JP2012071737A5 - - Google Patents

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上記の課題を解決するために、本発明に係るブレーキ装置は、ブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバに連通し、ピストンの前進によって前記リザーバとの連通を遮断して圧力室に液圧を発生させるマスタシリンダと、前記マスタシリンダのピストンを作動させる倍力装置と、前記圧力室で発生した液圧を検出する液圧検出手段と、前記倍力装置を制御する制御手段とを備え、前記倍力装置は、ブレーキペダルの操作により移動する入力部材と、前記ピストンを駆動する電動アクチュエータと、前記ピストンの位置を検出するための位置検出手段とを備え、前記制御手段は、前記電動アクチュエータによって前記ピストンを液圧発生方向に推進させ、前記液圧検出手段によって検出する前記圧力室の液圧が所定の閾値に達したとき、前記位置検出手段が検出した前記ピストンの位置を基準位置として、前記ピストン基準位置から液圧解除方向へ所定量だけ後退させて前記圧力室と前記リザーバとが連通する位置を第2制御原点とし、前記ピストンが第2制御原点から所定量だけ液圧発生方向に推進した位置を第1制御原点として、少なくとも2つの前記ピストンの保持位置が設定されていることを特徴とする
マスタシリンダ2のシリンダ本体2A内には、開口側に、先端部がカップ状に形成されたピストンでる円筒状のプライマリピストン10が嵌装され、底部側にカップ状のセカ
ンダリピストン11が嵌装されている。プライマリピストン10の後端部は、マスタシリンダ2の開口部からケース4内に突出して、案内部8付近まで延びている。プライマリピストン10及びセカンダリピストン11は、シリンダ本体2Aのシリンダボア12内に嵌合されたスリーブ13の両端側に配置された環状のガイド部材14、15によって摺動可能に案内されている。シリンダ本体2A内は、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11によってプライマリ室16及びセカンダリ室17の2つの圧力室が形成されている。これらプライマリ室16及びセカンダリ室17には、液圧ポート18、19がそれぞれ設けられている。液圧ポート18、19は、2系統の液圧回路からなる液圧制御装置70を介して各車輪のブレーキキャリパ71に接続されている。ブレーキキャリパ71は、ブレーキ液の供給により制動力を発生して車輪を制動するブレーキ機構である。
入力ピストン32の後端部には、ケース4の案内部8及びプライマリピストン10の後部に挿入された入力ロッド34の先端部が連結されている。入力ロッド34の後端側は、案内部8から外部に延出され、その端部には、ブレーキ指示を出すために操作されるブレーキペダルBが連結される。プライマリピストン10の後端部には、フランジ状のバネ受35が取付けられている。プライマリピストン10は、ケース4の前壁側とバネ受35との間に介装された圧縮コイルバネである戻しバネ36によって後退方向に付勢されている。入力ピストン32は、プライマリピストン10の中間壁30との間及びバネ受35との間にそれぞれ介装されたバネ部材であるバネ37、38によって、図1に示す中立位置に弾性的に保持されている。入力ロッド34の後退位置は、ケース4の案内部8の後端部に設けられたストッパ39によって規定されている。
ケース4内には、電動アクチュエータである電動モータ40及び電動モータ40の回転を直線運動に変換してプライマリピストン10に推力を付与するボールネジ機構41を含むアクチュエータ3が設けられている。電動モータ40は、ケース4に固定されたステータ42と、ステータ42に対向させてベアリング43、44によってケース4に回転可能に支持された中空のロータ45とを備えている。ボールネジ機構41は、ロータ45の内周部に固定された回転部材であるナット部材46と、ナット部材46及びケース4の案内部8内に挿入されて軸方向に沿って移動可能で、かつ、軸回りに回転しないように支持された直動部材である中空のネジ軸47と、これらの対向面に形成されたネジ溝間に装填された複数のボール48とを備えている。ボールネジ機構41は、ナット部材46の回転により、ネジ溝に沿ってボール48が転動することにより、ネジ軸47が軸方向に移動するようになっている。なお、ボールネジ機構41は、ナット部材46とネジ軸47との間で、回転及び直線運動を相互に変換可能となっている。
ボールネジ機構41のネジ軸47は、ケース4の前壁側との間に介装された圧縮テーパコイルバネである戻しバネ49によって後退方向に付勢され、ケース4の案内部8に設けられたストッパ39によって後退位置が規制されている。ネジ軸47内には、プライマリピストン10の後端部が挿入され、ネジ軸47の内周部に形成された段部50にバネ受35が当接してプライマリピストン10の後退位置が規制されている。これにより、プライマリピストン10は、ネジ軸47と共に前進し、また、段部50から離間して単独で前進することができる。そして、図1に示すように、ストッパ39に当接したネジ軸47の段部50によってプライマリピストン10の後退位置が規定され、後退位置にあるプライマリピストン10及びバネアセンブリ26の最大長によって、セカンダリピストン11の後退位置が規定されている。ネジ軸47の段部50は、ナット部材46の軸方向の長さの範囲に配置されている。
次に、プライマリピストン10の非制動時の保持位置となる制御原点の設定について、図2を参照して説明する。なお、図2において、プライマリピストン10の位置は、ポート24の中心位置240とシール部材22Aの後端部位置22ABとが一致する位置LA(図2C参照)からのストローク位置によって表している。
図2(A)に示すように、制動開始時には、プライマリピストン10が、その側壁のポート24とリザーバポート20との連通がシール部材22Aによって遮断される液圧発生位置LPまで前進していることにより、プライマリ室16がリザーバ5から遮断されてプライマリ室16の昇圧がすぐに開始される。
そこで、本実施形態では、プライマリピストン10の非制動時の位置(制御原点)として、液圧発生位置LPに対応する第1制御原点1と、液圧解放位置LOに対応する第2制御原点L2との2つを設定する。ここで、プライマリピストン10が液圧発生位置LPに対応する第1制御原点L1にあるとき、プライマリ室16とリザーバ5との間の流路は、完全に遮断されてもよいが、プライマリピストン10の前進によってプライマリ室16に液圧が発生する程度に絞られてもよい。一方、プライマリピストン10が第2制御原点L2にあるとき、プライマリ室16とリザーバ5との間の流路は、少なくともプライマリ
室16の液圧をリザーバ5に解放できる程度に連通する必要がある。
これにより、非制動時に、プライマリピストン10を液圧発生位置LPに対応する第1制御原点L1で保持することにより、無効ストロークが減少してプライマリピストン10の前進に対してプライマリ室16の液圧が迅速に立ち上がるので、ブレーキペダル操作に対する車両制動の応答性が高まる。また、本実施形態のように、入力ピストン32の先端部がプライマリ室16内に臨んでいる構造のものにおいては、ブレーキ操作フィーリングが改善される。また、プライマリピストン10を液圧解放位置LOに対応する第2制御原点L2で保持することにより、プライマリ室16の液圧がリザーバ5に確実に解放されるので、ブレーキの引き摺りを防止することができる。また、ブレーキパッドの摩耗補償及びブレーキ液の体積補償を円滑に行なうことができる。これらの第1及び第2制御原点L1、L2を車両状態に応じて適宜切換えてプライマリピストン10の位置制御を実行する。
このとき、第1制御原点L1を決定する距離αは、プライマリピストン10が第1制御原点L1にあるとき、プライマリピストン10の側壁のポート24とリザーバポート20との連通がシール部材22Aによって確実に遮断される、あるいは、上述のようにプライマリ室16に液圧が発生する程度絞られるように、ポート24、シール部材22A、及びシール部材22Aが格納されるシール溝の各部の寸法及び寸法公差を考慮して決定する。また、第2制御原点L2を決定する距離βは、プライマリピストン10が第2制御原点にあるとき、プライマリ室16がプライマリピストン10の側壁のポート24を介して適当な流路面積をもってリザーバ5に開放されるように、ポート24、シール部材22A、及びシール部材22Aが格納されるシール溝の各部の寸法及び寸法公差を考慮して決定する。なお、距離αを負の値として、第1制御原点L1を基準位置LBの前方に設定してもよい。この場合、更に無効ストロークを小さくしてブレーキペダル操作に対する車両制動の応答性を高めることができる。
ステップS4では、電動モータ40の回転位置を回転位置センサ60によって検出し、プライマリ室16の液圧が所定の閾値に達したときの電動モータ40の回転位置を基準位置(すなわちプライマリピストン10の基準位置LB)として記憶する。そして、プライマリピストン10の基準位置LBに基づき、上述のようにして第1及び第2制御原点L1、L2(L1=LB−α、L2=LB−β)を演算して記憶し、ステップS5に進む。
ステップS5では、電動モータ40を逆回転させてプライマリピストン10の後退を開始し(時刻t4)、ステップS6で、電動モータ40の回転位置(すなわち、プライマリピストン10の位置)を回転位置センサ60によって検出し、プライマリピストン10が第1制御原点L1に達したか否かを判定する。プライマリピストン10が第1制御原点L1に達したとき、ステップS7に進むステップS7で電動モータ40を停止し(時刻t5)、ステップS8に進む。
コントローラCによる制御フローについて図5のフローチャート及び図6のタイムチャートを参照して説明する。
ステップS101〜S109(時刻t1〜t5)までの処理は、上記第1実施形態のステップS1〜S9の処理と同様であるから、ここでは説明を省略する。
ステップS110では、アクセルペダルセンサASにより、アクセルペダルが踏込まれているか否かを判定する。アクセルペダルが踏込まれていない場合には(時刻t7)、ステップS111に進み、プライマリピストン10を第1制御原点L1で保持して、ステップS108に戻る。アクセルペダルが踏込まれている場合には(時刻t6)、ステップS112に進み、プライマリピストン10を第2制御原点L2で保持して、ステップS108に戻る。このようにして、プライマリピストン10の第1、第2制御原点L1、L2を切換える。
ステップS213では、プライマリピストン10を第2制御原点L2で保持して(時刻T7)、ステップS214に進む。ステップS214では、第2制御原点L2の保持時間についてのタイマのカウントを開始して、ステップS215に進む。ステップS215では、タイマのカウントに基づき、第2制御原点L2の保持時間が所定の時間Tに達したか否かを判定する。保持時間が所定時間Tに達した場合には、ステップS216で第2制御原点フラグをクリアし、第2制御原点L2の保持時間のタイマのカウントをリセットしてステップS208に戻り、保持時間が所定時間Tに達していない場合には、直接、ステップS208に戻る。ステップS217では、プライマリピストン10を第1制御原点L1で保持して(時刻t8)、ステップS208に戻る。このようにして、プライマリピストン10の第1、第2制御原点L1、L2を切換える。
コントローラCによる制御フローについて図9のフローチャート及び図10のタイムチャートを参照して説明する。本実施形態では、上記第2実施形態の制御フロー(図)に対して、ステップS313及びステップS314の処理を追加したものである。ステップS313は、上記第2実施形態の制御フローのステップS108(図9ではステップS308ステップS110(図9ではステップS310との間に挿入されている。ステップS313では、車両安定性制御の実行等により液圧供給装置70の液圧ポンプ74が作動中か否かを判定する。液圧ポンプ74が作動していない場合には、ステップS310に進み、作動中である場合には、ステップS314に進む。ステップS314では、プライマリピストン10を第3制御原点L3に保持して、ステップS308に戻る。このようにして、プライマリピストン10の第1、第2及び第3制御原点L1、L2及びL3を切換える。
図10のタイムチャートを参照して、時刻t1〜t5までは、上記第2実施形態のステップS101〜S108と同様の処理(ステップS301〜S308)を実行する。時刻t6で液圧供給装置70の液圧ポンプ74が作動して(ステップS313でイエス)、プライマリピストン10が第3制御原点L3に移動する(ステップS314)。時刻t7で液圧供給装置70の液圧ポンプ74が停止し(ステップS313でノー)、プライマリピストン10が第1制御原点L1に移動する(ステップS310でノー)。時刻t8でアクセルペダルが踏込まれて、プライマリピストン10が第2制御原点L2に移動する(ステップS310でイエス)。ここで、時刻t1〜t8を通してブレーキペダルは解放されている。

Claims (10)

  1. ブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバに連通し、ピストンの前進によって前記リザーバとの連通を遮断して圧力室に液圧を発生させるマスタシリンダと、前記マスタシリンダのピストンを作動させる倍力装置と、前記圧力室で発生した液圧を検出する液圧検出手段と、前記倍力装置を制御する制御手段とを備え、
    前記倍力装置は、ブレーキペダルの操作により移動する入力部材と、前記ピストンを駆動する電動アクチュエータと、前記ピストンの位置を検出するための位置検出手段とを備え、
    前記制御手段は、前記電動アクチュエータによって前記ピストンを液圧発生方向に推進させ、前記液圧検出手段によって検出する前記圧力室の液圧が所定の閾値に達したとき、前記位置検出手段が検出した前記ピストンの位置を基準位置として、前記ピストン基準位置から液圧解除方向へ所定量だけ後退させて前記圧力室と前記リザーバとが連通する位置を第2制御原点とし、前記ピストンが第2制御原点から所定量だけ液圧発生方向に推進した位置を第1制御原点として、少なくとも2つの前記ピストンの保持位置が設定されていることを特徴とするブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ装置において、前記ピストンが第1制御原点にあるとき、第2制御原点にあるときよりも前記圧力室と前記リザーバとの連通が絞られることを特徴とするブレーキ装置。
  3. 請求項2に記載のブレーキ装置において、前記ピストンが第1制御原点にあるとき、前記圧力室と前記リザーバとの連通が遮断されることを特徴とするブレーキ装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、非制動時の前記ピストンの保持位置を第1制御原点と第2制御原点と切換えることを特徴とするブレーキ装置。
  5. 請求項4に記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、非制動時の前記ピストンの保持位置を所定時間毎に第1制御原点と第2制御原点と交互に切換えることを特徴とするブレーキ装置。
  6. 請求項4に記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、ブレーキペダルの操作開始前に前記ピストンの保持位置を第1制御原点とすることを特徴とするブレーキ装置。
  7. 請求項4に記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、アクセルペダルが操作されていないとき、非制動時の前記ピストンの保持位置を第1制御原点とすることを特徴とするブレーキ装置。
  8. 請求項4に記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、前記ブレーキペダルの操作が解放されたとき、前記ピストンの保持位置を第2制御原点とすることを特徴とするブレーキ装置。
  9. 請求項4に記載のブレーキ装置において、前記制御手段は、アクセルペダルが操作されたとき、非制動時の前記ピストンの保持位置を第2制御原点とすることを特徴とするブレーキ装置。
  10. 請求項1又は2に記載のブレーキ装置において、更に、ブレーキ液の供給により制動力を発生するブレーキ機構と、前記圧力室との間に介装され、液圧ポンプによって前記圧力室から前記ブレーキ機構にブレーキ液を供給する液圧供給装置を含み、
    前記制御装置は、非制動時に、前記液圧ポンプが作動したとき、前記ピストンを前記第2制御原点よりも後退した位置で前記圧力室と前記リザーバとの流路が拡大する第3制御原点に保持することを特徴とするブレーキ装置。
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