JPH09236109A - 盲螺子穴用ロックボルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボルト強度を低下させることなく簡単な操作
により強固なロックができ、再使用においても作業性を
低下することなく使用できる盲螺子穴用ロックボルトを
提供することを課題とする。 【解決の手段】 ボルト本体(4) の軸中心線(c) に貫設
した雌螺子孔(3) に、ロック用雄螺子(7) の先端にロッ
ク用当接体(8) を一体に形成したロック螺子主体(6)
を、前記ロック用当接体(8) の回転中心が、前記軸中心
線(c) に対して偏心(9) した偏心軸線(d) 上位置となる
ように螺合結合した構成であり、ボルト本体(4) で対象
物を盲螺子孔(a) のある基体(A) に締結した後、ロック
用雄螺子(7)の操作手段(5) 部を操作して、対象物の盲
螺子孔(a) の奥の盃形底(e) にロック用当接体(8) を強
く押圧して、ロック用雄螺子(7) に偏心方向とは逆方向
の径方向に弾性撓み変形を与えるとともに、ダブルナッ
ト機能を構成して締結状態をロックする手段である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術】本発明は、盲螺子穴が穿設された
基体に対して必要部材を固定するために使用して緩み止
めのためのロック機能を発揮する盲螺子穴用ロックボル
トに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の盲螺子穴用ロックボルトとして
は、ボルトの軸端部に形成した干渉部材取付け用溝に、
弾性プラスチック材料からなる干渉部材を一体的に装着
し、該ボルトを螺子穴に螺合する際に、干渉部材の一部
面が削られて螺子山が形成され、その削られた分が螺子
山相互間に封入されることによって、ボルトが螺子穴に
干渉部材による圧力を付与し、緩み止めロックを果たす
ようにしたロックボルトが、実公昭５９−３０２５８号
公報により公知となっている。

【０００３】また本願出願人において発明した、ボルト
のねじ部に縦割りを設けると共に、中心部にテーパー孔
を設け、該テーパー孔内へねじにより軸方向に移動する
テーパーピンを配設し、ダブルネジ方式により移動する
テーパーピンの軸方向移動によって、ボルトのねじ部を
径方向に拡大させるようにしたロック装置付きボルトも
実公平２−４５５２８号公報により公知となっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが前者のロック
ボルトは、弾性プラスチック材料からなる干渉部材の切
削粉による圧力を付与するものであることから、ボルト
の装着において抵抗が高く装着能率を低くするだけでな
く、振動が激しく温度が高くなるような部材の締結には
使用することができないものであり、また製作コストも
高くなるだけでなく、再使用するばあいには干渉部材を
交換しなければロック機能を期待することができない点
に課題がある。

【０００５】また後者のロック装置付きボルトも、強固
なロックが可能であるが、製作性に難点があるだけでな
く、ボルトのねじ部に縦割り施すものであるため、ボル
ト強度が確保しがたく、また径方向に拡大して戻りが悪
い傾向にあるため、再使用時にねじ孔への挿入が固くな
りがちであり、ボルトのねじ込み作業性を低下させる点
に課題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、ボルト強度を
低下させることなく簡単な加工と操作により強固なロッ
クができるだけでなく、簡単なロック解除によってボル
ト自体に損傷を与えることなくボルトの離脱も行え、ね
じ込み作業性を低下させることなく再使用することがで
きる盲螺子穴用ロックボルトを安価に提供することを課
題として成されたものであり、技術的思想の共通する二
種類の解決手段を提供する。

【０００７】その一つは、締付け用頭(1) を具備した螺
子主体(2) の軸中心線(c) に、該螺子主体(2) と同一方
向すすみ螺子の雌螺子孔(3) を貫設したボルト本体(4)
と、ロック用雄螺子(7) の後端に操作手段(5) が形成さ
れ且つ先端部に前記軸中心線(c) から偏心(9) した位置
を中心として前記螺子主体(2) の螺子の谷径に内接する
半径以下であってロック用雄螺子(7) の外径以上の回転
径(r) を有するロック用当接体(8) を形成したロック螺
子主体(6) とからなり、前記螺子主体(2) の雌螺子孔
(3) の先端部から、前記ロック螺子主体(6) のロック用
雄螺子(7) を螺合させたことを特徴とする盲螺子穴用ロ
ックボルトである。

【０００８】他の一つは、締付け用頭(1) を具備した螺
子主体(2) の軸中心線(c) と偏心(9) した偏心軸線(d)
中心として、該螺子主体(2) と同一方向すすみ螺子の雌
螺子孔(3) を貫設したボルト本体(4) と、ロック用雄螺
子(7) の後端に操作手段(5)が形成され且つ先端部にロ
ック用雄螺子(7) と同心であって前記螺子主体(2) の螺
子の谷径に内接する半径以下の回転径(r) でロック用当
接体(8) を形成したロック螺子主体(6) とからなり、前
記螺子主体(2) の雌螺子孔(3) の先端部から、前記ロッ
ク螺子主体(6) のロック用雄螺子(7) を螺合させたこと
を特徴とする盲螺子穴用ロックボルトであり、いずれの
場合も、ロック用当接体(8) の先端形状を円錐形とし、
或は円錐形表面に、放射溝、ローレット等の回転抵抗手
段を施すことが好ましい。

【０００９】上記のように構成した盲螺子穴用ロックボ
ルトは、ボルト本体(4) の螺子主体(2) の先端側から、
その雌螺子孔(3) にロック用螺子体(7) を装着して、該
ロック用螺子体(7) の操作手段(5) 部を、ボルト本体
(4) の締付け用頭(1) 部分から操作できるように一体的
にセットした状態で取り扱われる。

【００１０】そして、盲螺子孔(a) が穿設された基体
(A) に、バカ孔(b) を貫設した被固定部材(B) を整合さ
せて重ね、通常の締付けボルトと同様の要領でねじ込み
締結した後、ボルト本体(4) の締付け用頭(1) 部分から
六角棒レンチ等の工具により操作手段(5) 部を操作し
て、ロック螺子主体(6) を盲螺子孔(a) の奥へ進行さ
せ、その先端部のロック用当接体(8) が、盲螺子孔(a)
用の下穴形成のためのドリル先端により形成された、ロ
ック用当接体(8) に対応する断面盃形底(e) に偏心状態
で強く押圧されると、軸方向力の傾斜面に対する力の径
方向分力が、偏心方向とは逆の径方向でロック用当接体
(8) に作用して、ロック用雄螺子(7) が弾性撓み変形
し、ロック用螺子体(7) と雌螺子孔(3) 相互及び該雌螺
子孔(3) が設けられている螺子主体(2) と盲雌螺子孔
(a) 相互を同時的に強く圧着するとともに、ロック用雄
螺子(7) の軸方向反力によってダブルナットの場合と同
様の緩み止め機能（ダブルナット機能）を発揮するよう
になる。

【００１１】また上記構成の本発明に係る盲螺子穴用ロ
ックボルトは、ロック用雄螺子(7)がボルト本体(4) の
雌螺子孔(3) に螺合されて中実状態となることから、十
分なボルト強度が確保できるようになる。

【００１２】

【発明の実施の形態】及び

【実施例】

（実施例１）本発明の実施例に係る盲螺子穴用ロックボ
ルトを図に基づいて説明すると、図１は実施例１に係る
盲螺子穴用ロックボルトの分解状態断面図、図２は組立
状態の断面図、図３は偏心状態を示す底面図、図４は盲
螺子穴用ロックボルトとしての使用状態断面図であっ
て、相互に螺合結合されるボルト本体(4) とロック螺子
主体(6) との二部品から構成されている。

【００１３】前記ボルト本体(4) は、中心に六角穴(11)
のある締付け用頭(1) と一体に形成した螺子主体(2) の
軸中心線(c) に、前記螺子主体(2) と同一方向すすみ螺
子の雌螺子孔(3) を貫設して、その一端を前記六角穴(1
1)に臨ませた構成となっている。

【００１４】また前記ロック螺子主体(6) は、ロック用
雄螺子(7) の後端に操作手段(5) として締付工具用穴(7
a)を具備し、先端には前記軸中心線(c) から偏心(9) し
た位置の偏心軸線(d) を中心として前記螺子主体(2) の
螺子の谷径(D) に内接する回転径(r) を有するロック用
当接体(8) を一体に具備した構成となっている。

【００１５】前記ロック用当接体(8) は、偏心軸線(d)
を中心として前記螺子主体(2) の螺子の谷径に内接する
半径以下、ロック用雄螺子(7) の外径以上の回転径(r)
を有し且つ先端部を被固定部材(B) を固定する基体(A)
の盲螺子孔(a) の盃形底(e)に当接するための円錐形当
接面とし、その表面に放射溝、ローレット(8a)等の回転
抵抗付与手段を設けてある。

【００１６】上記説明した構成の盲螺子穴用ロックボル
トは、図２乃至図４に示すように、盲螺子孔(a) が穿設
された基体(A) に、バカ孔(b) を貫設した被固定部材
(B) を整合させて重ね、通常の締付けボルトと同様の要
領でねじ込み締結すると共にロック用雄螺子(7) を盲螺
子孔(a) の奥へ進行させて、そのロック用当接体(8) の
円錐形当接面を盲螺子孔(a) の盃形底(e) に強く押圧
し、その反力によるダブルナット機能と、ロック用雄螺
子(7) の径方向への弾性撓み変形によるネジ密着作用と
によって、ボルト締結状態をロックする。

【００１７】（実施例２）実施例２に係る盲螺子穴用ロ
ックボルトを、図５に示した組立状態の断面図及び図６
に示した偏心状態を示す底面図に基いて説明すると、前
記実施例１と同様、螺合結合されるボルト本体(4) とロ
ック螺子主体(6) との二部品から構成したものであり、
ボルト本体(4) に、該ボルト本体(4) の軸中心線(c) と
平行する偏心軸線(d) を中心として雌螺子孔(3) を貫設
し、前記ロック螺子主体(6) のロック用雄螺子(7) とロ
ック用当接体(8) は、偏心軸線(d) を中心とする同心に
形成した構成であり、他の構成は実施例と同一に付き説
明を省略する。

【００１８】なお上記実施例１、２に説明したボルト本
体(4) の締付け用頭(1) 、ロック用雄螺子(7) の操作手
段(5) は、操作目的に応じて変更されるものであり、ま
たロック用当接体(8) も円錐形に限定されるものではな
く、盃形底(e) に押圧した場合にロック用雄螺子(7) を
弾性撓み変形させてに夫々のネジ相互を螺合密着させる
力が作用する形状（例えば、半球形、錠剤形、円錐台形
等）とすればよく、また締付け用頭(1) の中心の六角穴
(11)は、締付け用頭(1) の外形を六角形とする場合には
必要がなく、雌螺子孔(3) を貫設すれば足りる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した本発明の盲螺子穴用ロック
ボルトは、ボルト本体(4) の軸中心線(c) に対してロッ
ク螺子主体(6) のロック用当接体(8) の回転中心が偏心
するように結合したから、盲螺子孔(a) が穿設された基
体(A) に、バカ孔(b) を貫設した被固定部材(B) を整合
させて重ね、通常の締付けボルトと同様の要領でボルト
本体(4) をねじ込み締結した後、ボルト本体(4) の締付
け用頭(1) 部分から六角棒レンチ等の工具により操作手
段(5) 部を操作して、ロック螺子主体(6) を盲螺子孔
(a) の奥へ進行させ、その先端部のロック用当接体(8)
を盲螺子孔(a) の盃形底(e) に強く押圧することによ
り、軸方向力の傾斜面に対する力の径方向分力が、偏心
方向とは逆の径方向でロック用当接体(8) に作用して、
ロック用雄螺子(7) が弾性撓み変形し、ロック用螺子体
(7) と雌螺子孔(3) 相互及び該雌螺子孔(3) が設けられ
ている螺子主体(2) と盲雌螺子孔(a) 相互を同時的に強
く圧着するとともに、ロック用雄螺子(7) の軸方向反力
によってダブルナットの場合と同様の緩み止め機能が発
揮されて、確実なロック状態を確保することができる。

【００２０】また上記構成の本発明に係る盲螺子穴用ロ
ックボルトは、ロック用雄螺子(7)がボルト本体(4) の
雌螺子孔(3) に螺合されて中実状態となることから、十
分なボルト強度が確保できる。ようになる。

【００２１】さらに本発明に係る盲螺子穴用ロックボル
トは、六角棒レンチ等の工具により操作手段(5) 部を前
記ロック操作とは逆に操作することによって、ボルト自
体に損傷を与えることなく簡単にロック状態を解除して
ボルトの離脱も行え、ねじ込み作業性を低下させること
なく再使用することができことから経済的である。

【００２２】さらにまたボルト本体(4) もロック螺子主
体(6) も特殊な加工をすることなく簡単に製作できる構
成であり、しかもボルト本体(4) の螺子主体(2) の先端
側から、その雌螺子孔(3) にロック用雄螺子(7) を装着
して、該ロック用雄螺子(7)の操作手段(5) 部をボルト
本体(4) の締付け用頭(1) 部分から操作できるように一
体的にセットした纏まりのある状態であるから、部品の
喪失等を招くことなく取り扱うことができ、保管、輸送
等を便利で安価な盲螺子穴用ロックボルトを提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る盲螺子穴用ロックボルトの実施例
１の分解断面図である。

【図２】実施例１に係る盲螺子穴用ロックボルトの組立
状態の断面図である。

【図３】実施例１に係る盲螺子穴用ロックボルトの偏心
状態を示す底面図である。

【図４】実施例１に係る盲螺子穴用ロックボルトの使用
状態断面図である。

【図５】本発明に係る実施例２の盲螺子穴用ロックボル
トの組立状態の断面図である。

【図６】実施例２に係る盲螺子穴用ロックボルトの偏心
状態を示す底面図である。

【符号の説明】

(1) 締付け用頭 (2) 螺子主体 (c) 軸中心線 (d) 偏心軸線 (3) 雌螺子孔 (4) ボルト本体 (5) 操作手段 (6) ロック螺子主体 (7) ロック用雄螺子 (r) 回転径 (8) ロック用当接体 (9) 偏心

【手続補正書】

【提出日】平成８年３月１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１７

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１７】（実施例２）実施例２に係る盲螺子穴用ロ
ックボルトを、図５に示した組立状態の断面図及び図６
に示した偏心状態を示す底面図に基いて説明すると、前
記実施例１と同様、螺合結合されるボルト本体(4) とロ
ック螺子主体(6) との二部品から構成したものであり、
ボルト本体(4) に、該ボルト本体(4) の軸中心線(c) と
平行する偏心軸線(d) を中心として雌螺子孔(3) を貫設
し、前記ロック螺子主体(6) のロック用雄螺子(7) とロ
ック用当接体(8) は、偏心軸線(d) を中心とする同心に
形成した構成であり、他の構成は実施例１と同一に付き
説明を省略する。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１８

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１８】なお上記実施例１、２に説明したボルト本
体(4) の締付け用頭(1) 、ロック用雄螺子(7) の操作手
段(5) は、操作目的に応じて変更されるものであり、ま
たロック用当接体(8) も円錐形に限定されるものではな
く、盃形底(e) に押圧した場合にロック用雄螺子(7) を
弾性撓み変形させて夫々のネジ相互を螺合密着させる力
が作用する形状（例えば、半球形、錠剤形、円錐台形
等）とすればよく、また締付け用頭(1) の中心の六角穴
(11)は、締付け用頭(1) の外形を六角形とする場合には
必要がなく、雌螺子孔(3) を貫設すれば足りる。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２２

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２２】さらにまたボルト本体(4) もロック螺子主
体(6) も特殊な加工をすることなく簡単に製作できる構
成であり、しかもボルト本体(4) の螺子主体(2) の先端
側から、その雌螺子孔(3) にロック用雄螺子(7) を装着
して、該ロック用雄螺子(7)の操作手段(5) 部をボルト
本体(4) の締付け用頭(1) 部分から操作できるように一
体的にセットした纏まりのある状態であるから、部品の
喪失等を招くことなく取り扱うことができて、作業、保
管、輸送等を便利とし、経済的な盲螺子穴用ロックボル
トを提供することができる。

【手続補正４】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図３

【補正方法】変更

【補正内容】

【図３】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 締付け用頭(1) を具備した螺子主体(2)
   の軸中心線(c) に、該螺子主体(2) と同一方向すすみ螺
   子の雌螺子孔(3) を貫設したボルト本体(4)と、ロック
   用雄螺子(7) の後端に操作手段(5) が形成され且つ先端
   部に前記軸中心線(c) から偏心(9) した位置を中心とし
   て前記螺子主体(2) の螺子の谷径に内接する半径以下で
   あってロック用雄螺子(7) の外径以上の回転径(r) を有
   するロック用当接体(8) を形成したロック螺子主体(6)
   とからなり、前記螺子主体(2)の雌螺子孔(3) の先端部
   から、前記ロック螺子主体(6) のロック用雄螺子(7) を
   螺合させたことを特徴とする盲螺子穴用ロックボルト。
2. 【請求項２】 締付け用頭(1) を具備した螺子主体(2)
   の軸中心線(c) と偏心(9) した偏心軸線(d) 中心とし
   て、該螺子主体(2) と同一方向すすみ螺子の雌螺子孔
   (3) を貫設したボルト本体(4) と、ロック用雄螺子(7)
   の後端に操作手段(5) が形成され且つ先端部にロック用
   雄螺子(7) と同心であって前記螺子主体(2) の螺子の谷
   径に内接する半径以下の回転径(r) でロック用当接体
   (8) を形成したロック螺子主体(6) とからなり、前記螺
   子主体(2) の雌螺子孔(3) の先端部から、前記ロック螺
   子主体(6) のロック用雄螺子(7) を螺合させたことを特
   徴とする盲螺子穴用ロックボルト。