JP2012072356A - インクジェット用液体組成物、セット、液体カートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用液体組成物、セット、液体カートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性及び吐出安定性に優れ、また、光沢度が高く、光沢ムラが低減された画像を得ることができる液体組成物を提供する。
【解決手段】顔料を含有するインクと共に用いられ、アリール基を有するAブロック、式(1)で表されるユニットを含むBブロック、式(2)で表されるユニットを含むCブロックで構成されるABCトリブロックポリマーを含有し、ポリマーの酸価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g未満であり、ポリマーの数平均分子量の酸価に対する比が50以上200以下であり、ポリマーに占める前記Aブロックの割合が20.0質量%以上80.0質量%以下であり、Aブロックの割合が、ポリマー中の全ての酸性モノマー由来のユニットの割合に対して5.0倍以上15.0倍以下であることを特徴とするインクジェット用液体組成物。式(1)−(CH−CRB1COORB2)−式(2)−(CRC1C2−CRC3C4)−
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用液体組成物、かかる液体組成物を用いたセット、液体カートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
記録媒体に顔料インクを用いて記録を行うと、顔料が堆積して形成される顔料層を有する記録領域と、顔料層を有さない非記録領域の間で反射光強度が異なることにより、画像の光沢ムラが生じる。この光沢ムラは表面の平滑性の高い光沢紙などの記録媒体において特に顕著に発生する。
従来、これを解決する手段として、色材を含まない液体組成物と顔料インクのセットを用いて記録する方法が提案されている(特許文献1及び2)。特許文献1は、顔料インクで画像を形成した後、記録媒体の記録面の全面にポリマーエマルションを含有する液体組成物を噴射してトップコートを施す発明である。これにより、記録媒体の記録面の全面の反射光強度が均一化し、画像の光沢度が改善されることが開示されている。特許文献2は、樹脂分散顔料インクとウレタンポリマーエマルションを含む液体組成物を用いて記録した際に、単位面積当たりの樹脂の付与量(分散樹脂とウレタンポリマーの合計量)が均一になるように、液体組成物の吐出量を調整する発明である。これにより、顔料層を有さない非記録領域には、ポリマー層が形成されるため、顔料層を有する記録領域と顔料層を有さない非記録領域の間の反射光強度の差が小さくなり、画像の光沢性及び光沢均一性が改善されることが開示されている。
特開2001−039006号公報 特開2006−272934号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、従来のポリマーエマルションを含有する液体組成物は、画像の光沢度や光沢ムラは改善されてはいるものの、液体組成物の保存安定性や吐出安定性などが不十分であった。特許文献1及び2で液体組成物中に含有されるポリマーエマルションは、水溶性が低い。そのため、液体組成物の保存安定性や吐出安定性は不十分であることが分かった。
従って、本発明の目的は、保存安定性及び吐出安定性に優れ、また、光沢度が高く、光沢ムラが低減された画像を得ることができるインクジェット用液体組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記液体組成物を用いたセット、液体カートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用液体組成物は、顔料を含有するインクと共に用いられる液体組成物であって、前記液体組成物の400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが1.0以上2.0以下であり、前記液体組成物が、ABCトリブロックポリマーを含有し、前記ABCトリブロックポリマーがアリール基を有するAブロック、下記一般式(1)で表されるユニットを含むBブロック、及び下記一般式(2)で表されるユニットを含むCブロックで構成され、前記ABCトリブロックポリマーの酸価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g未満であり、前記ABCトリブロックポリマーの数平均分子量の前記ABCトリブロックポリマーの酸価に対する比が、50以上200以下であり、前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー全質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下であり、前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー中に含まれる全ての酸性モノマー由来のユニットの割合(質量%)に対して、5.0倍以上15.0倍以下であることを特徴とする。
(一般式(1)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2が炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)
(一般式(2)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5のアルキレン基である。)
本発明によれば、保存安定性及び吐出安定性に優れ、また、光沢度が高く、光沢ムラが低減された画像を得ることができるインクジェット用液体組成物を提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記液体組成物を用いたセット、液体カートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェット用液体組成物(以下、「液体組成物」とする)は、顔料を含有するインクと共に用いられる液体組成物であって、前記液体組成物の400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが1.0以上2.0以下であり、前記液体組成物が、ABCトリブロックポリマーを含有し、前記ABCトリブロックポリマーがアリール基を有するAブロック、下記一般式(1)で表されるユニットを含むBブロック、及び下記一般式(2)で表されるユニットを含むCブロックで構成され、前記ABCトリブロックポリマーの酸価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g未満であり、前記ABCトリブロックポリマーの数平均分子量の前記ABCトリブロックポリマーの酸価に対する比が、50以上200以下であり、前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー全質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下であり、前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー中に含まれる全ての酸性モノマー由来のユニットの割合(質量%)に対して、5.0倍以上15.0倍以下であることを特徴とする。尚、塩を形成している成分の少なくとも一部は液体組成物中で解離してイオンとして存在することがあるが、本発明においては、便宜上、このことも「塩を含有する」という表現に含む。
(一般式(1)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2が炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)
(一般式(2)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5のアルキレン基である。)
上述の通り、ポリマーエマルションを含有する液体組成物では、光沢度や光沢ムラを改善しようとすると、液体組成物の保存安定性や吐出安定性が不十分となってしまう。そこで、本発明者らは、水溶性ポリマーを含有する液体組成物の検討を行った。水溶性ポリマーを含有する液体組成物を用いると、液体組成物の保存安定性や吐出安定性は向上する。しかし、水溶性ポリマーはインク中の水や水溶性有機溶剤とともに記録媒体に浸透しやすいため、通常の液体組成物の付与量では、十分なポリマー層が形成できず、記録媒体の表面の反射光強度を均一化できない。そのため、光沢度や光沢ムラの低減が不十分となってしまう。つまり、水溶性ポリマーを含有する液体組成物を用いて、記録媒体の表面の反射光強度を均一化できるようなポリマー層を形成するためには、多量の液体組成物を記録媒体に付与する必要がある。しかし、この場合は液体組成物の付与量が多すぎて、定着性が十分でない。このように、従来の液体組成物では、画像の光沢性能の向上(高い光沢度と光沢ムラの低減)と高い吐出安定性及び保存安定性がトレードオフの関係になっている。
上記結果を受けて本発明者らが検討を重ねたところ、液体組成物中に特定のABCトリブロックポリマーを含有することで、従来ではトレードオフの関係にあった画像の光沢性能の向上と液体組成物の高い吐出安定性及び保存安定性を両立できることが分かった。本発明の液体組成物に使用する特定のABCトリブロックポリマーとは、具体的には、アリール基を有するAブロック、上記一般式(1)で表されるBブロック、及び上記一般式(2)で表されるCブロックを含むABCトリブロックポリマーである。
本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーのうち、Aブロックは疎水性の高いブロックであり、Cブロックは親水性の高いブロックである。更に、AブロックとCブロックの間にBブロックとして、Aブロックよりも疎水性が低く、かつ、Cブロックよりも親水性が低いブロックを有する。本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーは、疎水性と親水性の部位が共存した構造を有するため、水中では疎水性のAブロックを介して、疎水性相互作用によりいくつかのポリマーが会合し、疎水性部位を内側に、親水性部位を外側にして存在する。そのため、液体組成物中に安定に存在することができる。更に、記録媒体に付与された際には、上記のようにいくつかのポリマーが会合することで、ある程度の大きさで存在する。それにより、記録媒体に浸透しにくく、記録媒体上に保持されやすいため、記録媒体の表面の反射光強度を均一化するのに十分なポリマー層を形成することができる。
このとき、本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーと異なり、Bブロックを介せずにAブロックとCブロックが直接結合したようなACジブロックポリマーを用いた場合は、上述の効果は得られない。これは、ACジブロックポリマーを用いた場合、疎水性のAブロックと親水性のCブロックが非常に近接して存在するため、親水性と疎水性という2つの相反する性質がうまく機能分離して発現しないためと考えられる。
更に、本発明者らが検討を重ねたところ、以下の条件(1)〜(4)を全て満足するときに初めて、従来ではトレードオフの関係にあった画像の光沢性能の向上と液体組成物の高い吐出安定性及び保存安定性を高いレベルで両立することができることが分かった。
<条件(1)>
本発明において、ABCトリブロックポリマーに占める、Aブロックの割合(質量%)が、ABCトリブロックポリマーの全質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下であることが必要である。20.0質量%未満の場合は、疎水部位が少なくなることからABCトリブロックポリマーが会合しにくくなる。そして、記録媒体に付与された際に、記録媒体に浸透しやすくなるため、画像の光沢性能が得られない。一方、80.0質量%より多い場合は、疎水性相互作用が強くなることで、ABCトリブロックポリマーが凝集体を形成してしまうため、液体組成物の保存安定性や吐出安定性が得られない。
<条件(2)>
本発明において、本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーの酸価は、20mgKOH/g以上150mgKOH/g未満であることが必要である。酸価が20mgKOH/g未満であると、親水性が弱くなり、相対的に疎水性相互作用が強くなることで、ABCトリブロックポリマーが凝集体を形成してしまうため、液体組成物の保存安定性や吐出安定性が得られない。また、酸価が150mgKOH/g以上であると、ABCトリブロックポリマーの親水性が強くなり、記録媒体に付与された際に、記録媒体に浸透しやすくなるため、画像の光沢性能が得られない。
<条件(3)>
本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーの親水性は、ABCトリブロックポリマーのGPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)の酸価に対する比(Mn/酸価)により、評価することができる。即ち、分子中のアニオン性基の数と相関する酸価に対して、ポリマーの分子の大きさを表す分子量(Mn)が小さいと親水性が高く、大きいと親水性が低くなるのである。そして、本発明においては、このMn/酸価の値が、50以上200以下であることが必要である。このMn/酸価の値が50未満であると、ABCトリブロックポリマーの酸価に対する分子量が小さいため、トリブロックポリマーの親水性が高すぎて、画像の光沢性能が得られない。また、200よりも大きい場合は、トリブロックポリマーの親水性が低すぎて、液体組成物の保存安定性や吐出安定性が得られない。
<条件(4)>
本発明において、本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーに占める、ABCトリブロックポリマーの全質量を基準としたAブロックの割合(質量%)が、ABCトリブロックポリマー中に含まれる全ての酸性モノマー由来のユニットの割合(質量%)に対して5.0倍以上15.0倍以下であることが必要である。5.0倍未満であると、ABCトリブロックポリマーの親水性が強くなり、記録媒体に付与された際に、記録媒体に浸透しやすくなるため、画像の光沢性能が得られない。また、15.0倍より大きいと、親水性が弱くなり、相対的に疎水性相互作用が強くなることで、ABCトリブロックポリマーが凝集体を形成してしまい、液体組成物の保存安定性や吐出安定性が得られない。
以上のメカニズムのように、本発明の各構成が有効に働くことで、従来公知の方法ではトレードオフの関係にあった画像の光沢性能の向上(高い光沢度と光沢ムラの低減)と液体組成物の優れた吐出安定性及び保存安定性を高いレベルで両立することが可能となるものである。
[液体組成物]
本発明の液体組成物は、色材を含有するインクで記録した画像に影響を及ぼさないために、無色、乳白色又は白色である必要がある。そのため、可視光の波長域である400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが1.0以上2.0以下である必要がある。これは、可視光の波長域において、吸光度のピークを実質的に有さないか、有していてもピークの強度が極めて小さいことを意味する。このような本発明の液体組成物は、色材を含有しないことが好ましい。後述する本発明の実施例では、上記の吸光度は、非希釈の液体組成物を用いて、日立ダブルビーム分光光度計U−2900(日立ハイテクノロジーズ製)によって測定した。尚、液体組成物を希釈して吸光度を測定してもよい。これは、液体組成物の最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの値は共に希釈倍率に比例するため、Amax/Aminの値は希釈倍率に依存しないからである。以下、本発明の液体組成物を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<ABCトリブロックポリマー>
本発明において「ABCトリブロックポリマー」とは、Aブロック、Bブロック、Cブロックの異なる3種類のポリマーを、ABCの順番で共有結合によって連結させた構造を有するポリマーを意味する。尚、それぞれのブロックは1種類のモノマーを単重合させたポリマーでも、2種以上のモノマーをランダム共重合させたランダムポリマーでもよく、他の2つのブロックと異なるポリマーでありさえすればよい。しかし、例えばAブロックが更に2元のブロックポリマーとなっている場合のように、それぞれのブロックが2種以上のモノマーのブロックポリマーであるものは、本発明における「ABCトリブロックポリマー」には含まない。尚、以下「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を示すものとする。
(Aブロックを構成するモノマー)
重合によりAブロックを構成するモノマーとしては、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物が挙げられる。尚、本発明において、「アリール基」とは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−キシリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素から誘導された官能基又は置換基を意味する。
アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とアリール基を有するアルキルアルコールから合成されるエステル化合物;ベンジル(メタ)アクリルアミド、2−フェノキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とアリール基を有するアルキルアミンから合成されるアミド化合物;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルフタル酸などが挙げられる。本発明においては、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物のうちの1種のみを単重合させてAブロックを形成してもよく、又は2種以上をランダム共重合することでAブロックを形成してもよい。また、これらの中でも、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが、構造上、立体障害が小さく会合しやすいため、好ましい。また、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物と後述の「その他のモノマー」をランダム共重合することでAブロックを形成してもよい。その場合は「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、Aブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。Aブロックに用いられる「その他のモノマー」としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルアミド化合物、含窒素ビニル化合物から選ばれるモノマーを用いることが好ましい。本発明においては、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物のみを重合させてAブロックを形成すること、即ち、Aブロックの含有量(質量%)を基準としたときの「その他のモノマー」の含有量が0質量%であることが更に好ましい。また、Aブロックの酸価が、Bブロック及びCブロックの酸価より小さくなるようにすることが好ましい。更には、各ブロックの酸価が、(Aブロックの酸価)<(Bブロックの酸価)<(Cブロックの酸価)の関係を満たすことがより好ましい。
(Bブロックを構成するモノマー)
重合により上記一般式(1)で表されるユニットを含むBブロックを構成するモノマーとしては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(3)中、RB1が水素原子又はメチル基であり、RB2が炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)
一般式(3)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐アルキルアルコール、又は炭素数4乃至8のシクロアルキルアルコールとから合成される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−メチル−5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明においては、上記一般式(3)で表される化合物のうちの1種のみを単重合させてBブロックを形成してもよく、又は2種以上をランダム共重合することでBブロックを形成してもよい。また、一般式(3)で表される化合物と後述の「その他のモノマー」をランダム共重合することでBブロックを形成してもよい。Bブロックに用いられる「その他のモノマー」としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルアミド化合物、含窒素ビニル化合物が好ましい。また、「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、Bブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。
(Cブロックを構成するモノマー)
重合により上記一般式(2)で表されるユニットを含むCブロックを構成するモノマーとしては、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(4)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つが、−COOH基、−RC5−COOH基又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5の置換又は無置換のアルキレン基である。)
一般式(4)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸、その誘導体、及びその塩が挙げられる。塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。本発明においては、上記一般式(4)で表される化合物のうちの1種のみを単重合させてCブロックを形成してもよく、又は2種以上をランダム共重合することでCブロックを形成してもよい。また、所望の物性が得られるように、一般式(4)で表される化合物と後述の「その他のモノマー」をランダム共重合することでCブロックを形成してもよい。このとき「その他のモノマー」としては、疎水性の大きいモノマー(アリール基を有するモノマーなど)を用いないことが好ましい。「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、Cブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。本発明においては、一般式(4)で表される化合物のみを重合させてCブロックを形成すること、即ち、Cブロックの含有量(質量%)を基準としたときの「その他のモノマー」の含有量が0質量%であることが好ましい。
本発明においては、ABCトリブロックポリマーに占める、Cブロックの割合(質量%)が、ABCトリブロックポリマー全質量を基準として、2.0質量%以上35.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、2.0質量%以上20.0質量%以下である。2.0質量%未満の場合は、ポリマーの親水性が弱くなり、相対的にポリマー同士の疎水性相互作用が強くなることで、ポリマーが凝集体を形成してしまい、液体組成物の保存安定性や吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。一方、35.0質量%より大きい場合は、親水性が強くなり、相対的に疎水部位が少なくなることからトリブロックポリマーが会合しにくくなる。そして、記録媒体に付与された際に、記録媒体に浸透しやすくなるため、画像の光沢性能の向上効果が十分に得られない場合がある。また、Cブロックの酸価は、Aブロックの酸価及びBブロックの酸価より大きくなるようにすることが好ましい。
(その他のモノマー)
本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーのA〜Cの各ブロックは、本発明の効果が得られる範囲で、それぞれ上記の各ブロックを構成するユニットとなるモノマーと「その他のモノマー」をランダム共重合して形成してもよい。その場合は「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、「その他のモノマー」を用いるブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。
「その他のモノマー」としては、具体的に、(メタ)アクリル酸;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミド化合物;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの含窒素ビニル化合物などが挙げられる。
(トリブロックポリマーの合成方法)
本発明の液体組成物に使用するトリブロックポリマーは、上記で説明した構造を有しさえすればよく、その合成方法としては、従来、一般的に用いられている方法を何れも用いることができる。具体的には、リビングラジカル重合法やリビングアニオン重合法など従来公知の方法が挙げられる。また、トリブロックポリマーの分子鎖中に酸性モノマー由来のブロック構造を導入する方法としては、酸性モノマーを用いて重合する方法や、酸性モノマーのアルキルエステルモノマーを用いて重合した後にアルキルエステル基を加水分解する方法が挙げられる。
(トリブロックポリマーの分析方法)
トリブロックポリマーの組成、分子量に関しては、従来公知の方法により分析を行うことができる。また、トリブロックポリマーを含有する液体組成物からも、液体組成物を遠心分離し、その沈降物と上澄み液を調べることで確認することができる。尚、液体組成物の状態でも各確認は行うことができるが、トリブロックポリマーを抽出しておくと、精度がより高まる。具体的な手法としては、液体組成物を75,000rpmで遠心分離し、その上澄み液からトリブロックポリマーを抽出する。分離したトリブロックポリマーを高温ガスクロマトグラフィー/質量分析計(高温GC/MS)を用いて分析することで、トリブロックポリマーを構成しているユニットの種類を確認できる。また、分離したトリブロックポリマーを核磁気共鳴法(13C−NMR)やフーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)によって、これらの化合物の分子量や種類や含有量を定量することができる。また、トリブロックポリマーの酸価は滴定法により測定することができる。後述する実施例では、ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)を用いて、水酸化カリウムエタノール滴定液によって電位差滴定することで、測定することができる。また、トリブロックポリマーの重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる。本発明におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)。後述する実施例においても、上記の条件で測定を行った。
(トリブロックポリマーの特性)
本発明の液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーは、GPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、1,000以上30,000以下であることが好ましい。より好ましくは1,000以上10,000以下、更に好ましくは2,000以上10,000以下である。数平均分子量が1,000未満であるとトリブロックポリマーの親水性が強くなり、記録媒体に付与された際に、記録媒体に浸透しやすくなるため、画像の光沢性能の向上効果が十分に得られない場合がある。数平均分子量が30,000より大きいと、トリブロックポリマーの水溶性が低下し、疎水性相互作用が強くなることで、ABCトリブロックポリマーが凝集体を形成してしまい、液体組成物の保存安定性や吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
また、ABCトリブロックポリマーのGPCにより得られる分子量分布が、1.0≦(重量平均分子量:Mw)/(数平均分子量:Mn)≦2.0であることが好ましい。尚、分子量分布の値は、原理的に1.0以上であり、この値が1.0に近づくほど単分散であることを意味する。一方、分子量分布が2.0より大きいと、高分子量や低分子量のABCトリブロックポリマーが混在するため、液体組成物の保存安定性や吐出安定性の向上効果や画像の光沢性能の向上効果が十分に得られない場合がある。また、液体組成物中のABCトリブロックポリマーの含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
<水性媒体>
本発明の液体組成物は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。液体組成物中の水の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下、更には30.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。また、液体組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、更には3.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の液体組成物は、上記の成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び上記のトリブロックポリマー以外の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤の液体組成物中における含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.05質量%以上10.0質量%以下、更には0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。尚、本発明の液体組成物には、上記のABCトリブロックポリマーの会合状態を不安定化し、凝集させる作用を持つような添加物(後述の反応剤のような物質)を含有しないことが好ましい。
また、本発明の液体組成物のpHは、7以上10以下とすることが好ましく、このためにはpH調整剤を用いて調整することができる。尚、液体組成物のpHは、25℃における値であり、一般的なpHメータを用いて測定することができる。
<液体組成物の調製方法>
本発明の液体組成物の調製方法としては、原料を混合し、撹拌する方法が挙げられる。このとき、加熱をしてもよい。また、ABCトリブロックポリマーをテトラヒドロフランのような有機溶剤に溶解した後、必要に応じて、上述の水性媒体やその他の成分を加えて混合し、分液ロートやエバポレーターなどにより、有機溶剤を取り除くことによって、液体組成物を得てもよい。
[液体カートリッジ]
本発明の液体カートリッジは、液体組成物を収容する液体収容部を備えてなり、この液体収容部に、上記で説明した本発明の液体組成物が収容されてなるものである。また、液体収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態の液体カートリッジとしてもよい。
[インク]
以下、本発明の液体組成物と共に用いることができるインクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
<顔料>
本発明の液体組成物と共に用いられるインクの色材としては公知の無機顔料や有機顔料を何れも使用することができる。顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(高分子分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合したポリマー結合型自己分散顔料)や顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)が挙げられる。無論、分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。顔料の含有量としては、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下が適しており、さらには1.0質量%以上12.0質量%以下とするのがより好ましい。
<水性媒体及びその他の成分>
インクには、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、液体組成物に使用可能なものとして挙げた水溶性有機溶剤と同様のものを使用することができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インクには、上記の液体組成物に使用可能なものとして挙げたその他の成分と同様のものを使用することができる。例えば、液体組成物に使用するABCトリブロックポリマーをインクに含有させてもよい。
[液体組成物とインクのセット]
本発明の液体組成物は、顔料を含有するインクと組み合わせてセットとした場合において好ましく使用することができる。尚、セットとして組み合わせることのできる顔料を含有するインクについての限定は特になく、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどを用いることができる。また、本発明におけるセットとは、液体カートリッジが複数一体になっている液体カートリッジ自体は無論のこと、単独の液体カートリッジを複数組み合わせて使用する場合も含み、更に、前記液体カートリッジ及び記録ヘッドを一体としたものも含まれる。
[反応液]
以下、本発明の液体組成物と共に用いることができる、ABCトリブロックポリマーを凝集させる反応液を構成する各成分について、それぞれ説明する。尚、反応液の塗布手段としては、インクジェット方式やローラ塗布方式などが挙げられる。
<反応剤>
本発明の液体組成物と共に用いることができる反応液は、液体組成物中に含有されるABCトリブロックポリマーの会合状態を不安定化し、凝集させる作用を持つ反応剤を含有する。このような反応剤としては、多価金属イオン、酸性化合物、カチオン性化合物などが挙げられる。尚、このような反応剤は、本発明の液体組成物中には含有しないことが好ましい。
多価金属イオンは、二価以上の金属イオンであれば好適に用いることができる。二価の金属イオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムなどのアルカリ土類金属、三価以上の金属イオンとしてはアルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、鉄やその他の遷移金属イオンが挙げられる。本発明において、多価金属イオンは、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩の形態で反応液に添加することができる。中でも硝酸塩の形態で用いることが好ましい。
酸性化合物としては、メタンスルホン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピルビン酸、N−(2−アセタミド)イミノジ酢酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−モルホリノエタンスルホン酸などが挙げられる。
カチオン性化合物としては、ポリアリルアミン、ビニルピロリドン−N,Nジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体硫酸塩、エチレンイミン、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミンアンモニウムクロライド、グアニジンホルムアルデヒドなどが挙げられる。
<水性媒体及びその他の成分>
反応液には、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、液体組成物に使用可能なものとして挙げた水溶性有機溶剤と同様のものを使用することができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、反応液には、上記の液体組成物に使用可能なものとして挙げたその他の成分と同様のものを使用することができる。尚、25℃におけるインクの粘度は1cps以上30cps以下であることが好ましい。
反応液は、インクで記録した画像に影響を及ぼさないためには、無色、乳白色又は白色であることが好ましい。つまり、400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが1.0以上2.0以下であることが好ましい。また、反応液は、記録媒体に付与された際に無色透明の膜を形成することが好ましい。このような反応液は、色材を含有しないことが好ましい。
[液体組成物とインクと反応液とのセット]
本発明の液体組成物はABCトリブロックポリマーを凝集させる反応液及び顔料を含有するインクと組み合わせてセットとした場合において好ましく使用することができる。これは、ABCトリブロックポリマーが不安定化し、凝集することにより、ABCトリブロックポリマーの膜が強固になり、耐擦過性が向上するためである。また、液体組成物が記録媒体に付与された際に、ABCトリブロックポリマーが不安定化し凝集することで、記録媒体により浸透しにくくなるため、画像の光沢度が更に向上する。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、顔料を含有するインクをインクジェット方式で吐出するインク吐出工程及び液体組成物をインクジェット方式で吐出する液体組成物吐出工程を有するインクジェット記録方法である。本発明においては特に、液体組成物及びインクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式のインクジェット記録方法が好ましい。尚、本発明における「記録」とは、光沢紙や普通紙などの記録媒体に対して本発明の液体組成物を用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非浸透性の記録媒体に対して本発明の液体組成物を用いてプリントを行う態様を含む。
本発明のインクジェット記録方法は、液体組成物吐出工程(A)と、インク吐出工程(B)の2つの工程を有する。工程(A)を工程(B)に先立って行っても、工程(B)の後に工程(A)を行っても構わないが、工程(B)の後に工程(A)を行う方が画像の光沢性能の向上効果が大きく、より好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法は、更にABCトリブロックポリマーを凝集させる反応液を付与する工程を有してもよい。このとき、液体組成物吐出工程(A)と反応液を付与する工程(C)は、どちらを先に行っても構わないが、画像濃度及び定着性の向上の観点から、工程(C)の後に工程(A)を行う方がより好ましい。これは、反応液が付与された記録媒体に液体組成物が付与されることで、液体組成物に含まれるABCトリブロックポリマーの不安定化が瞬時に起こり、ポリマーが凝集するため、記録媒体への浸透がより抑制されるためである。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。尚、略称は以下の通りである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート
nBMA:n−ブチルメタクリレート
tBMA:tert−ブチルアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
St:スチレン
BzMA:2−ベンジルメタクリレート
PEMA:2−フェニルエチルメタクリレート
SMA:ステアリルメタクリレート
MTEGMA:メトキシトリエチレングリコールメタクリレート
ETEGMA:エトキシトリエチレングリコールメタクリレート
<ポリマー水溶液の調製>
(ポリマー水溶液1〜38、43〜48の調製)
下記の重合法I又は重合法IIを用いて、表1に記載の仕込みで各ポリマー水溶液を調製した。
(重合法I)
リチウム0.47gを加えたテトロヒドロフラン(THF)160g中に、窒素雰囲気下、重合温度T(℃)でn−ブチルリチウム(n−BuLi)溶液を加え、続いてモノマーxを加え40分間撹拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液3.08gを加え1分間撹拌し、モノマーxの重合溶液を得た。続いて、THF11g中にモノマーyを加えたものに、ジエチル亜鉛溶液4.53gを4回に分けて加えたモノマーy溶液を、モノマーxの重合溶液に6分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌し、XYジブロックポリマー水溶液を得た。更に、THF11g中にモノマーzを加えたものに、ジエチル亜鉛溶液4.53gを4回に分けて加えたモノマーz溶液をXYジブロックポリマー水溶液に6分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌し、酢酸1.3gを加え反応を停止させた。この溶液に35.0%塩酸水溶液を2.8g加え、室温で10分間撹拌し、純水で3回洗浄後、乾燥して、XYZトリブロックポリマーを得た。
得られたXYZトリブロックポリマーの数平均分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、モノマーとしてtBMAを用いた場合は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分光法により、カルボキシル基の化学シフトMAA値δ:12〜13にピークが存在したことから、tBMAが加水分解されていることを確認した。また、H−NMR測定により各ブロックを構成するモノマー構成比を分析した。また、酸価はXYZトリブロックポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。得られたXYZトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液を得た。
(重合法II)
窒素置換したグローブボックス内で、モノマーxと(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン(MTEBz)を、重合温度T(℃)で30時間反応させた。反応終了後、続いてモノマーyを添加し、重合温度T(℃)で30時間反応させた。反応終了後、モノマーzを添加し、重合温度T(℃)で30時間反応させた。反応終了後、クロロホルム5mLに溶解した後、その溶液を撹拌している水/メタノール混合溶液300ml(水:メタノール=1:4)中に注いだ。沈殿したポリマーを吸引ろ過、乾燥することによりXYZトリブロックポリマーを得た。
得られたXYZトリブロックポリマーの分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、H−NMR分光法により、各ブロックを構成するモノマー構成比を分析した。また、酸価はXYZトリブロックポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。得られたXYZトリブロックポリマーの溶液に、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にて重合溶媒を除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液とした。
(ポリマー水溶液39の調製)
リチウム0.47gを加えたTHF160g中に、窒素雰囲気下、−50℃でn−BuLi溶液1.73gを加え、続いてBzMA0.70g、HEMA0.24g、tBMA0.10gを加え40分間撹拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液3.08gを加え1分間撹拌し、更に、酢酸1.3gを加え反応を停止させた。この溶液に35.0%塩酸水溶液を2.8g加え、室温で10分間撹拌し、純水で3回洗浄後、乾燥して、ランダムポリマーを得た。
得られたランダムポリマーの分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分光法により、カルボキシル基の化学シフトMAA値δ:12〜13にピークが存在したことから、tBMAが加水分解されていることを確認した。また、H−NMR測定によりモノマー構成比を分析した。また、酸価はランダムポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。得られたランダムポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液39を得た。
(ポリマー水溶液40〜42の調製)
下記の重合法を用いて、表2に記載の仕込みでポリマー水溶液40〜42を調製した。リチウム0.47gを加えたTHF160g中に、窒素雰囲気下、−50℃でn−BuLi溶液1.73gを加え、続いてモノマーxを加え40分間撹拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液3.08gを加え1分間撹拌し、モノマーyの重合溶液を得た。続いて、THF11g中にモノマーyを加えたものに、ジエチル亜鉛溶液4.53gを4回に分けて加えたモノマーy溶液を、モノマーxの重合溶液に6分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌し、更に、酢酸1.3gを加え反応を停止させた。この溶液に35.0%塩酸水溶液を2.8g加え、室温で10分間撹拌し、純水で3回洗浄後、乾燥して、XYジブロックポリマーを得た。
得られたXYジブロックポリマーの分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分光法により、カルボキシル基の化学シフトMAA値δ:12〜13にピークが存在したことから、tBMAが加水分解されていることを確認した。また、H−NMR測定により各ブロックを構成するモノマー構成比を分析した。また、酸価はXYジブロックポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。得られたXYジブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液40〜42を得た。
(ポリマー水溶液49の調製)
特開平7−53841号公報の実施例に記載の製造2の合成方法を参考にして、ポリマー水溶液49の調製を行った。300mLのTHF中の22.6g(26.2mL、130mmol)の1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン及び0.1mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)の溶液に、268g(304mL、1.69mol)のトリメチルシリルメタクリレートを滴下した。滴下中、溶液の温度はゆっくりと上がり、そして1.5mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。すべてのモノマーを添加した後、温度を30℃に冷却した。アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したPEMA248g(245mL、1.3mol)を添加した。更に、0.6mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。添加が完了した後、温度を30℃に冷却し、0.15mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。その後、アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したETEGMA128g(128mL、0.52mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、0.15mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。H−NMR分光法により、残留モノマーが存在しないことを確認した。得られた溶液を、350mLの0.03mol/Lメタノール性フッ化テトラブチルアンモニウム及びメタノールと共に16時間還流した。ロータリーエバポレーターで減圧蒸留し溶媒を除去した後、残留したポリマーを真空オーブン中50℃で48時間乾燥すると、515gのMAA−PEMA−ETEGMAのトリブロックポリマーを得た。得られたトリブロックポリマーをH−NMR分光法による測定を行い、トリメチルシリルエステル基が残留しないことを確認した。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液49を得た。
(ポリマー水溶液50の調製)
特開平7−53841号公報の実施例に記載の製造4の合成方法を参考にして、ポリマー水溶液50の調製を行った。150mLのTHF中の9.05g(10.5mL、51.9mmol)の1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン及び2mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)の溶液に、107g(121mL、0.677mol)のトリメチルシリルメタクリレートを滴下した。滴下中、溶液の温度はゆっくりと上がり、そして2mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。すべてのモノマーを添加した後、温度は57℃に上がり続けた。温度が33℃に下がった時に、アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したBzMAを91.6g(88.6mL、0.52mol)添加した。温度が39℃で平衡になった時に、追加の1mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。モノマーの添加が完了すると、温度は57℃に上がった。温度が35℃に下がった時に、アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したETEGMA51.2g(51.2mL、0.205mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、この混合物を一晩撹拌した。H−NMR分光法により、残留モノマーが存在しないことを確認した。得られた溶液を、150mLの0.03mol/Lメタノール性フッ化テトラブチルアンモニウム及び100mLのTHFと共に12時間還流した。ロータリーエバポレーターで減圧蒸留し溶媒を除去した後、残留したポリマーを真空オーブン中50℃で48時間乾燥すると、186.3gのMAA−BzMA−ETEGMAのトリブロックポリマーを得た。得られたトリブロックポリマーをH−NMR分光法による測定を行い、トリメチルシリルエステル基が残留しないことを確認した。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液50を得た。
(ポリマー水溶液51の調製)
特開2006−97016号公報の実施例に記載のブロック共重合体BP1の合成方法を参考にして、ポリマー水溶液51の調製を行った。三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.05mmol及びトルエン11mLにイソブチルビニルエーテル(CH=CHOCHCH(CH)(以下、IBVEと略す。)を加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等mol混合物)を0.2mmol加え重合を開始した。分子量を時分割にGPCを用いてモニタリングし、イソブチルビニルエーテルの重合の完了を確認した。次いで、2−(2−メトキシエトキシ)−エチル−ビニルエーテル(CH=CHOCHCHOCHCHOCH)(以下、MEEVEと略す。)を添加し、重合を続行した。GPCを用いるモニタリングによって、2−(2−メトキシエトキシ)−エチル−ビニルエーテルの重合の完了を確認した。その後、安息香酸2−ビニロキシエチルエーテル(CH=CHOCHCHOPhCOOH:Phはフェニル基を表す)(以下、BzAVEEと略す。)におけるカルボン酸部がエステル化された単位構造となるモノマーのトルエン溶液を添加して、20時間、重合反応を行った。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6mol/L塩酸水溶液で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させたものを、セルロースの半透膜を用いてメタノール溶媒中透析を繰り返し行い、モノマー性化合物を除去した。更に、水分散液中で0.1mol/Lの塩酸水溶液で中和してCブロックのナトリウム塩部がフリーのカルボン酸になったトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、H−NMR及びGPCを用いて行った。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液51を得た。
(ポリマー水溶液52の調製)
特開2010−137471号公報の実施例に記載のポリマー1の合成方法を参考にして、ポリマー水溶液52の調製を行った。三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、4−メチルベンゼンオキシエチルビニルエーテル(MBOEVE)50mmol、酢酸エチル160mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.5mmol、及びトルエン110mlを加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等モル混合物)を2.0mmol加え重合を開始した。分子量を時分割にしたGPCを用いてモニタリングし、Aブロックの重合の完了を確認した。この段階でのMn=15500、Mw/Mn=1.14であった。ついで、Bブロックのモノマーであるメトキシエトキシエチルビニルエーテル(MEEVE)を50mmol添加し、重合を続行した。GPCを用いるモニタリングによって、Bブロックの重合の完了を確認した後(この段階でのMn=28600、Mw/Mn=1.15)、Cブロックのモノマーである4−{(ビニルオキシ)エトキシ}安息香酸エチルを10mmol添加して、重合を続行した。GPCを用いるモニタリングによって、Cブロックの重合が完了していることを確認し、重合反応を停止した。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6M塩酸で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固し、真空乾燥させたものより、目的物であるトリブロックポリマーを単離した。更に、得られたブロックポリマーを5規定水酸化ナトリウム水溶液と共に40時間室温(23℃)で撹拌し、Cブロックのエステルを加水分解した。5規定塩酸で中和し、塩化メチレンで抽出、乾燥した後、溶媒を留去し、Cブロックが4−{(ビニルオキシ)エトキシ}安息香酸(VOEBA)であるABCトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、H−NMR及びGPCを用いて行った。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液52を得た。
以上のように得られたポリマー水溶液1〜52のポリマー組成及び物性を表3〜表5に示した。
<液体組成物の調製>
(液体組成物1)
上記で得られたポリマー水溶液1を下記の組成で混合した。
・ポリマー水溶液1 8.0質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)(PEG1000)5.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・イオン交換水 71.5質量%
これを十分撹拌して分散し、液体組成物1を調製した。
(液体組成物2〜52)
ポリマー水溶液1をポリマー水溶液2〜52とした以外は液体組成物1と同様にして液体組成物2〜52を得た。
(液体組成物53)
特開2001−039006号公報に記載の実施例2を参考にして、下記の成分を混合し、十分撹拌して分散した。
・酢酸ビニル系樹脂エマルジョン(最低造膜温度:5℃) 10.0質量%
・トリエチレングリコール 8.0質量%
・グリセリン 2.0質量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0質量%
・界面活性剤:サーフィノール465(エアープロダクツ製) 1.0質量%
・トリエタノールアミン 0.5質量%
・イオン交換水 73.5質量%
これをポアサイズ0.5μmのメンブレンフィルターでろ過し、液体組成物53を調製した。
(液体組成物54)
特開2006−272934号公報の実施製造例1を参考にして、下記の成分を混合し、90℃で5時間撹拌し、樹脂分散液を得た。
・ポリエステル系ポリウレタン樹脂 10.0質量%
(酸価:50mgKOH/g、重量平均分子量:50,000)
・スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合樹脂 2.0質量%
(重量平均分子量:8,000)
・架橋剤(グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂) 8.0質量%
・純水 80.0質量%
このようにして得られた樹脂分散液に、1,2−ヘキサンジオールを樹脂分散液に対して5.0質量%添加し、十分に撹拌した後、70℃で3日間加熱処理し、加熱済樹脂分散液を得た。そして、上記で得られた加熱済樹脂分散液を下記の組成で混合した。
・加熱済樹脂分散液 5.0質量%
・グリセリン 15.0質量%
・界面活性剤:BYK−348(ビックケミージャパン製) 0.5質量%
・トリエタノールアミン 0.9質量%
・イオン交換水 78.6質量%
これを十分撹拌して分散し、液体組成物54を調製した。
<液体組成物の吸光度の測定>
上記で得られた液体組成物1〜88の400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminを日立ダブルビーム分光光度計U−2900((株)日立ハイテクノロジーズ製)によって測定し、比Amax/Aminを算出した。結果を表6に示す。
<顔料分散液の調製>
(ブラック顔料分散液の調製)
下記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、撹拌下で樹脂分散剤を溶解させた。
・樹脂分散剤:JONCRYL683(BASF製) 7.0部
・2−ピロリドン 10.0部
・水酸化カリウム 0.95部
・イオン交換水 67.05部
この溶液にブラック顔料であるカーボンブラック(NIPex 160 IQ;Degussa製)15.0部を加え、30分間プレミキシングを行った。その後、超高圧ホモジナイザーNM2−L200AR(吉田機械興業製)を用い分散処理(処理圧力:150MPa、処理パス:10パス)を行ってブラック顔料分散液(顔料の含有量は15.0質量%)を得た。
(シアン顔料分散液の調製)
下記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、撹拌下で樹脂分散剤を溶解させた。
・樹脂分散剤:JONCRYL683(BASF製) 10.0部
・2−ピロリドン 10.0部
・水酸化カリウム 1.35部
・イオン交換水 63.65部
この溶液にシアン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(IRGALITE Blue 8700;チバスペシャルティケミカルズ製)15.0部を加え、30分間プレミキシングを行った。その後、ビーズミル UAM−015(寿工業製)を用い分散処理(使用ビーズ:0.05mm径ジルコニアビーズ、ビーズ充填率:70質量%(嵩比重換算)、ローター回転数:42.1Hz、分散時間:2時間)を行ってシアン顔料分散液(顔料の含有量は15.0質量%)を得た。
(マゼンタ顔料分散液の調製)
シアン顔料をマゼンタ顔料であるC.I.ピグメントレッド122(CROMOPHTAL Pink PT;チバスペシャリティケミカルズ製)とした以外はシアン顔料分散液と同様にしてマゼンタ顔料分散液(顔料の含有量は15.0質量%)を調製した。
(イエロー顔料分散液の調製)
シアン顔料をイエロー顔料であるC.I.ピグメントイエロー74(IRGALITE Yellow GS;チバスペシャリティケミカルズ製)とした以外はシアン顔料分散液と同様にしてイエロー顔料分散液(顔料の含有量は15.0質量%)を調製した。
<インクの調製>
(ブラックインクの調製)
上記で得られたブラック顔料分散液を下記の組成で混合した。
・ブラック顔料分散液(顔料の含有量は15.0質量%) 20.0質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(平均分子量は1,000) 5.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・イオン交換水 59.5質量%
これを十分撹拌して分散し、ブラックインクを調製した。
(シアンインクの調製)
ブラックインクにおいて、ブラック顔料分散液をシアン顔料分散液とした以外はブラックインクと同様にしてシアンインクを調製した。
(マゼンタインクの調製)
ブラックインクにおいて、ブラック顔料分散液をマゼンタ顔料分散液とした以外はブラックインクと同様にしてマゼンタインクを調製した。
(イエローインクの調製)
ブラックインクにおいて、ブラック顔料分散液をイエロー顔料分散液とした以外はブラックインクと同様にしてイエローインクを調製した。
<反応液の調製>
下記の各成分を混合し十分撹拌した。
・ジエチレングリコール 10.0質量%
・メチルアルコール 5.0質量%
・硝酸マグネシウム 3.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.1質量%
・イオン交換水 81.9質量%
これをろ過し、反応液を調製した。
[評価]
<液体組成物の評価>
下記の(液体組成物の吐出安定性)及び(液体組成物の保存安定性)の評価は、インクジェット記録装置PIXUS Pro9500(キヤノン製)を用いて行った。いずれの評価も、キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101(キヤノン製)に対して、記録モードを「キヤノン写真用紙・光沢ゴールド 標準モード」として記録した。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に4pLのインクを4滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。尚、下記の(液体組成物の吐出安定性)及び(液体組成物の保存安定性)の評価基準において、A〜Bが好ましいレベルとし、C〜Eは許容できないレベルとした。
(液体組成物の吐出安定性)
上記で得られた液体組成物をそれぞれ液体カートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、GL−101に対して、17cm×25cmのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を印刷した。このとき得られた記録物について、JIS Z 8741に基づくベタ画像の20度光沢度を光沢計(ハンディ型光沢計PG−1M;日本電色工業製)を用いて測定した。そして、1枚目の画像の20度光沢度をGR、100枚目の画像の20度光沢度をGRとしたときの2つの値の比DR=GR/GRを算出し、液体組成物の吐出安定性を評価した。尚、吐出が不安定になると、液体組成物によって形成されるポリマー層が不均一になるため、画像の光沢度が低くなる。つまり、DRの値が1.0に近いほど、100枚目の画像でも1枚目の画像と同様に、ポリマー層が均一に形成されていることを意味するため、液体組成物の吐出安定性が高いと言える。液体組成物の吐出安定性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表6に示した。
A:0.90<DRであった
B:0.85<DR≦0.90であった
C:0.60<DR≦0.85であった
D:0.50<DR≦0.60であった
E:DR≦0.50であったか、又はベタ画像がかすれていた。
(液体組成物の保存安定性)
上記で得られた液体組成物をそれぞれ温度60℃で1ヶ月保存した。保存試験前後の液体組成物を液体カートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、GL−101に対して、17cm×25cmのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を印刷した。このとき得られた記録物について、JIS Z 8741に基づくベタ画像の20度光沢度を光沢計(ハンディ型光沢計PG−1M;日本電色工業製)を用いて測定した。そして、保存試験前の液体組成物を用いた画像の20度光沢度をGR、保存試験後の液体組成物を用いた画像の20度光沢度をGRとしたときの2つの値の比ST=GR/GRを算出し、液体組成物の保存安定性を評価した。尚、保存試験によって液体組成物の保存が不安定になると、凝集や加水分解したポリマーの存在により、形成されるポリマー層が不均一になったり、反射率が異なる箇所が発生したりすることで、画像の光沢度が低くなる。つまり、STの値が1.0に近いほど、保存試験後の液体組成物を用いた画像でも保存試験前の液体組成物を用いた画像と同様に、ポリマー層が均一に形成されていることを意味する。そのため、ポリマーの凝集や加水分解などの発生が少なく、液体組成物の保存安定性が高いと言える。液体組成物の保存安定性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表6に示した。
A:0.90<STであった
B:0.85<ST≦0.90であった
C:0.60<ST≦0.85であった
D:0.50<ST≦0.60であった
E:ST≦0.50であったか、又はベタ画像がかすれていた。
<液体組成物とインクのセットの評価>
下記の(画像の光沢度)及び(画像の光沢ムラ)の評価は、インクジェット記録装置PIXUS Pro9500(キヤノン製)を用いて行った。いずれの評価も、キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101(キヤノン製)に対して、記録モードを「キヤノン写真用紙・光沢ゴールド 標準モード」として記録した。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。尚、下記の(画像の光沢度)及び(画像の光沢ムラ)の評価基準において、A〜Bが好ましいレベルとし、C〜Eは許容できないレベルとした。
(画像の光沢度)
上記で得られたインクと液体組成物を、それぞれ液体カートリッジに充填し、表6に示す組合せでセットとし、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、GL−101に対して、インクの記録デューティが50%である画像(3cm×3cm)を記録し、画像と重なるように液体組成物を記録デューティ50%で付与した。このとき得られた画像について、JIS K 7105に基づく画像の写像性GCを写像性測定装置(GP1−S;オプテック製)を用いて測定した。尚、写像性GCが大きいほど、画像の光沢度が高いことを意味する。画像の光沢度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表6に示した。
A:60≦GCであった
B:53≦GC<60であった
C:45≦GC<53であった
D:30≦GC<45であった
E:GC<30であったか、又はベタ画像がかすれていた。
(画像の光沢ムラ)
上記で得られたインクと液体組成物を、それぞれ液体カートリッジに充填し、表6に示す組合せでセットとし、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、インクの記録デューティが0%〜100%(10%刻み)である11個の画像(3cm×3cm)を1枚のGL−101に並べて記録し、それぞれの画像と重なるように液体組成物を記録デューティ50%で付与した。このとき得られた11個の画像について、JIS K 7105に基づく画像の写像性GCを写像性測定装置(GP1−S;オプテック製)を用いて測定し、11個の画像の写像性GCの標準偏差SDを求めた。尚、標準偏差SDが小さいほど、画像の光沢ムラが低減されていることを意味する。画像の光沢ムラの評価基準は以下の通りである。評価結果を表6に示した。
A:SD<5であった
B:5≦SD<7であった
C:7≦SD<13であった
D:13≦SD<30であった
E:30≦SDであったか、又はベタ画像がかすれていた。
<液体組成物と反応液とインクのセットの評価>
上記で得られた液体組成物1、インク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)、反応液を表7に示す組合せで、それぞれ液体カートリッジに充填した。それらを、インクジェット記録装置 PIXUS Pro9500(キヤノン製)に装着し、キャストコート紙 ミラーコート・ゴールド(米坪は104.7g/m)(王子製紙製)に対して、記録を行った。このとき、インクにより得られた画像(3cm×3cm)に対し、この画像と重なるように、実施例27は液体組成物1を、実施例28は液体組成物1及び反応液を記録した。尚、液体組成物、インク、反応液の記録デューティは、表7に示した通りである。それぞれの画像を用いて、以下の評価を行った。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。
(画像の光沢度)
上記で得られた記録物について、JIS Z 8741に基づく画像の20度光沢度GVを光沢計(ハンディ型光沢計PG−1M;日本電色工業製)を用いて測定した。画像の光沢度の評価基準は以下の通りである。尚、下記の画像の光沢度の評価基準において、A〜Cが好ましいレベルとし、D及びEは許容できないレベルとした。評価結果を表7に示した。
A:40≦GVであった
B:30≦GV<40であった
C:20≦GV<30であった
D:10≦GV<20であった
E:GV<10であったか、又はベタ画像がかすれていた。
(画像の耐擦過性)
上記で得られた記録物について、各記録部の耐擦過性を表面性測定機(トライボギア TYPE:14FW)を用いて測定した。試験条件は、JIS K5600−5−5に従い、荷重を500gf、擦過試験のストロークを40mm、掃引速度を40mm/secとし、測定子として外径2mmのアクリル球を用いた。そして、掃引後の記録物を目視にて観察した。画像の耐擦過性の評価基準は以下の通りである。尚、下記の画像の耐擦過性の評価基準において、A、Bが好ましいレベルとし、Cは許容できないレベルとした。評価結果を表7に示した。
A:掃引部に削れは見られなかった
B:掃引部の一部が削れ、下地の紙が一部露出した
C:掃引部のほとんどが削れ、下地の紙が露出した。

Claims (9)

  1. 顔料を含有するインクと共に用いられるインクジェット用液体組成物であって、
    前記液体組成物の400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが1.0以上2.0以下であり、
    前記液体組成物が、ABCトリブロックポリマーを含有し、
    前記ABCトリブロックポリマーがアリール基を有するAブロック、下記一般式(1)で表されるユニットを含むBブロック、及び下記一般式(2)で表されるユニットを含むCブロックで構成され、
    前記ABCトリブロックポリマーの酸価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g未満であり、
    前記ABCトリブロックポリマーの数平均分子量の前記ABCトリブロックポリマーの酸価に対する比が、50以上200以下であり、
    前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー全質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下であり、
    前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー中に含まれる全ての酸性モノマー由来のユニットの割合(質量%)に対して、5.0倍以上15.0倍以下であることを特徴とするインクジェット用液体組成物。

    (一般式(1)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2が炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)

    (一般式(2)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5のアルキレン基である。)
  2. 前記ABCトリブロックポリマーの数平均分子量が、1,000以上30,000以下である請求項1に記載のインクジェット用液体組成物。
  3. 前記ABCトリブロックポリマーが、1.0≦(重量平均分子量)/(数平均分子量)≦2.0の分子量分布を有する請求項1又は2に記載のインクジェット用液体組成物。
  4. 液体組成物を収容する液体収容部を備えた液体カートリッジであって、前記液体収容部に収容された液体組成物が請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用液体組成物であることを特徴とする液体カートリッジ。
  5. 顔料を含有するインク及び液体組成物を有して構成されるセットであって、前記液体組成物が請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用液体組成物であることを特徴とするセット。
  6. 更に、前記液体組成物に含有される前記ABCトリブロックポリマーを凝集させる反応液を有する請求項5に記載のセット。
  7. 顔料を含有するインクをインクジェット方式で吐出するインク吐出工程及び液体組成物をインクジェット方式で吐出する液体組成物吐出工程を有するインクジェット記録方法であって、前記液体組成物が請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用液体組成物であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 前記液体組成物吐出工程を、前記インク吐出工程の後に行う請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 更に、前記液体組成物に含有される前記ABCトリブロックポリマーを凝集させる反応液を付与する工程を有する請求項7又は8に記載のインクジェット記録方法。
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