JP2013162820A - 脈波測定装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らす技術を提供する。
【解決手段】脈波測定装置1は、発光素子によって照射された第1の波長の光が測定部位を反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第1の受光素子と、第2の波長の光が測定部位を反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第2の受光素子とを備える。脈波測定装置1の制御部は、複数の第1の受光素子から出力される測定信号に対して独立成分分析を行って、各測定信号を複数の成分に分離した場合の各成分の重み付け係数を算出する。制御部は、算出した重み付け係数のばらつきを成分毎に算出し、算出されたばらつきが最も大きい成分を特定する。制御部は、脈波の測定を行う際に、特定した成分の重み付け係数が最も小さい測定信号に基づいて、脈波情報を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体の脈波を測定する技術に関する。
生体、特に人体における脈波の検出方法として、光電変換による脈波測定方法が用いられてきた。この方法においては、発光ダイオードなどの発光素子から血液に吸収されやすい波長の光を発光し、生体を透過若しくは生体内に進入後、生体内の組織によって散乱した光をフォトダイオードやフォトトランジスターなどの受光素子によって受光する。そして、受光した光を電気信号に変換することにより脈波を検出する。動脈は、心拍と同周期で膨張と収縮を繰り返しているが、生体内に進入した光の吸収は、動脈が膨張しているときのほうが動脈が収縮しているときに比べて大きい。そのため、受光素子で受光される光の強度は拍動に応じて変化する。すなわち、血管の膨張と収縮の周期と同じ周期で、発光素子から発せられた光の吸収量が増減し、その増減に合わせて反射光の光の強度が変化する。この変化に基づいて脈波が測定される。
ところで、生体の脈波を測定する場合、生体の動作(以下、体動という)によって測定結果にノイズ(以下、体動ノイズという)が生じることがある。体動ノイズは測定部位の加圧・減圧状態や、発光素子・受光素子と生体との位置関係等が体動によって変化し、受光される光の方向や量に影響することにより生じる。体動ノイズを低減させるための技術として、特許文献1には、うっ血状態を回避するような構造を持つ脈波センサーが開示されている。
特開2002−224064号公報
生体の皮膚の真皮層には検出対象である血管が存在するが、表面から毛細血管、乳頭下血管叢、さらに下に皮下血管叢を形成しており、深い部位にある血管は太くなる傾向にある。光電方式で脈波を計測する場合、センサー下に太い血管が存在する場合としない場合で体動ノイズの感度が異なり、センサー下に太い血管が存在する位置で測定がなされた場合には体動ノイズの影響が大きくなってしまう。特許文献1に開示された圧脈波センサーでは、うっ血状態が回避されるものの、センサーの位置によっては体動ノイズの影響を大きく受けてしまう場合があった。
本発明は、脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らすことを目的とする。
本発明に係る脈波測定装置は、脈波を測定する測定部位に照射された第1の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第1の受光部と、前記測定部位に照射された第2の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第2の受光部であって前記第1の受光部と該第2の受光部とが1対1で対応付けられている複数の第2の受光部と、前記複数の第1の受光部が出力する測定信号に対して独立成分分析を行って、各測定信号を複数の成分に分離した場合の各成分の重み付け係数を算出する独立成分分析部と、前記独立成分分析部によって算出された重み付け係数の値のばらつきを前記成分毎に算出するばらつき算出部と、前
記複数の成分のなかから、前記ばらつき算出部によって算出されたばらつきが予め定められた条件を満たす成分を特定する成分特定部と、前記複数の第1の受光部が出力する測定信号のなかから、前記成分特定部によって特定された成分の重み付け係数の値が予め定められた条件を満たす測定信号を特定する測定信号特定部と、前記測定信号特定部によって特定された測定信号と、該特定された測定信号を出力する第1の受光部に対応付けられた第2の受光部から出力された測定信号とからノイズ成分と脈動成分とを分離する分離部と、前記分離部によって分離された脈動成分に基づいて、脈波を表す脈波情報を生成する脈波情報生成部とを具備することを特徴とする。この構成によれば、脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らすことができる。
また、本発明に係る脈波測定装置は、上記脈波測定装置において、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を含む光を前記測定部位に照射する発光部を具備し、前記第1の波長は前記第2の波長よりも長い波長であり、前記第1の受光部と前記発光部との距離は、前記第2の受光部と前記発光部との距離よりも長いこととしてもよい。この構成によれば、脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らすことができる。
また、本発明に係る脈波測定装置は、上記脈波測定装置において、前記第1の受光部と該第1の受光部に対応付けられた第2の受光部とを結ぶ直線上に、前記発光部が設けられていてもよい。この構成によれば、脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らすことができる。
また、本発明に係る脈波測定装置は、上記脈波測定装置において、前記成分特定部は、前記ばらつき算出部によって算出されたばらつきが最も大きい成分を特定してもよい。この構成によれば、脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らすことができる。
また、本発明に係るプログラムは、脈波を測定する測定部位に照射された第1の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第1の受光部と、前記測定部位に照射された第2の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第2の受光部であって前記第1の受光部と該第2の受光部とが1対1で対応付けられている複数の第2の受光部とを備えるコンピューターに、前記複数の第1の受光部が出力する測定信号に対して独立成分分析を行って、各測定信号を複数の成分に分離した場合の各成分の重み付け係数を算出する独立成分分析ステップと、前記独立成分分析ステップにおいて算出された重み付け係数の値のばらつきを、前記成分毎に算出するばらつき算出ステップと、前記複数の成分のなかから、前記第1のばらつき算出ステップにおいて算出されたばらつきが予め定められた条件を満たす成分を特定する成分特定ステップと、前記複数の第1の受光部が出力する測定信号のなかから、前記成分特定部において特定された成分の重み付け係数の値が予め定められた条件を満たす測定信号を特定する測定信号特定ステップと、前記測定信号特定ステップにおいて特定された測定信号と、該特定された測定信号を出力する第1の受光部に対応付けられた第2の受光部から出力された測定信号とからノイズ成分と脈動成分とを分離する分離ステップと、前記分離ステップにおいて分離された脈動成分に基づいて、脈波を表す脈波情報を生成する脈波情報生成ステップとを実行させる。この構成によれば、脈波を測定する装置において、測定部位の動作等によって生じるノイズの影響を減らすことができる。
脈波測定装置の外観を表す図。 脈波測定装置の構成例を示すブロック図。 発光素子と受光素子の位置関係を示す図。 測定信号の一例を示す図。 制御部の機能ブロック図。 脈波測定装置の動作を表す動作フロー図。 脈波測定装置のセンシング結果を示す図。 受光素子及び信号処理部の回路図。 発光素子と受光素子の位置関係を示す図。 発光素子と受光素子の位置関係を示す図。
<構成>
図1は本実施形態に係る脈波測定装置1の外観を示す図である。脈波測定装置1は、図1に示すように、利用者の腕2などに取り付けられ、その部分における脈波の測定を行う。脈波測定装置1は、ディスプレイ15と脈波測定装置1を操作するための操作スイッチ16とが設けられた装置本体10と、装置本体10を腕2に固定するためのバンド40を有する。
図2は脈波測定装置1の構成を表すブロック図である。図において、受発光部210は、白色光の波長の光を照射するLED(Light Emitting Diode)などの発光素子219と、赤色光を受光するフォトダイオードなどの受光素子211,212,213,214と、緑色光を受光するフォトダイオードなどの受光素子215,216,217,218とを有する。発光素子219は本発明に係る発光部の一例である。発光素子219が照射した光は腕2の内部に達し、血管などにおいて反射する。反射は複数の血管の位置においてなされ、全体として散乱的な反射となる。この反射光は、受光素子211,212,…,218で受光され、受光素子211,212,…,218は受光量に応じた信号を出力する。受光素子211,212,213,214は本発明に係る複数の第1の受光部の一例であり、受光素子215,216,217,218は本発明に係る複数の第2の受光部の一例である。駆動部220には、発光素子219の発光強度と発光タイミングを制御する制御信号がアナログ制御回路(不図示)から供給され、駆動部220はこの制御信号の振幅に応じた大きさの電流を受発光部210の発光素子219に供給する。
図3の(a)は、発光素子と受光素子の位置関係を示す図であり、図3の(b)は、発光素子219と受光素子211,212,…,218を測定部位である腕2の内部(血管が位置する領域)からみた場合の位置関係を示す図である。図3の(a)には、腕2の断面が示されている。人体の腕は、表皮21と、表皮21の下にある真皮22と、真皮22の下にある皮下組織23とを有する。真皮22の浅い部分には、毛細血管24が存在する。真皮22の深い部分には、細動静脈(細動脈と細静脈の総称)25が存在する。図3の(a)において、腕2と接触している脈波測定装置1の部分には、ガラス板などの光を透過させる透過板230が設けられており、透過板230の上面に発光素子219及び受光素子211,212,…,218が設けられている。発光素子219から発せられる光は、表皮21、真皮22を通過した後の反射により受光素子211,212,…,218のそれぞれに受光される。
図3の(b)に示すように、発光素子219を中心として円周上に受光素子211,212,213,214がほぼ等間隔に配置されており、その内側に受光素子215,216,217,218が発光素子219を中心としてほぼ等間隔に配置されている。また、受光素子211,212,213,214と、受光素子215,216,217,218とは1対1で対応付けられている。この実施形態では、近い位置に配置されている赤色光の受光素子と緑色光の受光素子とが対応付けられている。具体的には、図3の(b)に示す例では、赤色光の受光素子211と緑色光の受光素子215とが対応付けられているとともに、受光素子212と受光素子216とが対応付けられている。また、受光素子21
3と受光素子217とが対応付けられているとともに、受光素子214と受光素子218とが対応付けられている。
また、図3の(b)に示す例では、赤色光の受光素子と、その赤色光の受光素子に対応付けられた緑色光の受光素子とを結ぶ直線上に発光素子219が設けられている。具体的には、受光素子211と受光素子215を結ぶ直線上に発光素子219が配置されているとともに、受光素子212と受光素子216を結ぶ直線上に発光素子219が配置されている。また、受光素子213と受光素子217とを結ぶ直線上、かつ、受光素子214と受光素子218とを結ぶ直線上に発光素子219が配置されている。
発光素子219は透過板230の方向が光軸方向となるように固定され、受光素子211,212,…,218は透過板230の方向に受光面が向くように固定されている。発光素子219が発した光は透過板230を透過して測定部位に照射され、測定部位から反射した赤色光を、透過板230を介して受光素子211,212,213,214が受光し、測定部位から反射した緑色光を、透過板230を介して受光素子215,216,217,218が受光する。受光素子211,212,…,218はそれぞれ、受光量に応じた大きさの電流の測定信号を送出する。以下の説明では、説明の便宜上、受光素子211が出力する測定信号を「測定信号R1」とする。同様に、受光素子212が出力する測定信号を「測定信号R2」、受光素子213が出力する測定信号を「測定信号R3」、受光素子214が出力する測定信号を「測定信号R4」として説明する。また、受光素子215,216,217,218が出力する測定信号をそれぞれ、「測定信号G1」、「測定信号G2」「測定信号G3」「測定信号G4」として説明する。
上述したようにこの実施形態では、受光素子211と受光素子215、受光素子212と受光素子216、受光素子213と受光素子217、受光素子214と受光素子218、がそれぞれ対応付けられているため、それぞれから出力される測定信号が対応付けられていることとなる。すなわち、この実施形態では、測定信号R1と測定信号G1、測定信号R2と測定信号G2、測定信号R3と測定信号G3、測定信号R4と測定信号G4、がそれぞれ対応付けられている。
図4は、測定信号R1,R2,R3,R4の一例を概略的に示す図である。図4の(a)は、測定信号R1を示し、(b)は測定信号R2を示し、(c)は測定信号R3を示し、(d)は測定信号R4を示す。真皮22の深い部分や皮下組織23に太い血管が存在する場合には、この太い血管の影響により、光の方向や量が体動によって大きく変化してしまう場合がある。具体的には、例えば、図3の(b)において、位置P1に体動の影響を受けやすい太い血管が位置している場合には、受光素子213と受光素子214から出力される測定信号(すなわち測定信号R3や測定信号R4)は体動というノイズの影響を大きく受ける一方、受光素子211と受光素子212から出力される測定信号(すなわち測定信号R1や測定信号R2)はノイズの影響をそれほど受けていない測定信号となる。
図2において、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)とメモリー(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))を有し、ROMに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することにより制御部110と接続されている各部を制御する。具体的には、制御部110は、受光素子211,212,213,214,215,216,217,218から出力される測定信号R1,R2,R3,R4,G1,G2,G3,G4に応じた脈波情報を生成する処理を行う。
信号処理部120は、信号処理部121,122,123,124,125,126,127,128を備えている。信号処理部121は、受光素子211から出力される測定信号R1を取得して増幅するアンプ(図示略)と、増幅した測定信号R1を予め定められた
サンプリング周波数で量子化するA/D変換回路(図示略)とを有する。信号処理部122は、受光素子212から出力される測定信号R2を取得して増幅するアンプ(図示略)と、増幅した測定信号R2を予め定められたサンプリング周波数で量子化するA/D変換回路(図示略)とを有する。信号処理部123は、受光素子213から出力される測定信号R3を取得して増幅するアンプ(図示略)と、増幅した測定信号R3を予め定められたサンプリング周波数で量子化するA/D変換回路(図示略)とを有する。信号処理部124は、受光素子214から出力される測定信号R4を取得して増幅するアンプ(図示略)と、増幅した測定信号R4を予め定められたサンプリング周波数で量子化するA/D変換回路(図示略)とを有する。信号処理部125,126,127,128も、信号処理部121,122,123,124と同様であり、受光素子215,216,217,218のそれぞれから出力される測定信号G1,G2,G3,G4をそれぞれ取得して増幅するアンプ(図示略)と、増幅した測定信号G1,G2,G3,G4を予め定められたサンプリング周波数で量子化するA/D変換回路(図示略)とを有する。
計時部130は、クロック供給部140の計時クロック信号をカウントして時刻を計時する。クロック供給部140は、発振回路と分周回路とを有し、発振回路によって基準クロック信号を制御部110へ供給するとともに、分周回路により計時用の計時クロック信号を生成して制御部110へ供給する。表示部150は、ディスプレイ15を有し、制御部110の制御の下、計時部130で計時された時刻の情報や脈波を測定するためのメニュー画面、測定結果などの各種画像を表示する。操作部160は、操作スイッチ16を有し、操作スイッチ16が操作された操作信号を制御部110へ送出する。記憶部180は、後述する脈波情報生成処理で参照されるフラグを記憶するフラグ記憶領域181と、受光素子211,212,…,214と、受光素子215,216,…218との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係記憶領域182とを有している。
図5は、制御部110における脈波測定処理の機能を実現するための機能ブロックと他の一部の構成とを表す図である。図において、独立成分分析部111、ばらつき算出部112、成分特定部113、測定信号特定部114、分離部115、脈波情報生成部116は、制御部110がROMに記憶されているコンピュータープログラムを読み出して実行することによって実現される。
独立成分分析部111は、複数の受光素子のそれぞれが出力する測定信号Ri(1≦i≦n;nは2以上の整数)に対して独立成分分析(ICA(Independent Component Analysis))を行って、測定信号Riを複数の成分Srj(1≦j≦m;ただしn≧m,mは2以上の整数)に分離した場合の各成分を推定するとともに、各成分の重み付け係数wrijを求める。複数の成分は、測定対象となっている体内の領域に複数の信号源があると想定した場合の各信号源から出力される信号を示す。ここで、各信号源は測定対象領域にある血管の挙動に応じた信号を発生するものであり、後述する数式的な解析により、体動の受けにくい位置にある信号源を特定することができる。
この実施形態では、独立成分分析部111は、受光素子211,212,213,214が出力する測定信号R1,R2,R3,R4に対して独立成分分析を行って、測定信号R1,R2,R3,R4を複数の成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4に分離した場合の、各成分の重み付け係数wr11,wr12,…wr44を求める。この実施形態では、独立成分分析部111は、行列Rを式(1)、行列Srを式(2)、行列Wrを式(3)とした場合に、独立成分分析を行って、行列R、Sr、Wrが以下の式(4)を満たす、独立する4つの成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4を推定する。すなわち、独立成分分析部111は、成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4が互いに統計的に独立となるよう、非ガウス性の最大化に基づく手法、最尤推定に基づく手法、相互情報量に基づく手法、非線形関数無相関に基づく手法、テンソルに基づく手法等を用いて、重み付け係数wr11,wr12,…wr44を算出す
る。独立成分分析部111が行う独立成分分析は、例えば、「村田昇著、「入門独立成分分析」、第1版、東京電機大学出版局、2004年7月」に記載された手法を用いる。
Figure 2013162820
ばらつき算出部112は、独立成分分析部111によって求められた重み付け係数wrijの値のばらつきσrj(ばらつきの度合い)を成分Srj毎に算出する。本実施形態においてばらつきとは、値のばらつきの度合いを数値で示すものである。例えば、重み付け係数が(2,3.5,1,5)である場合のばらつきは、重み付け係数が(1,13,−2,50)である場合のばらつきよりも小さいといえる。ここでは、ばらつきは標準偏差として定義される。ばらつきσjは、その値が大きいほどばらつきの度合いが大きく、値が小さいほどばらつきの度合いが小さいことを示す。ばらつき算出部112は、成分Srjに対応する重み付け係数wrij(すなわち行列Wrのj列に含まれる重み付け係数wrij)のばらつきσrjを計算する。すなわち、ばらつき算出部112は、行列Wに含まれる重み付け係数wijのばらつきを列毎に算出する。具体的には、この実施形態では、ばらつきσr1は、重み付け係数wr11,wr21,wr31,wr41のばらつきの度合いを示し、ばらつきσr2は、重み付け係数wr12,wr22,wr32,wr42のばらつきの度合いを示す。ばらつきσr3は、重み付け係数wr13,wr23,wr33,wr43のばらつきの度合いを示し、ばらつきσr4は、重み付け係数wr14,wr24,wr34,wr44のばらつきの度合いを示す。ばらつき算出部112が行う重み付け係数のばらつきの算出の態様としては、標準偏差を成分毎に算出するに限らず、重み付け係数のばらつきの度合いが示される情報が算出されるものであればどのようなものであってもよい。
成分特定部113は、ばらつき算出部112が算出したばらつきが予め定められた条件を満たす成分を1又は複数特定する。成分特定部113は、本発明に係る成分特定部の一例である。この実施形態では、成分特定部113は、算出されたばらつきを成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4毎に算出し、重み付け係数のばらつきが最も大きい成分を特定する。成分特定部113は、例えば、ばらつきσr1の値が最も大きい場合には成分Sr1を特定し、ばらつきσr2の値が最も大きい場合には成分Sr2を特定する。
上述したように、受光素子の位置によっては、真皮22の深い部分や皮下組織23にある太い血管の影響によりノイズ成分が混ざる場合がある。ノイズ成分は、受光素子の位置によってその影響の大小が異なり、受光素子の位置が若干ずれた場合であっても影響の大小が大きく変化する。具体的には、例えば、図3の(b)に示す例において、位置P1に
ノイズ源となる太い血管が位置している場合には、測定信号R3と測定信号R4から抽出されるノイズ成分の重み付け係数は大きな値となる一方、測定信号R1と測定信号R2から抽出されるノイズ成分の重み付け係数は小さな値となる。このように、測定信号Riから抽出されるノイズ成分の重み付け係数は、受光素子の位置が各々異なる測定信号Riのそれぞれで異なってくる。そして、重み付け係数の「ばらつき」はノイズが多い成分の方が、ノイズが小さい成分よりも大きくなると考えられる。そのため、重み付け係数のばらつきσrjの値が大きい成分Srjは、測定信号R1,R2,R3,R4のそれぞれにおいてばらつきがあることから、受光素子211,212,213,214の位置に起因して発生するノイズ成分であると考えられる。この実施形態では、重み付け係数のばらつきσrjが大きい成分Srjをノイズ成分とみなし、複数の測定信号R1,R2,R3,R4のなかから、含まれているノイズ成分が最も少ない測定信号Riを選択し、選択した測定信号Riを用いて脈波の測定を行う。
測定信号特定部114は、測定信号R1,R2,R3,R4のなかから、成分特定部113によって特定された成分Srjの重み付け係数wrij(すなわち行列Wrのj列に含まれる重み付け係数Wrij)の値が最も小さい測定信号Riを特定する。更に、測定信号特定部114は、特定した測定信号Riに対応する測定信号Giを、対応関係記憶領域182に記憶された対応関係情報に従って特定する。具体的には、例えば、成分特定部113によって成分Sr1が特定された場合には、測定信号特定部114は、重み付け係数wri1(すなわちwr11,wr21,wr31,wr41)のなかからその値が最も小さいiを特定する。添え字iが特定されることにより測定信号RiとGiとが特定される。また、例えば、成分特定部113によって成分Sr2が特定された場合には、測定信号特定部114は、重み付け係数wri2(すなわちwr12,wr22,wr32,wr42)のなからからその値が最も小さいiを特定する。以下の説明では、説明の便宜上、測定信号特定部114によって特定される2つの測定信号を「測定信号Ra」、「測定信号Ga」と称して説明する。
測定信号特定部114によって特定される測定信号Raは、ノイズ成分とみなされた成分Srjの重み付け係数wrijが最も小さい測定信号であるから、ノイズ成分の影響が最も小さい測定信号であるといえる。また、特定された測定信号Raに対応する測定信号Gaは、特定された測定信号Raを出力する受光素子に近い位置に配置された受光素子であるから、測定信号Raと同様にノイズの影響が少ない測定信号であるといえる。更に、測定信号Gaは、測定信号Raが測定された測定部位と近い位置における測定結果であるため、測定信号Raとの相関が高いと考えられる。そこで、この実施形態では、複数の受光素子から出力される測定信号のなかから、ノイズの影響が最も小さい測定信号と、その測定信号に対応する測定信号とを特定し、特定した2つの測定信号を用いて脈波の測定を行う構成としている。測定信号特定部114は、特定した測定信号Ri,Giを示す情報(フラグ)をフラグ記憶領域181に格納する。このフラグは、脈波情報生成部116によって参照される。
分離部115は、測定信号特定部114によって特定された測定信号Raと測定信号Ga(すなわち測定信号Raを出力する受光素子に対応付けられた受光素子から出力された測定信号)とから、脈動成分とノイズ成分とを分離する。この実施形態では、分離部115は、測定信号Ra及び測定信号Gaから、以下の式(5)、すなわち式(6)の関係に従って、脈動成分pとノイズ成分nとを分離する。ノイズ成分nは受光素子の位置に依存しないノイズ成分であり、複数の受光素子の測定信号全体に含まれる成分である。式(5),式(6)において、φsは、測定信号Raにおける脈動成分pの重み付け係数を示し、φnは測定信号Raにおけるノイズ成分nの重み付け係数を示す。
Figure 2013162820
式(5)により脈動成分pとノイズ成分nとを混同すると、測定信号Raと測定信号Gaとが得られる。つまり、脈動成分pとノイズ成分nを分離するためには上記式(6)で示す逆行列演算を行えばよい。式(6)における逆行列が分離マトリクスである。
式(6)に示す分離マトリクスを用いて、脈動成分pとノイズ成分nとを分離するには、φsとφnの推定が必要である。ここで、φsとφnの推定処理の一例について、以下に説明する。このφsは、体動の影響を殆ど受けていない期間(以下「安定期間」という)における測定信号Gaに対する測定信号Raのベクトルのノルム比である。また、φnは、体動による影響を受けている期間(以下「ノイズ期間」という)における測定信号Gaに対する測定信号Raのベクトルのノルム比である。
分離部115は、以下の式(7)により安定期間のノルム比を算出する。式(7)において、‖RACpulse2は、安定期間における測定信号Raの波形に含まれる脈動成分(AC(Alternating Current)成分)のノルムであり、‖GACpulse2は、安定期間における測定信号GaのAC成分のノルムであり、‖RDCpulse2は、安定期間における測定信号Raの波形に含まれる基線ゆらぎ成分(DC(Direct Current)成分)のノルムであり、‖GDCpulse2は、安定期間における測定信号GaのDC成分のノルムである。また、分離部115は、以下の式(8)によりノイズ期間のノルム比を算出する。式(8)において、‖RACnoise2は、ノイズ期間における測定信号RaのAC成分のノルムであり、‖GACnoise2は、ノイズ期間における測定信号GaのAC成分のノルムであり、‖RDCnoise2は、ノイズ期間における測定信号RaのDC成分のノルムであり、‖GDCnoise2は、ノイズ期間における測定信号GaのDC成分のノルムである。
Figure 2013162820
分離部115は、式(7)によって求められたノルム比をφs、式(8)によって求められたノルム比をφnとして式(6)の分離マトリクスに代入し、ノイズ期間で測定された測定信号Ra、測定信号GaのAC成分の値を式(6)のGa、Raに代入して演算するこ
とにより、ノイズ期間における脈動成分とノイズ成分とを分離する。
分離部115において、測定信号Ra及び測定信号Gaから脈動成分とノイズ成分とを精度よく分離するためには、測定信号Raと測定信号Gaとの相関が高いことが必要である。本実施形態では、分離部115は、測定信号Riのなかからノイズの影響が少ないと考えられる測定信号Riと、その測定信号Riに対応する測定信号Gi(すなわち測定信号Riを出力した受光素子に近い位置に配置されている受光素子から出力された測定信号Gi)とを選択している。これにより、測定信号Raと測定信号Gaとの間の相関が高くなるため、分離部115における信号分離精度が向上する。
脈波情報生成部116は、分離部115によって分離された脈動成分pに基づいて、脈波を表す脈波信号を生成する。この実施形態では、脈波情報生成部116は、脈動成分pの波形におけるピークの時間間隔を脈拍間隔とし、測定信号の波形において所定時間(1分、等)におけるピークの出現頻度を脈拍数として、脈拍間隔及び脈拍数を示す情報を表示部150に出力する。また、脈波情報生成部116は、脈拍間隔及び脈拍数を示す情報を記憶部180に例えば時系列に蓄積するようにしてもよい。
<動作例>
図6は、脈波測定装置1の動作フローを示す図である。以下、本実施形態に係る脈波測定装置1の動作例を説明する。測定対象者は、まず、操作スイッチ16を用いて脈波の測定を開始する旨の操作を行う。制御部110は、脈波を測定する操作を受け付けると(ステップS10;YES)、ステップS11の処理に進む。すなわち、制御部110は、測定部位に光を照射し、測定部位で反射された光を受光して受光量に応じた測定信号の出力を開始させる(ステップS11)。制御部110は、受光素子211,212,…218から出力される測定信号を信号処理部120においてA/D変換し、信号処理部120から時系列の測定信号を取得してRAMに記憶する。
測定信号の出力が開始されると、制御部110は、受光素子211,212,…214から出力されて信号処理部120によってA/D変換された測定信号R1,R2,R3,R4に対して独立成分分析を行う(ステップS12)。すなわち、制御部110は、測定信号R1,R2,R3,R4をそれぞれ複数の成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4に分離した場合の重み付け係数wr11,wr12,…,wr44を求める。
次いで、制御部110は、求めた重み付け係数のばらつきσriを成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4のそれぞれについて算出し、ばらつきが最も大きい成分を特定する(ステップS13)。制御部110は、測定信号R1,R2,R3,R4のなかから、ステップS13において特定した成分Srjの重み付け係数wrijが最も小さい測定信号を特定し(ステップS14)、特定した測定信号を示す情報をフラグ記憶領域181に格納する。
ステップS14までの処理を終えると、制御部110は、ステップS14で特定した測定信号に対して信号分離処理を行って脈動成分を分離する(ステップS15)。制御部110は、分離した脈動成分に基づいて、脈波を表す情報を生成し、表示部150等に出力する(ステップS16)。具体的には、制御部110は、分離した脈動成分の波形におけるピークの時間間隔を脈拍間隔とし、測定信号の波形において所定時間におけるピークの出現頻度を脈拍数として検出し、検出した脈拍間隔と脈拍数とを示す画像を表示部150に表示させる。なお、制御部110は、操作部160を介して脈波を測定する操作を受け付けなければ(ステップS10;NO)、操作がなされるまで待機する。
制御部110は、脈波の測定を終了する操作が操作部160を介してなされるまで(ステップS17;NO)、ステップS15乃至ステップS16の処理を繰り返し行う。制御
部110は、脈波の測定を終了する操作が操作部160を介してなされたときに(ステップS17;YES)、処理を終了する。
図7の(a)は、脈波測定装置1のセンシング結果の一例を示す図であり、図7の(b)は従来の脈波測定装置のセンシング結果の一例を示す図である。また、図8は、受光素子及び信号処理部の回路図の一例であり、図7の(a),(b)に示すセンシング結果を計測した際の回路図の一例を示す図である。図7の(a),(b)において、横軸は受光素子の位置(所定の基準位置からの距離)(mm)を示し、縦軸は電位(V)を示す。基準位置は、図7に示すセンシングを開始したときの、生体の測定位置に対する受光素子の位置を示す。図8に示すように、トランジスター300のベースにはフォトダイオード等の受光素子PDが接続され、コレクターCには抵抗310を介して電圧320が接続され、エミッターはグラウンドGNDに接地されている。受光素子PDは本実施形態に係る受光素子211,212,…,218の各々に相当するものであり、トランジスター300は上述の実施形態に係る信号処理部121,122,…,128の各々に相当するものである。すなわち、本実施形態に係る脈波測定装置1は、図8に示す受光素子PDとトランジスター300とを8セット備えている。
図7の(b)は、図8に示す回路において、抵抗310を10(KΩ)、電圧320を3.3(V)とした場合に、コレクターCで計測されたコレクター電位を示すグラフである。一方、図7の(a)は、図8に示す回路において、抵抗310を10(KΩ)、電圧320を3.3(V)とした場合に、8つのコレクターCのそれぞれで計測された電位(すなわち測定信号R1,R2,R3,R4,G1,G2,G3,G4)に対して上述の独立成分分析、ばらつき算出処理、成分特定処理、測定信号特定処理、ノイズ分離処理等を行って特定される脈動成分を示すグラフである。
生体の血管密度の違いや太さの異なる血管の分布の影響により、図7の(b)に示されるように、測定結果のレベルは生体の測定位置により変化する。つまり、測定位置がずれると異なる組成の血液をセンシングしている可能性が高い。そのため、図7の(b)に示されるように、測定位置に若干のずれが生じた場合であってもその誤差は大きなものとなってしまう。それに対し、図7の(a)では、測定位置の変化による電位のレベルの変動が小さくなっている。なお、図7に示す検出結果は、LEDの光量やフォトダイオードの感度、抵抗値などの回路乗数により変化するものであり、図7に示される数値はあくまで目安である。
この実施形態では、独立成分分析により推定された成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4のうち、重み付け係数のばらつきが最も大きい成分をノイズ成分として特定し、特定したノイズ成分の影響が小さい測定信号を、脈波を測定するための信号として採用する。このような信号を採用することにより、ノイズの影響を抑えた脈波の測定が行われる。
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のように変形させて実施してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(1)上述した実施形態では、図1に示す脈波測定装置1を示したが、脈波測定装置1の構成はこれに限定されるものではなく、他の構成であってもよい。例えば、装置本体と、発光素子と受光素子とを備える脈波センサーとがケーブルで接続される構成であってもよい。また、装置本体と脈波センサーとが無線通信により接続される構成であってもよい。また、上述の実施形態では、脈波測定装置1が装着される測定部位が腕の例を説明したが、これに限らず、手の甲、指等の他の部位であってもよい。
(2)上述の実施形態では、受発光部210は、赤色光の波長の光を受光する受光素子211,212,213,214と、緑色光の波長の光を受光する受光素子215,216,217,218とを有する構成としたが、受光部が受光する光は赤色光や緑色光に限らず、青色光や赤外光等、他の波長の光であってもよい。また、上述の実施形態では、受発光部210は、ひとつの発光素子と、複数の受光素子とを備える構成としたが、発光素子の数は複数であってもよい。例えば、受光素子と発光素子とが1対1で対応する構成であってもよい。この場合も、上述の実施形態と同様に、制御部110が、各受光素子の検出結果を示す測定信号に対して上述の独立成分分析、ばらつき算出処理、成分特定処理、測定信号特定処理等を行って、重み付け係数のばらつきが予め定められた条件を満たす成分の影響が最も少ない測定信号を特定する。
また、上述の実施形態では、赤色光と緑色光との2種類の光を用いて脈波の測定を行ったが、用いる光の種類は2種類に限らず、これより多くてもよい。例えば、3種類の光を用いて脈波の測定を行ってもよい。この場合も、上述の実施形態と同様に、3種類の光のそれぞれに対応する受光素子を設ける構成とし、それぞれの受光素子から出力される測定信号に対して独立成分分析を行って、ノイズ成分が最も少ない測定信号を特定すればよい。
(3)上述の実施形態では、脈波測定装置1は、赤色光を受光する4つの受光素子211,212,213,214と、緑色光を受光する4つの受光素子215,216,217,218とを備える構成であったが、各色の受光素子の数は4に限らず、これより多くても少なくてもよい。
また、上述の実施形態では、制御部110は、赤色光の4つの受光素子のそれぞれから出力される4つの測定信号に対して独立成分分析を行って、4つの成分をそれぞれ推定したが、測定信号の数と、推定される成分の数とは、4に限らず、これより多くても少なくてもよい。要は、制御部110は、複数の測定信号に対して独立成分分析を行って、複数の成分(独立成分)を推定すればよい(ただし、測定信号の数nと推定される成分の数mは、n≧mの関係を満たす)。なお、このn≧mの条件は、独立成分分析を用いて成分を推定するために必要な条件である。
(4)上述の実施形態では、赤色光を受光する4つの受光素子211,212,213,214が、発光素子219を中心として同心円上に配置されるとともに、緑色光を受光する4つの受光素子215,216,217,218が、発光素子219を中心として同心円上に配置されていた。受光部の配置の態様はこれに限らず、同心円上に配置されていなくてもよい。
また、上述の実施形態では、緑色光よりも波長の長い赤色光の受光素子211,212,213,214が、緑色光の受光素子215,216,217,218よりも発光素子219から遠い位置に配置されていたが、配置の態様はこれに限らない。例えば、赤色光の受光素子と緑色光の受光素子とが発光素子を中心として同心円上に配置されていてもよい。
(5)上述の実施形態では、赤色光の受光素子と緑色光の受光素子とが1対1で対応付けられ、各対をなす赤色光の受光素子と緑色光の受光素子とを結ぶ直線上に、発光素子219が配置されていたが、受光素子と発光素子の配置の態様はこれに限らず、他の態様であってもよい。例えば、図9に示すように、赤色光を受光する5つの受光素子231,232,…,235が、発光素子219を中心とした円周上に等間隔に配置されるとともに、緑色光を受光する5つの受光素子241,242,…,245が、発光素子219を中心とした円周上に等間隔に配置される構成であって、受光素子23kと受光素子24k(k
=1,2,…,5)と対応付けられ、かつ、受光素子23kと受光素子24kとを結ぶ直線上に発光素子219が配置されていない構成であってもよい。
(6)上述の実施形態では、制御部110は、独立成分分析によって推定された複数の成分のなかから、対応する重み付け係数の値のばらつきσrjが最も大きい成分をノイズ成分として特定した。成分の特定の態様はこれに限らず、例えば、制御部110が、重み付け係数のばらつきσrjが最も大きい成分と、2番目に大きい成分との、2つの成分を特定するようにしてもよい。また、成分の特定の態様の他の例として、例えば、制御部110が、重み付け係数の値のばらつきσrjが、予め定められた閾値よりも大きい成分を1又は複数特定してもよい。要は、制御部110が、重み付け係数の値のばらつきσrjが予め定められた条件を満たす(ばらつきが大きい)成分を特定すればよい。
ノイズ成分として複数の成分が特定された場合には、制御部110は、例えば、特定された成分の重み付け係数の総和を測定信号毎に算出し、算出結果が最も小さい測定信号を特定してもよい。具体的には、例えば、成分Sr1と成分Sr2との2つの成分がノイズ成分として特定された場合に、制御部110が、測定信号Ri毎に、成分Sr1の重み付け係数wri1と成分Sr2の重み付け係数wri2との和(wr11+wr12,wr21+wr22,wr31+wr32,wr41+wr42)をそれぞれ計算し、計算結果が最も小さい測定信号Riを特定してもよい。また、他の例として、例えば、ノイズ成分として複数の成分が特定された場合に、制御部110が、特定された成分の重み付け係数の積を測定信号毎に算出し、算出結果が最も小さい測定信号を特定してもよい。要は、制御部110が、測定信号Riのなかから、予め定められた条件を満たす(ノイズの影響が小さいと考えられる)測定信号を特定するものであればどのようなものであってもよい。
(7)上述の実施形態では、制御部110は、測定対象者によって脈波を測定する操作が行われたタイミングで、測定信号の特定処理を行ったが、測定信号の特定処理を行うタイミングは上記タイミングに限らず、例えば、脈波測定装置1の電源がONにされたタイミングで測定信号の特定処理を行ってもよく、また、例えば、初期設定を行う旨の操作が測定対象者によってなされたタイミングで測定信号の特定処理を行ってもよい。要は、制御部110が、予め定められたタイミングで測定信号の特定処理を行い、脈波の測定処理を行う際に、特定された測定信号を用いて脈波の測定を行えばよい。
(8)上述の実施形態では、制御部110が、複数の測定信号に対して独立成分分析を行って推定された成分のなかから1又は複数の成分をノイズ成分として特定し、特定したノイズ成分の重み付け係数が最も小さい測定信号を用いて脈波の測定を行うことによって、測定位置により生じる体動ノイズによって生じる誤差を減らす構成とした。これに加えて、制御部110が、測定位置に依存しない体動ノイズ(例えば、うっ血により生じる体動ノイズ)を除去する処理を行う構成としてもよい。具体的には、例えば、制御部110が、測定部位における血管の容積の変化を測定することによってうっ血か否かを判定し、うっ血していると判定された場合に、予め定められたアルゴリズムに従って、特定した測定信号に対して、うっ血により生じるノイズ成分を除去するためのフィルター処理を施すようにしてもよい。
また、他の例として、例えば、脈波測定装置1に加速度センサーを設ける構成とし、この加速度センサーによって測定対象者の動作を検出し、制御部110が検出結果に応じてうっ血の有無を判定してもよい。この場合は、例えば、制御部110が、加速度センサーによって測定部位の向きを検出し、測定部位が重量の影響によりうっ血しやすい姿勢であるか否かを判定し、うっ血しやすい姿勢であると判定された場合に、予め定められたアルゴリズムに従って、特定した測定信号に対して、うっ血により生じるノイズ成分を除去するためのフィルター処理を施すようにしてもよい。
(9)上述の実施形態において、制御部110が、ステップS14にて特定した測定信号Riから、ステップS13にて特定したノイズ成分Srjを除去し、ノイズ成分Srjが除去された測定信号に基づいて、脈波情報を生成する構成としてもよい。測定信号R1,R2,R3,R4と成分Sr1,Sr2,Sr3,Sr4は、上述の(4)式を満たすことにより、成分Srjは、以下の(9)式により算出される。脈波情報生成部115は、以下の(9)式を用いてノイズ成分Srjを算出し、算出したノイズ成分Srjを、ステップS14において特定した測定信号Riから除去するためのフィルター処理を施す。
Figure 2013162820
(10)分離部115で行われる信号分離の方法は実施形態で説明した方法に限定されない。例えば、特開2009−261458号公報に記載された方法を適用して、2つの信号から脈動成分とノイズ成分とを分離してもよい。
(11)図10は、本発明の変形例に係る脈波測定装置の発光素子と受光素子の位置関係の一例を示す図である。上述した実施形態における脈波測定装置1の受光素子211,212,…,218は、測定部位に照射した光の反射光を受光したが、図10に例示するように、受光素子221,222,…が、発光素子219から照射されて測定部位を透過した光を受光するように構成してもよい。
(12)脈波測定装置1の制御部110によって実行されるプログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどのコンピューター装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネット等の通信網経由でダウンロードさせることも可能である。なお、このような制御を行う制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサーなどを用いてもよい。
1…脈波測定装置、2…腕、10…装置本体、15…ディスプレイ、16…操作スイッチ、40…バンド、110…制御部、111…独立成分分析部、112…ばらつき算出部、113…成分特定部、114…測定信号特定部、115…分離部、116…脈波情報生成部、120…信号処理部、130…計時部、140…クロック供給部、150…表示部、160…操作部、180…記憶部、210…受発光部、211,212,213,214,215,216,217,218,221,222…受光素子、219…発光素子、220…駆動部、230…透過板。

Claims (5)

  1. 脈波を測定する測定部位に照射された第1の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第1の受光部と、
    前記測定部位に照射された第2の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第2の受光部であって前記第1の受光部と該第2の受光部とが1対1で対応付けられている複数の第2の受光部と、
    前記複数の第1の受光部が出力する測定信号に対して独立成分分析を行って、各測定信号を複数の成分に分離した場合の各成分の重み付け係数を算出する独立成分分析部と、
    前記独立成分分析部によって算出された重み付け係数の値のばらつきを前記成分毎に算出するばらつき算出部と、
    前記複数の成分のなかから、前記ばらつき算出部によって算出されたばらつきが予め定められた条件を満たす成分を特定する成分特定部と、
    前記複数の第1の受光部が出力する測定信号のなかから、前記成分特定部によって特定された成分の重み付け係数の値が予め定められた条件を満たす測定信号を特定する測定信号特定部と、
    前記測定信号特定部によって特定された測定信号と、該特定された測定信号を出力する第1の受光部に対応付けられた第2の受光部から出力された測定信号とからノイズ成分と脈動成分とを分離する分離部と、
    前記分離部によって分離された脈動成分に基づいて、脈波を表す脈波情報を生成する脈波情報生成部と
    を具備することを特徴とする脈波測定装置。
  2. 前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を含む光を前記測定部位に照射する発光部
    を具備し、
    前記第1の波長は前記第2の波長よりも長い波長であり、前記第1の受光部と前記発光部との距離は、前記第2の受光部と前記発光部との距離よりも長い
    ことを特徴とする請求項1に記載の脈波測定装置。
  3. 前記第1の受光部と該第1の受光部に対応付けられた第2の受光部とを結ぶ直線上に、前記発光部が設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の脈波測定装置。
  4. 前記成分特定部は、前記ばらつき算出部によって算出されたばらつきが最も大きい成分を特定する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脈波測定装置。
  5. 脈波を測定する測定部位に照射された第1の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第1の受光部と、前記測定部位に照射された第2の波長の光が該測定部位を通過又は反射した光の受光量に基づく測定信号を出力する複数の第2の受光部であって前記第1の受光部と該第2の受光部とが1対1で対応付けられている複数の第2の受光部とを備えるコンピューターに、
    前記複数の第1の受光部が出力する測定信号に対して独立成分分析を行って、各測定信号を複数の成分に分離した場合の各成分の重み付け係数を算出する独立成分分析ステップと、
    前記独立成分分析ステップにおいて算出された重み付け係数の値のばらつきを、前記成分毎に算出するばらつき算出ステップと、
    前記複数の成分のなかから、前記第1のばらつき算出ステップにおいて算出されたばらつきが予め定められた条件を満たす成分を特定する成分特定ステップと、
    前記複数の第1の受光部が出力する測定信号のなかから、前記成分特定部において特定
    された成分の重み付け係数の値が予め定められた条件を満たす測定信号を特定する測定信号特定ステップと、
    前記測定信号特定ステップにおいて特定された測定信号と、該特定された測定信号を出力する第1の受光部に対応付けられた第2の受光部から出力された測定信号とからノイズ成分と脈動成分とを分離する分離ステップと、
    前記分離ステップにおいて分離された脈動成分に基づいて、脈波を表す脈波情報を生成する脈波情報生成ステップと
    を実行させるためのプログラム。
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