JP2012072539A - 繊維製品用処理剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】香りが長続きする繊維製品用処理剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)常圧における融点が30℃以上の油脂と香料組成物との混合物を水に乳化分散させることにより得られる乳化物粒子を含有する水性液体、
(B)カチオン性化合物及び、
(C)シリコーン化合物
を含有する繊維製品用処理剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、衣類等の繊維製品に適用して柔軟性を付与することができる、香りが長続きする繊維製品用処理剤組成物に関する。
本発明はまた、衣類等の繊維製品に適用して種々の機能を付与することができる機能性繊維製品用処理剤組成物及びその製造方法に関する。
香気の放出を長続きさせる技術を一般にロングラスティング技術という。この技術は、当該技術分野でも利用されており、香料を含む柔軟剤、仕上げ剤又は繊維製品用処理剤を繊維製品に適用して香料を繊維製品に付着させている。当該技術分野におけるロングラスティング技術として、マイクロカプセルの活用(例えば、特許文献1)、香料前駆体の使用(例えば、特許文献2)、特定の香料成分の組合せ(例えば、特許文献3)などが公開されている。
しかしながら、マイクロカプセルを活用する技術は、持続効果は高いが、繊維製品を擦ることでカプセルを破壊し、香りを発散させる技術であり、カプセルが破壊されなければ香りは持続しない。従って、マイクロカプセルを破壊し得る程度の力が繊維製品に加わらないような状況下でのロングラスティング効果は期待できない。また、擦ることによって繊維製品が傷むこともある。香料前駆体を使用した場合、前駆体から放出される香料成分の香りが持続するが、残香の香調が限定される。特定の香料の組合せの場合、ラストノートとよばれる成分の香りが持続するが、残香の香調が限定される。
他方、消費者ニーズ等の点から、繊維処理剤には、洗濯後の繊維製品に、柔軟性や残香性以外の新しい機能を付与できることが要求されている。
かかる要求に対して、繊維製品が経時的に変色するのを抑制するため、紫外線吸収剤を、カチオン性化合物と酸化防止剤と水溶性溶剤に配合して得られる繊維処理剤が開示されている(特許文献4参照)。
特開2006-249326号公報 特開2003-534449号公報 特開2006-124884号公報 特開2009-7731号公報
従って、本発明は、繰り返し使用しても、香料を適用した繊維製品を擦ることなく、トップノートを含むフレッシュな香りが長続きする繊維製品用処理剤組成物を提供することを目的とする。
また、従来の繊維製品用処理剤組成物を製造する場合、機能性成分の種類によっては安定に配合することが難しく、柔軟性や残香性以外の新しい機能を付与すること自体が困難であった。
特許文献4に記載された技術では、洗濯におけるすすぎの際、繊維製品の変色を抑制する効果を発揮する機能性成分(紫外線吸収剤)がすすぎ液と共に排出されやすいため、繊維製品に充分に残存させることが困難であった。
従って、本発明はまた、繊維製品への機能性成分の吸着性が高く、柔軟性だけでなく、さらに種々の機能を繊維製品に付与することができ、更に繰り返しの使用により、より吸着性を向上させることが可能な機能性繊維製品用処理剤組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、香料組成物を乳化物粒子の芯物質、油脂を乳化物粒子の壁材とした香料の乳化物粒子と、カチオン性化合物とを併用し、さらにシリコーン化合物を含ませることで、香料の乳化物粒子の吸着性を更に向上させることにより、繰り返し使用後も効果的に香料乳化物粒子を繊維製品に吸着させ、香りが長続きすることを見出した。すなわち、本発明は、
(A)常圧における融点が30℃以上の油脂と香料組成物との混合物を水に乳化分散させることにより得られる乳化物粒子を含有する水性液体、
(B)カチオン性化合物、及び
(C)シリコーン化合物
を含有する繊維製品用処理剤組成物を提供する。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(A)成分の油脂が常圧における融点が40℃以上の高級脂肪酸及び/又は高級アルコールであるのが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(A)成分の油脂が、炭素数16〜24の高級アルコール及び/または高級脂肪酸であるのが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(A)成分の油脂が、1-オクタデカノール、1-イコサノール又は1-ドコサノールであるのが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(A)成分の油脂が、1-オクタデカノール及び/または1-ドコサノールと、オクタデカン酸及び/またはドコサン酸との混合物であるのが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(C)成分がポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーン及びアルキル変性シリコーンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(C)成分がポリエーテル変性シリコーンであるのが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(B)成分のカチオン性化合物が、下記式(I)、(II)及び/又は(IV)で表される化合物の中和物及び/又は4級化物であるのが好ましい。
Figure 2012072539
(式中、R1は、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数12から20の炭化水素基を表す。
R2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を示す。
R3は、同一でも異なっていてもよく、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数8から12の炭化水素基を表す。
本発明はまた、
(A')(a'1)常温における融点が30℃以上の油脂と、(a’2)忌避剤、冷温感刺激剤、皮膚保護成分、紫外線吸収剤、抗菌剤及び抗ウイルス剤からなる群から選択される一種以上の機能性成分との混合物と、水との乳化物、
(B')カチオン性化合物、及び
(C')シリコーン化合物
を含有する機能性繊維製品用処理剤組成物を提供する。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物において、前記機能性成分(a'2)が、ジエチルトルアミド、パラメンタン−3,8−ジオール、アニスオイル、シンナミックアセテート、ネリルプロピオネート、メチルアンスラニレート、シトロネラ、蟻酸ネリル、環状テルペンアルコール、ヒノキ油、ベバー油、ブロモアンファー、ローレル油、ユーカリプタス油からなる群から選択される一種以上の忌避剤を含むことが好ましい。
また、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物において、前記機能性成分(a'2)が、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、バニリルブチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルペンチルエーテル、トウガラシエキス、メントール、メントール誘導体、カンフルからなる群から選択される一種以上の冷温感刺激剤を含むことが好ましい。
また、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物において、前記油脂(a'1)が、融点が40℃以上の高級アルコール、及び融点が40℃以上の高級脂肪酸からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
また、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物において、前記油脂(a'1)が、炭素数16〜24の高級アルコール、及び炭素数16〜24の高級脂肪酸からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
本発明はまた、前記本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物の製造方法であって、
(i)(a'1)油脂と(a'2)機能性成分とを混合して混合物を得る工程と、
(ii)該混合物を水に乳化分散させて、これらの乳化物(A')を得る工程と、
(iii)(A')乳化物と、(B')カチオン性化合物と、(C')シリコーン化合物とを混合する工程と
を含む前記製造方法を提供する。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物の製造方法において、前記工程(iii)は、前記(B')カチオン性化合物と(C')シリコーン化合物と水とを乳化して乳化物(D')を得る操作、及び該乳化物(D')と前記乳化物(A')とを混合する操作を含むことが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物によれば、繰り返し使用しても、残香性が向上するとともに、残香の香調が、トップノートを含むフレッシュな香りである繊維製品用処理剤組成物を提供することができる。本発明によればまた、特に綿布に対してサラサラ感を付与できる。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物によれば、繊維製品への機能性成分の吸着性が高く、柔軟性だけでなく、さらに種々の機能を繊維製品に付与することができる。更に繰り返し使用において吸着性を増大させることができる。
実施例で用いた油脂 a-3/a-5=1/12(wt/wt)混合物のDSCチャート 実施例で用いた油脂 a-3/a-5=1/5(wt/wt)混合物のDSCチャート
本発明の繊維製品用処理剤組成物について説明する。
〔A成分〕
<油脂>
本発明において、油脂は、乳化物粒子の壁材として作用する。本発明において用いることのできる油脂は、常圧における融点が30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であって、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
融点が30℃以上であると、繊維製品用処理剤組成物中に含まれる乳化物粒子の高温保存時の安定性に優れている点、及び洗濯処理時に繊維製品に付いたトップノートを含むフレッシュな香りが乾燥時の外気温や室温に影響されず長続きする点で好ましい。なお、融点は、示差走査熱量測定法(DSC)などにより測定することができる。具体的には、DSC120(セイコーインスツル(SII)社製)を用いて測定することができる。具体的には、示差走査熱量計(例えば、DSC120(セイコーインスツル(SII)社製))を用いて測定することができる。融点を測定したい化合物を測定用セルにいれ、20℃から90℃まで、2℃/分の昇温速度で加温し、DSCの吸熱ピークから融けはじめの温度を読み取り、融点とする。但し、混合物など、融けはじめの温度が明確でない場合にはピークトップの温度を融点とする。ピークが複数現れる場合、最も大きなピークのピークトップの温度を融点とする。対照はアルミナを用いる。
本発明において使用できる油脂として、具体的には高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸グリセリンエステルなどが挙げられる。
本発明で使用可能な高級アルコールは、具体的には、炭素数が14以上、好ましくは18以上であって、好ましくは24以下の鎖式アルコールである。具体的には、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−イコサノール、1−ドコサノールなどが挙げられる。中でも1−オクタデカノール、1−イコサノール、1−ドコサノールが好ましい。これらを単独で使用することもできるし、二種以上を混合して使用することもできる。
本発明で使用可能な高級脂肪酸は、具体的には、炭素数12以上、好ましくは14以上、より好ましくは16以上であって、好ましくは24以下、より好ましくは22以下の鎖状飽和モノカルボン酸である。具体的には、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸などが挙げられる。中でもオクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸が好ましい。これらを単独で使用することもできるし、二種以上を混合して使用することもできる。
脂肪酸グリセリンエステルとしては、炭素数16以上の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノ-、ジ-又はトリエステル、具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテートなどが挙げられる。このうち、グリセリンモノステアレートが好ましい。
高級アルコール、高級脂肪酸及び脂肪酸グリセリンエステルから選ばれる2種又は3種の混合物を使用することもできる。混合物としては、高級アルコールと高級脂肪酸との混合物が好ましい。
油脂としては、炭素数が14〜24の高級アルコール又は高級脂肪酸が好ましい。融点が50℃以上の高級脂肪酸又は高級アルコールがより好ましい。融点が50℃以上の高級アルコールが更に好ましく、1−オクタデカノール、1−ドコサノールが特に好ましい。
また、高級アルコールと高級脂肪酸を混合することも好ましい。混合物として最も好ましいのは、1−オクタデカノール及び/または1−ドコサノールから選ばれる高級アルコールと、オクタデカン酸及び/またはドコサン酸から選ばれる高級脂肪酸の混合物である。高級アルコールと高級脂肪酸の混合比率は質量比で30:1〜1:1、好ましくは15:1〜2:1である。高級アルコールと高級脂肪酸の混合比率がこの範囲にあると、残香強度を高めることができるために、好ましい。
(A)成分のハンドリング性を向上させるためには、常温における粘度(25℃)が10〜300mPa・sであるのが好ましい。高級アルコールと高級脂肪酸を混合すると粘度が高くなる傾向があり、ハンドリング面からは、油脂は単独で用いることが好ましい。
油脂は、本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体中に5〜30質量%の量で含まれるのが好ましく、5〜20質量%の量で含まれるのがより好ましい。
一方、本発明の繊維製品用処理剤組成物中に含まれる油脂の量としては、0.1〜5質量%の量で含まれるのが好ましい。本発明の繊維製品用処理剤組成物の香気強度を適度なものにする、または繊維製品用処理剤組成物中での安定性を確保する観点からは油脂の量として好ましくは0.3〜5質量%の量で含まれるのが好ましい。
<香料組成物>
本発明において用いることのできる香料組成物は、繊維製品用処理剤組成物、繊維製品用仕上げ剤組成物又は柔軟剤組成物に一般的に使用される香料成分を1種類以上含む香料組成物である。
前記香料成分の具体例としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
前記アルデヒド類としては、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC−12MNA、ミラックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、ヘリオナールなどが挙げられる。
前記フェノール類としては、オイゲノール、イソオイゲノールなどが挙げられる。
前記アルコール類としては、バクダノール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
前記エーテル類としては、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
前記エステル類としては、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルプロピオネート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、p−クレジルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ−β−ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β−フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネート、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
前記ケトン類としては、α−イオノン、β−イオノン、メチル−β−ナフチルケトン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、シス−ジャスモン、メチルイオノン、アリルイオノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンなどが挙げられる。
前記ラクトン類としては、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ドデカラクトン、クマリン、アンブロキサンなどが挙げられる。
前記ムスク類としては、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、ニトロムスク類などが挙げられる。
前記テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン、カンファー(樟脳)、ボルネオールなどが挙げられる。
前記天然香料としては、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油、タイム油などの精油が挙げられる。
前記動物性香料としては、じゃ香、霊猫香、海狸香、竜涎香などが挙げられる。
香料には通常用いる溶剤を配合してもよい。香料用溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
これら溶剤の使用量は、香料組成物中に例えば0.1〜30質量%配合されるが、好ましくは1〜20質量%配合される。
[沸点]
香料成分の沸点は、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「香料と調香の基礎知識」、産業図書(1995)に記載されており、本明細書ではそれらの文献から引用する。
[ClogP]
ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。前記ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さい香料成分を多く含む香料組成物は、ClogP値が大きい香料成分を多く含む香料組成物よりも親水的な香料組成物であるといえる。前記ClogP値が、好ましい範囲内であると、親水性の香料成分と疎水性の香料成分とがバランス良く組み合わされているために、より香気バランスに優れ嗜好性が高い香料となる点で有利である。
香りのフレッシュ感と嗜好性の点から、常圧での沸点が260℃未満であって、ClogP値が1.0以上8.0以下である香料成分を、香料成分とし30質量%(以後単に%と表記)以上、より好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上、更に特に好ましくは90%以上含有することが望ましい。
本発明で用いる香料組成物としては、アニスアルデヒド、アンブロキサン、イソイースーパー、γ−ウンデカラクトン、オイゲノール、オレンジテルペンオイル、ガラクソライド、クマリン、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、1,8−シネオール、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ゼラニウムオイル、ターピネオール、ダマスコン、ダマセノン、1−デカナール、テトラハイドロリナロール、トナライド、バクダノール、バニリン、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン、ベルテネックス、ベルドックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、メチルイオノン、2−メチルウンデカナール、l−メントール、ラズベリーケトン、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズ、ベンジルベンゾエート及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の香料を含有するものが好ましい。
より好ましくは、以下の(i)から(iv)からなる群から選ばれる香料組成物である:
(i)アニスアルデヒド、アンブロキサン、イソイースーパー、インドール、γ−ウンデカラクトン、エチルバニリン、オイゲノール、オレンジテルペンオイル、カシュメラン、ガラクソライド、クマリン、ゲラニオール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ゼラニウムオイル、ダマスコン、ダマセノン、1−デカナール、テトラハイドロリナロール、トナライド、バクダノール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン、ベルテネックス、ベルドックス、ベルトフィックス、ベンジルサリシレート、2−メチルウンデカナール、l−メントール、ラズベリーケトン、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リリアール、ローズ、ベンジルベンゾエート、ジプロピレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種の香料を含有する香料組成物;
(ii)アニスアルデヒド、アンブロキサン、イソイースーパー、インドール、γ−ウンデカラクトン、エチルバニリン、オイゲノール、オレンジテルペンオイル、カシュメラン、ガラクソライド、クマリン、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ゼラニウムオイル、ターピネオール、ダマスコン、ダマセノン、1−デカナール、テトラハイドロリナロール、トナライド、バクダノール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン、ベルテネックス、ベルドックス、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、2−メチルウンデカナール、ラズベリーケトン、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズ、ベンジルベンゾエート、ジプロピレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種の香料を含有する香料組成物;
(iii)アニスアルデヒド、アンブロキサン、イソイースーパー、インドール、γ−ウンデカラクトン、エチルバニリン、オイゲノール、オレンジテルペンオイル、カシュメラン、ガラクソライド、クマリン、シトラール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ゼラニウムオイル、ダマスコン、ダマセノン、1−デカナール、テトラハイドロリナロール、トナライド、バクダノール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン、ベルテネックス、ベルドックス、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、メチルイオノン、2−メチルウンデカナール、ラズベリーケトン、リナロール、リモネンリリアール、ローズ、ベンジルベンゾエートジプロピレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種の香料を含有する香料組成物;
(iv)アニスアルデヒド、アンブロキサン、イソイースーパー、インドール、γ−ウンデカラクトン、エチルバニリン、オイゲノール、カシュメラン、ガラクソライド、クマリン、ゲラニオール、シトラール、シトロネロール、1,8−シネオール、ターピネオール、ダマスコン、ダマセノン、1−デカナール、トナライド、バクダノール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン、ベルテネックス、ベルドックス、ベルトフィックス、ベンジルサリシレート、メチルイオノン、2−メチルウンデカナール、l−メントール、ラズベリーケトン、リナロール、リモネン、リラール、ローズ、ベンジルベンゾエート、ジプロピレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種の香料を含有する香料組成物。
香料組成物は、本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体中に5〜30質量%の量で含まれるのが好ましい。香り強度を適度なものにし、香りを長続きさせる観点から、10〜20質量%がより好ましい。
一方、繊維製品用処理剤組成物中の香料組成物の配合量は、香料成分として、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5%〜3質量%である。香料組成物の種類にもよるが、配合量が0.1%未満であると香気が弱く、香りのフレッシュ感を感じにくく、残香の効果がわかりにくい。5%以上配合しても、香りが強くなりすぎるために好ましくない。
本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体中、油脂と香料組成物の配合量比率は、質量比で1:5〜5:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1:3〜3:1である。配合比率がこの範囲にあると、本発明の(A)成分を含む繊維製品用処理剤組成物を仕上げ剤処理した処理布等の対象物の香り強度を適度なものにし、トップノートを含むフレッシュな香りを長続きさせることができる。なお、ここでの香料組成物の割合は、香料組成物中に含まれる香料成分としての量に基づく。
本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体には、本発明の効果を妨げない限り、水溶性溶剤、乳化剤を配合することも可能である。水溶性溶剤と乳化剤を併用することにより、本発明の(A)成分である香料乳化物粒子の平均粒子径を後述する範囲に収め、残香強度をより高めることができる
<水溶性溶剤>
本発明で使用できる水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数2〜3の1級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数2〜6のグリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数3〜8の多価アルコールが挙げられる。香気や価格の点からエタノール、グリセリンが好ましい。
水溶性溶剤は、本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体中に0〜30質量%、好ましくは3〜20質量%の量で含まれるのが好ましい。この範囲にあると、残香する香り強度が良好となる。
一方、繊維製品用処理剤組成物中の水溶性溶剤の配合量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である。
<乳化剤>
本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体に乳化剤を含ませることにより香り強度が強くなるので好ましい。
本発明において使用できる乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の界面活性剤が挙げられる。乳化性能に優れ、安価であることから非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が好ましい。
本発明において使用できる非イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(C1〜3)エステルや、オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜100モルである硬化ヒマシ油、などが挙げられる。中でも、炭素数10〜14のアルキル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数が30〜70モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
カチオン性の界面活性剤としては、エステル基またはアミド基で分断されていてもよい炭素数8〜12のアルキル基またはアルケニル基を2つ有する2鎖型のカチオン性界面活性剤、エステル基またはアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を1つ有する1鎖型のカチオン性界面活性剤、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、分子中にエステル基またはアミド基で分断されていてもよい炭素数14〜20のアルキル基またはアルケニル基を2つ有する2鎖型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド及びこれらの混合物が特に好ましい。
乳化剤は、本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体中に0〜30質量%の量で含まれるのが好ましく、1〜30質量%の量で含まれるのがより好ましい。このような量で含まれることにより、本発明の(A)成分である乳化物粒子の平均粒子径を容易に好ましいものにすることができる。
一方、繊維製品用処理剤組成物中の乳化剤の配合量は、好ましくは0〜0.5質量%、より好ましくは0.01%〜0.5質量%、更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。
なお、乳化剤としてカチオン界面活性剤を使用した場合、後述する(B)成分と同じカチオン性化合物を用いてもよいし、異なる化合物を使用してもよい。
本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体は、以下のようにして調製することができる。すなわち、油脂をその融点以上に加温して液状とする。そこに液状の香料組成物及び場合により水溶性溶剤、乳化剤を添加し、液状の混合物を調製する。この混合物を油脂の融点以上に予め加温したイオン交換水に、撹拌下で滴下し、常温まで冷却する事により乳化物粒子を調製することができる。もちろん、油脂、香料組成物、水溶性溶剤、乳化剤を混合した後に、油分の融点以上に加温してもかまわない。
本発明の(A)成分である乳化物粒子を含有する水性液体には、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、pH調整剤等の添加剤を通常の使用量の範囲内で更に配合することも可能である。
本発明のA成分である乳化物粒子を含有する水性液体の25℃における粘度は、10〜300mPa・sであるのが好ましく、10〜200mPa・sであるのがより好ましい。このような範囲にあると、ハンドリング性がより向上するので好ましい。尚、本発明の(A)成分の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定することができる。
本発明の(A)成分である水性液体中の乳化物粒子の平均粒子径は100μm〜0.1μmであることが好ましく、さらに好ましくは50μm〜0.1μm、最も好ましくは50μm〜5μmである。この範囲にあると、黒色など濃色な繊維製品に本発明の乳化物粒子が吸着・付着した場合にも、粒子が目立たなく、また、(A)成分を含む繊維製品用処理剤組成物を仕上げ剤処理した処理布等の対象物の香り強度を良好なものにすることができるために好ましい。粒子径は、一般的な粒度分布計(例えば大塚電子株式会社 粒径アナライザー FPAR−1000、株式会社堀場製作所 LASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZERなど)を用いて測定することができる。
〔B成分〕
本発明のB成分は、A成分中の乳化物粒子及びC成分であるシリコーン化合物を繊維製品の表面に効率的に吸着させる作用を有する。
本発明において用いることのできるB成分としては、水溶性のカチオン性化合物及び水不溶性のカチオン性化合物があげられ、それぞれを単独で用いても、混合物として用いてもかまわない。なお、本明細書において「水溶性」とは、25℃の水100gに1g以上溶解する場合をいい、「水不溶性」とは、25℃の水100gへの溶解度が1g未満である場合をいう。
水溶性のカチオン性化合物としては、下記一般式(I)または(II)で示される3級アミン化合物の中和物又は4級化物、及び水溶性の高分子化合物が好ましい。
Figure 2012072539
式中、R1は、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数12から20の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。R1としては、炭素数14〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数14〜20の直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数14〜18の直鎖アルキル基がさらに好ましい。
R2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を示す。R2としては、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
R3は、同一でも異なっていてもよく、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数8から12の炭化水素基を表す。炭化水素基は、R1について述べたのと同じである。R3としては、デシル基、ドデシル基、デシロイルオキシエチル基が好ましい。
中和物を構成する酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。中和物としては、上記式(I)又は(II)で表される3級アミンを予め中和したものを使用してもよいし、これらの酸を含有する水溶液中に、上記3級アミンを液状又は固体状で投入して得られたものを使用してもよい。上記3級アミンと酸とを同時に水に投入して得られたものでもよい。
上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
一般式(I)または(II)で示される3級アミンの中和物又は4級化物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアロイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N―ジデシロイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートなどが好ましく、中でも、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアロイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートが特に好ましい。
上記式(I)又は(II)で表される3級アミンの中和物又は4級化物の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の全質量をベースとして、1〜20質量%とするのがよく、さらに好ましくは1.5〜16質量%とするのがよい。配合量をこのような条件を満たすことにより、A成分中の乳化物粒子及びC成分であるシリコーン化合物を効率的に繊維へ吸着させることができ、且つ多量の配合が必要となって経済的でないケースを防止することができる。
水溶性のカチオン性高分子化合物としては、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、例えば0.1〜35%であるのがよく、特に2.5%以上が好ましく、例えば2.5〜20%であるのがよい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、乳化物粒子を効率的に繊維へ吸着させることができ、かつ、多量の配合が必要となって経済的でないケースを防止することができる。
ここで、カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記式(1)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 …式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 …式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
カチオン化度の算出例として、下記一般式(III)で表されるMERQUAT280(NALCO社製)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100=3.0
である。
Figure 2012072539
上記記載のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0%となる。
本発明で用いることのできる水溶性のカチオン性高分子は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより、本発明の組成物の粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
本発明で用いることのできる水溶性のカチオン性高分子の具体例としては、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550 JL5(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。中でも、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、カチオン化セルロースが特に好ましい。
水溶性カチオン性高分子化合物の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の全質量をベースとして、1〜10質量%とするのがよい。配合量をこのような範囲のものとすることにより、乳化物粒子の繊維製品への吸着効果を高めて、本発明の組成物の粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
水不溶性のカチオン性化合物としては、下記一般式(IV)で示されるアミンの中和物や4級化物が好ましい。
Figure 2012072539
式中、R4は、同一でも異なっていてもよく、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数14〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は、R1について述べたのと同じである。R4としては、炭素数16〜20のエステル基またはアミド基で分断されてもよい炭化水素基が好ましく、炭素数18〜20のエステル基またはアミド基で分断されてもよい直鎖アルキル基またはアルケニル基がさらに好ましい。
R5は、R4、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキアルキル基を示す。R5としては、R4、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、R4、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
上記式(IV)で表される3級アミンの中和物を構成する酸及び4級化に用いる4級化剤は、式(I)及び(II)の化合物について述べたのと同じである。
一般式(IV)で表される水不溶性の3級アミンの中和物又は4級化物としては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートなどが挙げられ、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが特に好ましい。
上記式(IV)で表される水不溶性の3級アミンの中和物又は4級化物の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の全質量をベースとして、1〜20質量%とするのがよく、さらに好ましくは1.5〜16質量%とするのがよい。配合量をこのような範囲のものとすることにより、乳化物粒子の繊維製品への吸着効果を高めるとともに、良好な柔軟性を繊維製品に付与でき、さらに繊維製品用処理剤組成物の粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
B成分としては、式(I)又は式(IV)で表される3級アミンの4級化物が好ましく、これらの混合物がより好ましい。
〔C成分〕
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、シリコーン化合物は、繰り返し処理時にA成分の香りの持続性を向上させることが可能になる。一般的に繊維製品処理に使用されているシリコーン化合物を使用できる。繊維製品処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリグリセロール変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
このシリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
シリコーン化合物の25℃における動粘度は、10〜100,000,000mm2/sであるのが好ましく、1,000〜100,000mm2/sであるのがより好ましい。動粘度がこのような範囲にあると、配合のし易さの点で好ましい。
シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。(C)成分のシリコーン化合物は、綿布にサラサラ感を付与する観点からポリエーテル変性シリコーン、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、及びアルキル変性シリコーンが好ましく、特にポリエーテル変性シリコーンがサラサラ感の付与効果が高く好ましい。
好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(V)又は(VI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012072539
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10〜10000、好ましくは100〜300、Nは1〜1000、好ましくは1〜100、かつM>Nであることが好ましく、aは2〜100、好ましくは2〜50、bは0〜50、好ましくは0〜10である。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
一般式(V)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。従って、ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、ポリエーテル変性シリコーン中の存在量として30ppm以下(−Hの量として)で存在していることが好ましい。
Figure 2012072539
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aは5〜10000、Bは2〜10000であることが好ましく、hは2〜100、iは0〜50が好ましい。Rとしては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、式(VI)で表わされるブロック共重合体の重量平均分子量は、柔軟性及び滑らかさ付与の観点から15,000〜100,000,000であることが好ましい。
上記式(VI)で表される線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、東レ・ダウ コーニング(株)製のSH3772M、SH3775、SH3775M、SH3749、FZ−2161、FZ−2203、信越化学工業(株)製のKF6011、KF6012、KF6013、KF6016、KF6017、モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製のSILWET L-7001、TSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
本発明で用いることのできる前記以外のシリコーン化合物としては市販品を使用することができ、例えば以下のものが上げられる。
ジメチルシリコーン
SH200C−1,000CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
SH200C−5,000CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
SH200C−30,000CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
SH200C−60,000CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
SH200C−100,000CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
SH200C−1,000,000CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
アミノ変性シリコーン
BY16−849(東レ・ダウコーニング(株)製)
BY16−853C(東レ・ダウコーニング(株)製)
BY16−872(東レ・ダウコーニング(株)製)
BY16−892(東レ・ダウコーニング(株)製)
BY16−879B(東レ・ダウコーニング(株)製)
TSF4706(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製)
アルキル変性シリコーン
SF8416(東レ・ダウコーニング(株)製)
BY16−846(東レ・ダウコーニング(株)製)
AMS−C30(東レ・ダウコーニング(株)製)
SILSOFT034(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製)
アミド・ポリエーテル変性シリコーン
BY16−878(東レ・ダウコーニング(株)製)
BY16−891(東レ・ダウコーニング(株)製)
本発明の組成物におけるC成分の配合量は、特に制限されるものではなく、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%配合するのがよい。配合量が少ないと繰り返し処理によるA成分の香りの持続性向上効果が悪く、多すぎると繊維製品処理剤組成物の粘度が上昇し、使用性が悪化する。
また、A成分中の香料組成物とC成分のシリコーン化合物との質量比は、繊維製品用処理剤組成物中に、好ましくは、A成分中の香料組成物/C成分=5/95〜95/5、より好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜60/40である。この範囲にあると、繰り返し処理時の残香性向上効果が判りやすい。
その他の成分:
本発明の組成物は、繊維製品用処理剤組成物に通常含まれる成分、例えば組成物の色調や臭いが劣化することを抑制する目的でジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤やヒドロキシエタンジホスホン酸などのキレート剤を組成物中に0〜1質量%、組成物で処理した布や衣類に抗菌性を付与したり、汗臭などの発生を抑制する目的で塩化ベンザルコニウムなどの抗菌剤を組成物中に0〜3質量%、組成物に防腐性を高めるためにイソチアゾロン液や2-ニトロ-1,3−プロパンジオールなどの防腐剤を組成物中に0〜0.1質量%、組成物に好ましい色調を付与する目的で酸性染料や直接染料などを組成物中に0〜0.1質量%、組成物の分散安定性を付与する目的で、アルコールエトキシレートや硬化ひまし油のアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤を組成物中に0〜5質量%(この非イオン界面活性剤は本発明のA成分を調製する際に用いても良い非イオン界面活性剤と同じであっても異なっていても良い)、組成物自体の紫外線に対する安定性を向上させるために、或いは組成物で処理した衣類に紫外線吸収効果を付与する目的でベンゾフェノン3などの紫外線吸収剤を組成物中に0〜3質量%、組成物の安定性やハンドリング性を向上させる目的でエタノールやグリセリンなどの水溶性溶剤を組成物中に0.05〜10質量%(この水溶性溶剤は本発明のA成分を調製する際に用いても良い水溶性溶剤と同じであっても異なっていても良い)含有していてもよい。
本発明の組成物は、25℃におけるpHが2.0〜7.0であるのが好ましい。なお、pHの測定は、pHメーターを使用し本発明の組成物を希釈せずに行う。
本発明の繊維製品用処理剤組成物の25℃における粘度は、10〜1000mPa・sであるのが好ましい。このような範囲にあると、ハンドリング性がより向上するので好ましい。尚、本発明の組成物の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定することができる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物の調製方法は特に限定されないが、特に特開平2-68137号、特開平10-237762号公報、特開2003-96674号公報に開示されている、液晶転相乳化法が好ましい。具体的には、(B)カチオン性化合物、(C)シリコーン化合物、及び必要によりノニオン性界面活性剤を混合することにより油相を得る。該油相と、必要により、前記任意成分のうちの水溶性成分を含む水相の一部とを、(B)成分の相転移温度(Tc)以上の温度で混合して、高濃度のカチオン性化合物を含む液晶組成物を形成する。次いで、該液晶組成物に残りの水相を添加して液晶組成物をO/W型エマルションへ転相し、室温まで冷却し、その後、(A)成分の乳化物粒子を添加し、攪拌するという方法により、本発明の繊維製品用処理剤組成物を調製することができる。
別法として、(C)シリコーン化合物、水、必要によりノニオン界面活性剤を攪拌し、さらに(B)カチオン性化合物を添加し、十分に攪拌後、(A)乳化物粒子を添加し、攪拌するという方法でも本発明の繊維製品用処理剤組成物を調製することもできる。
いずれの方法による場合も、(A)成分を添加する際、(B)+(C)成分の温度が30℃より下の温度で添加することが好ましい。30℃以上で添加すると乳化物粒子が融解し、香り持続効果が低下する可能性がある。
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、例えば、洗濯の際のすすぎ時にすすぎ水に添加することにより使用することができる。別の例として、トリガー容器やディスペンサー容器、エアゾール缶などに充填し、繊維製品に直接噴霧することにより使用することもできる。
本発明の組成物は、繊維製品の原料が天然繊維でも合成繊維でも区別なく使用することができる。
次に、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物について説明する。
<機能性繊維製品用処理剤組成物>
[(A')成分]
(A')成分は、(a'1)融点が30℃以上の油脂(以下「(a'1)成分」ともいう。)、及び(a'2)忌避剤、冷温感刺激剤、皮膚保護成分、紫外線吸収剤、抗菌剤及び抗ウイルス剤からなる群から選択される一種以上の機能性成分(以下「(a'2)成分」ともいう。)との混合物と、水との乳化物である。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物においては、(a'2)成分を直接、そのまま配合するのではなく、(a'1)成分と共に水と乳化して得られる乳化物として配合することにより、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が高まり、種々の機能を繊維製品に付与することができる。
乳化物は、水中油滴(O/W)型エマルションもしくは油中水滴(W/O)型エマルションのいずれであってもよく、又はこれら以外の型のエマルションであってもよく、なかでも分散安定性が良好であることから、水中油滴(O/W)型エマルションであることが好ましい。
(A')成分の25℃における粘度は、10〜300mPa・sであることが好ましく、10〜200mPa・sであることがより好ましい。この範囲にあると、(A')成分のハンドリング性がより向上する。
本発明において「粘度」は、試料を25℃に調整し、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定される値を示す(測定条件:ロータNO.2、回転数30rpm、10回転後の粘度を測定する)。
(A')成分中の乳化物粒子の平均粒子径は、0.1〜100μmであることが好ましく、0.1〜50μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。この範囲にあると、(a'2)成分の吸着により発揮される効果の持続性がより向上する。また、繊維製品が特に黒色などの濃色のものである場合、洗濯乾燥の後、繊維製品に残存した乳化物粒子の付着跡が残りにくくなる。
本発明において「平均粒子径」は、粒度分布計を用いて測定される体積平均粒子径をいう。該粒度分布計としては、大塚電子株式会社製の粒径アナライザーFPAR−1000、株式会社堀場製作所製のLASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZER等を用いることができる。
(融点が30℃以上の油脂(a'1))
(a'1)成分の融点は30℃以上であり、好ましくは融点が40℃以上であり、より好ましくは50℃以上である。一方、(a'1)成分の融点の上限値は、好ましくは融点が100℃以下であり、より好ましくは90℃以下であり、さらに好ましくは80℃以下である。
(a'1)成分の融点が下限値以上であると、機能性繊維製品用処理剤組成物を高温条件で保存した際、(A')成分の分散安定性がより向上する。また、洗濯の後、繊維製品に吸着した(a'2)成分による効果が、外気温や室温に影響されず、長く持続しやすいため、好ましい。(a'1)成分の融点が上限値以下であると、ハンドリング性が良く、配合しやすい。
本発明において「融点」は、常圧のもとでの融点をいう。融点は、油化学辞典−脂質・界面活性剤−(丸善)に記載されている値、又は、示差走査熱量測定(DSC)法により測定される値を示す。
DSC法により測定する場合、示差走査熱量計(製品名:DSC120、セイコーインスツル(SII)社製)を用い、試料を測定用セルに入れ、20℃から90℃まで、2℃/分の昇温速度で加温し、吸熱ピークから融け始めの温度を読み取ることで融点とする。
ただし、試料が複数の油脂からなる混合物の場合など、融け始めの温度が明確でないときにはピークトップの温度を融点とする。複数のピークが現れる場合、ピーク面積(転移エンタルピー)が最も大きなピークのピークトップの温度を融点とする。対照にはアルミナを用いる。
融点が30℃以上の油脂(a'1)としては、高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸グリセリンエステル等が挙げられる。
高級アルコールは、炭素数の下限値が好ましくは14以上、より好ましくは16以上であり、さらに好ましくは18以上であり、炭素数の上限値が好ましくは24以下であり、そのなかでも鎖式アルコールが特に好ましい。具体的には、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−イコサノール、1−ドコサノール等が挙げられ、なかでも1−テトラデカノール、1−オクタデカノール、1−イコサノール、1−ドコサノールが好ましく、1−オクタデカノール、1−イコサノール、1−ドコサノールがより好ましい。
高級脂肪酸は、炭素数の下限値が好ましくは12以上、より好ましくは14以上、さらに好ましくは16以上であり、炭素数の上限値が好ましくは24以下、より好ましくは22以下であり、そのなかでも鎖状飽和モノカルボン酸が特に好ましい。具体的には、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸などが挙げられ、なかでもオクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸が好ましい。
脂肪酸グリセリンエステルは、炭素数16以上の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノ、ジ又はトリエステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート等が挙げられ、なかでもグリセリンモノステアレートが好ましい。
(a'1)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なかでも、(a'1)成分としては、水温が高くなる夏場においても乳化物粒子の吸着を高めるという観点から、融点が40℃以上の高級アルコール、及び融点が40℃以上の高級脂肪酸から選択される一種以上であることが好ましく、融点が50℃以上の高級アルコール、及び融点が50℃以上の高級脂肪酸から選択される一種以上であることがより好ましい。
また、(a'1)成分としては、高温条件での保存安定性を考慮し、融点が高いものを選ぶという観点から、炭素数16〜24の高級アルコール、及び炭素数16〜24の高級脂肪酸から選択される一種以上であることが好ましい。
二種以上の(a'1)成分を用いる場合、(a'1)成分としては、高級アルコール、高級脂肪酸及び脂肪酸グリセリンエステルから選択される二種以上を用いることが好ましく;高級アルコール、高級脂肪酸及び脂肪酸グリセリンエステルから選択される二種又は三種の混合物を用いることがより好ましく、高級アルコールと高級脂肪酸との混合物を用いることが特に好ましい。
(a'1)成分として高級アルコールと高級脂肪酸との混合物を用いる場合、1−オクタデカノール及び1−ドコサノールから選択される高級アルコールと、オクタデカン酸及びドコサン酸から選択される高級脂肪酸との混合物を用いることが好ましい。
高級アルコールと高級脂肪酸との混合比率は、質量比で、高級アルコール:高級脂肪酸=30:1〜1:1であることが好ましく、15:1〜2:1であることがより好ましく、13:1〜3:1であることがさらに好ましい。高級アルコールと高級脂肪酸との混合比率がこの範囲にあると、(a'2)成分の吸着性が 向上する。該混合比率において、特に高級脂肪酸の比率が高くなると、(A')成分のハンドリング性が悪くなるため、好ましくない。
(A')成分中、(a'1)成分の含有割合は、5〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(a'1)成分の含有割合が下限値以上であると、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が向上する。一方、(a'1)成分の含有割合が上限値以下であると、(A')成分の粘度が高くなりすぎず、ハンドリング性が向上する。
(機能性成分(a'2))
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物において、機能性成分(a'2)は、忌避剤、冷温感刺激剤、皮膚保護成分、紫外線吸収剤、抗菌剤及び抗ウイルス剤からなる群から選択される一種以上である。ただし、該機能性成分(a'2)は、前記の融点が30℃以上の油脂(a'1)を除くものである。
・忌避剤
本発明において「忌避剤」は、蚊、ブヨ、アブ、刺しバエ、ダニ、蛾、アリ等の昆虫に対して忌避効果を有する成分である。
忌避剤としては、ジエチルトルアミド、パラメンタン−3,8−ジオール、アニスオイル、シンナミックアセテート、ネリルプロピオネート、メチルアンスラニレート、シトロネラ、蟻酸ネリル、環状テルペンアルコール、ヒノキ油、ベバー油、ブロモアンファー、ローレル油、ユーカリプタス油などが挙げられる。
なかでも、特に蚊の忌避効果、その効果の持続性及び安全性がより良好であることから、パラメンタン−3,8−ジオール、ジエチルトルアミド、ローレル油がより好ましく、パラメンタン−3,8−ジオール、ジエチルトルアミドがさらに好ましい。
・冷温感刺激剤
本発明において「冷温感刺激剤」は、繊維に付着してその付着部の温度が低下したり上昇したり変化するのではなく、繊維製品を着用して皮膚にこの薬剤が接触した際に冷たさ又は温かさを感じる成分である。
冷温感刺激剤としては、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、バニリルブチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルペンチルエーテル、トウガラシエキス、メントール、メントール誘導体、カンフルなどが挙げられる。
なかでも、冷温感刺激剤の発揮する効果の持続性がより良好であることから、バニリルブチルエーテル、メントール誘導体がより好ましい。
メントール誘導体としては、l−メンチルグリセリルエーテル、メントキシプロペンジオール等が挙げられる。
・皮膚保護成分
本発明において「皮膚保護成分」は、繊維製品を着用して皮膚にこの薬剤が接触して皮膚の保湿効果が高まる成分である。
皮膚保護成分としては、液体状パラフィン、ワセリン、モンタンロウ、スクアラン、スクアレン、オリーブ油、アボガド油、月見草油、ホホバ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ハッカ油、ヒマワリ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油、セラミド、擬似セラミド類などが挙げられる。
・紫外線吸収剤
本発明において「紫外線吸収剤」は、紫外線を防御する効果のある薬剤であり、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出する成分である。
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
・抗菌剤
本発明において「抗菌剤」は、繊維上での菌の増殖を抑え、さらには微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、ダイクロサン、トリクロサン、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8−オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
・抗ウイルス剤
本発明において、「抗ウイルス剤」は繊維上でウイルスを破壊する効果を有する成分である。抗ウイルス剤としては、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜5モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル、リシノレイン酸モノグリセリド等が挙げられる。
(a'2)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なかでも、(a'2)成分としては、ジエチルトルアミド、パラメンタン−3,8−ジオール、アニスオイル、シンナミックアセテート、ネリルプロピオネート、メチルアンスラニレート、シトロネラ、蟻酸ネリル、環状テルペンアルコール、ヒノキ油、ベバー油、ブロモアンファー、ローレル油、ユーカリプタス油からなる群から選択される一種以上の忌避剤を含むことが好ましい。
また、(a'2)成分としては、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、バニリルブチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルペンチルエーテル、トウガラシエキス、メントール、メントール誘導体、カンフルからなる群から選択される一種以上の冷温感刺激剤を含むことが好ましい。
(A')成分中、(a'2)成分の含有割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(a'2)成分の含有割合が下限値以上であると、(a'2)成分が発揮する効果がより得られやすくなる。一方、(a'2)成分の含有割合が上限値以下であれば、(a'2)成分が発揮する効果が持続しやすくなる。また、機能性繊維製品用処理剤組成物の高温条件での経時安定性が向上する。
(A')成分中、(a'1)成分と(a'2)成分(二種以上含む場合はその全部)との混合比率は、質量比で、(a'1)成分:(a'2)成分=1:3〜3:1の範囲であることが好ましく、1:2〜2:1の範囲であることがより好ましい。(a'1)成分と(a'2)成分との混合比率がこの範囲にあると、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が向上する。
(水)
(A')成分中の水の含有割合は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。
水の含有割合が下限値以上であれば、ハンドリング性が良好となり、一方、水の含有割合が上限値以下であれば、粘度が低くなりすぎず、配合時に撹拌しやすい。
(A')成分には、上記の(a'1)成分、(a'2)成分及び水以外に、必要に応じてその他の成分を含ませてもよい。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物においては、その他の成分として、水溶性溶剤、乳化剤を含有することが好ましく、水溶性溶剤と乳化剤とを併用することが特に好ましい。水溶性溶剤と乳化剤とを併用することにより、(A')成分中の乳化物粒子の平均粒子径が前記の好適な範囲により安定に保たれ、繊維製品への(a'2)成分の吸着性がさらに向上する。
・・水溶性溶剤
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数2〜3の1級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数2〜6のグリコール;グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数3〜8の多価アルコール等が挙げられる。
なかでも、香気や価格の点から、炭素数2〜3の1級アルコール、多価アルコールが好ましく、そのなかでもエタノール、グリセリンが特に好ましい。
水溶性溶剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(A')成分中、水溶性溶剤の含有割合は、30質量%以下が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。水溶性溶剤の含有割合がこの範囲にあると、繊維製品への(a'2)成分の吸着性がより高まり、(a'2)成分が発揮する効果の持続性が向上する。
・・乳化剤
乳化剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが挙げられる。なかでも、乳化性能に優れ、安価であることから、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が好ましい。
カチオン界面活性剤としては、分子中にエステル基もしくはアミド基で分断されていてもよい炭素数8〜12のアルキル基又はアルケニル基を2つ有する2鎖型のカチオン界面活性剤、分子中にエステル基もしくはアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ有する1鎖型のカチオン界面活性剤、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、分子中にエステル基もしくはアミド基で分断されていてもよい炭素数14〜20のアルキル基又はアルケニル基を2つ有する2鎖型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。具体的には、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、又はこれらの混合物が好適なものとして挙げられる。
ここで「分子中にエステル基もしくはアミド基で分断されていてもよいアルキル基又はアルケニル基」とは、炭素鎖の途中(隣り合う炭素原子と炭素原子との間)に、エステル基及びアミド基の一種以上を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を意味する。
ノニオン界面活性剤としては、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(該アルキルの炭素数1〜3)エステル;エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルである硬化ヒマシ油などが挙げられる。中でも、炭素数10〜14のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が30〜70モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
乳化剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(A')成分中、乳化剤の含有割合は、30質量%以下が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
乳化剤の含有割合がこの範囲にあると、(A')成分中の乳化物粒子の平均粒子径を、上述した好適な範囲に容易に制御することができる。そして、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が向上する。
なお、この乳化剤としてカチオン界面活性剤を用いる場合、後述する(B')カチオン性化合物と同じものを用いてもよい。
また、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物においては、その他の成分として、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、pH調整剤等の添加剤を含有してもよい。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、(A')成分の含有割合は、0.01〜20質量%が好ましく、0.02〜15質量%がより好ましい。
(A')成分の含有割合が下限値以上であると、該機能性繊維製品用処理剤組成物中の(A')成分の含有割合が増えるため、繊維への吸着性が増して(a'2)成分が発揮する効果の持続性が高くなる。一方、(A')成分の含有割合が上限値以下であれば、(B')成分による乳化物粒子の吸着が阻害されにくくなる。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、前記(a'1)成分の含有割合は、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
(a'1)成分の含有割合がこの範囲にあると、(A')成分における乳化物粒子の繊維製品への吸着性が向上する。また、該乳化物粒子の機能性繊維製品用処理剤組成物中での分散安定性が良好に保たれやすい。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、前記(a'2)成分の含有割合は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
(a'2)成分の含有割合が下限値以上であると、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が高まり、(a'2)成分が発揮する効果が得られやすい。一方、(a'2)成分の含有割合が上限値以下であれば、機能性繊維製品用処理剤組成物が変色を起こしにくい。
(A')成分が水溶性溶剤又は乳化剤を含有する場合、機能性繊維製品用処理剤組成物中、水溶性溶剤の含有割合は、5質量%以下が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。水溶性溶剤の含有割合がこの範囲にあると、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が高まり、(a'2)成分が発揮する効果の持続性が向上する。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、乳化剤の含有割合は、0.5質量%以下が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.05〜0.3質量%がさらに好ましい。乳化剤の含有割合がこの範囲にあると、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が向上する。
[(B')カチオン性化合物]
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物においては、前記(A')成分を、(B')カチオン性化合物(以下「(B')成分」ともいう。)と共に含有することにより、(A')成分における乳化物粒子が繊維製品の表面に効率的に吸着でき、該乳化物粒子の吸着性が向上する。
(B')カチオン性化合物は、水溶性のものでもよく、水不溶性のものでもよく、これらの混合物を用いてもよい。
ここで「水溶性」とは、25℃の水100gに1g以上が溶解することをいう。
「水不溶性」とは、25℃の水100gへの溶解度が1g未満であることをいう。
(水溶性のカチオン性化合物)
水溶性のカチオン性化合物のなかで好適なものとしては、下記の一般式(I)もしくは一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物、水溶性のカチオン性高分子化合物が挙げられる。
Figure 2012072539
[式(I)中、R1はエステル基、エーテル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数12〜20の炭化水素基を表す。複数のR2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。式(II)中、複数のR3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれエステル基、エーテル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数8〜12の炭化水素基を表す。R4は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。]
・一般式(I)もしくは一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物
本発明において「エステル基、エーテル基又はアミド基で分断されていてもよい炭化水素基」とは、炭素鎖の途中(隣り合う炭素原子と炭素原子との間)に、エステル基、エーテル基及びアミド基の一種以上を有していてもよい炭化水素基を意味する。
前記式(I)中、R1の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。R1の炭素数は、14〜20が好ましく、14〜18がより好ましい。なかでも、R1の炭化水素基としては、繊維に吸着して柔軟性がより高まることから、炭素数14〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数14〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数14〜18の直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
前記式(I)中、R2としては、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
前記式(II)中、R3の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。R3の炭素数は、10〜12が好ましい。なかでも、R3の炭化水素基としては、高温保存時の分散安定性の観点から、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。R3として具体的には、デシル基、ドデシル基、デシロイルオキシエチル基が好ましい。
前記式(II)中、R4としては、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
前記の一般式(I)又は一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物を形成する酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。該中和物としては、前記式(I)又は前記式(II)で表される3級アミン化合物を予め中和したものを使用してもよく、これらの酸(塩酸、硫酸、メチル硫酸等)のいずれかを含有する水溶液中に、該3級アミン化合物の液状物又は固体状物を投入して得られたものを使用してもよく、該3級アミン化合物とこれらの酸のいずれかとを同時に水に投入して得られたものを使用してもよい。
該3級アミン化合物の4級化物を形成する4級化剤としては、塩化メチル、ジメチル硫酸等が挙げられる。
前記の一般式(I)もしくは一般式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアロイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジデシロイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートが好ましい。
なかでも、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアロイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェートがより好ましい。
・水溶性のカチオン性高分子化合物
水溶性のカチオン性高分子化合物としては、カチオン化度が0.1%以上であるものが好ましく、0.1〜35%であるものがより好ましい。特に、カチオン化度が2.5%以上であるものが好ましく、2.5〜20%であるものが最も好ましい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、前記(A')成分における乳化物粒子を効率的に繊維製品へ吸着させることができる。
ここで「カチオン化度」とは、水溶性のカチオン性高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記式(1)により、また、水溶性のカチオン性高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体の場合には下記式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 ・・・式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 ・・・式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
カチオン化度の算出例として、下記一般式(III)で表されるMERQUAT280(NALCO社製、質量比でm:n=80:20)の場合を以下に示す。
Figure 2012072539
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の質量0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の質量0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100
=14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100
≒3.0
前記式(2)により、カチオン化度は3.0(%)と算出される。
なお、上述したカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体、及びアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0%となる。
水溶性のカチオン性高分子化合物は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量(Mw)が1000〜5000000であるものが好ましく、3000〜1000000であるものがより好ましく、5000〜500000であるものがさらに好ましい。
Mwが前記範囲であると、機能性繊維製品用処理剤組成物の粘度の増加が抑制されて、使用性をより良好なものとすることが可能となる。
水溶性のカチオン性高分子化合物の具体例としては、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体;MERQUAT550 JL5(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
なかでも、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、カチオン化セルロースが特に好ましい。
(水不溶性のカチオン性化合物)
水不溶性のカチオン性化合物のなかで好適なものとしては、下記の一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物が挙げられる。
Figure 2012072539
[式中、複数のR5は、同一でも異なっていてもよく、エステル基、エーテル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数14〜20の炭化水素基を表す。R6は、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数2〜4のヒドロキアルキル基、又はエステル基、エーテル基もしくはアミド基で分断されていてもよい炭素数14〜20の炭化水素基を表す。]
前記式(IV)中、R5の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。R5の炭素数は、16〜20が好ましく、18〜20がより好ましい。なかでも、R5の炭化水素基としては、繊維に吸着して柔軟性がより高まることから、エステル基又はアミド基で分断されてもよい炭素数16〜20の炭化水素基が好ましく、エステル基もしくはアミド基で分断されてもよい炭素数18〜20の直鎖状のアルキル基又はアルケニル基がさらに好ましい。
前記式(IV)中、R6のアルキル基、ヒドロキアルキル基としては、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましく、メチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。R6の炭化水素基は、前記R5の炭化水素基と同様である。
前記の一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物を形成する酸、該3級アミン化合物の4級化物を形成する4級化剤は、上記式(I)又は式(II)で表される3級アミン化合物における場合と同様のものが挙げられる。
前記の一般式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物としては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
なかでも、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが特に好ましい。
(B')カチオン性化合物は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B')成分としては、前記(A')成分における乳化物粒子の繊維製品への吸着性が特に良好であることから、前記式(I)で表される3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物、前記式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物もしくは4級化物、又はこれらの混合物が好ましい。なかでも、前記の式(I)又は式(IV)で表される3級アミンの4級化物、又はこれらの混合物がより好ましい。
(B')カチオン性化合物として前記の式(I)もしくは式(II)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物を用いる場合、機能性繊維製品用処理剤組成物中、該(B')成分の含有割合は、1〜20質量%が好ましく、1.5〜16質量%がより好ましい。
該(B')成分の含有割合が下限値以上であると、前記(A')成分における乳化物粒子を、より効率的に繊維製品へ吸着させることができる。一方、(B')成分の含有割合が上限値以下であれば、該乳化物粒子を充分に繊維製品へ吸着させることができ、経済的にも抑えられる。
(B')カチオン性化合物として水溶性のカチオン性高分子化合物を用いる場合、機能性繊維製品用処理剤組成物中、該(B')成分の含有割合は、1〜10質量%が好ましく、1.2〜8質量%がより好ましい。
該(B')成分の含有割合が下限値以上であると、前記(A')成分における乳化物粒子の繊維製品への吸着性がより高まる。一方、(B')成分の含有割合が上限値以下であれば、機能性繊維製品用処理剤組成物の粘度の増加が抑制されて、使用性をより良好なものとすることが可能となる。
(B')カチオン性化合物として前記式(IV)で表される3級アミン化合物の中和物又は4級化物を用いる場合、機能性繊維製品用処理剤組成物中、該(B')成分の含有割合は、1〜20質量%が好ましく、1.5〜16質量%がより好ましい。
該(B')成分の含有割合が下限値以上であると、前記(A')成分における乳化物粒子の繊維製品への吸着性がより高まる。また、良好な柔軟性を繊維製品に付与できる。一方、(B')成分の含有割合が上限値以下であれば、機能性繊維製品用処理剤組成物の粘度の増加が抑制されて、使用性をより良好なものとすることが可能となる。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、(A')成分と(B')成分との混合比率は、質量比で、(A'):(B')=0.5:99.5〜70:30の範囲であることが好ましく、1:99〜50:50の範囲であることがより好ましい。
前記質量比の範囲より、(A')成分の混合比率が高くなりすぎると、(A')成分が(B')成分と共に繊維に吸着する効果が低減しやすい。一方、(B')成分の混合比率が高くなりすぎると、繊維に吸着する乳化物粒子の量が少なくなりやすい。
〔(C')シリコーン化合物〕
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物はさらにシリコーン化合物を含有する。シリコーン化合物を含有することにより、繰り返し使用において機能性成分(a'2)の布への吸着性が向上する。本発明の組成物で処理した布のすべり性も向上する。本発明で使用可能なシリコーン化合物としては、一般的に繊維製品の処理に使用されているシリコーン化合物が挙げられ、機能性成分(a'2)の布への吸着性を増加し、繊維製品に吸着した際に滑らかさを付与するものであれば特に限定されない。
一般的に繊維製品の処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリグリセロール変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
該シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよく、分岐又は架橋していてもよい。また、前記の変性シリコーン化合物は、1種類の有機官能基により変性されていてもよく、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
該シリコーン化合物は、その25℃における動粘度が10〜100000000mm2/sであるものが好ましく、1000〜100000mm2/sであるものがより好ましい。動粘度がこのような範囲にあると、機能性成分(a'2)の布への吸着性が増加し、配合がし易く、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物で処理した布の滑り性が良好なのでましい。
シリコーン化合物は、オイルをそのまま使用することができ、また、任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。
シリコーン化合物は市販品を使用することができ、その具体例としては、たとえば以下に示すものが挙げられる。
ジメチルシリコーン:SH200C−1,000CS、SH200C−5,000CS、SH200C−30,000CS、SH200C−60,000CS、SH200C−100,000CS、SH200C−1,000,000CS(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)。
ポリエーテル変性シリコーンオイル:SH3772M、SH3775M、SH3749、FZ−2161、FZ−2203(以上、東レ・ダウ コーニング(株)製);KF6011、KF6012、KF6013、KF6016、KF6017(以上、信越化学工業(株)製);SILWET L−7001、TSF4450、TSF4452(以上、モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製)。
アミノ変性シリコーン:BY16−849、BY16−853C、BY16−872、BY16−892、BY16−879B(以上、東レ・ダウコーニング(株)製);TSF4706(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製)。
アルキル変性シリコーン:SF8416、BY16−846、AMS−C30(以上、東レ・ダウコーニング(株)製);SILSOFT034(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製)。
アミド・ポリエーテル変性シリコーン:BY16−878、BY16−891(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)。
シリコーン化合物は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、シリコーン化合物の含有割合は、0.05〜20質量%が好ましく、0.2〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。
シリコーン化合物の含有割合が下限値以上であると、繰り返し処理時に機能性成分(a'2)の布への吸着性が増加し、処理した布のすべり性や滑らかさがより高まり、上限値以下であれば、機能性繊維製品用処理剤組成物の粘度の増加が抑制されて、使用性をより良好なものとすることが可能となる。
[その他の成分]
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物には、上記の(A')成分及び(B')成分、及び(C')成分以外に、必要に応じてその他の成分を含ませてもよい。
その他の成分としては、機能性繊維製品用処理剤組成物に通常含まれる成分、たとえば、該機能性繊維製品用処理剤組成物の色調又は臭いが劣化することを抑制する目的で、酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン等)又はキレート剤(ヒドロキシエタンジホスホン酸など)を機能性繊維製品用処理剤組成物中に0〜1質量%含有してもよい。
また、該機能性繊維製品用処理剤組成物で処理した布や衣類等に抗菌性を付与したり、汗臭などの発生を抑制したりする目的で、抗菌剤(塩化ベンザルコニウム等)を機能性繊維製品用処理剤組成物中に0〜3質量%含有してもよい。
また、該機能性繊維製品用処理剤組成物の防腐性を高めるために、防腐剤(イソチアゾロン液、2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等)を機能性繊維製品用処理剤組成物中に0〜0.1質量%含有してもよい。
また、該機能性繊維製品用処理剤組成物に好ましい色調を付与する目的で、酸性染料や直接染料などを機能性繊維製品用処理剤組成物中に0〜0.1質量%含有してもよい。
また、該機能性繊維製品用処理剤組成物の分散安定性を高める目的で、ノニオン界面活性剤(アルコールエトキシレートのアルキレンオキシド付加物、硬化ひまし油のアルキレンオキシド付加物など)を機能性繊維製品用処理剤組成物中に0〜5質量%含有してもよい。なお、このノニオン界面活性剤は、(A')成分を調製する際、乳化剤として用いてもよいノニオン界面活性剤と同じものでもよく異なるものでもよい。
また、該機能性繊維製品用処理剤組成物の安定性やハンドリング性を向上させる目的で、水溶性溶剤(エタノール、グリセリン等)を機能性繊維製品用処理剤組成物中に0〜10質量%含有してもよい。なお、この水溶性溶剤は、(A')成分を調製する際に用いてもよい水溶性溶剤と同じものでもよく異なるものでもよい。
また、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、該機能性繊維製品用処理剤組成物の香りを良くするため、香料を含有してもよい。香料としては、繊維用仕上げ剤又は衣料用柔軟剤等に一般的に使用される香料成分、香料組成物が挙げられる。
機能性繊維製品用処理剤組成物中、香料の含有割合は、0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜4質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。
香料の含有割合が下限値未満であると、繊維製品への残香性の付与が不充分であり、上限値を超えても、それ以上の残香性が得られず、経済的にも好ましくない。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、25℃におけるpHが2〜7であることが好ましい。
該機能性繊維製品用処理剤組成物のpHは、機能性繊維製品用処理剤組成物を希釈せずに原液を25℃で静置し、pHメーターを使用して測定した値を示す。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、25℃における粘度が10〜1000mPa・sであることが好ましい。このような範囲にあると、ハンドリング性がより向上するため、好ましい。
<機能性繊維製品用処理剤組成物の製造方法>
[油脂(a'1)と機能性成分(a'2)との混合物を得る工程(i)]
(a'1)成分と(a'2)成分との混合物は、たとえば以下のようにして調製することができる。
(a'1)成分をその融点以上に加温して液状とする。次いで、液状とした(a'1)成分に、液状の(a'2)成分と、必要に応じて水溶性溶剤又は乳化剤等とを加えて液状の混合物を得る。あるいは、(a'1)成分と、(a'2)成分と、水溶性溶剤と、乳化剤とを、(a'1)成分の融点以上に加温しながら混合して液状の混合物を得る。
特に、(a'1)成分と、(a'2)成分と、水溶性溶剤と、乳化剤とを、同時に、(a'1)成分の融点以上に加温しながら混合して液状の混合物を得る方法が好ましい。かかる方法によれば、次の工程(ii)で、(a'2)成分を内包した乳化物粒子が分散した(A')乳化物を容易に調製できる。(a'2)成分を内包した乳化物粒子を配合することにより、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が向上する。加えて、かかる方法によれば、ラメラ構造又はベシクル構造を有する乳化物粒子が得られやすい。乳化物粒子がラメラ構造又はベシクル構造を有すると、乳化物粒子の繊維製品への吸着性がより高まり、これに伴って(a'2)成分が発揮する効果の持続性に優れる。
ラメラ構造又はベシクル構造を有する乳化物粒子は、(a'1)成分、水溶性溶剤又は乳化剤の種類とこれらの配合量、乳化時の撹拌条件などを制御することにより調製できる。
[(A')成分を得る工程(ii)]
本工程(ii)において、撹拌には、パドル翼、プロペラ羽根等を備えた低剪断型の混合装置を用いることができる。
(A')成分は、たとえば以下のようにして調製することができる。
工程(i)で得られた液状の混合物を、(a'1)成分の融点以上に予め加温したイオン交換水に撹拌しながら滴下する。
たとえばパドル翼を備えた低剪断型の混合装置を用いた場合、液状の混合物とイオン交換水とを撹拌する際の撹拌速度は、100〜2000rpmとすることが好ましく、200〜1500rpmとすることがより好ましい。
該撹拌速度が下限値以上であると、液状の混合物とイオン交換水とがより良好に混ざり合い、乳化物粒子の微細化が図られ、乳化物粒子の分散性が向上する。撹拌速度を上限値超としても、乳化物粒子の分散性向上の効果が飽和する。
液状の混合物とイオン交換水との撹拌時間は、10秒〜10分間とすることが好ましく、30秒〜5分間とすることがより好ましい。該撹拌時間がこの範囲であれば、乳化物粒子の微細化が充分に図られ、乳化物粒子の分散性が向上する。
その後、好ましくは30℃以下、より好ましくは15〜30℃まで撹拌を続けて冷却することにより(A')成分を調製することができる。
[(A')成分と(B')カチオン性化合物とを混合する工程(iii)]
(A')成分と(B')カチオン性化合物とを混合する方法としては、(A')成分に(B')カチオン性化合物を加えてもよく、(B')カチオン性化合物に(A')成分を加えてもよい。
(B')カチオン性化合物は、固体状、溶液、分散液などの形態で配合することができる。
本工程(iii)の一例として、前記(B')カチオン性化合物と水とを乳化して乳化物(D')を得る操作、及び該乳化物(D')と前記乳化物(A')とを混合する操作を含む工程が好適に挙げられる。
・乳化物(D')を得る操作
本操作において、撹拌には、ホモミキサー、ウルトラミキサー、フィルミックス、クレアミックス等の高剪断型の混合装置;パドル翼、プロペラ羽根等を備えた低剪断型の混合装置を用いることができる。
乳化物(D')は、たとえば以下のようにして得ることができる。
(B')カチオン性化合物と(C')シリコーン化合物、必要に応じてノニオン界面活性剤などのその他の成分とを、(B')成分の融点以上の温度で加熱しながら混合することにより、溶融状態の油相を得る。次に、水溶性のその他の成分を任意に含む水相を用意し、(B')成分の融点以上の温度に予め加温した該水相と、前記油相とを、(B')成分の融点以上の温度で混合して乳化物(D')を得る。
その際、高剪断型の混合装置であるホモミキサー等を用い、加温した水相に、加温した油相を加えて混合することにより乳化物(D')を得る方法(前者)、又は、パドル翼、プロペラ羽根等を備えた低剪断型の混合装置を用い、加温した油相に、加温した水相を撹拌しながら徐々に加えて混合することにより乳化物(D')を得る方法(後者)、が好適な方法として挙げられる。
これらのなかでも、微細で均一な粒子径を有する(B')成分、及び(C')成分の乳化物を容易に調製でき、分散安定性の良好な機能性繊維製品用処理剤組成物が得られやすいことから、後者の方法が好ましく、液晶転相乳化法を用いることがより好ましい(特開平2−68137号公報、特開平10−237762号公報、特開2003−96674号公報参照)。
具体的には、水相を分割して加える。すなわち、前記油相と、(B')成分の融点以上の温度に予め加温した前記水相の一部(以下「第一水相」という)とを、(B')成分の融点以上の温度で混合して、高濃度の(B')成分を含む混合物(好ましくは液晶組成物)を得る。その後、該混合物に、(B')成分の融点以上の温度に予め加温した残りの水相(以下「第二水相」という)を加えて、(B')成分の融点以上の温度で混合(好ましくはO/W型エマルションへ転相)して乳化物(D')を得る。
第一水相と第二水相との質量比は、第一水相:第二水相=10:90〜90:10とすることが好ましく、20:80〜50:50とすることがより好ましい。第一水相と第二水相との質量比が前記範囲であると、液晶が良好に形成され、転相によって分散安定性の高い乳化物が得られやすい。
乳化物(D')を調製する際、(B')成分と共に、ノニオン界面活性剤を併用することが好ましい。すなわち、(B')成分とノニオン界面活性剤とを含む油相と、水相とを乳化することが好ましい。ノニオン界面活性剤のなかでも、アルコールエトキシレートのアルキレンオキシド付加物、硬化ひまし油のアルキレンオキシド付加物を併用することがより好ましく、アルコールエトキシレートのアルキレンオキシド付加物を併用することが特に好ましく、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルを併用することが最も好ましい。
乳化時の撹拌条件としては、たとえばプロペラ羽根を備えた低剪断型の混合装置を用いた場合、前記油相と前記水相(第一水相又は第二水相)とを撹拌する際の撹拌速度を、100〜2000rpmとすることが好ましく、200〜1500rpmとすることがより好ましい。
撹拌速度が下限値以上であると、前記油相と前記水相とが充分に混ざり合い、(B')成分の乳化物粒子の微細化が図られ、乳化物粒子の分散性が向上する。撹拌速度を上限値超としても、乳化物粒子の分散性向上の効果が飽和する。
前記油相と前記第一水相との撹拌時間は、1〜10分間とすることが好ましく、2〜5分間とすることがより好ましく、前記第二水相を加えた際の撹拌時間は、1〜10分間とすることが好ましく、2〜5分間とすることがより好ましい。
該撹拌時間がこの範囲であれば、(B')成分の乳化物粒子の微細化が充分に図られ、乳化物粒子の分散性が向上する。
乳化物(D')における乳化物粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜800nmである。この範囲にあると、最終的に得られる機能性繊維製品用処理剤組成物の分散安定性が向上する。
・乳化物(D')と乳化物(A')とを混合する操作
本操作において、撹拌には、スタティックミキサー等の公知の混合装置を使用することができる。本工程においては、乳化物(D')中に乳化物(A')を、又は、乳化物(A')中に乳化物(D')を安定に分散するため、低剪断での撹拌とすることが好ましい。
乳化物(D')と乳化物(A')とを混合する際、乳化物(D')を、好ましくは30℃以下、より好ましくは0〜30℃まで冷却した後、乳化物(A')と乳化物(D')とを混合することが好ましい。これにより、乳化物(D')と乳化物(A')とをより安定に分散させることができ、(a'2)成分が発揮する効果が持続しやすくなる。
乳化物(D')と乳化物(A')とを混合する際の撹拌速度は、10〜2000rpmとすることが好ましく、50〜1500rpmとすることがより好ましい。
撹拌速度が下限値以上であると、乳化物(D')と乳化物(A')とがより良好に混ざり合い、機能性繊維製品用処理剤組成物の分散安定性が向上する。撹拌速度を上限値以下であれば、(A')成分及び(C')成分の乳化物粒子が壊れにくく、安定に保たれやすい。
乳化物(D')と乳化物(A')との撹拌時間は、0.5〜60分間とすることが好ましく、0.5〜30分間とすることがより好ましい。該撹拌時間がこの範囲であれば、乳化物(D')と乳化物(A')とがより良好に混ざり合い、機能性繊維製品用処理剤組成物の分散安定性が向上する。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、一例として、洗濯におけるすすぎの際、該機能性繊維製品用処理剤組成物をすすぎ水に加えることにより使用することができる。また、該機能性繊維製品用処理剤組成物を、トリガー容器、ディスペンサー容器又はエアゾール缶などに充填し、繊維製品に直接噴霧することで繊維を処理できる。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、繊維製品の原料が天然繊維でも合成繊維でも区別なく使用することができる。
従来の機能性繊維製品用処理剤組成物は、単に(a'2)成分を機能性繊維製品用処理剤組成物中に溶解する又は直接分散させているため、洗濯におけるすすぎの際、すすぎ液と共に排出されやすかった。また、(a'1)成分と(a'2)成分とが別個に配合された機能性繊維製品用処理剤組成物、たとえば(a'1)成分をその融点以上に加温して液状としたものと、(a'2)成分とを、順次、(a'1)成分の融点以上に予め加温したイオン交換水に撹拌しながら加えて得られる乳化物を含有する機能性繊維製品用処理剤組成物では、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が充分とは云えなかった。
これに対して、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、(a'1)成分及び(a'2)成分の混合物と水との乳化物(A')を含有することにより、洗濯後の繊維製品に(a'2)成分が残存しやすい。
これは、乳化物(A')中の(a'2)成分を含む乳化物粒子が、(a'2)成分単独に比べて、すすぎ液側よりも繊維側との親和性が高いことにより繊維に吸着しやすいため、と考えられる。
加えて、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、繊維への吸着性の高い(B')カチオン性化合物を含有する。(A')成分における乳化物粒子は、(a'1)成分と(B')成分との間で相互作用が働き、(B')成分と共に繊維に吸着する。このため、(A')成分における乳化物粒子は、該乳化物粒子自体の繊維に対する吸着力に加えて、(B')成分との併用によっても繊維に吸着しやすくなっている、と考えられる。
更に(C')成分を加えることにより繰り返し使用による吸着性を高めることができると考える。
以上により、本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物によれば、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が高く、柔軟性だけでなく、さらに種々の機能を繊維製品に付与することができる。
本発明の機能性繊維製品用処理剤組成物は、繊維用仕上げ剤、衣料用柔軟剤、衣料用液体洗剤、ハリ付与剤、アイロン助剤、除シワ剤、布製品用消臭剤等に利用できる。
上述した本発明の製造方法によれば、(a'2)成分を含む乳化物粒子が分散した水中油滴(O/W)型エマルションを形成できる。好ましくは、(a'1)成分及び(a'2)成分の混合物と水とを乳化して調製される乳化物(A')と、(B')カチオン性化合物と水とを乳化して調製される乳化物(D')とを混合して得られる組成物(O/W型エマルション)からなる機能性繊維製品用処理剤組成物が製造される。本発明により製造される機能性繊維製品用処理剤組成物は、繊維製品への(a'2)成分の吸着性が高く、柔軟性だけでなく、さらに種々の機能を繊維製品に付与することができる。
実施例及び比較例の繊維製品用処理剤組成物を製造するのに用いた成分を以下に示す。
〔油脂〕
a−1:1−テトラデカノール(常圧における融点37.9℃)
a−2:グリセリンモノステアレート(常圧における融点59℃)
a−3:オクタデカン酸(常圧における融点69.6℃)
a−4:1−オクタデカノール(常圧における融点58℃)
a−5:1−ドコサノール(常圧における融点70.6℃)
a−6:1−ドデカノール(常圧における融点24℃)
なお、上記a−1〜a−6の融点は、油化学辞典-脂質・界面活性剤-(丸善)から引用した。a−3とa−5との混合物の融点は、示差走査熱量計(DSC120(セイコーインスツル(SII)社製))を用いて測定した。油脂を測定用セルにいれ、20℃から90℃まで、2℃/分の昇温速度で加温し、ピークトップの温度を融点とした。対照はアルミナを用いた。DSCチャートを図1、2に示す。
Figure 2012072539
<(A)成分の調製>
上に示した油脂60g、香料組成物120g、エチルアルコール(95%合成エタノール(日本合成アルコール(株)))45g及び塩化ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(アーカードT−800:ライオンアクゾ社製AI50%、ETOH AI50%)30gを混合し、70℃に加温して混合溶液を調製した。これを60℃のイオン交換水730gに乳化分散させた。このとき、パドル羽根とスリーワンモーター(TYPE HEIDON 1200G)を用いて、回転数1000rpmの条件で攪拌した。この乳化物をそのまま放置し、ゆっくりと常温まで冷却して、乳化物粒子を含有する水性液体(A成分)を調製した。使用した油脂及び香料組成物を表2に示す。
なお、表2中のA−7は油脂の代わりに水を60g増やして調製した。また、表2に記載した単位%は、A成分の全質量を基準とした質量%を表す。
これら乳化物粒子の粒子径を、株式会社堀場製作所 LASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZER(型番:LA−920)を用いて装置に120〜150mLのイオン交換水を注いだ後、攪拌後透過率が90±2%になるよう(A)成分を加えて測定した。
Figure 2012072539
Figure 2012072539
Figure 2012072539
[(C−1)の製造方法]
(CH33SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して使用した。
Figure 2012072539
〔繊維製品用処理剤組成物の調製〕
先ず、(B)成分としてB−1又はB−2を用いた場合の繊維製品用処理剤組成物の調製方法を以下に説明する。
1000mlビーカーに、(C)シリコーン化合物、ノニオン界面活性剤(TAG−90、ライオン(株)製:POEトリデシルエーテル、EO=7モル付加)3%(組成物の全量基準)、及びイオン交換水を添加し、スターラーで1時間攪拌後、(B)カチオン性化合物を添加し、さらに1時間攪拌した。得られた混合物の温度は25℃であった。次に、上で調製した(A)成分(25℃)を添加し、スターラーで均一に分散するよう攪拌し、繊維製品用処理剤組成物600mlを得た。得られた組成物のpH(25℃)は5.2であった。
次に、(B)成分としてB−3〜B−7を用いた場合の繊維製品用処理剤組成物の調製方法を以下に説明する。
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(スリーワンモーター(新東科学(株)社製)、攪拌羽は、1枚の羽の長さが15mm、幅が約13mmのものを12本有するもの)に、予め55℃に加温して溶融させた(B)成分、(C)成分、及びノニオン性界面活性剤(POEイソデシルエーテルEO60モル付加、後述のとおり製造)2%(組成物の全量基準)を入れ、攪拌機にて、回転数を1000rpmにして攪拌し、油相を得た。次に、55℃に加温しておいたイオン交換水を2度に分けて油相に添加して攪拌した。ここで、イオン交換水の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1000rpmで1回目のイオン交換水添加後に3分間、2回目のイオン交換水添加後に2分間行った。その後塩化カルシウム(2水塩)((株)トクヤマ製)を0.3%添加しスターラーで30分間攪拌し、室温まで冷却した。次に、上で調製した(A)成分(25℃)を添加し、スターラーで均一に分散するよう攪拌し、繊維製品用処理剤組成物600mlを得た。得られた組成物のpH(25℃)は2.7であった。
上で用いたノニオン界面活性剤は、イソトリデシルアルコール「商品名:ルテンゾールTO3」(BASF社製)115g、触媒として40%KOH 1.25gを耐圧性反応容器に仕込み、常法により容器内を窒素置換した。触媒中の水分を100℃、2.7kPa以下で30分脱水してから温度を140℃まで昇温した。撹拌しながら0.25MPa以下でエチレンオキシド867.8gを付加反応させ、付加反応終了後、圧力が平衡になるまで熟成した。次に、温度60℃以下まで冷却し、精製水249gを添加後、80%酢酸を0.37gとエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(色調安定化のためのキレート剤)0.01gを添加し30分間分散させることにより得た。
なお、表4中の(A)〜(C)成分についての数字は、繊維製品用処理剤組成物の全量を基準とした各成分の質量%を表す。但し、(A)成分の配合量は、繊維製品用処理剤組成物中の香料組成物の量として記載した。
〔粘度測定〕
上で調製した繊維製品処理剤組成物の25℃における粘度をB型粘度計(TOKIMEC社製)にて測定した。
〔ロングラスティングの評価〕
以下の評価布A、Bを用意し、評価布Aに対する評価布Bの香り強度を20〜30代の女性10名により下記の基準に従って評価し、その平均をとった。結果を表4に示す。
評価布A:5Lのビーカーに4Lの水道水を入れたものを準備した。そこに、組成物として333ppmとなるように、上で得られた実施例及び比較例の繊維製品用処理剤組成物を投入し、分散させた。その中に市販の綿タオルを入れ(浴比20倍)、3分間攪拌した。その後タオルを取り出し、二槽式洗濯機の脱水槽に入れて2分間脱水した。このタオルを20℃、40%RH下で1晩乾燥させた。
評価布B:評価布Aの処理を5回繰り返したタオル。
<香りの強度>
3点:評価布Aより明らかに強いと判る
2点:評価布Aよりやや強いと判る
1点:評価布Aと同等
〔布のサラサラ感の評価〕
上記ロングラスティング評価で用いた評価布Aのタオルのサラサラ感について、20〜30代の女性10名により下記の基準に従って評価し、その平均をとった。結果を表4に示す。
<サラサラ感の点数>
3点:かなりサラサラしている
2点:ややサラサラしている
1点:サラサラ感は感じない
Figure 2012072539
次に、実施例及び比較例の機能性繊維製品用処理剤組成物を製造するのに用いた成分を以下に示す。
〔油脂(a'1)〕
既述のa−1〜a−5を用いた。
〔機能性成分(a'2)〕
a'2−1:忌避剤、パラメンタン−3,8−ジオール(高砂香料工業株式会社製)。
a'2−2:忌避剤、ジエチルトルアミド(純正化学株式会社製)。
a'2−3:忌避剤、ローレル油(Biolandes社製)。
a'2−4:冷温感刺激剤、バニリルブチルエーテル(商品名:HOT ACT VBE、高砂香料工業株式会社製)。
a'2−5:冷温感刺激剤、l−メンチルグリセリルエーテル(商品名:CA−10、高砂香料工業株式会社製)。
〔カチオン性化合物〕
表3に記載のB−3〜B−7を用いた。
〔シリコーン化合物〕
表4に記載のC−1、C−3、又はC−5を用いた。
〔ノニオン界面活性剤〕
イソトリデシルアルコール(商品名ルテンゾールTO3,BASF社製)にエチレンオキシドを付加することにより調製したポリオキシエチレンイソデシルエーテル(EO60モル付加)を用いた。
〔香料〕
香料として、以下の香料成分を以下の量含有する組成物を用いた:アンブロキサン2質量%、イソイースーパー1質量%、ガンマウンデカラクトン1質量%、エチルバニリン(ジプロピレングリコールの1質量%溶液として)1質量%、オイゲノール0.4質量%、オレンジオイル1質量%、カシュメラン0.5質量%、ガラクソライド(ベンジルベンゾエートの50質量%溶液として)10質量%、クマリン2質量%、ゲラニオール1質量%、シトラール1質量%、シトロネロール1質量%、ジハイドロミルセノール2質量%、フルーティアクセント2質量%、アルデヒド ミックス(炭素数10と炭素数11と炭素数12のアルデヒド混合物のジプロピレングリコールの10質量%溶液として)5質量%、ジメチルベンジルカルビニルアセテート1質量%、ゼラニウムオイル1質量%、ターピネオール1質量%、フェニルエチルアルコール8質量%、ダマセノン(ジプロピレングリコールの1質量%溶液として)5質量%、1−デカナール(ジプロピレングリコールの10質量%溶液として)1質量%、テトラハイドロリナロール1質量%、トナライド7質量%、トリプラール(ジプロピレングリコールの1質量%溶液として)0.5質量%、ヘキシルシンナミックアルデヒド2質量%、ベータヨノン1質量%、ヘディオン2質量%、ベルトフィックス2質量%、ベンジルサリシレート2質量%、ベンジルベンゾエート4質量%、メチルイオノン1質量%、ライムオイル1質量%、リナリルアセテート0.5質量%、リナロール1質量%、リモネン1質量%、リラール2質量%、リリアール3質量%、レモンオイル1質量%、ローズ ベース3質量%、ジプロピレングリコール17.1質量%。
<機能性繊維製品用処理剤組成物の製造−実施例25>
[工程(i)]
下記の表6に示す組成に従って、油脂(a'1)としてa−1と、機能性成分(a'2)としてa’2−1と、エタノールと、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドとを、70℃に加温しながら混合して混合溶液を調製した。
[工程(ii)]
次に、ガラス容器(内径9mm、高さ18mm)内で、該混合溶液と、60℃に加温したイオン交換水の残部とを混合(乳化)した。その際、パドル翼とスリーワンモーター(TYPE HEIDON 1200G)を用い、回転速度1000rpmの条件で1分間撹拌した。
次に、この乳化物をスターラーで60分間撹拌しながら、ゆっくりと常温(25℃)まで冷却し、全量で500gになるように再度、イオン交換水を用いてバランスすることにより(A')成分を調製した。
[工程(iii)]
次いで、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)とプロペラ羽根(長さ15mm、幅13mmの羽根を12枚有するもの)とを備えた撹拌機を用いて、以下のようにして乳化物(D')を調製した。
下記の表7に示す組成に従って、予め55℃に加温して溶融させたカチオン性化合物B−5成分、シリコーン化合物C-1成分、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレンイソデシルエーテル)を、ガラス容器(内径100mm、高さ150mm)に取り、前記撹拌機を用い、回転速度1000rpmの条件で撹拌することにより油相を得た。
次に、該油相に、55℃に加温したイオン交換水(全量で600mLになる量)を2回に分けて添加し、撹拌することにより乳化物(D')を調製した。その際、イオン交換水は、1回目に所定配合量の30質量%分、2回目に残りの70質量%分を配合した。また、撹拌は、1回目のイオン交換水の添加後に3分間、2回目のイオン交換水の添加後に2分間、それぞれ回転速度1000rpmの条件で行った。
次いで、得られた乳化物(D')を室温(25℃)まで冷却し、そこへ(A')成分を加え、スターラーで均一に分散するように、回転速度500rpmの条件で15分間撹拌し、全量で600mLになるように再度、イオン交換水を用いてバランスすることにより機能性繊維製品用処理剤組成物を製造した。
<機能性繊維製品用処理剤組成物の製造−実施例26〜46>
表6,7に示す組成に従って配合成分とその配合量を変更した以外は、実施例25と同様にして機能性繊維製品用処理剤組成物を製造した。
ただし、実施例26〜46において、[工程(ii)]で配合するイオン交換水の残部は、各例で配合する油性成分(a'1)の融点以上に加温した状態で用いた。
実施例39では、[工程(iii)]で、さらに香料を、カチオン性化合物(B')及びノニオン界面活性剤と共に加えた。
<機能性繊維製品用処理剤組成物の製造−比較例6〜15>
表6、7に示す組成に従って配合成分とその配合量を変更した以外は、実施例25と同様にして機能性繊維製品用処理剤組成物を製造した。
ただし、比較例6において、[工程(ii)]で配合するイオン交換水の残部は、配合する油性成分(a'1)の融点以上に加温した状態で用いた。
比較例7〜11では、油性成分(a'1)を配合しなかったこと以外は、実施例25と同様にして繊維処理剤を製造した。
表6は、実施例25〜46及び比較例6〜15で調製した各乳化物(A')の組成を示す。
表6中、各配合成分の配合量は、乳化物中の含有割合(質量%)を表す。「残部」は、乳化物(A')に含まれる各成分の総量が100質量%になるように配合した、乳化物(A')中のイオン交換水の含有量を意味する
Figure 2012072539
表6に示す乳化物A'−1〜A'−14中に分散している乳化物粒子の体積平均粒子径を、株式会社堀場製作所製のLASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZER(型番:LA−920)を用いて測定した。具体的には、この装置に120〜150mLのイオン交換水を注いだ後、撹拌した後の透過率が90±2%となるように(A')成分を加えて測定した。
その結果、乳化物A'−1〜A'−14中に分散している乳化物粒子の体積平均粒子径はいずれも10〜40μmであった。
<機能性繊維製品用処理剤組成物の評価>
[繊維製品への機能性成分の吸着性;1回処理]
繊維製品への機能性成分の吸着性は、機能性繊維製品用処理剤組成物で処理した評価布に対して、GC−MS装置にてヘッドスペース分析を行い、該評価布からの揮発量を求めることにより評価した。具体的には、以下のようにして行った。
評価布A':5Lのビーカーに、水道水4Lを入れたものを準備した。そこに、機能性繊維製品用処理剤組成物の濃度が333ppmとなるように、実施例25〜31、34〜46の組成物をそれぞれ添加して分散させた。その中に、市販の綿100%のタオルを入れ(浴比20倍)、3分間撹拌した。その後、該綿タオルを取り出し、二槽式洗濯機の脱水槽に入れて2分間脱水したものを評価布A'として用いた。
評価布B':実施例の繊維製品処理剤の代わりに、比較例の組成物を用いた以外は、評価布A'の場合と同様に処理したものを評価布B'として用いた。
前記の評価布A'と評価布B'について下記のヘッドスペース分析を行い、揮発量の比(評価布B'の揮発量に対する、評価布A'の揮発量)を指標とし、下記の評価基準に従って評価を行った。
なお、前記揮発量の比は、同一の機能性成分(a'2)を含有する機能性繊維製品用処理剤組成物で処理した評価布間で算出した(比較例7と実施例25〜29及び34〜46、比較例8と実施例30、比較例9と実施例31、比較例7と比較例6、比較例12及び比較例13)。評価布の揮発量は、各例につき3回の測定の平均値を採用した。
評価基準
◎◎:評価布B'の揮発量に対して、評価布A'の揮発量が3倍以上であった。
◎:評価布B'の揮発量に対して、評価布A'の揮発量が2倍以上3倍未満であった。
○:評価布B'の揮発量に対して、評価布A'の揮発量が1.2倍より多く、2倍未満であった。
×:評価布B'の揮発量に対して、評価布A'の揮発量が1.2倍以下であった。
〔繊維製品への機能性成分の吸着性;繰り返し処理〕
繊維製品への機能性成分の吸着性は、繊維処理剤で処理した評価布に対して、GC−MS装置にてヘッドスペース分析を行い、該評価布からの揮発量を求めることにより評価した。具体的には、以下のようにして行った。
評価布E':5Lのビーカーに、水道水4Lを入れたものを準備した。そこに、繊維処理剤の濃度が333ppmとなるように、実施例の繊維処理剤をそれぞれ添加して分散させた。その中に、市販の綿100%のタオルを入れ(浴比20倍)、3分間撹拌した。その後、該綿タオルを取り出し、二槽式洗濯機の脱水槽に入れて2分間脱水する工程を繰り返し20回行い評価布E'として用いた。
前記の評価布E'と評価布B'について下記のヘッドスペース分析を行い、揮発量の比(評価布B'の揮発量に対する、評価布E'の揮発量)を指標とし、下記の評価基準に従って評価を行った。
なお、前記揮発量の比は、同一の機能性成分(a'2)を含有する繊維処理剤で処理した評価布間で算出した(比較例7と実施例25〜29及び34〜46、比較例8と実施例30、比較例9と実施例31、比較例7と比較例6、比較例12及び比較例13)。評価布の揮発量は、各例につき3回の測定の平均値を採用した。
評価基準
◎◎:評価布B'の揮発量に対して、評価布E'の揮発量が3倍以上であった。
◎:評価布B'の揮発量に対して、評価布E'の揮発量が2倍以上3倍未満であった。
○:評価布B'の揮発量に対して、評価布E'の揮発量が1.2倍より多く、2倍未満であった。
×:評価布B'の揮発量に対して、評価布E'の揮発量が1.2倍以下であった。
ヘッドスペース分析の方法:
評価布を裁断したもの5gをそれぞれ100mLのバイヤル瓶に入れて密栓し、40℃の恒温槽内で30分間静置し、そのヘッドスペースを、スペルコ社製の固相マイクロ抽出SPME(ファイバー:StableflexTM/SS、50μm/30μm Divinylbenzen/CarboxenTM/Polydimethylsiloxane)で30分間抽出した。
抽出後のSPMEを、Agilent社製のGC−MS装置(HP7890 Series GC System+Mass Selective Detector)を用いて、以下に示す条件にて測定した。
カラム:HP−INNOWAX(30m×0.25mm×0.25μm)
測定温度:40(10分間ホールド)〜150℃、昇温速度5℃/min.
150〜260℃(5分間ホールド)、昇温速度10℃/min.
キャリアガス:ヘリウム、注入口温度250℃
注入法:パルスドスプリットレス
[繊維製品を着用した際の冷温感効果;1回処理]
繊維製品を着用した際の冷温感効果は、実施例及び比較例の機能性繊維製品用処理剤組成物でそれぞれ処理した評価布を縫い合わせたシャツを実際に着用することにより評価した。具体的には、以下のようにして行った。
評価布C':5Lのビーカーに、水道水4Lを入れたものを準備した。そこに、繊維処理剤の濃度が1200ppmとなるように、実施例の機能性繊維製品用処理剤組成物をそれぞれ添加して分散させた。その中に、半裁した市販の綿100%の肌シャツを入れ(浴比20倍)、3分間撹拌した。その後、該肌シャツを取り出し、二槽式洗濯機の脱水槽に入れて2分間脱水した。そして、この肌シャツを20℃、40%RH下で1晩乾燥させたものを評価布C'として用いた。
評価布D':実施例の機能性繊維製品用処理剤組成物の代わりに、比較例の機能性繊維製品用処理剤組成物を用いた以外は、評価布C'の場合と同様に処理したものを評価布D'として用いた。
1晩乾燥した後、評価布C'(半裁した肌シャツ)と評価布D'(半裁した肌シャツ)とを縫い合わせて1枚の肌シャツを作製した。そして、該肌シャツを20〜40代の男性10名がそれぞれ1日着用した後、評価布C'側と評価布D'側とで冷温感に相違があったか否かについて、下記の評価基準に従って評価を行った。その結果を、10名の評価点の平均点で示す。
評価基準
3点:評価布C'が、評価布D'に比べて、明らかに温かい又は冷たいと感じた。
2点:評価布C'が、評価布D'に比べて、やや温かい又は冷たいと感じた。
1点:評価布C'と評価布D'とは冷温感に差はないと感じた。
表6〜7は、本実施例で製造した各例の機能性繊維製品用処理剤組成物の組成と、前記の評価結果を示す。
表6に記載した単位%は、(A')成分の全質量を基準とした質量%を表す。
表6〜7中、(A')の配合量は、機能性繊維製品用処理剤組成物中の忌避剤又は冷温感刺激剤の含有割合(質量%)を表す。(A')以外の成分の配合量は、その成分の繊維処理剤中の含有割合(質量%)を表す。「残部」は、機能性繊維製品用処理剤組成物に含まれる各成分の総量が100質量%になるように配合した、機能性繊維製品用処理剤組成物中のイオン交換水の含有量を意味する。
〔繊維製品を着用した際の冷温感効果;繰り返し処理〕
評価布F':5Lのビーカーに、水道水4Lを入れたものを準備した。そこに、機能性繊維製品用処理剤組成物の濃度が1200ppmとなるように、実施例の組成物をそれぞれ添加して分散させた。その中に、半裁した市販の綿100%の肌シャツを入れ(浴比20倍)、3分間撹拌した。その後、該肌シャツを取り出し、二槽式洗濯機の脱水槽に入れて2分間脱水した。そして、この肌シャツを20℃、40%RH下で1晩乾燥させる。この処理を繰り返し10回行ったものを評価布F'として用いた。
評価布D':実施例の機能性繊維製品用処理剤組成物の代わりに、比較例の組成物を用いた以外は、評価布C'の場合と同様に処理したものを評価布D'として用いた。
1晩乾燥した後、評価布F'(半裁した肌シャツ)と評価布D'(半裁した肌シャツ)とを縫い合わせて1枚の肌シャツを作製した。そして、該肌シャツを20〜40代の男性10名がそれぞれ1日着用した後、評価布F'側と評価布D'側とで冷温感に相違があったか否かについて、下記の評価基準に従って評価を行った。その結果を、10名の評価点の平均点で示す。
評価基準
3点:評価布F'が、評価布D'に比べて、明らかに温かい又は冷たいと感じた。
2点:評価布F'が、評価布D'に比べて、やや温かい又は冷たいと感じた。
1点:評価布F'と評価布D'とは冷温感に差はないと感じた。
なお、前記着用評価は、同一の機能性成分(a'2)を含有する繊維処理剤で処理した評価布間で評価した(比較例10と実施例32、比較例11と実施例33、比較例14及び比較例15)。冷温感評価は、各例につき3回の測定の平均値を採用した。
Figure 2012072539

Claims (15)

  1. (A)常圧における融点が30℃以上の油脂と香料組成物との混合物を水に乳化分散させることにより得られる乳化物粒子を含有する水性液体、
    (B)カチオン性化合物、及び
    (C)シリコーン化合物
    を含有する繊維製品用処理剤組成物。
  2. (A)成分の油脂が常圧における融点が40℃以上の高級脂肪酸及び/又は高級アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品用処理剤組成物。
  3. (A)成分の油脂が、炭素数16〜24の高級アルコール及び/または高級脂肪酸である請求項1又は2記載の繊維製品用処理剤組成物。
  4. (A)成分の油脂が、1-オクタデカノール、1-イコサノール又は1-ドコサノールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維製品用処理剤組成物。
  5. (A)成分の油脂が、1-オクタデカノール及び/または1-ドコサノールと、オクタデカン酸及び/またはドコサン酸との混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維製品用処理剤組成物。
  6. (C)成分がポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーン及びアルキル変性シリコーンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか記載の繊維製品用処理剤組成物。
  7. (C)成分がポリエーテル変性シリコーンである請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維製品用処理剤組成物。
  8. (B)成分のカチオン性化合物が、下記式(I)、(II)及び/又は(IV)で表される化合物の中和物及び/又は4級化物である請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維製品用処理剤組成物。
    Figure 2012072539
    (式中、R1は、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数12から20の炭化水素基を表す。
    R2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を示す。
    R3は、同一でも異なっていてもよく、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数8から12の炭化水素基を表す。
    R4は、同一でも異なっていてもよく、エステル基、エーテル基またはアミド基で分断されてもよい、炭素数14から20の炭化水素基を表す。
    R5は、前記R4、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。)
  9. (A')(a'1)常温における融点が30℃以上の油脂と、(a’2)忌避剤、冷温感刺激剤、皮膚保護成分、紫外線吸収剤、抗菌剤及び抗ウイルス剤からなる群から選択される一種以上の機能性成分との混合物と、水との乳化物、
    (B')カチオン性化合物、及び
    (C')シリコーン化合物
    を含有する機能性繊維製品用処理剤組成物。
  10. (a'2)機能性成分が、ジエチルトルアミド、パラメンタン−3,8−ジオール、アニスオイル、シンナミックアセテート、ネリルプロピオネート、メチルアンスラニレート、シトロネラ、蟻酸ネリル、環状テルペンアルコール、ヒノキ油、ベバー油、ブロモアンファー、ローレル油、ユーカリプタス油からなる群から選択される一種以上の忌避剤を含む、請求項9記載の機能性繊維製品用処理剤組成物。
  11. (a'2)機能性成分が、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、バニリルブチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルペンチルエーテル、トウガラシエキス、メントール、メントール誘導体、カンフルからなる群から選択される一種以上の冷温感刺激剤を含む、請求項9又は請求項10記載の機能性繊維製品用処理剤組成物。
  12. (a'1)油脂が、融点が40℃以上の高級アルコール、及び融点が40℃以上の高級脂肪酸からなる群から選択される一種以上である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の機能性繊維製品用処理剤組成物。
  13. (a'1)油脂が、炭素数16〜24の高級アルコール、及び炭素数16〜24の高級脂肪酸からなる群から選択される一種以上である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の機能性繊維製品用処理剤組成物。
  14. 請求項9〜13のいずれか一項に記載の機能性繊維製品用処理剤組成物の製造方法であって、
    (i)(a'1)油脂と(a'2)機能性成分とを混合して混合物を得る工程と、
    (ii)該混合物を水に乳化分散させて、乳化物(A')を得る工程と、
    (iii)(A')乳化物と、(B')カチオン性化合物と、(C')シリコーン化合物とを混合する工程と
    を含む機能性繊維製品用処理剤組成物の製造方法。
  15. 前記工程(iii)が、(B')カチオン性化合物及び(C')シリコーン化合物と水とを乳化して(D')乳化物を得る操作、及び(D')乳化物と(A')乳化物とを混合する操作を含む、請求項14記載の機能性繊維製品用処理剤組成物の製造方法。
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