JP2012091176A - 鋳抜きピン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋳造用金型50に形成され該鋳造用金型50の外部とキャビティ52内部とを連通する取付孔に挿設される鋳抜きピンであって、前記取付孔(本体孔部)は、キャビティ52側へ向かって縮径するテーパー形状に形成され、前記鋳抜きピン1は、前記取付孔(本体孔部)のテーパー形状に応じた勾配のテーパー形状に形成される外周面を有し、前記取付孔(本体孔部)と嵌合する挿着部2aと、前記挿着部から前記キャビティ側へ向かって延出し、前記キャビティ内へ突出する先端部2bとを備える。
【選択図】図1
Description
前記鋳抜きピンは、本体部の他方の端部(以下、「先端部」と記す)が鋳造用金型のキャビティ内に突出した状態となるように、前記金型に挿入されて装着される。そして、鋳抜きピンが装着された鋳造用金型のキャビティ内に溶融金属が充填され、その後、該溶融金属が凝固することで、予め下孔が形成された鋳造製品が鋳造されるのである。
先ず、第一の要因としては、キャビティ内の溶融金属の凝固収縮が考えられる。
即ち、鋳造用金型に挿設された鋳抜きピンは、その先端部を除く大部分を鋳造用金型によって堅固に固定保持される一方、前記先端部は、その周囲を溶融金属によって包まれることとなる。そして、前記溶融金属が徐々に冷却されて凝固収縮すると、鋳抜きピンの先端部は、前記溶融金属の収縮方向に応じた方向に押圧されることとなる。
その結果、鋳抜きピンの先端部近傍には曲げ応力が発生し、該鋳抜きピンの破損や折損などが引き起こされるのである。
即ち、鋳抜きピンの先端部は、周囲の溶融金属の凝固収縮によって、鋳造製品と堅固に嵌合された状態となっている。また、前記鋳抜きピンは、前記係止部が鋳造用金型と係止するで、鋳造用金型による軸心方向への支持が行われている。
このように、鋳抜きピンが嵌合される鋳造製品は、鋳抜きピンの軸心方向に離型されるため、その離型力は鋳抜きピンの軸心方向、且つキャビティ側に向かう大きな引張力となって該鋳抜きピンに作用される。すると、鋳抜きピンの係止部には、鋳抜きピンの軸心方向、且つキャビティと対向する側に向かう大きな反力が作用される。
つまり、鋳抜きピンの係止部において、本体部側の端面には大きな引張応力が発生し、該鋳抜きピンの破損や折損などが引き起こされるのである。
よって、このような鋳抜きピンであれば、破損や折損などを防止し、鋳造用金型に起こり得る突発的な故障原因を低減することも可能であるとも思われる。
しかし、前記「特許文献1」乃至「特許文献3」によって示される技術は、何れも前述した第一の要因を解決するための技術であり、前述した第二の要因を解決するための技術については、確立されていなかった。
即ち、本発明は、鋳造用金型より鋳造製品を離型する際の、該鋳造製品に加わる離型力の影響を受けにくく、破損や折損の発生を極力防止した鋳抜きピンを提供することを課題とする。
即ち、本発明における鋳抜きピンによれば、鋳造用金型より鋳造製品を離型する際の、該鋳造製品に加わる離型力の影響を受けにくく、破損や折損の発生を極力防止することができる。
先ず、本発明を具現化する鋳抜きピン1の構成について、図1、図2、図5および図6を用いて説明する。
なお、便宜上、図1、図2、図5および図6の上下方向は、鋳抜きピン1、或いは鋳抜きピン100の上下方向を示すものとして規定し、以下の説明を行う。
なお、以下の説明において、鋳抜きピン1は鋳造用金型50に直接挿設されることとしているが、これに限定されるものではない。即ち、鋳抜きピン1は、例えば、鋳造用金型50に備えられる入子などに挿入されることによって、鋳造用金型50に挿設されることとしてもよい。
前記本体部2は、一方の端部側から他方の端部に向かって徐々に縮径するように形成される挿着部2aと、該挿着部2aの縮径側端部より、該挿着部2aと同軸上に延出する先端部2bとを有して構成される。つまり、挿着部2aの外周面は、先端部2bに向かって徐々に縮径するテーパー面に形成される。
即ち、先端部2bは先端側に向かって縮径するテーパー形状に形成されている。
取付孔50Aにおけるテーパー面の勾配と、本体部2における挿着部2aのテーパー面の勾配とは同程度に構成されている。つまり、挿着部2aは、取付孔50Aのテーパー形状に応じた勾配のテーパー形状に形成される外周面を有している。
これにより、鋳抜きピン1を取付孔50Aに挿入して、取付孔50Aと挿着部2aとが嵌合した際には、挿着部2aの外周面と取付孔50Aの内周面とが広範囲にわたって当接することとなる。
また、本体孔部50aにおける、キャビティ52側端部と反対側の端部には、本体孔部50aと同軸上に配設される大径穴部50bが形成される。
なお、大径穴部50bは、本発明の構成要素として特に必要なものではなく、本体孔部50aのみをもって取付孔50Aを構成してもよい。
即ち、鋳抜きピン1は、先端部2bをキャビティ52側に向けつつ、鋳造用金型50の外部より、取付孔50A内に挿入される。その後、挿着部2aの外周面が本体孔部50aの内周面に密接されることで、鋳抜きピン1は取付孔50Aに嵌合され、鋳造用金型50に挿設される。
換言すれば、鋳抜きピン1は、取付孔50A(より具体的には、本体孔部50a)の内周面に沿った形状に形成される挿着部2aを有し、該挿着部2aが本体孔部50aと嵌合されることで、鋳造用金型50に対して堅固に挿設されるのである。
ここで、係止部103は鋳抜きピン1の大径部3と同様に形成される一方、本体部102は鋳抜きピン1の本体部2と異なる形状を有する。
なお、先端部102bは鋳抜きピン1の先端部2bと同様に形成される。
即ち、先端部102bは先端側に向かって縮径するテーパー形状に形成されている。
即ち、鋳抜きピン101は、先端部102bをキャビティ152側に向けつつ、鋳造用金型150の外部より取付孔150A内に挿入される。すると、鋳抜きピン101の先端部102bは、本体孔部150aを貫通し、キャビティ152内に突出する。
また、挿着部102aの外周面と本体孔部150aの内周面との間、および係止部103の外周面と係止穴部150bの内周面との間には、それぞれ隙間が生じるようになっている。
このように、係止部103の端面103aには、引張力P2の反力として、鋳抜きピン101の軸心方向、且つ鋳造用金型150の外部側に向かって発生する大きな外力が加わることとなる。
換言すれば、鋳抜きピン1の本体部2および鋳造用金型50の本体孔部50aは、鋳造製品51の離型方向に向かって徐々に縮径するテーパー形状を有して形成される。
つまり、引張力P1の反力としての、鋳抜きピン1の軸心方向、且つ鋳造用金型50の外部側に向かって発生する外力は、挿着部2aの外周面全体にわたって加わることとなる。
従って、鋳抜きピン1は、鋳造用金型50より鋳造製品51を離型する際の、該鋳造製品51に加わる離型力の影響を受けにくく、破損や折損の発生を極力防止することができるのである。
次に、本発明を具現化する鋳抜きピン201(別実施例)の構成について、図3を用いて説明する。
なお、便宜上、図3の上下方向は、鋳抜きピン200の上下方向を示すものとして規定し、以下の説明を行う。
なお、係止穴部250bは、鋳抜きピン201の大径部203、および後述するブッシング210の縁部210bの外形寸法に比べてやや大きな内径寸法を有して形成される。
また、ブッシング210の内周面210aは、挿着部202aの外周面に沿った形状に形成される。即ち、内周面210aは、テーパー形状に形成される挿着部202aの外周面と同等の勾配を有したテーパー面に形成される。
そして、ブッシング210の外周面において、内周面210aの拡径側端部には、縁部210bが形成される。
そして、縁部210bが係止穴部250bの底面250cと当接されることで、鋳造用金型250に対するブッシング210の挿入位置は規定され、本体孔部250aの内周面にブッシング210の外周面が嵌合することで、該ブッシング210は鋳造用金型250に挿設される。
即ち、鋳抜きピン201は、先端部202bをキャビティ252側に向けつつ、鋳造用金型250の外部より、ブッシング210の内周部に挿入される。その後、挿着部202aの外周面がブッシング210の内周面210aに全体的に密接されることで、鋳抜きピン1は該ブッシング210の内周部と嵌合され、鋳造用金型250に挿設される。
従って、前記貫通孔を穿孔する作業者にとってみれば、加工部品(ブッシング210)を扱いやすく、前記貫通孔を容易に加工することができるのである。
次に、本実施例における鋳抜きピン1(201)と、従来の鋳抜きピン101とに対して、本発明者らが行った応力解析の実証データについて、図4を用いて説明する。
なお、便宜上、図4の上下方向は、鋳抜きピン1(101・201)の上下方向を示すものとして規定し、以下の説明を行う。
即ち、本図上の応力スケール10によって示されるように、鋳抜きピン1(201)の表面上に加えられる応力は、着色される色の濃度が濃い領域ほど小さく、着色される色の濃度が薄い領域ほど大きいことが明示されている。
従って、鋳抜きピン1は、鋳造用金型50より鋳造製品51を離型する際の、該鋳造製品51に加わる離型力の影響を受けにくく、破損や折損の発生を極力防止することができるのである。
50A 取付孔
50 鋳造用金型
1 鋳抜きピン
2 本体部
50a 本体孔部50a
2a 挿着部
2b 先端部
250 鋳造用金型
210 ブッシング
210a 内周部
Claims (2)
- 鋳造用金型に形成され該鋳造用金型の外部とキャビティ内部とを連通する取付孔に挿設される鋳抜きピンであって、
前記取付孔は、キャビティ側へ向かって縮径するテーパー形状に形成され、
前記鋳抜きピンは、前記取付孔のテーパー形状に応じた勾配のテーパー形状に形成される外周面を有し、前記取付孔と嵌合する挿着部と、前記挿着部から前記キャビティ側へ向かって延出し、前記キャビティ内へ突出する先端部とを備える、
ことを特徴とする鋳抜きピン。 - 前記取付孔は、前記鋳造用金型に貫設される筒状部材の内周部によって構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳抜きピン。
Priority Applications (1)
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2010
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