JP2006097016A - インクジェット記録用インクセット、画像形成方法及び画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な画像形成が可能で、インクジェット吐出時の吐出安定性を満足するインクセットを提供すること。
【解決手段】インクセットが有する、少なくとも、水性媒体、顔料、及び該顔料を分散させる分散剤を含有するインク組成物において、分散剤として、(疎水性セグメント)−(非イオン性親水セグメント)−(イオン性親水セグメント)構造を有するブロック共重合体を用い、インク組成物の相対固形分濃度に応じて、非イオン性親水セグメントの単位構造の数を調節する。
【選択図】図1
【解決手段】インクセットが有する、少なくとも、水性媒体、顔料、及び該顔料を分散させる分散剤を含有するインク組成物において、分散剤として、(疎水性セグメント)−(非イオン性親水セグメント)−(イオン性親水セグメント)構造を有するブロック共重合体を用い、インク組成物の相対固形分濃度に応じて、非イオン性親水セグメントの単位構造の数を調節する。
【選択図】図1
Description
本発明は、カラー画像の記録及び記録画像の保存に好適なインクジェット記録用インクセット、特に階調記録において高品位階調記録を目的とするインクセットに関し、それを用いた画像形成方法及びそれに用いる画像記録装置に関する。
インクジェット記録方法は熱エネルギーによる圧力、あるいは圧電素子による振動等により、記録ヘッドに設けられたノズルからインク滴を吐出させ、これを記録媒体に定着させて画像形成を行うものである。この記録方法は、静粛性に優れ、且つ特別な定着手段を用いること無く、しかも高解像度の画像形成を高速に行うことができる。また、構造的な容易さやランニングコストの点等からカラー画像の形成にも好適であり、特に近年ではパーソナルコンピュータ用出力やグラフィック印刷、その他多くの用途でカラー画像形成用としてのインクジェット記録方法・装置が提供されている。
インクジェット記録方法において、カラー画像を形成する記録方法の場合、少なくともシアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物の3原色、あるいは更これらにブラックを加えた4色を用いて、画像形成を行うのが一般的である。例えばレッドはマゼンタとイエローを記録媒体上で同一点に印加して、または隣接させることにより擬似的に表現し、同様にブルーはマゼンタとシアン、グリーンはシアンとイエロー、といった具合に行われる。これらは更にインク滴の量や印加数を調整したり、またブラックを組み合わせることにより、更に階調性を持たせることが可能である。
最近では、更に、これらの四色に加えて、シアンインク組成物及びマゼンタインク組成物の濃度を薄めた2色を加えた6色によってカラー画像形成を行う場合もある。このようなカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、それ自体が良好な発色性を有していることに加え、複数のインク組成物と組み合わせたときに、良好な中間色を発色することが求められる。更に中間調の再現性が求められる医療用画像等を記録するインクジェット記録装置では同一色調で濃度の異なる複数のインクを用いることが考案されている。
また、このようなインクジェット記録方法に用いられるインクセットのインク組成物には、以下のような性能が要求される。例えば、粘度、表面張力等の物性値が適当であること、光学濃度が高く、鮮明な色調や画像を与えること、耐水性、擦過性、耐光性等の堅牢性に優れた画像を与えること、保存安定性に優れること、ノズルの目詰まりを生じにくいこと、更に臭気、安全性等である。
これらの方法に使用されるインクは通常染料水溶液が用いられるため、色の重ね合わせ時ににじみが生じたり、記録媒体上の記録箇所に紙の繊維方向にフェザリングと言われる現象が現れたりする場合があった。これらを改善するために顔料分散インクを使用することが、特許文献1に開示されている。
米国特許第5085698号明細書
しかしながら、顔料インクの場合、インクジェット記録性の中でインク組成物の吐出安定性が十分に得られない場合が有った。具体的には、インクジェット記録ヘッドの所定のノズルからインクを吐出させた後、そのノズルからのインクの吐出が一定時間停止された後に再びそのノズルからインクを再吐出させたときに、そのインクの再吐出が安定して行いにくい場合があった。より高品位な画像を得るためには、未だなお多くの改善が望まれている状況である。
本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、顔料を溶媒に良好に分散することができるブロック共重合体を用い、かつ良好な画像形成が可能で、インクジェット吐出時の吐出安定性を満足するインクセットを提供しようとするものである。また、それらを使用した記録方法及びその装置を提供しようとするものである。
即ち、本発明は、固形分濃度の差が2質量%を超える2種のインク組成物の組み合わせを有するインクジェット記録用インクセットであって、
該2種のインク組成物のいずれもが、少なくとも、水性媒体、顔料、及び該顔料を分散させる分散剤を含有し、該分散剤が、疎水性セグメントであるAセグメント、非イオン性親水セグメントであるBセグメント、及びイオン性親水セグメントであるCセグメントを有する両親媒性ブロック共重合体であるインクジェット記録用インクセットにおいて、
該2種のインク組成物のそれぞれが含有する両親媒性ブロック共重合体の、該Bセグメントの単位構造の数が、相対的に固形分濃度の低いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体より、相対的に固形分濃度の高いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体の方が少ないことを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
該2種のインク組成物のいずれもが、少なくとも、水性媒体、顔料、及び該顔料を分散させる分散剤を含有し、該分散剤が、疎水性セグメントであるAセグメント、非イオン性親水セグメントであるBセグメント、及びイオン性親水セグメントであるCセグメントを有する両親媒性ブロック共重合体であるインクジェット記録用インクセットにおいて、
該2種のインク組成物のそれぞれが含有する両親媒性ブロック共重合体の、該Bセグメントの単位構造の数が、相対的に固形分濃度の低いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体より、相対的に固形分濃度の高いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体の方が少ないことを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
また、本発明は、前記のインクジェット記録用インクセットを用いて、インク組成物にエネルギーを作用させることにより、被記録媒体上に前記インク組成物を吐出し、画像を形成する画像形成方法である。
また、本発明は、前記の画像形成方法を行う画像記録装置である。
本発明のような条件で顔料を溶媒に良好に分散することができるブロック共重合体を用いることによって、良好な画像形成が可能で、インクジェット吐出時の吐出安定性を満足することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明では、顔料粒子を分散する分散剤として、特徴的に疎水性セグメント(Aセグメント)、非イオン性親水セグメント(Bセグメント)、イオン性親水セグメント(Cセグメント)を有する、所謂ABC構造を有する両親媒性ブロック共重合体を用いている。両親媒性とは、共に溶解しない2種の溶媒にそれぞれ溶解する性質を、あるいはある種の溶媒に親和する部位と親和しない部位を持つ性質を言う。
本発明においては、両親媒性ブロック共重合体がBセグメントを有することによって、記録紙へインクが着弾した後、水の浸透と共に瞬時に増粘する。そのため、2色以上のインクが重なり合った場合に、インクが互いに交じり合って境界がはっきりしなくなる現象(カラーブリーディング)が低減される。また、Bセグメントを有することによって、着弾後有機溶剤が過多な状態であっても急激に凝集し、粗大粒子を形成することなく、均一に粒子が定着するため、得られる画像の光沢性も良好である。また、擦過性、耐水性にも優れる。
しかしながら、従来の分散樹脂を含有するインクを用いた場合、インクジェット記録ヘッドの所定のノズルからインクを吐出させ、その後吐出を一定時間停止した後に再びそのノズルからインクを再吐出させると、インクの再吐出が安定して行いにくい場合があった。このため、画像形成時にスジ状のムラを生じる等の不具合が生じていた。本発明者らは鋭意検討の結果、この再吐出性がインクの固形分濃度と分散樹脂のBセグメントの重合度の2つにより大きく影響を受けることを見出した。即ち、インクジェットヘッドのノズルの先端から一定時間インクを吐出が行われない場合、ノズル先端の開口から水分が蒸発し固形分濃度が上昇し、増粘するため、次の吐出に影響を与えることが知られている。元々固形分濃度の高いインクにおいてはその影響が顕著に現れる。しかしながら、本発明者らの検討により、分散樹脂のBセグメントの重合度を小さくすることによって、水分蒸発によるノズル先端部での水と有機溶剤の比率が変化した場合に、分散した顔料粒子がより水の割合の多い領域へ移動することを見出した。そして、この現象により、固形分濃度増加による増粘を生じることなく次の吐出への影響が小さく抑えられることができた。
このため、固形分濃度の異なる2種のインク組成物の組み合わせを有するインクセットにおいて、相対的に固形分濃度の高いインクは相対的に固形分濃度の低いインクより、前記Bセグメントの重合度(単位構造の数)が少ない両親媒性ブロック共重合体を分散剤として用いることによって、堅牢性が高い良好な画像とインクジェットヘッドによる良好な吐出安定性を両立することが可能になる。
なお、本発明におけるインク組成物の固形分濃度は、インク組成物全質量に対するインク組成物中の不揮発成分(例えば、インクや分散剤)の割合のことである。また、上記本発明の技術課題は、インク組成物の固形分濃度が4質量%以上であると特に顕著に生じる。
一般にインクジェット記録におけるカラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の最低3色によって行われていることから、これら3色のインク組成物を有するインクセットに好適に適用される。これら3色のインクセットにおいても、各インク組成物ごとに色再現の観点から最適な固形分濃度が設定される。本発明においては、このとき、上記の様に分散剤の両親媒性ブロック共重合体を選択することによって、吐出安定性が良好となるため、欠陥のないカラー画像を形成することができる。
また、色再現範囲の拡大、高画質化等の目的から上記3色以外のインク組成物を使用することも可能である。具体的にはライトマゼンタ、ライトシアン、ブラック、ライトブラック、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等のカラーインク組成物である。
なお、ここで述べるライトマゼンタ、ライトシアンインク組成物とは、一般的には、濃度変調による印刷画像の画質向上を目的に、それぞれマゼンタ、シアンインク組成物の色材濃度を低くしたものである。同色間で固形分濃度の高いインクは固形分濃度の低いインクより前記Bセグメントの重合度(単位構造の数)が少ない両親媒性ブロック共重合体を用いて顔料粒子が安定されたインクセットを用いることによって、色再現の良いカラー画像を形成することができる。
またレッド、オレンジ、グリーン、ブルー、バイオレットインク組成物は、色再現範囲を向上させる為に、イエロー、マゼンタ、シアンの中間色を構成する要素として使用されるインク組成物である。またライトブラックインク組成物はシャドー部等の暗色に対する色再現性及び階調性の向上、粒状性の低下を目的にして、ブラックインク組成物の色材濃度を低くしたものである。
なお、ブロック共重合体とは異なる単位構造からなるポリマーセグメントが共有結合で結合した共重合体で、ブロックコポリマー、ブロックポリマーとも呼ばれる。
また、本発明にかかるインク組成物に分散剤として用いられるブロック共重合体としては、具体的な例は以下の通りである。即ち、アクリル、メタクリル系ブロック共重合体、ポリスチレンと他の付加重合系または縮合重合系のブロック共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンのブロックを有するブロック共重合体等、従来から知られているブロック共重合体である。本発明のブロック共重合体は、ポリビニルエーテル構造を単位構造として含有することが好ましい。
イオン性親水セグメント(Cセグメント)の好ましい具体的単位構造としては下記の一般式(1)で表される単位構造を有するものが挙げられる。
(一般式(1)中、R0は−X−(COOH)r、−X−(COO−M)r、または−X−(COO)2M2を表す。Xは炭素数1から20までの直鎖状、分岐状もしくは環状のアルカンジイルもしくはアルカントリイル基、または、−(CH(R5)−CH(R6)−O)p−(CH2)m−CH3-r−もしくは−(CH2)m−(O)n−(CH2)q−CH3-r−、あるいは、それらのメチレン基の少なくとも一つがカルボニル基または芳香環構造で置換された基、または、それらのメチン基の少なくとも一つが芳香環構造で置換された基を表す。rは1または2を表す。pは1から18までの整数を表す。mは0から35までの整数を表す。nは1または0を表す。qは0から17の整数を表す。Mは一価のカチオンを表す。M2は二価のカチオンを表す。R5、及びR6はアルキル基を表す。R5、及びR6は、同じでも異なっていてもよく、複数ある場合はそれぞれ同じでも異なっていてもよい)
更に、疎水性セグメント(Aセグメント)あるいは非イオン性親水セグメント(Bセグメント)の好ましい具体的単位構造としては、下記の一般式(2)で表される単位構造を有するものが挙げられる。
更に、疎水性セグメント(Aセグメント)あるいは非イオン性親水セグメント(Bセグメント)の好ましい具体的単位構造としては、下記の一般式(2)で表される単位構造を有するものが挙げられる。
(一般式(2)中、R1は炭素数1から18までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−(CH(R5)−CH(R5)−O)p−R7及び−(CH2)m−(O)n−R7から選ばれ、芳香環中の炭素原子に結合している水素原子は炭素数1から4の直鎖状または分岐状のアルキル基と、また芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換していてもよい基を表す。pは1から18の整数、mは1から36の整数、nは0または1を表す。R5、及びR6はそれぞれ独立に水素原子もしくは−CH3を表す。R5及びR6が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R7は水素原子、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、及び−CO−C(CH3)=CH2から選ばれ、R7が水素原子以外である場合、R7中の炭素原子に結合している水素原子は炭素数1から4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または−F、−Cl、−Brと、また芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換していてもよい基を表す。Phはフェニル基またはフェニレン基、Pyrはピリジル基を表す。)
Cセグメントを構成する一般式(1)で表される好ましい単位構造の具体例を以下に挙げる。
Cセグメントを構成する一般式(1)で表される好ましい単位構造の具体例を以下に挙げる。
(Phは置換されたベンゼン環をあらわす。)
Aセグメントを構成する一般式(2)で表される好ましい単位構造の具体例としては、以下に記載したものが挙げられる。
Aセグメントを構成する一般式(2)で表される好ましい単位構造の具体例としては、以下に記載したものが挙げられる。
(Phはフェニル基またはフェニレン基をあらわす。)
Bセグメントを構成する一般式(2)で表される好ましい単位構造の具体例としては、以下に記載したものが挙げられる。
Bセグメントを構成する一般式(2)で表される好ましい単位構造の具体例としては、以下に記載したものが挙げられる。
また、本発明に用いるブロック共重合体の各セグメントは単一の単位からなるものでもよく、複数種の単位構造からなるものでもよい。複数の単位構造からなるセグメントの例としては、ランダム共重合体や徐々に組成比が変化するグラデュエーション共重合体がある。また、本発明に用いるブロック共重合体はブロック共重合体構造が他のポリマーにグラフト結合したポリマーであっても良い。
ポリビニルエーテル構造を含むポリマーの合成法は多数報告されているが(特開平11−080221号公報)、青島らによるカチオンリビング重合による方法(特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)が代表的である。カチオンリビング重合でポリマー合成を行うことにより、ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、ブロックポリマー、グラフトポリマー、グラデュエーションポリマー等の様々なポリマーを、長さ(分子量)を正確に揃えて合成することができる。また、ポリビニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。カチオン重合法は、他にHI/I2系、HCl/SnCl4系等で行うこともできる。
上述のように、本発明において用いられる両親媒性ブロック共重合体は、疎水性セグメントであるAセグメント、非イオン性親水セグメントであるBセグメント、及びイオン性親水セグメントであるCセグメントを有する。両親媒性ブロック共重合体全体に対する、Aセグメントの割合は、25〜80mol%であることが好ましく、更には、30〜80mol%であることが好ましい。Bセグメントの割合は、5〜70mol%であることが好ましく、更には、5〜40mol%であることが好ましい。Cセグメントの割合は、5〜30mol%であることが好ましい。
また、本発明における各セグメントの好ましい重合度は、それぞれ独立して3以上10000以下である。更に好ましくはそれぞれ独立して5以上5000以下である。更には、Aセグメントの重合度は、30〜120であることが好ましく、Bセグメントの重合度は、5〜160であることが好ましく、Cセグメントの重合度は、5〜20であることが好ましい。
そして、相対的に固形分濃度の低いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体のBセグメントの単位構造の数が、相対的に固形分濃度の高いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体のBセグメントの単位構造の数の1.1倍以上であることが好ましく、特には1.5倍以上であることが好ましい。また、5倍以下であることが好ましく、特には3倍以下であることが好ましい。
なお、本発明においては、インクセットを構成する複数のインク組成物から選択されるいかなる2種のインク組成物の組み合わせにおいても、その固形分濃度の差が2質量%を超えていれば、相対的に固形分濃度の低いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体のBセグメントの単位構造の数が、相対的に固形分濃度の高いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体のBセグメントの単位構造の数よりも小さいことが必要である。本発明においては、固形分濃度の差が2質量%以下となるインク組成物の組み合わせであっても、固形分濃度が異なる限り、Bセグメントの数が本願発明と同様の構成を満足していることがより好ましい。
ブロック共重合体中に含有される一般式(1)あるいは一般式(2)で表される単位構造の含有量は、ブロック共重合体全体に対して0.01〜99mol%であることが好ましく、特には1〜90mol%であることが好ましい。0.01mol%未満では各セグメントが有する官能基によるの働くべき高分子相互作用が不充分な場合があり、99mol%を越えると逆に相互作用が働きすぎて機能が不充分な場合がある。
本発明に用いるブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、200以上10000000以下であることが好ましく、特には1000以上1000000以下であることが好ましい。10000000を越えると高分子鎖内、高分子鎖間の絡まりあいが多くなりすぎ、溶剤に分散しにくかったりする。200未満である場合、分子量が小さく高分子としての立体効果が出にくかったりする場合がある。
また、顔料分散安定性向上のためには、ブロック共重合体の分子運動性がよりフレキシブルであることが好ましい。ブロック共重合体の分子運動性がフレキシブルであることによって、ブロック共重合体が機能性物質の表面と物理的に絡まり親和しやすい点を有しているからである。このためには、ブロック共重合体のガラス転移温度Tgは、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、更に好ましくは−20℃以下である。この点でもポリビニルエーテル構造を有するブロック共重合体は、一般にガラス転移点が低く、フレキシブルな特性を有するため、好ましく用いられる。上記した単位構造例の場合、そのガラス転移温度は−20℃くらいか、それ以下である場合が多い。
本発明のインク組成物に含有される分散剤としてのブロック共重合体は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。更に公知の分散剤を併用することもできる。本発明のインク組成物に含有される分散剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、特には0.5〜10質量%、より好ましくは、0.5〜6質量%の範囲である。もし、分散剤の含有量がこの範囲よりも高い場合、所望のインク粘度を維持するのが困難となる場合がある。また、分散剤の含有量がこの範囲よりも低い場合、所望の分散性を実現するのが困難となる場合がある。顔料と分散剤としてのブロック共重合体の割合(顔料/ブロック共重合体)は、質量基準で0.05以上5以下であることが好ましく、特には、1以上3以下であることが好ましい。
本発明のインク組成物に好適に用いられる水性媒体としては、水、緩衝液及び水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水及び緩衝液中に含まれる水としては種々のイオンを含有する一般の水でも構わないが、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水に可溶である限り特に制限はないが、好ましいものとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;
尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン等。
これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。水性媒体中の水溶性有機溶媒の含有量は、インク組成物の全質量に対して、3〜60質量%が好ましい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;
尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン等。
これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。水性媒体中の水溶性有機溶媒の含有量は、インク組成物の全質量に対して、3〜60質量%が好ましい。
緩衝液としては、アミン、無機塩、アンモニア、リン酸等を用い、インク組成物のpHを調整し、インクタンク内や記録装置中の配管等での安定性を図ることが好ましい。
本発明のインク組成物に含有される水性媒体の含有量は、インク組成物の全質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、また、95質量%以下であることが好ましい。
本発明のインク組成物に用いられる顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよく、好ましくは黒色顔料と、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料を用いることができる。なお、上記に記した以外の色顔料、無色または淡色の顔料、または金属光沢顔料等を使用してもよい。また、本発明において、市販の顔料を用いてもよいし、あるいは新規に合成した顔料を用いてもよい。また、染料と併用して用いても良い。以下に、黒、シアン、マゼンタ、イエローにおいて、市販されている顔料を例示する。
黒色の顔料としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されない。
Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製商品名);
Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上、デグッサ社製商品名);
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製商品名)等。
Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製商品名);
Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上、デグッサ社製商品名);
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製商品名)等。
シアン色の顔料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等。
C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等。
マゼンタ色の顔料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等。
C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等。
イエローの顔料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等。
C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等。
また、本発明のインク組成物では、水に自己分散可能な顔料も使用できる。水分散可能な顔料としては、顔料表面にポリマーを吸着させた立体障害効果を利用したものと、静電気的反発力を利用したものとがある。市販品としては、CAB−0−JET200、CAB−0−JET300(以上キャボット社製商品名)、Microjet Black CW−1(オリエント化学社製商品名)等が挙げられる。
本発明で用いられる顔料の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.1〜50質量%が好ましい。顔料の量が、0.1質量%未満であると、十分な画像濃度を得られなくなる場合があり、50質量%を超えると顔料が凝集し分散できなくなる場合がある。より好ましい範囲としては0.5〜30質量%の範囲である。更に好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明のインク組成物に含まれる顔料の平均粒径としては、50〜200nmの範囲が好ましく、より良好な画質を得るためには100nm以下であることが望ましい。顔料粒径の測定にはFPAR−1000(大塚電子製商品名)を用いて測定した。
次に、本発明の画像形成方法及び画像記録装置について説明する。
図1は、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式のインクジェットヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いるインクジェット画像記録装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
図1において、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図中に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030を含む。また、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行に往復運動せしめられる記録部1010を含む。更に、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
上記搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。かかる構成により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、それぞれのローラユニット1022a及び1022bとローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、矢印P方向に間欠送りで搬送されることとなる。移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016、ローラユニット1022a、ローラユニット1022bとを含んで構成されている。更に、ローラユニット1022a、ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが各色毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。そして本発明を満足することによる効果は、特定の色に限定されるものではなく、例えば上記イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのインクから選ばれる2つ以上が本発明に係るインク組成物の条件を満足することであることも好ましい態様の一つである。更に言えば、同一の色相の画像を与え、かつ着色力が異なる2つのインク、いわゆる濃淡インクの各々が本発明に係るインク組成物の条件を満足することも本発明の好ましい態様の一つである。
なお、濃インクと淡インクとの定義に関して、濃インクと淡インクとが同一の色相の画像を与えると言ったときの同一の色相の画像とは、以下の通りである。まず、濃インク及び淡インクの各々を、吐出量が20〜50pl(ピコリットル)程度のインクジェットヘッドを用いて、360dpi(dot per inch)×720dpiの画像を普通紙上に形成して得られた画像を目視で観察する。次に、その色相をマンセルの色票に基づくマンセル記号の10のカテゴリー(R,YR,Y,GY,G,BG,B,PB,P,RP)に分類する。そして、各々の画像が同じカテゴリーに属しているか、あるいは、隣接するカテゴリーに属しているものを「同一の色相の画像」とする。また、着色力が高いとは、具体的には顔料の含有量が相対的に多いインクを言う。
上記したような場合において、本発明に係る異色のインクのセットや濃淡インクのセットは、図1に示したように互いに別のカートリッジに収納されていてもよい。また、各々のインクを収納しているインク収納部を備え、インクジェットヘッドに対して着脱可能に構成されているインクカートリッジとしてもよい。また、インクカートリッジとインクジェットヘッドとが一体となった構成も他の例として挙げることができる。
図2は、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。図2に示すカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェットヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
インクジェットヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(不図示)へと導かれるようになっている。図2に示したカートリッジ1012は、インクジェットヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものである。このカートリッジ1012は、液体吐出ヘッド100に対して液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(ブロック共重合体の合成)
本発明のトリブロック共重合体を、アルミニウム触媒を用いたリビングカチオン重合により計8種類合成した。表1に示されているように、疎水性セグメント(A)としては、単位構造A−(2)、または、単位構造A−(2)と単位構造A−(3)のランダム共重合体(共重合ユニット比45/46)、あるいは単位構造A−(6)を用いた。非イオン性の親水セグメント(B)としては、単位構造B−(3)を用いた。イオン性の親水セグメント(C)としては、単位構造C−(9)を用いた。
本発明のトリブロック共重合体を、アルミニウム触媒を用いたリビングカチオン重合により計8種類合成した。表1に示されているように、疎水性セグメント(A)としては、単位構造A−(2)、または、単位構造A−(2)と単位構造A−(3)のランダム共重合体(共重合ユニット比45/46)、あるいは単位構造A−(6)を用いた。非イオン性の親水セグメント(B)としては、単位構造B−(3)を用いた。イオン性の親水セグメント(C)としては、単位構造C−(9)を用いた。
具体的には、三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.05mmol、及びトルエン11mlにAセグメントの単位構造となるモノマーを加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等モル混合物)を0.2mmol加え重合を開始した。分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、Aセグメントの単位構造となるモノマーの重合の完了を確認した。
次いで、Bセグメントの単位構造となるモノマーを添加し、重合を続行した。GPCを用いるモニタリングによって、Bセグメントの単位構造となるモノマーの重合の完了を確認した。その後、Cセグメントの単位構造におけるカルボン酸部がエステル化された単位構造となるモノマーのトルエン溶液を添加して、重合を続行した。20時間後、重合反応を停止した。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6M塩酸で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させたものを、セルロースの半透膜を用いてメタノール溶媒中透析を繰り返し行い、モノマー性化合物を除去し、目的物であるトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、NMR及びGPCを用いて行った。
更に、ここで得られたブロックポリマーをジメチルフォルムアミドと水酸化ナトリウム水混合溶液中で加水分解し、Cセグメントのエステル部が加水分解され、ナトリウム塩化されたトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、NMR及びGPCを用いて行った。
更に、水分散液中で0.1Nの塩酸で中和してCセグメントのナトリウム塩部がフリーのカルボン酸になったトリブロックポリマーを得た。化合物の同定はNMR及びGPCを用いて行った。表1に今回作製したブロック共重合体の各セグメント毎の単位構造数、数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mnのデータを示す。なお、表1には、リファレンスとして用いたスチレン−アクリル酸ランダム共重合体(RP1;共重合ユニット比1/1)のMn及びMw/Mnについても併せて記載した。
(インク組成物の調製及びインクセットの作製)
表1に示す各ブロック共重合体を分散樹脂として用い、顔料をジメチルフォルムアミドに共溶解し、イオン交換水を用いて、水相に変換し、顔料分散物を得た。これらにグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル社製)を加え、以下に示す表2〜表10の組成の各インク組成物を調製し、表2〜表10に示すインクセット1〜9を作製した。このうち、インクセット1〜3はブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のインク組成物を用いて構成される本発明の実施例1〜3であり、インクセット4、5及び9はその比較例1、2及び4に相当する。インクセット6及び7は上記4色に加え、ライトマゼンタ、ライトシアンを加えた6色のインク組成物から構成される本発明の実施例4及び5であり、インクセット8はその比較例3に相当する。
表1に示す各ブロック共重合体を分散樹脂として用い、顔料をジメチルフォルムアミドに共溶解し、イオン交換水を用いて、水相に変換し、顔料分散物を得た。これらにグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、アセチレノールEH(商品名、川研ファインケミカル社製)を加え、以下に示す表2〜表10の組成の各インク組成物を調製し、表2〜表10に示すインクセット1〜9を作製した。このうち、インクセット1〜3はブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のインク組成物を用いて構成される本発明の実施例1〜3であり、インクセット4、5及び9はその比較例1、2及び4に相当する。インクセット6及び7は上記4色に加え、ライトマゼンタ、ライトシアンを加えた6色のインク組成物から構成される本発明の実施例4及び5であり、インクセット8はその比較例3に相当する。
(画像の評価)
作製した各インクセットについて、下記のように色ムラ、擦過性、耐水性及び光沢性に関する評価を行った。評価には、インクジェットプリンタBJF−930(商品名、キヤノン株式会社製)に、各インクセットを搭載して、プロフェッショナルフォトペーパーPR101(商品名、キヤノン株式会社製)にそれぞれ所定の条件の印刷を行い、得られた画像について行った。
作製した各インクセットについて、下記のように色ムラ、擦過性、耐水性及び光沢性に関する評価を行った。評価には、インクジェットプリンタBJF−930(商品名、キヤノン株式会社製)に、各インクセットを搭載して、プロフェッショナルフォトペーパーPR101(商品名、キヤノン株式会社製)にそれぞれ所定の条件の印刷を行い、得られた画像について行った。
[色ムラ評価]
ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトマゼンタ(実施例4及び5並びに比較例1のみ)及びライトシアン(実施例4及び5並びに比較例1のみ)の各インクを用いて、それぞれ100%dutyのベタパッチ(5×5cm)を印刷した。得られた画像について、色ムラの有無を目視にて確認した。
評価A:色ムラが見えない。
評価B:若干の色ムラが発生している。
評価C:色ムラが顕著に発生している。
ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトマゼンタ(実施例4及び5並びに比較例1のみ)及びライトシアン(実施例4及び5並びに比較例1のみ)の各インクを用いて、それぞれ100%dutyのベタパッチ(5×5cm)を印刷した。得られた画像について、色ムラの有無を目視にて確認した。
評価A:色ムラが見えない。
評価B:若干の色ムラが発生している。
評価C:色ムラが顕著に発生している。
評価B及びCの印字サンプルでは書き始め側でのスジ状の色ムラであった。得られた結果を表11に示す。
[擦過性評価]
色ムラ評価と同様にベタ印字を行い、印刷終了直後に指でこすり、擦過性の評価を行った。各色とも指でこすっても画像が乱れない場合には「A」とし、少なくとも1色で指でこすった後に画像が乱れた場合には「C」とした。得られた結果を表12に示す。
色ムラ評価と同様にベタ印字を行い、印刷終了直後に指でこすり、擦過性の評価を行った。各色とも指でこすっても画像が乱れない場合には「A」とし、少なくとも1色で指でこすった後に画像が乱れた場合には「C」とした。得られた結果を表12に示す。
[耐水性評価]
色ムラ評価と同様にベタ印字を行い、印刷終了直後に印字サンプルに水をたらし、耐水性の評価を行った。各色とも画像がにじまない場合には「A」とし、少なくとも1色で画像がにじんだ場合には「C」とした。得られた結果を表12に示す。
色ムラ評価と同様にベタ印字を行い、印刷終了直後に印字サンプルに水をたらし、耐水性の評価を行った。各色とも画像がにじまない場合には「A」とし、少なくとも1色で画像がにじんだ場合には「C」とした。得られた結果を表12に示す。
[光沢性評価]
光沢評価用フォト画像を4パスで印字し、得られた画像の20°光沢度を鏡面光沢度計(村上色彩技術研究所製)で測定し、下記の基準で判断した。得られた結果を表12に示す。
AA:50以上
A:40以上50未満
B:30以上40未満
C:30未満
光沢評価用フォト画像を4パスで印字し、得られた画像の20°光沢度を鏡面光沢度計(村上色彩技術研究所製)で測定し、下記の基準で判断した。得られた結果を表12に示す。
AA:50以上
A:40以上50未満
B:30以上40未満
C:30未満
100:インクジェット記録ヘッド
832:吐出口
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:カートリッジ
1012Y,M,C,B:インクジェットカートリッジ
1014:ガイド軸
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:用紙
1030:搬送装置
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向
832:吐出口
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:カートリッジ
1012Y,M,C,B:インクジェットカートリッジ
1014:ガイド軸
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:用紙
1030:搬送装置
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向
Claims (9)
- 固形分濃度の差が2質量%を超える2種のインク組成物の組み合わせを有するインクジェット記録用インクセットであって、
該2種のインク組成物のいずれもが、少なくとも、水性媒体、顔料、及び該顔料を分散させる分散剤を含有し、該分散剤が、疎水性セグメントであるAセグメント、非イオン性親水セグメントであるBセグメント、及びイオン性親水セグメントであるCセグメントを有する両親媒性ブロック共重合体であるインクジェット記録用インクセットにおいて、
該2種のインク組成物のそれぞれが含有する両親媒性ブロック共重合体の、該Bセグメントの単位構造の数が、相対的に固形分濃度の低いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体より、相対的に固形分濃度の高いインク組成物に含まれる両親媒性ブロック共重合体の方が少ないことを特徴とするインクジェット記録用インクセット。 - 前記2種のインク組成物が同色のインク組成物である請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 少なくとも、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、及びイエローインク組成物を有する請求項1または2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記両親媒性ブロック共重合体が、ポリビニルエーテル構造を単位構造として含有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記Cセグメントが、下記の一般式(1)で表される単位構造を有する請求項4に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記Aセグメント及びBセグメントの少なくともいずれかが、下記の一般式(2)で表される単位構造を有する請求項4または5に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記水性媒体に含まれる水溶性有機溶媒として、多価アルコールを含む請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用いて、インク組成物にエネルギーを作用させることにより、被記録媒体上に前記インク組成物を吐出し、画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項8記載の画像形成方法を行うことを特徴とする画像記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005257982A JP2006097016A (ja) | 2004-09-06 | 2005-09-06 | インクジェット記録用インクセット、画像形成方法及び画像記録装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010144020A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Canon Inc | インク組成物、インクセット及びインクジェット記録方法 |
EP2423271A1 (en) | 2010-08-31 | 2012-02-29 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet liquid composition, set, liquid cartridge, and ink jet recording method |
-
2005
- 2005-09-06 JP JP2005257982A patent/JP2006097016A/ja active Pending
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