JP2012062715A - 木造住宅上層階用床構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】胴差60及び床梁61の上に床パネル10, 20を敷設し、その周縁部を接着剤及び/又は釘等の固定手段により固定して形成する木造住宅上層階用床構造である。床パネル10として四辺形の構造用合板を用い、その一側辺の裏面に連結板材12を接合する。この連結板材12は所定幅の帯板状のものからなり、この連結板材12の長手方向の一側縁を床パネル10の一側辺の外方に延長するように接合固定して延長載置部を設ける。この延長載置部に隣接する床パネル10の一側縁を載置して接着材及び/又は釘等の固定手段によって相互に固定する。これにより略平行に配設された胴差60と床梁61間及び床梁61間に交差状に配設される受け材を架設する必要が無くなる。
【選択図】図3
Description
その後、良質の根太材等の確保が困難となり、この質の劣化と共に施工上の手間も掛かり、更には床鳴り等の問題も生じて来た。
また、近年の対地震、及び構造上の必要性から、2階の水平構面耐力強化の観点から針葉樹構造用合板(24mm厚及び28mm厚)の出現があり、この針葉樹構造用合板を床梁等に直接敷設する工法が主流となり、根太を使用する必要がなくなった。
この工法では先ず、胴差60と床梁61間及び床梁61間に受け材62を配設して、平面視格子状に組み付け、その後に針葉樹構造用合板からなる床パネル65を敷き詰め、この床パネル65の周縁部を所定長さ及び太さの釘によって所定ピッチで打ち込み、相互に固定するのである。
この受け材62を胴差60や床梁61に固定する方法は自由に選択することができるが、この受け材62を胴差60と床梁61間及び床梁61間に架設する手間が省略できるとすると、この手間が省かれ、省力化と施工時間の短縮化に大いに寄与することとなるのである。
また、2階床構造は現在上記構造用合板の根太無し直貼り工法が採用されているが、この構造用合板の直貼り工法においては、その床の撓みが極めて小さく、非常に硬いという難点があった。
より具体的には、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(「品確法」)に規定される床倍率3.0(24mm厚以上の構造用合板を用いて、4周をN75の釘でピッチ150mmでジョイントする。)以上の耐力を有するものを提供することもその課題となる。
この受け材を設けずに施工できるために、作業者による労力は省かれ、施工手間が省略され、施工時間の大幅な短縮に繋がることとなるのである。
更に受け材を省略できるということは、その留め金具の使用も不要となり、省資源にもつながり、受け材を係合するための床梁等のプレカットも不要となり、省力化と施工時間の短縮化に大いに寄与するものとなる。
つまり、この連結板材は、従来の受け材と異なって床梁等に連結固定されておらず、床パネルにいわばぶら下がり状態で接合されているものである。
これにより、床パネルの弾力性、柔軟性、更には居住性が向上するのである。
このように、床パネルの一側辺への連結板材の接合という構造の採用により、2階床構造の硬さが和らげられ、より快適な床環境を1階と同様に実現したことが本発明の第2の大きな効果である。
即ち、連結板材を胴差と床梁間及び床梁間に格子状に配設すればよく、その敷設方向も容易に把握でき、施工の迅速化と容易化に寄与する。
更に説明すると、コーナー部に最初の床パネルを敷設すれば、それに隣接する床バネルを最初の床パネルの連結板材の上及び床梁等に順次載置して行けばよく、その位置決めも容易となる。つまり、床パネルに設けた連結板材が床梁間に嵌まり込み、その位置決めを容易にしているのである。
上記の敷設手順と同様のことであるが、連結板材の存在により、これが床梁間等に嵌まり込むために、工事途中での床パネルの「横ズレ」を極小に押さえることもできるという効果も発揮するのである。
これにより、縦横の短い床パネルとして、例えば約910mm四方のものとして2階床部に容易にこれを敷設することができ、連結板材は、胴差や床梁と当接しないため、敷設する際には、これら胴差と床梁間に、或いは床梁間に簡単に嵌め込み、施工することができることと成るのである。
即ち、床パネルである構造用合板は、針葉樹から形成されており、その木目又は繊維の方向を胴差及び床梁と直交する方向に配置されるものである。
従って、この床パネルに接合される連結板材もこの木目又は繊維と同じ方向に並行に配置することを特定したものである。
このような配置により、最も大きな強度を有する床構造として施工されるからであり、しかも弾力性・柔軟性をも兼ね備え、強く柔らかい1階床構造に近い2階床構造を提供できることとなるのである。
図1は、本発明に係る床構造において使用する床パネルの第1の実施形態を図示しており、その(A)が平面図、その(B)が正面図である。
この床パネル10は、縦横の長さ比率が約1対1の略正方形のもので、針葉樹構造用合板から成り、その縦横の長さは、約910mm、厚みは24mmのものである。
この連結板材12は、横幅が約105mm、長さが約780mm、厚みは24mmで、床パネル10と同じ合板製であり、その略半分を床パネル10の側辺から外方に延長させ、延長載置部12sを形成するように接合し、固定する。
後に説明するが、この延長載置部12sには、隣接する床パネルの一側縁部が載置され、相互に固定されるのである。
連結板材12を床パネル10の一側辺に接合固定する際は、図示した通り、床パネル10の木目と並行となる側辺に接合固定する。このような位置関係とすることにより最も強度が高い床構造が形成されるからである。
床梁等への敷設については後述する。
この床パネル20は、縦横の長さ比率が約2対1の縦長の略長方形のもので、針葉樹構造用合板から成り、その縦横の長さは、約1820mm×約910mm、厚みは24mmのものである。
この連結板材12は、横幅が約105mm、長さが約780mm、厚みは24mmで、床パネル20と同じ合板製であり、その略半分を床パネル20の側辺から外方に延長させ、延長載置部12sを形成するように接合し、固定する。この連結板材12は、上記第1の実施形態と同一である。
そして、これら連結板材12、12の間隔は、約130mmとする。
後述するが、この間隔に床梁が配置されるのである。
即ち、その固定は、胴部径3.0mm、長さ45mmの釘15を用いて一定のピッチで、即ちピッチ75mmで打ち込み、固定する。ここで接着材を併用してもよい。
また、連結板材12を床パネル20の一側辺に接合固定する際は、図示した通り、床パネル20の木目と並行となる一方の側辺に接合固定する。このような位置関係とすることにより最も強度の高い床構造が形成されるからである。
この図では、説明の都合上これら2種類の床パネルを同時に図示しているが、実際には床パネル20のみを使用して2階床構造を形成することもできるし、床パネル10と床パネル20の両者を共に使用して2階床構造を形成することもできる。
そして、床パネル10及び床パネル20の何れにおいても、その木目又は繊維の方向が胴差60や床梁61と直角になる方向に配列して行くのである。
本発明においては、連結板材12がそれぞれの床パネル10、20の一側辺の裏面に接合固定されているために、この配列に際して目安となるため極めて便利なものとなるのである。
各床パネル10、20は、その4つの側縁部に沿って、所定の釘によって、所定のピッチで胴差、床張り、そして隣接する床パネル10、20の一側縁と相互に固定されることとなる。この固定に際して接着材を併用することもできる。
即ち、敷設完了した床パネル20の連結板材12と、胴差60及び床梁61のそれぞれの上面部が略正方形の3辺を構成し、残りの一辺はこれから配設される床パネル10の裏面に接合された連結板材12がこれを構成し、これにより略正方形の4辺(格子状態)が完成して、嵌め込まれるのである。
換言すれば、配設されるべき床パネル10裏面の連結板材12を、略正方形の格子状態の一辺を完成するように嵌め込み、組み付けて行くことができるため、本発明の連結板材12の存在は敷設に際して極めて便利な案内手段となるということである。
即ち、連結板材12の両端部は、胴差60や床梁61の側面部と間隔を保持して配置され、固定されるのである。
この間隔は、例えば約10mm前後程度とすればよい。
また、この間隔が存在しているということは、この連結板材12が胴差や床梁と連結固定されていないというこであり、つまり、この連結板材12は隣接する床パネル同士を連結し、その連結部位の裏面にぶら下がり状態で配設されており、それ故、床パネルの柔軟性、弾力性或いはクッション性を高める効果を発揮するのである。
というのも、釘打ちのみよる場合には、その釘打ちのピッチを変えることによりその強度が異なる。即ち、ピッチを小さくすれば強度は高まり、クッション性は少し劣り、そのピッチを大きくすれば逆に強度は弱まり、クッション性が向上する。
このように、連結部材12の部位での隣接する床パネル同士の固定方法を適宜変更することのより、床構造のクッション性を調整することができるのである。
尚、このクッション性を少なく調整したとしても、従来工法である図5に図示した根太無し直貼り床構造と比較すれば、当然本発明の床構造の方がその弾力性、柔軟性又はクッション性が高いことは言うまでもないことである。
試験体の仕様は、何れも針葉樹構造用合板24mm厚のもの(縦横600mm×1100mm)を使用し、本発明のものでは、上記実施形態と同様で、連結板材として24mm厚、横幅105mmのものを使用し、構造用合板と連結板材との接合固定は、胴部径3.0mmで長さが45mmの釘を75mmのピッチで固定したものを使用し、他方、比較例である根太なし直貼り構造では、上記同じ板厚24mmの構造用合板(縦横600mm×1100mm)を105mm角の大引で連結固定し、固定は胴部径3.4mmで長さが75mmの釘(N−75)を150mmのピッチで固定したものを使用した。
グラフ中、N1及びN2が示す実線と破線が根太無し直貼り床構造の値を示し、S1及びS2が示す実線及び破線が本発明に係る床構造の数値を示している。
このグラフから明瞭に見て取れるように、本発明に係る床構造S1、S2の方が変位量が小さく、その強度或いは堅牢度が根太無し直貼り床構造よりも高いことを示している。
従って、本発明に係る床構造は、弾力性、柔軟性を有しつつ、強度に関しても従来の床構造よりも強いことが判明した。
このため、一見水平構面における剪断力に対する耐力が弱くなると思われたのであるが、実際の試験によると、この剪断力方向に対する耐力が、従来の根太無し直貼り床構造よりも高いという結果が出ているのである。
即ち、固定に使用される釘の胴部径と釘打ちピッチ(釘の固定位置の間隔)の長さに拠るのであり、即ち、胴部径を大きくし、ピッチを狭くして固定することによりこの剪断力方向に対する耐力が向上することが判って来たのである。
本発明に係る床構造において使用する床パネルは、構造用合板を用いているが、その平面視形状は、上記した通り、略正方形又は略長方形のものを使用している。
そして、その木目又は繊維方向を、平行に並んだ胴差及び床梁と直交する方向に配置される。
この場合においても、合板の木目は、連結板材と同じ方向に向くように床パネルを裁断する必要がある。
また連結板材も特に28mm厚のものを使用せずに、床パネルと同じ24mm厚で十分であることも判明した。
要するに隣接する床パネルが適切に釘等を利用して固定することができる横幅を有していればよいのものである。
この際に、この連結板材の長手方向長さを、この床梁間の間隔長さよりも少し短く設計し、胴差や床梁の側面部と当接することなく、一定の間隔を保持するようにこの連結板材を配設し、床パネルに固定することが極めて重要なこととなる。
これにより、床パネルの敷設施工が容易となり、しかも、床構造の弾力性とクッション性並びにその強度及び水平構面耐力も向上するからである。
尚勿論のこととして、この連結板材の長手方向長さを床梁間の長さに合致させて実施することも可能なことである。
そして、「品確法」に基づく床倍率3.0の耐力を十分にクリアしたものである。
12 連結板材
12s 延長載置部
15 釘
60 胴差
61 床梁
62 受け材
G 木目
P 柱部材
Claims (6)
- 胴差(60)及び床梁(61)の上に床パネル(10, 20)を敷設し、その周縁部を接着剤及び/又は釘等の固定手段により固定して形成する木造住宅上層階用床構造であって、
前記床パネル(10, 20)として四辺形の構造用合板を用い、その一側辺の裏面に連結板材(12)を接合し、
この連結板材(12)は所定幅の帯板状のものからなり、この連結板材(12)の長手方向の一側縁を床パネル(10, 20)の一側辺の外方に延長するように接合固定して延長載置部(12s) を設け、この延長載置部(12s)に隣接する床パネル(10, 20)の一側縁を載置して、接着剤及び/又は釘等の固定手段によって相互に固定することができ、
これにより、略平行に配設された胴差(60)と床梁(61)間及び床梁(61)間に交差状に配設される受け材(62)を架設する必要を無くしたことを特徴とする木造住宅上層階用床構造。 - 四辺形の床パネル(10)が、その縦横の辺の長さの比率を約1対1とした略正方形のものから成り、
連結板材(12)が、前記床パネル(10)の一側辺に1つ設けられ、且つ連結板材(12)の長手方向長さを胴差(60)と床梁(61)間又は床梁(61)間の間隔距離よりも短く形成して、胴差(60)又は床梁(61)にその両端部が当接しないことを特徴とする請求項1に記載の木造住宅上層階用床構造。 - 四辺形の床パネル(20)が、その縦横の辺の長さの比率を約2対1とした略長方形のものから成り、
連結板材(12)が、前記床パネル(20)の長辺の一側辺に所定間隔を空けて2つ設けられ、且つそれぞれの連結板材(12)の長手方向長さが、胴差(60)と床梁(61)間又は床梁(61)間の間隔距離よりも短く形成して、胴差(60)又は床梁(61)にその両端部が当接しないことを特徴とする請求項1に記載の木造住宅上層階用床構造。 - 四辺形の床パネルが、その縦横の辺の長さの比率を約1対2とした略長方形のものから成り、
連結板材が、前記床パネルの短辺の一側辺とこれと略平行の中央部裏面に2つ設け、且つそれぞれの連結板材の長手方向長さが、胴差と床梁間又は床梁間の間隔距離よりも短く形成して、胴差又は床梁にその両端部が当接しないことを特徴とする請求項1に記載の木造住宅上層階用床構造。 - 床パネル(10, 20)を敷設したときに、各床パネル(10, 20)に設けた連結板材(12)と、胴差(60)及び床梁(61)とが、それぞれ格子状に組み付けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の木造住宅上層階用床構造。
- 連結板材(12)として床パネル(10, 20)と同種の合板製のものを使用し、その板厚を床パネル(10, 20)と同等とし、且つ連結板材(12)を構造用合板からなる床パネル(10, 20)の木目又は繊維方向と並行に配置したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の木造住宅上層階用床構造。
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