JP2012062926A - トラクタの伝動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行装置に前進用の駆動力を変速途中の出力途切れがない状態で伝動でき、かつ走行装置に後進用の駆動力を安価にかつ良好な伝動効率で伝動できるようにする。
【解決手段】遊星伝動部30から延出した合成力出力軸38aと合成力出力軸38bと合成力出力軸38cに分散して連動する前進1速伝動ギヤ41b、前進2速伝動ギヤ42b、前進3速伝動ギヤ43bを備えて、かつ前進1速伝動ギヤ41bと前進2速伝動ギヤ42bと前進3速伝動ギヤ43bを出力軸40aに各別に連結する1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43cを備えて、速度レンジ設定部40を構成してある。前進1速伝動ギヤ41bが連動する合成力出力軸38aに逆転ギヤ52を介して連動する後進伝動ギヤ53、後進伝動ギヤ53を出力軸40aに連結する後進伝動クラッチ54を備えて、後進伝動部50を構成してある。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンからの駆動力を入力する静油圧式無段変速部と、前記静油圧式無段変速部が出力する駆動力とエンジンからの駆動力を合成して出力する遊星伝動部と、前記遊星伝動部の出力を走行装置に伝動する走行伝動部とを備えたトラクタの伝動装置に関する。
上記したトラクタの伝動装置として、従来、たとえば特許文献1に記載されたものがあった。特許文献1に記載されたものでは、遊星伝動部からの出力を入力する変速出力部、及びこの変速出力部からの出力を入力する前後進切換え装置を備えて、走行伝動部が構成されている。
つまり、特許文献1に記載されたものでは、変速出力部は、1速クラッチ、2速クラッチ、3速クラッチ及び4速クラッチを備えて構成され、静油圧式無段変速部の変速制御に伴って1速クラッチ、2速クラッチ、3速クラッチ及び4速クラッチが適切に入り状態と切り状態に切換え制御されることにより、遊星伝動部からの出力が1速レンジから4速レンジの4段階の速度レンジに段階分けして、かつ各速度レンジにおいて無段階に変速して前後進切換え装置を介して走行装置に伝達される。そして、前後進切換え装置は、前進クラッチ及び後進クラッチを備えて構成され、前進クラッチが入り状態に切換え操作されることにより、変速出力部からの出力を前進側の駆動力に変換して走行装置に伝達し、後進クラッチが入り状態に切換え操作されることにより、変速出力部からの出力を後進側の駆動力に変換して走行装置に伝達する。
特開2008−25803号公報
上記した従来の技術を適用することにより、走行装置の前進駆動と後進駆動を可能にした場合、遊星伝動部からの出力が複数段の速度レンジに段階分けして走行装置に伝達されるように遊星伝動部からの出力を変速する変速処理部としての速度レンジ設定部を備える他に、走行装置に伝動される駆動力が前進用の駆動力になるように伝動作用する前進伝動状態と走行装置に伝動される駆動力が後進用の駆動力になるように伝動作用する後進伝動状態とに切換え操作自在な前後進切換え装置を備えねばならず、コスト高になっていた。
静油圧式無段変速部が逆回転方向の駆動力を出力する機能を、走行装置に後進用の駆動力を伝動する機能として使用するよう構成すれば、前後進切換え装置を備えずに、走行装置に後進用の駆動力を伝動することが可能になる。この場合、静油圧式無段変速部の伝動効率があまり良くないことから、動力ロスが大きくなりがちであった。
本発明の目的は、走行装置に変速範囲が広い前進用の駆動力を変速途中での出力途切れが生じにくい状態で伝動することができながら、走行装置に後進用の駆動力を安価にかつ伝動効率が良い状態で伝動することができるとともに構造面でも有利に得られるトラクタの伝動装置を提供することにある。
本第1発明は、エンジンからの駆動力を入力する静油圧式無段変速部と、前記静油圧式無段変速部が出力する駆動力とエンジンからの駆動力を合成して出力する遊星伝動部と、前記遊星伝動部の出力を走行装置に伝動する走行伝動部とを備えたトラクタの伝動装置において、
前記遊星伝動部を、前記静油圧式無段変速部を構成するポンプ及びモータに対して伝動方向下手側に配置するとともに前記静油圧式無段変速部が正回転方向の駆動力を出力する正回転変速状態と逆回転方向の駆動力を出力する逆回転変速状態のいずれに変速された状態においても前進用の駆動力を出力するように構成し、
前記走行伝動部に、前記遊星伝動部が出力する前進用の駆動力を複数段の速度レンジに段階分けして出力する複数段の変速伝動状態と伝動を停止する中立状態とに変速操作自在な速度レンジ設定部、及び、前記遊星伝動部が出力する前進用の駆動力を後進用の駆動力に変換して出力する後進伝動状態と伝動を停止する中立状態とに切換え操作自在な後進伝動部を設け、
前記遊星伝動部を構成するサンギヤ、キャリヤ及びリングギヤに各別に連動されたサンギヤ連動の合成力出力軸、キャリヤ連動の合成力出力軸及びリングギヤ連動の合成力出力軸を、前記遊星伝動部から前記静油圧式無段変速部が位置する側とは反対側に向けて同一の軸芯まわりに相対回転自在に延出させ、
前記リングギヤ連動の合成力出力軸と前記サンギヤ連動の合成力出力軸と前記キャリヤ連動の合成力出力軸に分散させて連動させた前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤと、前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤの回転軸芯が一直線状に並ぶ状態で前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤを相対回転自在に支持する出力軸と、前記前進1速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する1速クラッチと、前記前進2速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する2速クラッチと、前記前進3速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する3速クラッチとを備えて、前記速度レンジ設定部を構成し、
前記リングギヤ連動の合成力出力軸と前記サンギヤ連動の合成力出力軸と前記キャリヤ連動の合成力出力軸のうち、前記前進1速伝動ギヤが連動する合成力出力軸に逆転ギヤを介して連動される後進伝動ギヤを、この後進伝動ギヤの回転軸芯が前記前進1速伝動ギヤ、前記前進2速伝動ギヤ及び前記前進3速伝動ギヤの回転軸芯と一直線状に並ぶ状態で前記出力軸に相対回転自在に支持させて、かつ前記後進伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する後進伝動クラッチを備えて、前記後進伝動部を構成してある。
本第1発明の構成によると、後進伝動クラッチが切り状態に切換え操作されると共に静油圧式無段変速部の変速制御に伴って1速クラッチ、2速クラッチ及び3速クラッチが入り状態と切り状態に適切に切換え制御されることにより、遊星伝動部によってエンジンからの駆動力と静油圧式無段変速部からの駆動力を合成して出力される前進用の駆動力が1速レンジから3速レンジの3段階の速度レンジに段階分けして、かつ各速度レンジにおいて無段階に変速した前進用の駆動力として出力軸から出力され、この1速レンジから3速レンジに亘ると共に各速度レンジにおいて無段階に変速する前進用の出力が走行装置に伝動される。後進伝動クラッチが入り状態に切換え操作されると共に静油圧式無段変速部の変速制御にかかわらず1速クラッチ、2速クラッチ及び3速クラッチが切り状態に維持されることにより、遊星伝動部によってエンジンからの駆動力と静油圧式無段変速部からの駆動力を合成して出力される前進用の駆動力が後進伝動クラッチによって後進用の駆動力に変換して出力軸から出力され、この後進用の駆動力が走行装置に伝達される。
遊星伝動部を構成するサンギヤ、キャリヤ及びリングギヤに各別に連動されたサンギヤ連動の合成力出力軸、キャリヤ連動の合成力出力軸及びリングギヤ連動の合成力出力軸を、遊星伝動部から静油圧式無段変速部が位置する側とは反対側に向けて同一の軸芯まわりに相対回転自在に延出させ、リングギヤ連動の合成力出力軸とサンギヤ連動の合成力出力軸とキャリヤ連動の合成力出力軸に分散させて連動させた前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤと、前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤの回転軸芯が一直線状に並ぶ状態で前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤを相対回転自在に支持する出力軸と、前進1速伝動ギヤを出力軸に一体回転自在に連結する1速クラッチと、前進2速伝動ギヤを出力軸に一体回転自在に連結する2速クラッチと、前進3速伝動ギヤを出力軸に一体回転自在に連結する3速クラッチとを備えて、速度レンジ設定部を構成してあるから、1速レンジと2速レンジが切り換わる点において、1速クラッチと2速クラッチが共に入り状態になる過程を経て1速クラッチ及び2速クラッチが入り状態と切り状態の一方から他方に切り換わるようにクラッチ切り換え制御を行なわせることができ、2速レンジと3速レンジが切り換わる点において、2速クラッチと3速クラッチが共に入り状態になる過程を経て2速クラッチ及び3速クラッチが入り状態と切り状態の一方から他方に切り換わるようにクラッチ切り換え制御を行なわせることができて、1速レンジと2速レンジが切り換わる点での変速も2速レンジと3速レンジが切り換わる点での変速も出力途切れが発生しない状態で行なわせられる。
本第1発明の構成によると、1速クラッチ、2速クラッチ、3速クラッチ及び後進伝動クラッチを、遊星伝動部に対して静油圧式無段変速部が位置する側とは反対側に同一の出力軸にまとめて支持させて配置することができ、各クラッチを切換え操作する操作機構を遊星伝動部に対して伝動方向下手側に位置する個所にまとめて配備することができる。
従って、走行装置に前進用の駆動力を3段階の速度レンジに亘る広い変速範囲で無段変速して、かつ1速レンジと2速レンジが切り換わる変速時点においても2速レンジと3速レンジが切り換わる変速時点においても出力途切れがない状態で伝動して作業や走行箇所に適応した走行速度をスムーズに変速して現出させやすいものでありながら、静油圧式無段変速部に後進用の駆動力を現出される機能を備えさせずに後進伝動部を備えるだけで走行装置に後進用の駆動力を伝動することができて、後進走行を伝動効率が良い状態でかつ安価に行なわせることができる。さらに、各クラッチのための操作機構をコンパクトに組み込むことができて、この面からも安価に得ることができる。
本第2発明は、前記リングギヤ連動の合成力出力軸と前記サンギヤ連動の合成力出力軸と前記キャリヤ連動の合成力出力軸のうち、前記前進3速伝動ギヤが連動しない合成力出力軸に連動されるとともに前記出力軸に相対回転自在に支持される前進4速伝動ギヤ、及びこの前進4速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する4速クラッチを、前記速度レンジ設定部に備えてある。
本第2発明の構成によると、静油圧式無段変速部の変速制御に伴う1速クラッチ、2速クラッチ及び3速クラッチの切換え制御に併せて、4速クラッチが適切に切換え制御されることにより、遊星伝動部によってエンジンからの駆動力と静油圧式無段変速部からの駆動力を合成して出力される前進用の駆動力が1速レンジから4速レンジの4段階の速度レンジに段階分けし、かつ各速度レンジにおいて無段階に変速した前進用の駆動力として出力軸から出力され、この1速レンジから4速レンジに亘ると共に各速度レンジにおいて無段階に変速する前進用の出力が走行装置に伝動される。
リングギヤ連動の合成力出力軸とサンギヤ連動の合成力出力軸とキャリヤ連動の合成力出力軸のうち、前進3速伝動ギヤが連動しない合成力出力軸に連動されるとともに出力軸に相対回転自在に支持される前進4速伝動ギヤ、及びこの前進4速伝動ギヤを出力軸に一体回転自在に連結する4速クラッチを、速度レンジ設定部に備えてあるから、3速クラッチと4速クラッチが共に入り状態になる過程を経て3速クラッチ及び4速クラッチが入り状態と切り状態の一方から他方に切り換わるようにクラッチ切り換え制御を行なわせることができて、3速レンジと4速レンジが切り換わる点での変速を出力途切れが発生しない状態で行なわせることができ、かつ、4速クラッチを切換え操作する操作機構を、1速から3速クラッチを切換え操作する操作機構と共に遊星伝動部に対して伝動方向下手側に位置する個所にまとめて配備することができる。
従って、走行装置に前進用の駆動力を4段階の速度レンジに亘る広い変速範囲で無段変速して、かつ1速レンジと2速レンジが切り換わる変速時点及び2速レンジと3速レンジが切り換わる変速時点の他に3速レンジと4速レンジが切り換わる変速時点においても出力途切れがない状態で伝動して作業や走行箇所に適応した走行速度をスムーズに変速して現出させやすい。4速クラッチの操作機構も1速クラッチから3速クラッチの操作機構と共にまとめてコンパクトに組み込むことができて安価に得ることができる。
トラクタの全体を示す側面図である。 伝動装置を示すスケルトン図である。 遊星伝動部を示す断面図である。 静油圧式無段変速部の変速状態と自走車の走行速度の関係を示す説明図である。 後進伝動クラッチ、1速クラッチ、2速クラッチ、3速クラッチ及び4速クラッチの操作状態と自走車の走行方向及び速度レンジとの関係を示す説明図である。 変速操作装置を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、トラクタの全体を示す側面図である。この図に示すように、トラクタは、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2によって自走する自走車と、この自走車の車体前部に設けたエンジン3が装備された原動部と、車体後部に設けた運転座席4が装備された搭乗型の運転部と、自走車の車体フレーム5の後部を構成するミッションケースに揺動昇降操作自在に取り付けた左右一対のリフトアーム6a,6aを有したリンク機構6と、前記ミッションケースから車体後方向きに突出する動力取り出し軸7とを備えて構成してある。
このトラクタは、車体後部にリンク機構6を介して昇降操作自在にロータリ耕耘装置が連結され、かつエンジン3が出力する駆動力を動力取り出し軸7からロータリ耕耘装置に伝達するように構成されることによって乗用型耕耘機を構成するなど、車体後部に各種の作業装置が昇降操作及び駆動自在に連結されることにより、各種の乗用型作業機を構成する。
図2は、エンジン3が出力する駆動力を走行装置としての左右一対の前車輪1,1及び左右一対の後車輪2,2と、動力取り出し軸7に伝動するように自走車に設けられた伝動装置Dを示すスケルトン図である。この図に示すように、伝動装置Dは、エンジン3の出力軸3aからの駆動力を、エンジン3の後部に設けられた主クラッチ機構10の出力軸10aから静油圧式無段変速部11及び遊星伝動部30に入力するとともにこの遊星伝動部30から走行伝動部Sに伝動してこの走行伝動部Sから後輪差動機構12及び前輪差動機構13に伝動することによって左右一対の後車輪2,2及び左右一対の前車輪1,1に伝動する走行用の伝動装置部D1と、エンジン3の出力軸3aからの駆動力を、主クラッチ機構10の出力軸10aから回転伝動軸25及び回転伝動軸14aを介して作業クラッチ14に入力するとともにこの作業クラッチ14から作業変速部15に伝動してこの作業変速部15から動力取り出し軸7に伝動する作業用の伝動装置部D2とを備えている。
作業変速部15は、複数個のシフトギヤによって複数段の変速状態に変速可能であり、作業クラッチ14から入力して変速した駆動力を出力軸15aから作業伝動軸19を介して動力取り出し軸7に伝動する。
走行用の伝動装置部D1について説明する。
図2に示すように、走行用の伝動装置部D1は、主クラッチ機構10の出力軸10aに入力ギヤ機構20を介して入力軸11aが連動されている静油圧式無段変速部11と、主クラッチ機構10の出力軸10aに遊星連動機構24を介して入力側リングギヤ33aが連動されている遊星伝動部30と、遊星伝動部30から速度レンジ設定部40あるいは後進伝動部50に入力するとともに速度レンジ設定部40と後進伝動部50のいずれに入力した場合も出力軸40aから後輪差動機構12及び前輪差動機構13に伝動する走行伝動部Sとを備えて構成してある。
主クラッチ機構10の出力軸10aと静油圧式無段変速部11の入力軸11aを連動させる入力ギヤ機構20は、主クラッチ機構10の出力軸10aに一体回転自在に設けた出力軸ギヤ21と、この出力軸ギヤ21に噛合う状態で静油圧式無段変速部11の入力軸11aに一体回転自在に設けた入力軸ギヤ22とによって構成してある。
主クラッチ機構10の出力軸10aと遊星伝動部30の入力側リングギヤ33aを連動させる遊星連動機構24は、主クラッチ機構10の出力軸10aに一体回転自在に形成された回転伝動軸25と、この回転伝動軸25に一体回転自在に設けた伝動ギヤ26と、この伝動ギヤ26に噛合う状態で入力側リングギヤ33aに一体回転自在に設けた入力ギヤ27とによって構成してある。
静油圧式無段変速部11は、入力軸11aをポンプ軸として備えた油圧式のポンプ11P(以下、油圧ポンプ11Pと呼称する。)と、この油圧ポンプ11Pに駆動回路を介して接続された油圧式のモータ11M(以下、油圧モータ11Mと呼称する。)とを備えて構成してある。油圧ポンプ11Pは、アキシャルプランジャ形で可変容量形の油圧ポンプによって構成し、油圧モータ11Mは、アキシャルプランジャ形の油圧モータによって構成してある。
従って、静油圧式無段変速部11は、入力軸11aに遊星連動機構20及び主クラッチ機構10を介してエンジン3から入力した駆動力によって油圧ポンプ11Pを駆動し、油圧ポンプ11Pによって油圧を油圧モータ11Mに供給して油圧モータ11Mを駆動してモータ軸11bから出力する。静油圧式無段変速部11は、油圧ポンプ11Pの斜板角の変更操作が行なわれることにより、正回転変速状態と中立状態と逆回転変速状態とに変速される。静油圧式無段変速部11は、正回転変速状態に変速されると、正回転方向の駆動力をモータ軸11bから出力し、中立状態に変速されると、モータ軸11bからの出力を停止し、逆回転変速状態に変速されると、モータ軸11bから逆回転方向の駆動力を出力する。静油圧式無段変速部11は、正回転変速状態と逆回転変速状態のいずれに変速された場合においても、油圧ポンプ11Pの斜板角の変更操作が行なわれることにより、モータ軸11bからの出力速度を無段階に変速する。
図3は、遊星伝動部30を示す断面図である。図2,3に示すように、遊星伝動部30は、静油圧式無段変速部11を構成する油圧ポンプ11P及び油圧モータ11Mに対して伝動方向下手側に配置してある。遊星伝動部30は、静油圧式無段変速部11のモータ軸11bに一体回転自在に連動された入力側サンギヤ34a、及び主クラッチ機構10の出力軸10aに遊星連動機構24を介して連動された入力側リングギヤ33aを有した入力側遊星ギヤ機構30Aと、この入力側遊星ギヤ機構30Aに対して伝動方向下手側に位置した出力側遊星ギヤ機構30Bとを備えて構成してある。入力側遊星ギヤ機構30Aの入力側遊星ギヤ35aを支持する入力側キャリヤ36aと、出力側遊星ギヤ機構30Bの出力側遊星ギヤ35bを支持する出力側キャリヤ36bとは、一体のキャリヤ36に構成されている。つまり、遊星伝動部30は、入力側遊星ギヤ機構30Aと出力側遊星ギヤ機構30Bの一対の遊動ギヤ機構、及び入力側遊星ギヤ機構30Aを構成する入力側遊星ギヤ35aと出力側遊星ギヤ機構30Bを構成する出力側遊星ギヤ35bを連動させるギヤ連動機構37を備えて成る複合遊星ギヤ機構によって構成してある。ギヤ連動機構37は、入力側遊星ギヤ35aに一体形成することによって入力側遊星ギヤ35aと一連かつ同外径の構造になったギヤ37aと、出力側遊星ギヤ35bに一体形成することによって出力側遊星ギヤ35bと一連かつ同外径の構造になったギヤ37bとを噛み合い連動させることによって構成してある。なお、入力側遊星ギヤ35aとは別体に形成するとともに入力側遊星ギヤ35aに連結軸などによって一体回転自在に連結したギヤと、出力側遊星ギヤ35bとは別体に形成するとともに出力側遊星ギヤ35bに連結軸などによって一体回転自在に連結したギヤとを噛み合い連動させることによってギヤ連動機構37を構成してもよい。
遊星伝動部30を構成する出力側遊星ギヤ機構30Aが位置する部位から静油圧式無段変速部11が位置する側とは反対側に向けて3つの合成力出力軸38a,38b,38cを同一の軸芯まわりに相対回転するように三重軸構造に構成して延出してある。三重軸構造の3つの合成力出力軸38a,38b,38cのうちの最も内側に位置する合成力出力軸38cは、キャリヤ36に一体回転自在に連動されている。三重軸構造の3つの合成力出力軸38a,38b,38cのうちの中間に位置する合成力出力軸38bは、出力側遊星ギヤ機構30Bを構成する出力側サンギヤ34bに一体回転自在に連動されている。三重軸構造の3つの合成力出力軸38a,38b,38cのうちの最も外側に位置する合成力出力軸38aは、出力側遊星ギヤ機構30Bを構成する出力側リングギヤ33bに一体回転自在に連動されている。
遊星伝動部30は、エンジン3が出力する駆動力を主クラッチ機構10及び遊星連動機構24を介して入力側リングギヤ33aに入力し、静油圧式無段変速部11がモータ軸11bから出力する駆動力を入力側サンギヤ34aに入力し、エンジン3から入力した駆動力と静油圧式無段変速部11から入力した駆動力を入力側遊星機構30Aと出力側遊星機構30Bによって合成し、合成した駆動力をキャリヤ連動の合成力出力軸38c、サンギヤ連動の合成力出力軸38b及びリングギヤ連動の合成力出力軸38aから出力する。遊星伝動部30は、静油圧式無段変速部11が正回転変速状態と逆回転変速状態のいずれに変速された状態においても、後進用の駆動力は合成せずに、前進用の駆動力のみを合成してキャリヤ連動の合成力出力軸38c、サンギヤ連動の合成力出力軸38b及びリングギヤ連動の合成力出力軸38aから出力する。
走行伝動部Sを構成する速度レンジ設定部40は、三重軸構造の3つの合成出力軸38a,38b,38cと平行に設けた出力軸40a、及び、出力軸40aに伝動下手側が連動された1速レンジ設定部40Aと2速レンジ設定部40Bと3速レンジ設定部40Cと4速レンジ設定部40Dを備えて構成してある。
1速レンジ設定部40Aは、リングギヤ連動の合成力出力軸38aに一体回転自在に設けた1速入力ギヤ41aと、この1速入力ギヤ41aに噛み合うことによってリングギヤ連動の合成力出力軸38aに連動する状態にあり、この連動状態で出力軸40aに相対回転自在に支持される前進1速伝動ギヤ41bと、この前進1速伝動ギヤ41bと出力軸40aにわたって設けた多板式でかつ油圧操作式の摩擦クラッチで成る1速クラッチ41cとを備えている。
2速レンジ設定部40Bは、3つの合成力出力軸38a,38b,38cのうちの1速入力ギヤ41aが連動しないサンギヤ連動の合成力出力軸38bに一体回転自在に設けた2速入力ギヤ42aと、この2速入力ギヤ42aに噛み合うことによってサンギヤ連動の合成力出力軸38bに連動する状態にあり、この連動状態で出力軸40aに相対回転自在に支持される前進2速伝動ギヤ42bと、この前進2速伝動ギヤ42bと出力軸40aにわたって設けた多板式でかつ油圧操作式の摩擦クラッチで成る2速クラッチ42cとを備えている。
3速レンジ設定部40Cは、3つの合成力出力軸38a,38b,38cのうちの2速入力ギヤ42aが連動しないキャリヤ連動の合成力出力軸38cに一体回転自在に設けた3速入力ギヤ43aと、この3速入力ギヤ43aに噛み合うことによってキャリヤ連動の合成力出力軸38cに連動する状態にあり、この連動状態で出力軸40aに相対回転自在に支持される前進3速伝動ギヤ43bと、この前進3速伝動ギヤ43bと出力軸40aにわたって設けた多板式でかつ油圧操作式の摩擦クラッチで成る3速クラッチ43cとを備えている。
4速レンジ設定部40Dは、3つの合成力出力軸38a,38b,38cのうちの3速入力ギヤ43aが連動しないサンギヤ連動の合成力出力軸38bに一体回転自在に設けた4速入力ギヤ44aと、この4速入力ギヤ44aに噛合うことによってサンギヤ連動の合成力出力軸38cに連動する状態にあり、この連動状態で出力軸40aに相対回転自在に支持される前進4速伝動ギヤ44bと、この前進4速伝動ギヤ44bと出力軸40aにわたって設けた多板式で油圧操作式の摩擦クラッチで成る4速クラッチ44cとを備えている。
前進1速伝動ギヤ41bと前進2速伝動ギヤ42bと前進3速伝動ギヤ43bと前進4速伝動ギヤ44bは、出力軸40aの軸芯方向に並んで出力軸40aに相対回転自在に支持されており、前進1速伝動ギヤ41bと前進2速伝動ギヤ42bと前進3速伝動ギヤ43bと前進4速伝動ギヤ44bのそれぞれは、出力軸40aの軸芯を回転軸芯として回転し、前進1速伝動ギヤ41bと前進2速伝動ギヤ42bと前進3速伝動ギヤ43bと前進4速伝動ギヤ44bの回転軸芯が一直線状に並んでいる。出力軸40aは、出力軸40aの後端部に一体回転自在に設けた出力ギヤ45と、この出力ギヤ45に噛み合う状態で後輪差動機構12の入力軸12aに一体回転自在に設けた伝動ギヤ46とを介して後輪差動機構12の入力軸12aに連動されている。出力軸40aは、出力ギヤ45、伝動ギヤ46、後輪差動機構12の入力軸12a、この入力軸12aに一体回転自在に設けた伝動ギヤ48a、この伝動ギヤ48aに噛合う状態で前輪用出力軸47に一体回転自在に設けた伝動ギヤ48、前輪用出力軸47、及び回転軸49を介して前輪差動機構13の入力軸13aに連動されている。
1速レンジ設定部40A及び2速レンジ設定部40Bは、リングギヤ連動の合成力出力軸38aあるいはサンギヤ連動の合成力出力軸38bの回転速度を1/2の速度に減速して出力軸40aに伝達するように構成してある。3速レンジ設定部40C及び4速レンジ設定部40Dは、キャリヤ連動の合成力出力軸38cあるいはサンギヤ連動の合成力出力軸38bの回転速度を2倍の速度に増速して出力軸40aに伝達するように構成してある。
従って、速度レンジ設定部40は、1速クラッチ41cが入り状態に切換え制御され、2速クラッチ42cと3速クラッチ43cと4速クラッチ44cが切り状態に切換え制御されることにより、遊星伝動部30がリングギヤ連動の合成力出力軸38aから出力する前進用の駆動力を1速レンジ設定部40Aによって出力軸40aに伝達して出力軸40aの後端部から後輪差動機構12及び前輪差動機構13に向けて前進用の駆動力のままで出力するように1速レンジ設定状態になる。
速度レンジ設定部40は、2速クラッチ42cが入り状態に切換え制御され、1速クラッチ41cと3速クラッチ43cと4速クラッチ44cが切り状態に切換え制御されることにより、遊星伝動部30がサンギヤ連動の合成力出力軸38bから出力する前進用の駆動力を2速レンジ設定部40Bによって出力軸40aに伝達して出力軸40aの後端部から後輪差動機構12及び前輪差動機構13に向けて前進用の駆動力のままで出力するように2速レンジ設定状態になる。
速度レンジ設定部40は、3速クラッチ43cが入り状態に切換え制御され、1速クラッチ41cと2速クラッチ42cと4速クラッチ44cが切り状態に切換え制御されることにより、遊星伝動部30がキャリヤ連動の合成力出力軸38cから出力する前進用の駆動力を3速レンジ設定部40Cによって出力軸40aに伝達して出力軸40aの後端部から後輪差動機構12及び前輪差動機構13に向けて前進用の駆動力のままで出力するように3速レンジ設定状態になる。
速度レンジ設定部40は、4速クラッチ44cが入り状態に切換え制御され、1速クラッチ41cと2速クラッチ42cと3速クラッチ43cが切り状態に切換え制御されることにより、遊星伝動部30がサンギヤ連動の合成力出力軸38bから出力する前進用の駆動力を4速レンジ設定部40Dによって出力軸40aに伝達して出力軸40aの後端部から後輪差動機構12及び前輪差動機構13に向けて前進用の駆動力のままで出力するように4速レンジ設定状態になる。
速度レンジ設定部40は、1速クラッチ41cと2速クラッチ42cと3速クラッチ43cと4速クラッチ44cが切り状態に切換え制御されることにより、出力軸40aに対する伝動を停止するよう中立状態になる。
走行伝動部Sを構成する後進伝動部50は、リングギヤ連動の合成力出力軸38aに一体回転自在に設けた入力ギヤ51と、この入力ギヤ51に噛合う逆転ギヤ52と、この逆転ギヤ52に噛合うことによって逆転ギヤ52を介してリングギヤ連動の合成力出力軸38aに連動する状態にあり、この連動状態で出力軸40aに相対回転自在に支持される後進伝動ギヤ53と、この後進伝動ギヤ53と出力軸40aにわたって設けた多板式で油圧操作式の摩擦クラッチで成る後進伝動クラッチ54を備えて構成してある。
後進伝動部50は、後進伝動クラッチ54が入り状態に切換え操作されることにより、遊星伝動部30がリングギヤ連動の合成力出力軸38aから出力する前進用の駆動力を後進用の駆動力に変換して出力軸40aに伝達して出力軸40aから後輪差動機構12及び前輪差動機構13に向けて出力するよう伝動状態になる。
後進伝動部50は、後進伝動クラッチ54が切り状態に切換え操作されることにより、出力軸40aに対する伝動を停止するよう中立状態になる。
図4は、エンジン3が一定速度の駆動力を出力するようにアクセルセットされた状態における静油圧式無段変速部11の変速状態と自走車の走行速度(車速)の関係を示す説明図である。図4の横軸は、静油圧式無段変速部11の変速状態を示し、横軸の「N」は、静油圧式無段変速部11の中立位置を示し、横軸の「+max」は、静油圧式無段変速部11の正回転変速状態での最高速位置を示し、横軸の「−max」は、静油圧式無段変速部11の逆回転変速状態での最高速位置を示す。図4の縦軸は、車速を示し、縦軸の「0」は、車速の零を示し、縦軸の「0」よりも上側の部分は前進車速を示し、縦軸の「0」よりも下側の部分は、後進車速を示す。
図4に示す実線F1は、自走車を前進走行させる場合の1速レンジにおける車速変化を示し、図4に示す実線F2は、自走車を前進走行させる場合の2速レンジにおける車速変化を示し、図4に示す実線F3は、自走車を前進走行させる場合の3速レンジにおける車速変化を示し、図4に示す実線F4は、自走車を前進走行させる場合の4速レンジにおける車速変化を示す。図4に示す実線Rは、自走車を後進走行させる場合の後進レンジにおける車速変化を示す。
図5は、後進伝動クラッチ54、1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c及び4速クラッチ44cの操作状態と自走車の走行方向及び速度レンジとの関係を示す説明図である。図5に示す「入」は、後進伝動クラッチ54、1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c、4速クラッチ44cの入り状態を示し、図5に示す「切り」は、後進伝動クラッチ54、1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c、4速クラッチ44cの切り状態を示す。
図4,5に示すように、後進伝動クラッチ54が切り状態「切」に操作されると、1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c及び4速クラッチ43cの切換え制御が行なわれる。後進伝動クラッチ54が切り状態「切」に操作された状態において、1速クラッチ41cが入り状態「入」に切換え制御され、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c及び4速クラッチ44cが切り状態「切」に切換え制御され、1速クラッチ41cが入り状態「入」に維持され、かつ2速クラッチ42cと3速クラッチ43cと4速クラッチ44cが切り状態「切」に維持されたままで、静油圧式無段変速部11が逆回転変速状態の最高速位置「−max」から正回転変速状態の最高速位置「+max」に向けて変速制御されることにより、前進車速が零「0」から1速レンジ(F1)で無段階に増速していく。静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」に至ると、前進車速が「f1」になる。
静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」になると、1速レンジと2速レンジを切換える切換え点「T1」になる。切換え点「T1」になると同時に、1速クラッチ41cが切り状態「切」に切換え制御されるとともに2速クラッチ42cが入り状態「入」に切換え制御される。切換え点「T1」では、出力途切れが発生しないように1速クラッチ41c及び2速クラッチ42cを共に入り状態「入」にする過程を経て、1速クラッチ41cが切り状態「切」に切換え制御され、2速クラッチ42cが入り状態「入」に切換え制御される。この後、2速クラッチ42cが入り状態「入」に維持され、かつ1速クラッチ41c、3速クラッチ43c、4速クラッチ44cが切り状態「切」に維持されたままで、静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」から逆回転変速状態の最高速位置「−max」に向けて変速制御されることにより、前進車速が「f1」から2速レンジ(F2)で無段階に増速していく。静油圧式無段変速部11が逆回転変速状態の最高速位置「−max」に至ると、前進車速が「f2」になる。
静油圧式無段変速部11が逆回転変速状態の最高速位置「−max」になると、2速レンジと3速レンジを切換える切換え点「T2」になる。切換え点「T2」になると同時に、2速クラッチ42cが切り状態「切」に切換え制御されるとともに3速クラッチ43cが入り状態「入」に切換え制御される。切換え点「T2」では、出力途切れが発生しないように2速クラッチ42c及び3速クラッチ43cを共に入り状態「入」にする過程を経て、2速クラッチ42cが切り状態「切」に切換え制御され、3速クラッチ43cが入り状態「入」に切換え制御される。この後、3速クラッチ43cが入り状態「入」に維持され、かつ1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、4速クラッチ43cが切り状態「切」に維持されたままで、静油圧式無段変速部11が逆回転変速状態の最高速位置「−max」から正回転変速状態の最高速位置「+max」に向けて変速制御されることにより、前進車速が「f2」から3速レンジ(F3)で無段階に増速していく。静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」に至ると、前進車速が「f3」になる。
静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」になると、3速レンジと4速レンジを切換える切換え点「T3」になる。切換え点「T3」になると同時に、3速クラッチ43cが切り状態「切」に切換え制御されるとともに4速クラッチ44cが入り状態「入」に切換え制御される。切換え点「T3」では、出力途切れが発生しないように3速クラッチ43c及び4速クラッチ44cを共に入り状態「入」にする過程を経て、3速クラッチ43cが切り状態「切」に切換え制御され、4速クラッチ44cが入り状態「入」に切換え制御される。この後、4速クラッチ44cが入り状態「入」に維持され、かつ1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43cが切り状態「切」に維持されたままで、静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」から逆回転変速状態の最高速位置「−max」に向けて変速制御されることにより、前進車速が「f3」から4速レンジ(F4)で無段階に増速していく。静油圧式無段変速部11が逆回転変速状態の最高速位置「−max」に至ると、前進車速が最高車速の「f4」になる。
図4,5に示すように、後進伝動クラッチ54が入り状態「入」に操作されると、1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c及び4速クラッチ44cが切り状態「切」に維持制御される。後進伝動クラッチ54が入り状態「入」に操作された状態において、静油圧式無段変速部11が逆回転変速状態の最高速位置「−max」から正回転変速状態の最高速位置「+max」に向けて変速制御されることにより、後進車速が零「0」から後進レンジ(R)で無段階に増速していく。静油圧式無段変速部11が正回転変速状態の最高速位置「+max」に至ると、後進車速が最高車速の「r」になる。
後進伝動部50において合成力出力軸38aの回転を減速して出力軸40aに伝達する減速比を、1速レンジ設定部40Aにおいて合成力出力軸38aの回転を減速して出力軸40aに伝達する減速比よりも小に設定してあり、後進車速の最高車速「r」は、前進の1速レンジにおける最高車速「f1」よりも高速になる。
図6は、走行用の伝動装置部D1を変速操作する変速操作装置70を示すブロック図である。この図に示すように、変速操作装置70は、静油圧式無段変速部11に油圧ポンプ11Pの斜板角変更を行なうように備えられた変速操作部71、1速クラッチ41cの切換え操作部(図示せず)、2速クラッチ42cの切換え操作部(図示せず)、3速クラッチ43cの切換え操作部(図示せず)、4速クラッチ44cの切換え操作部(図示せず)、後進伝動クラッチ54の切換え操作部(図示)のそれぞれに連係された制御装置72と、変速レバー73と、エンジン3の出力速度を検出するエンジン回転センサ74と、前後進レバー75とを備えている。
変速レバー73は、変速レバー73に連係された変速検出センサ73aを介して制御装置72に連係されている。変速検出センサ73aは、変速レバー73に回転操作部が連動された回転ポテンショメータによって構成してあり、変速レバー73の操作位置を検出してこの検出結果を制御装置72に出力する。
前後進レバー75は、前後進レバー75に連係された前後進検出センサ75aを介して制御装置72に連係されている。前後進検出センサ75aは、前後進レバー75に回転操作部が連動された回転ポテンショメータによって構成してあり、前後進レバー75の操作位置を検出してこの検出結果を制御装置72に出力する。
制御装置72は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、主変速制御手段77及び前後進切換え手段78を備えている。
主変速制御手段77は、エンジン回転センサ74による検出情報を基にエンジン3がアクセルセットされた状態でのエンジン3の出力速度を検出し、変速検出センサ73aによる検出情報を基に変速レバー73の操作位置を判断し、検出したエンジン3の出力速度と判断した変速レバー73の操作位置と前後進検出センサ75aからの指令とを基に、変速レバー73及び前後進レバー75の操作位置に対応した所定の前進車速あるいは後進車速が現出されるように静油圧式無段変速部11を自動的に変速制御し、かつ1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c及び4速クラッチ44cを自動的に切換え制御する。
前後進切換え手段78は、前後進レバー75が前進位置「前」に操作されると、前後進検出センサ75aによる検出情報を基に後進伝動クラッチ54を切り状態「切」に自動的に切換え操作し、前後進レバー75が後進位置「後」に操作されると、前後進検出センサ75aによる検出情報を基に後進伝動クラッチ54を入り状態「入」に自動的に切換え操作する。
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、1速レンジF1と2速レンジF2の切換え、2速レンジF2と3速レンジF3の切換え、3速レンジF3と4速レンジF4の切換え、前進と後進の切換えを摩擦式クラッチの切換えによってよりスムーズにかつ機敏に行えるように、1速クラッチ41c、2速クラッチ42c、3速クラッチ43c、4速クラッチ44c及び後進伝動クラッチ54を摩擦式のクラッチによって構成した例を示したが、噛み合い式のクラッチによって構成してもよい。また、これらのクラッチのうちのいずれか1つ以上を摩擦クラッチによって構成し、その他のクラッチを噛み合い式のクラッチによって構成してもよい。
(2)上記した実施例では、遊星伝動部30を複合遊星ギヤ機構によって構成した例を示したが、多段にギヤ機構を並べた普通型の遊星ギヤ機構によって構成してもよい。
(3)上記した実施例では、前車輪1及び後車輪2を走行装置として備えた例を示したが、車輪に替えてクローラ式走行装置を備えてもよい。
本発明は、車体後部に作業装置が連結されるトラクタに設けられる伝動装置の他、車体の前後輪間あるいは車体の前部に草刈装置などの作業装置が連結されるトラクタに設けられる伝動装置にも利用可能である。
1,2 走行装置
3 エンジン
11 静油圧式無段変速部
11P ポンプ
11M モータ
30 遊星伝動部
33b リングギヤ
34b サンギヤ
36 キャリヤ
38a、38b、38c 合成力出力軸
40 速度レンジ設定部
40a 出力軸
41b 前進1速伝動ギヤ
41c 1速クラッチ
42b 前進2速伝動ギヤ
42c 2速クラッチ
43b 前進3速伝動ギヤ
43c 3速クラッチ
44b 前進4速伝動機構
44c 4速クラッチ
50 後進伝動部
52 逆転ギヤ
53 後進伝動ギヤ
54 後進伝動クラッチ
S 走行伝動部

Claims (2)

  1. エンジンからの駆動力を入力する静油圧式無段変速部と、前記静油圧式無段変速部が出力する駆動力とエンジンからの駆動力を合成して出力する遊星伝動部と、前記遊星伝動部の出力を走行装置に伝動する走行伝動部とを備えたトラクタの伝動装置であって、
    前記遊星伝動部を、前記静油圧式無段変速部を構成するポンプ及びモータに対して伝動方向下手側に配置するとともに前記静油圧式無段変速部が正回転方向の駆動力を出力する正回転変速状態と逆回転方向の駆動力を出力する逆回転変速状態のいずれに変速された状態においても前進用の駆動力を出力するように構成し、
    前記走行伝動部に、前記遊星伝動部が出力する前進用の駆動力を複数段の速度レンジに段階分けして出力する複数段の変速伝動状態と伝動を停止する中立状態とに変速操作自在な速度レンジ設定部、及び、前記遊星伝動部が出力する前進用の駆動力を後進用の駆動力に変換して出力する後進伝動状態と伝動を停止する中立状態とに切換え操作自在な後進伝動部を設け、
    前記遊星伝動部を構成するサンギヤ、キャリヤ及びリングギヤに各別に連動されたサンギヤ連動の合成力出力軸、キャリヤ連動の合成力出力軸及びリングギヤ連動の合成力出力軸を、前記遊星伝動部から前記静油圧式無段変速部が位置する側とは反対側に向けて同一の軸芯まわりに相対回転自在に延出させ、
    前記リングギヤ連動の合成力出力軸と前記サンギヤ連動の合成力出力軸と前記キャリヤ連動の合成力出力軸に分散させて連動させた前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤと、前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤの回転軸芯が一直線状に並ぶ状態で前進1速伝動ギヤ、前進2速伝動ギヤ及び前進3速伝動ギヤを相対回転自在に支持する出力軸と、前記前進1速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する1速クラッチと、前記前進2速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する2速クラッチと、前記前進3速伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する3速クラッチとを備えて、前記速度レンジ設定部を構成し、
    前記リングギヤ連動の合成力出力軸と前記サンギヤ連動の合成力出力軸と前記キャリヤ連動の合成力出力軸のうち、前記前進1速伝動ギヤが連動する合成力出力軸に逆転ギヤを介して連動される後進伝動ギヤを、この後進伝動ギヤの回転軸芯が前記前進1速伝動ギヤ、前記前進2速伝動ギヤ及び前記前進3速伝動ギヤの回転軸芯と一直線状に並ぶ状態で前記出力軸に相対回転自在に支持させて、かつ前記後進伝動ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する後進伝動クラッチを備えて、前記後進伝動部を構成してあるトラクタの伝動装置。
  2. 前記リングギヤ連動の合成力出力軸と前記サンギヤ連動の合成力出力軸と前記キャリヤ連動の合成力出力軸のうち、前記前進3速伝動ギヤが連動しない合成力出力軸に連動されるとともに前記出力軸に相対回転自在に支持される前進4速ギヤ、及びこの前進4速ギヤを前記出力軸に一体回転自在に連結する4速クラッチを、前記速度レンジ設定部に備えてある請求項1記載のトラクタの伝動装置。
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