JP2012083723A - 反射防止部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた透明性、耐擦傷性、高温高湿下における良好な接着性、帯電防止性、反射防止性、虹彩模様の低減、画像視認性を同時に付与した反射防止部材を提供する。
【解決手段】支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層2と、無機粒子6およびバインダーから構成される高屈折率層5と、該高屈折率層5よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子7を含む低屈折率層4とを、この順に設けた反射防止部材1であって、前記無機粒子6の体積抵抗率が1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であって、反射防止部材1の低屈折率層4側の表面抵抗率が1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止部材に関する。
反射防止部材、特に反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の写り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようにディスプレイの最表面に配置される。
また反射防止部材の一つであるインデックスマッチング(IM)(屈折率調整)フィルムは、静電容量式のタッチパネルを用いた携帯電話、携帯音楽端末などの各種モバイル機器に搭載されている。IMフィルムは、反射防止フィルムと同様に屈折率の異なる層を積層し、光の干渉を利用して透過率、色目を制御することで、導電性フィルムのパターン形状を見えにくくし、視認性を向上させるために設けられている。
このような反射防止部材、および反射防止部材の製造方法として、次のものが提案されている。
特許文献1には、「透光性基体上に、ハードコート層、低屈折率層が順次積層されてなり、該ハードコート層は導電性無機超微粒子と放射線硬化型樹脂を含むハードコート樹脂組成物の硬化物からなり、該低屈折率層が中空シリカ微粒子を含有する組成物からなり、該ハードコート樹脂組成物の少なくとも一つの樹脂の質量平均分子量が8000〜150000であることを特徴とする反射防止材料」、が記載されている。
また、製造工程の簡略化のため1回の塗工によって2つの層を形成する反射防止部材およびその製造方法として、次のものが提案されている。
特許文献2には、「バインダー樹脂中に低屈折率微粒子と中乃至高屈折率微粒子が分散されているコーティング組成物を用いてワンコートにて形成された塗膜を含む反射防止積層体であって、該低屈折率微粒子としてフッ素系化合物により処理されているシリカ微粒子が用いられることにより、比重の差により塗膜の上部乃至中間部において低屈折率微粒子が偏在し、且つ中間部乃至下部において中乃至高屈折率微粒子が偏在していることを特徴とする反射防止積層体」、が記載されている。
特許文献3には、「支持基材の少なくとも片面に、屈折率の異なる2層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、塗料組成物を支持基材の少なくとも片面上に1回塗布乾燥硬化する工程を含み、該塗料組成物が2種類以上の無機粒子を含み、該2種類以上の無機粒子における少なくとも一種類の無機粒子が、フッ素化合物により表面処理された無機粒子であり、さらに金属キレート化合物を含むことを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法」、が記載されている。
また、反射防止部材を構成する層の層間界面の機能に着目したものとして、次のものが提案されている。
特許文献4には、「複数の透明層が形成されてなる光学フィルムであって、この光学フィルムを構成する第一の透明層とこの第一の透明層と接して形成された第二の透明層とが、屈折率の異なる材料からなり、かつ、この第一の透明層と第二の透明層との接触界面が光散乱性界面であることによって干渉縞の発生が抑制されたものであることを特徴とする光学フィルム」、が記載されている。
特許文献5には、「有機フィルムの表面に、下層側から透明導電層と、高屈折率ハードコート層と、低屈折率ハードコート層とを設けてなる反射防止フィルムにおいて、該透明導電層と高屈折率ハードコート層との界面の表面粗さよりも、該高屈折率ハードコート層と低屈折率ハードコート層との界面の表面粗さが小さく、かつ、該高屈折率ハードコート層及び/又は低屈折率ハードコート層が有機/無機ハイブリットハードコート材により形成されていることを特徴とする反射防止フィルム」、が記載されている。
特許文献6には、「透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電層をこの順に積層した構成を有し、高屈折率層の屈折率が1.70〜2.50、膜厚が4〜20nmの範囲にあり、低屈折率層の屈折率が1.30〜1.60、膜厚が20〜50nmの範囲であることを特徴とする透明導電性積層フィルム。」が記載されている。
特開2007−271954号公報 特開2007−272132号公報 特開2009−058954号公報 特開2005−107005号公報 特開2004−258209号公報 特開2010−015861号公報
本発明の目的は、優れた透明性、高温高湿下における接着性、帯電防止性、反射防止性、虹彩模様の低減に優れた反射防止部材を提供することにあり、より好ましくは、優れた透明性、耐擦傷性、高温高湿下における良好な接着性、帯電防止性、反射防止性、虹彩模様の低減、画像視認性を同時に付与した反射防止部材を提供することにある。
上記課題に対し前述の公知技術は次の状況にある。
特許文献1は、耐擦傷性を得るために2.5〜5μmのハードコート層を必要としており、また基材上にハードコート層を含めて2回乃至3回の塗布により形成されていることから、材料、工程の両面から低コスト化のための簡略化された工程とはいえない。また厚みが厚いハードコート層に導電性無機超微粒子を多量に含有するため、反射防止フィルムの着色、透過率の減少という問題がある。
特許文献2では1回塗布により2層を得るもので、反射防止層を形成する低屈折率層と高屈折率層の界面が明瞭ではなく渾然一体となっているため、明確な境界を持った反射防止層と比べ各屈折率層間の剥離の問題は解消されるとの記載がある。しかし、本発明のような形状が制御された界面構造とは異なり、渾然一体とした明瞭でない界面のため、反射率が高く、透明性が低い問題がある。
特許文献3では、1回塗布により2層を得るものであるが、反射防止層を形成する低屈折率層と高屈折率層のみであり、ハードコート層は別途設ける必要があるため、低コスト化のための簡略化された工程とはいえない。また高屈折率層に導電性無機粒子を用いた場合には帯電防止性が得られるもののハードコート性は得られず、帯電防止性とハードコート性の両立ができない問題がある。
特許文献4,5では、反射防止部材を構成する層の層間界面の機能に着目しているが、その目的は干渉縞の防止と白味の防止にあり、さらにその粗さの程度や対象とする界面の粗さが粗い。そのため、この粗さでは界面の接着性が不十分であり、さらに干渉縞の抑制には効果はあるものの、光散乱性界面のため透明性との両立ができない問題がある。また特許文献5では、白味の抑制に加え、導電性、反射防止性の両立を試みており、導電性は発現しているものの、反射率は約3%と反射防止部材としては不十分なレベルである。
特許文献6では、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層を積層しているが、特許文献1の明細書によると低屈折率層の積層方法はスパッタリングによるドライプロセスであるため、低コスト化のための簡略化された工程とはいえず、更に低屈折率層の屈折率は1.46程度である。本発明者らが確認したところ1.46近傍の屈折率では、透明導電層のパターニングを見えにくくし、視認性を向上させる効果が不十分であった。
上記課題を解決するために本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
1) 支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層と、無機粒子およびバインダーから構成される高屈折率層と、該高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層とを、この順に設けた反射防止部材であって、
前記無機粒子の体積抵抗率が1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であって、
反射防止部材の低屈折率層側の表面抵抗率が1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下であって、
以下の(1)から(3)で定義される単位長さAと長さBの比B/Aが、1.10<B/A<1.45であることを特徴とする、反射防止部材。
(1)低屈折率層と高屈折率層とで形成される界面において、直線長さが500nm以上離れた任意の界面上の2点をA1、A2とする。
(2)A1とA2を結ぶ直線の長さを単位長さAとする。
(3)A1とA2間の低屈折率層と高屈折率層とで形成される界面に沿った長さを、長さBとする。
2) 前記高屈折率層の厚みが、10nm以上200nm以下、又は、500nm以上4000nm以下であることを特徴とする、前記1)に記載の反射防止部材。
3) 前記無機粒子が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの無機粒子であることを特徴とする、前記1)または2)に記載の反射防止部材。
4) 前記帯電防止層が、共役電子伝導タイプの帯電防止剤を含むことを特徴とする、前記1)〜3)のいずれかに記載の反射防止部材。
5) 前記帯電防止剤が、ポリチオフェン系化合物であることを特徴とする、前記4)に記載の反射防止部材。
本発明によれば、優れた透明性、高温高湿下における接着性、帯電防止性、反射防止性、虹彩模様の低減に優れた反射防止部材を得ることができる。また本発明によれば、優れた特性の反射防止部材の製造工程が簡略化可能となるため、生産性を向上することができる。さらに本発明のより好ましい様態によれば、前述の効果に加えてさらに耐擦傷性を付与することが可能である。
本発明の好ましい反射防止部材の断面の例 図1の低屈折率層と高屈折率層の界面の形状 従来技術の反射防止部材の断面の例 図3の低屈折率層と高屈折率層の界面の形状 本発明の好ましい反射防止部材の断面の例
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明における反射防止部材とは、光の反射特性を制御して、対象物の視認性を向上させる性質を有する部材全般をさすが、本発明における反射防止部材とは、好適には反射防止フィルム、またはインデックスマッチングフィルム(以下、IMフィルムという)を表す。
また本発明の反射防止部材とは、支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層と、無機粒子およびバインダーから構成される高屈折率層と、該高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層とを、この順に設けた部材であり、後述する特定の体積抵抗率、表面抵抗率、表面構造を有する部材をさす。
なお、本発明における反射防止部材をIMフィルムとして用いる場合は、前述の帯電防止層と高屈折率層との間にハードコート層を設けてもよい。
本発明は、支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層と、無機粒子及びバインダーから構成される高屈折率層と、該高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層とを、この順に設けた反射防止部材であって、前記無機粒子の体積抵抗率が1013(Ω・cm)以上1020(Ω・cm)以下であって、反射防止部材の低屈折率層側の表面抵抗率が1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下であって、単位長さAと長さBの比B/Aが、1.10<B/A<1.45である反射防止部材である。(単位長さAと長さBの比については後述。)
以下に本発明の各要件について説明する。
[支持基材]
反射防止部材をCRT画像表示面やレンズ表面に直接設ける場合を除き、反射防止部材は支持基材を有することが重要である。支持基材としては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート及びポリエーテルケトンなどの材料から構成されるフィルムが挙げられるが、これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムである。基材の透明性を損なうことなく、耐湿熱接着性の向上、虹彩模様の低減を図ることができるため好ましい。
本発明の反射防止フィルムとしての好ましい態様においては、高屈折率層の厚みを500nm以上4000nm以下とした態様であり、このようにすることで耐擦傷性が付与できる。この場合には、支持基材としてハードコート層を有するフィルムを使用する必要はなく、耐擦傷性が劣る支持基材を適用することも可能である。また、IMフィルムとしての高屈折率層の厚みの好ましい様態は後述する。
支持基材の光透過率は、80%以上100%以下であることが好ましく、86%以上100%以下であることがさらに好ましい。ここで光透過率とは、光を照射した際に試料を透過する光の割合のことであり、JIS K 7361−1(1997)に従い測定することができる透明材料の透明性の指標である。ヘイズはJIS K 7136(2000)に規定された透明材料の濁りの指標である。
支持基材のヘイズは、0.01%以上2.0%以下であることが好ましく、0.05%以上1.0%以下であることがさらに好ましい。
支持基材の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。なお、ここでいう屈折率は、JIS K 7142(1996)に規定されている方法により測定することができる。
支持基材は、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を含有してもよい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に含有してもよい。不活性無機化合物の例には、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンが含まれる。
[反射防止部材の単位長さAと長さBの比B/A]
本発明の単位長さAと長さBの比B/Aは、1.10<B/A<1.45である。ここで、本発明において、単位長さAと単位長さBは低屈折率層と高屈折率層の間の界面の構造を特性付けるための指標であり、次の様に定義する。なお、図1に図示した。
(1)低屈折率層と高屈折率層とで形成される界面において、直線長さが500nm以上離れた任意の界面上の2点をA1、A2とする。
(2)A1とA2を結ぶ直線の長さを単位長さAとする。
(3)A1とA2間の低屈折率層と高屈折率層とで形成される界面に沿った長さを、長さBとする。
図2にこの単位長さAと長さBの関係を示す。
この単位長さAと長さBの比は、1.10<B/A<1.45である。より好ましくは1.15<B/A<1.35である。単位長さAと長さBの比B/Aが、1,10以下になると、低屈折率層と高屈折率層の間の界面の状態は図3、4に示す状態となり、低屈折率層と高屈折率層間の界面の密着力が小さくなり、高温高湿下での接着性が得られなくなる。一方、1.45以上になると界面での光散乱が起こることにより、透明性が低下し、反射率が上昇する。
単位長さAと長さBの比B/Aを1.10<B/A<1.45とすることにより、低屈折率層と高屈折率層とのなす界面が微細に入り組み、反射防止性や透明性に影響が出ない範囲で高温高湿下での接着性の付与が可能となる。さらに界面の微細な凹凸構造により低屈折率層の厚みが実質的に幅を有するため、膜厚変化による干渉効果のズレが吸収でき虹彩模様の低減が可能となる。また界面凹凸構造が光の波長に比べて十分に短いため、光散乱が起こらず高い透明性を保つことが可能となる。
1.10<B/A<1.45である反射防止部材の製造方法としては特に限定されないが、帯電防止層を設けた支持基材の帯電防止層上に、後述の塗料組成物を1回のみ塗布する工程と乾燥する工程を1回行うことにより、支持基材、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層が順に積層された反射防止部材を同時に形成することが可能である。なお、本発明の好ましい反射防止部材の断面の例を図5に示す。
これは、該塗料組成物を1回のみ塗布して、自発的な層構造の形成により低屈折率層と高屈折率層の2つの層を形成することにより、低屈折率層と高屈折率層のなす特定の界面粗さを作ることができ、その結果、前述の単位長さAと長さBの比B/A、を前述の範囲に制御することが可能となる。
上記後述する特定の塗料組成物を用いた製造方法において、高屈折率層の厚みを500nm以上4000nm以下の範囲にするためには、該塗料組成物中にフッ素化合物Bを含有させることで、反射防止層を構成する低屈折率層と高屈折率層とが、フッ素化合物Bに由来する成分を含有するようにすることが好ましい。
ここでフッ素化合物Bとは、フルオロアルキル基および反応性部位を有し、数平均分子量が300以上4000以下である化合物を意味する(フッ素化合物Bの詳細は後述)。該フッ素化合物Bを含有する塗料組成物を、帯電防止層を有する支持基材の少なくとも帯電防止層上に1回のみ塗布することにより、低屈折率層と高屈折率層からなる反射防止層の形成を促進し、フッ素化合物Bに由来する成分を含む低屈折率層と高屈折率層からなる反射防止層を形成することができ、高屈折率層の厚みを500nm以上4000nm以下にすることができる。
ここで反応性部位とは、後述するように熱または光などの外部エネルギーにより、塗料組成物中のバインダー原料など他の成分と反応する部位をさす。このような反応性部位として、反応性の観点からアルコキシシリル基及びアルコキシシリル基が加水分解されたシラノール基や、カルボシキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
さらにフルオロアルキル基とは、アルキル基が持つ全ての水素がフッ素に置き換わった置換基であり、フッ素原子と炭素原子のみから構成される置換基である。
さらにフッ素化合物Bの数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒にし、分子量既知の単分散ポリスチレンを標準物質として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GC−2010 株式会社島津製作所)により測定し求めることができる。また、数平均分子量とは、分子量Mの分子数をNとした際に、M=ΣM/ΣNで定義されるものである。
[反射防止部材]
本発明の反射防止部材とは、支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層と、無機粒子およびバインダーから構成される高屈折率層と、該高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層とを、この順に設けた部材をさす。なお、IMフィルムとして用いる場合は、帯電防止層と高屈折率層との間に、ハードコート層を設けてもよい。
好ましい様態としては、低屈折率層と高屈折率層との屈折率差は、好ましくは0.03以上5.0以下、より好ましくは0.05以上5.0以下であることが好ましい。この屈折率差とは、隣接する層間の屈折率を相対的に比較した値であり、相対的に屈折率が低い層を低屈折率層と呼び、相対的に屈折率が高い層を高屈折率層と呼ぶ。そして、本発明においては、高屈折率層が高屈折率層であることが好ましい。
図1に本発明の反射防止部材の構造の1例を示す。反射防止部材は、支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.75の帯電防止層と、反射防止層が形成されている。反射防止層は最表面側に該高屈折率層よりも屈折率の小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層、次いで無機粒子およびバインダーから構成される高屈折率層から構成される。
上述した反射防止部材の製造方法は、帯電防止層を有する該支持基材の少なくとも帯電防止層上に、1層の液膜を1回塗工する工程、乾燥する工程をこの順に行う。ここで1層の液膜を1回塗工する工程とは、基材に対して1種類の塗料組成物からなる1層の液膜を1回だけ塗工することを指し、1回の塗工時に複数層からなる液膜を同時に1回塗工する多層同時塗工や、1回の塗工時に1層の液膜を複数回の塗工、乾燥する連続逐次塗工、1回の塗工時に1層の液膜を複数回塗工後に乾燥する、ウェットオンウェット塗工などを行わないことを指す。
この液膜を形成する該塗料組成物は、無機粒子、フッ素処理無機粒子、バインダー原料、溶媒を含むことが好ましい。
本発明における低屈折率層、高屈折率層、帯電防止層の各層の屈折率は、反射分光膜厚計によって、300〜800nmの範囲での反射率を測定し、該装置付属のソフトウェア[FE−Analysis]を用いて測定することが可能である。
Figure 2012083723
ここで、λは波長、C、C、Cは光学定数を表す。
各層の屈折率が測定可能な測定装置として、反射分光膜厚計(FE−3000 大塚電子株式会社製)、高精度屈折率測定装置(Film Teck Scientific Computing International社製)などが挙げられるが、この限りではない。
なお、このような本発明の反射防止部材には、前述の高屈折率層と低屈折率層との間には粒子の配列による明確な界面があることが好ましい。本発明における明確な界面とは、1つの層と他の層とが区別可能な状態をいう。区別可能な界面とは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより判断することができる界面を表し、以下の方法に従い判断することができる。
TEMにより20万倍の倍率で撮影した画像を、ソフトウェア(EeasyAccsess)にて、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整した。さらに2種類の粒子が明確に見分けられるようにコントラストを調節した。このとき1つの層と他の層との界面に明確な境界を引くことができる場合を、明確な界面があるとみなした。
反射防止部材の一つである反射防止フィルムとして良好な性能を示すには、分光測定に置いて最低反射率が好ましくは0%以上1.0%以下、より好ましくは0%以上0.7%以下、さらに好ましくは0%以上0.6%以下であり、特に好ましくは0%以上0.5%以下であることが望ましい。
また、反射防止部材として良好な性質を示すには更に、透明性が高いことが望ましい。透明性が低いと画像表示装置として用いた場合、画像彩度の低下などによる画質低下が生じるために好ましくない。ヘイズは小さいほど透明性が高いことを示す。反射防止部材のヘイズ値としては好ましくは2.0%未満、更に好ましくは1.0%未満であり、値が小さいほど透明性の点で良好であるものの、0%とすることは困難であり、現実的な下限値は0.01%程度と思われる。
反射防止部材の一つである反射防止フィルムとして良好な性質を示すには、該高屈折率層、該低屈折率層の厚みが特定の厚みであることが望ましく、低屈折率層の厚みが好ましくは50nm以上200nm以下、さらに好ましくは70nm以上150nm以下であり、特に好ましくは90nm以上130nm以下であることが望ましい。低屈折率層の厚みが50nm未満であると光の干渉効果が得られず反射防止効果が得られず画像の映り込みが大きくなるために好ましくない。また200nmを超える場合も光の干渉効果が得られなくなるため画像の映り込みが大きくなるために好ましくない。なお、IMフィルムとして良好な性質を示す様態については後述する。
[帯電防止層]
本発明の帯電防止層は、屈折率が1.59〜1.70の層であり、さらに表面抵抗率が1×1012(Ω/□)以下の層を意味する。
該帯電防止層は共役電子伝導タイプの帯電防止剤を含むことが好ましい。そして共役電子伝導タイプの帯電防止剤としては、ポリチオフェン系化合物であることが特に好ましい。
帯電防止層は、表面抵抗率が小さい程、帯電防止性の点で良好であるが、現実的な下限値は、1×10(Ω/□)程度と思われる。
低屈折率層側の表面への埃の付着を防止するためには、低屈折率層側の反射防止部材の表面抵抗率が、1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下であることが重要であり、そのためには帯電防止層の表面抵抗率が、1×1012(Ω/□)以下であることが重要である。帯電防止層の表面抵抗率を1×1012(Ω/□)以下とするためには、帯電防止層中に導電性粒子、または帯電防止剤を含むことが好ましい。
導電性粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化アルミニウム(AZO)、酸化亜鉛−酸化ガリウム(GZO)、酸化インジウム−酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、酸化タングステン等の導電性を有する金属酸化物粒子を用いることができる。帯電防止層を形成する導電性粒子としては、粒子径が1nm以上100nm以下の粒子であることが好ましい。粒径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、ヘイズが上昇し、反射防止部材の可視光透過率が低下する。
一方、粒径が1nm未満の場合、導電性が低下し、反射防止部材の表面抵抗率が大きくなったり、粒子が凝集し、帯電防止層内での粒子の分散が不均一になる等の問題が生じることがある。これらの粒子は、各々単独で用いても、材質やサイズの異なる複数種類を組合せて用いてもよい。
また帯電防止剤としては、公知の化合物を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン型帯電防止剤;アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤;上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体、共役電子伝導タイプの高分子が挙げられる。共役電子伝導タイプの高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば、特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン水、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェン類およびポリアニリン類が好ましい。
その中でも、温湿度依存性が小さく、低湿でも十分な帯電防止性を発現できる点から、共役電子伝導型の導電性高分子を含むことが特に好ましい。このような共役電子伝導型の導電性高分子として、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリフェニレンアセチレン、ポリ(2,5−フェニレン)及びこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物を用いることができる。
共役電子伝導タイプの高分子は無置換のままでも、十分な導電性を得ることができるが、導電性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基などの官能基を共役系導電性高分子に導入することが好ましい。これらの共役電子伝導型高分子は、必要に応じて、熱硬化型、もしくは紫外線といった電離照射線を照射することにより硬化する電離放射硬化型の導電性有機材料を用いることができる。中でも、共役電子伝導型の帯電防止剤である高分子のポリチオフェン及びその誘導体(ポリチオフェン及びその誘導体を総称して、ポリチオフェン系化合物という)を好適に用いることができる。
共役電子伝導型の帯電防止剤を帯電防止層に含むことにより、帯電防止層上に積層する高屈折率層の導電性に左右されることなく、反射防止部材の低反射率層側の表面抵抗率が1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下である反射防止部材を得ることが可能となる。
支持基材、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層、がこの順に積層された本発明の積層構成とすることにより、表層側の低屈折率層、高屈折率層に導電性がない場合(つまり、低屈折率層や高屈折率層が、帯電防止剤や体積抵抗率が1×10以下の無機粒子を含まない場合)でも、帯電防止層が支持基材と高屈折率層の間に中間層として介在するため、低屈折率層側の表面抵抗率を1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下とすることが可能となる。このメカニズムとして以下を推定している。従来の帯電防止剤のような静電気の散逸・分散によるものとは異なり、誘導帯電防止効果に起因するものであり、この帯電防止層が中間層として介在すると、摩擦帯電による電気力線に対して反対方向の電気力線を生じる減極電場が形成され、この反対方向の電気力線によって摩擦帯電による電気力線が打ち消され、低屈折率層外面に電気力線が現れなくなり、静電遮蔽に似た現象となって帯電防止性が発現する。また、帯電防止層の接着機能により高屈折率層と支持基材の間の接着性が向上する。更に帯電防止層は表面に露出しないため、使用時に表面の摩擦等で低屈折率層側の表面抵抗率が劣化することがなく、帯電防止性に優れた反射防止部材を得ることができる。
また本発明における帯電防止層の屈折率は、1.59〜1.70であり、より好ましくは1.61〜1.67であり、さらに好ましくは1.62〜1.65である。この帯電防止層の屈折率を1.59〜1.70とすることにより、支持基材と帯電防止層の界面での反射の抑制、さらには帯電防止層と高屈折率層の界面での反射の抑制が可能となり、その結果虹彩模様の低減が可能となる。
帯電防止層の屈折率の制御方法としては、帯電防止層に含まれる帯電防止剤、または導電性粒子の添加量の調整によって可能である。帯電防止層中に含有される帯電防止剤、または導電性粒子は一般に高屈折率材料であるため、これらの添加量を増やすことで高屈折率化が可能となり、帯電防止層の屈折率を1.59〜1.70と制御することができる。
また、本発明の帯電防止層の厚みは、5〜200nmの範囲内が好ましく、より好ましくは10〜150nm、更に好ましくは20〜100nmの範囲内である。帯電防止層の厚みが厚すぎると、帯電防止層に含まれる帯電防止剤がヘイズを悪化、また虹彩模様を悪化させる可能性があり、逆に薄すぎると高屈折率層との接着性の低下、虹彩模様が悪化する可能性があるため好ましくない。
次に、本発明の帯電防止層の製造法を、支持基材としてポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)フィルムを例にして説明するが、これに限定されるものではない。
極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化させ未延伸PETフィルムを作製した。この未延伸フィルムを70〜100℃に加熱させたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面に空気中でコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明の帯電防止層を形成する水系塗剤を塗布する。この塗布されたフィルムをクリップで把持して乾燥ゾーンに導き、基材ポリエステル樹脂のTg未満の温度で乾燥した後、引き続き連続的に70〜150℃の加熱ゾーンで幅方向に2.5〜5倍延伸し、続いて200℃〜240℃の加熱ゾーンで5〜40秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した帯電防止層を有するPETフィルムを作製する。この熱処理中に必要に応じて3〜12%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、3〜300μmが好ましく用いられる。この場合に用いる塗剤は環境汚染や防爆性の観点から水系塗剤が好ましい。
[高屈折率層]
本発明における高屈折率層とは、無機粒子及びバインダーから構成される層を意味する。なお、高屈折率層が含有する前記無機粒子の体積抵抗率は、1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であることが重要である。ここで、本発明における無機粒子とは、特に断りのない限りフッ素化合物Aにより表面処理がされていない無機粒子をさし、フッ素化合物Aにより表面処理された無機粒子をフッ素処理無機粒子(無機粒子がシリカ粒子の場合は、フッ素処理シリカ粒子)と呼ぶ(フッ素処理無機粒子は後述。)。なおフッ素処理無機粒子の体積抵抗率は、1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下が好ましく。より好ましくは1×1014(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であり、更に好ましくは1×1015(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下である。
本発明の高屈折率層に含まれる無機粒子は、体積抵抗率が1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であることが重要である。より好ましくは1×1014(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であり、更に好ましくは1×1015(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下である。
高屈折率層中に含まれる無機粒子の種類数は特に限定されないが、分散性の観点から1種類以上5種類以下含む態様であり、特に好ましくは1種類含む態様である。ここで粒子の種類とは、粒子を構成する元素の種類によって決まる。例えば、酸化チタン(TiO)と酸化チタンの酸素の一部をアニオンである窒素で置換した窒素ドープ酸化チタン(TiO2−x)とでは、粒子を構成する元素が異なるために、異なる種類の粒子である。また、同一の元素、例えばZn、Oのみからなる粒子(ZnO)であれば、その粒径が異なる粒子が複数存在しても、またZnとOとの組成比が異なっていても、これらは同一種類の粒子である。また酸化数の異なるZn粒子が複数存在しても、粒子を構成する元素が同一である限りは(この例ではZn以外の元素が全て同一である限りは)、これらは同一種類の粒子である。
体積抵抗率が1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下の無機粒子として、Zr,Ti,Al,In,Zn,Sb,Sn,およびCeよりなる群から選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物粒子であることがさらに好ましい。また高屈折率層構成成分として好適に用いられる粒子としては、シリカ粒子よりも屈折率が高い粒子が好ましい。具体的には、二酸化チタン、二酸化セレン、二酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化アルミニウムなどから選ばれる少なくとも一つの無機化合物が好ましい。高屈折率層を構成する無機粒子としては、無機粒子の体積抵抗率を1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下に制御しやすい点から、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの無機粒子であることが体積抵抗率、屈折率の点から特に好ましい。
このとき、高屈折率層に含まれる粒子の数平均粒子径が25nm以下、より好ましくは20nm以下であることが好ましい。この高屈折率層に存在する粒子の数平均粒子径を25nm以下とすることにより、低屈折率層と高屈折率層間の界面構造について、1.10<B/A<1.45を満たした構造の形成が容易になる。また、高屈折率層に存在する粒子の数平均粒子径は、小さい分には問題ないが、現実的には数nmが下限となる。ここで、本発明における数平均粒子径とは、数平均径とも呼ばれ、数式2で表される平均粒子径である。
Figure 2012083723
数式2で、dpは粒子径、nはその頻度を表す。測定方法は後述する。
通常の高屈折率層の屈折率は1.48〜1.52程度であるが、上記無機粒子を用いることにより本発明における高屈折率層の屈折率を1.59〜1.75とすることが可能となる。高屈折率層の屈折率を1.59〜1.75とすることにより、帯電防止層の屈折率に適合することができるため、帯電防止層と高屈折率層の界面での反射を抑制することができ、その結果反射防止部材の反射率を更に向上させ、虹彩模様を更に低減できるため好ましい。
そして本発明の反射防止部材の製造に用いる塗料組成物は、高屈折率層構成成分と、更には低屈折層構成成分とが混合されており、これにより該塗料組成物を1回のみ塗工する工程と乾燥する工程によって、高屈折率層、低屈折率層、といった屈折率の異なる2層からなる反射防止層を有する反射防止部材を得ることができる。本発明の反射防止部材の製造に用いる塗料組成物における、低屈折率層構成成分及び高屈折率層構成成分は、異なる種類の粒子で各々構成されることが好ましい。
ここで、本発明において、塗料組成物中に含まれるバインダーを「バインダー原料」、反射防止部材の反射防止層中に含まれるバインダーを単に「バインダー」と表すが、バインダーとしては、バインダー原料がそのままバインダーとして存在する場合もある(つまり、塗料組成物中のバインダー原料がそのままの形で反射防止層中のバインダーとして存在する様態も含む。)
バインダー原料としては特に限定するものではないが、製造性の観点より、熱及び/または活性エネルギー線などにより、硬化可能なバインダー原料であることが好ましく、バインダー原料は一種類であっても良いし、二種類以上を混合して用いてもよい。また、前記無機粒子を膜中に保持する観点より、分子中に反応性二重結合を有しているバインダー原料であることが好ましい。また紫外線により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度が出来るだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下で硬化する方がより好ましい。この様なバインダー原料として、成分中に多官能アクリレートを用いるのが好ましく、代表的なものを以下に例示する。1分子中に、3(より好ましくは4または5)個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレート及びその変性ポリマー、具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサンメチレンジイソシアネートウレタンポリマーなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、市販されている多官能アクリル系組成物としては三菱レイヨン株式会社;(商品名”ダイヤビーム”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名”デナコール”シリーズなど)、新中村化学株式会社;(商品名”NKエステル”シリーズなど)、DIC株式会社;(商品名”UNIDIC”など)、東亞合成化学工業株式会社;(”アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(”ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名”KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名”ライトエステル”シリーズなど)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
本発明において、高屈折率層の厚みは、帯電防止層や高屈折率層の屈折率などにより適切に調節設計されるべきものであるが、反射防止フィルムとして使用する場合には、表面硬度、干渉縞、生産性の観点から500nm以上4000nm以下が好ましく、より好ましくは600nm以上2000nm以下であることが好ましい。高屈折率層の厚みを500nm以上4000nm以下とすることにより、耐擦傷性を付与することが可能となる。高屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。なお、IMフィルムとして使用する場合については後述する。
[低屈折率層]
本発明の低屈折率層は、前記高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む層である。なお、本発明における低屈折率層とは、屈折率が1.30〜1.45の層であることが好ましい。
本発明の低屈折率層は、フッ素処理無機粒子を含むことが重要である。本発明におけるフッ素処理無機粒子とは、高屈折率層に含まれる無機粒子とは異なる無機粒子であり、フッ素化合物Aにより表面処理された無機粒子(以後、フッ素処理無機粒子と呼ぶ。)である。このフッ素処理無機粒子が低屈折率層構成成分として好適である。(フッ素化合物Aについては後述。)このフッ素処理無機粒子を製造する際に好適な無機粒子(フッ素化合物Aにより処理される前の無機粒子)としては、Si,Na,K,Ca,およびMgから選択される元素を含む無機粒子が好ましく挙げられ、さらに好ましくは、シリカ粒子(SiO)、アルカリ金属フッ化物(NaF,KFなど)、およびアルカリ土類金属フッ化物(CaF、MgFなど)から選ばれる化合物を含む無機粒子であり、耐久性、屈折率などの点からシリカ粒子が特に好ましい。なお、フッ素化合物Aにより表面処理されたシリカ粒子は、以後フッ素処理シリカ粒子とよぶ。
フッ素処理無機粒子の構成材料である粒子の、表面処理される前の形状は特に限定されるものではないが、反射防止層の屈折率の観点から、球状、より好ましくは、フッ素処理無機粒子の構成材料である粒子がシリカ粒子であり、該シリカ粒子が中空及び/又は多孔質の形状であることが好ましい(中空シリカ粒子とは、粒子の内部に空洞を有するシリカ粒子であり、多孔質シリカ粒子とは、粒子の表面及び内部に細孔を有するシリカ粒子である。)。
また、中空及び/又は多孔質の形状であるシリカ粒子などの無機粒子を用いることにより、得られる反射防止層の密度を下げる、低屈折率層を好適に形成することとなるために好ましい。なお、中空及び/又は多孔質を有するシリカ粒子のことを、以下中空粒子と記載する。
続いて、低屈折率層に好適なフッ素処理無機粒子の構成材料である粒子の数平均粒子径について説明する。粒子の数平均粒子径(表面処理される前の粒子の数平均粒子径)が200nmよりも大きくなると、光散乱により良好な透明性が得られなくなり好ましくない。また、粒子径が小さい分には特に影響はないが、現実的に安定して得られる粒子の数平均粒子径は1〜5nm程度が下限である。
本発明の反射防止部材の製造に用いる塗料組成物中の、フッ素化合物Aにより表面処理される無機粒子は、数平均粒子径(表面処理される前の数平均粒子径)は、30nm以上200nm以下が好ましく、40nm以上150nm以下がより好ましい。低屈折率層に存在する粒子の数平均粒子径を30nm以上にすることにより、界面構造を1.10<B/A<1.45の範囲に制御しやすくなり、また200nm以下にすることにより、高い透明性を保つことが可能となる。
フッ素処理無機粒子は、高屈折率層と低屈折率層の塗膜形成時に、好適に空気側(最表層)へ移動して、低屈折率層を形成することができるため、低屈折率層に用いられる無機粒子は、フッ素化合物Aによる表面処理がされたフッ素処理無機粒子であることが重要である。
また、フッ素化合物Aによる表面処理を施した無機粒子としては、中空シリカ粒子などのシリカ粒子であることが、つまりフッ素処理無機粒子としては、フッ素処理中空シリカ粒子であることが特に好ましい。
中空シリカなどの粒子に対するフッ素化合物Aによる表面処理工程は、一段階で行われても良いし、多段階で行われても良い。また、複数の段階でフッ素化合物Aを用いても良いし、一つの段階のみでフッ素化合物Aを用いても良い。また中空シリカなどの粒子の表面処理工程にて好ましく用いられるフッ素化合物Aは、単一化合物でも良いし複数の異なる化合物を用いても良い。
フッ素化合物Aによる表面処理とは、中空シリカ粒子などの粒子を化学的に修飾し、中空シリカ粒子などの粒子にフッ素化合物Aを導入する工程をさす。
中空シリカ粒子などの粒子に直接フッ素化合物Aを導入する方法としては、1分子中にフッ素セグメントとシリルエーテル基(シリルエーテル基が加水分解されたシラノール基を含む)との両方を持つフルオロアルコキシシラン化合物を少なくとも1種類以上と開始剤とを共に撹拌することにより成される方法がある。しかし中空シリカ粒子などの無機粒子に直接フッ素化合物Aを導入する場合、反応性の制御が困難になったり塗料組成物の塗工時に塗工斑等が発生しやすくなったりする場合がある。
また中空シリカ粒子などの粒子を化学的に修飾して、中空シリカ粒子などの粒子にフルオロアルキル基Rf2を導入する更なる方法としては、中空シリカ粒子などの粒子を架橋成分にて処理し、フッ素化合物Aとつなぎ合わせる方法がある。官能基を有したフッ素化合物Aとしては、フルオロアルキルアルコール、フルオロアルキルエポキシド、フルオロアルキルハライド、フルオロアルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、フルオロアルキルカルボキシレート(酸無水物及びエステル類を含む)、などを用いることができる。
架橋成分としては、分子内にフッ素は無いが、フッ素化合物Aと反応可能な部位と、中空シリカ粒子などの粒子と反応可能な部位を少なくとも一カ所ずつ持っている化合物を指し、中空シリカ粒子などの粒子と反応可能な部位としては反応性の観点からシリルエーテル及びシリルエーテルの加水分解物であることが好ましい。これら化合物は一般的にシランカップリング剤と呼ばれ、例としては、グリシドキシアルコキシシラン類、アミノアルコキシシラン類、アクリロイルシラン類、メタクリロイルシラン類、ビニルシラン類、メルカプトシラン類、などを用いることができる。
本発明の低屈折率層に含まれるフッ素処理無機粒子のより好ましい形態は、シリカ粒子(特に中空シリカ粒子)を下記一般式(I)で示される化合物で処理し、更に下記一般式(II)で示されるフッ素化合物Aで処理した粒子である。
B−R−SiR (OR3−n 一般式(I)
C−R−R 一般式(II)
(上記一般式中のB、Cは反応性部位を示し、R、Rは炭素数1から3のアルキレン基及びそれらから導出されるエステル構造を示し、R、Rは水素又は炭素数が1から4のアルキル基を示し、Rはフルオロアルキル基を示し、nは0から2の整数を示し、それぞれ側鎖を構造中に持っても良い。)
本発明における反応性部位とは前述の通りである。
一般式(I)の具体例としては、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びこれら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基及び水酸基に置換された化合物を含むものなどが挙げられる。
一般式(II)の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。分子中にフルオロアルキル基Rを有さない一般式(I)で表される化合物を用いることにより、簡便な反応条件で、シリカ粒子表面に反応性を制御しやすい官能基を導入することが可能となり、その結果、反応性部位及びフルオロアルキル基Rを有するフッ素化合物Aをシリカ粒子表面で反応させることが可能になる。
ここで、前述したシリカ粒子及び一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物は、本発明で用いられる塗料組成物中では、シリカ粒子を一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物により表面処理した縮合体および/または重合体として存在していることが、低屈折率層を好適に形成可能であるため好ましい。
[塗料組成物]
本発明の反射防止部材の形成に好適に用いられる塗料組成物は、高屈折率層に含まれることとなる体積低効率が1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下の無機粒子と低屈折率層に含まれることとなるフッ素処理無機粒子の計2種類以上の無機粒子を含む塗料組成物であることが好ましく、該塗料組成物の粘度変化(Δη)が、0.1〜10mPa・sであることが好ましい。
塗料組成物は、帯電防止層を設けた支持基材の少なくとも片面上に1回のみ塗布することにより、高屈折率層と低屈折率層の2層を形成することが可能であり、それにより反射防止部材が反射防止フィルムとして用いられる場合には、反射防止性が良好となり、反射防止部材がIMフィルムとして用いられる場合には、導電性フィルムのパターニング形状を目立ちにくくして視認性に優れる反射防止部材を形成することができる。そして本発明の好ましい様態によれば、塗料組成物を支持基材上の帯電防止層上に1回のみ塗布することにより、帯電防止層上に高屈折率層と低屈折率層を形成することができ、それにより優れた透明性、高温高湿下における接着性、帯電防止性、反射防止性、視認性、虹彩模様の低減に優れた反射防止部材を得ることができる。なお塗料組成物を1回のみ塗布するとは、支持基材に対して1種類の塗料組成物を1回だけ塗布することによって、1層の液膜を形成することを指すものとする。
[塗料組成物の粘度]
塗料組成物は、その粘度変化(Δη)が0.1mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましい。粘度範囲を上記範囲とすることにより、支持基材の帯電防止層上に該塗料組成物を用いて1回のみ塗布・乾燥させる過程において、有機溶媒の揮発に伴い固形分濃度が上昇するが、フッ素処理無機粒子同士の粒子相互作用の抑制、該粒子同士の凝集体形成が抑制でき、フッ素処理無機粒子の空気側(最表面)への移動性が容易となり、高屈折率層と低屈折率層の2層が得られ良好な反射防止性を有する反射防止フィルム、導電性フィルムのパターニング形状を目立ちにくくして視認性に優れるIMフィルムなどの反射防止部材を得ることができる。
ここで、該塗料組成物の粘度変化(Δη)とは、せん断速度0.1s−1における粘度η1とせん断速度10s−1における粘度ηの粘度の差(η−η)である。なお、せん断速度0.1s−1における粘度ηとせん断速度10s−1における粘度ηは、一般的な回転レオメーターを用いて測定することができる。
塗料組成物の粘度変化(Δη)を0.1mPa・s以上10mPa・s以下とするためには、塗料組成物中の2種類以上の無機粒子における少なくとも1種類の無機粒子が前述のフッ素処理無機粒子であることが好ましく、さらにフッ素処理無機粒子に用いられたフッ素化合物Aとは別に、フルオロアルキル基及び反応性部位を有し数平均分子量が300以上4000以下である後述のフッ素化合物Bを含む塗料組成物とすることによっても達成でき、さらにバインダー原料として1分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレートを有する塗料組成物とする方法も好ましい。
〔フッ素化合物B〕
前述のように本発明の反射防止部材の反射防止層は、フルオロアルキル基及び反応性部位を有し、数平均分子量が300以上4000以下であるフッ素化合物Bに由来する成分を含むことが好ましい。
そのため本発明の反射防止部材を形成するのに好適な塗料組成物は、前述の2種類以上の無機粒子に加えて、フッ素化合物Bを含むことが好ましい。塗料組成物がフッ素化合物Bを含むことで、得られる反射防止層にはフッ素化合物Bに由来する成分を含むことが可能となり、その結果、1.10<B/A<1.45を有する構造とし、さらに高屈折率層の厚みを500nm以上4000nm以下に制御することが可能となる。
なお、本発明でいうフルオロアルキル基とは、アルキル基が持つ全ての水素がフッ素に置き換わった置換基であり、フッ素原子と炭素原子のみから構成される置換基である。
フッ素化合物B中のフルオロアルキル基の数は必ずしも一つである必要はなく、フッ素化合物Bは複数のフルオロアルキル基を有してもよい。またフッ素化合物Bが有するフルオロアルキル基は、炭素数4〜7の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基Rf2であることが好ましい。フルオロアルキル基Rf2は、塗料組成物の乾燥時のフッ素処理無機粒子同士の粒子間相互作用の抑制の点から炭素数5以上7以下が好ましく、さらに好ましくは炭素数6以上である。また分岐状に比べ直鎖状が立体障害が小さく、フッ素処理無機粒子に吸着し易い点から直鎖状が好ましい。フルオロアルキル基を、炭素数4〜7の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基Rf2とすることにより、粒子の分離性が良化し、屈折率の異なる2層の自発的な層形成が容易になり、反射防止性、視認性が良化するため好ましい。
また、反応性部位は前述の通りであり、本発明におけるフッ素化合物B中の反応性部位とは、一般式(B)においてはA、一般式(A)においてはアクリル基(HC=C(R)−)である。フッ素化合物B中の反応性部位の数は、一つである必要はなく、複数の反応性部位を有してもよい。特に反応性、ハンドリング性の観点から、アルコキシシリル基あるいはシラノール基や、アクリロイル(メタクリロイル)基が好ましい。
フッ素化合物Bの数平均分子量は、300以上4000以下であることが好ましい。塗料組成物が、数平均分子量が300以上4000以下のフッ素化合物Bを含む場合は、フッ素化合物Bの親和力により、フッ素化合物Bがフッ素処理無機粒子表面に吸着し、フッ素処理無機粒子同士の粒子間相互作用、または凝集体の形成を抑制し、その結果塗料組成物の乾燥時の流動性の低下を防止し、高屈折率層と低屈折率層の2層の自発的な形成が容易となり、良好な反射防止性、視認性を発現することが可能となるため、数平均分子量が300以上4000以下のフッ素化合物Bを含むことが好ましい。
また本発明におけるフッ素化合物Bは、以下の一般式(A)のモノマー、一般式(B)のモノマー、一般式(A)のモノマーに由来するオリゴマー、及び一般式(B)のモノマーに由来するオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることがより好ましい。
C=C(R)−COO−R−Rf2 ・・・一般式(A)
A−R−Rf2 ・・・一般式(B)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rf1は炭素数4〜7の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Aは反応性部位である。)
なおフッ素化合物Bは、フルオロアルキル基および反応性部位を有するが、一般式(A)のモノマーや一般式(A)のモノマーに由来するオリゴマーについては、Rf2がフルオロアルキル基であり、HC=C(R)−が反応性部位である。また、一般式(B)のモノマーや一般式(B)のモノマーに由来するオリゴマーについては、Rf2がフルオロアルキル基であり、Aが反応性部位である。
一般式(A)のモノマーの化合物の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。
また一般式(A)のモノマーに由来するオリゴマーの化合物としては、上記一般式(A)のモノマーを用いて、ラジカル重合などの反応により得られる、平均重合度2〜10程度の化合物が例示される。
一般式(B)のモノマーの化合物としては、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(TSL8233、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(TSL8257、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などをはじめとしたフルオロアルキル基を有するフルオロアルキルシランが例示される。また一般式(B)のモノマーに由来するオリゴマーの化合物は、上述のフルオロアルキルシランに所定量の水を加え酸触媒の存在下にて副生するアルコールを留去しながら反応させることにより得られる化合物である。この反応により、フルオロアルキルシランの一部が加水分解し、更にこれらが縮合反応を起こしオリゴマーが得られる。加水分解率は使用する水の量によって調節することができる。加水分解に用いる水の量は、通常シランカップリング剤に対して1.5モル倍以上である。さらに得られるオリゴマーの平均重合度は2〜10の化合物であることが好ましい。上記のような好ましいフッ素化合物Bとして、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどが例示される。
[IMフィルム]
反射防止フィルムの好ましい様態については、前述の通りである。本発明の反射防止部材の一つであるIMフィルムについて好ましい様態を述べる。
本発明における反射防止部材とは、反射防止フィルム、またはIMフィルムを表す。また本発明の反射防止部材とは、支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層と、無機粒子およびバインダーから構成される高屈折率層と、該高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層とを、この順に設けた部材をさすが、反射防止部材をIMフィルムとして用いる場合は、帯電防止層と、高屈折率層の間にハードコート層を設けてもよい。
反射防止部材の一つであるIMフィルムとして良好な性質を示すには、該高屈折率層、該低屈折率層の厚みが特定の厚みであることが望ましく、低屈折率層の厚みが好ましくは10nm以上200nm以下、さらに好ましくは、10nm以上100nm以下であり、特に好ましくは10nm以上50nmであることが望ましい。
また高屈折率層の厚みが好ましくは10nm以上200nm以下、さらに好ましくは、10nm以上100nm以下であり、特に好ましくは10nm以上50nm以下であることが望ましい。
低屈折率層の厚みが10nm未満、あるいは200nmを超える、もしくは高屈折率層の厚みが10nm未満、あるいは200nmを超えると、IM(屈折率調整)層としての機能が不十分となり、透明導電層のパターニングの形状が目立ち、視認性が不十分となる。
ハードコート層を設ける場合のハードコート層の厚みは、帯電防止層や高屈折率層の屈折率などにより適切に調節設計されるべきものであるが、表面硬度、干渉縞、生産性に観点から500nm以上4000nm以下が好ましく、より好ましくは800nm以上3000nm以下、特に好ましくは1000nm以上2000nm以下であることが望ましい。ハードコート層の厚みを500nm以上4000nm以下とすることにより、耐擦傷性を付与することが可能となる。高屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[ハードコート層構成成分1の調整]
下記材料を混合しハードコート層構成成分1を得た。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 30質量部
イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製) 1.5質量部
メチルイソブチルケトン 68.5質量部
[ハードコート層構成成分2の調整]
下記材料を混合しハードコート層構成成分2を得た。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 30質量部
コロイダルシリカ粒子分散物 5質量部
(ELCOM TO−1024SIV 日揮触媒化成株式会社)
イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製) 1.5質量部
メチルイソブチルケトン 63.5質量部
[高屈折率層層構成成分(A−8)の調整]
下記材料を混合し、高屈折率層構成成分(A−8)を得た。
二酸化チタン粒子分散物 72質量部
(ELCOM 日揮触媒化成株式会社製: 固形分30質量%、数平均粒子径 8nm)
バインダー原料A 18質量部
(EBCRYL8210: ダイセルサイテック株式会社 固形分100質量%)
2−プロパノール 1質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 9質量部
[高屈折率層構成成分(A−15)の調整]
前記、高屈折率層構成成分(A−8)に対し、二酸化チタン粒子分散物を下記、二酸化ジルコニウム粒子分散物に変えた以外は同様にして、高屈折率層構成成分(A−15)を得た。
二酸化ジルコニウム粒子分散物
(ELCOM 日揮触媒化成株式会社製:固形分30質量%、数平均粒子径 15nm)
[高屈折率層構成成分(A−25)の調整]
前記、高屈折率層構成成分(A−8)に対し、二酸化チタン粒子分散物を下記、酸化アルミニウム粒子分散物に変えた以外は同様にして、高屈折率層構成成分(A−25)を得た。
酸化アルミニウム粒子分散物
(NaNoTek CIKナノテック株式会社製:固形分30質量%、数平均粒子径 5nm)
[高屈折率層構成成分(B−8)の調整]
前記、高屈折率層構成成分(A−8)に対し、バインダー原料Aを下記材料に変えた以外は同様にして、高屈折率層構成成分(B−8)を得た。
バインダー原料B
(EBCRYL4858: ダイセルサイテック株式会社 固形分100質量%)
[高屈折率層構成成分(B−15)の調整]
前記、高屈折率層構成成分(A−15)に対し、バインダー原料Aを下記材料に変えた以外は同様にして、高屈折率層構成成分(B−15)を得た。
バインダー原料B
(EBCRYL4858: ダイセルサイテック株式会社 固形分100質量%)
[高屈折率層構成成分(X)の調整]
下記材料を混合し、高屈折率層構成成分(X)を得た。
オプスターTU4005 (JSR株式会社) 1.0質量部
2−プロパノール 1.0質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 0.11質量部
[高屈折率層構成成分(1)の調整]
下記材料を混合し、第2層構成成分(1)を得た。
二酸化チタン粒子分散物 8.2質量部
(ELCOM 日揮触媒化成株式会社製: 固形分30質量%、数平均粒子径8nm)
バインダー原料 1.1質量部
(PET−30: 日本化薬株式会社製 固形分100質量%)
2−プロパノール 90.7質量部
[高屈折率層構成成分(2)の調整]
下記材料を混合し、第2層構成成分(2)を得た。
酸化ジルコニウム粒子分散物 8.2質量部
(株式会社ソーラー製 固形分30質量%、数平均粒子径15nm)
バインダー原料 1.1質量部
(PET−30: 日本化薬株式会社製 固形分100質量%)
2−プロパノール 90.7質量部
[低屈折率層構成成分の調整]
[低屈折率層構成成分(a)の調整]
中空シリカであるスルーリア(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:固形分濃度20質量%、数平均粒子径 60nm)15gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.37gと10質量%蟻酸水溶液0.17gを混合し、70℃にて1時間撹拌した。ついで、HC=CH−COO−CH−(CFF 1.38g及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.057gを加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを加え希釈し、固形分14質量%の低屈折率層構成成分(a)とした。
[低屈折率層構成成分(b)の調整]
前記、低屈折率層構成成分(a)に対し、中空シリカをスルーリア(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:固形分濃度20質量%、数平均粒子径 40nm)に変えた以外は同様にして、低屈折率層構成成分(b)を得た
[低屈折率層構成成分(c)の調整]
前記、低屈折率層構成成分(a)に対し、中空シリカをオスカル(日揮触媒化成株式会社製コロイダルシリカ:固形分濃度20質量%、数平均粒子径 120nm)に変えた以外は同様にして、低屈折率層構成成分(c)を得た。
[低屈折率層構成成分(d)の調整]
中空シリカであるスルーリア(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:固形分濃度20質量%、数平均粒子径 60nm)15gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.37gと10質量%蟻酸水溶液0.17gを混合し、70℃にて1時間撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを加え希釈し、固形分14質量%の低屈折率層構成成分(d)とした。
[低屈折率層構成成分(1)の調整]
IPA分散コロイダルシリカ(扶桑化学製コロイダルシリカゾル:固形分濃度30質量%、数平均粒子径18nm)15gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.37gと10質量%蟻酸水溶液0.17gを混合し、70℃にて1時間攪拌した。ついで、HC=CH−COO−CH−(CFF1.38g及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.057gを加えた後、60分間90℃にて加熱攪拌した。その後、イソプロピルアルコールを加え希釈し、固形分3.5質量%の低屈折率層構成成分(1)とした。
[低屈折率層構成成分(2)の調整]
前記低屈折率層構成成分(1)に対し、IPA分散コロイダルシリカを中空シリカ(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:固形分濃度20質量%、数平均粒子径40nm)に変えた以外は同様にして、低屈折率層構成成分(2)を得た。
[低屈折率層構成成分(3)の調整]
前記低屈折率層構成成分(1)に対し、IPA分散コロイダルシリカを中空シリカ(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:固形分濃度20質量%、数平均粒子径60nm)に変えた以外は同様にして、低屈折率層構成成分(3)を得た。
[低屈折率層構成成分(4)の調整]
前記低屈折率層構成成分(1)に対し、IPA分散コロイダルシリカの種類(日産化学工業株式会社製 コロイダルシリカIPA−ST:固形分濃度30質量%、数平均粒子径 15nm)に変えた以外は同様にして、低屈折率層構成成分(4)を得た。
[低屈折率層構成成分(5)の調整]
前記低屈折率層構成成分(1)に対し、IPA分散コロイダルシリカをフッ化マグネシウム分散物(CIKナノテック株式会社製:固形分濃度20質量%、数平均粒子径20nm)に変えた以外は同様にして、低屈折率層構成成分(5)を得た。
[低屈折率層構成成分(6)の調整]
IPA分散コロイダルシリカ(扶桑化学製コロイダルシリカゾル:固形分濃度30質量%、数平均粒子径18nm)15gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.37gと10質量%蟻酸水溶液0.17gを混合し、70℃にて1時間攪拌した。次いで90℃にて1時間加熱攪拌した。その後イソプロピルアルコールを加え希釈し、固形分3.5質量%の低屈折率層構成成分(6)とした。
[塗料組成物1]
下記材料を混合し塗料組成物1を得た。
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
高屈折率層構成成分(A−8) 29質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.36質量部
フッ素化合物B−1 7.6質量部
(HC=CH−COO−CH−(CFF 数平均分子量:518 )
2−プロパノール 57質量部
なお前述の通り、フッ素化合物Bの数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒にし、分子量既知の単分散ポリスチレンを標準物質として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GC−2010 株式会社島津製作所)により測定し求めた。
[塗料組成物2]
塗料組成物1に対し、高屈折率層構成成分(A−8)を高屈折率層構成成分(A−15)に置き換えた以外は同様にして、塗料組成物2を得た。
[塗料組成物3]
塗料組成物1に対し、低屈折率層構成成分(a)を低屈折率層構成成分(b)に、高屈折率層構成成分(A−8)を高屈折率層構成成分(B−15)に、置き換えた以外は同様にして、塗料組成物3を得た。
[塗料組成物4]
塗料組成物3に対し、高屈折率層構成成分(B−15)を 高屈折率層構成成分(B−8)に置き換えた以外は同様にして、塗料組成物4を得た。
[塗料組成物5]
下記材料を混合し、塗料組成物5を得た。
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
高屈折率層構成成分(B−8) 18質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.22質量部
フッ素化合物B−1 4.8質量部
(HC=CH−COO−CH−(CFF 数平均分子量:518 )
2−プロパノール 70.3質量部
[塗料組成物6]
下記材料を混合し、塗料組成物6を得た。
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
高屈折率層構成成分(A−8) 14質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.18質量部
フッ素化合物B−1 3.8質量部
(HC=CH−COO−CH−(CFF 数平均分子量:518 )
2−プロパノール 7.5質量部
[塗料組成物7]
下記材料を混合し、塗料組成物7を得た。
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
高屈折率層構成成分(A−8) 49.8質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.63質量部
フッ素化合物B−1 13.1質量部
(HC=CH−COO−CH−(CFF 数平均分子量:518 )
2−プロパノール 3.00質量部
[塗料組成物8]
下記材料を混合し、塗料組成物8を得た。
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
高屈折率層構成成分(A−15) 75質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.95質量部
フッ素化合物B−1 13質量部
(HC=CH−COO−CH−(CFF 数平均分子量:518 )
2−プロパノール 5質量部
[塗料組成物9]
塗料組成物1に対し、高屈折率層構成成分(A−8)を高屈折率層構成成分(A−25)に置き換えた以外は同様にして、塗料組成物9を得た。
[塗料組成物10]
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
高屈折率層構成成分(B−8) 35質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.95質量部
フッ素化合物B−1 13質量部
(HC=CH−COO−CH−(CFF 数平均分子量:518 )
2−プロパノール 5質量部
[塗料組成物11]
下記材料を混合し塗料組成物11(低屈折率層塗料組成物)を得た。
低屈折率層構成成分(a) 7.1質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.10質量部
バインダー原料A 18質量部
(EBCRYL8210: ダイセルサイテック株式会社 固形分100質量%)
2−プロパノール 65質量部
[塗料組成物12]
下記材料を混合し塗料組成物12(高屈折率層塗料組成物)を得た。
高屈折率層構成成分(A−25) 29質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.36質量部
2−プロパノール 65質量部
[塗料組成物13]
下記材料を混合し塗料組成物13(高屈折率層塗料組成物)を得た。
高屈折率層構成成分(A−8) 29質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.36質量部
2−プロパノール 65質量部
[塗料組成物14]
下記材料を混合し、塗料組成物14(ハードコート塗料組成物)を得た。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 30.0質量部
イルガキュア907(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 1.5質量部
メチルイソブチルケトン 73.5質量部
[塗料組成物15]
下記材料を混合し塗料組成物15を得た。
低屈折率層構成成分(a) 13質量部
高屈折率層構成成分(x) 9質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.90質量部
2−プロパノール 77.9質量部
[塗料組成物16]
塗料組成物3に対し、低屈折率層構成成分(b)を 低屈折率層構成成分(c)に置き換えた以外は同様にして、塗料組成物16を得た
[塗料組成物17]
塗料組成物1に対し、高屈折率層構成成分(a)を 高屈折率層構成成分(d)に置き換えた以外は同様にして、塗料組成物17を得た。
[塗料組成物18]
下記材料を混合し塗料組成物18を得た。
低屈折率層構成成分(1) 13質量部
高屈折率層構成成分(1) 30質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.7質量部
2−プロパノール 46.3質量部
[塗料組成物19]
塗料組成物18に対し、高屈折率層構成成分(1)を高屈折率層構成成分(2)に変えた以外は同様にして、塗料組成物19を得た。
[塗料組成物20]
下記材料を混合し塗料組成物20を得た。
低屈折率層構成成分(2) 20質量部
高屈折率層構成成分(1) 30質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.7質量部
2−プロパノール 39.3質量部
[塗料組成物21]
下記材料を混合し塗料組成物21を得た。
低屈折率層構成成分(3) 30質量部
高屈折率層構成成分(1) 30質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.7質量部
2−プロパノール 29.3質量部
[塗料組成物22]
塗料組成物18に対し、低屈折率層構成成分(1)を低屈折率層構成成分(4)に変えた以外は同様にして、塗料組成物22を得た。
[塗料組成物23]
下記材料を混合し塗料組成物23を得た。
低屈折率層構成成分(2) 20質量部
高屈折率層構成成分(2) 30質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.7質量部
2−プロパノール 37.3質量部
[塗料組成物24]
下記材料を混合し塗料組成物24を得た。
低屈折率層構成成分(5) 17質量部
高屈折率層構成成分(1) 30質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.7質量部
2−プロパノール 42.3質量部
[塗料組成物25]
下記材料を混合し塗料組成物25を得た。
低屈折率層構成成分(6) 13質量部
高屈折率層構成成分(1) 30質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 0.7質量部
2−プロパノール 46.3質量部
[帯電防止層の作製方法]
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015質量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005質量%含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させた。この未延伸フィルムを92℃に加熱して長手方向に3.3倍に延伸し、一軸延伸フィルムとした。
このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施した。ここでコロナ放電処理を施した面の基材フィルムの濡れ張力は55mN/mであった。そして、コロナ放電処理面に帯電防止塗料1〜10を塗布し、次に塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に90℃の加熱ゾーンで幅方向に4.0倍延伸し、更に、225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、その結果ポリエステルの結晶配向が完了した帯電防止フィルムを得た。
このとき、基材となるポリエステルフィルムの厚みが38μm、帯電防止層からなる膜の厚みが0.05μmであった。
[帯電防止層1]
ポリチオフェン系化合物であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、酸性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸とからなる水性塗料(H.C.Starck製“Baytron”P)(塗剤A1)と、糖アルコールとして、D−ソルビトール水溶液(ナカライテスク(株)製)(塗剤B1)とを固形分質量比でA1/B1=20/80で混合した帯電防止塗料1を用い、帯電防止層の作製方法に基づき帯電防止層1を作製した。このとき、帯電防止性塗料の濃度は1.0%であった。
[帯電防止層2]
A1/B1の比率がA1/B1=15/85である帯電防止塗料2を用いた以外は帯電防止層1と同様にして帯電防止層2を作製した。
[帯電防止層3]
A1/B1の比率がA1/B1=22/78である帯電防止塗料3を用いた以外は帯電防止層1と同様にして帯電防止層3を作製した。
[帯電防止層4]
A1/B1の比率がA1/B1=23/77である帯電防止塗料4を用いた以外は帯電防止層1と同様にして帯電防止層4を作製した。
[帯電防止層5]
A1/B1の比率がA1/B1=25/75である帯電防止塗料5を用いた以外は帯電防止層1と同様にして帯電防止層5を作製した。
[帯電防止層6]
A1/B1の比率がA1/B1=22/78である帯電防止塗料6を用いた以外は帯電防止層1と同様にして帯電防止層6を作製した。
[帯電防止層7]
A1/B1の比率がA1/B1=13/87である帯電防止塗料7を用いた以外は帯電防止層1と同様にして帯電防止層7を作製した。
[帯電防止層8]
カルボン酸成分として、テレフタル酸(88モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(12モル%)、グリコール成分として、エチレングリコール(90モル%)、ジエチレングリコール(10%)の共重合組成からなるポリエステル樹脂を重合して得た。
次いで純粋に2層CNT(サイエンスラボラトリー社製、純度95%)1.0mgと、分散剤のポリビニルピロリドン2.4mgを添加して、超音波破砕機(東京理科器機(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波分散を行い、CNT水分散体を得た。この水分散体のCNT濃度は0.83質量%であり、分散剤濃度は2.0質量%であった。
上記で得た水性ポリエステル樹脂、CNTを以下の比率で調合した帯電防止塗料8を用い、帯電防止層の作製方法に基づき帯電防止層8を作製した。
水性ポリエステル樹脂 100質量部
CNT 30質量部
アセチレンジオール系界面活性剤 液比 0.1質量%
(日信化学工業(株)製“オルフィン”EXP4051F)(上記水性塗剤組成及び水の合計100質量%に対して0.1質量%となるように調整した。)
[帯電防止層9]
CNTの添加量を35質量部にした帯電防止塗料9を用いた以外は、帯電防止層8と同様に帯電防止層9を作製した。
[帯電防止層10]
下記塗剤A2と、塗剤B2とを固形分質量比でA1/B1=70/30で混合した帯電防止塗料10を用い、帯電防止層の作製方法に基づき帯電防止層1を作製した。
A2塗剤:メタクリル酸メチル(62モル%)、アクリル酸エチル(30モル%)、アクリル酸(2モル%)、N−メチロールアクリルアミド(1モル%)、エチレンオキシドの繰り返し単位が16のポリエチレングリコールモノメタクリレート(3モル%)、2−スルホエチルアクリレート(2モル%)からなるアクリル樹脂のエマルジョン溶液
B2塗剤:ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩(質量平均分子量7万)の水溶液
[反射防止部材の作成方法]
以下、反射防止部材の作成方法を示す。各サンプルの構成については、表1にまとめる。
[反射防止部材の作製1]
支持基材としてPET樹脂フィルム上に表1に記載の帯電防止層が塗工されている基材を用いた。この支持基材の帯電防止層が塗工されている面上に、塗料組成物1〜10、18をバーコーター(#10)を用いて塗工後、下記に示す第一段階の乾燥を行い、次いで第二段階の乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 35℃
熱風風速 1m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 2分間
なお、熱風の風速は動静圧管による測定値を使用した。
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。これにより実施例1〜16、24、比較例4〜12の反射防止部材を作成した。
[反射防止部材の作製2]
支持基材としてPET樹脂フィルム上に表1に記載の帯電防止層が塗工されている基材を用いた。この支持基材の帯電防止層が形成されている面上に、塗料組成物12をバーコーター(#10)を用いて塗工後、下記に示す第一段階の乾燥を行い、次いで第二段階の乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 70℃
熱風風速 2m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 1.5分間
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。
次いで、この塗料組成物12が塗工、乾燥、硬化されている面上に、塗料組成物11をバーコーター(#10)を用いて塗工後、同乾燥装置にて、下記条件で乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 35℃
熱風風速 1m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 2分間
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。これにより比較例1の反射防止部材を作成した。
[反射防止部材の作製3]
反射防止部材の作製2に対して、1回目の塗工時に用いる塗料組成物を塗料組成物12から塗料組成物13に置き換えた以外は同様にして比較例2の反射防止部材を作成した。
[反射防止部材の作製4]
支持基材としてPET樹脂フィルム上に表1に記載の帯電防止層が塗工されている基材を用いた。この支持基材の帯電防止層が塗工されている面上に、前記塗料組成物14をバーコーター(#16)を用いて塗工後、下記に示す第一段階の乾燥を行い、次いで第二段階の乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 70℃
熱風風速 2m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 1.5分間
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量500mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。
次いで、このハードコート塗料組成物が塗工、乾燥、硬化されている面上に、塗料組成物15をバーコーター(#10)を用いて塗工後、液膜厚み測定用のセンサーと膜面温測定用のセンサーを取り付けた乾燥装置にて、下記に示す第一段階の乾燥を行い、次いで第二段階の乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 35℃
熱風風速 1m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 2分間
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。これにより比較例3の反射防止部材を作成した。
[反射防止部材の作製5]
支持基材としてPET樹脂フィルム上に表1に記載の帯電防止層が塗工されている基材を用いた。この支持基材の帯電防止層が形成されている面上に、ハードコート層構成成分1をバーコーター(#6)を用いて塗工後、下記に示す乾燥を行った。
熱風温度 70℃
熱風風速 3m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
次いで160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。
次いで、このハードコート層構成成分1が塗工、乾燥、硬化されている面上に、塗料組成物18〜21をバーコーター(#10)を用いて塗工後、同乾燥装置にて、下記条件で乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 35℃
熱風風速 1m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 2分間
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。これにより実施例17〜20の反射防止部材を作成した。
[反射防止部材の作製6]
支持基材としてPET樹脂フィルム上に表1に記載の帯電防止層が塗工されている基材を用いた。この支持基材の帯電防止層が形成されている面上に、ハードコート層構成成分2をバーコーター(#6)を用いて塗工後、下記に示す乾燥を行った。
熱風温度 70℃
熱風風速 3m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
次いで160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。
次いで、このハードコート層構成成分1が塗工、乾燥、硬化されている面上に、塗料組成物22〜24をバーコーター(#10)を用いて塗工後、同乾燥装置にて、下記条件で乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 35℃
熱風風速 1m/s
風向 塗工面に対して平行
乾燥時間 1.5分間
第二段階
熱風温度 130℃
熱風風速 5m/s
風向 塗工面に対して垂直
乾燥時間 2分間
乾燥後、160W/cmの高圧水銀灯ランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600W/cm、積算光量800mJ/cmの紫外線を、酸素濃度0.1体積%の下で照射して硬化させた。これにより実施例21〜23の反射防止部材を作成した。
[反射防止部材の評価]
作製した反射防止部材について次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表1〜表3に示す。特に断りのない場合を除き、測定は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
[反射防止層の各層の厚み]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、支持基材上の各層の厚みを測定した。各層の厚みは、以下の方法に従い測定した。反射防止層の断面の超薄切片をTEMにより20万倍の倍率で撮影した画像から、ソフトウェア(画像処理ソフトEasyAccess)にて各層の厚みを読み取った。合計で30点の層厚みを測定して平均値とした。
[3層個々の屈折率]
本発明における低屈折率層、高屈折率層、帯電防止層の屈折率は、反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名[FE−3000])により、300〜800nmの範囲での反射率を測定し、該装置付属のソフトウェア[FE−Analysis]を用い、大塚電子株式会社製[膜厚測定装置 総合カタログP6(非線形最小二乗法)]に記載の方法に従い、550nmにおける屈折率を求めた。
屈折率の波長分散の近似式としてCauchyの分散式(数式1)を用い最小二乗法(カーブフィッティング法)により、光学定数(C、C、C)を計算し、550nmにおける屈折率を測定した。
Figure 2012083723
[高屈折率層と低屈折率層とで形成される界面]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、高屈折率層と低屈折率層とで形成される界面の有無を判断した。界面の有無の判断は以下の方法に従い判断した。
反射防止層の超薄切片に対し、TEMにより20万倍の倍率で撮影した画像を、ソフトウェア(画像処理ソフトEasyAccess)にて、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整した。さらに2種類の粒子が明確に見分けられるようにコントラストを調節した。このとき1つの層と他の層との界面に明確な境界を引くことができる場合を、明確な界面があるとみなした。
明確な境界を引くことができる場合 「○」
明確な境界を引くことができない場合 「×」
[B/Aの算出]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、前述の方法で区別した界面に対し、画像処理ソフトにより単位長さA、界面長さBを求め、その比B/Aを求めた。
具体的には次の手順で行った。反射防止層の超薄切片をTEMにより20万倍の倍率で撮影した画像を、ソフトウェア(画像処理ソフトEasyAccess)にて、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整した。次いで、高屈折率層と低屈折率層とで形成される界面上に、直線距離が500nm以上になるように2点(A1、A2)を決め、その2点(A1、A2)を決め、その2点を結ぶ直線長さ(単位長さA)を求めた。
次いで、この2点の(A1、A2)、の間の高屈折率層と低屈折率層とで形成される界面に沿った長さを、object検出モードにて、閾値の調節によって界面を検出させ、その境界線の長さを計測することにより、界面長さBを求めた。この結果から得られた単位長さA,界面長さB、からB/A、を求めた。
[耐擦傷性]
反射防止部材に250g/cm荷重となるスチールウール(#0000)を垂直にあて、1cmの長さを10往復した際に目視される傷の概算本数を記載し、下記のクラス分けを行い3点以上を合格とした。
5点: 0本
4点: 1本以上 5本未満
3点: 5本以上 10本未満
2点: 10本以上 20本未満
1点: 20本以上
[耐摩耗性]
本光製作所製消しゴム摩耗試験機の先端(先端部面積 1cm)に、白ネル〔興和(株)製〕を取り付け、500gの荷重をかけて反射防止部材上を5cm、5000回往復摩擦し、下記のクラス分けを行い3点以上を合格とした。
5点: 傷なし
4点: 1〜10本の傷
3点: 11〜20本の傷
2点: 21本以上の傷
1点: 試験部分の反射防止層が全面剥離
[透明性]
透明性はヘイズ値を測定することにより判定した。測定はJIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製 ヘイズメーターを用いて、反射防止部材サンプルの支持基材とは反対側(反射防止層側)から光を透過するように装置に置いて測定を行い、ヘイズ値が2%未満を合格とした。
[反射防止性能]
反射防止性能の評価は島津製作所製分光光度計UV−3100を用いて400nmから800nmの波長範囲にて行い、最低反射率(ボトム反射率)を測定し、0.8%未満を合格とした。本実施例については、反射防止フィルムに好適な実施例1〜16等の反射防止部材について測定した。
[干渉ムラ]
反射防止部材の反射防止層を形成していない面(支持基材面)を、つや消し黒のスプレー塗料にて均一に塗布し、この試料について、斜めより三波長蛍光灯(FL20SS・EX−N/18(松下電器産業製)の付いた電気スタンド)で試料面を照射し、その時に見える干渉縞を目視で評価した。下記のクラス分けを行い3点以上を合格とした。
5点:干渉ムラが無く、きれいに見える
3点:干渉ムラが確認出来るが、使用上問題ないレベル
1点:干渉ムラが確認出来、使用上問題となるレベル
[耐湿熱接着性]
恒温恒湿槽中に高温高湿下(70℃、相対湿度90%)で反射防止部材サンプルを250時間放置し、耐湿熱接着試験用サンプルを得た。反射防止部材サンプルの支持基材とは反対側(屈折率の異なる2層の側)から1mm のクロスカットを100個入れ、ニチバン株式会社製セロハンテープ(登録商標)をその上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離し評価を行った。高屈折率層の残存した個数より、下記基準で評価を実施する。残存した格子の個数により5段階評価を行い、○以上を耐湿熱接着性良好、×以下を耐湿熱接着性が不良とした。
◎ :100/100(残存個数/測定個数)
○ :80/100以上、100/100未満
× :80/100未満
[低屈折率層側の表面抵抗率]
反射防止部材の低屈折率層側の表面抵抗率を、JIS K 6911(1995)に準拠して測定した。
[無機粒子の体積抵抗率]
無機粒子の体積抵抗率は、三菱化学株式会社製粉体抵抗率測定システムを用い、無機粒子2.5gに20kNの荷重を与えた条件下で測定した。
Figure 2012083723
Figure 2012083723
Figure 2012083723
[IMフィルムの評価]
IMフィルムの評価のうち、カラーb値、パターニングの視認性は、下記の要領で反射防止部材の低屈折率層上に透明導電層を形成し、次いでパターニング処理を行ったサンプル(透明導電層積層体)について行った。
[透明導電層の形成]
前記反射防止部材の低屈折率層上にインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとして酸化スズを36質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山株式会社製、密度6.9g/cm)に用いて、2W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となる流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。ただし、通常のDCではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製PRG−100を用いて5μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。また、センターロール温度は10℃として、スパッタリングを行った。
また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(LEYBOLD INFICON社製、XPR2)にて常時観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計及びDC電源にフィードバックした。以上のようにして、厚さ30nm、屈折率1.96のインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を低屈折率層上に積層させて、透明導電層積層体を作製した。
[透明導電層積層体の透明導電層のパターニング]
前記透明導電性積層体に、ノボラック系樹脂からなるレジスト層をスクリーン印刷し、透明導電性積層体上にフォトマスクを重ね、メタルハライドランプによって露光し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで現像した。次いで、1N塩酸中に浸漬後、アルカリ浸漬により、幅5mm(ピッチ1mm)のストライプ状のパターン部を形成した。
[透明導電層積層体のカラーb値]
パターニング処理を行った透明導電層積層体の透明導電層のある部分と透明導電層のない部分のカラーb値を、JIS−KL7105(1981)に準拠して、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、標準の光C/2にて、それぞれ測定し、透明導電層のある部分のカラーb値をb1、透明導電層の無い部分のカラーb値をb0とし、b0とb1の差が1.0以下を合格とした。
[パターニングの視認性]
透明導電層側に、屈折率1.52のアクリル系粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとして貼り合わせた。富士通社製FMV−BIBLOLOOX T70M/Tを用いて画面を白色表示にし、保護フィルムを貼り合わせたフィルムを保護フィルム面側が視認側となるように画面の前に置いて、様々な角度からパターニングの見え方を評価し、下記の判断基準で、○以上を合格とした。
○: パターニングが見えない、もしくはほとんど見えない。
△: パターニングが少し見える。
×: パターニングが強く見える。
実施例1〜16の反射防止部材は、反射防止フィルムとして好適に利用できる結果を得られた。
一方実施例17〜24の反射防止部材は、IMフィルムとして好適に利用できる結果が得られた。
1 反射防止部材
2 帯電防止層
3 反射防止層
4 低屈折率層
5 高屈折率層
6 無機粒子
7 フッ素処理無機粒子

Claims (5)

  1. 支持基材の少なくとも片面に、屈折率が1.59〜1.70の帯電防止層と、無機粒子およびバインダーから構成される高屈折率層と、該高屈折率層よりも小さな屈折率を有し、フッ素処理無機粒子を含む低屈折率層とを、この順に設けた反射防止部材であって、
    前記無機粒子の体積抵抗率が1×1013(Ω・cm)以上1×1020(Ω・cm)以下であって、
    反射防止部材の低屈折率層側の表面抵抗率が1×10(Ω/□)以上1×1013(Ω/□)以下であって、
    以下の(1)から(3)で定義される単位長さAと長さBの比B/Aが、1.10<B/A<1.45であることを特徴とする、反射防止部材。
    (1)低屈折率層と高屈折率層とで形成される界面において、直線長さが500nm以上離れた任意の界面上の2点をA1、A2とする。
    (2)A1とA2を結ぶ直線の長さを単位長さAとする。
    (3)A1とA2間の低屈折率層と高屈折率層とで形成される界面に沿った長さを、長さBとする。
  2. 前記高屈折率層の厚みが、10nm以上200nm以下、又は、500nm以上4000nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止部材。
  3. 前記無機粒子が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの無機粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の反射防止部材。
  4. 前記帯電防止層が、共役電子伝導タイプの帯電防止剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止部材。
  5. 前記帯電防止剤が、ポリチオフェン系化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の反射防止部材。
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