JP2012087468A - 建物ユニット位置決部材、および、これを用いた建物ユニットの設置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】主に、建物ユニットを容易に位置決めし得るようにする。
【解決手段】基礎5の上部に載置される建物ユニット2を位置決可能なユニットガイド8が設けられ、ユニットガイド8が、基礎5内に埋設可能なベースプレート9と、ベースプレート9から上方へ突設されて、建物ユニット2の下面に形成された位置決孔11を挿入することにより、建物ユニット2を水平方向に位置決可能なユニット位置決用ピン部12とを有し、ユニットガイド8が、基礎5に埋設されるアンカーボルト6とは別部品として構成されて、基礎5天端のアンカーボルト6から離れた位置に、ユニット位置決用ピン部12が突出するように設置されるものとしている。
【選択図】図11

Description

この発明は、建物ユニットを容易に位置決めし得るようにするための建物ユニット位置決部材、および、これを用いた建物ユニットの設置方法に関するものである。
従来より、ユニット工法を用いた建物の建築が行われている。このユニット工法は、予め工場などで組立てられた箱枠状または箱状の建物ユニットを、トラックなどの運搬車両で建築現場へ搬送して、建築現場の基礎の上に複数設置することによって、短期間のうちに建物を構築することができるようにしたものである。
このようなユニット工法では、通常、基礎の上に載置された建物ユニットは、基礎の上部で位置決めされると共に、基礎に埋設されたアンカーボルトを用いて締結固定される(例えば、特許文献1参照)。
基礎上での建物ユニットの位置決めは、アンカーボルトと建物ユニットの下部に形成されたボルト孔との間の遊び隙間の範囲内(通常、数mm程度となっている)で、建物ユニットの面が基礎や隣接する建物ユニットの面と合うように建物ユニットの位置を水平方向に微調整することによって行われている。
特開2007−277971号
しかしながら、上記したように、アンカーボルトとボルト孔との間の遊び隙間を使った上記建物ユニットの位置決めは、誤差が生じ易いという問題があった。
例えば、隣接する建物ユニットどうしを隙間のないまたは隙間の少ない状態で突合せて並設するような場合であれば、隣接する建物ユニットどうしを直接面合せしつつ位置決めを行うことができるので、特に大きな問題とはならないが、隣接する建物ユニットどうしを通常よりも大きく離して(例えば、10cm程度以上の離して)並設するような場合には、建物ユニットどうしを直接面合せすることが困難であるので、誤差が生じ易い。
また、基礎上に一旦載置した建物ユニットを、位置決めのために微妙に移動するのは、思ったよりも手間と時間がかかる作業である。
これに関連して上記した特許文献1を見ると、アンカーボルトにセットして使用するようにしたボルトガイドが開示されているが、このボルトガイドは、建物ユニットの下面に形成されたボルト孔の、アンカーボルトへの挿入を案内するための補助具であり、これをこのまま使用しても、建物ユニットの位置決めを行うことはできない。
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、基礎の上部に載置される建物ユニットを位置決可能なユニットガイドが設けられ、該ユニットガイドが、基礎内に埋設可能なベースプレートと、該ベースプレートから上方へ突設されて、前記建物ユニットの下面に形成された位置決孔に挿入することにより、建物ユニットを水平方向に位置決可能なユニット位置決用ピン部とを有し、前記ユニットガイドが、基礎に埋設されるアンカーボルトとは別部品として構成されて、基礎天端の前記アンカーボルトから離れた位置に、前記ユニット位置決用ピン部が突出するように設置される建物ユニット位置決部材を特徴としている。
請求項2に記載された発明は、上記において、前記ベースプレートが、上面側から下面側への基礎構成材の充填を可能とすると共に、下面側から上面側への気泡の放出が可能な流通孔を有することを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、上記において、前記ベースプレートに対して、前記ユニット位置決用ピン部が、複数の建物ユニットを位置決可能となるように、複数設けられたことを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、上記において、前記ユニット位置決用ピン部が、基礎から上方へ突出する部分の上部に建物ユニットの下面に形成された位置決孔を導入可能な先細形状のガイドテーパ部を有すると共に、基礎から上方へ突出する部分の下部に、建物ユニットの位置決孔の径とほぼ等しい幅の平行部を有することを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、上記において、前記ユニットガイドを基礎へ設置した状態で、前記平行部が、建物ユニットの位置決孔に挿入係止可能な長さに設定されたことを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、上記において、前記ユニット位置決用ピン部が、金属、樹脂、木材のいずれかによって構成されたことを特徴とする。
請求項7に記載された発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の建物ユニット位置決部材を用いて建物ユニットを設置する建物ユニットの設置方法であって、基礎内に、アンカーボルトから切離して、アンカーボルトとは別部品であるユニットガイドのベースプレートの部分を埋設しておき、基礎の上部に建物ユニットを載置すると共に、載置中に、基礎天端から突出されたユニットガイドのユニット位置決用ピン部に、建物ユニットの下面に形成された位置決孔を挿入することにより、基礎に対する建物ユニットの水平方向の位置決めを行わせ、その後、基礎の上部に位置決め載置された建物ユニットを、基礎に埋設されたアンカーボルトを用いて締結固定する建物ユニットの設置方法を特徴としている。
請求項8に記載された発明は、上記において、基礎コンクリートの打設後に、基礎コンクリートの上面に対し水平方向の位置を合わせてユニットガイドを設置し、更に、基礎コンクリートの上からセルフレベリング材を打設することにより、基礎に天端からユニット位置決用ピン部を突出させた状態でユニットガイドを埋設することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、アンカーボルトから切離して設けられたユニットガイドにより、基礎に建物ユニットを設置する作業を行う過程で自然に建物ユニットの位置決めが行われるようになる。ユニットガイドはアンカーボルトから切離して設けられるので、打設時に基礎コンクリートが流動する圧力や、バイブレータ作業による振動の影響が、アンカーボルトを介して伝えられることがない。
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ベースプレートに設けた流通孔を通って、上面側から下面側へと基礎構成材が充填されると共に、下面側から上面側へと気泡が放出されるため、ベースプレートの内側に基礎コンクリートが十分に廻り込んでベースプレートを強固に基礎に埋設させることができると共に、ベースプレートの下面側に気泡が溜まって欠陥となるのを防止することができる。
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、1枚のベースプレートに設けた複数のユニット位置決用ピン部によって、複数の建物ユニットを位置決めすることが可能となる。これにより、基礎に建物ユニットを設置するだけで複数の建物ユニットが揃って精度良く設置されるようになるので、基礎に設置した後に建物ユニットの位置を互いに微調整して面合せを行う必要をなくすことができる。また、ユニット位置決用ピン部を互いに離して設置することにより、複数の建物ユニットを通常よりも大きく離して配置することができると共に、離れた建物ユニットどうしの面倒な面合せ作業をなくすことができる。これにより、建物ユニット間の隙間に設置する部品の施工を容易化して、整然とした仕上状態を得ることができる。
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、先細形状のガイドテーパ部により、建物ユニットの下面に形成された位置決孔を、容易且つ確実にユニット位置決用ピン部へ導入すると共に、スムーズに平行部の中心へ導くことができる。そして、建物ユニットの位置決孔の径とほぼ等しい幅の平行部により、建物ユニットを水平方向に対して正確に位置決めすることができる。
請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、平行部を建物ユニットの位置決孔に挿入係止可能な長さとすることにより、ユニット位置決用ピン部と建物ユニットの位置決孔との嵌め合いの確実性を向上すると共に、より正確な位置決めを行わせることが可能となる。
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ユニット位置決用ピン部には、金属、樹脂、木材のいずれかを用いることができる。特に、ユニット位置決用ピン部を金属などの硬い素材で形成した場合には、高い位置決め精度を確保することができる。また、ユニット位置決用ピン部を、樹脂や木材などの比較的柔らかい素材で構成した場合には、基礎が完全に固化する前に物が当たるなどしてユニット位置決用ピン部の位置が僅かにズレてしまったような場合に、ユニット位置決用ピン部を削って修正することが可能となる。
請求項7の発明によれば、上記構成によって、請求項1ないし請求項6と同じ作用効果を得ることができる。
請求項8の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、基礎コンクリートを打設してある程度固まった後に、基礎コンクリートの上面にユニットガイドを置いて、セルフレベリング材を打設することにより、打設時に基礎コンクリートが流動する圧力や、バイブレータ作業による振動の影響を受けることがなくなるので、ユニットガイドの位置精度を上げることが可能となる。また、ユニットガイドを固定するのに特別な接合部材などを用いる必要がないため、基礎を構築する工程を特に変更することなくユニットガイドを埋設することが可能となり、ユニットガイドによる手間やコストの増大がない。
本発明の実施例を説明するための、建物の下階部分を示す平面図である。 図1の建物の基礎の平面図である。 図1の建物ユニットの底部と基礎との部分拡大側面図である。 建物ユニットの底部と基礎との部分拡大正面図である。 この実施例にかかるユニットガイドの斜視図である。 ユニットガイドの(a)平面図と、(b)側面図である。 ユニット位置決用ピン部の設置個数を示す斜視図であり、(a)は1個のみ設けたもの、(b)は2個設けたもの、(c)は3個設けたもの、(d1)(d2)は4個設けたものをそれぞれ示している。 ユニット位置決用ピン部の形状を示すものであり、(a)は円錐状のもの、(b1)(b2)は位置決孔に内接する多角錐状のもの、(c1)(c2)は位置決孔に内接する放射プレート状のものをそれぞれ示している。特に、(b1)は三角錐状、(b2)は四角錐状、(c1)は三枚プレート状、(c2)は四枚プレート状のものとされている。 ユニットガイド載置工程を示す斜視図である。 ユニットガイド埋設工程を示す斜視図である。 (a)(b)(c)はユニット載置工程を順に示す斜視図である。 基礎にユニットガイドを埋設した状態を示す(a)平面図(b)側面図(c)正面図である。
本発明は、上記した各問題点を解決するために、主に、建物ユニットを容易に位置決めし得る構成としている。
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
図1〜図12は、この発明の実施例およびその変形例を示すものである。
<構成>まず、構成について説明する。
この実施例では、ユニット工法を用いて建物の建築を行うものとする。ここでユニット工法とは、予め工場などで組立てられた箱状または箱枠状の建物ユニットを、トラックなどの運搬車両で建築現場へ搬送して、建築現場の基礎の上に複数設置することによって、短期間のうちに建物を構築するものである。
ここで、建物ユニットには、鉄骨系のものと、木質系のものとが存在している。鉄骨系の建物ユニットは、要するに、4本の鋼製柱と、4本の鋼製床梁と、4本の鋼製天井梁とを、接合用金具を用いて直方体状に接合して成る箱枠状のボックスラーメン構造体である。また、木質系の建物ユニットは、要するに、木製床パネルと、木製天井パネルと、4枚の木製壁パネルとを、直方体状に組立てて成る木箱状のものである。この実施例は、上記した鉄骨系の建物ユニットと、木質系の建物ユニットとの両方に対して適用することが可能である。但し、この実施例では、鉄骨系の建物ユニットとした場合について説明する。
まず、図1を用いて、建物1における建物ユニット2の配置を説明する。図1は、建物1の下階部分を示す平面図である。この建物1は、下階部分に5つの建物ユニット2(2a〜2e)を設置したものとされている。5つの建物ユニット2は、短辺方向に3つ並設される(2a〜2c)と共に、長辺方向に2つ並設されて(2d,2e)いる。短辺方向に並設されたうちの2つの建物ユニット2(2a、2b)はフルサイズのものとされ、残りの1つの建物ユニット2(2c)は、短辺方向の長さが半分のハーフサイズのものとされて、フルサイズの建物ユニット2(2b)に隣接されている。また、長辺方向に並設された2つの建物ユニット2(2d,2e)は、長辺方向の長さが半分のハーフサイズのものとされて、それぞれフルサイズの建物ユニット2(2d,2e)に隣接されている。但し、建物ユニット2の大きさはこれに限るものではない。
そして、各ユニットは、短辺方向及び長辺方向に対し、それぞれ隙間(ユニット間隙3,4)を有して配置されている。このように隙間(ユニット間隙3,4)を有して建物ユニット2を設置することにより、建物ユニット2の規格によって大きさを制限されない建物1を構築することが可能となる。但し、このユニット間隙3,4の大きさは、無制限に大きく設定できるのではなく、建物1全体の強度や、ユニット間隙3,4に設置される部品の支持強度など考慮して、1箇所につき最大で約20cm〜30cm程度に設定するのが限度となる。
次に、図2を用いて、上記建物1の基礎の状況を説明する。図2は、建物1の基礎5の平面図である。この基礎5は、主に、上記した建物1の外周に沿って延びる外周基礎部5aを有している。また、外周基礎部5aの内側には、建物ユニット2の中間部などを支持可能な島基礎部5bが適宜設けられている。そして、外周基礎部5aや島基礎部5bには、所要の間隔を有してアンカーボルト6が上方へ向け複数突設されている。これに対し、建物ユニット2の下部には、図3に示すように、アンカーボルト6を挿通可能なボルト孔7が設けられている。アンカーボルト6とボルト孔7とは互いに合致する位置に設けられている。また、アンカーボルト6とボルト孔7との間には、僅かな遊び隙間(通常、数mm程度となっている)が設けられている。なお、図3は、建物ユニット2の底部と基礎5との部分拡大側面図である。
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
(構成1)建物ユニット位置決部材としてのユニットガイド8について
基礎5の上部に載置される建物ユニット2を位置決可能なユニットガイド8が設けられる。このユニットガイド8が、基礎5内に埋設可能なベースプレート9と、このベースプレート9から上方へ突設されて、建物ユニット2の下面に形成された位置決孔11に挿入することにより、建物ユニット2を水平方向に位置決可能なユニット位置決用ピン部12とを有している。このユニットガイド8は、基礎5に埋設されるアンカーボルト6とは別部品として構成されて、基礎5天端(基礎5の上面)の上記したアンカーボルト6から離れた位置に、ユニット位置決用ピン部12が突出するように設置される。
図2の場合、ユニットガイド8は、外周基礎部5aに対し、建物ユニット2のいずれかの隅角部(コーナー部)に相当する位置に設置されている。特に、可能な限り、建物ユニット2の対角位置にある二箇所の隅角部の位置に対して設けるようにしている。或いは、建物ユニット2の一辺の両端に位置する二箇所の隅角部の位置に対して設けるようにしても良い。一方、位置決孔11は、建物ユニット2の隅角部の位置に設置される。なお、ユニットガイド8は、各建物ユニット2につき、一箇所または三箇所以上設けるようにしても良いが、位置決めを目的としているため、余り多過ぎても却って役に立たないので、一箇所か二箇所とするのが適当である。
ここで、図3、図4は、図2の基礎5におけるユニットガイド8を設置した部分の拡大図である(図3は側面図、図4は正面図)。これらの図によれば、鉄骨系の建物ユニット2の場合、建物ユニット2の隅角部の位置には、上記した鋼製柱13が位置しており、位置決孔11は、鋼製柱13の底板14に貫通形成されている。
これに対し、上記したアンカーボルト6は、基礎5における建物ユニット2の隅角部から外れた位置に設置されると共に、ボルト孔7は、上記した鋼製床梁15や接合用金具16の底面に貫通形成されている。なお、アンカーボルト6とユニットガイド8とは、最低限、ほぼ鋼製柱13の一辺の長さ程度以上の距離を置いて設置する。
そして、ユニットガイド8は、例えば、図5に示すようなものである。図5はユニットガイド8の斜視図である。なお、この図では、ユニットガイド8は、ベースプレート9とユニット位置決用ピン部12との他に、ベースプレート9の外側部分からほぼ上方へ立上がる側板部17を有している。この側板部17は、必要な場合に設けるようにすれば良い。また、図6に示すように、上記した側板部17のないユニットガイド8としても良い。図6は、ユニットガイド8の(a)平面図と、(b)側面図である。
(構成2)ベースプレート9について
そして、ベースプレート9は、上面側から下面側への基礎構成材18の充填を可能とすると共に、下面側から上面側への気泡の放出が可能な流通孔19を有している。
ここで、ベースプレート9は、ほぼ水平方向へ延びる平坦な板状をしている。上記した流通孔19はこの板状の部分に形成されている。図5では、流通孔19は、複数の小さい丸孔とされている。図6では、流通孔19は、比較的大きい1つの角孔とされている。なお、基礎構成材18には、後述するような、基礎コンクリート18aとセルフレベリング材18bとを用いる(図3参照)。
ベースプレート9は、基礎5の内部で腐食しない材質によって構成する。
また、ベースプレート9は、圧縮強度およびヤング係数が上記した基礎コンクリート18aと同等以上の材質によって構成する。
更に、ベースプレート9は、温度変化による寸法変化の少ない材質によって構成する。
そして、ベースプレート9は、上記したセルフレベリング材18bよりも比重が重い材質によって構成する。
(構成3)ユニット位置決用ピン部12の設置個数について
ベースプレート9に対して、ユニット位置決用ピン部12が、複数の建物ユニット2を位置決可能となるように、複数設けられるようにしても良い。
例えば、図7は、ユニット位置決用ピン部12の設置個数を示す斜視図であり、(a)は1個のみ設けたもの、(b)は2個設けたもの、(c)は3個設けたもの、(d1)(d2)は4個設けたものをそれぞれ示している。そして、(c)では3個のユニット位置決用ピン部12をL型配置としている。また、(d1)では4個のユニット位置決用ピン部12を矩形配置とし、(d2)では4個のユニット位置決用ピン部12を十字配置としている。また、(b)(c)(d1)(d2)では、複数のユニット位置決用ピン部12は、複数の建物ユニット2に対して各1個ずつ設けられている。また、複数のユニット位置決用ピン部12は、隣接する建物ユニット2間に形成される隙間(ユニット間隙3,4)に相応する間隔を有して設けられている。
この際、同一のユニットガイド8のベースプレート9に対して、複数の建物ユニット2を離間配置するための複数のユニット位置決用ピン部12を、高精度に位置設定しておくようにする。即ち、ユニット位置決用ピン部12を、ユニット離間配置用のものとして構成し、このユニットガイド8を高精度部品として形成する。ユニット位置決用ピン部12の間隔、即ち、上記したユニット間隙3,4は、建物ユニット2を従来のように近接配置(或いは、ほとんど隙間なく隣接配置)する場合の間隔よりも大きく、建物ユニット2(一個分)の離間方向の長さよりも小さい間隔に設定される。
なお、図2の基礎5では、B部に(b)のユニットガイド8が用いられ、C部に(c)のユニットガイド8が用いられている。D部については、(d1)と(d2)とのどちらかのユニットガイド8を用いるようにすることも、(b)のユニットガイド8を2個用いるようにすることもできる。
(構成4)ユニット位置決用ピン部12の形状について
ユニット位置決用ピン部12が、基礎5から上方へ突出する部分の上部に建物ユニット2の下面に形成された位置決孔11を導入可能な先細形状のガイドテーパ部21を有している。また、基礎5から上方へ突出する部分の下部に建物ユニット2の位置決孔11の径とほぼ等しい幅の平行部22を有している。
ここで、ユニット位置決用ピン部12の上部のガイドテーパ部21と、下部の平行部22とは、連続した外形形状をしている。ガイドテーパ部21は、図5では比較的長くなっており、図6では比較的短くなっている。また、ユニット位置決用ピン部12の基礎5内に埋設される部分は平行部22と同じ径または幅のものとされる。平行部22は上下方向へ延びるものであり、正確な位置決めが可能となるように、建物ユニット2の位置決孔11との間にほとんど遊びがないものとされる。
例えば、図8は、ユニット位置決用ピン部12の形状を示すものであり、(a)は円錐状のもの、(b1)(b2)は位置決孔11に内接する多角錐状のもの、(c1)(c2)は位置決孔11に内接する放射プレート状のものをそれぞれ示している。特に、(b1)は三角錐状、(b2)は四角錐状、(c1)は三枚プレート状、(c2)は四枚プレート状のものとされている。
(構成5)平行部22の長さについて
平行部22を、ユニットガイド8を基礎5へ設置した状態で、建物ユニット2の位置決孔11に挿入係止可能な長さに設定する。
この場合、平行部22は、建物ユニット2における鋼製柱13の底板14の板厚と、後述するセルフレベリング材18bの厚みとを足した厚さよりも長くなるように、基礎5天端から大きく突出されている。或いは、平行部22は、鋼製柱13の底板14の板厚よりも大きくセルフレベリング材18bの上面から突出されるようにしている。なお、建物ユニット2の位置決孔11には、単なる開口形状のものや、有底のものなどが存在するが、そのどちらであっても良い。この場合の、平行部22の位置決孔11への係止方向は、位置決孔11の径方向である。
(構成6)ユニット位置決用ピン部12の材質について
ユニット位置決用ピン部12は、金属、樹脂、木材のいずれかによって構成されるようにする。
(構成7)上記ユニットガイド8を用いて建物ユニット2を設置する設置方法について
先ず、図9のユニットガイド載置工程および図10のユニットガイド埋設工程に示すように、基礎5内に、アンカーボルト6から切離して、アンカーボルト6とは別部品であるユニットガイド8のベースプレート9の部分を埋設しておくようにする。なお、図中、符号23は、基礎5を打設するための型枠である。
次に、図11のユニット載置工程に示すように、基礎5の上部に建物ユニット2を載置する。
そして、この建物ユニット2の載置中に、基礎5天端から突出されたユニットガイド8のユニット位置決用ピン部12に、建物ユニット2の下面に形成された位置決孔11を挿入することにより、基礎5に対する建物ユニット2の水平方向の位置決めを(自動的に)行わせるようにする。
その後、特に図示しないが、ユニット締結工程で、基礎5の上部に位置決め載置された建物ユニット2を、基礎5に埋設されたアンカーボルト6を用いて締結固定する。
(構成8)ユニットガイド埋設工程などについて、
上記したユニットガイド埋設工程は、以下の手順で行う。
まず、図9に示すように、基礎5を打設するための型枠23を組み、型枠23の内部に、基礎構成材18として基礎コンクリート18aを打設する。この基礎コンクリート18aは、基礎5の大部分を構成するコンクリートである。
次に、型枠23の内部で基礎コンクリート18aがある程度固まったら、基礎コンクリート18aの上面に対し、ユニットガイド載置工程として、水平方向の位置を合わせてユニットガイド8を置くようにする。
最後に、図10のユニットガイド埋設工程に示すように、基礎コンクリート18aの上から基礎構成材18としてのセルフレベリング材18bを打設することにより、図12に示すように、基礎5に天端からユニット位置決用ピン部12を突出させた状態でユニットガイド8を埋設させるようにする。図12は基礎5にユニットガイド8を埋設した状態を示す(a)平面図(b)側面図(c)正面図である。そして、上記したセルフレベリング材18bは、セメント材料に添加剤を加えることにより、流動性を高めて、簡単に平坦で平滑な面を得られるようにしたものである。このセルフレベリング材18bは、既に広く用いられているものである。この際、ユニットガイド8のベースプレート9に設けられた流通孔19を通して、上面側から下面側へセルフレベリング材18bが流入し、反対に、流通孔19を通して、下面側から上面側へ向けて気泡が放出される。
<作用>次に、この実施例の作用について説明する。
(作用効果1)
アンカーボルト6から切離して設けられたユニットガイド8により、基礎5に建物ユニット2を設置する作業を行う過程で自然に建物ユニット2の位置決めが行われるようになる。ユニットガイド8はアンカーボルト6から切離して設けられるので、打設時に基礎コンクリート18aが流動する圧力や、バイブレータ作業による振動の影響が、アンカーボルト6を介して伝えられることがない。なお、ユニットガイド8は、建物ユニット2の隅角部に設けるのが、位置決めの誤差をなくす上で最も好ましい。
(作用効果2)
ベースプレート9に設けた流通孔19を通って、上面側から下面側へと基礎コンクリート18aが充填されると共に、下面側から上面側へと気泡が放出されるため、ベースプレート9の内側に基礎コンクリート18aが十分に廻り込んでベースプレート9を強固に基礎5に埋設させることができると共に、ベースプレート9の下面側に気泡が溜まって欠陥となるのを防止することができる。
また、ベースプレート9を、基礎5の内部で腐食しない材質で構成することにより、基礎5の内部で長期間に亘って安定した形状と強度を保つことができる。また、腐食により基礎5に強度欠点を生じて、基礎5を損傷することが防止される。
ベースプレート9を、圧縮強度およびヤング係数が基礎コンクリート18aと同等以上の材質によって構成することにより、基礎5上に建物ユニット2の荷重が作用した場合に、基礎コンクリート18a以上に変形したり損傷したりすることが防止され、且つ、基礎5を損傷することも防止できる。
ベースプレート9を、温度変化による寸法変化の少ない材質によって構成することにより、基礎コンクリート18aの打設時と、建物ユニット2の設置時との間に気温差が生じた場合であっても、ユニット位置決用ピン部12の位置精度を保つことができる。これは、ユニット位置決用ピン部12を複数設けた場合に特に有効である。
ベースプレート9を、セルフレベリング材18bよりも比重が重い材質によって構成することにより、セルフレベリング材18bの打設時に浮力が作用してユニットガイド8が位置ズレを起こすことを防止できる。
(作用効果3)
1枚のベースプレート9に設けた複数のユニット位置決用ピン部12によって、複数の建物ユニット2を個別に位置決めすることが可能となる。これにより、基礎5に建物ユニット2を設置するだけで複数の建物ユニット2が揃って精度良く設置されるようになるので、基礎5に設置した後に建物ユニット2の位置を互いに微調整して面合せを行う必要をなくすことができる。
また、ユニット位置決用ピン部12を互いに離して設置することにより、複数の建物ユニット2を通常よりも大きく離して配置することができると共に、離れた建物ユニット2どうしの面倒な面合せ作業をなくすことができる。これにより、建物ユニット2間の隙間に設置する部品の施工を容易化して、整然とした仕上状態を得ることができる。
更に、同一のユニットガイド8のベースプレート9に対して、複数の建物ユニット2を離間配置するための複数のユニット位置決用ピン部12を高精度に位置設定して設けておくようにすれば、各ユニット位置決用ピン部12に対し水糸などを使用してアンカーボルト6を位置決めするだけで、複数の建物ユニット2を通常よりも大きく離して設置する際において、施工性良く高精度な状態を確保することができる。
(作用効果4)
先細形状のガイドテーパ部21により、建物ユニット2の下面に形成された位置決孔11を、容易且つ確実にユニット位置決用ピン部12へ導入すると共に、スムーズに平行部22の中心へ導くことができる。そして、建物ユニット2の位置決孔11の径とほぼ等しい幅の平行部22により、建物ユニット2を水平方向に対して正確に位置決めすることができる。
(作用効果5)
平行部22を建物ユニット2の位置決孔11に挿入係止可能な長さとすることにより、ユニット位置決用ピン部12と建物ユニット2の位置決孔11との嵌め合いの確実性を向上すると共に、より正確な位置決めを行わせることが可能となる。
(作用効果6)
ユニット位置決用ピン部12には、金属、樹脂、木材のいずれかを用いることができる。特に、ユニット位置決用ピン部12を金属などの硬い素材で形成した場合には、高い位置決め精度を確保することができる。また、ユニット位置決用ピン部12を、樹脂や木材などの比較的柔らかい素材で構成した場合には、基礎5が完全に固化する前に物が当たるなどしてユニット位置決用ピン部12の位置が僅かにズレてしまったような場合に、ユニット位置決用ピン部12を削って修正することが可能となる。
(作用効果7)
構成7のユニットガイド8を用いて建物ユニット2を設置する設置方法によれば、上記作用効果1〜6と同じ作用効果を得ることができる。
(作用効果8)
基礎コンクリート18aを打設してある程度固まった後に、基礎コンクリート18aの上面にユニットガイド8を置いて、セルフレベリング材18bを打設することにより、打設時に基礎コンクリート18aが流動する圧力や、バイブレータ作業による振動の影響を受けることがなくなるので、ユニットガイド8の位置精度を上げることが可能となる。また、ユニットガイド8を固定するのに特別な接合部材などを用いる必要がないため、基礎5を構築する工程を特に変更することなくユニットガイド8を埋設することが可能となり、ユニットガイド8による手間やコストの増大がない。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
2 建物ユニット
5 基礎
6 アンカーボルト
8 ユニットガイド
9 ベースプレート
11 位置決孔
12 ユニット位置決用ピン部
18 基礎構成材
18a 基礎コンクリート
18b セルフレベリング材
19 流通孔
21 ガイドテーパ部
22 平行部

Claims (8)

  1. 基礎の上部に載置される建物ユニットを位置決可能なユニットガイドが設けられ、
    該ユニットガイドが、基礎内に埋設可能なベースプレートと、
    該ベースプレートから上方へ突設されて、前記建物ユニットの下面に形成された位置決孔に挿入することにより、建物ユニットを水平方向に位置決可能なユニット位置決用ピン部とを有し、
    前記ユニットガイドが、基礎に埋設されるアンカーボルトとは別部品として構成されて、基礎天端の前記アンカーボルトから離れた位置に、前記ユニット位置決用ピン部が突出するように設置されることを特徴とする建物ユニット位置決部材。
  2. 前記ベースプレートが、上面側から下面側への基礎構成材の充填を可能とすると共に、下面側から上面側への気泡の放出が可能な流通孔を有することを特徴とする請求項1記載の建物ユニット位置決部材。
  3. 前記ベースプレートに対して、前記ユニット位置決用ピン部が、複数の建物ユニットを位置決可能となるように、複数設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物ユニット位置決部材。
  4. 前記ユニット位置決用ピン部が、基礎から上方へ突出する部分の上部に建物ユニットの下面に形成された位置決孔を導入可能な先細形状のガイドテーパ部を有すると共に、
    基礎から上方へ突出する部分の下部に、建物ユニットの位置決孔の径とほぼ等しい幅の平行部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建物ユニット位置決部材。
  5. 前記ユニットガイドを基礎へ設置した状態で、前記平行部が、建物ユニットの位置決孔に挿入係止可能な長さに設定されたことを特徴とする請求項4記載の建物ユニット位置決部材。
  6. 前記ユニット位置決用ピン部が、金属、樹脂、木材のいずれかによって構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の建物ユニット位置決部材。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の建物ユニット位置決部材を用いて建物ユニットを設置する建物ユニットの設置方法であって、
    基礎内に、アンカーボルトから切離して、アンカーボルトとは別部品であるユニットガイドのベースプレートの部分を埋設しておき、
    基礎の上部に建物ユニットを載置すると共に、載置中に、基礎天端から突出されたユニットガイドのユニット位置決用ピン部に、建物ユニットの下面に形成された位置決孔を挿入することにより、基礎に対する建物ユニットの水平方向の位置決めを行わせ、
    その後、基礎の上部に位置決め載置された建物ユニットを、基礎に埋設されたアンカーボルトを用いて締結固定することを特徴とする建物ユニットの設置方法。
  8. 基礎コンクリートの打設後に、基礎コンクリートの上面に対し水平方向の位置を合わせてユニットガイドを設置し、更に、基礎コンクリートの上からセルフレベリング材を打設することにより、基礎に天端からユニット位置決用ピン部を突出させた状態でユニットガイドを埋設することを特徴とする請求項7記載の建物ユニットの設置方法。
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