JP2014113761A - 積層シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂などからなるポリマーシートを、ウレタン系樹脂を含んでなる接着層を介して接合するための接着方法であり、優れた接着性、及び平滑性を有する積層シートを提供することにある。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂などからなるポリマーシートを、ウレタン系樹脂を含んでなる接着層を介して接合する際に使用する2本のラミネートロールが、同程度のショアA硬度であり、両方のラミネートロールの表面温度が150℃以下であって、かつ、少なくとも一方のラミネートロールの表面温度が60℃以上であることを特徴とする積層シートの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着性ウレタン系樹脂とフォトクロミック化合物とを含む接着層により、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとを接合した積層シートの新規な製造方法に関する。
また、本発明は、該製造方法で作製される積層シートの熱曲げ加工により得られる加工シートの新規な製造方法、該加工シートに射出成型により樹脂層を接合したプラスチックレンズの新規な製造方法に関する。
近年米国を中心として、防眩性を有するサングラスなどに、透明で優れた耐衝撃性を有するポリカーボネートを用いたプラスチック基材の需要が急速に高まっている。そして、このようなプラスチック製サングラスにおいては、2枚のプラスチックシートまたはフィルムの間に、防眩性を有する機能層を積層する方法が採用されている。その中でもフォトクロミック化合物を組み合わせることによって、周囲の明るさに応じて透過率が変化して防眩性を調節できる、プラスチック製フォトクロミックサングラスが急速に人気を得ている。このようなサングラスは、以下の方法により製造されている。
例えば、2枚のプラスチックシートまたはフィルムの間に、防眩性を有する機能層を積層する方法としては、2枚のポリカーボネートシート間にフォトクロミック層を積層する方法が知られている(特許文献1参照)。具体的には、溶媒を含むフォトクロミック塗工液を一方のプラスチックシートに塗布し、それを特定の温度の乾燥器に、特定の速度で通過させることにより乾燥した後、他方のプラスチックシートを接合する方法(積層シート製造する方法)が示されている。この方法によれば、連続して、平滑性の優れた接着層を有する積層シートを製造することができる。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記方法によっても積層シートの接着性(プラスチックシート同士の接着性)が十分ではない場合があった。特に、積層シートの2次加工(熱曲げ加工、射出成形)を安定して行うために、軟化点の高い接着性樹脂を使用した場合に、接着性が低下したり、積層シートに反りが生じる場合あった。
また、該積層シートをプラスチックレンズの部品として使用する場合、該接着層は“耐汗性”が求められる(人間の汗が接触しても、その状態変化のないサングラスが求められる)場合がある。このような耐汗性を発揮するためには、接着層に橋架け構造を有する接着性ウレタン系樹脂を使用することが効果的であるが、この場合にも、上記方法を採用した場合には、積層シート接着性が低下したり、反りの問題が生じ易かった。
特開2002−196103号公報
したがって、本発明の目的は、フォトクロミック特性が十分に発揮されることは勿論のこと、接着性がよく、反りが少なく、しかも耐汗性に優れた積層シートを連続して製造できる方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。そして、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間に接着性ウレタン系樹脂を介在させた構造体を、第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとにより圧接する際の条件を種々検討した。その結果、第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとのショアA硬度の差を特定の範囲とし、該第一ラミネートロールと第二ラミネートロールの表面温度を特定の範囲とすることにより、優れた効果を発揮する積層シートを連続して製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間に、接着性ウレタン系樹脂を含む接着層を介在させて、同一方向に回転する第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとにより圧接して、該接着層により該第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとを接着した積層シートを製造する方法であって、
該接着層がフォトクロミック化合物を含み、
該第一ラミネートロールのショアA硬度と該第二ラミネートロールのショアA硬度との差を0以上30以下とし、
該第一ラミネートロール、および該第二ラミネートロールの表面温度を150℃以下とし、かつ、少なくとも一方のラミネートロールの表面温度を60℃以上とすることを特徴とする積層シートの製造方法である。
本発明の方法により得られる積層シートは、優れたフォトクロミック特性、接着性、及び平滑性(積層シートの反りが小さい)を示す。特に、優れた平滑性を有する積層シートを製造できるため、得られた積層シートは、種々の熱曲げ加工方法に有効であり、また熱曲げ加工後に歪が少ない曲率を有する加工シートを得ることができる。
本発明の方法は、耐熱性のよい(軟化点の高い)接着性ウレタン系樹脂を接着層に使用する場合に優れた効果を発揮する。そのため、得られた積層シートは、熱曲げ加工して加工シートを製造するだけでなく、該加工シートの凹面に、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形して光学物品を製造する場合でも、得られた光学物品(プラスチックレンズ等)は、接着性、フォトクロミック特性、光学歪が少ないものとなる。
また、本発明の方法は、接着層に橋架け構造を有する接着性ウレタン系樹脂を使用することが効果的であるため、本発明の方法で得られた積層シート、及び光学物品は、優れた耐汗性も有するものとなる。すなわち、該積層シート、及び光学物品は、人口汗と接触させた後であっても、優れた接着性を示す。
積層シートを製造する本発明の一例を示した概略図である。
本発明の方法は、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間に、接着性ウレタン系樹脂を含む接着層を介在させて、同一方向に回転する第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとにより圧接して、該接着層により該第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとを接着した積層シートを製造する方法である。先ず、積層シートを構成する各成分について説明する。
(第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシート)
本発明に使用される第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートとしては、光透過性を有する樹脂製シートが特に制限なく使用できる。第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートの原料として好適な樹脂を例示すれば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。その中でも、接着性が良好で射出成形法に対する適用性が高いという理由からポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、偏光シート(ポリビニルアルコール製偏光フィルムをトリアセチルセルロース樹脂フィルム、またはポリカーボネートシートではさんだもの)も、本発明の第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートとして使用することが可能である。さらには、着色されたシートも、本発明の第1ポリマーシート、及び第2ポリマーシートとして使用することが可能である。また、着色に関しては、本発明の積層シートを作製した後に第一ポリマーシート、または/及び第二ポリマーシートを染色することも可能である。また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートは、異なる樹脂からなるシートであってもよいし、同じ樹脂からなるシートであってもよい。
第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるポリカーボネート樹脂は、一般的なビスフェノールA骨格などを有する芳香族フェノール類を主体にする芳香族ポリカーボネート樹脂、さらには芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂などとのポリマーアロイなどを用いることが出来る。具体的には、以下のようなジオールに由来する構造単位を含んでなるポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
Figure 2014113761
(式中、
1〜R は、それぞれ独立に、炭素数1〜20アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、
Aは、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、スルホン基、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基、炭素数6〜20のアリーレン基、または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基である。)
Figure 2014113761
(式中、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のシクロアルキル基、または、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、
Bは、置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のシクロアルキレン基、または、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表し、
m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数である。)
Figure 2014113761
(式中、
は、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、
10は、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基であり、
pは、1〜3の整数である。)
Figure 2014113761
(式中、
Yは、炭素数2〜10のアルキレン基、または炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、
qは、1〜10の整数である。)
Figure 2014113761
第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるポリカーボネート樹脂は、重量平均分子量が10,000〜200,000であることが好ましく、15,000〜80,000であることがより好ましい。
また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるポリエステル樹脂は、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸のような多価カルボン酸と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのポリアルコールとの重縮合体であるものが、強度や透明性などの観点から好適である。その中でも、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるポリアミド樹脂は、アミド結合によって多数のモノマーが結合してできたポリマーであり、n−ナイロン、n、m−ナイロンなどが好適に使用される。n−ナイロンは、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタムなどの開環重縮合反応によって得ることが出来る。n、m−ナイロンは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルペンタジアミンなどのジアミンと、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸との共重縮合反応によって得ることが出来る。その中でも、ε−カプロラクタムの開環重縮合反応によって得られるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との共重縮合反応によって得られるナイロン6,6などが好ましい。
また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるセルロース樹脂は、β−グルコース分子がグリコシド結合により直線状に重合した樹脂であり、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどを挙げることが出来る。
また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるポリアクリル樹脂としては、アクリル酸エステル、あるいはメタクリル酸エステルの重合体であり、メチルメタアクリレートやシクロヘキシルメタクリレートなどのメタクリレート類を主成分にするメタクリレート系重合体、あるいは共重合体が、硬さや強度、透明性などの観点から好ましい。
また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるウレタン系樹脂は、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネート、及び脂肪族イソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びポリエーテルポリオールなどのポリオール化合物、さらには低分子量のジオール、及びジアミン化合物などの鎖延長剤からなる市販のウレタン系樹脂を用いることが出来る。
また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートに使用されるポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やアルケンを単位分子として合成される樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに加え、ポリシクロオレフィン樹脂も用いることが出来る。
本発明において使用する第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートの好適な厚みとしては、得られる積層シートの平滑性の観点から、100〜1500μmが好ましく、200〜1000μmがより好ましい。また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートは、異なる厚みを組み合わせて使用することも可能である。第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの総厚は、後述する熱曲げ加工後の形状安定性の観点から400μm以上であることが好ましく、熱曲げ加工の加工容易性の観点から2000μm以下であることが好ましい。
本発明において使用される第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートの幅は、特に制限されないが、生産効率の観点から20cm以上であることがよく、また、50cm以上であることが、本発明の効果を発揮し、平滑な積層シートを得やすくなる。また、シート幅の上限は、装置に応じて適宜決定すればよいが、2000cmである。また、本発明の方法によれば、連続して積層シートを製造することができるが、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートの長さは、特に制限されるものではなく、装置の仕様、用途、操作性を勘案して適宜決定すればよい。中でも、10m以上のシート同士を接合する場合に効果的である。長さの上限値は、通常、2000mである。
(接着性ウレタン系樹脂を含む接着層)
接着性ウレタン系樹脂を含む接着層は、ポリウレタン系樹脂を主成分とし、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートを貼り合わせる目的で使用される。該接着性ウレタン系樹脂は、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂のどちらであってもよい。
該接着性ウレタン系樹脂は、分子内にウレタン結合、および/またはウレア結合を有する樹脂であって、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートを接合できるものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、イソシアネート化合物、ポリオール化合物、及び鎖延長剤から得られるウレタン系樹脂を使用することができる。その中でも特に、鎖延長剤にジアミン、もしくはトリアミンを用いたウレタン−ウレア樹脂であることが好適である。
前記イソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であり、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物、及びこれらの混合物が使用される。これらの中でも、耐候性の観点から脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂環式イソシアネート化合物を使用することが好ましい。具体的には、トルエン−2,3−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、オクタメチレン−1,8−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネートが挙げられる。
前記ポリオール化合物としては、ポリカーボネートポリオール、及びポリカプロラクトンポリオールが好ましい。これらのポリオール化合物は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても構わないが、耐熱性、接着性、耐候性、耐加水分解性などの観点から、特にポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−4−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA のエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種類以上のホスゲン化より得られるポリカーボネートポリオール、或いはエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、及びジフェニルカーボネート等によるエステル交換法により得られるポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
前記ポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンの開環重合により得られる化合物が使用できる。
前記鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する基を分子内に2つ以上有する化合物であり、前記イソシアネート基と反応する基としては水酸基、またはアミノ基であることが好ましい。具体的には、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジン、フェニレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジブチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,2,5−ペンタントリアミン等のアミノ化合物;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオールを挙げることができる。
また、接着性ポリウレタン系樹脂の末端には、ピペリジン構造、ヒンダードフェノール構造、トリアジン構造、またはベンゾトリアゾール構造などの機能性を有する基を導入することが好ましい。この機能性を付与する末端を修飾する化合物としては、ピペリジン構造を有する1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノブチルピペリジンなどの化合物を挙げることができる。その他にも末端を修飾する化合物として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミンなどのアミン類なども挙げることができる。
該接着性ウレタン系樹脂の合成方法としては、所謂ワンショット法又はプレポリマー法を採用することができる。
合成に使用するイソシアネート化合物、ポリオール化合物、鎖延長剤、および末端を修飾する化合物の量比は適宜決定すればよいが、得られる接着性ウレタン系樹脂の耐熱性、接着強度、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度、耐候性など)などのバランスの観点から、次のような量比とすることが好ましい。すなわち、ポリオール化合物に含まれる水酸基の総モル数をn1とし、イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の総モル数をn2とし、鎖延長剤に含まれるイソシアネート基と反応しうる基の総モル数をn3とし、末端を修飾する化合物に含まれるイソシアネート基と反応しうる基(具体的にはアミノ基、水酸基、メルカプト基及び/又はカルボキシル基等)の総モル数をn4としたときに、n1:n2:n3:n4=0.30〜0.89/1/0.10〜0.69/0.01〜0.20となる量比、特にn1:n2:n3:n4=0.40〜0.83/1/0.15〜0.58/0.02〜0.15となる量比とすることが好ましく、n1:n2:n3:n4=0.55〜0.78/1/0.20〜0.43/0.02〜0.10となる量比とすることが最も好ましい。ここで、上記n1〜n4は、各成分として用いる化合物の使用モル数と該化合物1分子中に存在する各基の数の積として求めることができる。
(好適な接着性ポリウレタン系樹脂)
また、接着性ポリウレタン系樹脂は、後述する光学物品(積層シート)の接着(密着)強度、耐汗性を向上するためには、軟化点が80℃以上150℃以下となることが好ましい。この軟化点は、熱機械測定装置(セイコーインスツルメント社製、TMA120C)を用いて、下記条件で測定した値である。
〔測定条件〕 昇温速度:10℃/分、測定温度範囲:30〜200℃、プローブ:先端径0.5mmの針入プローブ。
接着層に軟化点が80℃以上150℃以下の接着性ウレタン系樹脂を使用することにより、積層シート又は光学物品の表面にハードコート層を形成する場合、熱曲げ加工を実施する場合、射出成型を行い光学物品とする場合において、優れた特性を発揮する。そして、このような接着性ウレタン系樹脂を使用する場合、本発明の方法は優れた効果を発揮する。
また、軟化点が80℃以上150℃以下の接着性ウレタン系樹脂は、使用するイソシアネート化合物、ポリオール化合物、鎖延長剤の種類・組成比、及び分子量の調整等を行うことにより、製造することができる。その中でも、特にフォトクロミック特性、接着性、耐汗性の良好な積層シートを製造するためには、以下の橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を使用することが好ましい。すなわち、分子鎖中にウレタン結合、およびウレア結合を有するウレタン−ウレア樹脂の該ウレタン結合、および該ウレア結合の少なくとも一方の結合とポリイソシアネート化合物とを反応して得られる、橋架け構造を有する樹脂を使用することが好ましい。ウレタン−ウレア樹脂は、鎖延長剤として、アミノ基を分子内に2つ以上有する化合物を使用すればよい。
ウレタン結合、および/またはウレア結合と反応させるポリイソシアネート化合物としては、前述のイソシアネート化合物に加えて、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキシル)ビュレット、(2,4,6−トリオキトリアジン−1,3,5(2H,4H,6H)トリイル)トリス(ヘキサメチレン)イソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイルトリイソシアネート、4,4’,4’ ’−メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、メチルシラントリイルトリスイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸2−イソシアナトエチル、2,6−ビス[(2−イソシアナトフェニル)メチル]フェニルイソシアネート、トリス(3−メチル−6−イソシアナトベンゾイル)メタン、トリス(4−メチル−3−イソシアナトベンゾイル)メタン、トリス(3−イソシアナトフェニル)メタン、トリス(3−メチル−4−イソシアナトベンゾイル)メタン、トリス(4−メチル−2−イソシアナトベンゾイル)メタン等の分子内に3つのイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。また、イソシアネート基を3つ有するイソシアヌレート化合物を挙げることができる。さらには、テトライソシアナトシラン、[メチレンビス(2,1−フェニレン)]ビスイソシアネート等の分子内に4つのイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。
これらの中でも好適なポリイソシアネート化合物としては、2級炭素に結合したイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。具体的には、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、及びこれらイソシアネート化合物や、イソホロンジイソシアネートの3量体(イソシアヌレート化合物)などが挙げられる。
橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂としては、接着性ポリウレタン系樹脂100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物の量が5〜20質量部の範囲となることが好ましい。
(接着層の層構成)
本発明において、接着層は、単層であってもよいし、複数層から形成されてもよい。単層である場合には、上記の接着性ウレタン系樹脂とフォトクロミック化合物とを含む接着層とすればよい。
(単層である接着層(第一接着層))
単層の場合、使用する接着性ウレタン系樹脂は、軟化点が80℃以上150℃以下であって、前記橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を使用することが好ましい。
単層の接着層(以下、第一接着層とする場合もある)とする場合には、接着性ウレタン系樹脂とフォトクロミック化合物とを混合し、直接シート状に成形してもよい。中でも、橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を使用する場合には、橋架け前のウレタン−ウレア樹脂、ポリイソシアネート化合物、フォトクロミック化合物、必要により配合される添加剤、有機溶媒を混合した第一接着層用塗工液を準備し、第一、若しくは第二ポリマーシート、または、それ以外の基材上に該塗工液を塗布した後、乾燥させることにより、接着層を形成することが好ましい。
この第一接着層用塗工液において、必要に応じて配合される添加剤は、公知の添加剤、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等が挙げられる。これら添加剤は、接着性ポリウレタン系樹脂100質量部に対し、0.001〜20質量部の範囲が好ましい。なお、橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を使用する場合には、この値は、橋架け前のウレタン−ウレア樹脂100質量部と見なす。これらの添加剤を使用しすぎると、ポリカーボネート樹脂製の光学シート又はフィルムなどへのフォトクロミック組成物の接着性が低下するため、その添加量は好ましくは7質量部以下、より好ましくは3質量部以下、最も好ましくは1質量部以下である。
また、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、2−ブタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコール誘導体;ジアセトンアルコール;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、n−ブチルメチルケトンなどのケトン類;トルエン;ヘキサン;ヘプタン;酢酸エチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチルなどのアセテート類;ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);テトラヒドロフラン(THF);シクロヘキサノン;クロロホルム;ジクロロメタン及びこれらの組み合せを挙げることができる。
以上のような第一接着層用塗工液を第一、第二ポリマーシート上に塗布した後、乾燥させた場合には、得られたシート同士を下記に詳述する方法で接合すればよい。また、第一、第二ポリマーシート以外の基材に塗布した場合には、基材と第一接着層とを剥離し、得られた第一接着層を第一、第二ポリマーシートの間に介在させて、下記に詳述する方法で接合すればよい。
第一接着層用塗工液を塗布する方法は、公知の方法を採用すればよく、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ディップ−スピンコート法、ドライラミネート法などの公知の方法が何ら制限なく用いられる。中でも、生産効率の観点からロール状の第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートを使用することが望まれるため、塗工機としては、ナイフコーター、ダイコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、バーコーターなど、ロール状シートに塗工可能な一般的な塗工機を用いることが好適である。その中でも、塗工液粘度の許容範囲が比較的広いナイフコーター、ダイコーターが好適に用いられる。
また、第一、二ポリマーシート以外の基材を使用する場合には、平滑なもの使用することが好ましく、基材の材質としては、本発明で使用する溶剤に耐性があるもの、また接着層が剥離しやすいものが好ましい。具体的に例示すれば、ガラス、ステンレス、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、さらにはシリコン系やフッ素系などの剥離性を向上させるコート層を積層させたプラスチックフィルムなどが挙げられる。基材を使用する場合には、有機溶媒の種類、及びポリマーシートの種類によらず、溶媒の使用に起因する悪影響を排除することが可能である。
接着層が単層である場合には、得られる積層シートにおける接着層の厚みは、特に制限されるものではないが、5〜100μmであることが好ましい。
(複数層の接着層)
また、接着層を複数層とする場合には、第二接着層/第一接着層/第二接着層とからなる3層構造とすることが好ましい。この場合、第二接着層と第一、第二ポリマーシートが接することになる。そして、第一接着層に、フォトクロミック化合物を配合することにより、接着性、耐汗性をより向上することができる。
この第一接着層は、前記の単層の接着層と同じ構成からなることが好ましい。つまり、この第一接着層は、軟化点が80℃以上150℃以下であって、前記橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を使用し、その他、フォトクロミック化合物、必要により配合される添加剤、有機溶媒を混合した第一接着層用塗工液から形成することが好ましい。
一方、第二接着層は、特に制限されるものではないが、軟化点が80℃以上150℃以下であるウレタン系樹脂、中でも、軟化点が80℃以上150℃以下であるウレタン−ウレア樹脂を使用することが好ましい。このウレタン−ウレア樹脂は、前記橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂であってもよいし、橋架け構造とする前のウレタン−ウレア樹脂であってもよい。この第二接着層は、フォトクロミック化合物を含むこともできるが、より優れた効果を発揮するためには、第一接着層のみがフォトクロミック化合物を含むことが好ましい。
このような3層構造の接着層を形成する場合には、共押出成形により第二接着層/第一接着層/第二接着層を形成することもできるが、以下の方法で形成することが好ましい。先ず、第一接着層は、第一、第二ポリマーシート以外の基材上に、前記第一接着層用塗工液を塗布して、前記の方法に従い成形する。
第二接着層は、接着性ウレタン系樹脂、必要に応じて配合される添加剤、有機溶媒を含む第二接着層用塗工液を準備し、第一、第二ポリマーシート上に塗布し、乾燥させることにより、第二接着層を第一ポリマーシート、および第二ポリマーシート上に形成する。なお、第二接着層用塗工液に含まれる添加剤、有機溶媒は、第一接着用塗工液で説明したものと同様のものを使用することができる。なお、第二接着層は、第一接着層と同じく、第一、第二ポリマーシート以外の基材上で作製することもできるが、接着性を向上させるためには、第一、第二ポリマーシート上に直接作製することが好ましい。
そして、第二接着層を有する(積層した)第一ポリマーシートと、上記第一接着層を有する(積層した)基材とを、第二接着層と第一接着層が接合するように、下記に詳述する方法で圧着する。次いで、該基材を剥離して現れる第一接着層と、第二接着層を有する(積層した)第二ポリマーシートとを、第一接着層と第二接着層が接合するように、本発明の方法(積層シートの製造方法)に従い、圧着すればよい。
第二接着層を有する(積層した)第一ポリマーシートと、上記第一接着層を有する(積層した)基材とを圧着する方法としては、第二接着層を有する(積層した)第一ポリマーシート上に、該第二接着層と第一接着層とが接合するように、該第一接着層を有する(積層した)基材を配置し、一対のラミネートロールの表面温度を50℃以上120℃以下とし、線圧4〜200N/mmの条件で圧接することが好ましい。この際の2本のラミネートロールのショアA硬度の差は、30を超えて異なっていても構わない。また、第二接着層を有する(積層した)第一ポリマーシートと、上記第一接着層を有する(積層した)基材とを圧着する場合には、該基材は厚みが5〜100μmのテフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、さらにはシリコン系やフッ素系などの剥離性を向上させるコート層を積層させたプラスチックフィルム等であることが好ましい。この様なフィルムを基材として使用してラミネートする際には、フィルムが張力により伸びてしまい、シワが発生する場合があるが、この様なシワを抑制するために、フィルム(基材)と接するラミネートロールは、表面の滑り性が良いステンレスなどの金属製であることが好ましい。さらに、シワの発生を抑制するには、テンションがかかるように、第一接着層を有する(積層した)フィルム(基材)をラミネートする前から該ラミネートロールに接触させることが好ましい。
このような方法で第一ポリマーシート/第二接着層/第一接合層との順に形成された構造体を一旦準備し、次いで、第二ポリマーシート、または第二ポリマーシート上に第二接着層を積層した積層体を下記に詳述する条件(積層シートの製造方法で記載の条件)で接合すればよい。
なお、第二接着層/第一接着層/第二接着層の構成にした場合には、得られる積層シートの厚みは、特に制限されるものではないが、第一接着層が5〜100μm、10〜50μm、第二接着層が2〜40μm、5〜15μmとなることが好ましい。
(フォトクロミック化合物)
フォトクロミッ化合物としては、クロメン化合物、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、スピロピラン化合物などの公知のフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用することが出来る。これらは、単独使用でもよく、2種類以上を併用しても良い。
上記のフルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、スピロピラン化合物およびクロメン化合物としては、例えば特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号パンフレット、WO96/14596号パンフレットなどに記載されている化合物を挙げることができる。
これらのフォトクロミック化合物の中でも、発色濃度、初期着色、耐久性、退色速度などのフォトクロミック特性の観点から、インデノ(2,1−f)ナフト(2,1−b)ピラン骨格を有するクロメン化合物を1種類以上用いることがより好ましい。さらにこれらクロメン化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、発色濃度および退色速度に特に優れるため好適である。
本発明におけるフォトクロミック化合物の配合量は、フォトクロミック特性の観点から、接着性ポリウレタン系樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好適である。
上記配合量が少なすぎる場合には、十分な発色濃度や耐久性が得られない傾向があり、多すぎる場合には、フォトクロミック化合物の種類にもよるが、フォトクロミック化合物が溶解しにくくなり、組成物の均一性が低下する傾向があるばかりでなく、接着力(密着力)が低下する傾向もある。発色濃度や耐久性といったフォトクロミック特性を維持したまま、ポリマーシートなどの光学基材との接着性を十分に保持するためには、フォトクロミック化合物の添加量は接着性ポリウレタン系樹脂100質量部に対して0.5〜10重量、特に1〜7質量部とすることがより好ましい。なお、橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を第一接着層に使用する場合には、橋架け前のウレタン−ウレア樹脂を100質量部と見なす。
(積層シートの製造方法)
本発明の積層シートの製造方法の一例を、図1を用いて説明する。図1には、3層構造の接着層からなる積層シートの製造例を示した。
先ず、第一ポリマーシート4上に第二接着層3を形成し、その第二接着層3上に第一接着層2を配置した構造体を準備する。この構造体は、図1の構造体を送り出すロール1から送り出される。また、第二ポリマーシート7上に第二接着層6を形成したもの(積層体)を準備する。この積層体は、図1の積層体を送り出すロール5から送り出される。そして、図1に示したように、該構造体の第一接着層2と、該積層体の第二接着層6とが接合するように重ね、同一方向に回転する第一ラミネートロール9と第二ラミネートロール10との隙間に通し、第一ラミネートロール9と第二ラミネートロール10とにより圧接することにより、積層シート8を製造する。
なお、接着層が単層である場合には、上記方法において、第二接着層を形成していない第一、第二ポリマーシートを使用すればよい。また、図1には、第一、二ポリマーシート上に第二接着層を形成した場合の例を示したが、第一、第二接着層を共押出成形し、その両側に第一、第二ポリマーシートを配置することにより、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間に、接着性ウレタン系樹脂を含む接着層を介在させる方法を採用することもできる。
上記のような工程で使用される第一、第二ラミネートロールは、同一方向に回転するものであり、そのショアA硬度の差が0以上30以下、より好ましくは0以上20以下、最も好ましくは、両者のショアA硬度の値が同一であることが好ましい。
本発明者等の検討によれば、ショアA硬度の差が30を超えるラミネートロールで圧接した場合には、得られる積層シートに反りが生じたり、接着性が低下する場合があった。なお、ショアA硬度は、ASTM D2240に準拠したスプリング式硬さ試験機で測定した値である。
第一、第二ラミネートロールの表面を形成する材質は、ショアA硬度が20〜100、より好ましくは40〜90の範囲であるゴム、及びプラスチックからなることが好ましい。具体的には、ウレタン樹脂、ニトリル樹脂、クロロプレン樹脂、エチレン樹脂、ブチル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などを挙げることができるが、耐熱性の観点からフッ素樹脂、またはシリコン樹脂を用いることが好ましい。2本のラミネートロールの材質は、同じ材質であることが好ましいが、上述のようにショアA硬度の差が30以下であれば、異なる材質であっても構わない。また、ラミネートロールの本体がステンレスや鉄などの金属の場合には、その表面に前述の材質を被覆したラミネートロールを用いることも出来る。
また、本発明おいては、積層シートを製造する際、第一、第二ラミネートロールの表面温度は、150℃以下としなければならない。そして、第一ラミネートロール、および第二ラミネートロールの何れか一方の表面温度を60℃以上150℃以下としなければならない。第一、第二ラミネートロールの両方の表面温度が60℃未満の場合には、十分な接着力を得ることができない。第一、第二ラミネートロールの少なくとも一方の表面温度が150℃を超える場合には、第一ポリマーシートまたは第二ポリマーシートが融解する可能性があると共に、平滑性が損なわれる。ラミネートロールの表面温度は、少なくとも一方が60℃以上150℃以下であればよく、この場合、他方のラミネートロールの表面温度は150℃以下であれば、特に制限されるものではない。ただし、より接着性、および耐汗性を向上させ、シート反りを低減するためには、他方のラミネートロールの表面温度は15℃以上であることが好ましい。最も好ましくは、第一、第二ラミネートロールの表面温度が同じ場合である。上記のようにラミネートロールを加熱して所望の温度に設定する場合には、2本のラミネートロールのうち少なくとも1本を加熱していればよく、2本同時に加熱しても何ら問題はない。
積層シートを製造する際のラミネートロールの圧力(圧接力)は、線圧として4〜200N/mmであることが好ましく、8〜100N/mmであることがより好ましく、8〜50N/mmであることが最も好ましい。線圧が4N/mm未満である場合には、得られる積層シートの接着力が低下する傾向にあり、200N/mmを超える場合には、積層シートの反りが大きくなる傾向にある。
積層シートを製造する際のラミネートロールの速度(同一方向に回転する速度であり、第一、第二ラミネートロールの回転速度は同じである。)は、特に制限されないが、0.1〜50m/分であることが好ましく、0.2〜30m/分であることがより好ましく、0.5〜10m/分であることが最も好ましい。速度が0.1m/分未満である場合には、生産性が低下する傾向にあり、速度が50m/分を超える場合には、接着性が低下する傾向にあり、また、空気を巻き込み気泡の残留が生じる虞がある。
(積層シートの後処理)
前述の方法により得られた本発明の積層シートは、そのまま使用することもできるが、以下の方法により、その状態を安定化させて使用することもできる。具体的には、接合したばかりの積層シートを20℃以上60℃以下の温度で4時間以上常圧もしくは減圧下で静置し、脱気することが好ましい。さらに、この静置した積層シートを60℃以上130℃以下の温度下、30分以上3時間以下放置しておくことが好ましい(以下、加熱処理とする)。また、ポリイソシアネート化合物を配合した場合(橋架けポリウレタン−ウレア樹脂を接着層に使用した場合)には、室温〜100℃の温度、及び30〜100%RHの湿度下で加湿処理されることが好ましい。
さらには、加湿処理後に、常圧下、もしくは真空下において、40〜130℃で静置することにより、積層シート中に存在する過剰の水分を除去することができる。
(加工シートの製造:熱曲げ加工)
次いで、光学基材と一体化する前に、熱曲げ加工を実施することにより、レンズ状の球面形状に加工(加工シートを製造)することもできる。積層シートを球面形状に熱曲げ加工する方法は、例えば、熱プレス加工、加圧加工、減圧吸引加工などが挙げられる。これらの熱曲げ加工方法においては、積層シートが平滑であり、反りが少ないことが重要である。つまりは、積層シートを熱曲げ加工する所定の位置に設置する際に、積層シートに反りがある場合には、所定の位置に固定しくいばかりではなく、熱曲げ加工後の積層シートの球面形状に歪が生じるおそれがある。本発明の方法よれば、これらの不良を抑制することができる。
熱プレス加工は、先ず、熱プレス機に、所望する球面形状の凸型の金型と凹型の金型を装着し、両金型の間に該積層シートを固定治具で押さえつけ、凸型及び凹型の金型を加熱する。次いで、積層シートの両側から、この加熱した金型でプレスすることで、所望の球面形状に曲げ加工することができる。また、熱プレスする場合には、凹型の金型を用いず、凸型の金型のみを用いて、曲げ加工することも可能である。熱プレス加工する場合には、金型のみではなく、積層シートを含めた熱プレスを行う雰囲気全体を加熱して実施してもよい。
加圧加工は、所望の球面形状の凹型金型を有する装置を用いる。この凹型金型に対して本発明の積層シートを固定治具で固定化し、積層シートの下面側に圧縮空気を注入できる金型をかぶせ、これら全体をヒータで加熱する。次いで、圧縮空気を積層シート下面側から注入し、凹型金型の形状に変形させる。
減圧吸引加工は、加圧加工と同様に所望の球面形状の凹型金型を有する装置を用いる。この凹型金型に本発明の積層シートを設置するか、もしくは固定治具で固定化し、これら全体をヒータで加熱する。次いで、凹型金型内部から減圧吸引することで、凹型金型の形状に積層シートを変形させる。
また、加圧加工と減圧吸引加工を併用して、本発明の積層シートを変形させることも出来る。
熱曲げ加工する際の温度は、本発明の積層シートに使用されているポリマーシートの種類によって適宜、決定すれば良いが、120℃を超え200℃以下で実施することが好ましい。
また、本発明の方法により得られる積層シートは、熱曲げ加工を行う前処理として、予備加熱処理を行うことが好ましい。積層シートは、大気中の水又は空気を含んだ状態で熱曲げ加工を行うと、積層シート内部の水又は空気が膨張し、気泡などの不良が発生することがある。そのため、予備加熱処理に行った後、熱曲げ加工を行うことで、気泡などの発生を抑制することができる。予備加熱処理は、40℃〜120℃の温度下で、5分〜24時間放置すればよい。また、減圧下であれば、例えば1〜10kPa程度の減圧下であれば、40〜60℃の温度で10分から1時間放置すればよい。また、常圧下であれば、50〜120℃の温度下、5分間から3時間放置することが好ましく、さらに、70〜110℃の温度下、10分間から60分間放置することが好ましい。
(射出成型による光学基材の接合(光学物品の製造))
熱曲げ加工した積層シート(加工シート)は、射出成型機の金型内に取り付けられ、曲げ加工した加工シートの凹面側に、熱可塑性樹脂を射出成型することにより、熱可塑性樹脂からなる光学基材と該加工シートとを一体化して、光学物品、例えば、プラスチックレンズとすればよい。
射出成型に使用する熱可塑性樹脂としては、透明性の高い樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル樹脂またはこれらの混合物や共重合体が挙げられる。その中でも、耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂がより好ましい。また、これらの熱可塑性樹脂には、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などが添加されていてもよい。以下、ポリカーボネート樹脂を用いた際の射出条件について説明する。
ポリカーボネート樹脂と上述のような各種の添加剤との配合は、例えばタンブラー、V 型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法などがあり、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
光学物品(プラスチックレンズ)を製造する際の射出成型には、一般の射出成型機や射出圧縮成型機等を用いることができる。射出成型の成型条件は、光学物品を形成する樹脂の種類、物性に応じて適宜決定すればよい。ポリカーボネート樹脂を射出成型する際の条件としては、射出成型シリンダー温度は200〜380℃、好ましくは220〜350℃である。射出成型機の金型温度は、40〜130℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。射出圧力は、2900〜17000N/cmであることが好ましく、4900N/cm〜15000N/cmであることがより好ましい。射出速度は、50〜800mm/sであることが好ましく、100〜700mm/sであることがより好ましい。また、ポリカーボネート樹脂は、射出成型前に100〜150℃の温度範囲で、4時間以上乾燥させておくことが好ましい。
以下に例示するいくつかの実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に、本発明を説明するためのものであり、本発明の精神及び範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で各成分として使用した化合物等の略号を纏める。
第一接着層用塗工液
撹拌羽、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三つ口フラスコに、数平均分子量800のポリカーボネートジオール251.9g、イソホロンジイソシアネート100gを仕込み、窒素雰囲気下、110℃で7時間反応させ、プレポリマーを合成した。反応終了後、反応液を30℃付近まで冷却し、THF1515gに溶解させ、次いで、鎖延長剤であるビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン23.6gを滴下し、25℃で1時間反応させた。その後さらに、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン7.7gを滴下し、25℃で1時間反応させることにより、ウレタン系樹脂のTHF溶液を得た。ここに、下記フォトクロミック化合物(PC1)11.5g、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物40g、さらに酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]4g、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 0.6gを添加し、室温で攪拌・混合を行い、第一接着層用塗工液を得た。この第一接着層用塗工液に含まれる接着性ウレタン系樹脂は、軟化点が105℃であり、ウレア結合と4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物とが反応した、橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂であることを確認した。
PC1:下記式で示される化合物
Figure 2014113761
第二接着層用塗工液
撹拌羽、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三つ口フラスコに、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール236g、イソホロンジイソシアネート100gを仕込み、窒素雰囲気下、110℃で7時間反応させ、プレポリマーを合成した。反応終了後、反応液を30℃付近まで冷却し、プロピレングリコール−モノメチルエーテル1550gに溶解させ、次いで、鎖延長剤であるイソホロンジアミン32.6gを滴下し、25℃で1時間反応させた。その後さらに、n−ブチルアミン2.0gを滴下し、25℃で1時間反応させることにより、ウレタン系樹脂のプロピレングリコール−モノメチルエーテル溶液を得た。ここに、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 2.0gを添加し、室温で攪拌・混合を行い、第二接着層用塗工液を得た。この第二接着層用塗工液に含まれる接着性ウレタン系樹脂は、軟化点が120℃のウレタン−ウレア樹脂であることを確認した。
実施例1
積層シートの製造
コーター(テスター産業製)を用いて、第一接着層用塗工液を、50μmのOPPフィルム(二延伸ポリプロピレンフィルム:基材)上に、塗工速度0.3m/minで塗工し、乾燥温度100℃で5分間乾燥させた(OPPフィルム(基材)上に第一接着層を積層した)。その後、第一接着層側を厚み400μmのポリカーボネートシート(第一ポリマーシート)上に配置し、一対のラミネートロールの隙間を通し、線圧30N/mmで張り合わせた。この際、ラミネートロールは、表面温度が25℃のシリコンゴムロールと表面温度が70℃のステンレス製ロールを用いた。第一接着層の厚みは40μmであった。
次いで、上記方法で準備した第一ポリマーシート/第一接着層/OPPフィルムがこの順で積層されたものからOPPフィルムを剥離し、厚み400μmのポリカーボネートシート(第二ポリマーシート)を、第一接着層とが接合するように、第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとの間に通して圧接した。この際、第一、第二ラミネートロールの回転速度は1m/分、線圧は30N/mmとして積層シートを得た。第一、二ラミネートロールはショアA硬度70(第一、二ラミネートロールのショアA硬度の差0)のシリコンゴムロールを用い、第一ラミネートロールの表面温度を室温(25℃)、第二ラミネートロールの表面温度を100℃とした。次いで、得られた積層シートを40℃、真空下で24時間静置した後、110℃で60分加熱処理し、次いで60℃、100%RHで24時間の加湿処理を行い、最後に40℃、真空下で24時間静置することにより、目的の積層シートを得た。得られた積層シートの平滑性を評価したところ評価結果はAであり、剥離強度は初期120N/25mm、煮沸試験後100N/25mmであった。平滑性、及び剥離強度の評価は以下の方法で行った。
平滑性評価
得られた積層シートを、20cm?30cmのサイズに裁断し、このシートを平板の上に置き、積層シート下面と平板との隙間の距離を測定することにより、平滑性を評価した。評価基準は、下記のとおりである。
A;積層シート下面と平板との隙間の距離が、5mm未満。
B;積層シート下面と平板との隙間の距離が、5mm以上10mm未満。
C;積層シート下面と平板との隙間の距離が、10mm以上15mm未満。
D;積層シート下面と平板との隙間の距離が、15mm以上。
剥離強度
得られた積層シートを、25×100mmの接着部分を有する試験片とし、試験機(オートグラフAGS−500NX、島津製作所製)に装着し、クロスヘッドスピード100mm/minで引張り試験を行い、それぞれ下記1)、及び2)の剥離強度を測定した。
1)初期の剥離強度は、上記の通り試験を実施した。
2)煮沸試験後の剥離強度は、上記にサイズに切り出した試験片を、沸騰した蒸留水中に1時間浸漬させた後、上記のようにして測定した。
(加工シートの製造)
次いで、得られた積層シートを熱プレス成型(熱曲げ加工)により、球面形状に曲げ加工を行った。球面形状の対となる直径8cmの凸型の金型と凹型の金型を熱プレス機に装着し、10cm角の積層シートを凹型の金型に固定冶具により設置し、凸型と凹型の金型を150℃で15分加熱した。加熱した凸型の金型で積層シートを250N/cmの圧力で熱プレスし、5分間放置し、50℃以下まで冷却し、金型から取り外すことで球面形状に加工された積層シート(加工シート)を得た。なお、熱プレス前には、積層シートを真空下、80℃で1時間の予備加熱を実施した。
(光学物品の製造)
得られた球面形状を有する積層シート(加工シート)を射出成型機の金型に設置し、100℃に加熱した。射出成型機に120℃、5時間の予備加熱を行ったポリカーボネート樹脂のペレット(帝人化成製パンライト)を充填し、300℃、60rpmで加熱溶融し、射出圧力14000N/cmで積層シートを設置した金型に射出することで、ポリカーボネート樹脂と一体化したプラスチックレンズ(光学物品)を製造した。得られたプラスチックレンズの耐汗試験による密着安定性は700時間であり、またフォトクロミック特性に関しては最大吸収波長585nm、発色濃度1.0、退色速度45秒、耐久性93%であった。耐汗試験、及びフォトクロミック特性の評価は、以下の方法により実施した。
耐汗試験
得られたプラスチックレンズを、直径70mm、厚さ3mmのサイズに研磨し、この試験片をステンレス製治具で締め付けた。別途、蓋付きのプラスチック容器に人口汗(10%の食塩、及び5%の乳酸を添加した蒸留水)を用意し、この人工汗中に前記試験片を浸漬した。この試験片、及び人工汗が入ったプラスチック容器を70℃で保管し、約24時間毎に試験片端部の剥離有無を目視評価した。評価結果の数値は、安定した接着性を示した時間(剥離が生じる直前までの時間)である。
フォトクロミック特性
得られたプラスチックレンズを試料とし、これに、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃、プラスチックレンズ表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm、245nm=24μW/cmで120秒間照射して発色させ、プラスチックレンズのフォトクロミック特性を測定した。
1)最大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディレクターMCPD1000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
2)発色濃度〔ε(120)−ε(0)〕:前記最大吸収波長における、120秒間照射した後の吸光度ε(120)と最大吸収波長における未照射時の吸光度ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れていると言える。
3)退色速度〔t1/2(sec.)〕:120秒間照射後、光の照射をとめたときに、試料の前記最大波長における吸光度が〔ε(120)−ε(0)〕の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
4)耐久性(%)=〔(A96/A0)×100〕:光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られたプラスチックレンズをスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により96時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A96)を測定し、〔(A96)/A0〕×100〕の値を残存率(%)とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
実施例2
積層シートの製造
コーター(テスター産業製)を用いて、第一、二ポリマーシート上に第二接着層を作製した。第二接着層用塗工液を厚み400μmのポリカーボネートシート(第一、第二ポリマーシート)上に、塗工速度0.5m/minで塗工し、乾燥温度110℃で3分間乾燥させることにより、膜厚5μmの第二接着層を有するポリカーボネートシートを得た。
第一接着層用塗工液を、50μmのOPPフィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)上に塗工速度0.3m/minで塗工し、乾燥温度100℃で5分間乾燥させた(OPPフィルム(基材)上に第一接着層を積層した)。その後、第一接着層側を、第二接着層を有する第一ポリマーシートの第二接着層上に配置し、線圧30N/mmで張り合わせた。この際のラミネートロールは、表面温度20〜25℃のシリコンゴムロールと表面温度70℃のステンレス製ロールを用いた。第一接着層の厚みは40μmであった。
次いで、上記方法で準備した第一ポリマーシート/第二接着層/第一接着層/OPPフィルムがこの順で積層されたものからOPPフィルムを剥離した構造体と、第二接着層を有する第二ポリカーボネートシート(積層体)とを、構造体の第一接着層と積層体の第二接着層とが接合するように、第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとの間に通して圧接した。この際、第一、二ラミネートロールの回転速度は1m/分、線圧は30N/mmとして積層シートを得た。第一、二ラミネートロールはショアA硬度70(第一、二ラミネートロールのショアA硬度の差0)のシリコンゴムロールを用い、第一ラミネートロールの表面温度を室温(20〜25℃)、第二ラミネートロールの表面温度100℃とした。次いで、得られた積層シートを実施例1と同様に後処理を実施し、目的の積層シートを得た。その後、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
実施例3〜15
表1に示すラミネートロールの材質、ショアA硬度、温度、線圧、及び速度を採用した以外は、実施例2と同様の方法で積層シートを作製し、最終的にはプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
比較例1
表1に示すラミネートロールの材質、ショアA硬度、温度、線圧、及び速度を採用した以外は、実施例1と同様の方法で積層シートを作製し、最終的にはプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
比較例2〜4
表1に示すラミネートロールの材質、ショアA硬度、温度、線圧、及び速度を採用した以外は、実施例2と同様の方法で積層シートを作製し、最終的にはプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
Figure 2014113761
Figure 2014113761
上記実施例1〜15から明らかなように、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間にポリウレタン系樹脂を含んでなる接着層を介在させて、両者を貼り合わせる工程において、使用する2本のラミネートロールが同程度の硬度(ショアA硬度の差が30以下)、ラミネートロールの表面温度が150℃以下であって、少なくとも一方の表面温度を60℃以上とする場合には、得られる積層シートは優れた平滑性、及び接着性を有していることが分かる。さらに、この積層シートを用いてプラスチックレンズを作製した場合には、優れたフォトクロミック特性、及び耐汗性を有していることも分かる。
一方、比較例1〜4に示すように使用する2本のラミネートロールに硬度差がある場合、ラミネートロールの表面温度が60未満の場合には、得られる積層シートの平滑性が損なわれる。その結果、この積層シートを用いてプラスチックレンズを作製した場合には、十分な耐汗性を得ることができなかった。
1:第一接着層、及び第二接着層を有する第一ポリマーシート(構造体)を送り出すロール
2:第一接着層
3:第二接着層
4:第一ポリマーシート
5:第二接着層を有する第二ポリマーシート(積層体)を送り出すロール
6:第二接着層
7:第二ポリマーシート
8:積層シート
9:第一ラミネートロール
10:第二ラミネートロール

Claims (8)

  1. 第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間に、接着性ウレタン系樹脂を含む接着層を介在させて、同一方向に回転する第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとにより圧接して、該接着層により該第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとを接着した積層シートを製造する方法であって、
    該接着層がフォトクロミック化合物を含み、
    該第一ラミネートロールのショアA硬度と該第二ラミネートロールのショアA硬度との差を0以上30以下とし、
    該第一ラミネートロール、および該第二ラミネートロールの表面温度を150℃以下とし、かつ、少なくとも一方のラミネートロールの表面温度を60℃以上とすることを特徴とする積層シートの製造方法。
  2. 該第一ラミネートロールと該第二ラミネートロールとにより圧接する際の圧接力を4〜200N/mmの線圧とする請求項1に記載の積層シートの製造方法。
  3. 前記接着性ウレタン系樹脂が、80℃以上150℃以下の軟化点であるウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造方法。
  4. 前記接着性ウレタン系樹脂が、分子鎖中にウレタン結合、およびウレア結合を有するウレタン−ウレア樹脂の該ウレタン結合、および該ウレア結合の少なくとも一方の結合とポリイソシアネート化合物とを反応して得られる、橋架け構造を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載に記載の積層シートの製造方法。
  5. 前記接着層が、第二接着層/第一接着層/第二接着層の順で積層された3層構造を有し、第一接着層がフォトクロミック化合物、及び軟化点が80℃以上150℃以下のウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造方法
  6. 第一ポリマーシート/第二接着層/第一接着層の順で積層した構造体と、第二接着層を積層した第二ポリマーシートとを、該構造体の第一接着層と該第二ポリマーシートの第二接着層とが接合するようにして、第二接着層/第一接着層/第二接着層の順で積層された3層構造の接着層とする請求項5に記載の積層シートの製造方法。
  7. 請求項1記載の製造方法で積層シート製造した後、該積層シートを熱曲げ加工することにより、曲率を有する形状の加工シートを製造する方法。
  8. 請求項7に記載の方法で加工シートを製造した後、該加工シートの凹面側に熱可塑性樹脂を射出成型することにより、該凹面に該熱可塑性樹脂よりなる樹脂層が接合した光学物品を製造する方法。
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