JP2012082115A - 五フッ化リンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的スケールにも対応可能な五フッ化リンの安価で効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】一般式:PX3(式中、XはF、ClまたはBrを示す)で表される三ハロゲン化リンを、気相状態の分子状ハロゲン及びフッ化水素と反応させることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、五フッ化リンの製造方法、及び六フッ化リン酸リチウムの製造方法に関する。
五フッ化リン(PF5)は、リチウム電池、リチウムイオン二次電池等の電解質として用いられる六フッ化リン酸リチウムの原料として有用な物質である。
五フッ化リンの製造方法としては、例えば五塩化リン(PCl5)とフッ化カルシウム(CaF2)を反応させる方法(非特許文献1)、五塩化リンとフッ化水素(HF)を反応させる方法(特許文献1)等の五塩化リンを原料とする方法が知られている。
しかしながら、五塩化リンは非常に吸湿性が高い上に加水分解され易く、空気中の水分と容易に反応して腐食性の塩化水素ガス(HCl)を発生させ、その結果、五塩化リンの純度低下し、最終的な製品純度に影響する懸念がある。更に、その吸湿性、加水分解性のために取り扱いが難しく、作業性が悪いという欠点もある。
更に、非特許文献1に記載されている五塩化リンとフッ化カルシウムを反応させる方法は、固体同士の反応であるために300℃以上という非常に高温な条件でなければ反応は完結せず、バッチ反応となるために生産性が悪いという欠点がある。
また、固体のリン(P)とフッ素ガス(F2)を反応させることによって五フッ化リンを製造する方法も知られているが(非特許文献2)、この方法は、反応熱が非常に大きい上、固体と気体の反応であるために温度制御が困難となり、工業的に有用な方法とは言い難い。
一方、三塩化リン(PCl3)を原料とする方法によれば、安価な三塩化リンを用いることで低コストで六フッ化リン酸リチウムを製造することが可能となると考えられる。例えば、下記特許文献2には、三塩化リンを原料として、第一フッ素化工程、塩素化工程、第二フッ素化工程の三段階の反応よって、五フッ化リンを製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、三段階の反応を行うために、反応器内の滞留時間を長く取らなければならず、結果として大きな反応器が必要となり、工業的規模の製造方法としては好ましくない。
下記特許文献3には、三塩化リン、塩素ガス及びフッ化水素を同時に反応させる方法が記載されているが、具体的に記載されている方法は、原料を一度に耐圧仕様の反応器に仕込んでバッチ式で反応させる方法であり、この方法では、非常に大きな反応熱のために反応温度の制御が極めて困難となり非常に危険である。
以上の通り、五フッ化リンの製造方法については、現在まで工業的規模のスケールで、安価に且つ効率よく製造可能な方法が確率されるには至っていない。
特開平6−56413号公報 特許第3494343号 特許第4005174号
J. Inorg. Nucl. Chem.,1960,vol.16, 52-59 Ann. Chim. Phys., 1891, 24, 224 - 282
本発明は上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、工業的スケールにも対応可能な五フッ化リンの安価で効率的な製造方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、三ハロゲン化リン(PX3)を原料として用い、これを気相状態の分子状ハロゲン(F2、Cl2、又はBr2)及びフッ化水素(HF)と反応させて五フッ化リンを製造する方法によれば、温度制御が比較的容易であって、しかも、均一性良く反応を進行させることができることを見出した。特に、流通型の反応器を用い、分子状ハロゲンとフッ化水素を同時に反応器に供給して気相状態で反応させる方法によれば、多段階の煩雑な操作を要することなく、効率よく五フッ化リンを製造することが可能であり、しかも、反応時の温度制御も簡単に行うことができ、工業的スケールで効率よく五フッ化リンを製造することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の五フッ化リンの製造方法、及び六フッ化リン酸リチウムの製造方法を提供するものである。
項1. 一般式:PX3(式中、XはF、ClまたはBrを示す)で表される三ハロゲン化リンを、気相状態の分子状ハロゲン及びフッ化水素と反応させることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。
項2. 分子状ハロゲンとフッ化水素を同時に流通型反応器に供給して、気相状態で三ハロゲン化リンと反応させることを特徴とする請求項1に記載の五フッ化リンの製造方法。
項3. 分子状ハロゲンが、分子状塩素である上記項1又は2に記載の方法。
項4. 三ハロゲン化リンが、三塩化リンである上記項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5. 三ハロゲン化リンに対する分子状ハロゲンのモル比が1〜5であり、三ハロゲン化リンに対するフッ化水素のモル比が5〜20である上記項1〜4のいずれかに記載の方法。
項6. 流通型反応器が、充填材及びフッ素化触媒のいずれか一方又は両方を充填したものである上記項2〜5のいずれかに記載の方法。
項7. 三ハロゲン化リンの供給口を2箇所以上有する流通型反応器を用い、原料とする三ハロゲン化リンを分割して異なる供給口から反応器に供給する、上記項2〜6のいずれかに記載の方法。
項8. 上記項1〜7のいずれかに記載の方法で得られた五フッ化リンをフッ化リチウムと反応させることを特徴とする六フッ化リン酸リチウムの製造方法。
以下、本発明の五フッ化リンの製造方法について具体的に説明する。
本発明では、原料としては、一般式:PX3(式中、XはF、ClまたはBrを示す)で表される三ハロゲン化リン、分子状ハロゲン、及びフッ化水素を用いる。
三ハロゲン化リンの具体例としては、三フッ化リン、三塩化リン、三臭化リン等を挙げることができる。これらの内で、三塩化リンと三臭化リンは、室温で液体であり、三フッ化リンは室温で気体である。このため、 固体の五塩化(PCl5)を用いる場合に比べて取り扱い易く、禁水状態での取り扱いも容易で加水分解が抑制されるため、最終製品中の純度の安定化が可能となる。
本発明では、特に、三ハロゲン化リンとして、安価で高純度品が入手し易い点で三塩化リンが好ましい。
また、分子状のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素等を用いることができる。特に、コスト面を考慮すると塩素が好ましい。
本発明では、原料として用いる三ハロゲン化リンを気相状態にある分子状ハロゲンとフッ化水素と反応させることが必要である。この様な方法によれば、分子状ハロゲンとフッ化水素が気体であることによって、三ハロゲン化リンと均一に接触させることが容易であり、円滑に反応を進行させることができ、反応時の温度制御も比較的簡単に行うことができる。
この方法は、連続式又はバッチ式のいずれで行って良いが、特に、流通型の反応器を用い、分子状ハロゲンとフッ化水素を同時に該反応器に供給することが好ましい。例えば三ハロゲン化物として三塩化リンを用い、ハロゲンとして塩素を用いる場合には、三塩化リンを塩素のみと反応させると反応器内に固体の五塩化リンが生成し、管の閉塞等の問題が起こる。しかしながら、塩素と同時にフッ化水素を反応器に供給することで、出口生成物としては五フッ化リン、三フッ化リン、フッ化水素、塩化水素等のガス状の成分のみとなり、閉塞の問題は解決される。また、三ハロゲン化物として三臭化リンを用いる場合にも、固体の生成は無いものの高沸点の液体が生成して液溜まり等の問題が懸念されるが、ハロゲンとフッ化水素を同時に供給することによってこのような問題が解消される。
本発明の製造方法では、分子状のハロゲンとフッ化水素については、三ハロゲン化リンとの反応時に気体状態で存在させることが必要であるが、反応器への供給時には液体状態であってもよい。原料化合物が液状の場合には、例えば、気化器を用いて原料化合物を気化(気化領域)させてから予熱領域を通過させることによって、気相状態で反応を行うことができる。また、原料化合物を液体状態で反応装置に供給し、反応領域に達した時に気化させて反応させても良い。原料化合物を反応領域で気化させる方法については特に限定はないが、例えば、後述する充填材を反応管内に充填し、反応管内の温度分布を均一にして原料化合物の気化温度以上に加熱し、ここに液体状態の原料化合物を供給して、原料化合物を気化させて気相状態としてもよい。
分子状のハロゲンについては、液体又は気体として反応器に供給することができ、具体的な供給方法については、供給時のハロゲンの状態に応じて適宜決めれば良い。例えば、分子状フッ素については、通常、フッ素ガスとして気体状態で供給される。この場合、フッ素ガスとしては、100mass%のガスを用いることもでき、乾燥窒素ガス等の不活性ガスで希釈された5〜50mass%程度の濃度のガスを用いることもできる。供給方法としては、例えば気体用のマスフローコントローラー等で流量制御を行い反応器に供給することができる。分子状塩素や臭素については、例えば気体状態のものであれば気体用のマスフローコントローラーや、液体状態であれば液体用のマスフローコントローラーや送液ポンプ等で反応器に供給することが出来る。
またフッ化水素についても、液体又は気体として供給することができる。例えば気体状態のものであれば気体用のマスフローコントローラーや、液体状態であれば液体用のマスフローコントローラーや送液ポンプ等で反応器に供給することが出来る。
流通型の反応器を用いて上記した分子状のハロゲンとフッ化水素を同時に供給する場合には、全量を連続的に供給してもよく、あるいは、反応温度制御のために数回に分割して供給してもよい。この場合の分子状ハロゲンとフッ化水素とのモル比は一定であることが好ましい。
流通型の反応器としては、例えば断熱反応器、熱媒体を用いて除熱した多管型反応器等を用いることができる。反応器は、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等のフッ化水素の腐食作用とハロゲンの酸化及び腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。また、反応管内には混合や熱移動(伝熱)を促進するために充填材を詰めても良い。充填材としては、特に限定されるものではないが、ラシヒリングやヘリパック型の既知の金属充填材、アルミナビーズ、多孔質状の金属充填材等を用いることができる。
またフッ素化や塩素化反応を促進させるために充填材の代わりに、又は充填材と混合して1種又は2種以上のフッ素化触媒を用いることもできる。触媒としては特に限定されるものではないが、例えばSbCl5、SbF5、SbCl3、SbF3、TiF4、TiCl4、FeCl3、AlCl3等を担持した活性炭、アルミナペレット等の担持触媒や、組成式:CrOm-1/2nFn(mは1.5≦m≦3、nは0.1<n<4)であるフッ化酸化クロム触媒等を用いることができる。
三ハロゲン化リンについては、分子状のハロゲン及びフッ化水素と同時に反応器に供給してもよく、或いは、分子状ハロゲンとフッ化水素を反応器に供給して供給状態が安定となった後、三ハロゲン化リンの供給を開始することや、反対に三ハロゲン化リンを先に反応器に供給し、供給状態が安定となった後、分子状ハロゲンとフッ化水素の供給を開始してもよい。
三ハロゲン化リンの具体的な供給方法については、供給時の三ハロゲン化リンの状態に応じて種々の方法を採用できる。例えば、三フッ化リンについては、気体用のマスフローコントローラー等で流量制御を行い反応器に供給することができる。また、液状の三塩化リンや三臭化リンについては、例えば送液ポンプや、シリンジポンプ等を用いて供給することができ、乾燥した不活性ガスに同伴するなどの方法で供給しても良い。
流通型の反応装置を用いる場合には、三ハロゲン化リンについては、全量を連続的に供給してもよいが、三ハロゲン化リンの供給口を反応器に一箇所だけ設けると、供給口近傍で急激に反応が生じて熱が多量に発生することがある。このため、流通型反応器の入口と出口の間に、二箇所以上の原料供給口を設け、原料として用いる三ハロゲン化リンを分割して、各供給口から連続的又は間欠的に供給する方法を採用することが好ましい。これによって急激な反応熱の発生を抑制することができ、反応器の温度制御が容易となる。
同様に、分子状ハロゲンとフッ化水素の供給口についても、流通型反応器の入口と出口の間に、二箇所以上の原料供給口を設け、分子状ハロゲンとフッ化水素を分割して、各供給口から連続的又は間欠的に供給する方法を採用することによって、急激な反応熱の発生を抑制することができる。
原料の供給量については、三ハロゲン化リンに対する分子状ハロゲンのモル比(X2/PX3)は、1〜5程度であることが好ましく、1〜3程度であることがより好ましい。三ハロゲン化リンに対する分子状ハロゲンのモル比が1より小さいと三フッ化リンが生成し、五フッ化リンとの分離が煩雑になるおそれがある。一方、モル比を5より大きくしても効果が無い上に、過剰分は廃棄しなければならなくなり、コストアップに繋がる。
また三ハロゲン化リンに対するフッ化水素のモル比(HF/PX3)については、5〜20程度が好ましく、5〜15程度がより好ましい。三ハロゲン化リンに対するフッ化水素のモル比が5未満であると、一部のみがフッ素化されたPFxCly(x+y=5)が生成することがあり、一方、モル比を20より大きくしてもフッ素化の反応速度の向上は期待できないので、いずれも好ましくない。
反応温度については、特に限定されるものではなく、使用する原料の種類に応じて、分子状ハロゲンとフッ化水素が気体状態で存在できる温度範囲とすることが必要である。通常、20〜400℃程度が好ましく、20〜200℃程度がより好ましい。この場合、反応温度を低く設定すると、反応器を冷却しなければならずコストアップするだけでなく、反応器内でフッ化水素が液化する等の問題が懸念される。一方、反応温度が高すぎると、望ましくない副反応が起こるこり収率が低下することがあるので好ましくない。
反応器内の圧力については、具体的な反応温度に応じて、分子状ハロゲンとフッ化水素が気体状態で存在できる圧力範囲であればよく、通常、絶対圧として0.1〜2MPa程度であることが好ましく、0.1〜1MPa程度であることがより好ましい。
上記した方法で得られる五フッ化リンは、必要に応じて、合成ゼオライトや活性炭等の吸着剤等による精製、膜分離、蒸留等の公知の方法によって、更に精製して用いることができる。
本発明方法で得られる五フッ化リンは、リチウム電池、リチウムイオン電池等の電解質として用いられる六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の製造用原料として有用な化合物である。五フッ化リンから六フッ化リン酸リチウムを製造する方法については、本発明方法で得られた五フッ化リンとフッ化リチウムを反応させて六フッ化リン酸リチウムとすることが可能な方法であれば特に限定はなく、公知の方法を適用できる。例えば、固体のフッ化リチウムと気体の五フッ化リンを反応させる方法;無水フッ化水素を溶媒として、溶解したフッ化リチウムと気体状の五フッ化リチウムを反応させる方法;有機溶媒中でフッ化リチウムと気体状の五フッ化リンを反応させる方法等の公知の方法を適用できる。これらの方法の具体的な反応条件については、例えば、特開昭64−72901号公報、J.Chem.Soc.Part4,4408(1963)等に記載されている公知の条件を適用できる。
本発明の五フッ化リンの製造方法によれば、流通式の反応器を用いて一段階の連続反応で五フッ化リンを製造できる。このため、原料の仕込みや生成物の回収が容易であり、効率良く目的物を得ることができる。また、バッチ式の反応装置を用いる場合と比較すると、反応装置の冷却が簡単であり、反応条件の制御が容易である。更に、分子状のハロゲンとフッ化水素を同時に反応器に供給することによって、反応器の閉塞等の問題を解消することができる。
このため、本発明によれば、六フッ化リン酸リチウムの原料として有用性の高い五フッ化リンを、工業スケールで安価に効率的に製造することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
直径4.5mmのハイアルミナボールを内径20mm、長さ400mmの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応管を絶対圧0.1MPaおよび100℃に維持し、無水フッ化水素を150 ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)、塩素ガスを23ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に同時に供給した後、41℃に加温した三塩化リン中に35ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)の乾燥窒素ガスをバブリングしたものを供給した。この場合、蒸気圧から算出した三塩化リンの供給量は、15ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)であった。
五フッ化リンの定量のため、反応器入口からR14(CF4)ガスを供給し、反応器出口ガスをFT-IRにより定量分析したところ、ほぼ定量的に三塩化リンが五フッ化リンに変換されていることを確認した。
実施例2
直径2mmのニッケル球を内径20mm、長さ400mmの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応管を絶対圧0.1MPaおよび50℃に維持し、無水フッ化水素を450ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)、塩素ガスを45ml/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に同時に供給した後、三塩化リンを送液ポンプを用いて0.2g/minで供給した。
五フッ化リンの定量のため、反応器入口からR14(CF4)ガスを供給し、反応器出口ガスをFT-IRにより定量分析したところ、ほぼ定量的に三塩化リンが五フッ化リンに変換されていることを確認した。
比較例1
塩素を反応器に供給しないこと以外は実施例1と同様の条件で実験を行った。
五フッ化リンの定量のため、反応器入口からR14(CF4)ガスを供給し、反応器出口ガスをFT-IRにより分析したところ、PF5の生成は確認出来なかった。
しかしながら、五塩化リンは非常に吸湿性が高い上に加水分解され易く、空気中の水分と容易に反応して腐食性の塩化水素ガス(HCl)を発生させ、その結果、五塩化リンの純度低下し、最終的な製品純度に影響する懸念がある。更に、その吸湿性、加水分解性のために取り扱いが難しく、作業性が悪いという欠点もある。
一方、三塩化リン(PCl3)を原料とする方法によれば、安価な三塩化リンを用いることで低コストで六フッ化リン酸リチウムを製造することが可能となると考えられる。例えば、下記特許文献2には、三塩化リンを原料として、第一フッ素化工程、塩素化工程、第二フッ素化工程の三段階の反応よって、五フッ化リンを製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、三段階の反応を行うために、反応器内の滞留時間を長く取らなければならず、結果として大きな反応器が必要となり、工業的規模の製造方法としては好ましくない。
以上の通り、五フッ化リンの製造方法については、現在まで工業的規模のスケールで、安価に且つ効率よく製造可能な方法が確立されるには至っていない。
三ハロゲン化リンの具体例としては、三フッ化リン、三塩化リン、三臭化リン等を挙げることができる。これらの内で、三塩化リンと三臭化リンは、室温で液体であり、三フッ化リンは室温で気体である。このため、 固体の五塩化リン(PCl5)を用いる場合に比べて取り扱い易く、禁水状態での取り扱いも容易で加水分解が抑制されるため、最終製品中の純度の安定化が可能となる。
反応温度については、特に限定されるものではなく、使用する原料の種類に応じて、分子状ハロゲンとフッ化水素が気体状態で存在できる温度範囲とすることが必要である。通常、20〜400℃程度が好ましく、20〜200℃程度がより好ましい。この場合、反応温度を低く設定すると、反応器を冷却しなければならずコストアップするだけでなく、反応器内でフッ化水素が液化する等の問題が懸念される。一方、反応温度が高すぎると、望ましくない副反応が起こり収率が低下することがあるので好ましくない。

Claims (8)

  1. 一般式:PX3(式中、XはF、ClまたはBrを示す)で表される三ハロゲン化リンを、気相状態の分子状ハロゲン及びフッ化水素と反応させることを特徴とする五フッ化リンの製造方法。
  2. 分子状ハロゲンとフッ化水素を同時に流通型反応器に供給して、気相状態で三ハロゲン化リンと反応させることを特徴とする請求項1に記載の五フッ化リンの製造方法。
  3. 分子状ハロゲンが、分子状塩素である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 三ハロゲン化リンが、三塩化リンである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 三ハロゲン化リンに対する分子状ハロゲンのモル比が1〜5であり、三ハロゲン化リンに対するフッ化水素のモル比が5〜20である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 流通型反応器が、充填材及びフッ素化触媒のいずれか一方又は両方を充填したものである請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 三ハロゲン化リンの供給口を2箇所以上有する流通型反応器を用い、原料とする三ハロゲン化リンを分割して異なる供給口から反応器に供給する、請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法で得られた五フッ化リンをフッ化リチウムと反応させることを特徴とする六フッ化リン酸リチウムの製造方法。
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