶなどの生体内血管組織Sを通過又は反射した赤外光及び赤色光をそれぞれ受光する。
窓関数演算回路111は、ダウンサンプリングされた信号210(ステップS200)に窓関数を乗じる(ステップS201)。この演算結果に対して、FFT回路112は、例えば5秒の時間幅に切り出した後、FFT(高速フーリエ変換)を実行する(ステップS202)。つづいて、スペクトル分布計算回路113が、高速フーリエ変換された信号から周波数スペクトル分布を算出する(ステップS203)。算出された周波数スペクトル分布の例を図9に示す。図9において、IRスペクトル分布は赤外光のスペクトル分布、Rスペクトル分布は赤色光のスペクトル分布である。
前時刻の血中酸素飽和度に近いピークがある場合(ステップS207でYES)、倍音選択・平均化回路216は、そのピークのみを1〜2個選択する(ステップS208)。
前時刻の血中酸素飽和度に近いピークがない場合(ステップS207でNO)、倍音選択・平均化回路216は、倍音関係にあるピークは体動の影響を受けていると判断して、血中酸素飽和度が高いピークを赤外光と赤色光についてそれぞれ選択する(ステップS211)。
倍音選択・平均化回路216は、算出した平均から最終的な血中酸素飽和度を決定する。ただし、各倍音ピークから推定された血中酸素飽和度において、定められたレベルよりも低い値をとる場合には、その倍音ピークは体動の影響を受けていると判断し、平均化の計算から除外する。スペクトル分布の計算までは前述の脈拍推定とほぼ共通しているので、例えば赤色光の方を脈拍推定と血中酸素飽和度推定について共通化してもよい。
また、ディジタル信号処理だけで測定を実現しているため、既存装置のソフトウェアの入れ替えだけで上記高性能化が可能であり低コストである。さらに、アルゴリズムがシンプルなため、固定小数点のCPUでも実装可能である。
102、105 アンプ
103 LED
104 受光素子
106 A/D変換器
107 DCカット回路
108 LPF
110 脈拍検出部
111 窓関数演算回路
112 FFT回路
113、115 スペクトル分布計算回路
114 時間幅測定回路
116 加算回路
117 遅延回路
118 ピーク検出回路
202a、202b アンプ
203a、203b LED
204a、204b 受光素子
205a、205b アンプ
207 AC・DC分離器
208 AC/DC計算回路
214a IR倍音ピーク選択回路
214b R倍音ピーク選択回路
215 R/IR比計算回路
216 倍音選択・平均化回路
Claims (9)
- 生体の組織を透過又は反射した光を受光した受光素子による受光信号の波形のピーク間もしくはボトム間の時間幅を測定し、前記時間幅に基づいて脈拍推定値を算出する時間幅測定工程と、
前記受光信号の周波数解析によってスペクトル分布を計算し、前記スペクトル分布に基づいて脈拍推定値を算出するスペクトル分布計算工程と、
前記時間幅測定工程及び前記スペクトル分布計算工程のそれぞれにおける、現時刻の脈拍推定値と前時刻までの脈拍推定値との重み付き平均により脈拍数を算出する脈拍数算出工程と、
を有し、
前記時間幅測定工程、前記スペクトル分布計算手段、及び前記脈拍数算出工程を逐次実行することにより、時系列の脈拍推定値及び脈拍数を得ることを特徴とする脈拍数測定方法。 - 生体の組織を透過又は反射した光を受光した受光素子による受光信号の波形のピーク間もしくはボトム間の時間幅を測定し、それに対応する倍音スペクトル分布を生成する時間幅測定工程と、
前記受光信号の周波数解析によってスペクトル分布を計算するスペクトル分布計算工程と、
現時刻における前記倍音スペクトル分布、現時刻における前記スペクトル分布、並びに、前時刻までに得られた前記倍音スペクトル分布及び前記スペクトル分布の重み付き平均をとることによりスペクトル分布を更新するスペクトル分布更新工程と、
を有し、
前記時間幅測定工程、前記スペクトル分布計算工程、及びスペクトル分布更新工程を逐次実行することにより、各時刻での脈波のスペクトル分布を求めた上で、その最大ピーク周波数から脈拍数を算出することを特徴とする脈拍数測定方法。 - 前記生体の体動により、前記時間幅測定工程において前記時間幅の測定が困難な場合は、前記スペクトル分布計算工程において計算した、現時刻のスペクトル分布と前時刻の推定値を用いて脈拍数を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脈拍数測定方法。
- 前記脈波のスペクトル分布からのピーク選択において、周波数が倍音関係にないピークは、体動成分であると判断し追跡対象から除外することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脈拍数測定方法。
- 前記脈派のスペクトル分布からのピーク選択において、前時刻で推定された脈拍数に対応する周波数の近くに位置するピークについては、他のピークに比べて値が小さくても、定められたレベルより大きい場合はそれを選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脈拍数測定方法。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の脈拍数測定方法によって算出された脈拍数を基準として、赤色光及び赤外光について受光した前記受光素子による前記受光信号の周波数解析によって得られたスペクトル分布において前記脈拍数の周波数に最も近いスペクトルピークを選択し、
赤色光及び赤外光についての前記スペクトルピークの値の比から第1血中酸素飽和度を求め、
前記スペクトルピーク値に対応するピーク周波数に対して倍音関係にあるピークについて、赤色光及び赤外光のスペクトルピーク値の比から第2血中酸素飽和度を推定し、
前記第1血中酸素飽和度と前記第2血中酸素飽和度の平均から最終的な血中酸素飽和度を算出することを特徴とする血中酸素飽和度測定方法。 - 前記第2血中酸素飽和度において、定められたレベルよりも低い値をとる場合には、前記倍音関係にあるピークは体動の影響を受けていると判断し、前記平均の計算から除外することを特徴とする請求項6に記載の血中酸素飽和度測定方法。
- 前記ピーク周波数に対してn倍音関係にある各ピークについて、赤色光及び赤外光のスペクトルピーク値の比から第n血中酸素飽和度を推定し、
第1から第nまでの血中酸素飽和度の平均から最終的な血中酸素飽和度を算出することを特徴とする請求項6に記載の血中酸素飽和度測定方法。 - 前記第n血中酸素飽和度において、定められたレベルよりも低い値をとる場合には、前記倍音関係にあるピークは体動の影響を受けていると判断し、前記平均の計算から除外することを特徴とする請求項8に記載の血中酸素飽和度測定方法。
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