JP2012087029A - ガラスフリット、該ガラスフリットを用いた顔料入りガラス成形品及び顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品 - Google Patents

ガラスフリット、該ガラスフリットを用いた顔料入りガラス成形品及び顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融温度が低く、再溶融により、透明度が極めて高く且つ気泡の発生がほとんどなく、しかも顔料や陶磁器質基材に対して高い接着性を有するガラスが得られるガラスフリットを提供する。
【解決手段】ガラスフリットは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素及びアルカリ金属酸化物を主成分とし、且つ酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択された少なくとも1種の周期表2族金属酸化物を含むガラスフリットであって、酸化ケイ素の含有量が35〜49重量%、酸化アルミニウムの含有量が1〜4.5重量%、酸化ホウ素の含有量が20〜35重量%、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量が14〜30重量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスフリット、より詳しくは、溶融温度が低く、再溶融により透明度の高いガラス成形品が得られるとともに、陶磁器質基材や無機顔料に対する接着性(密着性)に優れ、顔料入りガラス成形品や顔料入りガラス層を形成するための原料として有用なガラスフリットに関する。また、本発明は、該ガラスフリットを用いて得られる顔料入りガラス成形品及び顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品に関する。
外部から照射される光のエネルギーを蓄積し、外部からの光の照射がなくなって周囲が暗くなると、蓄積したエネルギーの放出によって残光を発する性質、すなわち蓄光性を有する物質は従来様々な分野で活用されている。近年、このような蓄光性物質を陶磁器に応用した製品が見られるようになっている。
例えば、特開平8−133868号公報(特許文献1)には、煉瓦表面に、二酸化珪素、アルミナ、酸化硼素、アルカリ金属酸化物からなり、希土類元素酸化物、酸化ハフニウム、元素周期表第VB族元素酸化物の1種又は2種以上を含有したフリットと、蛍光・蓄光顔料を含む蛍光・蓄光塗膜を有する煉瓦が開示されており、前記フリットとして、特願平1−187172号[=特開平3−215328号公報(特許文献3)]の明細書に記載の無鉛フリットを使用することが記載されている。
また、特開平8−165140号公報(特許文献2)には、無鉛フリット100重量部と、無機蛍光体や蓄光体3〜50重量部と、バインダー30〜60重量部を混合して生成した釉薬を用いて製造した陶磁器製品等の釉薬製品が開示されている。前記無鉛フリットして、特公昭5−53735号公報(前記特許文献3に対応する公告公報)に記載のものを使用できると記載されている。そして、実施例では、SiO2 40重量部、B23 26重量部、K2O 6重量部、ZrO3 5重量部、BaO 5重量部、Zr2O 5重量部、Al23 3重量部、Na2O 3重量部、La23 2重量部の組成のフリットが使用されている。
上記特許文献1及び2に記載の発明で用いられているフリット、すなわち、特許文献3に記載のフリットは、鉛、カドミウム等の有害金属成分を一切含有せず、しかも耐酸性を有しつつも、従来の有鉛釉薬と同等の性能を有するとされている。従来の有鉛釉薬には、溶融性の向上、顔料との協同性の向上のため酸化鉛が、顔料の発色性の向上のため酸化カドミウムが含まれており、このような有鉛釉薬中に蓄光体(蓄光顔料)を添加し、焼き付けを行うと、釉薬中に含まれている酸化鉛や酸化カドミウムが蓄光体と反応して、釉薬が黒変するという問題があったが、特許文献3に記載のフリットによれば、鉛、カドミウムを含まないため、このような問題が生じない。また、一般に、蓄光体は高温下で焼成すると蓄光力が弱くなり、発色性が低下するが、特許文献3に記載のフリットは溶融温度が740〜820℃と低いため、蓄光体の発色性の低下を抑制できるという長所を有している。
一方、特開平10−273657号公報(特許文献4)には、基体の表面に、蓄光性粉末と無鉛ガラスフリットとを含有する蓄光層が形成され、さらに該蓄光層の表面が無鉛ガラス層により被覆された蓄光装飾品が開示されている。この文献には、蓄光層の厚みは30〜800μmであると記載されている。また、特開2005−225728号公報(特許文献5)には、陶磁器基材表面が、無鉛フリットと耐水性蓄光剤とを含む釉薬を焼成することで得られる複数層の蓄光層で被覆され、さらにその最外層表面が無鉛フリットを含む透明釉薬を焼成することで得られる透明ガラス層で被覆された蓄光陶磁器が開示されている。この文献には、蓄光層の合計厚さが50μm〜800μmの蓄光陶磁器を製造したこと、蓄光層の厚さが厚くなりすぎるとクラックが入りやすく、一度の施釉、焼成で安定した蓄光層として得られる総厚さに限界があることが記載されている。
特開平8−133868号公報 特開平8−165140号公報 特開平3−215328号公報 特開平10−273657号公報 特開2005−225728号公報
しかしながら、前記文献記載のフリットと蓄光顔料との混合物を陶磁器質基材の表面に施し、焼成して蓄光層を形成すると、蓄光層の厚みが小さい場合には比較的高い輝度で発光するものの、蓄光層の厚みを大きくすると、濁りのため光の透過性が十分でなく、高輝度発光が得られないという問題がある。また、蓄光層の厚みを厚くすると、蓄光層にクラックや割れが生じたり、蓄光層が基材から剥離するという問題がある。さらに、特許文献3に記載されている実施例のように、フリットに酸化バリウムを多く含有させると、再溶融の際に小さな気泡が多数発生し、特に厚みのある(厚盛りの)蓄光層を形成する場合には、その気泡が目立ち、外観が悪くなる。このため、特許文献4及び5に記載されているように、従来、蓄光層の厚みは精々800μm程度であった。
したがって、本発明の目的は、溶融温度が低く、再溶融により、透明度が極めて高く且つ気泡の発生がほとんどなく、しかも顔料及び/又は陶磁器質基材に対して高い接着性を有するガラスが得られ、該ガラスを顔料入りのガラス成形品やガラス層の形成に用いた場合に、厚みが大きくてもクラックや剥離を生ずることなく、顔料本来の特性が十分発揮されるようなガラスフリットを提供することにある。
本発明の他の目的は、特に、長時間に亘って高輝度発光が可能な、美麗な蓄光顔料入りガラス成形品又は蓄光顔料入りガラス層を有する陶磁器製品を得ることのできるガラスフリットを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、低温成形が可能であり、厚みの大きい成形品であっても透明性が高く、且つクラック、気泡が無く、添加した顔料の特性が十分に発揮される顔料入りガラス成形品、特に、高輝度発光が長時間可能な蓄光顔料入りガラス成形品を提供することにある。
本発明の別の目的は、低温でガラス層の形成が可能であり、該ガラス層の厚みが大きくても透明性が高く、且つクラック、剥がれ、気泡が無く、ガラス層に含まれる顔料の特性が十分に発揮される、表面にガラス層を有する陶磁器質製品、特に、長時間に亘って高輝度発光が可能な蓄光層付き陶磁器質製品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、ガラスフリットの組成、とりわけ、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの含有量、アルカリ金属酸化物と周期表2族金属酸化物の種類及び配合量について、数多くの実験を行い、詳細に検討した結果、酸化バリウムを多く用いると、フリットを再溶融してガラスを製造した際、細かい気泡が多数発生し、特に厚みの大きいガラス製品の場合、その気泡が目立って外観を損なうのに対し、同じ周期表2族金属酸化物でも、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムを用いた場合には、そのような気泡の発生がほとんど無いこと、また、フリット組成において、骨材である酸化ケイ素、補助骨材である酸化アルミニウム、媒熔剤である酸化ホウ素の含有量を特定の狭い範囲に設定し、且つ補助媒熔剤として、アルカリ金属酸化物と酸化カルシウムと酸化ストロンチウムと酸化マグネシウムの総含有量を特定の範囲に設定すると、700〜850℃という低温での溶融成形、焼き付けが可能であるだけでなく、濁りが無くて透明度が極めて高く、しかも気泡の発生が非常に少ないガラス質が得られること、したがって、このようなガラスフリットを用いて顔料入りガラス製品や顔料入りガラス層を形成すると、ガラス製品やガラス層の厚みが大きくても、顔料の本来有する特性が十分に発揮され、美麗な製品が得られるのみならず、ガラス(マトリックス)と顔料粒子、陶磁器質基材とが良好に接着(密着)するため、溶融成形(焼成)時に、ガラス製品やガラス層にクラックや割れが生じたり、ガラス層が陶磁器質基材から剥がれたりしないこと、特に、顔料として蓄光顔料を用いた場合には、輝度の高い発光が長時間に亘って得られ、極めて美麗な蓄光製品が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
無鉛であっても低温で溶融成形でき、且つ厚みが大きくても、顔料の特性が十分に発揮され、しかも気泡、ひび割れの無い顔料入りガラス製品、及び、無鉛であっても低温で焼き付けが可能であり、且つガラス層の厚みが大きくても、顔料の特性が十分に発揮され、気泡やひび割れ、剥がれの無い顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品は、窯業の分野では長年に待ち望まれてきた技術であり、本発明によって初めて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素及びアルカリ金属酸化物を主成分とし、且つ酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択された少なくとも1種の周期表2族金属酸化物を含むガラスフリットであって、酸化ケイ素の含有量が35〜49重量%、酸化アルミニウムの含有量が1〜4.5重量%、酸化ホウ素の含有量が20〜35重量%、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量が14〜30重量%であるガラスフリットを提供する。
本発明は、また、前記のガラスフリットと顔料を含む混合物を溶融成形して得られる顔料入りガラス成形品を提供する。
この顔料入りガラス成形品おいて、表面が透明ガラス層で被覆されていてもよい。前記透明ガラス層は、前記のガラスフリットを含むコーティング組成物を焼成して得られる透明ガラス層であってもよい。また、前記顔料は蓄光顔料であってもよい。
本発明は、さらに、陶磁器質基材の表面に、前記のガラスフリットと顔料を含む混合物を焼成して得られる顔料入りガラス層が形成された陶磁器質製品を提供する。
この陶磁器質製品において、前記顔料入りガラス層の表面が透明ガラス層で被覆されていてもよい。前記透明ガラス層が、前記のガラスフリットを含むコーティング組成物を焼成して得られる透明ガラス層であってもよい。また、前記顔料が蓄光顔料であり、前記顔料入りガラス層が蓄光層であってもよい。
本発明のガラスフリットは特定の組成を有するので、人体に有害な酸化鉛や酸化カドミウムを用いなくても溶融温度を低くでき、低温で溶融成形及び焼き付けが可能であるとともに、顔料の変質、劣化を防止できる。また、本発明のガラスフリットを再溶融することにより、極めて高い透明性を有し且つ気泡のほとんど無いガラス質が得られるので、該ガラスフリットを用いて溶融成形又は焼き付けにより顔料入りガラス成形品や顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品を製造する際、ガラス成形品やガラス層の厚みが大きくても(例えば、厚みが1mm以上、特に2mm以上であっても)、顔料の本来有する特性を十分に発揮させることができ、美麗なガラス製品が得られる。特に、顔料として蓄光顔料を用いた場合には、低温で溶融成形、焼き付けが可能であるため、蓄光顔料の蓄光性を低下させることがなく、しかもガラス質の透明度が非常に高いので厚みを大きくでき、よって蓄光顔料の濃度だけでなく絶対量を増加させることができ、明時(昼間)における蓄光性及び暗時(夜間、暗所)における高輝度発光性、残光性を大幅に改善することができる。さらに、本発明のガラスフリットの熱膨張係数が陶磁器質基材の熱膨張係数と近似するため、顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品を製造する際、熱膨張係数の違いによる割れや剥離を抑制できる。また、本発明のガラスフリットは、無機顔料(特に、蓄光顔料)及び/又は陶磁器質基材に対する接着性(密着性)に優れるため、顔料入りガラス成形品や顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品を製造する際、顔料粒子とガラス質(マトリックス)界面でのクラックや、ガラス層と陶磁器質基材との界面での割れ、剥離を防止できる。さらに、本発明のガラスフリットを再溶融して得られるガラスは、十分な硬度、化学的耐久性を有するので、耐久性の高い顔料入りガラス製品、耐久性の高い顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品を得ることができる。このため、厚みがあっても、鮮やかな色彩を有し、美麗で耐久性に優れた顔料入りガラス成形品並びに顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品を工業的に生産することが初めて可能となった。
[ガラスフリット]
本発明のガラスフリットは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素及びアルカリ金属酸化物を主成分とし、且つ酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択された少なくとも1種の周期表2族金属酸化物を含むガラスフリットである。そして、酸化ケイ素の含有量が35〜49重量%、酸化アルミニウムの含有量が1〜4.5重量%、酸化ホウ素の含有量が20〜35重量%、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量が14〜30重量%である。なお、本明細書において、ガラスフリットを構成する成分の含有量は酸化物基準の値である。ガラスフリットを単にフリットと称する場合がある。
本発明のガラスフリットは、ホウケイ酸アルミ系フリットであり、酸化ケイ素(シリカ;SiO2)が骨材、酸化アルミニウム(アルミナ;Al23)が補助骨材、酸化ホウ素(B23)が媒熔剤(溶融温度を下げる物質)として機能する。
本発明では、ガラスフリットを再溶融して得られるガラスの透明度の向上、陶磁器質基材の熱膨張特性に適合させるための熱膨張係数(線膨張係数)の調整、溶融温度の低下、及びその他の物性(ガラスフリットを再溶融して得られるガラスの硬度、顔料や陶磁器質基材との親和性(接着性)、靱性、粘性、化学的耐久性、耐水性、耐酸性、屈折率、光沢、顔料の色調保持性等)の改善、調整のため、補助媒熔剤として、アルカリ金属酸化物[酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化リチウム(Li2O)等]、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)及び酸化マグネシウム(MgO)から選ばれる少なくとも1種の周期表2族金属酸化物、及び必要に応じて他の無機酸化物を用いる。
本発明のガラスフリットにおいて、酸化ケイ素の含有量は35〜49重量%であり、好ましくは38〜47重量%である。酸化ケイ素の含有量が少なすぎると化学的耐久性が低下し、多すぎると透明性が低下する。
酸化アルミニウムの含有量は1〜4.5重量%であり、好ましくは1.5〜4重量%である。酸化アルミニウムは負の線膨張率を有し(負膨張)、フリットの熱膨張係数を下げ、陶磁器質基材の熱膨張係数に近づける働きがある。酸化アルミニウムの含有量が多すぎると溶融温度が高くなるとともに、酸化アルミニウムが結晶性となり、フリットが失透する。酸化アルミニウムの含有量が少なすぎると、ガラスの強度が低下しやすくなる。
フリット製造原料として、珪石、カオリンなどの天然鉱石を用いることにより、フリットに酸化ケイ素、酸化アルミニウムを含有させることができる。フリット製造原料として、酸化ケイ素(シリカ;SiO2)、酸化アルミニウム(アルミナ;Al23)の各純品を用いることもできる。
本発明のガラスフリットにおいて、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの総含有量は36〜53.5重量%であるが、好ましくは40〜52重量%である。酸化ケイ素と酸化アルミニウムの総含有量が多すぎると、フリットを再溶融して得られるガラス質の透明性が低下しやすくなるとともに、溶融温度が高くなる。
酸化ホウ素の含有量は20〜35重量%であり、好ましくは23〜30重量%である。酸化ホウ素はフリットの溶融温度を大幅に低下させる働きをもつ。また、酸化ホウ素は負の線膨張率を有するので(負膨張)、フリットの熱膨張係数を下げる働きもある。酸化ホウ素の含有量が少なすぎるとフリットの溶融温度が高くなり、低温での溶融成形及び焼き付けが困難となり、蓄光顔料を用いる場合には、成形時、焼き付け時に蓄光性が低下、消失することになる。酸化ホウ素の含有量が多すぎると耐酸性が低下する。
フリット製造原料としてホウ酸を用いることによりフリットに酸化ホウ素を含有させることができる。フリット製造原料として酸化ホウ素そのものを用いてもよい。
本発明のガラスフリットにおいて、アルカリ金属酸化物は透明度の高いガラス質の形成、及びフリットの溶融温度の低下(溶融性の向上)のために用いられる。アルカリ金属酸化物は溶融剤として機能する。アルカリ金属酸化物としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウム等を使用できる。
酸化ナトリウムは安価である点で有利である。酸化カリウムは酸化ナトリウムと比較して高価であるが、溶融点が低く、フリットの溶融温度を低下させる効果が大きい。また、酸化カリウムは、屈折率が大きく、硬度の高いガラス質を形成できる点、及び顔料入りガラス成形品や顔料入りガラス層を作製する際、顔料の色調を損なわないという点で酸化ナトリウムより有利である。酸化リチウムは、フリット(及び、該フリットを再溶融して得られるガラス)の透明度を高めるために有用であるが、高価であるという難点がある。
アルカリ金属酸化物として、アルカリ金属酸化物そのものを用いてもよいが、溶融点が一般に低く、安定供給が可能なアルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硝酸塩などをフリット製造原料として用い、焼成により酸化物としてもよい。
本発明のガラスフリットにおいて、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムは、アルカリ金属酸化物とともに使うことで、溶融温度を低下させる(溶融性を向上させる)溶融剤としての機能を高めることができる。また、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムは、アルカリ金属酸化物と比較して線膨張率が低いので、フリット(及び、該フリットを再溶融して得られるガラス)の熱膨張係数を陶磁器質基材の熱膨張係数に近づけやすいという利点がある。また、酸化ストロンチウムはフリットの透明性向上に大きく寄与する。酸化マグネシウムは、アルカリ金属酸化物や、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムと比較して、特に線膨張係数が小さい点、及び屈折率を上げる点で有利であるが、配合量が多すぎると結晶化しやすいという欠点を有する。
酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムとして、酸化カルシウム等そのものを使用することもできるが、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウムの水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等をフリット製造原料として用い、焼成により酸化物としてもよい。
本発明では、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量は14〜30重量%であり、好ましくは14〜22重量%であり、さらに好ましくは14.5〜20重量%である。この量が少なすぎると、溶融剤として充分でなく、酸化ケイ素が結晶化乃至固化しやすくなり、フリット(及び、該フリットを再溶融して得られるガラス)の透明度が低下し(濁りが生じやすくなり)、特に厚みの大きい顔料入りガラス成形品や顔料入りガラス層を作製する場合には、顔料の特性(着色剤としての機能、蓄光顔料の場合は蓄光性)が十分に発揮されなくなる。また、フリットの溶融温度が高くなり、低温での溶融成形及び焼き付け(陶磁器質基材表面へのガラス層の形成)が困難となる。アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量が多すぎると、酸化ケイ素を溶かしきった余剰のアルカリ金属酸化物等が結晶化又は固化しやすくなり、上記と同様、フリット(及び、該フリットを再溶融して得られるガラス)の透明度が低下し(濁りが生じやすくなり)、特に厚みの大きい顔料入りガラス成形品や顔料入りガラス層を作製する場合に、顔料の特性(着色剤としての機能、蓄光顔料の場合は蓄光性)が十分に発揮されなくなる。
なお、本発明のガラスフリットにおいて、アルカリ金属酸化物の総含有量は、例えば、6〜15重量%、好ましくは7.5〜13重量%、さらに好ましくは8.5〜12重量%である。アルカリ金属酸化物の総含有量が少なすぎると、フリット(及び、該フリットを再溶融して得られるガラス)の透明度が低下しやすくなる。このうち、酸化ナトリウムの含有量は、例えば、1〜8重量%、好ましくは1.5〜5重量%(例えば2〜3.5重量%)であり、酸化カリウムの含有量は、例えば1〜11重量%、好ましくは3〜10重量%(例えば4.5〜9.5重量%)である。フリットの特性の安定化のため、アルカリ金属酸化物として酸化ナトリウムと酸化カリウムの両方を併用することが望ましい。酸化ナトリウムと酸化カリウムを併用する場合、各酸化物の含有量は、それぞれ0.3重量%以上であるのが好ましく、それぞれ1重量%以上であるのがより好ましい。
本発明では、透明度を上げるためにアルカリ金属酸化物のみを用いると熱膨張係数が高くなりすぎる傾向となるため、アルカリ金属酸化物とともに、透明度への寄与はアルカリ金属酸化物より小さいが、熱膨張係数はアルカリ金属酸化物よりも低い酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムから選択された少なくとも1種の周期表2族金属酸化物を用いるのが望ましい。
酸化カルシウムの含有量は、例えば0〜7重量%、好ましくは0.5〜6重量%である。酸化ストロンチウムの含有量は、例えば、0〜7重量%、好ましくは0.5〜6重量%である。酸化マグネシウムの含有量は、例えば、0〜3重量%、好ましくは0.5〜2.5重量%である。周期表2族金属化合物として、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムの3種のうち2種以上、特に3種を組み合わせて用いることが望ましい。周期表2族金属化合物として、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムのうち2種以上(特に3種)を組み合わせて用いることにより、フリットの脆さを改善したり、周期表2族金属酸化物の結晶化による透明性の低下を抑制することができ、バランスのとれた特性を有するガラスフリットを得ることができる。酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムの3種のうち2種を併用する場合、該2種の酸化物の含有量は、それぞれ0.5重量%以上とするのが好ましく、それぞれ1重量%以上とするのがより好ましい。また、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの3種全てを組み合わせて用いる場合、該3種の酸化物の含有量は、それぞれ0.2重量%以上とするのが好ましく、それぞれ0.5重量%以上とするのがより好ましい。
酸化バリウム(BaO)は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムと同じ周期表2族金属酸化物ではあるが、これをフリットに多く含有させると、フリットを再溶融する際、小さい気泡が多数発生し、ガラス製品の外観を損なうことになる。そのため、添加したとしても、酸化バリウムの含有量は2.5重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。
本発明のガラスフリットは、必要に応じて、上記のほか、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、希土類元素酸化物、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ビスマス等の金属酸化物を含んでいてもよい。前記希土類元素酸化物としては、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化プロメチウム、酸化サマリウム、酸化ユーロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウムが挙げられる。
フリットに酸化亜鉛を含有させることで、フリットの耐水性、靱性を向上させることができる。酸化ジルコニウムを含有させることで、フリットの硬度、耐摩耗性、化学的安定性を向上させることができる。希土類元素酸化物を含有させることにより、フリットの化学的安定性や耐酸性を向上させることができる。また、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ビスマス等の他の無機酸化物を配合することにより、ガラスフリットの諸物性を調整できる。本発明のガラスフリットにおける酸化亜鉛の含有量は、例えば、0〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。酸化ジルコニウムの含有量は、例えば、例えば、0〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。希土類元素酸化物の含有量は、希土類元素酸化物の総量で、例えば、0〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。本発明では、諸物性の調整のため、酸化亜鉛及び希土類元素酸化物のうち少なくともどちらか(特に両方)を含有させるのが好ましい。
本発明のガラスフリットは、人体に対する安全性を確保するため、酸化鉛、酸化カドミウムは実質的に含有していないのが望ましい。また、酸化鉛や酸化カドミウムの含有量が多いと、蓄光顔料と反応して蓄光入りガラス成形品、蓄光層が黒変するという問題が生じる。従って、例えば、酸化鉛、酸化カドミウムの含有量は、それぞれ、0.1重量%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.01重量%以下、特に好ましくは0.001重量%以下である。
本発明のガラスフリットの溶融温度は、例えば700〜850℃、好ましくは750〜830℃である。溶融温度が高いと、再溶融の際、顔料の特性の劣化(例えば、蓄光顔料の場合は蓄光性の低下、消失)が生じるとともに、陶磁器質基材又は該基材上に施された釉薬層上に焼き付ける際、欠陥が生じやすくなる。
本発明のガラスフリットの熱膨張係数[線膨張係数(/℃)]は、陶磁器質基材(素地)の熱膨張係数(5.5×10-6〜7.0×10-6程度)(磁器素地の熱膨張係数は6.5×10-6〜7.0×10-6程度)に近いのが良く、例えば、5.5×10-6〜7.0×10-6、好ましくは6.0×10-6〜6.5×10-6、さらに好ましくは6.2×10-6〜6.3×10-6である。
本発明のガラスフリットは、フリット製造原料(フリットの構成成分若しくは該成分を含む或いは焼成により該成分を生成しうる、天然鉱石、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等)を、フリット組成が所望の組成となるように秤量して混合し、1200〜1300℃程度の温度で溶融させた後、溶融物を水中に入れて急冷し、これを細かく粉砕(粗粉砕及び微粉砕)することにより製造できる。ガラスフリットの粒径は、取扱性等を考慮して適宜選択できるが、通常、平均粒径として、5〜100μm、好ましくは25〜75μmである。
本発明のガラスフリットは、上記のように、酸化ケイ素の含有量が35〜49重量%、酸化アルミニウムの含有量が1〜4.5重量%、酸化ホウ素の含有量が20〜35重量%、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量が14〜30重量%と、特定の狭い範囲に規定している。このため、低い溶融温度、フリットを再溶融して得られるガラスにおける高い透明度、低気泡発生性、人体に対する安全性、陶磁器質材料に適合した熱膨張係数(適切な熱膨張特性)、顔料粒子や陶磁器質材料に対する優れた接着性(密着性)、高い硬度、高い化学的耐久性という、顔料入りガラス成形品及び顔料入りガラス層を備えた陶磁器質製品に要求される特性の全てを充足させることができる。上記組成範囲を外れた場合には、例えば、透明度、低気泡発生性、熱膨張特性、顔料粒子や陶磁器質材料に対する接着性(密着性)等が劣ることとなる。熱膨張係数はフリット組成から計算で算出できる。そして、該熱膨張係数が陶磁器質基材に近似する組成(各無機酸化物の種類及び含有率)は多数存在しうる。しかしながら、単にその熱膨張係数を陶磁器質基材と近似したものにするだけでは、上記要求性能を全て充足したフリットは得られない。従来のガラスフリットには、熱膨張係数が陶磁器質材料の熱膨張係数と近似しているものもある。しかし、そのようなものであっても、例えば、厚みが1mm以上(特に、2mm以上)の顔料入りガラス層を有する陶磁器質製品を製造する場合には、十分な透明性が得られなかったり、気泡が目立ったり、焼き付け時にひび割れや剥がれが発生したりして、顔料の特性が十分に発揮された美麗な低融点ガラス製品を得ることはできない。
本発明のガラスフリットは、顔料入りガラス成形品、顔料入りガラス層を表面に有する陶磁器質製品、とりわけ、蓄光顔料入りガラス成形品及び表面に蓄光層を有する陶磁器質製品の製造原料として極めて有用である。なお、本発明のガラスフリットは、上記のほか、陶磁器質基材以外の基材(金属製基材、ガラス製基材等)の表面に顔料入りガラス層を設けた製品を作製するのに用いることもできる。
[顔料入りガラス成形品]
本発明の顔料入りガラス成形品は、上記本発明のガラスフリットと顔料を含む混合物を溶融成形して得られる。
顔料としては、特に限定されず、窯業に一般的に用いられている無機顔料、例えば、陶磁器用上絵の具に用いられる顔料(着色剤)等を用いることができる。このような顔料として、例えば、炭酸銅、酸化銅、酸化第二鉄、三酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化マンガン、プラセオジム顔料、ネオジム顔料、エルビウム顔料、バナジウム顔料、他の無機顔料、これらの混合物などを使用できる。
また、顔料として、蓄光顔料や蛍光顔料を用いることができる。蓄光顔料としては、特に限定されず、例えば、ユーロピウム等で賦活され、マンガン、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等で共賦活されるとともに、一部をホウ素で置換してアルミン酸塩(マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩等)を使用できる。このような蓄光顔料として、例えば、特開平7−11250号公報、特開平8−73845号公報等に記載されている蓄光顔料(蓄光性蛍光体、残光性蛍光体)などを使用できる。また、市販の蓄光顔料を用いてもよい。蓄光顔料の発光色は、特に限定されず、例えば、青色、緑色、青緑色等の何れであってもよい。
顔料入りガラス成形品は、例えば、上記の微細に粉砕されたガラスフリットと微細に粉砕された顔料粉末(例えば、平均粒径5〜50μm)とを混合し、得られた混合物を適宜な型に詰め、例えば700〜850℃、好ましくは750〜830℃の温度で焼成(溶融成形)することにより製造できる。型としては、耐熱性の高い材質のものであればよく、金属製、セラミック製等の何れであってもよいが、得られた顔料入りガラス成形品の取り出しやすさ等の点で、金属製、石膏製の型が好ましい。石膏製の型の場合は、焼成後、型を砕くことにより、顔料入りガラス成形品を容易に取り出すことができる。なお、ガラスフリットと顔料に、さらに、有機バインダー、水、有機溶媒等を加えて混合し(或いは混練し)、これらの混合物(混練物)を型に入れて焼成してもよい。有機バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂;アラビアゴム等の水溶性乃至親水性高分子;スキージーオイル、アクリル樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。これらの有機バインダーは焼成時に焼失する。
なお、顔料入りガラス成形品は、上記のようにして製造した成形品を再度粉砕して、適宜な大きさの顔料入りのガラスフリットとし、この顔料入りガラスフリットを所望の型に入れて、上記の温度で焼成(溶融成形)することにより製造することもできる。
顔料入りガラス成形品の形状は特に制限されず、例えば、球状、半球状、楕球状、碁石状、平板状(底面が円形、四角形、三角形、星形、ハート形、花びら形状等)、角柱状、角錐状、円柱状、円錐状、不定形状等の何れであってもよい。
顔料入りガラス成形品の大きさも特に限定されない。顔料入りガラス成形品の厚み(最大厚み)は、例えば、1mm〜30mm、好ましくは2mm〜10mmである。本発明の顔料入りガラス成形品は、ガラスフリットが上記構成を有していることから、ガラス質の透明度が極めて高く、しかもガラス質と顔料粒子との接着性(密着性)が良好であるため、顔料入りガラス成形品の厚みが大きくても(例えば、最大厚みが1mm以上、特に2mm以上であっても)、顔料の色彩がきれいに視認できるとともに、内部にクラック等の欠陥が無く、気泡も少なく、極めて美麗である。また、特に、顔料が蓄光顔料の場合には、ガラス質の透明度が極めて高く、ガラス質と蓄光顔料粒子との接着性(密着性)が良好であるため、高い発光輝度及び長い残光時間が得られる。
顔料入りガラス成形品における顔料の含有量は、顔料の種類、用途や意匠性を考慮して適宜定められるが、通常、顔料入りガラス成形品全体に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.02〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。顔料の含有量が少なすぎると顔料を入れる効果が小さく、顔料の含有量が多すぎると、成形性が低下したり、成形品の強度が低下しやすくなる。
顔料入りガラス成形品は、その表面が透明ガラス層で被覆されていてもよい。透明ガラス層を設けることにより、表面を平滑化できるとともに、顔料入りガラス成形品の表面付近に存在する顔料の空気や水による変質、劣化を防止できる。透明ガラス層は、例えば、ガラスフリットを含むコーティング組成物を用いて、前記顔料入りガラス成形品の表面の一部又は全体に該コーティング組成物からなる被複層を設け、例えば700〜850℃、好ましくは750〜830℃の温度で焼成することにより形成できる。
前記ガラスフリットとしては、透明度が高く、気泡の発生を抑制できる点、及び顔料入りガラス成形品を構成するガラス質と熱膨張係数を合わせられる点から、前記本発明のガラスフリットを用いるのが好ましい。
前記コーティング組成物は、例えば、ガラスフリットを水溶きしたり、ガラスフリットと有機バインダーと溶媒(水及び/又は有機溶剤)とを混練することにより調製できる。有機バインダーとしては、前記例示ものを使用できる。有機バインダーは焼成時に焼失する。コーティング組成物の形態は、塗布性等の観点から、分散液又はペーストであるのが好ましい。
前記コーティング組成物は、通常、顔料を含まないが、顔料入りガラス成形品の有する意匠性等を損なわない範囲で顔料を含んでいてもよい。前記コーティング組成物を用いた被複層の形成は、慣用の方法、例えば、印刷法(スクリーン印刷法等)、スプレー法、浸し掛け法、流し掛け法、刷毛法、筆塗り法、転写法等により行うことができる。
透明ガラス層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜設定できるが、通常、10〜2000μm、好ましくは100〜1000μmである。
なお、必要に応じて、上記透明ガラス層の上にさらに彩色層を設けてもよい。彩色層を設けることにより、種々の装飾模様を付すことができる。彩色層は、例えば、ガラスフリットと一般的な顔料(着色剤)を含むコーティング組成物を用い、前記透明ガラス層を形成する場合と同様にして形成できる。彩色層を形成するためのガラスフリットとしては、前記透明ガラス層の場合と同様の理由から本発明のガラスフリットを用いるのが好ましい。
彩色層の厚みも特に限定されず、装飾性、耐久性、耐摩耗性等を考慮して適宜定められるが、一般には10〜2000μm、好ましくは100〜1000μmである。
本発明の顔料入りガラス成形品は、顔料の特性が十分に発揮されるので、色彩が鮮やかであり、全体の美観に優れる。特に、顔料が蓄光顔料の場合には、優れた蓄光性が発揮され、高い発光輝度と長い残光時間が得られる。そのため、本発明の顔料入りガラス成形品は、タイル、置物、玩具、アクセサリー、安全標識板などの用途に用いられる。
[表面に顔料入りガラス層が形成された陶磁器質製品]
本発明の陶磁器質製品は、陶磁器質基材の表面に、前記本発明のガラスフリットと顔料を含む混合物を焼成して得られる顔料入りガラス層が形成されている。
陶磁器質基材としては、少なくとも表面が陶磁器質のものであれば特に限定されず、例えば、陶器;磁器;ほうろう;表面に釉薬層を有する陶器、磁器又はガラスなどが挙げられる。
陶磁器質基材のより具体的な例として、例えば、陶磁器製のタイル、碍子、置物、玩具、アクセサリー、板、棒、飲食器、調理器具、鍋、花器、医療機器、家具、建材、電気・電子部品、電気器具、衛生陶器、車両部品・部材などが挙げられる。
ここで用いられる顔料としては、前記顔料入り成形品における顔料と同様のものを使用できる。好ましい顔料として、蓄光顔料が挙げられる。
顔料入りガラス層は、例えば、前記本発明のガラスフリットと微細に粉砕された顔料粉末と、必要に応じて有機バインダーと、溶媒(水及び/又は有機溶剤)とを混合して(混練して)、例えば分散液状又はペースト状のコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を陶磁器質基材表面に施して塗布層を形成し、例えば700〜850℃、好ましくは750〜830℃の温度で焼成することにより形成できる。塗布層の形成は、慣用の方法、例えば、印刷法(スクリーン印刷法等)、スプレー法、浸し掛け法、流し掛け法、刷毛法、筆塗り法、転写法等により行うことができる。
顔料入りガラス層の厚み(最大厚み)は、例えば、30μm〜10000μm、好ましくは200μm〜6000μm、さらに好ましくは500μm〜4000μm、特に好ましくは1000μm〜2000μmである。本発明の陶磁器質製品においては、顔料入りガラス層を形成するガラスフリットが上記構成を有していることから、ガラス質の透明度が極めて高く、しかもガラス質と顔料粒子との接着性(密着性)が良好であるため、顔料入りガラス層の厚みが大きくても(例えば、最大厚みが1000μm以上、特に1500μm以上であっても)、顔料の色彩がきれいに視認できる。また、内部のクラックや陶磁器質基材界面での剥がれがなく、気泡も少ないので、極めて美麗である。特に、顔料が蓄光顔料の場合には、ガラス質の透明度が極めて高く、ガラス質と蓄光顔料粒子及び陶磁器質基材との接着性(密着性)が良好であるため、高い発光輝度及び長い残光時間が得られる。
顔料入りガラス層における顔料の含有量は、顔料の種類、用途や意匠性等を考慮して適宜定められるが、通常、顔料入りガラス層全体に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.02〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。顔料の含有量が少なすぎると顔料を入れる効果が小さく、顔料の含有量が多すぎると、不透明になりやすく、また、成形性が低下したり、成形品の強度が低下しやすくなる。
顔料入りガラス層の表面は、透明ガラス層で被覆されていてもよい。透明ガラス層を設けることにより、顔料入りガラス層の表面を平滑化できるとともに、顔料入りガラス層の表面付近に存在する顔料が空気や水によって変質、劣化するのを防止できる。透明ガラス層は、例えば、ガラスフリットを含むコーティング組成物を用いて、顔料入りガラス層の表面の一部又は全体に該コーティング組成物からなる被複層を設け、例えば700〜850℃、好ましくは750〜830℃の温度で焼成することにより形成できる。
前記ガラスフリットとしては、透明度が高く、気泡の発生を抑制できる点、顔料入りガラス層を構成するガラス質と熱膨張係数を合わせられる点から、前記本発明のガラスフリットを用いるのが好ましい。
前記コーティング組成物は、例えば、ガラスフリットを水溶きしたり、ガラスフリットと有機バインダーと溶媒(水及び/又は有機溶剤)とを混練することにより調製できる。有機バインダーとしては、前記例示ものを使用できる。有機バインダーは焼成時に焼失する。コーティング組成物の形態は、塗布性等の観点から、分散液又はペーストであるのが好ましい。
前記コーティング組成物は、通常、顔料を含まないが、顔料入りガラス成形品の有する意匠性等を損なわない範囲で顔料を含んでいてもよい。前記コーティング組成物を用いた被複層の形成は、慣用の方法、例えば、印刷法(スクリーン印刷法等)、スプレー法、浸し掛け法、流し掛け法、刷毛法、筆塗り法、転写法等により行うことができる。
透明ガラス層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜設定できるが、通常、10〜2000μm、好ましくは100〜1000μmである。
なお、必要に応じて、上記透明ガラス層の上にさらに彩色層を設けてもよい。彩色層を設けることにより、種々の装飾模様を付すことができる。彩色層は、例えば、ガラスフリットと一般的な顔料(着色剤)を含むコーティング組成物を用い、前記透明ガラス層を形成する場合と同様にして形成できる。彩色層を形成するためのガラスフリットとしては、前記と同様の理由から本発明のガラスフリットを用いるのが好ましい。
彩色層の厚みも特に限定されず、装飾性、耐久性、耐摩耗性等を考慮して適宜定められるが、一般には10〜2000μm、好ましくは100〜1000μmである。
本発明の陶磁器質製品は、顔料入りガラス層において顔料の特性が十分に発揮されるので、色彩が鮮やかであり、全体の美観に優れる。特に、顔料が蓄光顔料の場合には、優れた蓄光性が発揮され、高い発光輝度が得られるとともに、残光時間も長い。
本発明の陶磁器質製品は、タイル、碍子、置物、玩具、アクセサリー、飲食器、調理器具、鍋、花器、医療機器、家具、建材、電気・電子部品、電気器具、衛生陶器、自動車部品・部材、安全標識板などの用途に用いられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1〜3
ガラスフリットの製造原料として、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ホウ酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ランタンを用いた。
上記の原料を用い、焼成(溶融)した際に表1の重量組成割合となるように各原料を秤量して混合し、フリット溶融用ルツボ内に入れ、電気炉にて1300℃まで昇温し、1300℃で1時間保持することにより焼成(溶融)した。ルツボを炉外に取り出し、溶融物を水中に投入し、急冷した。こうして得られた各フリットを粉砕して、平均粒径約50μmの粉末状のガラスフリットを得た。
このガラスフリットを、石膏製の型(凹部が直径20mm、深さ5mmの円柱状)に詰め、電気炉にて800℃まで昇温し、800℃で1時間保持することにより焼成(溶融成形)した。得られたガラス成形品の透明度、ガラス成形品内の気泡の有無を目視観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。なお、ガラス成形品は上面の中央部が緩やかに盛り上がった円柱状(直径20mm、最大厚み約7mm)を呈している。
なお、比較例1のフリットは、特開平3−215328号公報の実施例1に相当するフリットである。
<透明度>
5:無色透明又はほぼ無色透明である。
4:所々に白濁が見られる。
3:半分程度白濁している。
2:大部分が白濁している。
1:全体が白色である。
<気泡の有無>
○:気泡がほとんど見られない。
△:所々に気泡がある。
×:気泡が多数存在する。
Figure 2012087029
実施例4
実施例1と同様の組成で作製したガラスフリット100重量部に対して、蓄光顔料[商品名「G−300C」、根本特殊化学社製、平均粒径約50μm]10重量部を混合し、得られた粉末状の混合物を、石膏製の型(凹部が直径20mm、深さ5mmの円柱状)に詰め、電気炉にて800℃まで昇温し、800℃で1時間保持することにより焼成(溶融成形)した。得られた顔料入りガラス成形品[上面の中央部が緩やかに盛り上がった円柱状(直径20mm、最大厚み約7mm)の成形品]を観察したところ、クラックは見られず、良好な外観を呈していた。この顔料入りガラス成形品に対して、蛍光灯の光を約200ルクスで20分間照射した後、暗所で残光性を評価した。その結果、極めて美麗な高輝度発光が観察され、遮光後20分経過後の残光輝度は、250mcdであった。
実施例5
実施例2と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、実施例4と同様、クラックのない良好な外観を有する顔料入りガラス成形品が得られた。また、この顔料入りガラス成形品の残光性を評価したところ、極めて美麗な高輝度発光が観察され、遮光後20分経過後の残光輝度は、250mcdであった。
実施例6
実施例3と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、実施例4と同様、クラックのない良好な外観を有する顔料入りガラス成形品が得られた。また、この顔料入りガラス成形品の残光性を評価したところ、極めて美麗な高輝度発光が観察され、遮光後20分経過後の残光輝度は、250mcdであった。
比較例4
比較例1と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、実施例4〜6と比べ、若干白濁したガラス成形品が得られた。また、顔料入りガラス成形品の残光性を評価したところ、遮光後20分経過後の残光輝度は、100mcdであった。
比較例5
比較例2と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、比較例4と比べてもさらに白濁したガラス成形品が得られた。また、顔料入りガラス成形品の残光性を評価したところ、遮光後20分経過後の残光輝度は、50mcdであった。
比較例6
比較例3と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様の操作を行った。その結果、透過性がほとんどないほど白濁したガラス成形品が得られた。また、顔料入りガラス成形品の残光性を評価したところ、遮光後20分経過後の残光輝度は、5mcdであった。
実施例7
実施例1と同様の組成で作製したガラスフリット100重量部に対して、蓄光顔料[商品名「G−300C」、根本特殊化学社製、平均粒径約50μm]30重量部、ブチラール樹脂系バインダー(溶剤としてソルベントナフサを含む)40重量部を添加してペースト状とし、得られたペーストを磁器タイル基板[95mm×95mm×11mm(厚さ)]の上面のほぼ全面に、焼き付け後の蓄光層の厚みが約2mmとなるように塗布し、電気炉にて800℃まで昇温し、800℃で1時間保持することにより焼き付け(再溶融)を行った。得られた製品(表面に蓄光層が形成されたタイル)を観察したところ、クラックや剥がれは全く見られなかった。この表面に蓄光層が形成されたタイルに対して、蛍光灯の光を約200ルクスで20分間照射した後、暗所で残光性を評価した。その結果、極めて美麗な高輝度発光が観察され、遮光後20分経過後の残光輝度は、300mcdであった。
実施例8
実施例2と同様の組成で作製したガラスフリット100重量部に対して、蓄光顔料[商品名「G−300C」、根本特殊化学社製、平均粒径約50μm]30重量部、ブチラール樹脂系バインダー(溶剤としてソルベントナフサを含む)40重量部を添加してペースト状とし、得られたペーストを磁器タイル基板[95mm×95mm×11mm(厚さ)]の上面のほぼ全面に、焼き付け後の蓄光層の厚みが約2mmとなるように塗布し、電気炉にて800℃まで昇温し、800℃で1時間保持することにより焼き付け(再溶融)を行った。得られた製品(表面に蓄光層が形成されたタイル)を観察したところ、クラックや剥がれは全く見られなかった。この表面に蓄光層が形成されたタイルに対して、蛍光灯の光を約200ルクスで20分間照射した後、暗所で残光性を評価した。その結果、極めて美麗な高輝度発光が観察され、遮光後20分経過後の残光輝度は、300mcdであった。
比較例7
比較例1と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例7と同様の操作を行った。得られた製品(表面に蓄光層が形成されたタイル)を観察したところ、クラックや剥がれは見られなかったが、蓄光層は実施例7に比べて若干白濁していた。この表面に蓄光層が形成されたタイルに対して、蛍光灯の光を約200ルクスで20分間照射した後、暗所で残光性を評価したところ、遮光後20分経過後の残光輝度は、150mcdであった。
比較例8
比較例2と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例7と同様の操作を行った。この結果、焼き付けはできず、蓄光層は磁器タイル基板から剥離していた。また、剥離した蓄光層は比較例7に比べてもさらに白濁していた。
比較例9
比較例3と同様の組成で作製したガラスフリットを用いたこと以外は実施例7と同様の操作を行った。この結果、焼き付けはできず、蓄光層は磁器タイル基板から剥離していた。また、剥離した蓄光層は透過性がほとんどないほど白濁していた。

Claims (9)

  1. 酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素及びアルカリ金属酸化物を主成分とし、且つ酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択された少なくとも1種の周期表2族金属酸化物を含むガラスフリットであって、酸化ケイ素の含有量が35〜49重量%、酸化アルミニウムの含有量が1〜4.5重量%、酸化ホウ素の含有量が20〜35重量%、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化マグネシウムの総含有量が14〜30重量%であるガラスフリット。
  2. 請求項1記載のガラスフリットと顔料を含む混合物を溶融成形して得られる顔料入りガラス成形品。
  3. 表面が透明ガラス層で被覆されている請求項2記載の顔料入りガラス成形品。
  4. 前記透明ガラス層が、請求項1記載のガラスフリットを含むコーティング組成物を焼成して得られる透明ガラス層である請求項3記載の顔料入りガラス成形品。
  5. 前記顔料が蓄光顔料である請求項2〜4の何れか1項に記載の顔料入りガラス成形品。
  6. 陶磁器質基材の表面に、請求項1記載のガラスフリットと顔料を含む混合物を焼成して得られる顔料入りガラス層が形成された陶磁器質製品。
  7. 前記顔料入りガラス層の表面が透明ガラス層で被覆されている請求項6記載の陶磁器質製品。
  8. 前記透明ガラス層が、請求項1記載のガラスフリットを含むコーティング組成物を焼成して得られる透明ガラス層である請求項7記載の陶磁器質製品。
  9. 前記顔料が蓄光顔料であり、前記顔料入りガラス層が蓄光層である請求項6〜8の何れか1項に記載の陶磁器質製品。
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