JP2010095680A - インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】普通紙記録において十分な画像濃度が得られ、画像濃度の均一性が高く、カラー画像におけるブリードを防止し、高い文字品位が得られ、耐マーカー性、耐水性、耐候性を示す堅牢性の高い画像が得られるインクセットの提供。
【解決手段】第1のインクと、該インクとは色が異なるか無色の第2のインクとを独立に有し、これらのインクをセルロースを含有する記録媒体に付与して画像を形成する記録方法に用いられるセットであり、第1のインクは、一般式(I)の化合物と、分散樹脂によって分散された顔料と、該顔料の分散媒としての水性媒体とを含んでなるpHが3〜10の水性インクであり、第2のインクは、第1のインクと混合されたときに、第1のインク中の顔料の分散を不安定化させる反応性化合物と、水性媒体とを含んでなる水性インクであるインクセット。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースを含有する記録媒体に付与して画像を形成するのに用いられるインクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。とりわけ、普通紙に画像形成を行った場合に、充分な画像濃度を有する鮮明で高品質な画像を与え、さらに、印字物の画像が、耐水性や耐光性などの堅牢性に優れるものとなる技術に関する。本発明は、上記した効果に加えて、異色のインク画像同士が隣接した場合にも、その境界領域におけるブリードが十分に緩和されたカラー画像を与えるインクセット、これを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録は、種々のインク吐出方式によりインクの小滴を発生させ、これを飛翔させて紙などの記録媒体に付着させ、インクジェットを形成させて記録を行うものである。インクジェット記録方式としては、高電圧印加による静電吸引方式、圧電素子を用いて着色インクに機械的振動又は変位を与える方式、インクを加熱して発泡させる圧力を利用する方式などがある。
しかしながら、従来のインクジェット記録に用いられるインクは一般に水を主成分とし、これに乾燥防止、目詰まり防止などの目的でグリコールなどの水溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的であり次のような問題があった。すなわち、このような水系のインクを用いて普通紙に記録を行った場合、インクが記録紙の内部に浸透してしまい十分な画像濃度が得られなかったり、記録紙表面の填料、サイズ剤の不均一な分布によると思われる画像濃度の不均一が生じたりした。また、特にカラー画像を得ようとした場合には、複数の色のインク滴が、それぞれが定着する以前に次々と重ねられることから、異色の画像の境界の部分では、色がにじんだり、不均一に混じり合って(以下ブリードという)満足すべき画像が得られなかった。
ブリードの問題を解決するための手段として、特定の構成のインク中に界面活性剤などの浸透性を高める化合物を添加したインクを用いること(特許文献1参照)、また、揮発性溶媒を主体としたインクを用いること(特許文献2参照)、が提案されている。しかし、前者の方法では、インクの記録紙への浸透性が向上し、ブリードはある程度抑えられるものの、インクが着色剤と共に記録紙の奥深くまで浸透してしまうため、画像濃度が低下したり、画像の鮮明性が低下したりするなどの不具合があった。また、記録紙表面に対するインクの濡れ性が向上するため、インクが広がり易く、解像性が低下したり、滲みが発生し、特に、黒文字を表現する場合に品位が低下したりして、十分なものとは言い難かった。一方、後者の場合には、前者の不具合に加え、記録ヘッドのノズル部での溶剤の蒸発による目詰まりが発生し易く、この点で問題があった。
ブリードの問題を解決するための手段として、その他にも種々の提案がされているが、例えば、インクの噴射に先立って、記録紙上に画像を良好にせしめる液体を付着させるといった方法が提案されている。特許文献3には、1分子当り2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有したインクを記録する方法が開示されている。また、特許文献4には、コハク酸など含有した酸性液体を付着させた後、インクを記録する方法がが開示されている。さらに、特許文献5には、染料を不溶化する液体を記録前に付着させる方法が開示されている。
また、インクの噴射に先立って、記録紙上に画像を良好にせしめる液体を付着させる方法が開示されている。特許文献3には、1分子当り2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有したインクを記録する方法が開示されている。また、特許文献4には、コハク酸など含有した酸性液体を付着させた後、インクを記録する方法が開示されている。さらに、特許文献5には、染料を不溶化する液体を記録前に付着させる方法が開示されている。
これらの方法は、いずれも、インク中の染料自体の折出により記録画像の定着性、耐水性などを向上させるものである。しかし、前記いずれの場合においてもブリードはある程度抑えられ、文字品位の低下もそれほど起こらないものの、下記に挙げるような別の問題があった。すなわち、折出した染料が記録紙上で不均一に折出するため、記録紙の紙繊維の被覆性が悪く、十分に染色できない部分が目立つ画像となってしまい、好ましいものとは言い難かった。
また、従来のインクジェット記録方法に用いられるインク中の色材としては、例えば、水溶性染料が使用されているが、かかるインクによって得られる記録画像には、より一層の耐水性の向上が求められている。また、これまで知られているインク用の水溶性染料は耐候性が不十分であり、画像の耐候性向上も近年、同時に求められている。これに対し、記録画像の耐マーカー性、耐水性と耐候性を改良する手段として、インクの色材に顔料を使用し、水中に顔料を分散させてインクとする技術がある。
特開昭55−65269号公報 特開昭55−66976号公報 特開昭63−29971号公報 特開昭64−9279号公報 特開昭64−63185号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は下記の点にある。すなわち、普通紙記録において十分な画像濃度が得られ、画像濃度の均一性が高く、特にカラー画像におけるブリードを防止し、また、高い文字品位が得られ、耐マーカー性、耐水性、耐候性を示す堅牢性の高い画像が得られるインクセットの提供である。本発明の他の目的は、このようなインクセットを用いることで、高品位で、堅牢性に優れるカラー画像を形成することのできるインクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明者らは、上記した鋭意検討の結果、以下の本発明により上記目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明は、下記の構成によって、前記した従来技術の課題を解決するものである。
少なくとも第1のインクと、該第1のインクとは色が異なるか無色である第2のインクとを独立に有してなり、これらのインクをセルロースを含有する記録媒体に付与して画像を形成する記録方法に用いられるインクセットであって、該第1のインクは、下記一般式(I)の化合物と、分散樹脂によって分散された顔料と、該顔料の分散媒としての水性媒体とを含んでなるpHが3から10の水性インクであり、該第2のインクは、該第1のインクと混合されたときに、該第1のインク中の顔料の分散を不安定化させる反応性化合物と、水性媒体とを含んでなる水性インクであることを特徴とするインクセットである。
Figure 2010095680
(式中、M1及びM2は、独立して、水素原子、アルカリ金属、有機アミンを示し、Rは、アルキル基又はアリール基、アルキルアリール基を表す。nは、0≦n≦7のいずれかの整数を表す。)
また、本発明に係るインクジェット記録方法は、上記構成のインクセットを用い、セルロースを含有する記録媒体上にインクジェット方式でカラー画像を形成するインクジェット記録方法であって、上記インクセットを構成している第1のインクをインクジェット記録方法で記録媒体に付与する工程と、上記インクセットを構成している第2のインクを記録媒体に付与する工程とを有し、第1のインクと第2のインクとを接触させることを特徴とする。
また、本発明に係る記録ユニットは、上記のインクセットを構成している第1のインクを収容している第1のインク収容部と、第2のインクを収容している第2の収容部と、各々のインクを独立して吐出するためのインクジェットヘッドと、を有していることを特徴とする。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、上記構成の記録ユニットを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、特に普通紙記録において、十分な画像濃度と、耐マーカー性、耐水性、耐候性を示す堅牢性を備え、カラー画像におけるブリードの発生が抑制された高品位のカラー画像が得られるインクセットが提供される。本発明によれば、このようなインクセットを用いることで、高品位で、堅牢性に優れるカラー画像を形成することのできるインクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置が提供される。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、上記した従来の課題について鋭意検討の結果、特定の化合物と色材を含む第1のインクと、該第1のインクとは色彩が異なるか無色である第2のインクとを組み合わせてセットとすることで、上記目的が達成されることを見出した。本発明のインクセットを特徴づける第1の水性インクと、該第1のインクとともに使用される第2の水性インクについて、それぞれを構成する成分などについて説明する。
本発明のインクセットを構成する第1のインクは、下記の3成分を含有し、そのpHが3から10に調整された水性インクであることを要する。すなわち、第1のインクは、下記一般式(I)の化合物と、分散樹脂に分散された顔料と、該顔料の分散媒としての水性媒体とを含んでなる。
Figure 2010095680
(式中、M1及びM2は、独立して、水素原子、アルカリ金属、有機アミンを示し、Rは、アルキル基又はアリール基、アルキルアリール基を表す。nは、0≦n≦7のいずれかの整数を表す。)
本発明のインクセットを構成する第2のインクは、上記第1のインクと混合されたときに、上記第1のインク中の顔料の分散を不安定化させる反応性化合物を含んでなる水性インクであることを要する。
上記本発明のインクセットのより好ましい形態としては、第1或いは第2のインクが、下記の要件を満たす水性インク(以下、単にインクという)であることが挙げられる。まず、第1のインクのより好ましい構成としては、下記のことが挙げられる。第1のインク中の上記一般式(I)の化合物が、エチレンオキサイド鎖を含まない[すなわち、前記式(I)中のn=0である]こと。第1のインク中の顔料を分散させる分散樹脂が、疎水性セグメント、非イオン性親水性セグメント、イオン性親水性セグメントからなる樹脂であること。また、分散樹脂が、ポリビニルエーテル構造を繰り返し単位構造としてもつこと。さらに、分散樹脂が、ブロック構造をもつこと。第1のインク中の顔料の平均粒径が、60nmから180nmの範囲にあること。第1のインクが多価金属イオンを含み、その多価金属イオン濃度が300ppm以下であること。第1のインクがブラックインクであること。
また、第2のインクのより好ましい構成としては、第2のインク中の反応性化合物が、多価金属塩、低分子カチオン性化合物、カチオン性ポリマーのいずれかであることが挙げられる。
[第1のインク]
以下に、第1のインクの構成材料について各々下記の順で説明する。
(1)一般式(I)で表される化合物
(2)顔料
(3)分散樹脂
(4)水性媒体、他の添加剤など
(一般式(I)で表される化合物)
本発明のインクセットを構成する第1のインクは、下記一般式(I)で表される化合物を含むものであることを要するが、本発明のインクセットで画像形成した場合に、第1のインクと第2のインクとの反応によって優れたブリード抑制効果が発揮される。本発明者らの検討によれば、特に、一般式(I)の化合物の中でもエチレンオキサイド鎖を含まない(n=0)化合物を用いた場合に、より強いブリード抑制効果が発揮され、さらにより高い画像濃度を得ることができる。
Figure 2010095680
(式中、M1、M2は、独立して水素原子、アルカリ金属、有機アミンを示し、Rは、アルキル基又はアリール基、アルキルアリール基を表す。nは、0≦n≦7の整数を表す。)
上記一般式(I)の化合物を用いることで、優れたブリード抑制効果が認められる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。上記構造を有する一般式(I)の化合物は、第1のインク中では、顔料表面に存在する疎水部に該化合物の疎水部が吸着し、親水部が水性媒体と親和して分散助剤として働く。一方、画像を形成する際に第2のインクと接触すると、下記のように機能する。上記一般式(I)の化合物は、構造中にリンに結合している酸基が2つあるため、第2のインク中に含有させた第1のインク中の顔料の分散を不安定化させるための反応成分と強く反応し、疎水化されることで顔料の親水性を低下させると考えられる。このため、異色インクが隣接して打ち込まれた場合における顔料の異色インクへの『流出』が抑制され、結果として、ブリード現象が抑制された高品位画像が得られたものと推測される。
上記において顔料の疎水化をより促進するためには、前記一般式(I)の化合物の疎水性はより高い方が好ましい。したがって、親水性を示すエチレンオキサイド鎖数(一般式(I)中のnの数)はより少ない方が好ましい。しかし、その分、水溶液中への一般式(I)で表される化合物の溶解度は減少するため、該化合物が水溶液中で溶解又は分散する範囲で、n及びRを設定する必要がある。インク中における一般式(I)で表される化合物の含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05質量%以上5質量%以下である。
前記一般式(I)の化合物の好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2010095680
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(顔料)
本発明のインクセットを構成する第1のインクに含まれる顔料としては、下記のようなものが挙げられる。まず、黒色インクに使用される顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックが好適である。カーボンブラックの中でも、以下の特性を持つものが好ましく用いられる。すなわち、一次粒子径が15nm以上40nm以下、BET法による比表面積が50m2/g以上300m2/g以下、DBP吸油量が40ml/100g以上150ml/100g以下、揮発分が0.5質量%以上10質量%以下の特性を持つものである。
カラーインクに使用される顔料としては、下記に挙げるような有機顔料が好適に使用される。具体的には、下記の顔料が例示できる。トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料。ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
また、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、下記のようなものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、同13、同14、同17、同20、同24、同55、同74、同83、同86、同93、同97、同98、同109、同110、同117、同120、同125、同同128。C.I.ピグメントイエロー137、同138、同139、同147、同148、同150、同151、同153、同154、同155、同166、同168、同180、同185。C.I.ピグメントオレンジ16、同36、同43、同51、同55、同59、同61、同71。C.I.ピグメントレッド9、同48、同49、同52、同53、同57、同97、同122、同123、同149、同168、同175、同176、同177、同180、同192。C.I.ピグメントレッド202、同209、同215、同216、同217、同220、同223、同224、同226、同227、同228、同238、同240、同254、同255、同272。C.I.ピグメントバイオレット19、同23、同29、同30、同37、同40、同50。C.I.ピグメントブルー15、同15:1、同15:3、同15:4、同15:6、同22、同60、同64。C.I.ピグメントグリーン7、同36。C.I.ピグメントブラウン23、同25、同26などが例示できる。上記のような顔料以外でも使用することができるが、これらの顔料の中でも、特に、下記に挙げるものが好ましい。C.I.ピグメントイエロー13、同17、同55、同74、同93、同97、同98、同110、同128、同139、同147、同150、同151、同154、同155、同180、同185。C.I.ピグメントレッド122、同202、同209。C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4が好ましい。
さらに、インクジェット記録に用いるインクに含有させる顔料は、1次粒子が微粒子化されたものであることが好ましい。この際に用いる微粒子化の方法としては、下記に挙げる方法を用いることができる。例えば、ビーズミルなどによる強い摩砕をかける方法、ジェットミルなどを使用する機械的方法、或いは、顔料の合成時に1次粒子径ができるだけ細かく、かつ、表面活性の低い顔料を合成する方法が挙げられる。また、不活性ガス中での蒸発法による微粒子化、すなわち気相法などの方法が挙げられる。画像形成した場合に、顔料の普通紙への好ましい吸着力を得るためには、インクに含有させる顔料の平均粒径を、60nm以上180nm以下、好ましくは80nm以上170nm以下、より好ましくは100nm以上160nm以下とする。
(顔料)
本発明のインクセットを構成する第1のインクに含まれる顔料について説明する。第1のインク中における顔料の含有量は特に限定されないが、下記のように構成することが好ましい。インク中への添加量はこの範囲に限定されるものではないが、下記の範囲で添加させることが好ましい。インク全量に対して0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、特には0.2質量%以上12質量%以下、さらには0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
以下、第1のインクに含まれる顔料について説明する。まず、黒色インクに使用される顔料としては、カーボンブラックが好適である。本発明のインクに用いることができるカーボンブラックは特に限定されず、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックをいずれも用いることができる。具体的には、例えば、以下の市販品などを用いることができる。レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200。レイヴァン1190ULTRAII、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)。ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L。モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット社製)。カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170。プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V。スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)などの市販品や、別途新たに調製されたものも使用することができる。
カラーインクに使用される顔料としては、下記に挙げるような有機顔料が好適に使用される。具体的には、下記の顔料などが例示できる。トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料。ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
また、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、下記のようなものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、同13、同14、同17、同20、同24、同55、同74、同83、同86、同93、同97、同55、同109、同110、同117、同120、同125、同同128。C.I.ピグメントイエロー137、同138、同139、同147、同148、同150、同151、同153、同154、同155、同166、同168、同180、同185。C.I.ピグメントオレンジ16、同36、同43、同51、同55、同59、同61、同71。C.I.ピグメントレッド9、同48、同49、同52、同53、同57、同97、同122、同123、同149、同168、同175、同176、同177、同180、同192。C.I.ピグメントレッド202、同209、同215、同216、同217、同220、同223、同224、同226、同227、同228、同238、同240、同254、同255、同272。C.I.ピグメントバイオレット19、同23、同29、同30、同37、同40、同50。C.I.ピグメントブルー15、同15:1、同15:3、同15:4、同15:6、同22、同60、同64。C.I.ピグメントグリーン7、同36。C.I.ピグメントブラウン23、同25、同26などが例示できる。
上記のような顔料以外でも使用することができるが、これらの顔料の中でも、特に、下記に挙げるものが好ましい。C.I.ピグメントイエロー同74、同93、同97、同110、同120、同128、同138、同147、同148、同150、同151、同154、同155、同180、同185。C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15、15:3、同15:4が好ましい。
さらに、インクジェット記録に用いるインクに含有させる顔料は、1次粒子が微粒子化されたものであることが好ましい。この際に用いる微粒子化の方法としては、下記に挙げる方法を用いることができる。例えば、ビーズミルなどによる強い摩砕をかける方法、ジェットミルなどを使用する機械的方法、或いは、顔料の合成時に1次粒子径ができるだけ細かく、かつ、表面活性の低い顔料を合成する方法が挙げられる。また、不活性ガス中での蒸発法による微粒子化、すなわち気相法などの方法が挙げられる。画像形成した場合に、顔料の普通紙への好ましい吸着力を得るためには、インクに含有させる顔料の平均粒径を、60nm以上180nm以下、好ましくは80nm以上170nm以下、より好ましくは100nm以上160nm以下とする。
上述の通り、本発明で使用可能な顔料は様々であり、使用する顔料のカラーにより、該当するカラーのブリードを抑制することが可能となる。例えば、第1のインクがブラックインクである場合、普通紙に記録した時の黒文字品位が高濃度で、かつシャープなにじみのない画像を得ることができる。また、本発明のインクセットを用いることで、複数の色の記録インクが接触することによって生ずる黒部と異色境界の部分のブリードを抑制することが可能となる。
(3)分散樹脂
本発明の第1のインクを構成する分散樹脂としては、疎水性セグメント、非イオン性親水性セグメント、イオン性親水性セグメントからなる樹脂が好適に使用され、特にブロック構造を有しているブロック共重合体が好適に使用される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。また、上記におけるブロック共重合体の各セグメントは、共重合セグメントであってもよいし、その共重合の形態も限定されず、例えば、ランダムセグメントであってもグラジュエーションセグメントであってもよい。
以下に、本発明において用いることのできるブロック共重合体について、具体的な例を挙げる。アクリル、メタクリル系ブロック共重合体、ポリスチレンと他の付加重合系又は縮合重合系のブロック共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンのブロックを有するブロック共重合体など、従来から知られているブロック共重合体を用いることもできる。本発明において分散樹脂に用いるブロック共重合体としては、AB、ABA、ABDなどのブロック形態がより好ましい。上記のA、B、Dはそれぞれ異なるブロックセグメントを示す。また、本発明で用いる分散樹脂は、ブロック共重合体がある共重合体鎖にT字状に結合してグラフト共重合体となっていてもよい。本発明のブロック共重合体は、ポリビニルエーテル構造を繰り返し単位構造として含有することが好ましい。イオン性の親水性ブロックセグメント(Cセグメント)の具体的構造としては下記の一般式(1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2010095680
(式(1)中、R0は、−X−(COOH)r、−X−(COO−M)r又は−X2−(COO)2−M2を表す。Xは、炭素数1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルカンジイル若しくはアルカントリイル基、又は、下記の構造のいずれかを表す。−(CH(R5)−CH(R6)−O)p−(CH2)m−CH3-r−、若しくは、−(CH2)m−(O)n−(CH2)q−CH3-r−、又は、それらのメチレン基の少なくとも一つがカルボニル基又は芳香環構造で置換された構造を表す。上記のrは1又は2を表す。X2はXのうちrが2の基を表す。pは1から18までの整数を表す。mは0から35までの整数を表す。nは1又は0を表す。qは0から17の整数を表す。Mは一価のカチオンを表す。M2は二価のカチオンを表す。R5及びR6はアルキル基を表す。R5、R6は同じでも又は異なっていてもよい。)
さらに疎水性セグメント或いは非イオン性の親水性セグメントの繰り返し単位の具体例としては、下記の一般式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2010095680
(式中、R1は、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−(CH(R5)−CH(R6)−O)p−R7及び−(CH2)m−(O)n−R7から選ばれる。上記における、芳香環中の炭素原子に結合している水素原子は、炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基と、また芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換していてもよい。また、pは1から18の整数、mは1から36の整数、nは0又は1を表す。R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子若しくは−CH3を表す。R5及びR6が複数ある場合は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。また、R7は、水素原子、炭素数1から18までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2及び−CO−C(CH3)=CH2から選ばれる。そして、R7が水素原子以外である場合、R7中の炭素原子に結合している水素原子は、炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は−F、−Cl、−Brと、芳香環中の炭素原子は窒素原子と、それぞれ置換することができる。上記において、Phはフェニル基、Pyrはピリジル基を表わす。)
イオン性の親水性ブロックセグメント(Cセグメント)を構成する一般式(1)で表される繰り返し単位構造の具体例を以下に挙げる。
Figure 2010095680
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(Phはフェニレン基を表す。)
疎水性セグメント(Aセグメント)を構成する一般式(2)で表される繰り返し単位構造の具体例としては、以下に記載したものが挙げられる。
Figure 2010095680
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(Phはフェニレン基を表す。)
非イオン性の親水性セグメント(Bセグメント)を構成する一般式(2)で表される単位構造の具体例としては以下に記載したものが挙げられる。
Figure 2010095680
Figure 2010095680
Figure 2010095680
Figure 2010095680
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などが挙げられる。
また、本発明で分散樹脂として使用するブロック共重合体の各ブロックセグメントは、単一の繰り返し単位からなるものでもよく、複数の繰り返し単位構造からなるものでもよい。複数の繰り返し単位からなるブロックセグメントの例としては、ランダム共重合体や徐々に組成比が変化するグラジュエーション共重合体がある。また、本発明で使用するブロック共重合体は、ブロック共重合体構造が他のポリマーにグラフト結合したポリマーであってもよい。
本発明で分散樹脂として使用するブロック共重合体は、ブロック共重合体中に含有される一般式(1)或いは一般式(2)で表される繰り返し単位構造の含有量が、下記のようである構造のものが好ましい。すなわち、ブロックポリマー化合物全体に対して0.01mol%以上99mol%以下、好ましくは1mol%以上90mol%以下の範囲が好ましい。0.01mol%未満ではイオン性官能基或いは疎水性官能基或いは非イオン性親水性基の働くべき高分子相互作用が不充分な場合があり、99mol%を超えると逆に相互作用が働きすぎて機能が不充分な場合がある。本発明で分散樹脂として使用するブロックポリマー化合物は、その数平均分子量(Mn)が200以上10,000,000以下のもの、より好ましは、1,000以上1,000,000以下の範囲のものであることが好ましい。10,000,000を超えると高分子鎖内、高分子鎖間の絡まりあいが多くなりすぎ、溶剤に分散しにくかったりする。200未満である場合、分子量が小さく高分子としての立体効果が出にくかったりする場合がある。各ブロックセグメントの好ましい重合度は3以上10,000以下である。さらに好ましくは5以上5,000以下である。さらに好ましくは10以上4,000以下である。本発明の第1のインクを構成する上記したような分散樹脂の添加量は、分散安定性、吐出特性、及び反応性の観点から、前記顔料に対して、1/10乃至5/1の範囲であることが、好ましい。
本発明において分散樹脂として好ましく用いられるポリビニルエーテル繰り返し単位構造を有するブロック共重合体の重合は、主にカチオン重合で行われることが多い。重合の際の開始剤としては、例えば、下記に挙げるものが挙げられる。塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、過塩素酸などのプロトン酸。BF3、AlCl3、TiCl4、SnCl4、FeCl3、RAlCl2、R1.5AlCl1.5(Rはアルキルを示す)などのルイス酸とカチオン源の組み合わせ。ここで、カチオン源としては、プロトン酸や水、アルコール、ビニルエーテルとカルボン酸の付加体などが挙げられる。これらの開始剤を重合性化合物(モノマー)と共存させることにより重合反応が進行し、ブロック共重合体を合成することができる。本発明においてより好ましく用いられるポリビニルエーテル繰り返し単位構造を有するブロック共重合体は、該繰り返し単位構造が、50mol%以上好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上含有されたものである。
本発明において用いる分散樹脂として特に好適なポリビニルエーテル構造を含むポリマーの重合方法について説明する。ポリビニルエーテル構造を含むポリマーの合成方法は多数報告されている(特開平11−080221号公報参照)。中でも、青島らによるカチオンリビング重合による方法(ポリマーブレタン誌、15巻、1986年、417頁、特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)が代表的である。このカチオンリビング重合でポリマー合成を行うことにより、下記のような合成が可能になる。ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらには、ブロック共重合体、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマーなどの様々なポリマーを、長さ(分子量)を正確に揃えて合成することができる。また、他にHI/I2系、HCl/SnCl4系などでリビング重合を行うこともできる。
(4)水性媒体、他の添加剤など
本発明の第1のインクに含まれる水性媒体は、水、或いは、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を用いることができる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましく、また、水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが望ましい。
本発明で使用する水溶性有機溶剤としては、具体的には、下記に挙げるものを使用することができるが、勿論、これらに限定されるものではない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノールなどの炭素数1乃至5のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体。エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類。グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールなどのトリオール類。チオジグリコール。ビスヒドロキシエチルスルホン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの低級アルキルエーテル類。トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類。テトリトール、D−エリトール、L−エリトール、D−アラビニトール、キシリトール、アドニトール、リビトール、D−ソルビトール、アリトール、D−マンニトール、D−イジトール、D−タリトール、ズルシトール、ヘプチトール、マルチトールなどの糖アルコール類。モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類。スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
本発明の水性インク中に含有される上記したような水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されないが、インク全質量に対して、好ましくは3質量%以上50質量%以下の範囲である。また、インクに含有される水の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは50質量%以上95質量%以下の範囲である。また、本発明の水性インクは、所望の物性値を有するインクとするために、上記した成分の他に必要に応じて、添加剤として例えば粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、界面活性剤、酸化防止剤などを添加することができる。また、本発明のインクには、一般式(I)の化合物の他に、他の界面活性剤を併用して用いてもよい。
本発明の第1のインクは、pHを3乃至10の範囲となるように調整したものであることを要する。pHが3未満では、本発明で使用する一般式(I)の化合物或いは分散樹脂の溶解性が低くなり、インク中に析出物が発生する場合がある。またpHが10より大きくなると、第1のインクと第2のインクが混合されても分散が不安定とならず、本発明の技術課題が解決できない場合がある。なお、pH調整には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明で使用する第1のインクは、その他に金属を含有するものであってもよい。しかし、先に説明した一般式(I)の化合物自体が多価金属と反応することを考慮すると、第1のインクに含まれる多価金属のイオン濃度はできるだけ少なくすることが好ましい。具体的には、300ppm以下であることが好ましい。これは、本発明で使用する第1のインク中の多価金属イオン濃度が300ppmを超えると、該化合物を使用する効果が十分に発揮されない場合があるためである。
本発明の第1のインクの作製方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。先に説明したような樹脂分散剤が所定量入った水溶液に所定量の顔料を添加し、充分攪拌後、分散機を用いて分散を行って顔料分散体を得、さらに水性媒体、一般式(I)の化合物、必要に応じて添加剤などを加えて攪拌混合、及び濾過を行い、インクとする。この際、顔料の濃厚分散体を作製し、インク調整時に希釈する方法も使用できる。分散機は、市販のもののいずれでもよい。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジデータミル。コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどがある。これらは、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。或いは、水性媒体、一般式(I)の化合物、樹脂分散剤を混合後、顔料を添加して、分散機を用いて分散させてもよい。
[第2のインク]
(反応性化合物)
本発明のインクセットを構成する第2のインクは、第1のインクとは色彩が異なるか無色である水性インクである。ここで、『無色』とは、インクの構成成分として積極的に色材を含有させていないことを意味しており、第1のインクと混合した場合に第1のインクの色調を変化させない程度に着色されたものであってもよい。さらに、本発明のインクセットを構成する第2のインクは、先に説明した第1のインクと混合されたときに、第1のインク中の顔料の分散を不安定化させる反応性化合物を含んでなる水性インクであることを要する。なお、ここで言う『顔料の分散を不安定化させる』とは、第1のインクと第2のインクを混合した場合に不溶物が生ずるものを意味する。この不溶物は、目視にて判断できる凝集物が大半であるが、例えば、孔径1μm程度のフィルターで濾過した際に析出物があるか否かで確認できる程度の凝集物を指す。
第1のインクと混合されたときに前記顔料の分散を不安定化させる、本発明の第2のインクに含有する反応性化合物としては、第1のインク中にある分散樹脂と化学反応を起こすものであればいずれでもよい。分散樹脂がカルボキシル基などの酸基を有する化合物であるときは、多価金属塩、低分子カチオン性化合物、カチオン性ポリマーなどが代表的なものとして挙げられる。具体的には、下記に挙げたようなものが使用できるが、これらに限定されるものではない。
多価金属塩の具体例としては、下記のものが挙げられる。多価金属塩としては、アルカリ土類金属塩や遷移金属塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウムなどが挙げられる。遷移金属塩としては、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化銅(II)、硝酸イットリウム、塩化ジルコニウムなどが挙げられる。また、低分子カチオン化合物の代表的なものとしては、アミン系化合物が挙げられ、特に四級アンモニウム塩が好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド。また、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリドなどが挙げられる。さらに、カチオン性ポリマーとしては、カチオン性モノマーのホモポリマー又はコポリマーなどポリマー分子中にカチオン性基を有すればいずれでもよい。具体例としては、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、N−ビニルホルムアミドを共重合成分としたポリマーの加水分解物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの反応性化合物は単独で使用してもよく、また併用しても構わない。添加量としては、第1のインクと第2のインクとが混合された場合に化学反応を起こすだけの量があればいずれでもよい。通常、第2のインク全量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、特には0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
また、第2のインクにも第1のインクと同様に、水溶性溶剤、水、界面活性剤、各種添加剤を配合してもよい。また第2のインクは、色材が入っていても、入っていなくてもいずれでもよい。第2のインクに色材を含有させる場合には、第1のインクとは色彩が異なる色材を用いる。当然ながら、第2のインクに含有させる色材は、第2のインクを構成する前記したような反応性化合物と反応しないか、或いは、反応性化合物が存在しても水溶液中で安定に溶解又は分散可能なものを選定する必要がある。
[記録媒体]
本発明に用いられる記録媒体は、セルロースを含有するものであり、好ましくは普通紙である。かかる普通紙とは、インクジェット専用紙である光沢紙やマット紙のように、多孔質のインク受容層が紙表面に形成されているものではなく、下記のもののことを言う。例えば、プリンタや複写機などで大量に使用されている市販の上質紙、中質紙、PPC用紙などのコピー用紙や、ボンド紙などが挙げられる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクセットは、インクジェット記録方式による記録に好適に用いられる。すなわち、本発明のインクセットを用い、セルロースを含有する記録媒体上にインクジェット方式でカラー画像を形成した場合に、高品位で、堅牢性に優れるカラー画像を形成することができる。本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクセットを構成している第1のインクをインクジェット記録方法で上記記録媒体に付与する工程と、上記インクセットを構成している第2のインクを上記記録媒体に付与する工程とを有する。さらに、本発明のインクセットを構成する第1のインクと第2のインクとを接触させることを特徴とする。
インクジェット記録方式としては、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡によりインクを吐出する記録方法があるが、本発明では、いずれの記録方法も用いることができる。本発明のインクジェット記録方法では、中でも熱エネルギーを利用したサーマルジェット方式を用いることが好ましい。また、第1のインクと第2のインクを接触させる接触方法は特に限定されるものではないが、例えば、下記に挙げるような方法で行えばよい。記録媒体に、どちらか一方のインクを先にインクジェット記録方法で付与した後、その上に重なるか、或いは隣接するようにもう一方をインクジェット記録方法で付与する方法が好ましい。また、第2のインクをローラーなどで記録媒体に塗布した上に、第1のインクをインクジェット記録方法で付与することも有効である。
[インクジェット記録装置]
次に、上記した本発明のインクセットを用いて記録を行うことを特徴とする本発明のインクジェット記録装置の好適な一例を以下に説明する。本発明のインクジェット記録装置は、下記の構成の記録ユニットを備えていることを特徴とする。該記録ユニットは、本発明のインクセットを構成する第1のインクを収容している第1のインク収容部と、第2のインクを収容している第2の収容部と、各々のインクを独立して吐出するためのインクジェットヘッド群と、を有していることを特徴とする。
図1及び図2に、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を示す。図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は、図1のA−B線での切断面図である。ヘッド13は、インクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板などと発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は、保護層16、電極17−1及び17−2、発熱抵抗体層18、蓄熱層19及び基板20よりなっている。保護層16は、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンなどで形成されている。電極17−1及び17−2は、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金などで形成されている。発熱抵抗体層18は、HfB2、TaN、TaAlなどの高融点材料で形成される。蓄熱層19は、熱酸化シリコン、酸化アルミニウムなどで形成され基板20、基板20は、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウムなどの放熱性のよい材料で形成されている。
熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置では、上記のような構成からなる記録ヘッドから、下記のようにしてインクが吐出される。まず、上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生する。すると、その気泡の圧力でメニスカス23が突出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、記録媒体25に向かって飛翔する。図3に、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような構成の発熱ヘッド28を接着して作られている。
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示した。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は、記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに、63は、ブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に、水分、塵埃などの除去が行われる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
51は、記録媒体を挿入するための給紙部、52は、不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は、供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、上述のように記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示したような、それらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としては、本発明においてはポリウレタンを用いることが好ましい。また、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネなどを仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72は、カートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
次に、力学的エネルギーを利用してインクを吐出させる構成のインクジェット記録装置の好ましい一例について説明する。このような装置を構成する記録ヘッドとしては、下記のようなオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。該記録ヘッドでは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えてなる。そして、印加電圧によって圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるように構成されている。図7に、力学的エネルギーを利用してインクを吐出させる方式の記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を示す。
記録ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、振動板82と、圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82などを支持固定する基板84とから構成されている。振動板82は、インクに直接圧力を作用させるものであり、圧電素子83は、この振動板82に接合されており、電気信号により変位するように構成されている。
図7に示した記録ヘッドを構成する各部材は、下記に挙げるような材料からなるものである。インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケルなどの金属からなるが、電鋳やプレス加工による穴あけなどによってインクの吐出口85が形成されている。また、振動板82は、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フイルム及び高弾性樹脂フイルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成されている。
力学的エネルギーを利用してインクを吐出させる方式のインクジェット記録装置では、上記のような構成からなる記録ヘッドから、下記のようにしてインクが吐出されて記録が行われる。まず、圧電素子83にパルス状の電圧を与えることで歪み応力を発生させる。すると、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板82を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧し、インク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録が行われるように動作する。上記方式の記録ヘッドも、図4に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。この際におけるインクジェット記録装置の細部の動作は、先述した熱エネルギーを利用してインクを吐出させる記録方式の装置と同様に行うもので差しつかえない。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載で「部」、及び「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。なお、実施例では、本発明で規定する第1のインク及び第2のインクを用いるが、比較例においても2種類のインクを用いたので、便宜上、これらのインクも第1のインク及び第2のインクと呼ぶ。また、第1のインクA〜Pの調製の際には、いずれも、インクのpHが8.0となるように調整した。
<第1のインクAの調製>
先ず、下記のようにしてアクリル系ブロックポリマーを合成して、得られたポリマーを顔料を分散させるための分散樹脂1に用いた。合成には、疎水性モノマーとしてメタクリル酸ベンジルを12.0mmol(2.112g)を用い、親水性モノマーとしてイオン性モノマー前駆体であるメタクリル酸メチルを15.0mmol(1.502g)用いて、アクリル系ブロックポリマーを得た。得られたアクリル系ブロックポリマーは、数平均分子量(Mn)が21,400であり、重量平均分子量(Mw)との比のMw/Mnが1.18であった。次に、上記で得た分散樹脂1と、顔料、ジエチレングリコール、及び、分散樹脂1のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクA(平均粒径;108nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂1 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクBの調製>
先ず、下記のようにしてアクリル系ランダムポリマーを合成して、得られたポリマーを顔料を分散させるための分散樹脂2に用いた。合成には、疎水性モノマーとしてメタクリル酸ベンジルを12.0mmol(2.112g)を用い、親水性モノマーとしてイオン性モノマー前駆体であるメタクリル酸を15.0mmol(1.291g)用いた。そして、これらのモノマーと、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1gを用いて、アクリル系ランダムポリマーを合成した。得られたアクリル系ランダムポリマーは、数平均分子量(Mn)が22,200であり、Mw/Mnは3.04であった。次に、上記で得た分散樹脂2と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂2のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクB(平均粒径;112nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂2 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクCの調製>
下記のA、B、Cブロックからなるトリブロック共重合体を、顔料を分散させるための分散樹脂3として用いた。該トリブロック共重合体は、4−メチルフェニルエチルビニルエーテル(Aブロック)と、2−(2−メトキシエチル)エチルビニルエーテル(Bブロック)と、4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチル(Cブロック)からなる。トリブロック共重合体の重合比(質量基準、以下同様)は、A:B:C=98:130:14であり、数平均分子量(Mn)が31,200であり、Mw/Mnは1.36であった。次に、上記の分散樹脂3と、顔料、ジエチレングリコール、及び、分散樹脂3のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクC(平均粒径;82nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂3 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクDの調製>
下記のA、B、Cブロックからなるランダム構造を有する共重合体を、顔料を分散させるための分散樹脂4として用いた。該共重合体は、4−メチルフェニルエチルビニルエーテル(Aブロック)と、2−(2−メトキシエチル)エチルビニルエーテル(Bユニット)と4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチル(Cユニット)とがランダム構造を有するものである。その重合比は、A:B:C=89:24:27であり、数平均分子量(Mn)が20,700であり、Mw/Mnは1.08であった。次に、上記の分散樹脂4と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂4のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成の第1のインクD(平均粒径;92nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂4 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクEの調製>
下記のA、B、Cブロックからなるトリブロック共重合体を、顔料を分散させるための分散樹脂5として用いた。該共重合体を構成するAブロックは、イソブチルビニルエーテルとCH2=CHOCH2CH2OPhPh:(IBVE−r−VEEtPhPH)からなる。また、Bブロックは、2−(2−メトキシエチル)エチルビニルエーテル(Bブロック)であり、Cブロックは、4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチルからなる。トリブロック共重合体の重合比はA:B:C=100:45:17であり、数平均分子量(Mn)が21,700であり、Mw/Mnが1.23であった。上記の分散樹脂5と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂5のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクE(平均粒径;105nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂5 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクFの調製>
インクBの調製に用いたと同様の分散樹脂2と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂2のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクF(平均粒径;116nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂2 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)7PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクGの調製>
インクBの調製に用いたと同様の分散樹脂2と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂2のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクG(平均粒径;132nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂2 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225OPO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクHの調製>
インクCの調製に用いたと同様の分散樹脂3と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂3のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクH(平均粒径;180nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂3 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクIの調製>
インクCの調製に用いたと同様の分散樹脂3と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂3のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクI(平均粒径;225nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂3 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクJの調製>
インクEの調製に用いたと同様の分散樹脂5と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂5のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクJ(平均粒径;108nm)を調製した。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂5 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1531O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクKの調製>
インクEの調製に用いたと同様の分散樹脂5と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂5のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクK(平均粒径;99nm)を調製した。
・銅フタロシアニン 2.5質量部
・分散樹脂5 2.5質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 80.2質量部
<第1のインクLの調製>
インクBの調製に用いたと同様の分散樹脂2と、顔料、ジエチレングリコール、及び分散樹脂2のカルボン酸の量に対し1化学量論量の水酸化カリウムをイオン交換水中に加え、超音波ホモジナイザーを顔料分散液を得た。さらに、得られた顔料分散液に、水性媒体、イオン交換水、及び添加剤を適量加え、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、下記の組成からなる第1のインクL(平均粒径;175nm)を調製した。なお、インクL中に含有させたC1225O(CH2CH2O)9PO(OK)2は、本発明で規定する一般式(I)の化合物に該当しない。
・カーボンブラック 4.0質量部
・分散樹脂2 4.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・グリセリン 4.5質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1質量部
・C1225O(CH2CH2O)9PO(OK)2 0.2質量部
・イオン交換水 77.2質量部
<第1のインクMの調製>
インク組成中に、C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2を含有させず、その分、イオン交換水の含有量を増加させたこと以外は第1のインクAと同様にして、第1のインクM(平均粒径;110nm)を作製した。
<第1のインクNの調製>
インク組成中に、C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2を含有させず、その分、イオン交換水の含有量を増加させたこと以外は第1のインクBと同様にして、第1のインクN(平均粒径;109nm)を作製した。
<第1のインクOの調製>
インク組成中に、C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2を含有させず、その分、イオン交換水の含有量を増加させたこと以外は第1のインクCと同様にして、第1のインクO(平均粒径;87nm)を作製した。
<第1のインクPの調製>
インク組成中に、C1225O(CH2CH2O)3PO(OK)2を含有させず、その分、イオン交換水の含有量を増加させたこと以外は第1のインクKと同様にして、第1のインクP(平均粒径;101nm)を作製した。
<第2のインクAの調製>
下記の処方で、1N−塩酸水溶液でpHを5.0に調整し、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、第2のインクAを調製した。
・硝酸マグネシウム 7.2質量部
・グリセリン 7.0質量部
・エチレングリコール 7.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5質量部
・イオン交換水 78.3質量部
<第2のインクBの調製>
下記の処方で、1N−塩酸水溶液でpHを5.0に調整し、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、第2のインクBを調製した。
・硝酸亜鉛 7.2質量部
・グリセリン 7.0質量部
・エチレングリコール 7.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5質量部
・イオン交換水 78.3質量部
<第2のインクCの調製>
下記の処方で、1N−塩酸水溶液でpHを7.0に調整し、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、第2のインクCを調製した。下記の組成中のPAS−92は、ポリアミンスルホン20%水溶液(日東紡社製)である。
・PAS−92 15.0質量部
・グリセリン 7.0質量部
・エチレングリコール 7.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5質量部
・イオン交換水 70.5質量部
<第2のインクDの調製>
下記の処方で調製し、1μmのフィルターを通して加圧濾過し、pHが7.0の第2のインクDを調製した。
・C.I.Direct Blue 199 3.0質量部
・硝酸マグネシウム 7.2質量部
・グリセリン 7.0質量部
・エチレングリコール 7.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5質量部
・イオン交換水 75.3質量部
<イエローインクの調製>
・C.I.Direct Yellow 86 2.5質量部
・グリセリン 5.0質量部
・ジエチレングリコール 5.0質量部
・トリメチロールプロパン 5.0質量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5質量部
・イオン交換水 82.0質量部
<実施例1>
下記の評価方法及び評価基準により、第1のインクと第2のインクとの反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びOD(光学濃度)の評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
[反応性(顔料分散不安定化)]
第1のインクAと第2のインクAをそれぞれ50gずつ混合し、約1時間攪拌した後、1μmのフィルターを通して加圧濾過した。以下の評価基準にて、反応性(顔料分散不安定化)を評価した。
○:濾紙に析出物が堆積している。
△:濾紙に析出物がやや存在する。
×:濾紙に析出物が殆ど存在しない。
[耐ブリード性]
評価試験に、第1のインクAと第2のインクAを各々インクタンクに詰め、インクの重ね打ち機構を搭載したインクジェットプリンター(BJF8500)を用いた。そして、該プリンターで、キヤノンPPC用紙に、先ず第2のインクAを印字した後、第1のインクAでベタ部を印字し、その直後にそれと隣接するように、イエローインクのベタ部を印字した。得られたベタ印字の境界部分を目視にて観察して、ブラックインクとイエローインクとの間のブリードの評価を行った。評価基準は、以下の通りとした。
○:全ての境界部でブリーディングが認められない。
△:若干のブリーディングが認められる。
×:殆ど全ての境界部でブリーディングがひどい。
[耐ラインマーカー性]
評価試験に、第1のインクAと第2のインクAを各々インクタンクに詰め、インクの重ね打ち機構を搭載したインクジェットプリンター(BJF8500)を用いた。そして、該プリンターで、記録媒体としてキヤノンPPC用紙に第2のインクAを印字した後、第1のインクAで評価用画像サンプルを印字し、印字物を得た。さらに、得られた印字物を使用し、30秒後の印刷物の文字部に、下記の方法でマークした。マークの方法は、パイロット社製のイエロー蛍光ペンであるスポットライター(商品名)を用いて、通常の筆圧で1回マークした。そして、マークした部分を目視で観察して、印字物の耐ラインマーカー性を下記の評価基準にて評価した。
〇:印字物に滲みや白地部分の汚れが認められず、ペン先も汚れていない。
△:印字物に白地部分の汚れが認められないが、ペン先がやや汚れている。
×:印字物に白地部分の汚れが認められる。
[ODの評価]
評価試験に、第1のインクAと第2のインクAを各々インクタンクに詰め、インクの重ね打ち機構を搭載したインクジェットプリンター(BJF8500)を用いた。そして、第2のインクAを印字した後、第1のインクAでベタ画像を印字し、12時間放置後の画像について、反射濃度計マクベスRD915(マクベス社製)にて反射濃度(OD)の測定をし、インクの印字濃度とした。印字試験の際には、キヤノン(株)製普通紙(PB紙)を記録媒体として用い、3紙におけるOD値の平均値を第1のインクAの印字濃度として、下記の評価基準にて評価した。
〇:1.30≦OD
△:1.25≦OD<1.30
×:OD<1.25
<実施例2>
第1のインクAに代えて第1のインクBを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例3>
第1のインクAに代えて第1のインクCを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例4>
第1のインクAに代えて第1のインクDを使用し、第2のインクAに代えて第2のインクBを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例5>
第1のインクAに代えて第1のインクEを使用し、第2のインクAに代えて第2のインクCを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例6>
第1のインクAに代えて第1のインクFを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例7>
第1のインクAに代えて第1のインクGを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例8>
第1のインクAに代えて第1のインクHを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例9>
第1のインクAに代えて第1のインクIを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例10>
第1のインクAに代えて第1のインクJを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例11>
第1のインクAに代えて第1のインクKを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性の評価を行った。結果を下記表1に示した。
<実施例12>
第2のインクAに代えて第2のインクDを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<比較例1>
第1のインクAに代えて第1のインクLを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<比較例2>
第1のインクAに代えて第1のインクMを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<比較例3>
第1のインクAに代えて第1のインクNを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<比較例4>
第1のインクAに代えて第1のインクOを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性及びODの評価を行った。結果を下記表1に示した。
<比較例5>
第1のインクAに代えて第1のインクPを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、反応性、耐ブリード性、耐ラインマーカー性の評価を行った。結果を下記表1に示した。
Figure 2010095680
以上説明したように、本発明によれば、高い濃度と、優れた耐擦過性、耐マーカー性とを備え、異なる色の画像とが隣接した境界におけるブリードの発生が抑制された高品位なカラー画像を形成することができる。
インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す縦断面図である。 インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す横断面図である。 図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。 インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。 インクカートリッジの一例を示す縦断面図である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。

Claims (12)

  1. 少なくとも第1のインクと、該第1のインクとは色が異なるか無色である第2のインクとを独立に有してなり、これらのインクをセルロースを含有する記録媒体に付与して画像を形成する記録方法に用いられるインクセットであって、
    該第1のインクは、下記一般式(I)の化合物と、分散樹脂によって分散された顔料と、該顔料の分散媒としての水性媒体とを含んでなるpHが3から10の水性インクであり、
    該第2のインクは、該第1のインクと混合されたときに、該第1のインク中の顔料の分散を不安定化させる反応性化合物と、水性媒体とを含んでなる水性インクであることを特徴とするインクセット。
    Figure 2010095680
    (式中、M1及びM2は、独立して、水素原子、アルカリ金属、有機アミンを示し、Rは、アルキル基又はアリール基、アルキルアリール基を表す。nは、0≦n≦7のいずれかの整数を表す。)
  2. 前記一般式(I)の化合物が、エチレンオキサイド鎖を含まない(前記式(I)中のn=0)請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記分散樹脂が疎水性セグメント、非イオン性親水性セグメント、イオン性親水性セグメントからなる樹脂である請求項1又は2に記載のインクセット。
  4. 前記分散樹脂が、ポリビニルエーテル構造を繰り返し単位構造としてもつ請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5. 前記分散樹脂が、ブロック構造をもつ請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセット。
  6. 前記第1のインク中の顔料の平均粒径が、60nmから180nmの範囲にある請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクセット。
  7. 前記第1のインクが多価金属イオンを含み、その多価金属イオン濃度が300ppm以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクセット。
  8. 前記第1のインクがブラックインクである請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクセット。
  9. 前記第2のインク中の反応性化合物が、多価金属塩、低分子カチオン性化合物、カチオン性ポリマーのいずれかである請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクセット。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクセットを用い、セルロースを含有する記録媒体上にインクジェット方式でカラー画像を形成するインクジェット記録方法であって、上記インクセットを構成している第1のインクをインクジェット記録方法で記録媒体に付与する工程と、上記インクセットを構成している第2のインクを記録媒体に付与する工程とを有し、第1のインクと第2のインクとを接触させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクセットを構成している第1のインクを収容している第1のインク収容部と、第2のインクを収容している第2の収容部と、各々のインクを独立して吐出するためのインクジェットヘッドと、を有していることを特徴とする記録ユニット。
  12. 請求項11に記載の記録ユニットを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
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