JP2012066304A - 鋼の連続鋳造用モールドパウダー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、モールドパウダーの高粘度化と高塩基度化を両立させ、かつモールド内の潤滑性を維持しつつ、鋳片緩冷却を可能とする鋼の連続鋳造用モールドパウダーを提供することにある。
【解決手段】本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、CaO/SiO質量比が1.1〜1.5、Alが10〜25質量%、NaOが12〜20質量%、トータルカーボン量が1〜15質量%の範囲内にあり、1300℃における粘度が0.1〜1.0Pa・s、結晶化温度が900℃〜1240℃で、溶融冷却した時に主としてNaO、Al及びSiOから構成される結晶を生成することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼の連続鋳造用モールドパウダーに関する。
鋼の連続鋳造プロセスにおいて、モールドパウダーは鋼と直接接触することから、その特性は鋼の品質に大きく影響する。モールドパウダーに求められる特性は、概ね(1)モールドパウダーの巻き込み低減;(2)溶鋼成分の酸化抑制;(3)高速鋳造への対応;(4)鋳片割れの低減、に分類される。
モールドパウダーの粘性が低い場合、溶鋼中にモールドパウダーが巻き込まれ鋼の品質低下を引き起こす。品質向上を目的に、モールドパウダーの高粘度化が指向されるが、高粘度化をSiO増に依存すると、SiOによる溶鋼成分の酸化が起こって鋼の品質を悪化させる。また、SiO増に依存した過度の高粘度化では、スラグフィルム中における結晶生成が不安定となり、特に、鋳片断面のアスペクト比が大きいスラブ鋳造においては緩冷却性が不足して不均一抜熱による鋳片割れ、鋳片凹みを発生する。更に、モールド温度ばらつきのため、ブレークアウト予知システム誤検知による鋳造速度の低下や、モールと凝固シェル間の潤滑性が損なわれて拘束性ブレークアウトを引き起こす場合がある。
モールドパウダーによる溶鋼成分の酸化を低減するために、高塩基度化(SiO減)が指向されている。一方、高塩基度化によって結晶化温度が上昇し、パウダーフィルム中の結晶層厚みが厚くなり、特に、凝固収縮の小さい低炭及び極低炭鋼の鋳造や高速鋳造では潤滑性を著しく損ねる問題がある。
このような状況下において、様々なモールドパウダーが提案されている。例えば、特許文献1には、質量%で、SiO:5.0〜35.0%、Al:5.0〜35.0%、T.CaO:40.0%以下、NaO:3.0〜15.0%、F:2.0〜10.0%を含有し、MgO含有量が2.5%以下であり、その他成分含有量が20%以下であり、T.CaO/SiOが0.15〜1.05であり、1300℃での粘度が6〜30poise、凝固温度が1260℃以下であることを特徴とする連続鋳造用パウダー:ただしT.CaOは、パウダー中のCaがすべてCaOであるとして算出したCaO含有量である、が開示されている。また、ZrOを5.0%以下、Cを5.0%以下、SrOを5.0%以下の量で含有することができることも開示されている。このパウダーによれば、パウダーの巻き込みを低減でき、パウダーと溶鋼成分との反応を防止し、鋳型に埋め込んだ熱電対の温度変化を少なくできるとしている。
また、高塩基度と高粘性化を両立し、安定な結晶析出を同時に実現するために、例えば、特許文献2には、溶融スラグの凝固時に、ゲーレナイト、アケルマナイト、あるいは両者の全率固溶体であるメリライトを、主な結晶組成として析出させることを特徴とする連続鋳造用パウダーが開示されている。更に、特許文献3には、アケルマナイト(2CaO・MgO・2SiO)、ゲーレナイト(2CaO・Al・SiO)、あるいは両者の全率固溶体であるメリライトを、溶融スラグ凝固時に主な結晶組成として析出し、CaO濃度とSiO濃度との比(CaO/SiO)が1.0〜1.5、AlとMgOとの濃度合計が15〜27質量%、NaOとLiOとKOとの濃度合計が1〜13質量%、F濃度が1〜5質量%、FeOとMnOとの濃度合計が3質量%以下、S濃度が0.5質量%以下、凝固温度が1100℃〜1260℃、1300℃における粘度が0.2〜1.3Pa・sであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。
更に、溶鋼の汚染を防止すると共に優れた保温性を提供するために、例えば、特許文献4には、CaO及びSiOを主成分とし、全Ca濃度をCaO含有率として、また全Si濃度をSiO含有率として各質量%で換算するとき、該CaO含有率を該SiO含有率で除した比であるCaO/SiOの値が1.0〜1.9であり、質量%で、Al含有率が2〜18%、NaO、LiOおよびFの合計含有率が2〜25%であり、炭酸塩が炭素換算含有率で0.8〜3.5%で、硝酸ソーダが含有率1〜5%で、炭素が含有率0.1〜10%で、Ca−Si合金及び/または金属Siが含有率2〜10%でそれぞれ配合され、酸化鉄濃度がFe換算含有率で2%未満および酸化マンガン濃度がMnO換算含有率で3%未満であり、凝固温度が1050〜1250℃であり、そして1300℃における粘度が0.04〜0.8Pa・sであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。また、特許文献5には、CaO及びSiOを主成分とし、全Ca濃度をCaO含有率として、また全Si濃度をSiO含有率として各質量%で換算するとき、該CaO含有率を該SiO含有率で除した比であるCaO/SiOの値が0.9〜1.5であり、質量%で、Al含有率が0.5〜15%、MgO含有率が0.1〜13%、NaO、LiOおよびFの合計含有率が5〜25%、炭酸塩含有率が炭素換算含有率で0.3〜3.5%、Ca−Si含有率が2〜7%、酸化鉄含有率がFe換算含有率で4%未満及び酸化マンガン含有率がMnO換算含有率で2%未満であり、さらに凝固温度が1000〜1230℃であり、そして1300℃における粘度が0.05〜1.0Pa・sであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。更に、特許文献6には、CaO及びSiOを主成分とし、全Ca濃度をCaO含有率として、また全Si濃度をSiO含有率として各質量%で換算するとき、該CaO含有率を該SiO含有率で除した比であるCaO/SiOの値が1.0〜1.9であり、質量%で、Al含有率が2〜18%、NaO、LiO及びFの合計含有率が2〜25%であり、炭酸塩が炭素換算含有率2.5〜7.0%で、硝酸ソーダが含有率5.1〜8.0%で、炭素が含有率0〜5%で、Ca−Si合金及び/または金属Siが含有率7〜20%でそれぞれ配合され、酸化鉄濃度がFe換算含有率で2.0%未満および酸化マンガン濃度がMnO換算含有率で3.0%未満であり、凝固温度が1050〜1250℃であり、そして1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。
また、Ti、Alを含有する溶鋼の汚染を防止して表面欠陥のないスラブを連続鋳造するために、例えば、特許文献7には、少なくともTi:0.08〜3.0wt%、Al:0.02〜0.8wt%を含有する鋼の連続鋳造に用いるパウダーであって、このパウダーは、CaO:25〜40wt%、SiO:25〜40wt%、NaO:10〜20wt%、Al:10wt%以下、F:5〜10wt%、Cを1〜5wt%含有してなる成分組成を有し、かつ、塩基度が0.7<CaO/SiO<1.8、1300℃における粘度が1〜4poise、凝固温度が900〜1300℃で、鋳型と凝固シェルとの間に流入したときに鋳型に接する側に、パウダートータル厚み(0.5〜3mm)の15〜75%が、カスピダイン、ネフェリン、ペロブスカイトのうちいずれか1種または2種以上からなる結晶相を晶出するものであることを特徴とするTi及びAl含有鋼用連続鋳造パウダーが開示されている。
更に、熱伝導度を制御して伝熱量を増大されてブレークアウト発生を抑制するために、例えば、特許文献8には、連続鋳造用のモールドフラックスにおいて、CaO20〜50質量%、SiO20〜50質量%、Al20質量%以下、NaO20質量%以下、LiO10質量%以下、B20質量%以下及びMgO10質量%以下を含むことを特徴とするモールドフラックスが開示されている。
また、特許文献9には、CaO、SiO及びNaOを主成分とし、CaO含有率(質量%)をSiO含有率で除した比であるCaO/SiOの値が0.5〜0.9、NaO含有率が10〜30質量%で、Fを含有しないか、または含有する場合でもその含有率が2質量%以下であって、溶融後の凝固時に析出もしくは晶出する主たる結晶がNaO・2CaO・3SiOであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックスが開示されている。
更に、特許文献10には、質量比でCaO及びSiOをCaO/SiO=1.1〜2.0の範囲で含有する連続鋳造用パウダーにおいて、配合原料として天然鉱物のウォラストナイトを20〜70質量%使用し、さらにCaO/SiOをウォラストナイトより大きくする配合原料を加えることによりCaO/SiOを前記の範囲に調整するに際し、ポルトランドセメントを5質量%以下、炭酸カルシウムを13質量%以下としたことを特徴とする連続鋳造用パウダーが開示されている。
特開2008−238221号公報 特開2003−225744号公報 特開2005−40835号公報 特開2007−130684号公報 特開2007−210010号公報 特開2008−264817号公報 特許第3574427号公報 特開2009−541060号公報 特開2007−167867号公報 特開2010−36193号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているパウダーは塩基度(T.CaO/SiO)が0.15〜1.05と低いため、溶鋼成分が酸化して鋳片品質欠陥が発生するという問題点がある。
また、特許文献2及び3に開示されたモールドパウダーでは、パウダーフィルム中の結晶生成量が多くなることから潤滑性が損なわれ、ブレークアウト等の操業トラブルにつながり易く、安定した高速鋳造が困難となる。また、溶融段階や凝固時にゲーレナイトが発生した場合はスラグベア発生やモールド熱電対温度変動を引き起こすことが多く、特にスラブ高速鋳造における操業安定性を確保することができない。
更に、特許文献4ないし6に開示されたモールドパウダーでは、結晶生成に重要な影響を及ぼす成分、特に、NaO、LiO及びF等が合計量として記載されているのみで、個々の成分についての詳細な検討がなされておらず、結晶生成による鋳片割れ抑制やメニスカス緩冷却についての検討が不充分であり、モールド内潤滑不足や緩冷却性不足のため鋳片割れを起こす可能性がある。
また、特許文献7に開示されたモールドパウダーは、Al量が10質量%以下と少なく、粘度が低いため、パウダー巻き込み抑制効果が不充分である。更に、特許文献8に開示されたモールドフラックスでは、結晶生成を抑制して伝熱量を大きくしているため、緩冷却性が不足し、鋳片割れを起こす可能性がある。また、特許文献9に開示されたモールドフラックスは、環境負荷軽減を目的としてF含有量を低減させた組成のものであるが、CaO/SiO比(塩基度)が0.5〜0.9と低く、鋳片品質欠陥の抑制は不充分である。更に、特許文献10に開示されたパウダーは、原料としてウォラストナイトを使用する場合に、ノズル周りに閃光が発生するのを防止するものであり、特許文献10の実施例に開示されているパウダーの組成は、Al量8.8質量%以下、NaO量11質量%以下であり、この組成範囲で析出する結晶相はカスピダイン(Caspidine:3CaO・2SiO・CaF)主体となる。カスピダインは緩冷却能の点では有用であるが、発達し過ぎると、モールド潤滑性を阻害し、拘束性ブレークアウトが発生するという問題点がある。
以上のように、これまでに開示されているモールドパウダーでは、モールドパウダーの溶融段階から鋳片抜熱、高速鋳造対応まで、求められる特性を完全に満足できる技術は確立されておらず、従って、本発明の目的は、モールドパウダーの高粘度化と高塩基度化を両立させ、かつモールド内の潤滑性を維持しつつ、鋳片緩冷却を可能とする鋼の連続鋳造用モールドパウダーを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋼の連続鋳造用モールドパウダーの組成について種々検討した結果、以下の知見を得て本発明を完成するに至った:
モールドパウダーを溶融冷却した時に析出/晶出する主な結晶種をNaO、Al、SiOから構成される結晶になるよう、CaO/SiO質量比、Al含有量、NaO含有量並びにMgO含有量を調整することによって、高粘度化及び高塩基度化を両立させ、かつモールド内の潤滑性を維持しつつ、鋳片緩冷却を可能とすることを見出した。
即ち、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、CaO/SiO質量比が1.1〜1.5、Alが10〜25質量%、NaOが12〜20質量%、トータルカーボン量が1〜15質量%の範囲内にあり、1300℃における粘度が0.1〜1.0Pa・s、結晶化温度が900℃〜1240℃で、溶融冷却した時に主としてNaO、Al及びSiOから構成される結晶を生成することを特徴とする。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、MgOを2.5質量%以下(ゼロを含まず)の量で含むことを特徴とする。
更に、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、Fを10質量%以下(ゼロを含まず)の量で含むことを特徴とする。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、TiO+ZrOを6.0質量%以下(ゼロを含まず)の量で含むことを特徴とする。
本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、溶融冷却した時の主な析出・晶出結晶をNaO、Al及びSiOから形成される結晶種となるようにCaO/SiO質量比、Al含有量、NaO含有量及びMgO含有量を調整しているので、モールドパウダーの巻き込み、溶鋼成分の酸化が少なく、高粘度、高塩基度組成においても高速鋳造が可能で、鋳片割れの少ない鋼を得ることができるという効果を奏するものである。
本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダー(以下、「モールドパウダー」という)は、高塩基度組成により溶鋼成分の酸化を抑制して鋼の品質を向上しつつ、安定な高速鋳造を達成するために、モールドパウダーを溶融冷却した時(パウダーフィルム中)に生成する結晶を主としてNaO、Al及びSiOか構成される結晶としたものである。ここで、NaO、Al及びSiOから構成される結晶の主なものとしては、NaAlSiO(Nepheline-a、Nepheline-b、Nepheline-c、carnegieite)、NaAlSi(Jadeite)、NaAlSi(Albite-low、Albite-high)、2NaO・Al・2SiO、3NaO・2Al・4SiO等であり、構成各分子それぞれの係数は任意でよい。また、多形を示す鉱物の場合、NaO、Al及びSiOから形成される結晶種であればいずれでも良い。なお、NaO、Al及びSiOで構成される結晶は、1種類であっても、複数種が生成していてもよい。
ここで、「主としてNaO、Al及びSiOで構成される結晶」と記載しているのは、カスピダインのような付随結晶の生成を許容するものであるが、X線回折で同定される主要鉱物相は、NaO、Al及びSiOで構成される結晶であることが必須である。なお、ゲーレナイト(Ghelenite:2CaO・Al・SiO)などのCaO、Al及びSiOで構成される結晶が生成すると、高融点結晶を生成し、液相が不足するために潤滑性が損なわれるために好ましくない。
本発明のモールドパウダーは、CaO/SiO質量比(塩基度)が1.1〜1.5、好ましくは1.1〜1.45の範囲内にある。ここで、塩基度が1.1未満の場合には、SiOの割合が高くなり過ぎ、溶鋼を再酸化させることがあるため好ましくなく、また、1.5を超えると、NaO、Al及びSiOで構成される結晶が生成しなくなるために好ましくない。
なお、本発明のモールドパウダーにおいて、SiO含有量は20質量%以上25質量%未満が好ましい。ここで、SiO含有量が20質量%未満であると、NaO・Al・SiOで構成される結晶が生成しにくくなるために好ましくない。また、25質量%以上となると、溶鋼を再酸化させることがあるために好ましくない。なお、CaO含有量は22〜37質量%の範囲内であることが好ましい。
次に、本発明のモールドパウダーにおいて、Al含有量は10〜25質量%、好ましくは15質量%を超え22質量%以下の範囲内にある。ここで、Al含有量が10質量%未満であると、NaO、Al及びSiOで構成される結晶が生成しなくなり、カスピダインの生成量が急激に多くなって、モールドの潤滑性を阻害するために好ましくない。また、25質量%を超えると、融点やスラグ粘度が上昇するために好ましくない。
また、本発明のモールドパウダーにおいて、NaO含有量は12〜20質量%、好ましくは13〜20質量%の範囲内にある。ここで、NaO含有量が12質量%未満であると、NaO、Al及びSiOで構成される結晶が生成しなくなり、カスピダインの生成が急激に多くなってモールドの潤滑性を阻害するために好ましくなく、また、20質量%を超えると、過度の粘性低下が発生してパウダー巻き込みが発生するために好ましくない。
また、本発明のモールドパウダーにおいて、トータルカーボン量(T.C)は、1〜15質量%、好ましくは2〜13質量%の範囲内である。T.Cが15質量%を超えると、滓化速度が著しく低下し、溶融層厚みが薄くなるために好ましくない。また、T.Cが1質量%未満ではスラグベアの発生率が著しく高くなり、操業トラブルが発生するために好ましくない。
更に、NaO、Al及びSiOで構成される結晶の生成を促進するために、MgOの含有量は2.5質量%以下(ゼロを含まず)、好ましくは1.5質量%以下(ゼロを含まず)の範囲内であることが好ましい。ここで、2.5質量%を超えると、NaO、Al及びSiOで構成される結晶の生成が阻害され、ゲーレナイト等の高融点結晶が生成し、液相が不足して潤滑性が損なわれるために好ましくない。
また、本発明のモールドパウダーは、Fを10質量%以下(ゼロを含まず)、好ましくは9質量%以下(ゼロを含まず)の量で含有することができる。なお、F含有量が10質量%を超えると、カスピダイン生成が促進されてNaO、Al及びSiOで構成される結晶の生成が阻害されるために好ましくない。
更に、本発明のモールドパウダーは、ZrO及びTiOの合計含有量を6質量%以下(ゼロを含まず)、好ましくは5質量%以下(ゼロを含まず)の量で含有することができる。なお、ZrO及びTiOの合計含有量が6質量%を超えると、スラグフィルム中の結晶層厚みが過度に厚くなり、潤滑性が著しく損なわれるために好ましくない。
なお、本発明のモールドパウダーには、粘度及び融点を調整するために、LiO、MnO、SrO及びB等の金属酸化物を適宜含有することもできる。
本発明のモールドパウダーにおいて、1300℃における粘度は0.1Pa・s〜1.0Pa・s、好ましくは0.11Pa・s〜0.9Pa・sの範囲内である。粘度が0.1Pa・s未満であると、パウダー巻き込みが大きくなり、鋳片品質を悪化させるために好ましくない。また、1.0Pa・sを超えると、高速鋳造において拘束性ブレークアウトを引き起こす可能性が高くなり好ましくない。
また、本発明のモールドパウダーにおいて、結晶化温度は900℃〜1240℃、好ましくは930℃〜1200℃の範囲内にある。結晶化温度が1240℃を超えると、潤滑性が著しく低下し、拘束性ブレークアウトの発生確率が高くなるために好ましくない。また、900℃未満になると、鋳片緩冷却性が著しく低下して鋳片割れを引き起こすために好ましくない。
本発明のモールドパウダーは、上記の成分配合及び特性範囲を満たす限り、使用する原料は限定されず、フライアッシュ、ポルトランドセメント、合成珪酸カルシウム、ウォラストナイト、高炉スラグ、リンスラグ、ダイカルシウムシリケート等を主原料とし、珪石、珪藻土、ガラス粉等のシリカ原料、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩または弗化物等、アルミナ粉末等を適量使用することが可能である。また、滓化溶融調整の目的で、カーボンブラック、コークス粉、黒鉛等のカーボン原料を適量使用可能である。また、プリメルトタイプの原料を使用することも可能である。
また、本発明のモールドパウダーの形状は限定されるものではなく、例えば、原料混合粉末や押し出し造粒法、中空スプレー造粒法、攪拌造粒法で製造された顆粒等、目的に応じた形状にて使用できる。
更に、カーボン原料を除く原料を一旦完全に溶融した後に水冷または空冷し、所定の粒度に粉砕したプリメルトタイプのモールドパウダーとして使用することもできる。プリメルトタイプのモールドパウダーも粉末ないし顆粒の任意の形状で使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明のモールドパウダーを更に説明する。
表1に本発明品、表2に比較品のモールドパウダーの化学組成、生成結晶、物性値と実機鋳造結果を示す。
Figure 2012066304
Figure 2012066304
表中、生成結晶調査は、150gのモールドパウダーを1300℃で溶解して安定な状態とした後、4℃/分の冷却速度で電気炉内、酸化雰囲気で冷却した時に生成するスラグを粉砕してX線回折を行った結果を示すものである。4段階の「+」記号は、数が多いほど、結晶生成量が多いことを、「−」は、結晶が生成していないことをそれぞれ示す。
また、「ULC」は極低炭素鋼を示し、鋼中のカーボン濃度は100ppm以下であり、「LC」は低炭素鋼を示し、鋼中のカーボン濃度は0.01〜0.08質量%であり、「MC」は中炭素鋼を示し、鋼中のカーボン濃度は0.08〜0.20質量%である。いずれもモールド厚み200mm以上且つモールド幅1000mm以上のスラブで行った結果である。
鋳片評価は、モールドパウダーを使用した時の製品検査結果より評価したものであり、介在物欠陥(パウダー起因、アルミナ起因)についての評価は、◎:非常に良好、○:良好、△:やや不良、×:不良により示す。
鋳片割れについての評価は、◎:非常に良好、○:良好、△:微細割れ発生、×:鋳片割れ発生をそれぞれ示す。
操業性については、ブレークアウト(BO)や溶融不良などの発生した問題を示した。
本発明のモールドパウダーは、高塩基度及び高粘度特性により、連続鋳造において、パウダー巻き込みや溶鋼汚染を低減して鋳片品質を向上させると共に、ブレークアウトやブレークアウト予知システムの誤動作を抑制することができ、高速鋳造に適用することができる。

Claims (4)

  1. CaO/SiO質量比が1.1〜1.5、Alが10〜25質量%、NaOが12〜20質量%、トータルカーボン量が1〜15質量%の範囲内にあり、1300℃における粘度が0.1〜1.0Pa・s、結晶化温度が900℃〜1240℃で、溶融冷却した時に主としてNaO、Al及びSiOから構成される結晶を生成することを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
  2. MgOを2.5質量%以下(ゼロを含まず)の量で含む、請求項1記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
  3. Fを10質量%以下(ゼロを含まず)の量で含む、請求項1または2記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
  4. TiO+ZrOを6.0質量%以下(ゼロを含まず)の量で含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
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