JP2012082301A - 2成分形アクリル樹脂系接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重合性(メタ)アクリルモノマーと、有機過酸化物と、ゴムエラストマーと、重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物とを含むA剤と、重合性(メタ)アクリルモノマーと、有機バナジウム化合物と、ゴムエラストマーと、重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物とを含むB剤、とから成ることを特徴とする2成分形アクリル樹脂系接着剤組成物である。
【選択図】なし
Description
重合性(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも重合性(メタ)アクリル酸誘導体と重合性(メタ)アクリル酸誘導体のどちらかを含む重合性(メタ)アクリルモノマーであり、液状乃至固形状の重合性(メタ)アクリルモノマーを使用することができる。またここでいう重合性(メタ)アクリルモノマーには、特に断らない限り、以下に説明する重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物を含まない。
有機過酸化物としては例えば、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、反応性の点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましく、配合量は重合性(メタ)アクリルモノマー及び重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物との総量に対して0.05重量部以上10重量部未満が好ましい。0.05重量部未満では硬化が不十分であり、10重量部以上では可使時間が短くなり作業性が不良となるが、最終的には必要とする硬化時間及び作業性を考慮して決定することができる。
ゴムエラストマー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をいい、重合性(メタ)アクリルモノマーに溶解又は分散できるゴムエラストマー成分の使用が好ましい。このようなゴムエラストマー成分としては、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体(MBAS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS) 、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物は、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ジヒドロホスフェート、ジ−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)ヒドロゲンホスフェート、ジペンタエリストリールペンタ(メタ)アクリロイルオキシジヒドロゲンホスフェートが挙げられる。該重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物は、上記重合性(メタ)アクリルモノマー100重量部に対し、0.01重量部以上配合される。配合量の上限は該重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物が広義には前記重合性(メタ)アクリレートモノマーに含まれるため、前記重合性(メタ)アクリレートモノマーと該重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物の硬化によって発現されるところの、目的とする接着剤組成物の物理的強度や伸び等によって決定することができる。なお、0.01重量部未満では十分な接着性向上効果が得られない。
有機バナジウム化合物は、有機過酸化物のラジカル発生促進剤である。バナジルアセチルアセトネート、バナジルステアレート、バナジウムナフテネート、バナジウムアセチルアセトネート、バナジウムベンゾイルアセトネート、シュウ酸バナジル等が挙げられる。配合量としては、B剤中の重合性(メタ)アクリルモノマー100重量部に対して0.01重量部以上10重量部未満を配合し、より好ましくは1重量部以上5重量部未満である。0.01重量部未満では十分な硬化性が得られず、10重量部以上では貯蔵安定性が低下する。また1重量部未満では硬化性が低下する傾向にあり、5重量部以上では貯蔵安定性が低下する傾向にある。
表1に示すような配合にて、各材料を均一に混合することにより実施例1のA剤とB剤を作製した。
アクリルニトリル−ブタジエンゴムにはNipol 1072J(商品名、比重0.98、アクリロニトリル量27%、日本ゼオン製)を使用し、重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物にはカヤマーPM−1(商品名、比重1.15〜1.25、粘度800〜1500mPa・s/25℃、日本化薬(株)製)を使用した。
実施例1のA剤及びB剤に配合しているPM−1に代えてライトエステルP−1M(商品名、比重1.27〜1.35、共栄社化学製)を配合し実施例2のA剤及びB剤とした。
実施例1のA剤及びB剤に配合されている重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物を配合しないA剤及びB剤を比較例1のA剤及びB剤とした。
実施例1のA剤及びB剤に配合されている重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物、及びアクリルニトリルーブタジエンゴムを共に配合しないA剤及びB剤を比較例2のA剤及びB剤とした。
実施例1のA剤及びB剤に配合されているアクリルニトリル−ブタジエンゴムを配合しないA剤及びB剤を比較例3のA剤及びB剤とした。
23℃雰囲気下において、十分に脱脂した70mm×25mm×厚さ1mmの2枚のステンレス試験片(SUS304)のうち一枚のステンレス試験片の端部から25mm部分に、実施例1、実施例2、比較例1乃至比較例3の各A剤とB剤を1:1(重量比)で十分に混合した接着剤組成物を、80g/m2塗布する。塗布後直ちにもう一枚のステンレス試験片の端部から25mm部分を該接着剤組成物の塗布部分に重ねあわせてこの部分のみオーバーラップさせた長さ115mmの引張試験片とし、該接着剤組成物の塗布部分を0.05MPaで1時間圧締硬化させる。解圧後、23℃にて24時間養生し、引張速度5mm/分にて該引張試験片を引張り、最大引張強度からせん断強度(N/mm2)を算出した。また試験後の貼り合わせ面を目視にて観察し、塗布した接着剤組成物の凝集破壊の割合(%)を確認した。
23℃雰囲気下において、十分に脱脂した70mm×25mm×厚さ1mmの1枚のステンレス試験片(SUS304)の一方の端部から25mm部分に、実施例1、実施例2、比較例1乃至比較例3の各A剤とB剤を1:1(重量比)で十分に混合した接着剤組成物を、80g/m2塗布する。塗布後直ちに、70mm×25mm×厚さ8mmのパーティクルボード試験片を、端部から25mm部分を該接着剤組成物の塗布部分に重ねあわせてこの部分のみオーバーラップさせた長さ115mmの引張試験片とし、該接着剤組成物の塗布部分を0.05MPaで1時間圧締硬化させる。解圧後、23℃にて24時間養生し、引張速度5mm/分にて該引張試験片を引張り、最大引張強度からせん断強度(N/mm2)を算出した。また試験後の貼り合わせ面を目視にて観察し、パーティクルボード試験片または接着剤組成物の破壊の割合(%)を確認した。パーティクルボード試験片の破壊はパーティクルボード試験片の材料破壊とし,接着剤組成物の破壊は接着剤組成物の凝集破壊とした。
実施例1、実施例2、比較例1乃至比較例3の各A剤とB剤をそれぞれ50gを50ccポリエチレン容器に入れ、30℃恒温槽中に7日間放置し、ゲル化の有無を目視にて観察した。ゲル化が生じたものを×、ゲル化が無いものを○とした。
評価結果を表2に示す。
実施例1及び実施例2は金属との接着性試験において接着剤組成物の凝集破壊が60%以上であって接着強度は11.2N/mm2以上であり、良好な接着性を示すと共に、多孔質材料との接着性試験においてもパーティクルボード試験片100%材料破壊であり接着性は良好であった。これに対してアクリルニトリル−ブタジエンゴムが配合されず重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物が配合されている比較例3は、金属との接着性試験において接着剤組成物の凝集破壊は0%であり、接着性は不良であった。
Claims (1)
- 重合性(メタ)アクリルモノマーと、有機過酸化物と、ゴムエラストマーと、重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物とを含むA剤と、重合性(メタ)アクリルモノマーと、有機バナジウム化合物と、ゴムエラストマーと、重合性(メタ)アクリル基を持つ酸性リン化合物とを含むB剤、とから成ることを特徴とする2成分形アクリル樹脂系接着剤組成物。
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