JP2012057243A - 耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法とサーメット皮膜被覆部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基材の表面に形成した非導電性セラミック溶射皮膜を、電気ニッケルめっき液中に浸漬して、電気ニッケルめっき処理を行うことによって、前記セラミック溶射皮膜の気孔中にめっき析出ニッケルを充填することにより、めっき析出ニッケルを充填したサーメット皮膜を形成し、次いで、高エネルギー照射処理を施して、皮膜表面を再溶融して緻密表面層を生成させる方法と、このようにして得られる皮膜被覆部材。
【選択図】図1
Description
(1)特許文献4〜6には、耐食性を有するシリコーン、エチルシリケートなどの珪素化合物、合成樹脂などの有機高分子材料を用いて封孔する方法が開示されている。
(2)特許文献7、8には、金属アルコキシドや金属酸化物粒子などの非金属化合物を含む電解液中に溶射皮膜を浸漬した後、これを電解し、電気泳動法の原理を利用して皮膜の表面や気孔中に溶質成分や酸化物粒子を充填した後、これを加熱焼成する方法が開示されている。
(3)特許文献9には、可視光線によって硬化する有機高分子剤を溶射皮膜の表面に塗布し、気孔内を充填して封孔するとともに、自然光によって硬化させる技術が開示されている。
(4)また、発明者らも特許文献10において、溶射皮膜の表面を電子ビームまたはレーザビームなどの高エネルギーを照射した後、その表面に炭素と水素を主成分とするアモルファス状膜を被覆形成させる方法を提案した。
(5)特許文献11には、溶射皮膜の表面に対して、電子ビームまたはレーザビームなどの高エネルギー照射を行なって、表面近傍の溶射粒子を溶融させて気孔を熱的に消滅させる技術の提案もある。
(1)珪素化合物などの無機系封孔剤による溶射皮膜の封孔技術は、比較的大きい開口部をもつ気孔をもつものに限定される他、アルカリ性水溶液中では珪素化合物が溶出するため、用途が限られるという欠点がある。
(2)有機高分子系封孔剤を用いる技術は、酸、アルカリなどには優れた耐食性を発揮するものの、温度の影響を受けやすいという欠点がある。例えば、一般の高分子系の封孔剤では150〜180℃で軟化したり、また分解がはじまり、200℃以上の温度では長時間の使用に耐えることができない。
(3)電気泳動現象を利用する封孔技術は、電気泳動作用が及ばない微細な気孔中には、電解液のみが侵入し、酸化物微粒子の大部分は皮膜の表面に滞留するために、完全な封孔処理ができない。また、酸化物微粒子自体には防食効果はなく、さらに金属アルコキシド自体は防食作用が十分でないうえ経時変化して、その機能を消失するという欠点がある。
(4)溶射皮膜の表面を電子ビームおよびレーザビームなどの高エネルギー照射処理によって溶融して封孔する技術は、溶融した溶射皮膜が凝固する際に体積収縮を起こして微細な割れを発生することがあり、完全な封孔技術になり得ない。
(5)溶射皮膜の表面に、炭素と水素を主成分とするアモルファス状膜を被覆する方法は、酸、アルカリなどに耐える効果はあるものの、450℃以上の温度ではアモルファス状膜が分解するため、高温環境への適用に問題がある。
(6)なお、その他、従来技術において、珪素系薬剤や高分子系封孔剤を利用する技術がある。この技術は、表面張力および粘度が大きいため、微小な開気孔部への侵入が難しく、入口付近に留まっているため、完全な封孔処理ができない。しかも、封孔剤は、乾燥時に水分(浴剤)が揮発して体積が収縮するため充填部に隙間を発生させる。
(7)また、電気泳動法で封孔した金属アルコキシドや酸化物微粒子の充填部でも、加熱焼成に伴う水分の蒸発、体積の収縮は避けられず、過熱焼成工程の必須化によるエネルギー損失および生産コストの増加がある。
(8)なお、電気泳動法による封孔処理には、塩酸、硫酸などの危険な薬剤の使用を必要とするほか、酸化物として有害なPbOを使用が不可避であるという欠点がある。
(9)さらに、これらの電気泳動法をはじめ封孔剤による封孔処理技術には、共通の課題として、封孔剤が開気孔部の入口付近に留まり、気孔の内部まで侵入せず、溶射皮膜と基材との密着性向上および皮膜を構成する溶射粒子の相互結合力を強化することができない。何よりもこの技術は、サーメット皮膜形成の方法を提案するものではない。
(1) 溶射法によって形成されたY2O3、Al2O3などの酸化物セラミック溶射皮膜をはじめ、Ni、Ni−Cr合金などの溶射皮膜は、ハロゲンによるプラズマエッチング環境においては比較的良好な耐久性を示す。しかし、溶射皮膜には共通の欠点として貫通気孔の存在がある。このため、プラズマエッチング加工のようなドライプロセスでは問題となることの少ない貫通気孔が、ウエットプロセスでは、致命的な欠点となることが少なくない。
(2) 半導体加工装置では、プラズマエッチング加工などのドライプロセス専用であっても、加工の進展に伴なって、エッチングによって削り出された微細なパーティクルが装置内に集積して、これが原因となって高品質の半導体加工製品の生産が困難となってくる。このため、装置はしばしば酸、アルカリ、純水などを用いて洗浄する必要がある。このような装置の洗浄作業時において、これらの水溶液が、皮膜表面の貫通気孔を通って内部へ侵入し、基材及び皮膜のアンダーコートを化学的に腐食させ、被覆部材の耐久性を著しく短くする欠点がある。
(3) 前記溶射皮膜の欠点を改善するため、酸化物セラミックス溶射皮膜の表面に対して、電子ビーム・レーザービームなどの高エネルギーを照射し、溶射皮膜を構成している溶射粒子を相互に溶融・融合させて貫通気孔を消滅させる技術がある。溶射皮膜の再溶融技術は、皮膜表面の開口気孔(含貫通気孔)を、完全に消失するとともに、耐プラズマエロージョン性を向上させることができる。しかし、高エネルギー照射面では、溶射粒子の再溶融後の冷却過程における体積の収縮現象によって、皮膜表面に“ひび割れ”が発生し、これが新しい貫通気孔の役割を担うため、ウエットプロセスや洗浄作業に使用される各種薬液・洗浄水の皮膜内部への侵入を防止できない状況かにある。
(1)この発明において、特徴的な第1の構成は、まず、導電性基材の表面に、直接またはアンダーコートを介して、非導電性セラミックの多孔質溶射皮膜を被覆形成することであり、次いで、その非導電性セラミック溶射皮膜を被覆してなる基材を、電気ニッケルめっき液中に浸漬し、導電性基材の方を陰極として直流通電し、該セラミック溶射皮膜の開気孔部から皮膜内部にある気孔中にまでニッケルめっき液を万遍なく侵入させ、かつニッケルを基材表面側から順次に析出させて、該溶射皮膜の気孔中に分散している気孔中にめっき析出ニッケルが充填された状態を導くことで、サーメット皮膜に変化させることにある。
(2)この発明において、特徴的な第2の構成は、前記サーメット皮膜、即ち、めっき析出ニッケル充填形サーメット皮膜の表面を、電子ビームまたはレーザビームである高エネルギー照射処理して、皮膜表面を再溶融して緻密化させることにより、緻密表面層をもつサーメット皮膜にして、より確実に封孔することである。
(3)この場合の電気ニッケルめっき処理において、めっき金属であるニッケルの析出は、非導電性セラミック溶射皮膜表面では起らず導電性をもつ基材表面(または導電性アンダーコートの表面)の側を起点として、析出したニッケルが溶射皮膜の表面に向けて順次に皮膜内部に存在する粒子間に生成している隙間を選びつつ成長する。従って、溶射皮膜のサーメット化は下層から上層に向い、より長時間のめっき処理によって、やがて皮膜表面にもニッケルめっき層を生成して、恰もめっき処理したようにすることもできる。
(4)一般に、めっき液からのニッケルの析出反応、つまりめっき反応は、非導電性(非電気伝導性)のセラミック溶射皮膜を対象とする場合には起こらない(析出しない)。しかし、本願発明のように、貫通気孔を有する多孔質の非導電性セラミック溶射皮膜の下に金属などの導電性基材があるような場合には、その貫通気孔を介してめっき液が基材にまで達して電気的に導通することで、電気めっきが可能になる。即ち、電気めっき処理した場合、非導電性セラミック溶射皮膜が貫通気孔を有する多孔質素材でさえあれば、空隙部(貫通気孔および開気孔)、とくに溶射粒子の未接合部などの厚み方向に貫通する空隙(貫通気孔)を通ってめっき液が侵入して基材表面に達し、ここで、めっき液から金属が析出し、この金属も負に帯電しているため、その表面にも引き続き、めっき液から金属が析出し続けるため、やがて、めっき金属が気孔内に析出成長し、これが溶射皮膜全体の気孔に拡大していくので、結果的に、非導電性セラミック溶射皮膜内部に分散して存在している気孔がめっき金属によって充填され、やがてセラミック溶射皮膜はサーメット皮膜に変化することになる。
(5)上述した説明からわかるように、めっき液からのニッケルの析出反応とその成長は、溶射皮膜の内部、それも基材(またはアンダーコート)側から順次に始まり、溶射皮膜表面側に向って進み、最終的には、皮膜の表面にまで達することとなる。そして、上述したように、めっき処理時間を長くすると、該非導電性セラミック溶射皮膜の表面を完全に被覆するまでになり、該非導電性セラミック溶射皮膜がサーメット化して導電性皮膜になる。
(1)前記多孔質非導電性セラミック溶射皮膜は、貫通気孔と開気孔を含む気孔率0.2%〜30%の皮膜であること。
(2)前記導電性基材と多孔質非導電性セラミック溶射皮膜との間に、必要に応じて導電性金属のアンダーコートを設けること。
(3)前記非導電性セラミック溶射皮膜は、酸化物系セラミック、非酸化物系セラミックおよびそれらの混合物のうちから選ばれる1種以上の非導電性セラミックスを用いて形成すること。
(4)前記導電性基材は、金属か非導電性基材の表面に導電性金属膜を被覆したもののいずれかを用いること。
(5)前記導電性基材の表面に施工するアンダーコートは、Al、Al−Ni、Al−Zn、Ni−Cr、Ni−Cr−AlおよびFe−Crおよび自溶合金などから選ばれる1種以上の金属または合金を用いること。
(6)前記非導電性セラミック溶射皮膜は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、水プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、溶棒式フレーム溶射法、および爆発溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって被覆形成されること。
(8)前記アンダーコートは、アーク溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法およびプラズマ溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって被覆形成すること。
(9)前記非導電性セラミック溶射皮膜は、50〜5000μmの厚さにすること。
(10)前記基材の表面に形成されるアンダーコートは、10〜150μmの厚さにすること。
(11)前記高エネルギー照射処理によって形成される皮膜の再溶融現象による緻密表面層は、表面からの厚さが1〜30μmの範囲にあること。
(1)導電性基材の表面に形成した非導電性セラミック溶射皮膜に対して電気ニッケルめっき処理を行うので、溶射皮膜の気孔部のみに、めっき、即ち、めっき析出ニッケルを析出充填することができるので、セラミック材のサーメット化と同時に封孔、緻密化が図れる。
(2)溶射皮膜の内部に立体的に存在するめっき液の侵入可能な貫通気孔・開気孔部や溶射粒子同士の不完全な相互接合部の隙間(空隙)などに、めっき液から析出したニッケルを充填することができるので、封孔を確実に果すとともに粒子間の相互結合力を向上させることができる。
(3)めっき金属(ニッケル)の析出は、導電性基材の表面側から始まり、時間の経過に伴なって、皮膜の表面方向へ進むという過程を辿るため、溶射皮膜の気孔部や基材と皮膜との境界に存在する隙間などもすべて、基材側から順次に充填封孔されていくので、基材の表面もめっき析出ニッケルによる被覆(遮蔽)効果に優れ、基材の耐食性等の特性を向上させる。
(4)ニッケルめっき液は、非導電性セラミック溶射皮膜の中に立体的に存在する空隙部(貫通気孔、開気孔)に侵入し、めっき析出ニッケルを析出してそこの部分を充填していく中で、基材とも電気化学的に結合した状態で付着成長していくので、溶射皮膜全体の基材との密着性を向上させる。
(5)電気ニッケルめっきによるめっき析出ニッケルの析出反応は、基材表面側から始まり、時間の経過に伴なって、溶射皮膜の表面側へ向って順次に起るが、さらに長時間電流を通じると、最終的には皮膜表面に達し、その後、さらに通電するとめっき析出ニッケルは、皮膜表面に沿って成長を続け、外観上は、恰も前記サーメット皮膜の表面に直接電気ニッケルめっきを施したような状態になる。従って、ニッケルめっき製品の製造技術としても適用できる。
(6)特に、本発明においてめっき析出ニッケルとAl2O3、Y2O3、YAGなどの酸化物セラミックからなる前記サーメット皮膜は、耐プラズマエロージョン性に優れるAl2O3、Y2O3、YAGで代表される酸化物セラミック溶射皮膜に対してニッケルメッキ処理を行なうと、セラミック溶射皮膜の気孔部のみに、めっき液から析出しためっき析出ニッケル(金属)が充填した状態となり、完全な封孔処理が可能となる。
(7)本発明の方法で形成されるめっき析出ニッケルとAl2O3、Y2O3、YAGなどの酸化物からなるサーメット溶射皮膜は、材料的にも耐食性と耐プラズマエロージョン性にすぐれていることに加え、実作業の環境下で問題となる酸、アルカリ、洗浄水などの侵入部となる皮膜表面の開気孔部も、前記高エネルギー照射処理によって封孔され、しかも、皮膜内部に存在する各種の隙間部はめっき析出ニッケルによって充填されているため、皮膜全体として保有する物理化学的性質を最大限に発揮させることができる。
(8)さらに、上記の溶射皮膜内部の隙間部をニッケルによって充填された状態のサーメット皮膜は、該皮膜内部への洗浄水の侵入を抑制できるので、洗浄後の乾燥時間が短くなり、実質的な操業時間の延長と生産性の向上が期待できる。
(1)基材の選定
本発明に使用する基材は、導電性(電気伝導性)を有する金属材料が用いられる。例えば、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、ステンレス鋼を含む各種の合金鋼、炭素鋼、Niおよびその合金などが好適である。鋼材の表面に、Niのめっき膜を形成した基材でもよい。ガラス、石英、プラスチック、セラミック焼結体のように、電気不良導体の基材に対しては、前処理を施した後、無電解めっき、CVD、PVDなどによって、導電性を付与するための金属の薄膜を被覆形成して、基材の表面のみを電気伝導体としたものについても、本発明の基材として使用することができる。
前記導電性基材表面に、非導電性セラミック溶射皮膜を形成するに当たっては、JIS H 9302に規定されているセラミック溶射作業標準に準拠して実施することが好ましい。例えば、基材表面のさびや油脂類などを除去した後、Al2O3、SiCなどの研削粒子を吹付けて粗面化し、その表面に直接または金属質の導電性アンダーコートを施工した後に、それらの上に非導電性セラミックの溶射皮膜を形成する。
本発明において用いられる溶射皮膜形成用の溶射材料は、非導電性の材料であることが必要であり、また、半導体の加工環境下で使用されるハロゲンおよびハロゲン化合物を含む気相中で発生するプラズマエロージョンに対しても優れた抵抗力を発揮するものが好適である。その非導電性の程度は、皮膜を形成した基材をニッケルめっき液中に浸漬して通電した際に、皮膜の表面に直接、めっき金属(ニッケル)が析出しないこと、例えば、ρ:1×0−5Ωcm程度以上の電気抵抗率を示すことが目安となる。このような基準から、本発明方法への適用が可能になるセラミック溶射皮膜形成用溶射材料の代表的な例を列挙すると下記の通りである。なお、非酸化物系セラミックス粒子についても、大気中や空気(酸素)を含む環境などの溶射熱源中では、粒子の表面に電気抵抗の大きい酸化膜を生成するものであれば、本発明の目的に使用することができる。
アンダーコートは、基材と非導電性セラミック溶射皮膜の間にあって、基材に該セラミック溶射皮膜を直接形成するよりも、より高い密着力を発揮させるのに効果がある。とくに、本発明では、このアンダーコートは、次工程の電気めっき処理時において、めっき金属の析出起点ともなる重要な役割を果すものである。具体的には、Ni、Ni−Cr合金、Ni−Al合金などの導電性の金属・合金が好適に用いられる。なお、Ni−Cr−Al合金、も使用できるが、生産コストの点で検討が必要である。また、アンダーコートの厚さは、10〜250μmの範囲がよく、特に50〜100μmが好適である。
本発明において、この電気ニッケルめっき処理もまた重要である。この処理によって、前記非導電性セラミック溶射皮膜を、電気めっき析出ニッケル充填形サーメット皮膜に変化させることができると同時に皮膜気孔部の封孔ができ、必要に応じて、該サーメット皮膜の表面をめっき金属(ニッケル)で被覆した状態とすることができる。
この処理は、上述した電気ニッケルめっき処理を終えることによって、めっき析出ニッケル充填形のサーメット皮膜に変化した、その皮膜表面に対して、次に、電子ビームまたはレーザビームなどの高エネルギー照射処理を施して、該サーメット皮膜の表面を溶融し緻密化させる工程である。
(a)電子ビーム照射処理
電気ニッケルめっき処理を終えたサーメット皮膜を、減圧下の不活性ガス雰囲気下で電子ビーム処理を行なう。不活性ガス雰囲気中において皮膜表面を溶融処理する工程であるため、たとえニッケルが加熱溶融状態になったとしても、酸化することがない。従って、この高エネルギー照射処理後のサーメット皮膜表面におけるセラミック(Al2O3)とニッケル(Ni)の状態は、照射前と変化することがなく、ただ皮膜表面近傍のセラミック粒子とニッケルとが溶融し、相互に融合しつつ、皮膜の表面緻密化状態になるだけである。
照射雰囲気:1×10−1〜5×10−3MPaの不活性ガス雰囲気
照射出力:10〜30KeV
照射速度:1〜50mm/s
照射回数:1〜100回(連続または不連続)
電気ニッケルめっき処理したサーメット皮膜の表面に対して、CO2レーザ、YAGレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザなどのレーザ熱源を照射して、該皮膜表面を溶融し、セラミック粒子同士の融合ならびに、めっき析出ニッケル(Ni)との接合化を果しつつ、皮膜表面の貫通気孔の原因となる開気孔部を完全に封孔する。レーザビーム照射処理の雰囲気は、空気中、不活性ガス中、減圧(真空)中など自由に選択できるが、ニッケルめっき金属の酸化を抑制するためには、不活性ガス中で照射することが好ましい。
レーザ出力:1〜10kW
ビーム面積:2〜10mm2
ビーム走査速度:2〜20mm/s
照射回数:1〜100回(連続または不連続)
高エネルギー照射処理した本発明に係るめっき析出ニッケルを含むサーメット皮膜には、以下に示すような特徴がある。
(I)皮膜表面の平滑化
高エネルギー照射によって上記のようにして形成されたサーメット皮膜表面の溶融現象は、セラミック粒子のみならず、めっき液から析出した金属ニッケルとも相互に融合一体化するため、皮膜表面は平滑化する傾向がある。例えば、後述する実施例の知見によると、大気プラズマ溶射法によって形成したAl2O3皮膜の表面は、最大表面粗さ(Ry)16〜32μmの範囲にあるが、照射後には(Ry)5〜15μm程度に平滑化することが確められている。
このような平滑化現象は、プラズマエロージョン損傷が皮膜表面の凸部を集中的に発生しやすい条件を軽減させ、エロージョン損傷が原因のパーティクルの発生と環境汚染の防止に効果を発揮することが期待できる。
一方、前記サーメット皮膜表面のセラミック粒子とめっき液から析出したニッケルとの溶融一体化現象は、皮膜表面の前述した平滑化とともに、開気孔部の消滅化にも効果がある。この際、高エネルギー照射条件によっては、セラミック粒子が溶融状態から冷却・凝固するとき、体積の収縮を伴なうため、皮膜表面に微細な割れが発生することがある。皮膜の内部に貫通気孔が存在すると、割れ部から薬剤や洗浄水などが内部へ侵入して基材表面に達して腐食し、これが原因で皮膜が早期に剥離するが、本発明では、皮膜内部の空隙部に金属ニッケルが充填されているため、薬剤や洗浄水などが内部へ侵入することはない。
なお、セラミック粒子のみの溶射皮膜表面を高エネルギー照射すると、冷却時の割れ発生率が高くなったり、割れが大きく成長するが、めっき液から析出した粒子状のニッケルが混在するサーメット皮膜表面では、サーメットの構成金属成分であるニッケルが延性を示すので、こうした割れの発生を抑制する効果がある。
めっき液から析出したニッケルは、大小さまざまな樹枝状結晶の集合体となって、電流の流れる方向に発達しつつ、セラミック溶射皮膜の内部の空隙部を埋め(充填)ながら、最終的に皮膜表面側へと成長していく。皮膜の表面に露出するまでに成長したニッケルもまた同じように結晶状態をしているが、これらのニッケルを高エネルギー照射して溶融させると、樹枝状結晶が完全に消滅し、方向性のない、熱力学的にも安定した結晶状態に変化する。このため高エネルギー照射処理によって溶融する皮膜表面近傍のNi金属は、樹枝状結晶に比較し、酸、アルカリなどに対する耐食性をはじめ、耐プラズマエロージョン性に優れた結晶となる。
ここでは代表的な酸化物セラミック粒子として、Al2O3とY2O3について説明する。
(b)Al2O3粒子
例えば、プラズマ溶射法で形成されたAl2O3溶射皮膜の結晶型をX線回折すると、溶射前の結晶型に関係なく、γ―Al2O3(立方晶型スピネル)を示すが、高エネルギー照射処理を施すと、大部分がα―Al2O3(三方晶系鋼玉型)に変態し、結晶レベルでは粒子の物理化学的性質は安定する方向へ移行する。
(c)Y2O3粒子
溶射用のY2O3粒子の結晶構造は、正方晶系に属する立方晶のものが多い、この結晶のY2O3粒子をプラズマ溶射すると、プラズマ熱源による急速加熱溶融と、基材表面での急速冷却の熱履歴を受けて、結晶構造が、立方晶(Cubic)の他に、単斜晶(mono clinic)を含む混晶からなる一次変態を行なう。この皮膜を高エネルギー照射処理を行なうと、正方晶系の結晶に二次変態し、前者に比較して安定した状態に移行する。
この実施例は、50mm×50mm×5mm厚さのAl(JIS H 4000規定の3003)基材にて、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法を用いてAl2O3、Y2O3、YAGの3種類の皮膜を80μmの厚さに被覆形成した。溶射皮膜の形成に当っては、アンダーコートとして、Ni−20Cr合金を80μm厚さに施工したものも準備し、アンダーコートの作用機構の影響の有無についても調査することとした。
(100)/Ar(1000)/O2(10)の混合ガスをCF4を1分間当り1cm3の流量で流した。
(2)プラズマ照射条件
高周波電力:1300W、圧力:133.3Pa
(3)試験結果
試験結果を表2に要約した。この結果から明らかなように、比較例の現行技術によるB4C皮膜(No.14)のエロージョン損傷量は最も多く、28μmに達した。ただ、このB4C皮膜であっても、Niめっきを施工すると損失量は50%に軽減できるので、Niめっきの効果が認められる。一方、Al2O3、Y2O3、YAGなど耐プラズマエロージョン性に優れる。
セラミック皮膜に施工したNiめっき処理試験片(No.1、3、5、7、9、11)では、エロージョン損傷量が6.0〜7.7の範囲にとどまり、Niめっき処理のない試験片(No.2、4、6、8、10、11、12)に比較しても、さらに高い耐プラズマエロージョン性を発揮していることがわかる。
この実施例では、Al2O3、Y2O3、8mass%Y2O3−92mass%ZrO2(以下、8YZと略記)プラズマ溶射皮膜に対するニッケルめっき処理と高エネルギー照射処理の効果をプラズマエロージョン損失量から調査した。
素材としてJIS H 4000規定のA1070Al板(寸法:50mm×50mm×5mm×厚さ5mm)を用い、ブラスト粗面化後、その表面に直接、前記3種類のセラミックスを大気プラズマ溶射法によって、厚さ120μmの溶射皮膜を被覆した。この皮膜を電気ニッケルめっき処理した後、高エネルギー照射処理を施す本願発明に適合する皮膜試験片とした。比較例として、電気ニッケルめっき処理を施さない溶射皮膜、また電気ニッケルめっき処理は施すものの、高エネルギー照射処理を行わない皮膜試験片を準備し、実施例1と同条件でプラズマエロージョン試験を行い、その損失量から耐プラズマエロージョン性を評価した。
この実施例では、ランタノイド系金属酸化物皮膜に対する電気ニッケルめっき処理と高エネルギー照射処理の耐食性と耐プラズマエロージョン性効果について実験した。
(1)基材
実施例1と同じAl合金Al3003を用いた。
(2)皮膜材料と溶射法
皮膜材料として下記のランタノイド系金属の酸化物を用いて、大気プラズマ溶射法により、基材表面に直接120μm厚さの皮膜を形成した。
皮膜材料:Sc2O3、CeO2、Eu2O3、Dy2O3、Er2O3
なお、比較用の皮膜材料として、12%Y2O3−88%ZrO2(数字はmass%)を120μm厚さに施工したものを準備した。
(3)電気ニッケルめっき処理
実施例1と同じめっき液・条件によって処理した。
(4)高エネルギー照射処理
供試セラミック皮膜の表面に対して、電子ビームおよびレーザビームを照射して、皮膜表面から5μmの深さまでの領域を完全に再溶融させた。
(5)腐食・損傷試験
この実施例では、薬剤に対する耐食性試験として、供試皮膜を5%NaOH水溶液中に40℃の条件で1時間浸漬し、皮膜の表面から発生する水素ガス気泡の有無を目視観察することによって、皮膜の緻密性を調査した。この試験では、基材の露出部は耐薬品塗料を塗り、NaOH水溶液は皮膜表面から内部へ侵入するように準備した。もし、皮膜の気孔からNaOH水溶液が内部へ侵入すると、基材(Al合金)と反応して水素ガスを発生するため、皮膜の封孔の可否を判断できるからである。
2Al +6NaOH → 2Na3AlO2 + 3H2
また、耐プラズマエロージョン試験は、実施例2の方法と同条件で評価した。
(6)試験結果
試験結果を表4に要約した。この結果から明らかなように、比較例の皮膜(No.16〜18)は高エネルギー照射の有無に拘らず、プラズマエロージョン損傷量が大きく、皮膜そののものに耐プラズマエロージョン性に乏しいことが判明した。その一方で、高エネルギー照射した皮膜表面では、気孔がなくなり、NaOH水溶液の内部への侵入を防いでいることがわかる。これに対して、ランタノイド系の金属酸化物皮膜(No.1〜15)は、優れた耐プラズマエロージョン性を示す一方、高エネルギー照射処理を施すことによって、NaOH水溶液の内部侵入を防ぎ、耐食性をも備える皮膜として実用できることを示した。NaOHの侵入に伴う基材との化学反応による水素ガスの発生が確認され、また、高エネルギー照射皮膜に比較するとエロージョン損傷量も多くなっていることがわかる。
この実施例は、SUS410鋼(寸法:50mm×50mm×3.2mm厚さ)試験片の片面をブラスト処理した後、その粗面化面に大気プラズマ溶射法によって、Al2O3、Y2O3、YAG、Ce2O3、Eu2O3を直接、120μmの厚さに形成したもの、およびNi−20Cr合金のアンダーコートを50μm厚に施工した上に、前記5種類の酸化物セラミック溶射皮膜を120μm厚さに積層した溶射皮膜試験片を準備した。さらにこれらの溶射皮膜試験片の一部(本発明例)については、溶射皮膜の空隙部に対して電気ニッケルめっきを行って析出した金属ニッケルを充填した。なお、電気ニッケルめっきには、表1記載のワット液を使用した。
この実施例では、セラミック溶射皮膜に対する電気Niめっき処理の有無と、皮膜の密着強さの関係を調査した。
試験片としてSS400鋼(寸法:直径25mm×厚さ5mm)の円形基材を用い、その両面をブラスト処理して粗面化状態にし、大気プラズマ溶射法によって、直接、またはNi−20Cr合金のアンダーコートを施工した後、Al2O3とYAG皮膜を厚さ120μmになるように被覆形成した。その後、表1記載のスルフォン酸液を用いた電気ニッケルめっき処理を行い、供試皮膜の密着強さをJIS H 8666規定のセラミック溶射皮膜の密着強さ測定方法に準じて調べた。
2 非導電性セラミック溶射皮膜
3 めっき金属
4 直流電源
(1) 溶射法によって形成されたY2O3、Al2O3などの酸化物セラミック溶射皮膜をはじめ、Ni、Ni−Cr合金などの溶射皮膜は、ハロゲンによるプラズマエッチング環境においては比較的良好な耐久性を示す。しかし、溶射皮膜には共通の欠点として貫通気孔の存在がある。このため、プラズマエッチング加工のようなドライプロセスでは問題となることの少ない貫通気孔が、ウエットプロセスでは、致命的な欠点となることが少なくない。
(2) 半導体加工装置では、プラズマエッチング加工などのドライプロセス専用であっても、加工の進展に伴なって、エッチングによって削り出された微細なパーティクルが装置内に集積して、これが原因となって高品質の半導体加工製品の生産が困難となってくる。このため、装置はしばしば酸、アルカリ、純水などを用いて洗浄する必要がある。このような装置の洗浄作業時において、これらの水溶液が、皮膜表面の貫通気孔を通って内部へ侵入し、基材及び皮膜のアンダーコートを化学的に腐食させ、被覆部材の耐久性を著しく短くする欠点がある。
(3) 前記溶射皮膜の欠点を改善するため、酸化物セラミックス溶射皮膜の表面に対して、電子ビーム・レーザービームなどの高エネルギーを照射し、溶射皮膜を構成している溶射粒子を相互に溶融・融合させて貫通気孔を消滅させる技術がある。溶射皮膜の再溶融技術は、皮膜表面の開口気孔(含貫通気孔)を、完全に消失するとともに、耐プラズマエロージョン性を向上させることができる。しかし、高エネルギー照射面では、溶射粒子の再溶融後の冷却過程における体積の収縮現象によって、皮膜表面に“ひび割れ”が発生し、これが新しい貫通気孔の役割を担うため、ウエットプロセスや洗浄作業に使用される各種薬液・洗浄水の皮膜内部への侵入を防止できない状況下にある。
(1)前記多孔質非導電性セラミック溶射皮膜は、貫通気孔と開気孔を含む気孔率0.2%〜30%の皮膜であること。
(2)前記導電性基材と多孔質非導電性セラミック溶射皮膜との間に、必要に応じて導電性金属のアンダーコートを設けること。
(3)前記非導電性セラミック溶射皮膜は、酸化物系セラミック、非酸化物系セラミックおよびそれらの混合物のうちから選ばれる1種以上の非導電性セラミックスを用いて形成すること。
(4)前記導電性基材は、金属か非導電性基材の表面に導電性金属膜を被覆したもののいずれかを用いること。
(5)前記導電性基材の表面に施工するアンダーコートは、Al、Al−Ni、Al−Zn、Ni−Cr、Ni−Cr−AlおよびFe−Crおよび自溶合金などから選ばれる1種以上の金属または合金を用いること。
(6)前記非導電性セラミック溶射皮膜は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、水プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、溶棒式フレーム溶射法、および爆発溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって被覆形成されること。
(8)前記アンダーコートは、アーク溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法およびプラズマ溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって被覆形成すること。
(9)前記非導電性セラミック溶射皮膜は、30〜1000μmの厚さにすること。
(10)前記基材の表面に形成されるアンダーコートは、10〜250μmの厚さにすること。
(11)前記高エネルギー照射処理によって形成される皮膜の再溶融現象による緻密表面層は、表面からの厚さが1〜30μmの範囲にあること。
本発明において用いられる溶射皮膜形成用の溶射材料は、非導電性の材料であることが必要であり、また、半導体の加工環境下で使用されるハロゲンおよびハロゲン化合物を含む気相中で発生するプラズマエロージョンに対しても優れた抵抗力を発揮するものが好適である。その非導電性の程度は、皮膜を形成した基材をニッケルめっき液中に浸漬して通電した際に、皮膜の表面に直接、めっき金属(ニッケル)が析出しないこと、例えば、ρ:1×10 5 Ωcm程度以上の電気抵抗率を示すことが目安となる。このような基準から、本発明方法への適用が可能になるセラミック溶射皮膜形成用溶射材料の代表的な例を列挙すると下記の通りである。なお、非酸化物系セラミックス粒子についても、大気中や空気(酸素)を含む環境などの溶射熱源中では、粒子の表面に電気抵抗の大きい酸化膜を生成するものであれば、本発明の目的に使用することができる。
Claims (16)
- 導電性基材の表面に、多孔質非導電性セラミック溶射皮膜を被覆形成し、次いで、その多孔質非導電性セラミック溶射皮膜を被覆した基材を電気ニッケルめっき液中に浸漬し、該セラミック溶射皮膜被覆基材を陰極として直流の電気めっき処理を行うことによって、該非導電性セラミック溶射皮膜の開気孔部から皮膜内部の気孔中に侵入させたニッケルめっき液からめっきニッケルを析出させてそれの充填状態を導くことにより、当該非導電性セラミック溶射皮膜をサーメット化させて、めっき析出ニッケル充填形サーメット皮膜に変え、次いで、このサーメット皮膜の表面を、電子ビームまたはレーザビームである高エネルギー照射処理して、皮膜表面を再溶融して緻密層を生成させることを特徴とする耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記多孔質非導電性セラミック溶射皮膜は、貫通気孔と開気孔を含む気孔率0.2%〜30%の皮膜であることを特徴とする請求項1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記導電性基材と多孔質非導電性セラミック溶射皮膜との間に、必要に応じて導電性金属のアンダーコートを設けることを特徴とする請求項1または2に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記非導電性セラミック溶射皮膜は、酸化物系セラミック、非酸化物系セラミックおよびそれらの混合物のうちから選ばれる1種以上の非導電性セラミックスを用いて形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるつサーメット皮膜の形成方法。
- 前記導電性基材は、金属か非導電性基材の表面に導電性金属膜を被覆したもののいずれかを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記導電性基材の表面に施工するアンダーコートは、Al、Al−Zn、Ni、Ni−Al、Ni−Cr−AlおよびFe−Crおよび自溶合金などから選ばれる1種以上の金属または合金を用いることを特徴とする請求項3に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記非導電性セラミック溶射皮膜は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、水プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、溶棒式フレーム溶射法、および爆発溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって被覆形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記アンダーコートは、アーク溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法およびプラズマ溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって被覆形成することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記非導電性セラミック溶射皮膜の厚さは、30〜1000μm、前記アンダーコートの厚さが10〜250μであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 前記高エネルギー照射処理によって形成される皮膜の再溶融現象による緻密表面層は、表面から1〜30μmの厚さを有するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜の形成方法。
- 請求項1〜10のいずれか1に記載の方法によって形成されるものであって、導電性基材と、その表面に被覆形成された多孔質非導電性セラミック溶射皮膜の気孔中に、電気ニッケルめっき処理時に析出するめっき析出ニッケルが充填されて得られた導電性のめっき析出ニッケル充填形サーメット皮膜とからなり、かつこのサーメット皮膜の表面には、高エネルギー照射処理して得られる再溶融した緻密表面層が形成されていることを特徴とする耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜被覆部材。
- 前記導電性基材と多孔質非導電性セラミック溶射皮膜との間に必要に応じて導電性金属のアンダーコートを設けることを特徴とする請求項11に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜被覆部材。
- 前記非導電性セラミック溶射皮膜は、酸化物系セラミック、非酸化物系セラミックおよびそれらの混合物のうちから選ばれる1種以上の非導電性セラミックスを用いることを特徴とする請求項11または12に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜被覆部材。
- 前記導電性基材は、金属か非導電性基材の表面に導電性金属膜を被覆したもののいずれかを用いることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜被覆部材。
- 前記導電性基材の表面に施工するアンダーコートは、Al、Al−Zn、Ni、Ni−Al、Ni−Cr−AlおよびFe−Crおよび自溶合金などから選ばれる1種以上の金属または合金を用いることを特徴とする請求項12に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜被覆部材。
- 前記非導電性セラミック溶射皮膜の厚さは、50〜5000μm、前記アンダーコートの厚さは10〜150μm、緻密表面層は表面からの厚さが1〜30μmであることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れるサーメット皮膜被覆部材。
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