JP2012052091A - フォトクロミック組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリカーボネート樹脂などからなる光学シートを接合するための接着層をして機能するフォトクロミック性組成物であって、該組成物を用いて製造した積層体が、優れた密着性、耐熱性、フォトクロミック性を示すようなフォトクロミック性組成物を提供する。
【解決手段】 たとえば、ポリオール化合物(A1成分)と、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(A2成分)と、ジアミンのような分子内に2つ以上のイソシアネート基と反応する基を有し、その内1つ以上がアミノ基であるアミン化合物(A3成分)を反応させて得られるポリウレタン−ウレア樹脂(A成分)と、フォトクロミック化合物(B成分)を含んで成るフォトクロミック組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フォトクロミック性接着剤、特にポリカーボネート樹脂製の光学シート又はフィルムどうしを接合するためのフォトクロミック性接着剤として好適に使用できる新規なフォトクロミック組成物に関する。また、本発明は、該フォトクロミック組成物からなる接着層を介して光学シート又は光学フィルムが互いに接合されてなる積層構造を含む光学物品に関する。
近年米国を中心として、防眩性を有するサングラスなどに、透明で優れた耐衝撃性を有するポリカーボネートを用いたプラスチック基材の需要が急速に高まっている。そして、このようなプラスチック製サングラスにおいては、フォトクロミック色素と組み合わせることによって、周囲の明るさに応じて透過率が変化することにより防眩性を調節できるプラスチック製フォトクロミックサングラスが急速に人気を得ている。
しかしながら、プラスチック製フォトクロミックサングラスの加工は、必ずしも容易ではない。たとえば、アクリレートコポリマーにフォトクロミック剤を添加したフォトクロミック性塗料を用いてポリカーボネートフィルム表面にフォトクロミック性被膜を形成した複合フィルムを内部に装着した金型内にポリカーボネート樹脂を射出成形する方法(特許文献1参照)では、良好なフォトクロミック特性を有するサングラスを得ることは困難であった。また、フォトクロミック特性の良好な合成樹脂積層体を製造する方法として、連続的に移動する、ポリカーボネートシートなどの透明な合成樹脂層の片面にフォトクロミック特性を有する樹脂層を連続的に塗布し、次に該樹脂層の乾燥を行った後に他の透明な樹脂層を貼り合わせる方法が提案されている(特許文献2、及び特許文献3参照)。しかし、これらの方法には、上記フォトクロミック特性を有する樹脂層を形成するために使用する樹脂組成物(具体的にはポリウレタン樹脂組成物)が、テトラヒドロフランや、トルエンといった溶剤を含むため、該樹脂組成物をポリカーボネートシートなどの透明な合成樹脂層に塗布した際に、透明な合成樹脂層が溶解してしまい、外観不良が生じたり、ウレタン樹脂中に溶出した合成樹脂によってフォトクロミック特性が低下したりするという問題があった。
また、前記特許文献1に記載された方法において、前記複合フィルムに代えて“フォトクロミック色素を含有するポリウレタン樹脂接着層によりポリカーボネートシートを接合した積層シート”を用いる方法がある(特許文献4及び特許文献5参照)。しかし、この方法では、上記積層シートにおけるポリカーボネートシートの密着性や耐熱性が不十分であった。このため、上記積層体を金型に装着し、次いで該金型にポリカーボネート樹脂を射出成形することによって光学物品を製造した場合、得られる光学物品において剥離が生じたり、光学歪が生じたりするといった問題があった。
特開昭61−5910号公報 WO2002/099513号公報 特開2002−196103号公報 特表2003−519398号公報 米国特許出願公開第2004−096666号公報
本発明の目的は、第一に、光学シート又はフィルムを接合するときの接着層として使用した場合に、優れた密着性、耐熱性を有し、優れたフォトクロミック性を発揮するフォトクロミック組成物を提供することである。
また、本発明の第二の目的は、光学シート又はフィルム上がフォトクロミック性を有する接着層により接合された積層構造を含んでなる光学物品であって、該積層構造における優れた密着性、並びに優れた耐熱性および優れたフォトクロミック特性を有する光学物品を提供することである。
さらに、本発明の第三の目的は、上記したような光学物品を製造するに当たり、光学シート又はフィルムとしてポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂からなるものを使用した場合であっても外観不良を起こすことなく光学物品を製造することができる方法を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決すべく、フォトクロミック性ポリウレタン樹脂接着層の構造と得られる光学物品の特性との関係について鋭意検討を行った。その結果、(1)ポリウレタン−ウレア樹脂を使用して形成したフォトクロミック性ポリウレタン樹脂接着層を用いた場合には、得られる積層体の密着性、耐熱性、フォトクロミック性およびその耐久性などが優れたものとなること、並びに(2)溶媒を使用しないで上記フォトクロミック性ポリウレタン樹脂接着層を形成するか、或いは溶媒を用いてキャスト膜を形成してから乾燥(溶媒除去)することによって上記フォトクロミック性ポリウレタン樹脂接着層となる“ポリウレタン−ウレア樹脂と、該ポリウレタン−ウレア樹脂中に分散したフォトクロミック化合物と、を含んでなるフォトクロミック接着性シート”を別途準備し、該“フォトクロミック接着性シート”を用いて積層体を製造した場合には、溶媒による悪影響が回避でき、フォトクロミック性が低下しないこと、を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔9〕に示されるものである。
〔1〕 (A)分子鎖中にウレア結合を有するポリウレタン−ウレア樹脂、並びに(B)フォトクロミック化合物を含んでなることを特徴とするフォトクロミック組成物。
〔2〕 前記(A)ポリウレタン−ウレア樹脂が、(A1)ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリエステルポリオールより選ばれる少なくとも1種のポリオール化合物と、(A2)分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、(A3)ジアミン、トリアミン、アミノアルコール、アミノカルボン酸、およびアミノチオールより選ばれる少なくとも1種のアミノ基含有化合物と、を反応して得られるポリウレタン−ウレア樹脂である前記〔1〕に記載のフォトクロミック組成物。
〔3〕 前記ポリウレタン−ウレア樹脂を得るに際して使用する前記成分(A1)、(A2)および(A3)の量比が、前記成分(A1)に含まれる、“イソシアネート基反応しうる官能基”の総数をn1とし、前記成分(A2)に含まれるイソシアネート基の総数をn2とし、前記成分(A3)に含まれる、“イソシアネート基反応しうる官能基”の総数をn3としたときに、n1:n2:n3=0.3〜0.9:1:0.1〜0.7となる量比である前記〔2〕に記載のフォトクロミック組成物。
〔4〕 前記(A2)ポリイソシアネート化合物の30質量%以上が脂肪族ポリイソシアネート化合物である前記〔1〕乃至〔3〕の何れか一に記載のフォトクロミック組成物。
〔5〕 前記(B)フォトクロミック化合物の含有量が、前記(A)ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部である前記〔2〕又は〔3〕に記載のフォトクロミック組成物。
〔6〕 前記(A)ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して5〜900質量部の(C)有機溶媒を更に含んでなる前記〔5〕に記載のフォトクロミック組成物。
〔7〕 互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムが前記〔1〕乃至〔4〕の何れか一に記載のフォトクロミック組成物からなる接着層を介して接合されてなる積層構造を含んでなる光学物品。
〔8〕 前記積層構造における、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムの少なくとも一方が、ポリカーボネート樹脂よりなることを特徴とする前記〔7〕に記載の光学物品。
〔9〕 前記〔8〕に記載の光学物品を製造する方法であって、(I)平滑な基材上に前記〔6〕に記載のフォトクロミック組成物を延展せしめた後に乾燥することにより(C)溶媒を除去し、(A)ポリウレタン−ウレア樹脂と、該(A)ポリウレタン−ウレア樹脂中に分散した(B)フォトクロミック化合物とを含んでなるフォトクロミック接着性シートを準備する工程、および(II)互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムの間に上記フォトクロミック接着性シートを介在させて該2枚の光学シート又は光学フィルムを接合することにより前記積層構造を作成する工程、を含んでなることを特徴とする方法。
本発明のフォトクロミック組成物は、接着剤またはバインダーとして機能し、該組成物からなる接着層によりポリカーボネート樹脂などからなる光学シート又はフィルムを接合して積層体を製造した場合、得られた積層体は優れた密着性およびフォトクロミック特性を示す。さらに、上記接着層は優れた耐熱性を示すため、上記積層体を金型に装着し、次いで該金型にポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形することによって光学物品を製造した場合でも密着性やフォトクロミック特性が低下し難く、光学歪が生じ難い。
また、本発明の方法によれば、光学シート又はフィルムとして耐溶剤性に劣るポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂からなるものを使用しても、溶媒による悪影響が回避できるので、フォトクロミック性を低下させることがない。
本発明のフォトクロミック組成物は、(A)分子鎖中にウレア結合を有するポリウレタン−ウレア樹脂(以下、単に成分Aともいう。)、並びに(B)フォトクロミック化合物(以下、単に成分Bともいう。)を含んでなることを特徴とする。以下、これら成分AおよびBについて説明する。
A成分:ポリウレタン−ウレア樹脂
従来のフォトクロミック性接着剤又はバインダーに使用されているポリウレタン樹脂は、1,4−ブタンジオールなどのジオール化合物を用いウレタン結合で鎖延長されるウレタン樹脂であり、該樹脂の分子中にはウレア結合は存在しないものであった。これに対し、本発明のフォトクロミック組成物のA成分は、分子鎖中にウレア結合を有するポリウレタン−ウレア樹脂であり、このような樹脂を樹脂成分として含むことにより、本発明のフォトクロミック組成物を接着剤又はバインダーとして使用したときの耐熱性、密着性、フォトクロミック化合物の耐久性を向上させることが可能である。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者等は次のように推定している。すなわち、ポリウレタン樹脂がウレア結合を有することにより、分子の剛直性が高くなると共に、分子鎖間の水素結合がより強固となるため、耐熱性が向上したものと推定している。また、フォトクロミック化合物の耐久性が向上することに関しては、ウレア結合の存在により分子鎖間の水素結合がより強固となることによって空気中の酸素が該ポリウレタン−ウレア樹脂中へ拡散し難くなり、フォトクロミック化合物の一般的な劣化機構として知られている光酸化劣化が抑制されたためであると推定している。さらに、接着強度が向上することに関しては、ウレア結合の存在により分子鎖間の水素結合が強固となって樹脂の凝集破壊が起こりにくくなったためであると推定している。
A成分として使用するポリウレタン−ウレア樹脂は、分子鎖中にウレア結合を有するポリウレタン樹脂であれば特に制限されないが、本発明の組成物に使用したときのフォトクロミック特性が良好であるという理由から、分子の末端にイソシアネート基を有しないポリウレタン−ウレア樹脂であることが好ましい。また、製造が容易であるという観点から、(A1)ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリエステルポリオールより選ばれる少なくとも1種のポリオール化合物(以下、単にA1成分ともいう。)と、(A2)分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(以下、単にA2成分ともいう。)と、(A3)ジアミン、トリアミン、アミノアルコール、アミノカルボン酸、およびアミノチオールより選ばれる少なくとも1種のアミノ基含有化合物(以下、単にA3成分ともいう。)と、を反応して得られるポリウレタン−ウレア樹脂であることが好ましい。このようなポリウレタン−ウレア樹脂においては、原料であるA3成分としてアミノ基を有する化合物を使用することに起因して、分子内にウレア結合が導入される。以下、これら成分について説明する。
A1成分:ポリオール化合物
A1成分のポリオール化合物としては、生成するポリウレタン−ウレア樹脂が高架橋体になり過ぎないという理由から分子中に含まれる水酸基数が2〜6であることが好ましく、有機溶剤への溶解性を考慮すれば、分子中に含まれる水酸基数は2〜3であることがより好ましい。また、前述のポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール化合物は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても構わないが、耐熱性、密着性、耐候性、耐加水分解性などの観点から、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールを使用することが好ましい。以下、A1成分として使用される各種化合物について詳しく説明する。
ポリエーテルポリオール: A1成分として使用されるポリエーテルポリオールとしては、“分子中に活性水素含有基を2個以上有する化合物”と“アルキレンオキサイド”との反応により得られるポリエーテルポリオール化合物及び該ポリエーテルポリオール化合物の変性体である、ポリマーポリオール、ウレタン変性ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルコポリマーポリオール等を挙げることが出来る。
なお、上記“分子中に活性水素含有基を2個以上有する化合物”としては、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどが挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても構わない。また、前記“アルキレンオキサイド”としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物が挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても構わない。
A1成分のポリエーテルポリオールにおいては、得られるポリウレタン−ウレア樹脂の耐熱性、及びフォトクロミック特性(発色濃度、退色速度、耐候性など)、特にフォトクロミック化合物の耐候性の観点から、数平均分子量は、500〜3000、特に500〜2000であることが好ましく、500〜1500であることが最も好ましい。
このようなポリエーテルポリオールは、試薬としてまたは工業的に入手可能であり、市販されているものを例示すれば、旭硝子株式会社製「エクセノール(登録商標)」シリーズ、「エマルスター(登録商標)」、株式会社ADEKA製「アデカポリエーテル」シリーズなどを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオール: A1成分として使用されるポリカーボネートポリオールとしては、ポリオールのホスゲン化より得られるポリカーボネートポリオール、或いはジフェニルカーボネートによるエステル交換法により得られるポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。A1成分としてのポリカーボネートポリオールにおいては、ポリエーテルポリオールにおける場合と同様な理由から、数平均分子量は、500〜3000、特に500〜2000であることが好ましく、500〜1500であることが最も好ましい。これらポリカーボネートポリオールは、試薬としてまたは工業的に入手可能であり、市販されているものを例示すれば、旭化成ケミカルズ株式会社製「デュラノール(登録商標)」シリーズ、株式会社クラレ製「クラレポリオール(登録商標)」シリーズ、ダイセル化学工業株式会社製「プラクセル(登録商標)」シリーズ、日本ポリウレタン工業株式会社製「ニッポラン(登録商標)」シリーズ、宇部興産株式会社製「ETERNACOLL(登録商標)」シリーズなどを挙げることができる。
ポリカプロラクトンポリオール: A1成分として使用されるポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンの開環重合により得られる化合物が使用できる。A1成分としてのポリカプロラクトンポリオールにおいては、ポリエーテルポリオールにおける場合と同様な理由から、数平均分子量は、500〜3000、特に500〜2000であることが好ましく、500〜1500であることが最も好ましい。このようなポリカプロラクトンポリオールは、試薬としてまたは工業的に入手可能であり、市販されているものを例示すれば、ダイセル化学工業株式会社製「プラクセル(登録商標)」シリーズなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオール: A1成分として使用されるポリエステルポリオールとしては、“多価アルコール”と“多塩基酸”との縮合反応により得られるポリエステルポリオールなどを挙げることができる。ここで、前記“多価アルコール”としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3‘−ジメチロールヘプタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)ヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても構わない。また、前記“多塩基酸”としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても構わない。A1成分としてのポリエステルポリオールにおいては、ポリエーテルポリオールにおける場合と同様な理由から、数平均分子量は、500〜3000、特に500〜2000であることが好ましく、500〜1500であることが最も好ましい。これらポリエステルポリオールは、試薬としてまたは工業的に入手可能であり、市販されているものを例示すれば、DIC株式会社製「ポリライト(登録商標)」シリーズ、日本ポリウレタン工業株式会社製「ニッポラン(登録商標)」シリーズ、川崎化成工業株式会社製「マキシモール(登録商標)」シリーズなどを挙げることができる。
A2成分:ポリイソシアネート化合物
本発明でA2成分として使用される“分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物”としては、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物、及びこれらの混合物が使用される。これらの中でも、耐候性の観点から脂肪族ポリイソシアネート化合物及び/又は脂環式ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。また、同様の理由からA2成分のポリイソシアネート化合物の30質量%以上、特に50質量%以上は脂肪族ポリイソシアネート化合物であることが好ましい。なお、A2成分のポリイソシアネート化合物において、分子内に含まれるイソシアネート基の数は2以上であればよいが、有機溶剤への溶解性などの観点から、分子内に含まれるイソシアネート基の数は2であることが好ましい。
A2成分として好適に使用できるポリイソシアネート化合物を例示すれば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、フェニルシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4‘−メチレンビス(フェニルイソシアネート)の異性体混合物、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネートなどを挙げることができる。これらの中でも、得られるポリウレタン−ウレア樹脂の耐候性の観点から、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネートを使用することが好ましい。これらのイシシアネート化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用しても構わない。
A3成分:アミノ基含有化合物
本発明でA3成分として使用されるアミノ基含有化合物は、ジアミン、トリアミン、アミノアルコール、アミノカルボン酸、およびアミノチオールより選ばれる少なくとも1種の化合物からなる。これら化合物は、分子内に分子内に2つ以上のイソシアネート基と反応する基を有し、その内の少なくとも1つ以上がアミノ基(−NH基、または−NH(R)。但し、Rはアルキル基、特に炭素数1〜5のアルキル基を意味する。)である点で共通している。ここで、アミノ基以外のイソシアネート基との反応性基は、水酸基(−OH基)、メルカプト基(−SH基)およびカルボキシル基〔−C(=O)OH基〕である。
該A3成分は、ポリウレタン樹脂を合成する際の鎖延長剤として機能するものであり、鎖延長剤として、A3成分を用いることによりポリウレタン樹脂中にウレア結合が導入され、ポリウレタン−ウレア樹脂となる。
A3成分のアミノ基含有化合物として好適に使用される化合物を例示すれば、ジアミンおよびトリアミンとして、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、ノルボルネンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジン、フェニレンジアミン、4,4‘−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジブチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
また、アミノアルコールとしては、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、2−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール等を挙げることができ、アミノカルボン酸としては、グリシン、アラニン、リシン、ロイシン等を挙げることができ、アミノチオールとしては、1−アミノチオール、2−アミノエタンチオール等を挙げることができる。これらのアミノ基含有化合物は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても構わない。
前記鎖延長剤においては、密着性、フォトクロミック化合物の耐久性などの観点から、特にジアミン化合物を使用することが好ましい。
A成分の合成方法
これらA1成分、A2成分およびA3成分を反応させてA成分を得る場合には、所謂ワンショット法又はプレポリマー法を採用することができ、たとえば次のような方法によって好適にA成分を得ることができる。
すなわち、まず、A1成分とA2成分とを反応さてウレタンプレポリマーを得、次いで該ウレタンプレポリマーとA3成分を反応させることによりA成分を製造することができる。なお、上記ウレタンプレポリマー自体がポリウレタン−ウレア樹脂であるので、これをそのままA成分と使用することも可能である。
上記方法において、A1成分とA2成分との反応は、溶媒の存在下または非存在下で両者を窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下中、25〜120℃で0.5〜24時間反応させればよい。溶媒としては、メチルエチルケトン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒が使用できる。反応に際しては、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基と不純物としての水との反応を避けるため、各種反応試剤及び溶媒は、予め脱水処理を行い、十分に乾燥しておくことが好ましい。また、上記反応を行う際には、ジラウリル酸ジブチルスズ、ジメチルイミダゾール、トリエチレンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサジアミン、テトラメチル−1,2−エタンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどの触媒を添加してもよい。触媒を使用する際の添加量としては、該A成分の合計100質量部に対して0.001〜1質量部であることが好ましい。
このようにして得られたウレタンプレポリマーとA3成分との反応は、溶媒の存在下または非存在下で両者を窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下中、25〜120℃で0.5〜24時間反応させればよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、2−ブタノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、DMF、DMSO、THFなどを使用することができる。
さらに、上記反応により得られたポリウレタン−ウレア樹脂の末端にイソシアネ−ト基が残存している場合には、イソシアネ−ト基と反応する活性水素化合物を添加し、末端を不活性化することが好ましい。該活性水素化合物としては、分子中に1つのアミノ基、水酸基、メルカプト基、及びカルボキシル基を有する化合物を利用することができる。具体的には、ノルマルブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、酢酸等を挙げることができる。
末端にイソシアネ−ト基が残存するポリウレタン−ウレア樹脂を用いた場合には、フォトクロミック特性が低下する傾向が見られる。イソシアネート基が残存するかどうかは、赤外線吸収スペクトルを測定することにより判断可能である。
上記方法において反応に使用するA1成分、A2成分およびA3成分の量比は適宜決定すればよいが、得られるポリウレタン−ウレア樹脂の耐熱性、接着強度、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度、耐候性など)などのバランスの観点から、次のような量比とすることが好ましい。すなわち、A1成分に含まれる、“イソシアネート基反応しうる官能基”(具体的には水酸基)の総数をn1とし、A2成分に含まれるイソシアネート基の総数をn2とし、A3成分に含まれる、“イソシアネート基反応しうる官能基”(具体的にはアミノ基、水酸基、メルカプト基及び又はカルボキシル基)の総数をn3としたときに、n1:n2:n3=0.3〜0.9:1:0.1〜0.7となる量比、特にn1:n2:n3=0.35〜0.85/1/0.15〜0.65となる量比とすることが好ましく、n1:n2:n3=0.4〜0.8/1/0.2〜0.6となる量比とすることが最も好ましい。ここで、上記n1〜n3は、各成分として用いる化合物の使用モル数と該化合物1分子中に存在する各基の数の積として求めることができる。
このような反応により得られたポリウレタン−ウレア樹脂は、必要に応じて溶媒を留去する、或いは水などの貧溶媒中に反応液を滴下しポリウレタン−ウレア樹脂を沈降・濾過後、乾燥させるなどの後処理を行って、A成分として使用すればよい。
A成分のポリウレタン−ウレア樹脂は、得られるポリウレタン−ウレア樹脂の耐熱性、接着強度、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度、耐候性など)などの観点から、その分子量は、1万〜100万、特に3万〜90万であることが好ましく、5万〜80万であることが最も好ましい。なお、上記ポリウレタン−ウレア樹脂の分子量は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)を用いて、カラム:Shodex KD−805、KD−804(昭和電工株式会社製)、溶離液:LiBr(10mmol/L)/DMF溶液、流速:1ml/min、検出器:RI検出器、ポリウレタン−ウレア樹脂試料溶液:0.5%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液の条件により測定した分子量を意味する。
また、上記と同条件で測定したポリウレタン−ウレア樹脂の分子量をポリエチレンオキシド換算にすれば、その好適な範囲は分子量が5千〜15万、特に8千〜10万であり、1万〜6万であることが最も好ましい。
また、A成分であるポリウレタン−ウレア樹脂は、本発明のフォトクロミック組成物を用いて光学シート又はフィルムどうしを貼付し、積層体とするとき、或いは得られた積層体を用いた光学物品を製造するときの加工性の観点、さらにはこれら積層体又は光学物品の表面にハードコート層を形成する場合において、ハードコート液を塗布したり、硬化させたりするときの加工性の観点から、60〜200℃、特に80〜150℃の耐熱性を有していることが好ましい。なお、ここでいう耐熱性とは、熱機械測定装置(セイコーインスツルメント社製、TMA120C)を用いて、下記条件で測定した軟化点を意味する。
〔測定条件〕 昇温速度:10℃/分、測定温度範囲:30〜200℃、プローブ:先端径0.5mmの針入プローブ。
B成分:フォトクロミック化合物
本発明のフォトクロミック組成物でB成分として用いるフォトクロミック化合物をとしては、クロメン化合物、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、スピロピラン化合物などの公知のフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用することが出来る。これらは、単独使用でもよく、2種類以上を併用しても良い。
上記のフルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、スピロピラン化合物およびクロメン化合物としては、例えば特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号パンフレット、WO96/14596号パンフレットなどに記載されている化合物を挙げることができる。
特に、クロメン化合物としては上記特許文献に記載されたもの以外にも、優れたフォトクロミック性を有するクロメン化合物が知られており、このようなクロメン化合物はB成分として好適に使用できる。このようなクロメン化合物としては、特開2001−031670号、特開2001−011067号、特開2001−011066号、特開2000−344761号、特開2000−327675号、特開2000−256347号、特開2000−229976号、特開2000−229975号、特開2000−229974号、特開2000−229973号、特開2000−229972号、特開2000−219678号、特開2000−219686号、特開平11−322739号、特開平11−286484号、特開平11−279171号、特開平09−218301号、特開平09−124645号、特開平08−295690号、特開平08−176139号、特開平08−157467号、米国特許5645767号公報、米国特許5658501号公報、米国特許5961892号公報、米国特許6296785号公報、日本国特許第4424981号公報、日本国特許第4424962号公報、WO2009/136668号パンフレット、WO2008/023828号パンフレット、日本国特許第4369754号公報、日本国特許第4301621号公報、日本国特許第4256985号公報、WO2007/086532号パンフレット、特開平2009−120536号、特開2009−67754号、特開2009−67680号、特開2009−57300号、日本国特許4195615号公報、日本国特許4158881号公報、日本国特許4157245号公報、日本国特許4157239号公報、日本国特許4157227号公報、日本国特許4118458号公報、特開2008−74832号、日本国特許3982770号公報、日本国特許3801386号公報、WO2005/028465号パンフレット、WO2003/042203号パンフレット、特開2005−289812号、特開2005−289807号、特開2005−112772号、日本国特許3522189号公報、WO2002/090342号パンフレット、日本国特許第3471073号公報、特開2003−277381号、WO2001/060811号パンフレット、WO00/71544号パンフレット等に開示されている。
これら他のフォトクロミック化合物の中でも、発色濃度、初期着色、耐久性、退色速度などのフォトクロミック特性の観点から、インデノナフト「2,1−f」ナフト「2,1−b」ピラン骨格を有するクロメン化合物を1種類以上用いることがより好ましい。さらにこれらクロメン化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、発色濃度および退色速度に特に優れるため好適である。その具体例として、以下のものが挙げられる。
Figure 2012052091
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本発明のフォトクロミック性組成物におけるB成分の配合量は、フォトクロミック特性の観点から、A成分100質量部に対して0.01〜20質量部とすることが好適である。上記配合量が少なすぎる場合には、十分な発色濃度や耐久性が得られない傾向があり、多すぎる場合には、フォトクロミック化合物の種類にもよるが、A成分に対しフォトクロミック組成物が溶解しにくくなり、組成物の均一性が低下する傾向があるばかりでなく、接着力(密着力)が低下する傾向もある。発色濃度や耐久性といったフォトクロミック特性を維持したまま、プラスチックフィルムなどの光学基材との密着性を十分に保持するためには、B成分の添加量はA成分100質量部に対して0.5〜10重量、特に1〜7質量部とすることが、より好ましい。
任意成分
本発明のフォトクロミック性組成物は、A成分およびB成分以外に、任意成分として(C)有機溶媒(以下、単にC成分ともいう。)、その他成分を含んでいてもよい。以下、これら任意成分について説明する。
C成分:有機溶媒
本発明のフォトクロミック組成物に有機溶媒を添加することにより、ポリウレタン−ウレア樹脂(A成分)とフォトクロミック化合物(B成分)、さらには、必要に応じて添加されるその他の成分が混合しやすくなり、組成物の均一性を向上させることができる。また、本発明のフォトクロミック組成物の粘度を適度に調整することができ、光学シート又はフィルムに本発明のフォトクロミック組成物を塗布するときの操作性および塗布層厚の均一性を高くすることもできる。なお、光学シート又はフィルムとして有機溶媒に侵され易い材質のものを使用した場合には、外観不良が生じたり、フォトクロミック特性が低下したりするという問題が発生することが懸念されるが、このような問題は、前記〔9〕として示した本発明の方法を採用することにより回避することが出来る。また、本発明のフォトクロミック性組成物においては、後述するように、様々な種類の溶媒が使用できるので、溶媒として光学シート又はフィルムを侵し難い溶媒を選択して使用することによっても上記問題の発生を防止することができる。
C成分として好適に使用できる有機溶媒を例示すれば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル等の多価アルコール誘導体;ジアセトンアルコール;メチルエチルケトン;トルエン;ヘキサン;ヘプタン;酢酸エチル;DMF;DMSO;THF;シクロヘキサノン;及びこれらの組み合せを挙げることができる。これらの中から、使用するA成分の種類や光学シート又はフィルの材質に応じて適宜選定して使用すればよい。たとえば、光学シート又はフィルムとしてポリカーボネート樹脂製のものを使用し、直接本発明のフォトクロミック組成物を塗布する場合には、溶媒としては、アルコール類、又は多価アルコール誘導体を使用することが好ましい。
また、光学シート又はフィルムに本発明のフォトクロミック組成物を塗布したときの塗布層或いは前記〔9〕に示した本発明の方法を採用した場合におけるフォトクロミック接着性シート平滑性を保持しながら、有機溶剤が残りにくく、乾燥速度を速めることができるという理由から、C成分としては90℃未満の沸点を有する有機溶媒と、90℃以上の沸点を有する有機溶剤を混合して用いることが好適である。
また、C成分を添加する場合の添加量は、前記したようなC成分添加により得られる効果の観点から、A成分100質量部に対して、5〜900質量部、特に20〜750質量部とすることが好ましく、40〜400質量部とすることが最も好ましい。
その他の成分
さらに、本発明で使用するフォトクロミック組成物には、フォトクロミック化合物の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や製膜性のために、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加しても良い。添加するこれら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。
例えば、界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できるが、フォトクロミック組成物への溶解性からノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。好適に使用できるノニオン正解面活性剤を具体的に挙げると、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエーテル、さらにはシリコーン系やフッ素系の界面活性剤等を挙げることができる。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用しても良い。界面活性剤の添加量は、ポリウレタン−ウレア樹脂(A成分)100質量部に対し、0.001〜5質量部の範囲が好ましい。
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェーノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用しても良い。さらにこれらの添加剤の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用しても良い。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、ポリウレタン−ウレア樹脂(A成分)100質量部に対し、0.001〜20質量部の範囲が好ましい。
フォトクロミック組成物の製造方法
本発明のフォトクロミック組成物は、上記A成分及びB成分、並びに必要に応じて使用するC成分及びその他の成分を混合することにより製造することができる。
たとえば、有機溶媒を使用しない場合、各主成分を溶融混練してフォトクロミック組成物としペレット化することも可能であり、そのままシート成型することも可能である。また、有機溶剤を使用する場合には、各主成分を有機溶剤に溶かすことでフォトクロミック組成物を得ることができる。
このようにして得られた本発明のフォトクロミック組成物は、フォトクロミック性接着剤、特にポリカーボネート樹脂製の光学シート又はフィルムどうしを接合するためのフォトクロミック性接着剤として好適に使用できる。そして、本発明のフォトクロミック組成物からなる接着層を介して光学シート又は光学フィルムを互いに接合することにより、前記〔7〕として示した本発明の光学物品を得ることができる。以下、該本発明の光学物品及び該光学物品の製造方法について説明する。
本発明の光学物品
本発明の光学物品は、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムが本発明のフォトクロミック組成物からなる接着層を介して接合されてなる積層構造を含んでなる。このような光学物品としては、上記積層構造のみからなる積層シート又はフィルム(以下、単に、本発明の積層シートともいう。);これら積層シート又はフィルムに光学シート又はフィルムを更に積層したり、表面にハードコート層などのコート層を形成したりした複合積層シート又はフィルム;これら積層シートあるいはフィルム、又は複合積層シートあるいはフィルム(以下、総称して単に、本発明の積層シート等ともいう。)をプラスチックレンズ本体などの光学基材と一体化した光学物品などを挙げることができる。プラスチックレンズ本体などの光学基材と一体化する方法としては、たとえば、上記本発明の積層シート等を金型内に装着した後にポリカーボネート樹脂などの光学基材(たとえばレンズ本体)を構成するための熱可塑性樹脂を射出成形する方法(以下、単に射出成形法ともいう。)、光学基材の表面に接着剤などにより上記本発明の積層シート等を貼付する方法などを挙げることができる。以下、本発明の光学物品を構成するこれら材料或いは部材について説明する。
光学シート又はフィルム、及び光学基材
本発明において、光学シート又は光学フィルム、及び光学基材としては、光透過性を有するシート又はフィルム、及び光学基材が特に制限なく使用できるが、入手の容易性および加工のし易さなどの観点から樹脂製のものを使用することが好適である。光学シート又は光学フィルム、及び光学基材の原料として好適な樹脂を例示すれば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。その中でも、密着性が良好で射出成形法に対する適用性が高いという理由からポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、偏光フィルム(ポリビニルアルコール偏光フィルムをトリアセチルセルロース樹脂フィルムではさんだもの)も、本発明の光学フィルムとして使用することが可能である。
本発明の積層シートの製造方法
本発明の積層シートは、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムを本発明のフォトクロミック組成物からなる接着層を介して接合させることにより製造される。なお、上記接着層の厚さは、フォトクロミック化合物の発色濃度、耐候性および接着強度などの観点から、5〜100μm、特に10〜50μmとすることが好ましい。
上記接着層は、用いるフォトクロミック組成物の性状に応じて、次のような方法により得ることができる。すなわち、溶媒を添加することなどにより本発明のフォトクロミック組成物が適度の粘度に調整されている場合には、一方の光学シート又は光学フィルム上に本発明のフォトクロミック組成物塗布し、必要に応じて(加熱)乾燥をなった後、他の光学シート又は光学フィルムを(加熱)圧着すればよい。このとき、フォトクロミック組成物の塗布方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ディップースピンコート法、ドライラミネート法などの公知の方法が何ら制限なく用いられる。また、本発明で使用する光学シート又は光学フィルムは、あらかじめメタノールなどの有機溶剤で洗浄・脱脂してもよい。さらに、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、やUVオゾン処理などを施しておくことも可能である。このような方法を採用する場合には、特許文献3に記載されているような装置を用い連続的に積層体を製造することもできる。
また、溶媒を含む本発明のフォトクロミック組成物を使用する場合には、(I)平滑な基材上に本発明のフォトクロミック組成物を延展せしめた後に乾燥することにより(C)溶媒を除去し、A成分と、該A成分中に分散したB成分とを含んでなるフォトクロミック接着性シートを準備し、次いで(II)互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムの間に上記フォトクロミック接着性シートを介在させて該2枚の光学シート又は光学フィルムを接合することにより、本発明の積層体を製造することもできる。このような方法を採用した場合には、溶媒の種類及び光学シート又は光学フィルムの種類によらず、溶媒の使用に起因する悪影響を排除することが可能である。
さらに、溶媒を含まない本発明のフォトクロミック性組成物を使用する場合には、共押し出し成型などにより、フォトクロミックシートを作成することも可能である。
以下に例示するいくつかの実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に、本発明を説明するためのものであり、本発明の精神及び範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で各成分として使用した化合物等の略号を纏める。
A1成分;ポリオール化合物
PL1:旭硝子株式会社製エクセノール(ポリエーテルジオール、数平均分子量400)
PL2:旭硝子株式会社製エクセノール(ポリエーテルジオール、数平均分子量1000)
PL3:旭硝子株式会社製エクセノール(ポリエーテルジオール、数平均分子量2000)
PL4:旭化成ケミカルズ株式会社製デュラノール(ポリカーボネートジオール、数平均分子量500)
PL5:旭化成ケミカルズ株式会社製デュラノール(ポリカーボネートジオール、数平均分子量800)
PL6:旭化成ケミカルズ株式会社製デュラノール(ポリカーボネートジオール、数平均分子量1000)
PL7:旭化成ケミカルズ株式会社製デュラノール(ポリカーボネートジオール、数平均分子量3000)
PL8:ダイセル化学株式会社製プラクセル(ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量500)
PL9:DIC株式会社製ポリライト(ポリエステルジオール、数平均分子量1000)
PL10:宇部興産株式会社製ETERNACOLL(1,4−シクロヘキサンジメタノールを原料とするポリカーボネートジオール、数平均分子量1000)
PL11:旭硝子株式会社製エクセノール(ポリプロピレングリコール、数平均分子量4000)
PL12:1,10−デカンジオール。
A2成分;ポリイソシアネート化合物
NCO1:イソホロンジイソシアネート
NCO2:水添ジフェニルメタンジイソシアネート
NCO3:ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート
NCO4:トルエン−2,4−ジイソシアネート
NCO5:ノルボルナンジイソシアネート。
A3成分;アミノ化合物(鎖延長剤)
AM1:イソホロンジアミン
AM2:エチレンジアミン
AM3:1,6−ジアミノヘキサン
AM4:2−アミノエタノール
AM5:6−アミノヘキサノール
AM6:グリシン
AM7;2−アミノエタンチオール
AM8;ピペラジン
AM9:N,N’−ジエチルエチレンジアミン。
B成分:フォトクロミック化合物
PC1:下記式で示される化合物
Figure 2012052091
C成分:有機溶媒
C1:イソプロピルアルコール
C2:プロピレングリコール−モノ−メチルエーテル
C3:トルエン
C4:酢酸エチル
C5:シクロヘキサノン
C6:THF。
ポリウレタン−ウレア樹脂(U1)の合成
スターラーチップ、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三つ口フラスコに、数平均分子量400のポリエーテルジオール9.0g、イソホロンジイソシアネート10.0g、DMF80mlを仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させ、その後、25℃まで冷却し、鎖延長剤であるイソホロンジアミン3.4gを滴下し、25℃で1時間反応させ、溶媒を減圧留去し、ポリウレタン−ウレア樹脂(U1)を得た。得られたポリウレタン−ウレア樹脂の分子量はポリスチレン換算で15万、ポリオキシエチレン換算で1万(理論値;1万)であり、耐熱性は140℃であった。ここで言う数平均分子量の理論値とは、原料に用いたA1成分、A2成分、及びA3成分が、架橋することなく理論的に直線状にポリウレタン樹脂を生成した場合の分子量のことである。
ポリウレタン−ウレア樹脂(U2)〜(U10)、(U21)〜(U41)の合成
表1、3及び4に示すポリオール化合物(A1成分)、ポリイソシアネート化合物(A2成分)、アミン化合物(A3成分)及び反応溶媒を用い、表1、3及び4に示す反応条件を用いた以外は、前述のU1の合成方法と同様にして、U2〜U10、U21〜U41を合成した。得られたポリウレタン−ウレア樹脂の特性についても表1、3及び4に示す。なお、ポリウレタン−ウレア樹脂U1〜10及びU21〜41について、赤外線吸収スペクトルを測定したところ、2250cm−1付近に分子末端のイソシアネート基に由来する吸収が確認された。
ポリウレタン−ウレア樹脂(U11)の合成
スターラーチップ、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三つ口フラスコに、数平均分子量400のポリエーテルジオール9.0g、イソホロンジイソシアネート10.0g、DMF80mlを仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させ、その後、25℃まで冷却し、鎖延長剤であるイソホロンジアミン3.4gを滴下し、25℃で1時間反応させ、そこに、ノルマルブチルアミン0.35g加え、25℃で1時間反応させ、溶媒を減圧留去し、ポリウレタン−ウレア樹脂(U11)を得た。得られたポリウレタン−ウレア樹脂について、赤外線吸収スペクトルを測定したところ、分子末端のイソシアネート基に由来する吸収は確認されず、分子末端にイソシアネート基が残存していないことが確認された。得られたポリウレタン−ウレア樹脂の分子量はポリスチレン換算で15万、ポリオキシエチレン換算で1万(理論値;1万)であり、耐熱性は140℃であった。ここで言う数平均分子量の理論値とは、原料に用いたA1成分、A2成分、及びA3成分が、架橋することなく理論的に直線状にポリウレタン樹脂を精製した場合の分子量のことである。
ポリウレタン−ウレア樹脂(U12)〜(U20)の合成
表2に示すポリオール化合物(A1成分)、ポリイソシアネート化合物(A2成分)、アミン化合物(A3成分)及び反応溶媒を用い、表1に示す反応条件を用い、前述のU11の合成方法と同様にして、U12〜U20の合成を実施した。得られたポリウレタン−ウレア樹脂について、赤外線吸収スペクトルを測定したところ、何れの樹脂とも分子末端のイソシアネート基に由来する吸収は確認されなかった。得られたポリウレタン−ウレア樹脂の特性についても表2に示す。
ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(U42)〜(U46)の合成
表5に示すポリオール化合物(A1成分)、ポリイソシアネート化合物(A2成分)、及び反応溶媒を用い、A3成分に代えて表5に示すジオール化合物(鎖延長剤)を用いた他は前述のU1の合成方法と同様にして、表5に示す条件でU42〜U46を合成した。得られたポリウレタン樹脂の特性についても表5に示す。なお、ポリウレタン樹脂U22−46は、鎖延長剤として表5に示すジオール化合物を用いたことに起因して、分子中にウレア結合を有していない。
Figure 2012052091
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実施例1
フォトクロミック組成物の調製
ポリウレタン−ウレア樹脂(U1)5g、フォトクロミック化合物(PC1)0.25gに、有機溶剤としてイソプロピルアルコール20g、さらに光酸化防止剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート 0.25gを添加し、80℃で攪拌しながら、超音波により溶解し、フォトクロミック組成物を得た。
フォトクロミック積層体の作製
得られたフォトクロミック組成物を、表面が平滑なフッ素樹脂製のシート上に塗布し80℃で1時間乾燥させ、得られた厚み30μmのフォトクロミックシートを厚み400μmのポリカーボネートシート2枚の間に挟み、目的のフォトクロミック特性を有する積層体を得た。
得られたフォトクロミック積層体を評価したところ、フォトクロミック特性としての発色濃度は1.0であり、退色速度は80秒であり、耐久性は95%であった。また、該フォトクロミック積層体の剥離強度30N/25mmであった。なお、これらの評価は以下のようにして行った。
フォトクロミック特性
得られた積層体を試料とし、これに、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃、積層体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm、245nm=24μW/cmで120秒間照射して発色させ、積層体のフォトクロミック特性を測定した。
1)最大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディレクターMCPD1000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
2)発色濃度〔ε(120)−ε(0)〕:前記最大吸収波長における、120秒間照射した後の吸光度ε(120)と最大吸収波長における未照射時の吸光度ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れていると言える。
3)退色速度〔t1/2(sec.)〕:120秒間照射後、光の照射をとめたときに、試料の前記最大波長における吸光度が〔ε(120)−ε(0)〕の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
4)耐久性(%)=〔(A24/A0)×100〕:光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られた積層体をスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により48時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A48)を測定し、〔(A48)/A0〕×100〕の値を残存率(%)とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
剥離強度
得られた積層体を、25×100mmの接着部分を有する試験片とし、試験機(オートグラフAG5000D、島津製作所製)に装着し、クロスヘッドスピード100mm/minで引張り試験を行い、剥離強度を測定した。
実施例2〜41
表2に示すポリウレタン−ウレア樹脂、有機溶媒を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミック組成物の調整、及びフォトクロミック積層体の作製とを実施した。得られた各種フォトクロミック積層体の評価結果を表6及び表7に示す。
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比較例1〜5
表3に示すポリウレタン−ウレア樹脂、有機溶媒を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミック組成物の調整、及びフォトクロミック積層体の作製とを実施した。得られた各種フォトクロミック積層体の評価結果を表8に示す。
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上記実施例1〜41から明らかなように、本発明に従って、ポリオール化合物(A1成分)、ポリイソシアネート化合物(A2成分)、及びアミノ基含有化合物(A3)を好適な比率で用いた合成したポリウレタン−ウレア樹脂は、優れたフォトクロミック特性、剥離強度、耐熱性を有していることが分かる。
一方、比較例1〜5ではアミノ基含有化合物の代わりにジオール化合物を用いているために、ポリウレタン樹脂がウレア結合を有しておらず、剥離強度と耐熱性が低下しており、全ての物性を同時に満足することができなかった。

Claims (9)

  1. (A)分子鎖中にウレア結合を有するポリウレタン−ウレア樹脂、並びに(B)フォトクロミック化合物を含んでなることを特徴とするフォトクロミック組成物。
  2. 前記(A)ポリウレタン−ウレア樹脂が、(A1)ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリエステルポリオールより選ばれる少なくとも1種のポリオール化合物と、(A2)分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、(A3)ジアミン、トリアミン、アミノアルコール、アミノカルボン酸、およびアミノチオールより選ばれる少なくとも1種のアミノ基含有化合物とを反応して得られるポリウレタン−ウレア樹脂である請求項1に記載のフォトクロミック組成物。
  3. 前記ポリウレタン−ウレア樹脂を得るに際して使用する前記成分(A1)、(A2)および(A3)の量比が、前記成分(A1)に含まれる、“イソシアネート基反応しうる官能基”の総数をn1とし、前記成分(A2)に含まれるイソシアネート基の総数をn2とし、前記成分(A3)に含まれる、“イソシアネート基反応しうる官能基”の総数をn3としたときに、n1:n2:n3=0.3〜0.9:1:0.1〜0.7となる量比である請求項2に記載のフォトクロミック組成物。
  4. 前記(A2)ポリイソシアネート化合物の30質量%以上が脂肪族ポリイソシアネート化合物である請求項2又は3に記載のフォトクロミック組成物。
  5. 前記(B)フォトクロミック化合物の含有量が、前記(A)ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部である請求項1乃至4の何れか一に記載のフォトクロミック組成物。
  6. 前記(A)ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して5〜900質量部の(C)有機溶媒を更に含んでなる請求項5に記載のフォトクロミック組成物。
  7. 互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムが請求項1乃至4の何れか一に記載のフォトクロミック組成物からなる接着層を介して接合されてなる積層構造を含んでなる光学物品。
  8. 前記積層構造における、互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムの少なくとも一方が、ポリカーボネート樹脂よりなることを特徴とする請求項7に記載の光学物品。
  9. 請求項8に記載の光学物品を製造する方法であって、(I)平滑な基材上に請求項6に記載のフォトクロミック組成物を延展せしめた後に乾燥することにより(C)溶媒を除去し、(A)ポリウレタン−ウレア樹脂と、該(A)ポリウレタン−ウレア樹脂中に分散した(B)フォトクロミック化合物とを含んでなるフォトクロミック接着性シートを準備する工程、および(II)互いに対向する2枚の光学シート又は光学フィルムの間に上記フォトクロミック接着性シートを介在させて該2枚の光学シート又は光学フィルムを接合することにより前記積層構造を作成する工程、を含んでなることを特徴とする方法。
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