JP5616404B2 - 鋳抜きピンの製造方法 - Google Patents
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Description
冷却穴が形成された鋳抜きピンを使用すれば、ダイカスト製品に生じる引け巣を鋳抜きピン位置から遠ざけることができるという点で有利とされている。
なお、図6および図7中の符号4は大径部(取り付け部:フランジ部)、符号5はダイカスト鋳造用金型、符号6はキャビティである。
本発明に係る鋳抜きピンの製造方法は、基端側に配置された第1大径部および先端側に配置された第1小径部を有するスリーブと、該スリーブに挿通されるとともに前記基端側に配置された第2大径部と先端側に配置された第2小径部を有するインナーピンと、を備え、前記スリーブに前記インナーピンが挿通された状態で、前記インナーピンの先端側の端部に形成されたテーパ部が、前記スリーブの先端面から突出する鋳抜きピンの製造方法であって、一定の外径を有する中実の丸棒の内部に、一定の内径を有する貫通穴が、中心軸線に沿って穿設された第1の部材の前記貫通穴に、前記貫通穴の内径よりも小さい一定の外径を有する丸棒部が、中心軸線に沿って機械加工された第2の部材の前記丸棒部を挿通し、これら第1の部材と第2の部材とを一体物にする段階と、一体物とされた前記第1の部材および前記第2の部材を、加工機にセットし、前記第1の部材、および前記第2の部材の前記丸棒部を切削して、前記丸棒部の所定の部分が前記テーパ部になるように機械加工する段階と、を備えており、前記第2の部材が有する前記第2大径部の前記先端側端部には、前記基端側から前記先端側にかけて所定の割合で縮径するテーパ外周面が形成されており、前記第1の部材が有する前記第1大径部の前記基端側端部には、前記テーパ外周面と合致するようにして形成されたテーパ内周面が形成されており、前記一体物にする段階は、前記テーパ外周面が前記テーパ内周面と密着するようにして接した状態とするとともに、前記基端側に位置する前記中実の丸棒の内部に、前記貫通穴の内径よりも大きい一定の内径を有し前記第2小径部の外周面との間に断熱層を形成する凹部を穿設する段階を備えていることを特徴とする。
これにより、中径部2と先細りテーパ部3との境界部における応力集中をなくす(大幅に低減させる)ことができ、先細りテーパ部3の根元からの折損を防止することができて、寿命を長期化させることができる。
これにより、スリーブとインナーピンとの片当たりをなくすことができて、疲労によるインナーピンの折損を防止することができて、寿命を長期化させることができる。
なお、スリーブと、インナーピンとを、別々に加工機にセットして製作した後、それらを組み合わせて一つの鋳抜きピンとした場合、スリーブの中心軸線(芯)と、インナーピンの中心軸線(芯)とが一致しておらず、スリーブとインナーピンとが片当たりして、疲労によってインナーピンが折損するおそれがある。
これにより、インナーピンの内部に、基端部の側からその中心軸線に沿って中心穴が形成され、先端部の側にて底部を有する有底穴とされた冷却穴が形成されたものでは、金型(例えば、ダイカスト用金型)に取り付けられた際にキャビティコーナーと対向する金型の肩部コーナー近傍、または金型に取り付けられた際にキャビティコーナーと対向する鋳抜きピンの根元部コーナー近傍が、当該鋳抜きピンの先端部と同じように冷却されてしまうことがなくなる。
すなわち、キャビティ内に供給(注入)された溶湯(例えば、Al合金の溶湯:溶解したアルミニウム合金)は、キャビティコーナーに確実に到達して、その後凝固することになり、製品(例えば、ダイカスト製品)を寸法通りに正確に製造することができる。
また、金型から製品を取り外す際、製品が金型の肩部コーナーまたは当該鋳抜きピンの根元部コーナーに食い付くのを防止することができ、製品にクラックが発生するのを防止することができて、金型の肩部コーナー近傍で金型の肩部が折損してしまうのを、または当該鋳抜きピンの根元部コーナー近傍で当該鋳抜きピンが折損してしまうのを防止することができる。
これにより、インナーピンの内部に、基端部の側からその中心軸線に沿って中心穴が形成され、先端部の側にて底部を有する有底穴とされた冷却穴が形成されたものでは、金型(例えば、ダイカスト用金型)に取り付けられた際にキャビティコーナーと対向する金型の肩部コーナー近傍、または金型に取り付けられた際にキャビティコーナーと対向する鋳抜きピンの根元部コーナー近傍が、当該鋳抜きピンの先端部と同じように冷却されてしまうことがなくなる。
すなわち、キャビティ内に供給(注入)された溶湯(例えば、Al合金の溶湯:溶解したアルミニウム合金)は、キャビティコーナーに確実に到達して、その後凝固することになり、製品(例えば、ダイカスト製品)を寸法通りに正確に製造することができる。
また、金型から製品を取り外す際、製品が金型の肩部コーナーまたは当該鋳抜きピンの根元部コーナーに食い付くのを防止することができ、製品にクラックが発生するのを防止することができて、金型の肩部コーナー近傍で金型の肩部が折損してしまうのを、または当該鋳抜きピンの根元部コーナー近傍で当該鋳抜きピンが折損してしまうのを防止することができる。
本実施形態では、ダイカスト用金型に用いる鋳抜きピンを一具体例として挙げ、その形状を説明した後に、その製造方法について説明する。
スリーブ12は、例えば、ダイカスト金属材料として最も広く使用されているダイス鋼(SKD61)で作られており、大径部21と、大径部21よりも小径とされた小径直線部22と、小径テーパ部23と、を備えている。
ピン13は、例えば、ダイカスト金属材料として最も広く使用されているダイス鋼(SKD61)で作られており、大径部31と、大径テーパ部32と、大径部31よりも小径とされた中径部33と、中径部33よりも小径とされた小径直線部34と、小径テーパ部35と、を備えている。
小径テーパ部23は、基端部14の側から先端部15の側にかけて所定の割合で縮径して、円錐台形状を呈する部位であり、長さ方向における一端から他端にかけて外径が徐々に小さくなるように、NC切削にて機械加工されている。
なお、大径部31は、大径部31の外周面と大径部21の外周面とで、連続する同一の周面(円筒)が形成されるよう、大径部21の外径と同じ外径を有している。
中径部33は、おおよそ円柱形状を呈する部位であり、中径部33の長さは、大径部21の内周面42の長さよりも短く、中径部33の外周面に設けられた雄ねじ部を大径部21の内周面42に設けられた雌ねじ部にねじ込んでいくと、ピン13の大径テーパ部32を形成するテーパ面全体が、大径部21の端面41全体と密着するようにして接し、それ以上、中径部33の外周面に設けられた雄ねじ部を大径部21の内周面42に設けられた雌ねじ部にねじ込むことができなくなる。
また、中径部33の長さが、大径部21の内周面42の長さよりも短い分だけ、ピン13の大径テーパ部32を形成するテーパ面全体が、大径部21の端面41全体と接している状態で、中径部33および小径直線部34と、大径部21との間に空間S1が形成されることになる。
一方、大径部21および小径直線部22の内側には、貫通穴43の内径よりも大きな内径、例えば、小径直線部34の外径+0.1μm〜+1.0μm、好ましくは、小径直線部34の外径+0.5μmとされた内径を有する凹所44が軸方向に沿って穿設されている。また、凹所44の内径が、小径直線部34の外径よりも長い分だけ、小径直線部34と、凹所44を形成する大径部21および小径直線部22の内周面との間に空間S2が形成されることになる。
そして、空間S1と空間S2とにより、断熱層(空気層)が形成されることになる。
はじめに、図2(a)に示す第1の部材51と、図2(b)に示す第2の部材52と、を用意する。
第2の部材52は、大径部31の外径と同じ外径を有する中実の丸棒に、大径部31、大径テーパ部32、中径部33、および小径直線部34の外径と同じ外径を有する丸棒部54が、軸方向(中心軸線)に沿ってNC切削にて機械加工されたものである。
つぎに、図4に示すように、第1の部材51、および第2の部材52の丸棒部54をNC切削して、丸棒部54の所定の部分が小径テーパ部35になるように機械加工するとともに、第1の部材51をNC切削して、第1の部材51の所定の部分が小径直線部22、小径テーパ部23になるように機械加工して、図1に示す鋳抜きピン11を製作する。
これにより、中径部2と先細りテーパ部3との境界部における応力集中、すなわち、図1に示す小径テーパ部35の根元における応力集中をなくす(大幅に低減させる)ことができ、小径テーパ部35の根元からの折損を防止することができて、寿命を長期化させることができる。
これにより、スリーブ12とインナーピン13との片当たりをなくすことができて、疲労によるインナーピン13の折損を防止することができて、寿命を長期化させることができる。
なお、スリーブと、インナーピンとを、別々に加工機にセットして製作した後、それらを組み合わせて一つの鋳抜きピンとした場合、スリーブの中心軸線(芯)と、インナーピンの中心軸線(芯)とが一致しておらず、スリーブとインナーピンとが片当たりして、疲労によってインナーピンが折損するおそれがある。
例えば、上述した実施形態では、ピン13として中実のものを一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、ピン62の内部に、基端部14の側からその中心軸線に沿って中心穴が形成され、先端部15の側にて底部63を有する有底穴とされた冷却穴64が形成された中空のピン62と、上述したスリーブ12と、を備えた鋳抜きピン61とすることもできる。
鋳抜きピン61内に冷却水を供給しながらダイカスト製造工程を行うことにより、鋳抜きピン61の焼き付きを防止できるとともに、ダイカスト製品に生じる引け巣を鋳抜きピン61位置から遠ざけることができる。
すなわち、キャビティ内に供給(注入)された溶湯(例えば、Al合金の溶湯:溶解したアルミニウム合金)は、キャビティコーナーに確実に到達して、その後凝固することになり、製品(例えば、ダイカスト製品)を寸法通りに正確に製造することができる。
また、金型から製品を取り外す際、製品が金型の肩部コーナーまたは当該鋳抜きピンの根元部コーナーに食い付くのを防止することができ、製品にクラックが発生するのを防止することができて、金型の肩部コーナー近傍で金型の肩部が折損してしまうのを、または当該鋳抜きピンの根元部コーナー近傍で当該鋳抜きピンが折損してしまうのを防止することができる。
12 スリーブ
13 インナーピン
34 小径直線部
35 小径テーパ部(テーパ部)
43 貫通穴
44 凹部
51 第1の部材
52 第2の部材
53 貫通穴
54 丸棒部
Claims (8)
- 基端側に配置された第1大径部および先端側に配置された第1小径部を有するスリーブと、該スリーブに挿通されるとともに前記基端側に配置された第2大径部と先端側に配置された第2小径部を有するインナーピンと、を備え、前記スリーブに前記インナーピンが挿通された状態で、前記インナーピンの先端側の端部に形成されたテーパ部が、前記スリーブの先端面から突出する鋳抜きピンの製造方法であって、
一定の外径を有する中実の丸棒の内部に、一定の内径を有する貫通穴が、中心軸線に沿って穿設された第1の部材の前記貫通穴に、前記貫通穴の内径よりも小さい一定の外径を有する丸棒部が、中心軸線に沿って機械加工された第2の部材の前記丸棒部を挿通し、これら第1の部材と第2の部材とを一体物にする段階と、
一体物とされた前記第1の部材および前記第2の部材を、加工機にセットし、前記第1の部材、および前記第2の部材の前記丸棒部を切削して、前記丸棒部の所定の部分が前記テーパ部になるように機械加工する段階と、を備えており、
前記第2の部材が有する前記第2大径部の前記先端側端部には、前記基端側から前記先端側にかけて所定の割合で縮径するテーパ外周面が形成されており、
前記第1の部材が有する前記第1大径部の前記基端側端部には、前記テーパ外周面と合致するようにして形成されたテーパ内周面が形成されており、
前記一体物にする段階は、前記テーパ外周面が前記テーパ内周面と密着するようにして接した状態とするとともに、
前記基端側に位置する前記中実の丸棒の内部に、前記貫通穴の内径よりも大きい一定の内径を有し前記第2小径部の外周面との間に断熱層を形成する凹部を穿設する段階を備えていることを特徴とする鋳抜きピンの製造方法。 - 前記貫通穴の内径が、前記丸棒部の外径+10μm〜+100μmとなるように、前記貫通穴が穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳抜きピンの製造方法。
- 前記貫通穴の内径が、前記丸棒部の外径+30μmとなるように、前記貫通穴が穿設されていることを特徴とする請求項2に記載の鋳抜きピンの製造方法。
- 前記一体物にする段階は、前記第2の部材の外周面に設けられた雄ねじ部を、前記第1の部材の内周面に設けられた雌ねじ部にねじ込むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鋳抜きピンの製造方法。
- 基端側に配置された第1大径部および先端側に配置された第1小径部を有するスリーブと、該スリーブに挿通されるとともに前記基端側に配置された第2大径部と先端側に配置された第2小径部を有するインナーピンと、を備え、前記スリーブに前記インナーピンが挿通された状態で、前記インナーピンの先端側の端部に形成されたテーパ部が、前記スリーブの先端面から突出する鋳抜きピンであって、
前記スリーブが有する前記第1小径部の内部に、前記インナーピンが有する前記第2小径部の外径よりも大きい一定の内径を有し前記第2小径部の外周面との間に断熱層を形成する凹部が、中心軸線に沿って穿設されており、
前記インナーピンが有する前記第2大径部の前記先端側端部には、前記基端側から前記先端側にかけて所定の割合で縮径するテーパ外周面が形成されており、
前記スリーブが有する前記第1大径部の前記基端側端部には、前記テーパ外周面と合致するようにして形成されたテーパ内周面が形成されており、
前記テーパ外周面が前記テーパ内周面と密着するようにして接した状態となっていることを特徴とする鋳抜きピン。 - 前記インナーピンが前記スリーブを貫通する、前記スリーブが有する前記第1小径部に設けられた貫通穴の内径が、前記インナーピンが前記スリーブを貫通する、前記インナーピンが有する前記第2小径部の外径+10μm〜+100μmとされていることを特徴とする請求項5に記載の鋳抜きピン。
- 前記貫通穴の内径が、前記インナーピンが前記スリーブを貫通する、前記インナーピンが有する前記第2小径部の外径+30μmとされていることを特徴とする請求項6に記載の鋳抜きピン。
- 前記インナーピンの外周面に雄ねじ部が設けられており、
前記スリーブの内周面に雌ねじ部が設けられており、
前記雄ねじ部が前記雌ねじ部にねじ込まれて、前記テーパ外周面が前記テーパ内周面と密着するようにして接した状態となっていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の鋳抜きピン。
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