JP2012077074A - 共役ジエンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと、分子状酸素含有ガスとを、反応器に供給し、触媒の存在下、酸化脱水素反応により対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る反応工程を有する共役ジエンの製造方法において、酸化脱水素反応中の該触媒層の空隙率が、酸化脱水素反応開始時における触媒層の空隙率に比して、86〜100%の範囲に制御されることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
【選択図】なし
Description
この反応は例えば以下の反応式に従って進行し、水が副生する。
C4H8+1/2O2→C4H6+H2O
n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造は、工業的にはナフサ分解で副生するC4留分(C4炭化水素混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン、ブタン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS]と称す場合がある。)中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が提案されている。
うことが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、n−ブテン等のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応によりブタジエン等の共役ジエンを製造する方法において、触媒の割れを防止し、かつ反応器を開放して触媒を交換することなく、安定的に運転が継続できる工業的に有利なブタジエンの製造方法を提供することを目的とする。
は反応器に供給される混合ガスの質量速度[kg/m2・s]である。)
本発明の共役ジエンの製造方法は、ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−
ブテン、イソブテン)、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応による対応する共役ジエンの製造に有効に適用することができる。この中でも、ブテン、更には、n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)からのブタジエンの製造に最も好適に用いられる。
れる。この不純物の量は、窒素の場合、通常90%以下、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下である。窒素以外の成分の場合、通常10%以下、好ましくは1%以下である。この量が多すぎると、反応に必要な酸素を供給するのが難しくなる傾向にある。
<混合ガス組成>
n−ブテン:C4留分合計に対して50〜100vol/vol%
C4留分合計:5〜15vol%
O2:C4留分合計に対して40〜120vol/vol%
N2:C4留分合計に対して500〜1000vol/vol%
H2O:C4留分合計に対して90〜900vol/vol%
また、本発明の混合ガス中の原料ガスの割合について、下限値としては、通常、4.2vol%以上であり、好ましくは7.6vol%以上、更に好ましくは9.0vol%以上である。この下限値が大きくなるほど、反応器のサイズを小さくでき、建設費および運転に要するコストが低減する傾向にある。また、一方、上限値は、通常、20.0vol%以下であり、好ましくは、17.0vol%以下、更に好ましくは、15.0vol%以下である。この上限値が小さくなるほど、原料ガス中の触媒上へのコーキングの起因物質も低減するため、触媒のコーキングが発生しにくくなる。
本発明の反応器には、後述の酸化脱水素反応触媒が充填されており、その触媒は、原料の炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素から対応する共役ジエンを生成するために用
いる固定床反応器に充填されて使用されることが好ましく、n−ブテンが酸素と反応し、ブタジエンと水とを生成するために用いる固定床反応器に充填されて使用されることが更に好ましい。
反応性の無い固形物の体積)]×100 …(3)
本発明で、反応器内に設けられる触媒層は、特に限定されないが、一層以上設けられていればよく、好ましくは、2〜5層である。触媒層の数が多くなるほど、触媒充填作業が煩雑になる傾向にあり、触媒層の数が少なくなるほど、容易という傾向にある。また、反応器内に触媒層が2層以上設ける場合は、各触媒層の希釈率は、反応条件や反応温度によって適宜決めることができるが、希釈率が異なる触媒層を設けることが好ましい。また、反応器の原料ガス入口側に最も近くに設けられる触媒層よりも、反応器の生成ガス出口側に向かって、希釈率が小さくなるように触媒層を配置することが更に好ましい。
本発明に用いられる反応性の無い固形物は、共役ジエン生成反応条件下で安定であり、炭素原子数4以上のモノオレフィン等の原料物質、及び共役ジエン等の生成物と反応性がない材質のものであれば、特に限定されない。一般的に、イナートボールとも呼ばれることがある。具体的には、アルミナ、ジルコニア等のセラミック材等が挙げられる。また、その形状は、特に限定されず、球状、円柱状、リング状、不定形のいずれでもよい。また、その大きさは、本発明で使用する触媒と同等の大きさであればよい。
本発明では、反応器の触媒層の空隙率が、酸化脱水素反応開始時における触媒層の空隙率に比して100%に近ければ近いほど、触媒層に含まれる触媒割れの抑制効果が高くなるが、該空隙率を制御するための運転操作の回数が増加し、運転管理が複雑になると共に生産性が低下する。また、一方、反応器の触媒層の空隙率が、酸化脱水素反応開始時における触媒層の空隙率に比して86%の値を下回ると、デコーキングをおこなう際に、炭素成分の燃焼によって発生する二酸化炭素によって触媒細孔内部の圧力が急激に上昇するために触媒が割れてしまう。
によって、触媒層の空隙率が酸化脱水素反応開始時に比べ低下していく傾向にあるが、酸化脱水素反応開始時における触媒層の空隙率に比して、86〜100%の範囲であれば、このコーキングされた触媒を、反応器の運転中に原料ガスの供給を停止し、分子状酸素を含むガスなどを反応器に供給して触媒のデコーキングを行うことによって、該空隙率の低下を抑制し、空隙率を高くすることができる。デコーキング操作後に、再び原料ガスの供給を開始して、酸化脱水素反応を継続することができる。なお、本発明では、多管式反応器を使用する場合、1本以上の反応管を任意で選定して、その反応管について、上記式(1)の空隙率εを測定して制御を行えばよい。
反応器内温度の操作としては、原料ガスの供給量を低減させる段階で反応温度を維持したままでもよいし、低下させてもよい。低下させる場合には再度昇温する時間ロスを考えて、150℃以上、好ましくは200℃以上、更に好ましくは250℃以上に維持する。原料ガスの供給量を低減させた後に分子状酸素を含む反応ガスを反応器に供給する段階において、300℃以上、好ましくは320℃以上、更に好ましくは350℃以上に保持する。温度が低い場合にはデコーキング終了までに時間がかかり、生産性が低下する。
本発明の反応器の滞留時間は、特に限定されないが、下限は、通常0.72秒以上、好ましくは、0.80秒以上、更に好ましくは0.90秒以上である。この値が大きくなるほど、原料ガス中のモノオレフィンの転化率が高くなるというメリットがある。一方、上限は、7.20秒以下であり、好ましくは4.50秒以下、更に好ましくは、3.60秒以下である。この値が小さくなるほど、反応器が小さくなる傾向にある。
本発明の脱水工程については、生成ガスに含まれる水分を除去できる工程であれば、特に限定されない。脱水工程は反応器の後段の工程であれば、どこで行ってもよいが、上述の冷却工程の後に脱水工程を行うことが好ましい。通常、反応器から排出される生成ガス中に含まれる水分量は、原料ガスの種類や分子状酸素含有ガスの量、更には、原料ガスと共に混合される水蒸気等により異なるが、通常は、4〜35vol%、好ましくは10〜30vol%の水分が含有されている。脱水工程では、生成ガス中の水分量をある一定の畳まで低減するが、通常は、100volppm〜2.0vol%の水分含有量、好ましくは、200volppm〜1.0vol%の水分含有量である。また、露点として、0〜100℃、好ましくは、10〜80℃である。
脱水工程にモレキュラーシーブ等の乾燥剤を利用する場合は、水以外にも生成ガス中に含まれる高沸点副生物が吸着除去される。ここで除去される高沸点副生物は、アントラキノン、フルオレノン、フタル酸などのことである。
吸収塔を用いる場合、通常は、吸収溶媒と生成ガスとを向流接触させることで、生成ガス中の共役ジエンと未反応の炭素原子数4以上のモノオレフィン並びに炭素原子数3以下の炭化水素化合物が溶媒に吸収される。炭素原子数3以下の炭化水素化合物としては、例えば、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、メチルアセチレン、プロピレン、プロパン、又はアレンなどが挙げられる。
本発明の回収工程で使用させる吸収溶媒としては、特に限定されないが、C6〜C10の飽和炭化水素やC6〜C8の芳香族炭化水素、アミド化合物などが用いられる。具体的には、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用いることができる。これらの中でも、好ましくは、無機ガスを溶解しにくいことからC6〜C8の芳香族炭化水素が好ましく、特にトルエンが好ましい。
回収工程で得られる生成ガスが吸収された溶媒(以下、「溶媒吸収液」と呼ぶことがある)中には、主として目的生成物である共役ジエンが含まれており、その共役ジエンの溶媒吸収液中の濃度としては、通常は1〜20重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。溶媒吸収液中の共役ジエンの濃度が高いほど、共役ジエンの重合あるいは揮発による消失分が多くなる傾向にあり、低いほど、同じ生産量での溶媒の循環必要量が増加する為に、運転に要するエネルギーコストが大きくなる傾向にある。
このようにして得られた共役ジエンの溶媒吸収液から粗共役ジエンの分離を行う分離工程を経て粗共役ジエンを得ることができる。分離工程としては、共役ジエンの溶媒吸収液から粗共役ジエンを分離できる工程であれば、特に限定されないが、通常、蒸留分離により粗共役ジエンを分離することができる。具体的には、例えば、リボイラーとコンデンサーにより共役ジエンの蒸留分離が行われ、塔頂付近より共役ジエン留分が抜き出される。分離された吸収溶媒は塔底から抜き出され、前段工程に溶媒を使用する回収工程を有する場合は、その回収工程で吸収溶媒として循環使用される。溶媒は循環使用するうち不純物が蓄積する場合があり、一部を抜き出して蒸留やデカンテーション、沈降、吸着剤やイオン交換樹脂などとの接触処理などの公知の精製方法により不純物を除去することが望ましい。
蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。共役ジエンと溶媒を分離するには、蒸留塔理論段を5段以上、特に10段〜20段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。共役ジエンとフランなどの不純物を分離するには、蒸留塔理論段を5段以上、特に10段〜20段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。このようにして得られる精製された共役ジエンは、純度が99.0〜99.9%の共役ジエンである。
以下に、本発明で好適に用いられる酸化脱水素反応触媒について説明する。本発明で用いる酸化脱水索反応の触媒は、炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素を原料として、対応する共役ジエンを生成することができる触媒であれば、特に限定されないが、固体触媒であって、少なくともモリブデン、ビスマス、及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることが好ましい。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (2)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
また、この複合酸化物触媒は、この複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造する方法であって、モリブデン化合物、
鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、必要に応じてシリカとを含む原料化合物水溶液又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、該触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造されたものであることが好ましく、このような方法で製造された複合酸化物触媒であれば、その高い触媒活性で高収率でブタジエン等の共役ジエンを製造することができ、アルデヒド類含有量の少ない反応生成ガスを得ることができる。
この複合酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a1)相当のモリブデンであり、前記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からa1を差し引いた残りの原子比(a2)相当のモリブデンであることが好ましい。また、前記a1が0.5<a1/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましい。さらに、前記a2が0<a2/b<8を満足する値であることが好ましい。
Moの供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。
また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウ
ム、酢酸カリウム等を挙げることができる。
Csの供給源化合物としては、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム等を挙げることができる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。
Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。
Mgの供給振化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
この原料化合物水溶液の調製は、供給源化合物の水性系での一体化により行われる。ここで各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合及び/又は熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して浪合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して浪合し、そして熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、→定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
お、必要に応じてシリカの添加、混合もこの前工程で行うのが好ましい。
この熟成とは、上記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、撹絆することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。
上記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
灼熱減量(%)=[(W0−W1)/W0]×100
W0:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)
W1:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重量(g)
前記の後工程では、上記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン化合物(全原子比aからa1相当を差し引いた残りのa2相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。X、Y、Z成分の添加もこの後工程で行うのが好ましい。また、この発明のビスマス供給源化合物は、水に難溶性ないし不溶性のビスマスである。この化合物は、粉末の形態で使用することが好ましい。触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。
以下に、図面を参照して、本究明の共役ジエンの製造方法に関するプロセスの実施形態について、ブタジエンを製造する例を挙げて説明する。
図1は本発明プロセスの実施の態様の一つである。
図1において、1は反応器、2はクエンチ塔、3,6,13は冷却器(熱交換器)、4,7,14はドレンポット、8A,8Bは脱水塔、9は加熱器(熱交換器)、10は溶媒吸収塔、11は脱気塔、12は溶媒分離塔を示し、符号100〜126は配管を示す。
脱水工程における脱水塔内の乾燥剤の再生時間は、特に限定されないが、通常6〜48時間、好ましくは、12〜36時間、更に好ましくは18〜30時間である。
脱水塔8A,8Bからの脱水ガスは、必要に応じて冷却器(図示せず)で10〜30℃程度に冷却された後、溶媒吸収塔10に送給され、配管115からの溶媒(吸収溶媒)と向流接触される。これにより、脱水ガス中の共役ジエンや未反応の原料ガスが吸収溶媒に吸収される。吸収溶媒に吸収されなかった成分(offガス)は、溶媒吸収塔10の塔頂より配管117を経て排出され燃焼廃棄される。このとき、吸収溶媒として、トルエンのような比較的沸点の低い溶媒を用いると経済的に無視できない量の溶媒が配管117を経て揮散することがある。このような場合はより沸点の高い溶媒を用いて沸点の低い溶媒を
回収する工程を配管117の先に設けてもよい。この溶媒吸収塔10で、ブタジエンや未反応の原料ガスを吸収溶媒に吸収した溶媒吸収液は、溶媒吸収塔10の塔底より抜き出され、配管116より脱気塔11に送給される。溶媒吸収塔10で得られるブタジエンの溶媒吸収液には、若干量の窒素、酸素も吸収されているため、次いでこの溶媒吸収液を脱気塔11に供給して加熱することにより、液中に溶存する窒素や酸素をガス化して除去する。この際、ブタジエンや原料ガス、溶媒の中には、その一部がガス化することがあるため、この脱気塔11の塔頂に設けたコンデンサ(図示せず)でこれを液化して溶媒吸収液中に回収する。凝縮しなかった原料ガス、ブタジエン等は窒素、酸素の混合ガスとして配管118より抜き出され、共役ジエンの回収率を高めるために圧縮機5の入口側へ循環され再度処理が行われる。一方、溶媒吸収液を脱気した脱気処理液は配管119より溶媒分離塔12へ送給される。
<製造例1:複合酸化物触媒の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム54gを純水250mlに70℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト31.8g及び硝酸ニッケル31.8gを純水60mlに70℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
得られた触媒前駆体の粒状固体(灼熱減量:1.4重量%)を粉砕し、パラモリブデン酸アンモニウム40.1gを純水150mlにアンモニア水10mlを加え溶解した溶液に分散した。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを25℃の加温下に溶解させて、上記スラリーを加えた。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2.5:2.5:0.4:0.35:0.2:0.08:24
なお、触媒調製の際のモリブデンの原子比a1とa2は、それぞれ6.9と5.1であった。
内径27.05mm、長さ3500mmのステンレス製反応管113本を有する多管式反応器に反応管一本当たり、製造例1で製造された複合酸化物触媒622mlとイナートボール(チップトン社製)383mlとを混合して充填した。113本の反応管のうち任意の反応管を1本選定したところ、この反応管の触媒層長Lは2.78m、上記式(3)
で示される触媒層の希釈率は、原料供給部からガスの流れ方向に触媒層長の1/4までの触媒層では60vol%、次の1/4が40%、残り1/2が0%であった。流体粘度μは0.000022kg/m/s、充填粒子径dpは0.005mであった。
窒素を36.4Nm3/hr、空気を69.7Nm3/hr、水蒸気を22.5Nm3/hr、及び表−1に示す組成の原料ガスを13.2Nm3/hr供給し、予熱器内で混合して混合ガスとして318℃に昇温した(混合ガス組成=窒素:25.7vol%、空気:49.1vol%、水蒸気:15.9vol%、原料ガス:9.3vol%)。この際、触媒量0.135Nm3に対して、混合ガス流量は141.9Nm3/h(u:0.60、G:0.80)であり、SVは1050h−1であった。このときの触媒層前後の差圧は16.4kPaであり、酸化脱水素反応開始時における上記式(1)で示される空隙率εは0.336であった。
実施例1に記載の反応器と同様の反応器を使用して酸化脱水素反応を行った。窒素を29.9Nm3/hr、空気を76.4Nm3/hr、水蒸気を22.4Nm3/hr、及び表−1に示す組成の原料ガスを13.3Nm3/hr供給し、予熱器内で混合して混合ガスとして321℃に昇温した(反応器導入ガス組成=窒素:21.1vol%、空気:53.8vol%、水蒸気:15.8vol%、原料ガス:9.3vol%)。この際、触媒量0.135Nm3に対して、混合ガス流量は142.0Nm3/h(u:0.000022、G:0.80)であり、反応器内の触媒量に対する混合ガスの流量の比は1050h−1であった。このときの触媒層該差圧は15.7kPaであり、空隙率εは0.338であった。反応成績はn−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は94.9mol%、ブタジエン選択率は88.0mol%であった。190時間反応継続後に該εが0.282となり、酸化脱水素反応開始時の空隙率εに比して58.7%であった。このとき、原料ガスを低減させ、次いで停止させた後に反応器の熱媒温度を355℃まで上昇させた。このときの混合ガス量は132.0Nm3/hであり、反応器入口と出口の二酸化炭素濃度の差分は2110ppmであった。この状態で35時間経過した後に反応器入口と出口の二酸化炭素の差分が100ppm以下となったため、反応器熱媒温度を低減させ、次いで反応器に原料ガスを11.6Nm3/hr供給した。このときの混合ガス流量は142.8Nm3/h(u:0.000022、G:0.80)、該差圧は18kPa、該εは0.331であり、酸化脱水素反応開始時の空隙率εに比して85.3%となった。この状態で反応を継続したところ、急激に反応器前後の差圧が上昇し、運転を継続することが不可能となった。更に、運転停止後に、反応器を開放して反応管内の触媒を抜き出したところ、反応器内の触媒層中の全
触媒のうち、11%の触媒が割れていた。
2 クエンチ塔
3,6,13 冷却器
4,7,14 ドレンポット
8A,8B 脱水器
9 加熱器
10 溶媒吸収塔
11 脱気塔
12 溶媒分離塔
101〜121 配管
Claims (5)
- 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して、触媒層を有する反応器に供給し、酸化脱水素反応を行うことにより対応する共役ジエンを生成し、該共役ジエンを含む生成ガスを得る際に、下記式(1)で示される酸化脱水素反応中の該触媒層の空隙率εが、酸化脱水素反応開始時における触媒層の空隙率に比して、86〜100%の範囲に制御されることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
- 前記反応器への原料ガスの供給量及び分子状酸素含有ガスの供給量、又は反応器内温度を操作することで、前記触媒層の空隙率εが制御されることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス、およびコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記触媒が、下記一般式(2)で表される複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (2)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。) - 前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分を含むガス、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を多く含むガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
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