JP2012054609A - シリコン太陽電池セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型化を図り、シリコンの使用量を少なくすると共に、合理的なプロセスを採用することにより、高効率で安価な太陽電池セルを製造する方法を提供すること。
【解決手段】リン拡散及びボロン拡散によって作製したn+-p-p+構造を有するシリコン太陽電池セルの両面にSiO2膜及びSiNx膜を形成し、受光面にグリッド電極、裏面に小さな多数の開口部を有する薄いAl電極をほぼ全面に渡って形成することによって、当該Al電極部に強いBSFとなるp++層を形成する。
【選択図】図8
【解決手段】リン拡散及びボロン拡散によって作製したn+-p-p+構造を有するシリコン太陽電池セルの両面にSiO2膜及びSiNx膜を形成し、受光面にグリッド電極、裏面に小さな多数の開口部を有する薄いAl電極をほぼ全面に渡って形成することによって、当該Al電極部に強いBSFとなるp++層を形成する。
【選択図】図8
Description
本発明は、ボロン拡散層を有するシリコン太陽電池セルの製造方法に関する。
まず、図1〜図3を参照しながら、最も一般的なシリコン太陽電池セルであるn+-p-p+ Al−BSF形について説明する。当該形式の太陽電池セルは、図1にその断面説明図を示すように、p形シリコン基板1のおもて面にリン(P)拡散によって形成されたn+層2、裏面にアルミニュウム(Al)電極7の焼成によって形成されるp+層3を持った、いわゆる、n+-p-p+構造のシリコンに、おもて面(受光面)にパッシベーション酸化膜4、その上に反射防止膜であるシリコン窒化膜(SiNx)5が形成されており、更に、電気を取出すための電極として、おもて面電極6及び裏面電極7が形成されている。
おもて面電極6は、図2に示すように、フィンガー電極61とバスバー電極62で構成されるグリッド形(櫛形)電極で、その材質は銀(Ag)ある。一方、裏面電極7は、図3に示すように、裏面Al電極7と銀アルミニウム(AgAl)合金の裏面パッド電極8で構成される。これらの電極はスクリーン印刷・乾燥機にてペースト材を使用して印刷し、乾燥した後、焼成炉にて焼成することによって形成される。焼成はピーク温度740〜780℃で行うが、裏面のほぼ全面に印刷したAlペースト中のAl原子が再結晶化時にシリコンに拡散して、裏面電界(Back Surface Field ;BSFと略す)を発生するp+層3を形成する。このp+層3は、Al濃度は1018/cm3のオーダー、深さは4〜5μmで、良好なBSFとなっている。
光照射によって発生した少数キャリアー(p形シリコンの場合は電子)の表面再結合速度を小さくするためのパッシベーション法としては、フッ酸(HF)溶液でリンガラス(以下、PSGという)膜をエッチングした後に、PE-CVD装置で受光面に反射防止膜となるSiNx膜5(膜厚約80nm)を形成する方法が一般的となっている。また、当該太陽電池セルは、前述のリン拡散時にリンゲッタリング及び電極焼成過程でAlゲッタリングが起こることから、シリコンバルク内での少数キャリアーのライフタイム向上が図られ、比較的高い性能(量産品での平均的変換効率は単結晶セルで16〜17%程度、多結晶セルで15〜16%程度)が得られる。このように、当該形式の太陽電池セルの製造方法は、非常に合理的な方法であるといえる。
しかし、当該形式の太陽電池セルでは、シリコン基板1を薄くした場合、電極焼成時の冷却過程でシリコン基板1と裏面のほぼ全面に形成される裏面Al電極7(焼成後膜厚15〜20μm)との熱膨張係数の差から、セルの湾曲が発生し、割れやクラックによる歩留まりの低下が起こってくる。更に、肉眼では観察されないマイクロクラックの発生も出てくるが、モジュール化工程や供用中に、このマイクロクラックが顕在化して割れを引起こす結果ともなる。従って、シリコン基板1の薄形化には限界があり、実質上200μm程度となっている。なお、当該形式の太陽電池セルにおいて、上記の課題を解決する方法として、裏面全面にAl-BSF層を形成する代わりに、高膜厚の部分Al電極の焼成による部分Al-BSF層を形成した開発例(特許文献4)などもある。また、当該太陽電池セルの変換効率の向上にも限界があり、専ら、高価なプロセスでのテクスチャー構造の改良等に開発の重点が置かれているのが現状である。
次に、本発明と同一あるいは類似形式の太陽電池セルとして、p形またはn形シリコン基板の一方の面にリン拡散によるn+層、反対面にボロン(B)拡散によるp+層を形成したn+-p-p+構造またはp+-n-n+構造を有するシリコン形太陽電池セルについて説明する。
当該形式の太陽電池セルは、裏面もおもて面と同様なグリッド形電極とすることによって、両面からの受光によって発電する両面受光形太陽電池セルとなるものであり、1980年頃から多数の研究報告(非特許文献1、2)が行われてきたが、高ライフタイムを有する良質のシリコン基板が要求されること、その製造プロセスが複雑になること等の理由から、その量産は行われてこなかった。しかし、最近ではこの形式の両面受光形太陽電池セルの製造技術の改良及びその応用技術の開発が行われてきて、その量産(特許文献3、非特許文献3,4)も始まっている。ボロン拡散(p形基板の場合)またはリン拡散(n形基板の場合)によってBSFを形成する場合は、シリコン基板が薄くなっても湾曲は発生しないので160μm以下の薄形化も可能である。
当該形式の太陽電池セルでは、シリコン基板の片側面にリン拡散、反対面にボロン拡散を施す必要がある。このため、一旦、両面にボロン拡散を行い、一方のボロン拡散面にレジスト膜を形成して反対面の拡散層をアルカリ溶液やHF/HNO3溶液でエッチングする処理法等(特許文献2、非特許文献5)が採用されてきたが、製造プロセスが複雑になりコスト高となるという大きな課題がある。このため、低コスト化を目的に、図4に示すように、2枚のp(n)形シリコン基板1(16)を対向させてウェーハボート9に装荷して非対向面だけを拡散する対向拡散法(特許文献1、非特許文献5)が適用される場合もある。しかし当該拡散法では、図5に示すように、特に当該基板周辺部への廻り込み拡散11は避けられず、これが当該太陽電池セルの性能低下の大きな要因の一つとなっている。また、拡散ソースをシリコン基板の片面に塗布して、ベルト炉で拡散する方法や拡散ソースをシリコン基板に塗布して、横型炉に対向させて装荷して拡散する方法も使用されるが、ベルト接触面側の反対面や横型炉使用時の対向面には、やはりその周辺部への廻り込み拡散は発生する。更に、ベルト炉によるボロン拡散の場合は、シリコン基板内部への重金属、特に鉄(Fe)汚染が起こり、シリコン基板の少数キャリアーのライフタイムを著しく低下させるという欠点もある。
最初に説明したn+-p-p+ Al-BSF形太陽電池セルでは、裏面はほぼ全面がAl電極に覆われていること及び深いBSF層が形成されていることから、裏面での少数キャリアーの再結合は十分に抑制されている。一方、当該形式の太陽電池セルでは、おもて面に加えて、裏面での表面再結合速度を如何に低減するかが重要な課題となってくる。そのための表面パッシベーション法としては、ボロンガラス膜(以下、BSG膜という)及びPSG膜除去後に、直接あるいはパッシベーション酸化膜を付けてから、その両面にPE-CVDによるSiNx膜を形成よる方法(非特許文献参5)が一般的に行なわれている。しかし、更なる性能向上のためには、単純な量産プロセス技術での、より優れたパッシベーション法が課題となっている。
前述のように、裏面のほぼ全面にAl電極を持つn+-p-p+ Al−BSF形太陽電池セルでは、裏面電極のオーミック抵抗による損失は、おもて面グリッド電極による損失と比べて無視できる値となっている。一方、当該形式の太陽電池セルの電極は、一般的に、p+層側にAgAlのグリッド電極、n+層側にAgのグリッド電極とするので、その長所とは裏腹に、p+層側(p形基板使用時は裏受光面)の電極のオーミック抵抗(接触抵抗及び導体抵抗)による損失がかなり大きなものとなり、当該太陽電池セルの変換効率はその分だけ低くなるという課題がある。即ち、両面ともグリッド形電極とする場合、それらのオーミック抵抗を如何に低減するかが大きな課題の一つとなっている。
なお、当該太陽電池セルと類似形式の薄形片面受光太陽電池として、p型シリコン基板にボロン拡散及びリン拡散によってn+-p-p+構造を作製し、受光面(n+層側)にグリッド形電極を形成し、裏面(p+層側)は電極抵抗を従来のn+-p-p+ Al−BSF形並みとするため全面Al電極を印刷し、焼成後の反りを低減するために400℃の低温で焼成した開発例(特許文献2)がある。この場合、焼成温度は低くしているのでAlによるBSF形成は起こらない。
R. B. Campbell et al; "The Fabrication and Analysis of Bif acial Solar Cells from Dendritic Web Silicon Substrates", J. Electrochem. Soc., SOLID-STATE SCIENCE AND TECHNOLOGY, Vol.134, No.12(1987)p.3160-3164
K. A. Muenzer et al; "Improvements and benefits of Crystalline Silicon solar Cells", Proc. Of 2nd World Conference and Exhibition on Photovoltaic Solar Energy Conversion(1998)p.1214-1219
上下利男他著、「両面受光型太陽電池の基本応用技術の開発」、電 学論B、123巻8号(2003)p.947-955
T. Uematsu et al; "Development of bifacial PV cells fornew applications of flat-plate modules", Solar Energy Materials & SolarCells 75 (2003) p.557-566
A. Kraenzl et al; "Bifacial solar cells on multi-crystalli ne silicon with boron BSF and open rear contact", Proc. of 4th World Confer ence and Exhibition on Photovoltaic Solar Energy Conversion, (2006)
W. P. Mulligan et al; "Manufacture of solar cells with 21% efficiency", Proc. of the 19th European Solar Energy Conference, (2004)
シリコン太陽電池セルの製造コストはシリコン基板が70〜75%を占めており、コスト低減のためにはシリコン基板の薄形化と変換効率の向上が不可欠である。一般的に普及しているn+-p-p+ Al-BSF形太陽電池セルでは薄形化は200μmが実質上の限界となっている。また、その量産ベースの変換効率は、ここ数年の間に向上してきているが、量産ベースの平均的変換効率は単結晶形で16〜17%、多結晶形で15〜16%程度である。本発明が解決しようとする課題は、更なるコスト低減を行うために、より薄形化(≦160μm)して高価なシリコンの使用量を軽減し、電極形成法として最も経済的なスクリーン印刷技術の適用を前提にした合理的なプロセスで、更に高効率化した片面受光形太陽電池セル及び両面受光形太陽電池セルを実現することである。
本発明は、p形またはn形シリコン基板の片方の面にリン拡散によるn+層、反対面にボロン拡散によるp+層を形成したn+-p-p+構造またはp+-n-n+構造を有するシリコン太陽電池セルの当該構造の製造方法において、第1ステップとして、ボロン拡散炉石英管内に2枚のシリコン基板を対向させて状態で装荷しておき、石英管内に拡散源の酸化硼素(B2O3)を導入してボロン拡散処理を行い、続いて酸素ガス(O2)を導入してボロン拡散に伴って拡散面に形成されるBSGをSiO2リッチの厚い膜に改質しておき、後述の第3ステップでのリン拡散時の廻込み拡散を抑止するマスク機能を高めておき、第2ステップとして、インライン式片面エッチング装置(ローラ式搬送系に基板を水平移動し、裏面側にフッ硝酸(HF/HNO3)溶液を当てる方式)を使用してフッ硝酸溶液にて対向面に生じた廻込み拡散及びシリコン酸化膜を除去し、第3ステップとして、拡散炉石英管内に上記処理したシリコン基板のボロン拡散面を対向させて装荷して石英管内に拡散源のP2O5を導入してリン拡散を行うか、またはリンソースを塗布してベルト炉でリン拡散を行うこと組合せたことを手段とする。
本発明は、ボロン拡散及びリン拡散によって形成されたn+- p- p+構造またはp+- n- n+構造を有するシリコン太陽電池セルの表面再結合の低減のためのパッシベーション法において、第一の手段として、拡散処理に伴って形成されたBSG膜及びPSG膜をフッ酸(HF)溶液で除去して純水洗浄した後、オゾン(O3)水に浸漬処理することによりシリコン基板表面に重金属汚染のない高品質の極薄シリコン酸化膜を形成し、第二の手段として、PE-CVD装置にてシリコン基板の両面に400〜450℃の温度でシリコン窒化(SiNx)膜を形成することを組合せたことを手段とする。
本発明は、ボロン拡散及びリン拡散によって形成された n+-p-p+構造またはp+-n-n+構造を有するシリコン太陽電池セルのボロン拡散面のグリッド形電極の形成方法において、まず、Al含有量2〜4重量%のAgAlペーストを使用して、乾燥後膜厚8〜10μmとなるグリッド形電極を印刷し、次に当該AgAl電極の上に、乾燥後膜厚24〜26μmとなるように、Agペーストを重ね塗り印刷して乾燥した後に焼成することを手段とする。
本発明は、上記の手段で作製されるn+-p-p+構造のシリコン及び上記パッシベーション法を適用した、あるいは、同様な製造方法で製造される電極形成前のn+-p-p+構造を有するシリコン太陽電池セルにおいて、受光面(n+層側)にはグリッド形Ag電極、裏面にはAgAlパッド電極及び当該AgAlパッド電極部以外(但し、パッド電極はAl電極と接合するため両端0.5μmの重複部がある)のほぼ全面に均一に、又は、多数の小さな開口部を有するパターンで、焼成後厚さ6〜8μm(従来のn+-p-p+ Al-BSF形の50%以下の膜厚)となる薄いAl電極を印刷し、焼成することによって、当該Al電極が覆った部分にB及び Alの拡散した強いBSF層となるp++ 層を形成することを手段とする。
本発明によれば、厚さ160μm以下の薄形で、且つ高効率の n+-p-p+ B-BSF形または p+-n-n+ P-BSF形太陽電池セル(両面受光形)を低コストで実現できる。また、従来形のn+-p-p+ Al-BSF形では達成できない、厚さ160μm以下の薄形で、且つ18%以上の高効率の新しい形式である n+-p-p++ B/Al-BSF形片面受光太陽電池セルが低コストで実現できる。
本発明によれば、上述のn+-p-p+ B-BSF形または p+-n-n+ P-BSF形の両面受光太陽電池セル及びn+-p-p++ B/Al-BSF形片面受光太陽電池セルが、消耗品である印刷機のスクリーンマスクの交換だけで、同一の製造設備で製造できるという効果がある。
本発明では、ボロン拡散及びリン拡散の順序で不純物熱拡散を行い、ボロン拡散には石英管方式の横型炉での対向拡散法を採用し、リン拡散には石英管方式の横型炉での対向拡散法またはベルト炉による拡散法を採用し、且つ、ボロン拡散後に酸素ガスを導入して生成されたBSG膜をSiO2リッチに改質しておき、その後のリン拡散時の廻込み拡散抑制のマスク機能を強化すること、及びボロン拡散後に廻込み拡散の生じた反対面を片面エッチング装置にて効率的にフッ硝酸溶液でエッチングした後にリン拡散を行うことによって、漏洩電流の少ない高品質のn+-p-p+またはp+-n-n+構造を経済的に作製できるという効果があ
る。
る。
本発明では、上述のn+-p-p+またはp+-n-n+構造を作製した後に、BSG膜及びPSG膜除去後の洗浄時にオゾン水に浸漬を行うことによって重金属汚染のない高品質の極薄酸化膜を形成し、その上に酸化炉によるパッシベーション酸化膜を形成し(割愛の場合ある)、更にPE-CVDにより400〜450℃で太陽電池セルの両面にSiNx膜を形成して電極焼成炉にて焼成するという複合的な表面パッシベーション方法によって、太陽電池セルの両面での少数キャリアー表面再結合速度を低減し、高効率化できるという効果がある。
本発明では、n+-p-p+ B-BSF形またはp+-n-n+ P-BSF形セルのp+層側電極形成において、まず乾燥後膜厚10〜12μm、Al含有量2〜4重量%のAgAl電極を印刷・乾燥し、その上に乾燥後膜厚20〜24μmのAg電極を印刷・乾燥した後、同時焼成することにより、p+層と良好なコンタクトをとる薄いAgAl電極層とAgAl電極より抵抗率の小さい(約60%)厚いAg電極層を重ねた2層構造の接触抵抗及び導体抵抗の小さい厚膜電極を実現できるので、当該電極によるオーミック抵抗損失を低減でき、より変換効率の高い両面受光太陽電池セルが得られるという効果がある。
本発明では、前述のボロン拡散及びリン拡散で作製した高品質のn+-p-p+構造を有するシリコン処理基板に、BSG及びPSGの除去後にオゾン水浸漬による重金属汚染のない良質の極薄酸化膜形成し、更に酸化炉によるパッシベーション酸化膜及びPE-CVDによるSiNx膜形成を形成するという複合的な両面の表面パッシベーション処理を行うこと、裏面(p+)側の電極として、そのほぼ全面に均一に、あるいは、多数の小さな開口部を有するパターンで、膜厚6〜10μmの薄いAl電極を形成することによって、薄形で高効率の新しい形式のn+-p-p++ B/Al-BSF形セルが実現できる。当該太陽電池セルは、厚さを160μm以下に薄くしても、Al電極が薄いこと及び電極焼成後の冷却時のAl電極の縮退をその多数の開口部で吸収するので、当該太陽電池セルの湾曲は十分抑制され、且つ裏面電極の抵抗が殆ど無視可能な値になること、当該Al電極部にBに加えてAlの拡散した深いp++層の強いBSFが形成されること、更に当該Al電極部に到達する長波長成分の光を反射させる機能を持つことから、前述した従来形のn+-p-p+ Al-BSF形では実現できない高効率の薄形太陽電池セルが低コストで実現できるという効果がある。
本発明の実施例1として、まず、図6(a)を参照しながら、p形シリコン基板を使用したn+-p-p+ B-BSF形太陽電池セルの構造について説明する。なお、n形シリコン基板を使用したp+-n-n+ P-BSF形太陽電池セルの構造は同図(b)に示すが、同様な説明となるので割愛する。
本発明を適用する太陽電池セルは、p形シリコン基板1のおもて面にリン拡散よって形成されたn+層2と裏面にボロン拡散によって形成されたp+層12を有している、いわゆる、n+-p-p+構造となっている。ここで、n+-p接合はダイオードを形成しており、p-p+接合はBSFを形成している。p形シリコン基板1のおもて面には、シリコン酸化膜(SiO2)4とその上にSiNx膜5が形成されており、裏面側には同じくシリコン酸化膜13とSiNx膜14が形成されている。
当該太陽電池セルで発生する電気を取り出すために、おもて面にはグリッド形Ag電極6が、裏面には膜厚7〜9μmの裏面第1層AgAl電極151と膜厚15〜18μmの裏面第2層Ag電極152が2層構成となった裏面グリッド電極15が形成されている。当該太陽電池セルは両面ともグリッド形電極となっているので、両面からの光照射で発電ができる両面受光太陽電池セルであり、また、裏面グリッド電極のフィンガーの幅拡大、本数の増加を行って抵抗を小さくした片面受光形太陽電池セルにすることもできる。本太陽電池セルは、従来のn+-p-p+ Al-BSF形太陽電池セルのような裏面全面に形成されるAl電極7(図3)がないため、160μm以下の薄形が実現できる。
一方、従来のn+-p-p+ Al-BSF形セルでは裏面電極のオーミック抵抗による損失はおもて面電極のそれに比べて無視できる値となるが、当該太陽電池セルでは裏面にも、図2に示すような、グリッド形電極を採用しているので、その損失が大きくなり、その分、おもて面入射時のセル変換効率が低くなるという短所がある。本発明では、裏面電極は、まず、ボロン拡散によるp+層12との良好なコンタクト(接触抵抗の低減)を取るため、乾燥後膜厚が10〜12μmとなるAl含有量2〜4重量%のAgAlペーストを印刷して、その上に抵抗率が低く(AgはAgAl合金の約60%)且つ半田濡れ性の優れたAgペーストを乾燥後膜厚20〜24μm で重ね塗り印刷して焼成した高膜厚の2層構成裏面グリッド形電極15とすることによって、当該電極によるオーミック抵抗損失を低減している。
なお、従来、p+層側に形成するAgAl電極は、モジュール化時のインターコネクションリボン電線の半田付けを行う際の半田濡れ性の観点からAl含有量は2%以下に抑えられていたが、本発明では、裏面第2層Agグリッド形電極152でより良好な半田濡れ性を確保するとともに、裏面第1層AgAlグリッド形電極151はボロン拡散によるp+層12とのより良好なコンタクトをとれるように、Al含有量を2〜4重量%に引き上げているという特徴がある。更に、従来のp+層側のAgAl電極の膜厚は15〜20μmであるが、重ね刷り印刷により、全膜厚は23〜27μmと厚くして、導体抵抗を低減している。
以上、本発明を適用した実施例1の太陽電池セルの構造上からの説明と特徴について述べたが、以下、図7を参照しながら、製造プロセス面から説明する。
本発明を適用するボロン拡散層を有するシリコン太陽電池セルは、下記のプロセス処理にて製造する。なお、当該太陽電池セルは両面受光形とするので、シリコン基板は少数キャリアーのライフタイムは100μs以上が望ましく、従って、その比抵抗は3〜8Ω・cmと高いものを使用する。
(1)ダメージ層除去とテクスチャーエッチング:高濃度アルカリ(NaOHまたはKOH)溶液によるシリコン基板のダメージ層除去した後、単結晶基板の場合は低濃度のアルカリ溶液(添加材含む)でランダムピラミッド形のテクスチャー、多結晶基板の場合はアルカリまたは酸によるテクスチャーの形成を行う。単結晶シリコン基板でのピラミッド状テクスチャーでは、主たるピラミッドの高さは2〜5μmで、反射率は9〜10%(波長800nmにて)となる。一方、多結晶のテクスチャーでは深さは約0.5μmと浅く、反射率は20〜25%(波長800nmにて)となる。
(2)ボロン拡散:前述し、図4に示すように、2枚のシリコン基板1を対向させてウェーハボート12に詰め、横型BBr3拡散炉に挿入して、拡散温度910℃〜930℃で、3臭化硼素(BBr3)、N2キャリアーガス及びO2ガスを導入してシート抵抗65〜80Ω/□のボロン拡散を行う。拡散終了でBBr3ガスの供給を停止し、10〜20分のアフターパージ及びボロン(B)の拡散プロファイル(深さ方向の不純物濃度分布)を調整するためのドライブ処理を行う。引き続いて、O2ガス供給量を増加させて、シリコン基板1の表面に形成されたBSG膜10をSiO2リッチに改質して膜厚85〜95nmとする。このBSG改質の目的は、改質されたBSG膜10が後述のプロセス(4)の対向リン拡散(または、ベルト式拡散炉での拡散)時に対向面(または、ベルト接触面)へのリンの廻り込み拡散を抑制するマスクの効果を持たせるためである。リン拡散のマスクとするSiO2膜の必要な厚さは、後述のリン拡散温度と拡散時間では約60 nm であるが、BSG膜10はポーラスであり、そのままではリンの廻込み拡散が起こってしまうが、改質したBSG10はシリコン基板1の廻込み拡散に対するマスク効果を十分果たすことができる。なお、ボロン拡散は他の液体ソース3臭化塩素(BCl3)や固体ソースの窒化硼素(BN)でも良い。
(3)おもて面エッチング:プロセス(2)のボロン拡散では、対向面への廻り込み拡散の僅少化を図るため種々の手段が講じられるが、前述のようにシリコン基板1の周辺部に幅1〜3 mmの廻込み拡散による薄いBSGによる変色部11が生じるとともに、その内側に端部から4〜8 mmの近辺まで有為な電気的性能が低下する領域ができることは避けられない。更に、シリコン基板1は拡散炉から取出す過程及び炉外に出した時は高温状態で空気に晒されるため、その対向面にもある程度の酸化が生じてシリコン酸化膜(SiO2)ができる。このボロンの廻り込み拡散及びシリコン酸化膜のある状態でリン拡散を行ってn+−p 接合をつくると、この接合(ダイオード)はかなりの漏洩電流を生むばかりでなく、電極形成時に太陽電池セルのシャント分抵抗となるポテンシャルが出てくる。
片面エッチングの方法は種々あるが、本発明では最も経済的なプロセスとして、最近、ドイツ国Schmid社やRENA社等が開発・販売しているような、インライン式片面エッチング装置(ローラ式搬送系に基板を水平移動し、裏面側にHF/HNO3溶液を当てる方式)を適用することを特徴とする。本装置を使用して、おもて面だけを比較的低濃度のHF/HNO3溶液(49%HF:65%HNO3:DIW=1:1:5〜10)で0.2〜0.4μmエッチングする。BSG膜10は吸湿性を有するが、SiO2リッチに改質したBSG膜は十分な耐湿性能を持つという効果もある。
(4)リン拡散:ボロン拡散処理をしたシリコン基板1を、ボロン拡散面を対向させてウェーハボート9に詰めて横型POCl3拡散炉に挿入して、拡散温度850〜880℃、拡散時間35〜40分で、リン拡散を行う。おもて面エッチングを行わない場合は、周辺部にボロンの廻り込み拡散が発生するため、リン拡散深さまでn形特性を保つためにB密度を超えるP密度とする必要がありシート抵抗は低め(40〜45Ω/□)とせざるを得ない。しかし、上記の片面エッチングで廻込み拡散は適切にエッチングされるので、良好なセル特性を得る高めのシート抵抗(60Ω/□以上)での拡散が可能となる。また、対向面(ベルト炉の場合はベルト接触面)のボロン拡散面は改質BSG膜10で保護されるのでリンの廻り込み拡散は大幅に抑制できる。更にシリコン基板1の当該面のSiO2膜も除去しているので、良好な拡散性能が得られ、n+-p接合近辺の酸素原子の低減も図られる。
(5)BSG/PSG除去とオゾン洗浄:ウェットステーションを使用して、5%HF溶液にてBSG膜及びPSG膜の除去と純水洗浄を行った後、最終段の槽で、濃度10〜15ppmのオゾン(O3)溶液に浸漬してシリコン基板1の表面の洗浄及び重金属汚染のない高品質の20〜30Åの極薄シリコン酸化膜を形成する。重金属汚染は太陽電池セルの再結合中心となって、キャリアーの表面再結合速度を大きくする要因となっているものであり、BSG/PSG除去と同時に高品質のシリコン酸化膜を形成することによって、後続のプロセスでの汚染要因の影響をも僅少化できるものである。
(6)接合分離:コインスタック状に前記基板1をマガジンに詰めてプラズマエッチャー(CF4ガス使用)にて基板端部を50〜100μmエッチングして接合分離を行う。なお、当該接合分離は、プロセス(5)のBSG/PSG除去とオゾン洗浄前に行っても良いし、また、後述のプロセス(10)の電極焼成後にレーザスクライバーで行っても良い。
(7)SiNx膜形成:プラズマをシリコン基板の上部に発生させるプロセスチェンバーとシリコン基板の下部に発生させるプロセスチェンバーを有するダブルチェンバー方式のPE-CVDにて、400℃〜450℃で当該シリコン基板1の両面にSiNx膜5、14を成膜する。当該SiNx膜5、14は、厚さ75〜85nm、屈折率2.1〜2.3とすることによって、反射率は単結晶基板で波長800nmにおいて1〜3%、多結晶基板で6〜10%が得られる。当該SiNx膜5、14は反射防止膜機能の他、成膜時及びその後の電極焼成時に当該膜中の水素原子の働きで太陽電池セルの表面パッシベーション(多結晶シリコン基板の場合はバルクパッシベーション効果もある)が起こることが良く知られている。前述のプロセス(5)でのシリコン基板1の表面に高品質のSiO2膜4、13を形成している効果と相俟って良好なパッシベーション効果を上げるものである。
(8)おもて面電極形成:太陽電池セルの性能を上げるためには、フィンガー電極61(図2)の幅は95〜100μmと細くして電極の影による損失を減らすとともに、そのオーミック抵抗を減らすために膜厚は大きくする必要がある。一般的には1回の印刷で行うが、この場合は、その焼成後膜厚は一般的には15〜18μmの範囲となる。従って、高膜厚を実現するために、印刷・乾燥装置は画像認識装置付の高精度位置決め機能を有する2段構成の印刷・乾燥装置を適用して、まず、1段目印刷乾燥装置でおもて面Agグリッド形電極6(フィンガー電極61とバスバー電極62より構成)を印刷乾燥し、続いて、2段目印刷乾燥装置を使用して、重ね塗りで印刷乾燥し、乾燥後膜厚が34〜36μmの高膜厚なものとする。プロセス(10)の焼成で、ペースト中のバインダーが飛散して焼締まりが起こり、焼成後膜厚は乾燥後膜厚の75〜80%になるので、焼成後膜厚は25μm以上が確保できる。
(9)裏面電極形成:当該太陽電池セルは両面受光形であり、裏面電極は、おもて面電極と同様に、グリッド形電極(図2)とする。裏面電極形成用の印刷・乾燥装置は2段構成として、初段の印刷・乾燥機で乾燥後膜厚10〜12μmの薄いAgAl電極151を印刷・乾燥した後、第2段の印刷・乾燥機でその上に乾燥後膜厚20〜24μmのAg電極152を重ね刷り印刷する。後述のプロセス(10)の焼成により、焼成後膜厚は23〜27μmを得るようにする。
本発明では、p+層12への良好なコンタクト(接触抵抗の低減)を確保するため第1層はAl含有量2〜4重量%のAgAl電極としている。一方、AgAl電極は合金であるためその抵抗率は6.0μΩcm程度と高くなるので導体抵抗は大きくなる。従って、フィンガー電極61の導体抵抗を小さくするため、第1層AgAlグリッド形電極151は焼成後膜厚で10〜12μmと薄くして、その上の第2層に抵抗率が約3.6μΩcmである第2層Agグリッド形電極152を焼成後膜厚20〜24μmと厚くして2層構成の厚膜の電極とすることによって導体抵抗の低減を図ったものである。
また、本発明では、裏面第2層Agグリッド形電極152はAg電極としているので、半田付け性能は良好となり、モジュール化時のインターコネクションリボン電線の半田付けが容易となるので薄形セルの割れのポテンシャルを低減している。なお、従来のAgAl電極は、半田濡れ性が保てるAl含有量として1〜2重量%としている。
当該太陽電池セルを両面受光形として製作する場合は、裏面も受光面となるので、フィンガー電極の設計はおもて面電極と同等な幅とする。一方、当該太陽電池セルを片面受光形とする場合は、裏面電極の影による光損失は考える必要がないので、フィンガー幅は少し大きくし、且つ、本数は多くすることによってオーミック抵抗を低減する。また、片面受光形では、p形シリコン基板1の少数キャリアーのライフタイムは10μs以下で良いので、その比抵抗は1〜3Ω・cm と低いものとすることができ、抵抗による損失は更に小さくすることができる。
(10)電極焼成:シリコン酸化膜4、13及びSiNx膜5、14をファイアースルーして、且つ、n+層及びp+層を突き抜けず良好なコンタクトを実現するために、ピーク温度750〜780℃の急峻な温度プロファイルで両面の電極を同時に焼成する。この焼成過程で、前述のSiNx膜5,14中の水素が更にパッシベーションを進展させる効果がある。
本発明の実施例2として、前記のn+-p-p+構造のシリコン基板をベースとした薄形高効率の新しい形式であるn+-p-p++ B/Al-BSF形太陽電池セルの構造について、図8〜11を参照しながら説明する。
当該太陽電池セルは、図8にその断面構造説明図を示すように、p形シリコン基板1のおもて面側にリン拡散によるn+層2、裏面側にボロン拡散によるp+層12及び、図8、10に示すように、多数の小さな開口部21を有して、裏面AgAlパッド電極22以外の裏面のほぼ全面に形成される裏面Al電極20が覆ったシリコン部分に当該Al電極20の焼成に伴って形成されるBとAlによるp++層19を有している。この処理されたシリコン基板1のおもて面にはSiO2膜4と更にその上にSiNx膜5が形成されており、裏面には同じくSiO2膜13とSiNx膜14が形成されている。電極は、おもて面にはグリッド形Ag電極6、裏側には前記の裏面Al電極20及び裏面AgAlパッド電極22が形成されている。
おもて面フィンガー電極の長さ方向での断面説明図である図11を使用して当該太陽電池セルの電極構成を説明する。おもて面グリッド形電極6(フィンガー電極61とバスバー電極62から構成)は実施例1と同様に2回重ね塗り印刷によって膜厚は25μm以上としている。一方、裏面電極は、第1の印刷乾燥装置によって印刷した、焼成後膜厚6〜10μmの多数の小さな開口部を有する裏面Al電極20と、第2の印刷乾燥装置によって印刷した焼成後膜厚18〜22μmの裏面パッド電極22から構成されている。
次に、当該太陽電池セルをその製造プロセス面から、前述の図7及び図9〜11を参照しながら詳細に説明する。
当該太陽電池セルは、前記の実施例1のn+-p-p+ B-BSF形太陽電池セルのプロセス(8)おもて面電極印刷・乾燥までは全く同じプロセスで製造される。但し、当該太陽電池セルは片面受光セルであるので、使用するシリコン基板の少数キャリア(電子)のライフタイムは短くてよいので、その比抵抗は1.0〜4.0Ω・cmとすることによって、太陽電池セルのシリコンバルク部の抵抗を低減する。
プロセス(9)裏面電極印刷乾燥では、まず第1の印刷・乾燥装置で、図9にそのパターン例を示すように、多数の小さな開口部21を有した裏面Al電極20を乾燥後膜厚8〜12μmの薄い膜厚で印刷・乾燥する。本実施例では、開口部は直径1.5〜2.5 mm円形としたが、開口部の形状は必ずしも円形である必要はない。前述したように、単結晶シリコン基板の場合はテクスチャーのピラミッドの高さが3〜5μmであるので、これをカバーする膜厚とし、焼成後膜厚6〜10μm(単結晶のn+-p-p+ Al-BSF形太陽電池セルでは15〜20μm)、即ち、焼成前膜厚8〜12μmで形成する。なお、多結晶シリコン基板の場合はテクスチャーの深さが浅いので焼成後膜厚は更に小さくすることができる。次に第2の印刷・乾燥装置で、図10に示すように、裏面AgAlパッド電極22を裏面Al電極20と0.4〜0.6 mm重ねた幅で、乾燥後膜厚18〜22μmで印刷・乾燥する。
ステップ(10)では、ピーク温度750〜780℃の急峻な温度プロファイルで両面の電極を同時に焼成する。この焼成によって、おもて面グリッド形電極6はSiNx膜及びSiO2膜をファイアースルーして焼き締められ、膜厚は乾燥後膜厚の75〜80%になる。また、裏面Al電極20及び裏面パッド電極22は焼成過程で、図8及び図11に示すように、当該裏面Al電極20に覆われた部分のシリコン基板には、ボロン拡散によるp+層12の上に、更にAl原子が拡散した深いp++ 層19が形成され、強力なBSF層となる。また、裏面Al電極20の焼成に伴い太陽電池セルの活性領域であるシリコンバルク内の結晶格子間に入り込んだ重金属(特にFe)をp++ 層19と当該裏面Al電極20の界面にゲッタリングし、少数キャリアーのライフタイムを向上させる。更に、両面に成膜したSiNx膜5、14の中に含まれる水素の効果で両面の表面パッシベーション及び多結晶基板の場合はバルクパッシベーションが進展する。なお、裏面Al電極20の焼成で、前述のp++層19の上にSiAl合金層ができ、長波長成分の光をシリコン内部へ反射する効果も出てくる。
本実施例2の太陽電池セル特有のBとAlによるp++層19について少し考察してみる。拡散温度910〜930℃でのボロン拡散(ドライブイン処理含む)によるp+層12の深さは凡そ0.4μmで、表面近傍のB濃度は凡そ1×1020 atoms/cm3である。一方、n+-p-p+ Al-BSF形セルでのAl電極印刷・焼成によるp+ 層3(図1)は、電極印刷・焼成時のAlペーストの組成及び膜厚、焼成温度パターンに影響されるが、n+-p-p+ Al-BSF形セルでの一般的な条件、即ち、Al電極7(図1)の焼成前厚さ20〜25μm、焼成ピーク温度約750℃では、その深さは4〜6μmで、Al濃度は1018 atoms/cm3のオーダーである。本発明のn+-p-p++ B/Al-BSF形太陽電池セルでは裏面Al電極20の焼成前の膜厚は8〜12μmと薄いものとするので、p++ 層19の深さは若干浅い3〜4μmになると推定され、BとAlの合計濃度は1019のオーダーであると考えられる。従って、当該太陽電池セルのBSF層は、裏面Al電極20に覆われた部分(裏面全体の15〜20%)は深いp++ 層19、その他の部分は裏面AgAlパッド電極22の部分(裏面全体の3%以上を占め、従来形のAl-BSFではこの部分にはBSFは形成されない)を含めてボロン拡散による浅いp+層12として形成できるという特徴がある。
また、裏面電極のオーミック抵抗(接触抵抗及び導体抵抗)は、裏面の75〜80%をAl電極20が覆っているので、おもて面電極によるオーミック抵抗による損失と比較して、殆ど無視できるレベルとすることができる。
すなわち、本実施例2の太陽電池セルは、従来形のn+-p-p+ Al-BSF形太陽電池セルの持つ特長とn+-p-p+ B-BSF形太陽電池セルの持つ特長を上手く融合さて、新しい形式の薄形高効率太陽電池セルを低コストで実現させるものである。
なお、本発明の実施例2では前記裏面Al電極は多数の小さな開口部を有するパターンと
したが、シリコン基板の厚さが180μm以上の場合にあっては前記開口部を設けない設計も
可能である。また、この場合は、裏面SiNx膜14は割愛できる。
したが、シリコン基板の厚さが180μm以上の場合にあっては前記開口部を設けない設計も
可能である。また、この場合は、裏面SiNx膜14は割愛できる。
太陽電池セルは大別して、シリコンバルク形と薄膜形等がある。現在、前者は全生産量の80%以上を占めており、その中でもプロセスが簡単であるn+-p-p+ Al-BSF形が圧倒的割合を占めている。シリコン形太陽電池セルはコスト低減のため、効率向上、薄形化及び生産規模拡大、が精力的に行われているが、それらには大きな課題が存在する。本発明による太陽電池セルはn+-p-p+ Al-BSF形太陽電池セルとほぼ同等な単純な量産プロセスで、薄形且つ高効率を達成できるものであり、今後のシリコン形太陽電池の主流製品の一つとなり得ると考えられる。
1 p形シリコン基板
2 リン拡散によるn+層
3 Al拡散によるp+層
4 おもて面シリコン酸化膜
5 おもて面SiNx膜
6 おもて面グリッド形電極
61 フィンガー電極
62 バスバー電極
7 裏面Al電極
8 裏面パッド電極
9 ウェーハボート
10 ボロンガラス(BSG)
11 廻込み拡散による変色部
12 ボロン拡散によるp+層
13 裏面シリコン酸化膜
14 裏面SiNx膜
15 2層構成裏面グリッド形電極
151 裏面第1層AgAlグリッド形電極
152 裏面第2層Agグリッド形電極
16 n形シリコン基板
17 裏面Agグリッド形電極
18 2層構成おもて面グリッド形電極
181 おもて面第1層AgAlグリッド形電極
182 おもて面第2層Agグリッド形電極
19 BとAlによるp++層
20 n+-p-p++ B/Al-BSF形セルの裏面Al電極
21 n+-p-p++ B/Al-BSFセルの裏面Al電極開口部
22 n+-p-p++ B/Al-BSF形セルの裏面AgAlパッド電極
2 リン拡散によるn+層
3 Al拡散によるp+層
4 おもて面シリコン酸化膜
5 おもて面SiNx膜
6 おもて面グリッド形電極
61 フィンガー電極
62 バスバー電極
7 裏面Al電極
8 裏面パッド電極
9 ウェーハボート
10 ボロンガラス(BSG)
11 廻込み拡散による変色部
12 ボロン拡散によるp+層
13 裏面シリコン酸化膜
14 裏面SiNx膜
15 2層構成裏面グリッド形電極
151 裏面第1層AgAlグリッド形電極
152 裏面第2層Agグリッド形電極
16 n形シリコン基板
17 裏面Agグリッド形電極
18 2層構成おもて面グリッド形電極
181 おもて面第1層AgAlグリッド形電極
182 おもて面第2層Agグリッド形電極
19 BとAlによるp++層
20 n+-p-p++ B/Al-BSF形セルの裏面Al電極
21 n+-p-p++ B/Al-BSFセルの裏面Al電極開口部
22 n+-p-p++ B/Al-BSF形セルの裏面AgAlパッド電極
Claims (2)
- 少なくとも、p形シリコン基板の第1の面にリンを熱拡散することによってn+層を形成する工程、前記p形シリコン基板の第1の面と反対側の第2の面にボロンを熱拡散することによってp+層を形成する工程、該p+層の上にシリコン酸化膜、更に該シリコン酸化膜の上にアルミニウム電極を形成する工程を含むシリコン太陽電池セルの製造方法において、
前記第1の面にリンを熱拡散することによってn+層を形成する工程、及び前記第2の面にボロンを拡散することによってp+層を形成する工程が、
前記シリコン基板2枚を前記第1の面を対向させてボロン拡散炉内に装荷して、前記第2面にボロンを熱拡散し、続いて、酸素ガスを導入してボロン拡散に伴って拡散面に形成されるボロンガラス膜をSi02リッチの膜に改質する工程と、
前記ボロン拡散シリコン基板の裏面側にフッ硝酸溶液を当てる方式のインライン式片面エッチング装置を使用して、前記第1面へのボロン廻り込み拡散部分を除去する工程と、
前記ボロン拡散シリコン基板2枚を、前記第2の面を対向させて、前記第1の面にリンを熱拡散する工程とから成り、
さらに、前記アルミニウム電極を形成する工程が、
前記シリコン酸化膜の上に、アルミニウム電極を印刷・乾燥させ、その後、ピーク温度750〜780℃の急峻な温度プロファイルで焼成することにより、アルミニウム電極が覆っている部分にボロン及びアルミニウム拡散によるp++層を形成する工程から成ることを特徴とするシリコン太陽電池セルの製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法において、前記アルミニウム電極が、多数の開口部を有し、ピーク温度750〜780℃の急峻な温度プロファイルで焼成することにより、アルミニウム電極が覆っている部分にボロン及びアルミニウム拡散によるp++層を形成させ、それ以外の部分にボロン拡散によるp+層を形成させることを特徴とするシリコン太陽電池セルの製造方法。
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