JP2012068413A - 感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜、およびそれを用いた半導体装置、表示体装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜、およびそれを用いた半導体装置、表示体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高感度、高解像度で、200℃程度の低温で硬化しても樹脂と感光剤のみで強度、伸度及び耐熱性に優れた、半導体装置に対する信頼性が高い硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、感光剤とを含む感光性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置に関する。
従来、半導体素子の保護膜、絶縁膜には、耐熱性が優れ、かつ卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂、上記特性に加えて耐湿信頼性が良いとされるポリベンゾオキサゾール樹脂が用いられていた。更に、ポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂、それらの前駆体樹脂自身に感光性を付与し、レリーフパターン作成工程の一部を簡略化できるようにし、高感度で微細加工性を有しながら、高い耐熱性、優れた電気特性、機械特性を持ち、工程短縮および歩留まり(生産性)向上に効果のある感光性樹脂組成物が開発されており、これは半導体素子の保護膜用のみならず絶縁用樹脂組成物としての可能性も有している。
更に最近では、安全性の面からアルカリ水溶液で現像ができるポジ型感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特許文献1にはアルカリ可溶性樹脂としてポリベンゾオキサゾール前駆体と感光剤であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。
レリーフパターンを形成した感光性樹脂組成物中のポリイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂は、最終的に300℃〜350℃付近の高温で硬化することにより脱水閉環し、耐熱性に富むポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂となる。近年は半導体素子の小型化、高集積化により、特に記憶素子では耐熱性が低くなっており、生産性向上の為、200℃程度の低温で硬化可能なポリイミド前駆体樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂が必要とされている。
低温で硬化した際に重要となるのは半導体装置の信頼性の確保であり、硬化膜の機械的物性、特に硬化膜の強度と伸度と、そして耐熱性、特にガラス転移温度(Tg)の両立が必要となる。
低温硬化した硬化膜の強度と伸度に関しては、高温で硬化した際と同程度の特性が求められており、Tgにおいては、近年の環境や人体に対する配慮から鉛フリー半田の使用を想定したリフロー温度以上であることが望ましく、特に200℃の低温で熱処理した後の硬化膜のTgが250℃以上であることが望まれている。
低温で硬化可能な感光性樹脂組成物を得る方法としては、樹脂の主骨格に脂肪族炭化水素結合などを導入する方法があるが、その場合、硬化膜の強度が弱くなるだけで無く、Tgが低下する。
また架橋剤などの補助的化合物を添加する方法もあるが、硬化膜が堅く脆くなり伸度が得られなかったり、感光剤以外の添加剤を加えることにより感光性樹脂組成物の保存性に影響を与えたり、樹脂本来の特性を十分に発揮できず半導体装置の信頼性に影響を及ぼすなどの問題がある。
従って、200℃程度の低温で硬化しても強靭さを備えた機械的物性と耐熱性に優れる感光性樹脂組成物の開発が最近強く望まれている。
特公平1−46862号公報
本発明の目的は、高感度、高解像度で、200℃程度の低温で硬化しても樹脂と感光剤のみで強度、伸度及び耐熱性に優れた、半導体装置に対する信頼性が高い硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、感光剤と、を含む感光性樹脂組成物。
(2) 前記アルカリ可溶性樹脂が、ベンゾオキサゾール前駆体構造およびイミド前駆体構造の少なくとも一方を有する前記(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3) 前記共役二重結合構造が共役ジエン構造である前記(1)または(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4) 前記ジエノフィル構造が、マレイミド構造である前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
(5) 前記共役ジエン構造が、−CH=CH−CH=CH−Rである前記(3)または(4)に記載の感光性樹脂組成物。
(Rは水素原子、アルキル基または芳香族基を示す。)
(6) 前記マレイミド構造が、N−フェニルマレイミド由来構造である前記(4)または(5)に記載の感光性樹脂組成物。
(7) 前記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物で構成
されていることを特徴とする硬化膜。
(8) 前記(7)に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
(9) 前記(7)に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
(10) 前記(7)に記載の硬化膜を有していることを特徴とする半導体装置。
(11) 前記(7)に記載の硬化膜を有していることを特徴とする表示体装置。
本発明によれば、高感度、高解像度で、200℃程度の低温で硬化しても強度、伸度および耐熱性に優れた、半導体装置に対する信頼性が高い硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供することができる。
以下、本発明の感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、感光剤とを含むものである。
また、本発明の保護膜、絶縁膜は、上記感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の半導体装置、表示体装置は、上記硬化膜で構成されていることを特徴とする。
以下に本発明の感光性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。なお下記は例示であり、本発明は何ら下記に限定されるものではない。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、水酸基、特にフェノール性水酸基および/またはカ
ルボキシル基を有するものであり、例えばクレゾール型ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、これらの中でもポリアミド樹脂が好ましい。
なお、本発明において、ポリアミド樹脂とは、ベンゾオキサゾール前駆体構造および/またはイミド前駆体構造を有する樹脂を指す。また、ポリアミド樹脂は、ベンゾオキサゾール前駆体構造、イミド前駆体構造の一部が閉環反応することにより生じるベンゾオキサゾール構造、イミド構造を有していてもよく、また、アミド酸エステル構造を有していてもよい。
また、ベンゾオキサゾール前駆体構造とは、下記式(1)で表される構造を指し、イミド前駆体構造とは、下記式(2)で表される構造を指し、ベンゾオキサゾール構造とは、下記式(3)で表される構造を指し、イミド構造とは、下記式(4)で表される構造を指し、アミド酸エステル構造とは、下記式(5)で表される構造を指す。
Figure 2012068413
なお、上記式(1)〜(5)中のDおよびRは有機基を示す。これらポリアミド樹脂の中でも、下記一般式(6)で示されるポリアミド樹脂が好ましい。
Figure 2012068413
(式中、X、Yは有機基である。Rは水酸基、−O−R、アルキル基、アシルオキシ基、シクロアルキル基であり、同一でも異なっても良い。Rは水酸基、カルボキシル基、−O−R、−COO−Rのいずれかであり、同一でも異なっても良い。mは0〜8の整数、nは0〜8の整数である。Rは炭素数1〜15の有機基である。ここで、Rが複数ある場合は、それぞれ異なっていても同じでもよい。Rとして水酸基がない場合は、Rは少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、Rとしてカルボキシル基がない場合、Rは少なくとも1つは水酸基でなければならない。)
一般式(6)で示されるポリアミド樹脂において、Xの置換基としてのO−R、Yの置換基としてのO−R、COO−Rは、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基であるRで保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。Rの例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
一般式(6)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、Xを含むジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。
なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
前記一般式(6)で示されるポリアミド樹脂を、高温で加熱する場合は280℃〜380℃、低温で加熱する場合は150℃〜280℃で処理すると脱水閉環し、ポリイミド樹脂、またはポリベンゾオキサゾール樹脂、或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
前記一般式(6)で示されるポリアミド樹脂のXは、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記(7)式で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは、必要により1種類または2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2012068413
(ここで、*は、NH基に結合することを示す。Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。
は、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示し、それぞれ同じでも異なっても良い。Rは、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示す。s=0〜2の整数である。)
Figure 2012068413
(ここで、*は、NH基に結合することを示す。R〜R10は、有機基である。)
上記式(6)で示すように、XにはRが0〜8個結合される(式(7)において、Rは省略)。
上記式(7)中で特に好ましいものとしては、下記式(8)、下記式(9)で表されるものが挙げられる。
Figure 2012068413
(式中、*はNH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−、又は単結合である。R11は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基のいずれかであり、同一でも異なっても良い。c=1〜3の整数である。)
Figure 2012068413
上記式(8)、式(9)中で特に好ましいものとしては、下記式(10)で表されるものが挙げられる。
Figure 2012068413
(ここで*はNH基に結合することを示す。R12はアルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、―C(CF―、単結合から選ばれる有機基である。)
上記式(7)のA、上記式(8)のA、上記式(10)のR12のアルキレン、置換アルキレンの具体的な例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH)(CHCH)−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−CH(CH(CH)−、−C(CH)(CH(CH)−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCH)−、−CH(CHCH(CH)−、−C(CH)(CHCH(CH)−、−CH(CHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCH)−、−CH(CHCHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCHCH)−等が挙げられるが、その中でも−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−が、アルカリ水溶液だけでなく溶剤に対しても十分な溶解性を持つ、よりバランスに優れるポリアミド樹脂を得ることができて好ましい。
また、式(6)のYは有機基であり、前記Xと同様のものが挙げられ、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、ピリジン類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(11)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2012068413
(ここで、*は、C=O基に結合することを示す。Jは、−CH−、−C(CH
−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。
13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示し、それぞれ同じでも異なっても良い。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示す。t=0〜2の整数である。)
Figure 2012068413
(ここで、*は、C=O基に結合することを示す。R15〜R18は、有機基である。)
式(6)で示すように、YにはRが0〜8個結合される(式(11)において、R
は省略)。
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式(12)で表されるものが挙げられる。
下記式(12)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、C=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 2012068413
Figure 2012068413
(式中、*はC=O基に結合することを示す。R19は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R20は、水素原子又は炭素数1〜15の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。u=0〜2の整数である。
Figure 2012068413
(式中、*はC=O基に結合することを示す。R20は、水素原子又は炭素数1〜15の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。)
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有することと、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有することが重要である。
これにより200℃程度の低温で硬化しても末端同士がDiels−Alder反応により6員環を形成しながら鎖延長反応が行われる。従って環化により硬化温度以上のTgを有する耐熱性の向上かつ高温で硬化した硬化膜と同等の機械強度の確保と、鎖延長により高温で硬化した硬化膜と同等の伸度の確保という効果が両立できる。
このように共役二重結合構造とジエノフィル構造は1:1で反応することから、該アルカリ可溶性樹脂合成する際において、全末端に対する共役二重結合構造の仕込みモル%をa、ジエノフィル構造の仕込みモル%をbとしたとき、0.9<a/b<1.1であるとき最大の効果が得られる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有する樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有する樹脂とを含むものである。ただし、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有する樹脂は、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有し、もう片方の末端にはジエノフィル構造を有する分子鎖を含む樹脂であってもよく、その場合は、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有する樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有する樹脂とが同一の樹脂となる。また、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造とジエノフィル構造の両方の構造を有する分子鎖を含む樹脂であっても構わない。その場合も、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有する樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有する樹脂とが同一の樹脂となる。
また、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有する樹脂に含まれる分子鎖の両末端が共役二重結合を有する樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有する樹脂に含まれる分子鎖の両末端がジエノフィル構造を有する樹脂が混合する状態であっても構わない。また、両末端が共役二重結合を有する樹脂と両末端がジエノフィル構造を有する樹脂をそれぞれ合成し、感光性樹脂組成物を調製する際にブレンドしても良い。
上述の式(6)で示されるポリアミド樹脂では、末端がアミノ基の場合、共役二重結合
構造を有する基、ジエノフィル構造を有する基、それら両方の構造を有する基から選ばれる官能基を含むカルボン酸化合物、または酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。
これにより保存性を向上することができる。尚、カルボン酸化合物の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のカルボン酸誘導体を用いてもよい。
共役二重結合構造を有する基は、共役ジエン構造を有する基であることが好ましい。より好ましくは−CH=CH−CH=CH−Rの構造を有する基である。(Rは水素原子、アルキル基または芳香族基を示す。)
これにより硬化膜の着色を抑えることができ、露光の際の吸収を抑えることができるため高感度なアルカリ可溶性樹脂を得ることが可能となる。
このような、共役ジエン構造を有する基を含むカルボン酸化合物、酸無水物としては、2,4−ペンタジエン酸、ソルビン酸、5−フェニルペンタ−2,4−ジエン酸、2−アントラセンカルボン酸、2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−メチルフラン−3−カルボン酸、3−メチル−2−フランカルボン酸、5−フェニルフランカルボン酸、5−(4−メチルフェニル)−2−フラン酸、5−(4−メトキシフェニル)−2−フラン酸、3−(2−フリル)プロピオン酸、2,5−ジメチル−3−フラン酸、4−(1H−ピロール−1−イル)安息香酸、2−ヒドロキシ−5−(1H−ピロール−1−イル)安息香酸、trans−N−(2−フルフリデンアセチル)グリシン、3−(2−フリル)アクリル酸、trans−3−フランアクリル酸、N−(2−フロイル)グリシン、クマリン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
これらの中で好ましいものは、反応性の観点から2,4−ペンタジエン酸、ソルビン酸、5−フェニルペンタ−2,4−ジエン酸であり、特に好ましいものはソルビン酸である。
ジエノフィル構造を有する基を含むカルボン酸化合物、酸無水物としては、3−マレイミド安息香酸、4−マレイミド安息香酸、3−マレイミドプロピオン酸、2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロキシピロール−1−イル)プロピオン酸、4−マレイミジルサリチル酸、シトラコン酸無水物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
ジエノフィル構造を有する基としては、反応性の観点からマレイミド基を有するものが好ましい。より好ましくは強度と耐熱性に優れるN−フェニルマレイミド基を有するものである。
特に好ましくは、3−マレイミド安息香酸、4−マレイミド安息香酸、4−マレイミジルサリチル酸である。
また、アミノ基を複数有するカルボン酸化合物を支持体とし、上述の共役ジエン構造を有する基を含むカルボン酸化合物や酸無水物、ジエノフィル構造を有する基を含むカルボン酸化合物や酸無水物を反応させたものを末端キャップ材として用いても良い。
このような支持体としては、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸、L(+)リシンなどが挙げられる。
また上述の式(6)で示されるポリアミド樹脂において、末端がカルボン酸の場合、共役二重結合構造を有する基、ジエノフィル構造を有する基、それら両方の構造を有する基から選ばれる官能基を含むアミン誘導体を用いて同様にアミドとしてキャップすることもできる。
前述と同様に、共役二重結合構造は共役ジエン構造であることが好ましく、このような共役ジエン構造を有する基を含むアミン誘導体としては、フルフリルアミン、5−メチル
フルフリルアミン、2−(フラン−2−イルメトキシ)フェニルアミン、4−(フラン−2−イルメトキシ)フェニルアミン、2−(フルフリルチオ)エチルアミンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
ジエノフィル構造を有する基を含むアミン誘導体としては、3−アミノフェニルマレイミド、4−アミノフェニルマレイミドなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類を組み合わせて用いても良い。
また、カルボキシル基を複数有するアミン誘導体を支持体とし、上述の共役ジエン構造を有する基を含むアミン誘導体、ジエノフィル構造を有する基を含むアミン誘導体を反応させたものを末端キャップ材として用いても良い。
このような支持体としては、5−アミノイソフタル酸、2−アミノテレフタル酸などが挙げられる。
また、上述の式(6)で示されるポリアミド樹脂の場合、低温で硬化した際の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、該ポリアミド樹脂の末端のアミノ基を、他のアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることもできる。
アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基としては、例えば式(13)、式(14)で示される基等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
Figure 2012068413
Figure 2012068413
またこの方法に限定される事はなく、該ポリアミド系樹脂中に含まれる末端のカルボン酸をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含むアミン誘導体を用いてアミドとしてキャップすることもできる。
更に、上述の式(6)で示されるポリアミド樹脂の場合、低温で硬化した際の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、末端の少なくとも一方に窒素含有環状化合物を有しても良い。これにより金属配線(特に銅配線)等との密着性を向上することが出来る。
前記窒素含有環状化合物としては、例えば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基等が挙げられる。
本発明で用いる感光剤は、ポジ型のパターニングが可能となる感光剤を用いることができ、200〜500nm、特に好ましくは350〜450nmの波長を持つ化学線の照射により酸を発生する化合物が好ましい。
具体的には感光性ジアゾキノン化合物や、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、スルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物や、ジヒドロピリジン化合物などを用いることができる。この中でも感度や溶剤溶解性に優れる感光性ジアゾキノン化合物が好ましい。
感光性ジアゾキノン化合物は、例えば支持体であるフェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物はDiels−Alder反応を利用していることから、系中に酸が存在すると反応が促進される。ポジ型の場合、未露光部のレリーフパターン中に残存する感光剤は硬化時における熱で分解し酸を発生させると考えられ、反応促進剤としても感光剤は重要な役割を果たしている。感光性ジアゾキノン化合物の場合、より熱で分解し易い1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルが好ましい。
感光性ジアゾキノン化合物の支持体であるフェノール化合物としては、フェノール核数
が1〜10個程度有するフェノール化合物や低分子量ノボラック樹脂などが使用できる。具体的にはビスフェノール、トリスフェノール、テトラキスフェノール、3〜6個程度のフェノール核がメチレン結合を介し直鎖状に結合されたフェノール化合物などが使用することができる。
より具体的には感度に優れる式(15)、式(16)に示すフェノール化合物を挙げることができる。これらの1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いても良い。
Figure 2012068413
(式中、Bは有機基である。R21〜R24は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基の中から選ばれる1つであり、同一でも異なっていても良い。o〜rは、それぞれ0〜4の整数である。)
Figure 2012068413
(式中、R25〜R27は水素原子、アルキル基であり、R28〜R30は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基の中から選ばれる1つであり、同一でも異なっていても良い。v〜xは、それぞれ0〜2の整数である。yは0または1の整数である。)
上記式(15)のBは有機基である。
有機基の具体的な例としては、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、アリール、シクロアルキル、または単結合であり、上述の有機基が2種類以上組み合わされた形でも良い。
上記式(15)のBのアルキレン、置換アルキレンの具体的な例としては、−CH−、−(CH−、−CH(CH)−、−(CH−、−C(CH−、−CH(CHCH)−、−(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH)(CHCH)−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−CH(CH(CH)−、等が挙げられるが、その中でもアルカリ水溶液への溶解性、溶剤への溶解性に適した−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−が好ましい。
上記式(15)のBの2種類以上の有機基が組み合わされた形の具体的な例としては、式(17)に示す構造が挙げられる。
Figure 2012068413
(式中、R31〜R38は水素原子、アルキル基である。
Kは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、または単結合である。dは0または1の整数である。)
また、一般式(15)中のR21〜R24、一般式(16)中のR28〜R30は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基の中から選ばれる1つであり、それぞれ複数ある場合は同一でも異なっていても良い。ハロゲン原子としては、塩素、臭素等が挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、ポジ型感光性樹脂組成物の感度と解像度により優れる、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。
また、一般式(16)中のR25〜R27、一般式(17)中のR31〜R38は水素原子、またはアルキル基であり、特に限定されるものではないが、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドレシル基等が挙げられ、同一でも異なっていても良い。これらの中でも、感光性樹脂組成物の感度と解像度により優れる、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。
前記一般式(15)で示されるフェノール化合物としては、特に限定されるものではないが、下記式(18)で示されるものが例示される。
Figure 2012068413
前記一般式(16)で示されるフェノール化合物としては、特に限定されるものではないが、下記式(19)で示されるものが例示される。
Figure 2012068413
更に本発明では、高感度で更に現像後の樹脂残り(スカム)無くパターニングできるようにフェノール性化合物を添加することができる。
本発明における樹脂組成物および感光性樹脂組成物には、必要によりオキシラン化合物、オキシラン樹脂、メチロール基含有化合物、アルコキシアルキル基含有化合物、N−アルコキシアルキル基含有化合物、2官能以上の不飽和二重結合もしくは三重結合含有化合物等の架橋剤、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、ビニル系等のレベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、熱により酸を発生する化合物、アルカリ水溶液に対する溶解抑制剤、可塑剤等の添加剤を含んでも良い。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
本発明の感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。膜厚が下限値を下回ると、半導体素子の保護膜、絶縁膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、上限値を越えると、微細なレリーフパターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。
次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、およびこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理(硬化)を行い、オキサゾール環、又はオキサゾール環およびイミド環を形成し、耐熱性に富む硬化物を得る。
加熱処理は高温でも低温でも可能であり、高温での加熱処理温度は、280℃〜380℃が好ましく、より好ましくは290℃〜350℃である。低温での加熱処理温度は150℃〜280℃が好ましく、より好ましくは180℃〜260℃である。加熱処理にはオーブン、ホットプレート、電気炉(ファーネス)、赤外線、マイクロ波などが使われる。
次に、本発明による感光性樹脂組成物の硬化膜について説明する。感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜は、半導体素子等の半導体装置用途のみならず、TFT型液晶や有機EL等の表示体装置用途、多層回路の層間絶縁膜やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜としても有用である。
半導体装置用途の例としては、半導体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるパッシベーション膜、パッシベーション膜上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるバッファーコート膜等の保護膜、また、半導体素子上に形成された回路上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる層間絶縁膜等の絶縁膜、また、α線遮断膜、平坦化膜、突起(樹脂ポスト)、隔壁等を挙げることができる。
表示体装置用途の例としては、表示体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる保護膜、TFT素子やカラーフィルター用等の絶縁膜または平坦化膜、MVA型液晶表示装置用等の突起、有機EL素子陰極用等の隔壁等を挙げることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途の、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、この感光性樹脂組成物層の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上更に好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
<実施例1>
ジエノフィル構造を有する末端化合物の合成
4−アミノ安息香酸29.15g(0.213モル)とマレイン酸無水物20.85g(0.213モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン402gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて50℃で3時間反応させた。室温まで冷却した後、無水酢酸23.87g(0.234モル)とトリエチルアミン23.66g(0.234モル)を加え、そのまま1晩反応させた。反応物を水1900mlに投入し、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、4−マレイミド安息香酸29.3gを得た。
アルカリ可溶性樹脂の合成
イソフタル酸0.010モルとジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.057モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.134モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)32.00g(0.067モル)と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン20.05g(0.070モル)と、1,1’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エタン1.90g(0.008モル)を温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン100gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。
次に反応温度を60℃に変更した後、4−マレイミド安息香酸0.022モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.022モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)7.28g(0.022モル)と、N−メチル−2−ピロリドン14gを加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応溶液を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が11000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−1)を得た。
アルカリ可溶性樹脂の合成
アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成において、4−マレイミド安息香酸をソルビン酸に替え、ソルビン酸0.022モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.022モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)4.99g(0.022モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−1)と同様に反応し、数平均分子量が12000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−2)を得た。
感光剤の合成
フェノール式(B−1)11.22g(0.026モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.78g(0.070モル)とアセトン170gとを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて撹拌、溶解させた。次に反応溶液の温度が35℃以上にならないようウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077モル)とアセトン5.5gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017モル)を添加し、更に30分反応させた。反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−1)の構造で示される感光剤を得た
Figure 2012068413
感光性樹脂組成物の作製
合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)5g、アルカリ可溶性樹脂(A−2)5g、式
(Q−1)の構造を有する感光剤1.6gをN−メチル−2−ピロリドン12gとγ−ブチロラクトン8gの混合溶媒に溶解した後、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
機械的物性評価
上記感光性樹脂組成物を6インチのシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分プリベークし、硬化後の膜厚が10μmになるよう塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きシリコンウエハーを200℃/90分で加熱を行った。得られた硬化膜付きシリコンウエハーをダイシングソー(DFD6340、ディスコ(株)製)で10mm幅にカットした後、2%のフッ化水素水に漬浸し、短冊状の硬化膜をシリコンウエハーから剥離した。得られた硬化膜は純水で充分に洗浄し、オーブンで乾燥した。その後テンシロン(RTA−1210、オリエンテック(株)製)を用いて引張強度と破断点伸度を測定した結果、それぞれ139MPa、72%と高い値を示した。
ガラス転移温度(Tg)評価
上記感光性樹脂組成物を6インチのシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分プリベークし、硬化後の膜厚が10μmになるよう塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きシリコンウエハーを200℃/90分で加熱を行った。次に得られた硬化膜付きシリコンウェハーを2%のフッ化水素水に漬浸し、硬化膜をシリコンウエハーから剥離した。得られた硬化膜を純水で充分に洗浄し、オーブンで乾燥した。乾燥後の硬化膜を5mm幅に切ってサンプル片を作成し、セイコーインスツルメンツ(株)製熱機械分析装置(TMA)SS6000を用いてガラス転移温度を測定した結果、280℃と高い値を示した。
加工性評価
上記感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分プリベークし、膜厚約9.0μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・NSR−4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が0.5μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行うことによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。
その結果、露光量340mJ/cm2で照射した部分よりパターンが成形されており、実
用に差し支えない高い感度を示すことが確認できた(感度は340mJ/cm2)。また
その露光量での解像度は5μmと高い値を示した。
<実施例2>
アルカリ可溶性樹脂の合成
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.060モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.120モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)29.30g(0.060モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン25.64g(0.070モル)を温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン102gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。
次に反応温度を60℃に変更した後、4−マレイミド安息香酸0.011モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.011モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)3.51g(0.011モル)と、ソルビン酸0.011モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.011モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)2.41g(0.011モル)と、N−メチル−2−ピロリドン11gを加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応溶液を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が11000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−3)を得た。
実施例1の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)とアルカリ可溶性樹脂(A−2)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−3)を用い、N−メチル−2−ピロリドンの替わりにγ−ブチロラクトンの量を20gに変更した他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例1の加工性評価において、プリベークの時間を4分に、膜厚を約10.0μmに、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が2.0μmになるように変更した他は実施例1と同様の評価を行った。
<実施例3>
実施例1におけるアルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成において、4−マレイミド安息香酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の量を3.64g(0.011モル)に変更し、替わりにソルビン酸0.011モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.011モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)2.50g(0.011モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−1)と同様に反応し、数平均分子量が12000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−4)を得た。
感光剤の合成
フェノール式(B−2)12.51g(0.022モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド17.49g(0.065モル)とアセトン170gとを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて撹拌、溶解させた。次に反応溶液の温度が35℃以上にならないようウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.24g(0.072モル)とアセトン6.1gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸0.98g(0.016モル)を添加し、更に30分反応させた。反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入、沈殿物を濾
集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−2)の構造で示される感光剤を得た。
Figure 2012068413
実施例1の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)とアルカリ可溶性樹脂(A−2)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−4)を用い、感光剤(Q−1)の量を0.8gに変更し、替わりに式(Q−2)の構造を有する感光剤0.8gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価と加工性評価を行った。
<実施例4>
共役二重結合構造とジエノフィル構造を有する末端化合物の合成
3,4−ジアミノ安息香酸8.67g(0.057モル)と、4−マレイミド安息香酸0.057モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.057モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)19.04g(0.057モル)と、ソルビン酸0.057モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.057モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)13.06g(0.057モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン160gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて60℃で6時間反応させた。室温まで冷却した後、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール9.24g(0.068モル)を加え、N−メチル−2−ピロリドン25gに溶解させたN,N’−ジシロクロヘキシルカルボジイミド14.10g(0.068モル)を撹拌しながらゆっくり滴下した。反応混合物をろ過した後、反応溶液を水5Lに投入し、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、共役二重結合構造とジエノフィル構造を有するカルボン酸誘導体(活性エステル)14.5gを得た。
実施例1におけるアルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成において、4−マレイミド安息香酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の替わりに、上記で得られた共役二重結合構造とジエノフィル構造を有するカルボン酸誘導体(活性エステル)9.70g(0.022モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−1)と同様に反応し、数平均分子量が13000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−5)を得た。
実施例3の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−4)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−5)を用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価と加工性評価を行った。
<実施例5>
実施例2におけるアルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成において、ヘキサフルオロ−2
,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを0.056モルに変更し、替わりにビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン3.22g(0.014モル)を使用し、ソルビン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の替わりに、5−フェニルペンタ−2,4−ジエン酸0.011モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.011モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)3.21g(0.011モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−3)と同様に反応し、数平均分子量が10000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−6)を得た。
実施例2の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−3)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−6)を用い、感光剤(Q−1)の替わりに式(Q−2)の構造を有する感光剤1.6gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例1の加工性評価において、プリベークの時間を4分に、膜厚を約10.0μmに、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が2.0μmになるように変更した他は実施例1と同様の評価を行った。
<実施例6>
実施例2におけるアルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを0.056モルに変更し、替わりにビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン4.01g(0.014モル)を使用し、ソルビン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の替わりに、2,4−ペンタジエン酸0.011モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.011モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)2.26g(0.011モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−3)と同様に反応し、数平均分子量が12000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−7)を得た。
実施例2の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−3)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−7)を用い、感光剤(Q−1)の量を1.7gに変更し、更に感光剤(Q−3)としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート0.1gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例1の加工性評価において、膜厚を約10.0μmに、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が1.0μmになるように変更した他は実施例1と同様の評価を行った。
<実施例7>
実施例1におけるアルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成において、イソフタル酸を0.026モルに、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸を0.039モルに変更し、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.130モルと反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)29.75g(0.065モル)を用い、更にビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタンを0.054モルに変更し、1,1’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エタンの替わりにビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン5.37g(0.023モル)を使用し、4−マレイミド安息香酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)を0.012モルに変更し、替わりにソルビン酸0.012モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.012モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)4.16g(0.0
12モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−1)と同様に反応し、数平均分子量が11000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−8)を得た。
実施例1の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)とアルカリ可溶性樹脂(A−2)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−8)を用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例1の加工性評価において、膜厚を約10.0μmに変更した他は実施例1と同様の評価を行った。
<実施例8>
実施例1のジエノフィル構造を有する末端化合物の合成において、4−アミノ安息香酸の替わりに3−アミノ安息香酸を使用した以外は実施例1と同様に反応させ、3−マレイミド安息香酸25.1gを得た。
アルカリ可溶性樹脂の合成
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン1.44g(0.006モル)とN−メチル−2−ピロリドン100gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ溶解させた。4,4’−オキシジフタル酸無水物1.96g(0.006モル)を添加し、室温で1時間反応させた後、オイルバスを用いて65℃で2時間反応させた。次にヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン21.24g(0.058モル)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン2.16g(0.009モル)、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.057モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.114モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.96g(0.057モル)をN−メチル−2−ピロリドン119gと共に添加し、16時間反応させた。
次に反応温度を60℃に変更した後、3−マレイミド安息香酸0.009モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.009モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)3.15g(0.009モル)と、ソルビン酸0.009モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール0.009モルとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)2.16g(0.009モル)、N−メチル−2−ピロリドン21gを加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応溶液を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が10000で、表1で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−9)を得た。
実施例2の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−3)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−9)を用い、感光剤(Q−1)の量を1.9gに変更し、更に感光剤(Q−4)として(Z,E)−2−(4−メトキシフェニル)−2−[(4−メチルフェニルスルホニル)オキシイミノ]アセトニトリル0.1gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例2の加工性評価において、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が1.0μmになるように変更した他は実施例2と同様の評価を行った。
<比較例1>
実施例2におけるアルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成において、4−マレイミド安息香酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)と、ソルビン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の替わりに、4−エチニルフタル酸無水物3.79g(0.022モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂
(A−3)と同様に反応し、数平均分子量が9000で、表2で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−10)を得た。
実施例2の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−3)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−10)を用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成した
実施例1の機械的物性評価とTg評価において、それぞれシリコンウエハー2枚に感光性樹脂組成物を塗布し、塗膜付きシリコンウェハーの1枚は200℃/90分で加熱を行い、もう一枚は300℃/60分で加熱を行った他は同様に評価を行った。
実施例2と同様の加工性評価を行った。
<比較例2>
実施例1の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−2)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−1)の量を10gに変更し、感光剤(Q−1)の量を0.8gに変更し、替わりに式(Q−2)の構造を有する感光剤0.8gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例3と同様の加工性評価を行った。
<比較例3>
実施例1の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−2)の量を10gに変更し、感光剤(Q−1)の量を0.8gに変更し、替わりに式(Q−2)の構造を有する感光剤0.8gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例3と同様の加工性評価を行った。
<比較例4>
実施例7におけるアルカリ可溶性樹脂(A−8)の合成において、4−マレイミド安息香酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)と、ソルビン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の替わりに、4−エチニルフタル酸無水物4.13g(0.024モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−8)と同様に反応し、数平均分子量が10000で、表2で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−11)を得た。
実施例1の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)とアルカリ可溶性樹脂(A−2)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−11)を用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例1の加工性評価において、膜厚を約10.0μmに変更した他は実施例1と同様の評価を行った。
<比較例5>
実施例8におけるアルカリ可溶性樹脂(A−9)の合成において、3−マレイミド安息香酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)と、ソルビン酸と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたカルボン酸誘導体(活性エステル)の替わりに、マレイン酸無水物1.77g(0.018モル)を使用した他はアルカリ可溶性樹脂(A−9)と同様に反応し、数平均分子量が9000で、表2で示される化合物からなる目的のアルカリ可溶性樹脂(A−12)を得た。
実施例2の感光性樹脂組成物の作製において、アルカリ可溶性樹脂(A−3)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−12)を用い、感光剤(Q−1)の量を1.9gに変更し、更に感光剤(Q−4)として(Z,E)−2−(4−メトキシフェニル)−2−[(4−メチルフェニルスルホニル)オキシイミノ]アセトニトリル0.1gを用いた他は同様にして感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様の機械的物性評価とTg評価を行った。
実施例2の加工性評価において、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が1.0μmになるように変更した他は実施例2と同様の評価を行った。
以下に、実施例及び比較例を記した表1および表2を示した。
Figure 2012068413
Figure 2012068413
表1に示すように、実施例1〜8は、200℃の低温で硬化しても樹脂と感光剤のみでも強度、伸度及び耐熱性に優れていることが分かり、半導体装置の信頼性向上に効果があるものと示唆された。更には半導体の生産に差し支えない十分な感度と解像度を有しているのが分かる。
各実施例および各比較例で得られた感光性樹脂組成物は、半導体素子上に塗布して実施例1と同様にしてパターンを形成し、オーブンを用いて硬化して保護膜を形成させ、半導体装置を得ることができる。
このようにして得られた半導体装置は正常に動作すると予想されるが、実施例1〜8の感光性樹脂組成物を用いた場合は、比較例よりも高強度、高伸度、高耐熱性であるため、より信頼性に優れた動作をするものと予想される。
本発明によれば、高感度、高解像度で、200℃程度の低温で硬化しても樹脂と感光剤のみで強度、伸度及び耐熱性に優れた、半導体装置に対する信頼性が高い硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物、保護膜、絶縁膜およびそれを用いた半導体装置、表示体装置を提供することができる。

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの末端に共役二重結合構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの末端にジエノフィル構造を有するアルカリ可溶性樹脂と、感光剤と、を含む感光性樹脂組成物。
  2. 前記アルカリ可溶性樹脂が、ベンゾオキサゾール前駆体構造およびイミド前駆体構造の少なくとも一方を有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記共役二重結合構造が共役ジエン構造である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記ジエノフィル構造が、マレイミド構造である請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の感光性樹脂組成物。
  5. 前記共役ジエン構造が、−CH=CH−CH=CH−Rである請求項3または4に記載の感光性樹脂組成物。
    (Rは水素原子、アルキル基または芳香族基を示す。)
  6. 前記マレイミド構造が、N−フェニルマレイミド由来構造である請求項4または5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物で構成されているこ
    とを特徴とする硬化膜。
  8. 請求項7に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
  9. 請求項7に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
  10. 請求項7に記載の硬化膜を有していることを特徴とする半導体装置。
  11. 請求項7に記載の硬化膜を有していることを特徴とする表示体装置。
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