JP2014113761A - 積層シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂などからなるポリマーシートを、ウレタン系樹脂を含んでなる接着層を介して接合する際に使用する2本のラミネートロールが、同程度のショアA硬度であり、両方のラミネートロールの表面温度が150℃以下であって、かつ、少なくとも一方のラミネートロールの表面温度が60℃以上であることを特徴とする積層シートの製造方法である。
【選択図】なし
Description
該接着層がフォトクロミック化合物を含み、
該第一ラミネートロールのショアA硬度と該第二ラミネートロールのショアA硬度との差を0以上30以下とし、
該第一ラミネートロール、および該第二ラミネートロールの表面温度を150℃以下とし、かつ、少なくとも一方のラミネートロールの表面温度を60℃以上とすることを特徴とする積層シートの製造方法である。
本発明に使用される第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートとしては、光透過性を有する樹脂製シートが特に制限なく使用できる。第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートの原料として好適な樹脂を例示すれば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。その中でも、接着性が良好で射出成形法に対する適用性が高いという理由からポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、偏光シート(ポリビニルアルコール製偏光フィルムをトリアセチルセルロース樹脂フィルム、またはポリカーボネートシートではさんだもの)も、本発明の第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートとして使用することが可能である。さらには、着色されたシートも、本発明の第1ポリマーシート、及び第2ポリマーシートとして使用することが可能である。また、着色に関しては、本発明の積層シートを作製した後に第一ポリマーシート、または/及び第二ポリマーシートを染色することも可能である。また、第一ポリマーシート、及び第二ポリマーシートは、異なる樹脂からなるシートであってもよいし、同じ樹脂からなるシートであってもよい。
R1〜R4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、
Aは、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、スルホン基、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基、炭素数6〜20のアリーレン基、または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基である。)
R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のシクロアルキル基、または、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、
Bは、置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のシクロアルキレン基、または、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表し、
m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数である。)
R9は、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、
R10は、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基であり、
pは、1〜3の整数である。)
Yは、炭素数2〜10のアルキレン基、または炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、
qは、1〜10の整数である。)
接着性ウレタン系樹脂を含む接着層は、ポリウレタン系樹脂を主成分とし、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートを貼り合わせる目的で使用される。該接着性ウレタン系樹脂は、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂のどちらであってもよい。
また、接着性ポリウレタン系樹脂は、後述する光学物品(積層シート)の接着(密着)強度、耐汗性を向上するためには、軟化点が80℃以上150℃以下となることが好ましい。この軟化点は、熱機械測定装置(セイコーインスツルメント社製、TMA120C)を用いて、下記条件で測定した値である。
〔測定条件〕 昇温速度:10℃/分、測定温度範囲:30〜200℃、プローブ:先端径0.5mmの針入プローブ。
本発明において、接着層は、単層であってもよいし、複数層から形成されてもよい。単層である場合には、上記の接着性ウレタン系樹脂とフォトクロミック化合物とを含む接着層とすればよい。
単層の場合、使用する接着性ウレタン系樹脂は、軟化点が80℃以上150℃以下であって、前記橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂を使用することが好ましい。
また、接着層を複数層とする場合には、第二接着層/第一接着層/第二接着層とからなる3層構造とすることが好ましい。この場合、第二接着層と第一、第二ポリマーシートが接することになる。そして、第一接着層に、フォトクロミック化合物を配合することにより、接着性、耐汗性をより向上することができる。
フォトクロミッ化合物としては、クロメン化合物、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、スピロピラン化合物などの公知のフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用することが出来る。これらは、単独使用でもよく、2種類以上を併用しても良い。
本発明の積層シートの製造方法の一例を、図1を用いて説明する。図1には、3層構造の接着層からなる積層シートの製造例を示した。
本発明者等の検討によれば、ショアA硬度の差が30を超えるラミネートロールで圧接した場合には、得られる積層シートに反りが生じたり、接着性が低下する場合があった。なお、ショアA硬度は、ASTM D2240に準拠したスプリング式硬さ試験機で測定した値である。
前述の方法により得られた本発明の積層シートは、そのまま使用することもできるが、以下の方法により、その状態を安定化させて使用することもできる。具体的には、接合したばかりの積層シートを20℃以上60℃以下の温度で4時間以上常圧もしくは減圧下で静置し、脱気することが好ましい。さらに、この静置した積層シートを60℃以上130℃以下の温度下、30分以上3時間以下放置しておくことが好ましい(以下、加熱処理とする)。また、ポリイソシアネート化合物を配合した場合(橋架けポリウレタン−ウレア樹脂を接着層に使用した場合)には、室温〜100℃の温度、及び30〜100%RHの湿度下で加湿処理されることが好ましい。
次いで、光学基材と一体化する前に、熱曲げ加工を実施することにより、レンズ状の球面形状に加工(加工シートを製造)することもできる。積層シートを球面形状に熱曲げ加工する方法は、例えば、熱プレス加工、加圧加工、減圧吸引加工などが挙げられる。これらの熱曲げ加工方法においては、積層シートが平滑であり、反りが少ないことが重要である。つまりは、積層シートを熱曲げ加工する所定の位置に設置する際に、積層シートに反りがある場合には、所定の位置に固定しくいばかりではなく、熱曲げ加工後の積層シートの球面形状に歪が生じるおそれがある。本発明の方法よれば、これらの不良を抑制することができる。
熱曲げ加工した積層シート(加工シート)は、射出成型機の金型内に取り付けられ、曲げ加工した加工シートの凹面側に、熱可塑性樹脂を射出成型することにより、熱可塑性樹脂からなる光学基材と該加工シートとを一体化して、光学物品、例えば、プラスチックレンズとすればよい。
撹拌羽、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三つ口フラスコに、数平均分子量800のポリカーボネートジオール251.9g、イソホロンジイソシアネート100gを仕込み、窒素雰囲気下、110℃で7時間反応させ、プレポリマーを合成した。反応終了後、反応液を30℃付近まで冷却し、THF1515gに溶解させ、次いで、鎖延長剤であるビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン23.6gを滴下し、25℃で1時間反応させた。その後さらに、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン7.7gを滴下し、25℃で1時間反応させることにより、ウレタン系樹脂のTHF溶液を得た。ここに、下記フォトクロミック化合物(PC1)11.5g、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物40g、さらに酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]4g、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 0.6gを添加し、室温で攪拌・混合を行い、第一接着層用塗工液を得た。この第一接着層用塗工液に含まれる接着性ウレタン系樹脂は、軟化点が105℃であり、ウレア結合と4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物とが反応した、橋架け構造を有するウレタン−ウレア樹脂であることを確認した。
PC1:下記式で示される化合物
撹拌羽、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を有する三つ口フラスコに、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール236g、イソホロンジイソシアネート100gを仕込み、窒素雰囲気下、110℃で7時間反応させ、プレポリマーを合成した。反応終了後、反応液を30℃付近まで冷却し、プロピレングリコール−モノメチルエーテル1550gに溶解させ、次いで、鎖延長剤であるイソホロンジアミン32.6gを滴下し、25℃で1時間反応させた。その後さらに、n−ブチルアミン2.0gを滴下し、25℃で1時間反応させることにより、ウレタン系樹脂のプロピレングリコール−モノメチルエーテル溶液を得た。ここに、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 2.0gを添加し、室温で攪拌・混合を行い、第二接着層用塗工液を得た。この第二接着層用塗工液に含まれる接着性ウレタン系樹脂は、軟化点が120℃のウレタン−ウレア樹脂であることを確認した。
積層シートの製造
コーター(テスター産業製)を用いて、第一接着層用塗工液を、50μmのOPPフィルム(二延伸ポリプロピレンフィルム:基材)上に、塗工速度0.3m/minで塗工し、乾燥温度100℃で5分間乾燥させた(OPPフィルム(基材)上に第一接着層を積層した)。その後、第一接着層側を厚み400μmのポリカーボネートシート(第一ポリマーシート)上に配置し、一対のラミネートロールの隙間を通し、線圧30N/mmで張り合わせた。この際、ラミネートロールは、表面温度が25℃のシリコンゴムロールと表面温度が70℃のステンレス製ロールを用いた。第一接着層の厚みは40μmであった。
得られた積層シートを、20cm?30cmのサイズに裁断し、このシートを平板の上に置き、積層シート下面と平板との隙間の距離を測定することにより、平滑性を評価した。評価基準は、下記のとおりである。
得られた積層シートを、25×100mmの接着部分を有する試験片とし、試験機(オートグラフAGS−500NX、島津製作所製)に装着し、クロスヘッドスピード100mm/minで引張り試験を行い、それぞれ下記1)、及び2)の剥離強度を測定した。
次いで、得られた積層シートを熱プレス成型(熱曲げ加工)により、球面形状に曲げ加工を行った。球面形状の対となる直径8cmの凸型の金型と凹型の金型を熱プレス機に装着し、10cm角の積層シートを凹型の金型に固定冶具により設置し、凸型と凹型の金型を150℃で15分加熱した。加熱した凸型の金型で積層シートを250N/cm2の圧力で熱プレスし、5分間放置し、50℃以下まで冷却し、金型から取り外すことで球面形状に加工された積層シート(加工シート)を得た。なお、熱プレス前には、積層シートを真空下、80℃で1時間の予備加熱を実施した。
得られた球面形状を有する積層シート(加工シート)を射出成型機の金型に設置し、100℃に加熱した。射出成型機に120℃、5時間の予備加熱を行ったポリカーボネート樹脂のペレット(帝人化成製パンライト)を充填し、300℃、60rpmで加熱溶融し、射出圧力14000N/cm2で積層シートを設置した金型に射出することで、ポリカーボネート樹脂と一体化したプラスチックレンズ(光学物品)を製造した。得られたプラスチックレンズの耐汗試験による密着安定性は700時間であり、またフォトクロミック特性に関しては最大吸収波長585nm、発色濃度1.0、退色速度45秒、耐久性93%であった。耐汗試験、及びフォトクロミック特性の評価は、以下の方法により実施した。
得られたプラスチックレンズを、直径70mm、厚さ3mmのサイズに研磨し、この試験片をステンレス製治具で締め付けた。別途、蓋付きのプラスチック容器に人口汗(10%の食塩、及び5%の乳酸を添加した蒸留水)を用意し、この人工汗中に前記試験片を浸漬した。この試験片、及び人工汗が入ったプラスチック容器を70℃で保管し、約24時間毎に試験片端部の剥離有無を目視評価した。評価結果の数値は、安定した接着性を示した時間(剥離が生じる直前までの時間)である。
得られたプラスチックレンズを試料とし、これに、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃、プラスチックレンズ表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させ、プラスチックレンズのフォトクロミック特性を測定した。
積層シートの製造
コーター(テスター産業製)を用いて、第一、二ポリマーシート上に第二接着層を作製した。第二接着層用塗工液を厚み400μmのポリカーボネートシート(第一、第二ポリマーシート)上に、塗工速度0.5m/minで塗工し、乾燥温度110℃で3分間乾燥させることにより、膜厚5μmの第二接着層を有するポリカーボネートシートを得た。
表1に示すラミネートロールの材質、ショアA硬度、温度、線圧、及び速度を採用した以外は、実施例2と同様の方法で積層シートを作製し、最終的にはプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
表1に示すラミネートロールの材質、ショアA硬度、温度、線圧、及び速度を採用した以外は、実施例1と同様の方法で積層シートを作製し、最終的にはプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
表1に示すラミネートロールの材質、ショアA硬度、温度、線圧、及び速度を採用した以外は、実施例2と同様の方法で積層シートを作製し、最終的にはプラスチックレンズを得た。その結果を、表2に示す。
2:第一接着層
3:第二接着層
4:第一ポリマーシート
5:第二接着層を有する第二ポリマーシート(積層体)を送り出すロール
6:第二接着層
7:第二ポリマーシート
8:積層シート
9:第一ラミネートロール
10:第二ラミネートロール
Claims (8)
- 第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間に、接着性ウレタン系樹脂を含む接着層を介在させて、同一方向に回転する第一ラミネートロールと第二ラミネートロールとにより圧接して、該接着層により該第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとを接着した積層シートを製造する方法であって、
該接着層がフォトクロミック化合物を含み、
該第一ラミネートロールのショアA硬度と該第二ラミネートロールのショアA硬度との差を0以上30以下とし、
該第一ラミネートロール、および該第二ラミネートロールの表面温度を150℃以下とし、かつ、少なくとも一方のラミネートロールの表面温度を60℃以上とすることを特徴とする積層シートの製造方法。 - 該第一ラミネートロールと該第二ラミネートロールとにより圧接する際の圧接力を4〜200N/mmの線圧とする請求項1に記載の積層シートの製造方法。
- 前記接着性ウレタン系樹脂が、80℃以上150℃以下の軟化点であるウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造方法。
- 前記接着性ウレタン系樹脂が、分子鎖中にウレタン結合、およびウレア結合を有するウレタン−ウレア樹脂の該ウレタン結合、および該ウレア結合の少なくとも一方の結合とポリイソシアネート化合物とを反応して得られる、橋架け構造を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載に記載の積層シートの製造方法。
- 前記接着層が、第二接着層/第一接着層/第二接着層の順で積層された3層構造を有し、第一接着層がフォトクロミック化合物、及び軟化点が80℃以上150℃以下のウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造方法
- 第一ポリマーシート/第二接着層/第一接着層の順で積層した構造体と、第二接着層を積層した第二ポリマーシートとを、該構造体の第一接着層と該第二ポリマーシートの第二接着層とが接合するようにして、第二接着層/第一接着層/第二接着層の順で積層された3層構造の接着層とする請求項5に記載の積層シートの製造方法。
- 請求項1記載の製造方法で積層シート製造した後、該積層シートを熱曲げ加工することにより、曲率を有する形状の加工シートを製造する方法。
- 請求項7に記載の方法で加工シートを製造した後、該加工シートの凹面側に熱可塑性樹脂を射出成型することにより、該凹面に該熱可塑性樹脂よりなる樹脂層が接合した光学物品を製造する方法。
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