JP5593206B2 - 金型構造 - Google Patents

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本発明は、コアピンを備えた金型構造に関する。
製品表面から製品内部へと延びる孔又は凹部を有する製品を鋳造する場合、鋳巣を防止し、また、鋳造後のタップ加工性を向上させるために、孔又は凹部となる位置にコアピンを配置し、孔又は凹部の概略形状を形成することが一般的に行われている。
コアピンは、溶湯注入時や離型時には荷重、衝撃を受けて折損する場合があるため、金型とは別に構成され、折損した場合には新しいコアピンと交換される。コアピンを金型へ組付ける構造として、例えば、特許文献1には、コアピンの取付け孔を金型の表面から背面まで貫通するように設け、金型の背面側からコアピンを固定する構造が記載されている。
特開平3−5058号公報
しかし、上記従来の技術では、コアピンの取付け孔を、金型を貫通するように設けているので、金型の加工範囲が広くなり、加工費が増加して、金型の製造コストが上昇する。また、コアピンの交換の際に、金型背面側に配置される他の部品(エジェクターピンを変位させるためのエジェクタープレート、エジェクタープレートが収容される空間を閉塞するバックプレート等)を取り外す必要があるので、交換に要する時間が長くなる。
また、金型の加工範囲を小さくし、かつコアピンの交換容易性を向上させるために、コアピンを金型の表面側からネジで締め込む構造が知られている。この構造では、金型表面側にコアピンの取付け孔を設け、取付け孔の内周面とコアピンの外周面とを螺合させることでコアピンを固定する。
しかし、コアピンは溶湯注入時や離型時に荷重、衝撃を受けるので、繰り返し使用することによってコアピンのネジが緩み、コアピンがキャビティ側に移動して鋳抜き深さが深くなってしまう場合がある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、コアピンを金型の表面側からネジで締め込む構造を採用しながら、コアピンのネジの緩みを防止することを目的とする。
本発明のある態様によれば、金型構造であって、ネジ部と、ネジ部の先端に延設され、ネジ部の軸心に対して偏心している偏心部とを有するコアピンと、ネジ部と螺合する螺合部と、コアピンを螺挿した時に偏心部の一部が圧接する圧接部とを有するコアピン取付け孔を金型表面側に有する金型と、を備えることを特徴とする金型構造が提供される。
上記の態様によれば、コアピンを金型に螺挿した時、コアピンの偏心部の一部がコアピン取付け孔の内壁に圧接するので、クサビ効果によってコアピンと金型とが圧着することによりコアピンの緩みを防止することができる。よって、コアピンを金型表面側からネジで締め込む構造としながら、コアピンのネジの緩みを防止することができる。
本発明の第1実施形態に係る金型構造を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る金型構造を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る金型構造を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「コアピン30の先端」とは溶湯中に露出する先端ではなく金型10の内部に嵌挿される先端を指す。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における金型構造100を示す断面図であり、(a)はコアピン30を金型10に螺挿する前の状態を示し、(b)はコアピン30を金型10に螺挿した状態を示し、(c)は(b)の範囲Aを拡大した断面を示す。
金型10における図中右側の面は金型表面11、すなわち金属の溶湯が注入されるキャビティの内面である。金型10における図中左側の面は金型背面12であり、金型背面12側には、金型10を支持するブロック、エジェクターピンを駆動するエジェクタープレート、エジェクタープレートを収容する空間を閉塞するバックプレート等の他の部品が配置される。この実施形態では、ダイカスト鋳造を想定するが、鋳造の種類はこれに限定されず、重力鋳造、低圧鋳造等であってもよい。
金型10には、金型表面11に開口して金型背面12まで貫通しないコアピン取付け孔20が形成されている。コアピン取付け孔20は、途中に2つの段部21、22を有し、段部21、22を境界として金型表面11側から順に、コアピン30と密接する密接部23と、コアピン30のネジ部34と螺合する螺合部24と、螺合部24より内径が小さく、コアピン30の先端31の一部と圧接する圧接部25とを有する。
密接部23は、コアピン30の外周と全周にわたって密接するように内径が設定され、コアピン取付け孔20内への溶湯の浸入を防止する。螺合部24は、内周にネジ部26を有し、コアピン30と螺合してコアピン30を金型10に固定する。圧接部25は、先端へ行くほど内径が小径となるようにテーパ状に形成され、コアピン30をコアピン取付け孔20に螺挿した時、コアピン30の先端31の一部と圧接する。
コアピン30は、製品に形成される孔又は凹部に対応したピン形状の成形部32と、コアピン取付け孔20の密接部23と密着して溶湯の浸入を防止する封止部33と、コアピン取付け孔20の螺合部24と螺合するように外周にネジ溝が螺刻されるネジ部34と、ネジ部34より小径でネジ部34の軸心に対して偏心している偏心部35とを有する。
偏心部35は、コアピン30の先端31へ行くほど小径となるようにテーパ状に形成され、図1(c)に示すように、コアピン取付け孔20の圧接部25よりテーパ角度が小さくなるように形成される。
次に、コアピン30を金型10に螺挿して固定する過程について説明する。
コアピン30は、金型表面11側からコアピン取付け孔20に螺挿される(図1(a))。コアピン30の先端31に配置される偏心部35がコアピン取付け孔20の圧接部25に到達すると、偏心部35の側面であってコアピン先端31側の一部が圧接部25に当接する(図1(b))。この時、偏心部35のテーパ角度と圧接部25のテーパ角度とは異なるので、偏心部35の先端側のみが圧接部25に押し付けられるように当接する。この状態でコアピン30をさらに螺挿すると、偏心部35が圧接部25に圧接するので、コアピン30には軸に垂直な曲げ方向の力が作用する(図1(c))。これにより、コアピン30はクサビ効果によって金型10に強固に圧着される。
また、コアピン30の折損などによってコアピン30を交換する際には、コアピン30と金型10との圧着力より大きな力をコアピン30に加えることで、クサビが外れてネジを緩めることができる。
以上のように本実施形態では、コアピン30を金型10に螺挿した時、コアピン30の偏心部35の一部がコアピン取付け孔20の圧接部25に圧接するので、クサビ効果によってコアピン30と金型10とが圧着し、溶湯から受ける圧力の変動や型抜き時の引張りなどによるコアピン30のネジの緩みを防止することができる。よって、コアピン30を金型表面11側からネジで締め込む構造としながら、コアピン30のネジの緩みを防止することができる(請求項1に対応)。
また、偏心部35のテーパ角度が圧接部25のテーパ角度より小さくなるように形成されるので、圧接部25に対してコアピン30の偏心部35における先端31側の角が圧接することとなり、接触圧力が大きくなって十分なクサビ効果によりコアピン30のネジの緩みをより確実に防止することができる(請求項2に対応)。
(第2実施形態)
図2は、本実施形態における金型構造100を示す断面図であり、(a)はコアピン30を金型10に挿入する前の状態を示し、(b)はコアピン30を金型10に挿入した状態を示し、(c)は(b)の範囲Bを拡大した断面を示す。
本実施形態では、コアピン30及びコアピン取付け孔20の基本的な構造は第1実施形態と同一であり、コアピン30の偏心部36及びコアピン取付け孔20の圧接部27の構造が第1実施形態とは異なる。
具体的には、コアピン30の偏心部36及びコアピン取付け孔20の圧接部27のテーパ面の角度が、図2(c)に示すように、同一角度となるように形成される。また、第1実施形態と同様に、圧接部27の内周面は偏心部36の外周面より軸方向に長くなるように形成される。
次に、コアピン30を金型10に螺挿して固定する過程について説明する。
コアピン30は、金型表面11側からコアピン取付け孔20に螺挿される(図2(a))。コアピン30の先端31に配置される偏心部36がコアピン取付け孔20の圧接部27に到達すると、偏心部36の側面が圧接部27に当接する(図2(b))。この時、偏心部36のテーパ角度と圧接部27のテーパ角度とが同一であるので、偏心部36の側面のうち偏心側の側面が軸方向にわたって圧接部27と当接する。この状態でコアピン30をさらに螺挿すると、偏心部36が圧接部27に圧接するので、コアピン30には曲げ方向の力が作用する(図2(c))。これにより、コアピン30はクサビ効果によって金型に強固に圧着される。
また、コアピン30の折損などによってコアピン30を交換する際には、第1実施形態と同様に、コアピン30と金型10との圧着力より大きな力をコアピン30に加えることで、クサビが外れてネジを緩めることができる。
以上のように本実施形態では、偏心部36のテーパ角度と圧接部27のテーパ角度とが同一角度となるように形成されるので、コアピン30の偏心部36の側面が圧接部27に対して軸方向にわたって圧接することとなる。これにより、接触面積が大きくなって圧接部27から偏心部37に対してより大きな力を作用させることで十分なクサビ効果を得ることができ、よってコアピン30のネジの緩みをより確実に防止することができる(請求項3に対応)。
(第3実施形態)
図3は、本実施形態における金型構造100を示す断面図であり、(a)はコアピン30を金型10に挿入する前の状態を示し、(b)はコアピン30を金型10に挿入した状態を示し、(c)は(b)の範囲Cを拡大した断面を示す。
本実施形態では、コアピン30及びコアピン取付け孔20の基本的な構造は第1実施形態と同一であり、コアピン30の偏心部37及びコアピン取付け孔20の圧接部28の構造が異なっている。
具体的には、コアピン30の偏心部37の外周面及びコアピン取付け孔20の圧接部28の内周面が、第1実施形態のようにテーパ状に形成されるのではなく、ネジ部34の軸心に平行となるように形成される。すなわち、第1実施形態では偏心部35がほぼ円錐形状に形成されるのに対して、本実施形態では偏心部37がほぼ円柱形状に形成される。さらに、圧接部28の内径は偏心部37の偏心側の外径であって最大の外径とほぼ等しくなるように形成される。
また、偏心部37の先端38は、コアピン30のコアピン取付け孔20への挿通を容易にするため、面取り加工される。
次に、コアピン30を金型10に螺挿して固定する過程について説明する。
コアピン30は、金型表面11側からコアピン取付け孔20に螺挿される(図3(a))。コアピン30の先端38に配置される偏心部37がコアピン取付け孔20の圧接部28に到達すると、偏心部37の側面が圧接部28に当接する。この状態でコアピン30をさらに螺挿すると、偏心部37の側面が圧接部28に摺接しながら軸方向に挿通され(図3(b))、コアピン30には曲げ方向の力が作用する(図3(c))。これにより、コアピン30はクサビ効果によって金型に強固に圧着される。
また、コアピン30の折損などによってコアピン30を交換する際には、第1実施形態と同様に、コアピン30と金型10との圧着力より大きな力をコアピン30に加えることで、クサビが外れてネジを緩めることができる。
以上のように本実施形態では、偏心部37の外周面と圧接部28の内周面とが、ともにネジ部34の軸心に平行になるように円筒形状に形成され、コアピン30の螺挿時における偏心部37の最大外径が圧接部28の内径より大きくなるように形成されるので、コアピン30の偏心部37の側面が圧接部28に対して軸方向にわたって圧接することとなる。これにより、接触面積が大きくなって圧接部28から偏心部37に対してより大きな力を作用させることで十分なクサビ効果を得ることができ、よってコアピン30のネジの緩みをより確実に防止することができる(請求項4に対応)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 金型
11 金型表面
20 コアピン取付け孔
24 螺合部
25、27、28 圧接部
30 コアピン
34 ネジ部
35、36、37 偏心部
100 金型構造

Claims (4)

  1. 金型構造であって、
    ネジ部と、前記ネジ部の先端に延設され、前記ネジ部の軸心に対して偏心している偏心部とを有するコアピンと、
    前記ネジ部と螺合する螺合部と、前記コアピンを螺挿した時に前記偏心部の一部が圧接する圧接部とを有するコアピン取付け孔を金型表面側に有する金型と、
    を備えることを特徴とする金型構造。
  2. 前記圧接部は、先端に行くほど小径なテーパ状に形成され、
    前記偏心部は、先端に行くほど小径なテーパ状であって、前記圧接部よりテーパ角度が小さいテーパ状に形成され、前記コアピンを螺挿した時に、先端側が前記圧接部に圧接することを特徴とする請求項1に記載の金型構造。
  3. 前記圧接部は、先端に行くほど小径なテーパ状に形成され、
    前記偏心部は、先端に行くほど小径なテーパ状であって、前記圧接部とテーパ角度が同一のテーパ状に形成され、前記コアピンを螺挿した時に、偏心側の側面が軸方向にわたって前記圧接部に圧接することを特徴とする請求項1に記載の金型構造。
  4. 前記圧接部は、前記ネジ部の軸心に平行な円筒形状に形成され、
    前記偏心部は、前記ネジ部の軸心に平行な円筒形状であって、前記コアピンの螺挿時における前記偏心部の最大外径が前記圧接部の内径より大きくなる円筒形状に形成され、先端に行くほど小径なテーパ面を先端側に有することを特徴とする請求項1に記載の金型構造。
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