JP7118876B2 - 積層体、該積層体からなる光学基材、および該光学基材を備えた光学物品 - Google Patents
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Description
(1)前記第一光学シートの厚みが、前記第二光学シートの厚みの1.10倍以上5.00倍以下である。
(2)前記第一光学シートの延伸倍率が、前記第二光学シートの延伸倍率の1.10倍以上5.00倍以下である。
本発明の積層体は、光学シート同士を、接着剤を介して直接的、又は間接的に接合した積層体において、一方の光学シートの厚みを他方の光学シートの厚みに対して特定の範囲で厚くしたものである。具体的には、第一光学シート、及び第二光学シートが接着層を介して接合された積層構造を有する積層体である。そして、その積層体が、以下の(1)、及び(2)の少なくとも一方の特性を満足する。
本発明において、第一、及び第二光学シートは、特に制限されるものではなく、通常の光学物品に使用される公知の材料を使用できる。これら材料については、特許文献5~8に記載されているものが使用できる。
前記積層体の特徴は、前記第一光学シートの厚みを、前記第二光学シートの厚みの1.10~5.00倍とした点にある。前記第一光学シートの厚みを前記範囲とすることにより、得られる積層体、光学基材、および光学物品の耐衝撃性(衝撃強度)を高めることができる。加えて、積層体からなる上に凸型形状を有する光学基材、および該光学基材を備えた光学物品を製造する際に、生産性よく製造できる。厚みの比が前記範囲を満足する場合、前記第一光学シート、及び前記第二光学シートは、無延伸シートであっても、延伸シートであってもよい。そして、厚みの比が前記範囲を満足すれば、下記に詳述する延伸倍率の比は、特性(2)を満足してもよいし、前記特性(2)を満足しなくてもよい。
前記積層体の特徴は、前記第一光学シートの延伸倍率を、前記第二光学シートの延伸倍率の1.10~5.00倍とした点にある。前記第一光学シートの延伸倍率を前記範囲とすることにより、得られる積層体、光学基材、および光学物品の耐衝撃性(衝撃強度)を高めることができる。加えて、積層体からなる上に凸型形状を有する光学基材、および該光学基材を備えた光学物品を製造する際に、生産性よく製造できる。さらに、該凸方形状の光学基材において、上面側に第一光学シートが配置されることにより、光学歪を抑制することもできる。延伸倍率の比が前記範囲を満足する場合、厚みの比は、前記特性(1)を満足してもよいし、前記特性(1)を満足しなくてもよい。
本発明の積層体は、前記の通り、以下の(1)の特性、又は(2)の特性の何れか一方を有することが必須である。中でも、以下の特性(1)、及び(2)の両方を満足することが最も好ましい。
特性(1);前記第一光学シートの厚みが、前記第二光学シートの厚みの1.10~5.00倍である。
特性(2);前記第一光学シートの延伸倍率が、前記第二光学シートの延伸倍率の1.10~5.00倍である。
<接着層>
本発明の積層体においては、前記の通り、第一光学シート、および第二光学シートを、接着層を介して接合したものである。
接着層の厚みは、特に制限されるものではないが、光学シート同士の密着性、並びに、光学基材および光学部材の成型性を考慮すると、接着層1層の厚みは2.5~100μmであることが好ましく、5~60μmであることがより好ましく、10~60μmであることがさらに好ましい。この厚みは、接着層が多層であったり、前記第一、および第二光学シート以外のシート(例えば、偏光フィルム)をそれらの間に介することにより、接着層が複数層形成される場合には、それら全接着層の合計厚みが5~200μmとすることが好ましく、10~200μmとすることがより好ましく、20~150μmとすることがさらに好ましく、20~100μmとすることが特に好ましい。
本発明において、接着層は、接合する光学シートに応じて、単層とすることもできし、多層とすることもできる。多層とする場合には、光学シートとの接合性がよい第1a接着層を直接光学シート上に積層し、その上に、主の接着層を形成する第1b接着層のような構成とすることができる。多層の場合であっても、接着層のみからなる場合には、第一光学シートと第二光学シートとは、接着層を介して直接的に接合しているものである。
本発明において、接着層を構成する材料(接着性組成物)は、特に制限されるものではないが、積層体における光学シート同士の密着性を高めるためには、ウレタン樹脂を主成分とすることが好ましい。前記ウレタン樹脂は、分子内にウレタン結合を有する樹脂であり、具体的には、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物とを反応させて得られる公知のものが使用される。その中でもジアミン、トリアミン等の鎖延長剤を反応させて得られるウレタンウレア樹脂であることが好適である。また、ジアミンあるいはトリアミン鎖延長剤として用いることにより、ウレタン樹脂中にウレア結合(-R-NH-CO-NH-)が導入され、ウレタンウレア樹脂となる。そして、ウレタンウレア樹脂の中でも、ポリマー鎖の末端がイソシアネート基、又はイソシアネート基と反応しうる基でない、いわゆるend-capされた、末端非反応性ウレタンウレア樹脂であることが好ましい。この末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、例えば、特許文献5~10に記載のものを使用することができる。
少なくとも1種類の、2級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(以下、単に(A1)成分とする場合もある)を用いることが好ましい。(A1)成分を用いることにより、本発明の第一光学シート、及び第二光学シートを、高強度で密着させることが出来る。
本発明においては、第一光学シート、および第二光学シートの材質によって、接着層の層構成、該層を形成する接着剤組成物の組成を最適化することが好ましい。ポリカーボネートを使用した場合、および脂環族ポリアミドを使用した場合について説明する。
本発明において、光学シートがポリカーボネートである場合には、以下のような層構成とすることが好ましい。すなわち、先ず、ポリカーボネートシート上に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂からなる第1a接着層を積層し、該第1a接着層上に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物(A)を含む接着性組成物からなる主接着層(第1b接着層)を形成することが好ましい。
本発明において、光学シートが脂環族ポリアミドである場合には、以下のような層構成とすることが好ましい。すなわち、先ず、脂環族ポリアミド上に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物(A)を含む接着性組成物からなる主接着層を形成することが好ましい。
本発明においては、前記第一光学シートと前記第二光学シートとの間に偏光フィルムを有し、該第一光学シートと該偏光フィルムとが第一接着層を介して接合され、該第二光学シートと該偏光フィルムとが第二接着層を介して接合される積層体の構造をとってもよい。この場合、第一接着層と第二接着層との間に、接着層ではない偏光フィルムを備えていることになる。そのため、この場合には、第一光学シートと第二光学シートとが接着層を介して間接的に接合されたものとなる。接着層中(多層の接着層の場合には、層と層との間)に、接着層ではない他の層・フィルム・シートを備える場合には、第一光学シートと第二光学シートとが接着層を介して間接的に接合されたものと見なす。
偏光フィルムとしては、公知の、市販のシートが使用できる。偏光フィルムの厚みは、10~100μmのものが好適に使用できる。偏光フィルムは、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質で染色されたポリビニルアルコールが延伸され、硼酸等の架橋剤で処理されたてなるものである。該偏光フィルムは、その機能、接着性を高めるためには、セルローストリアセテートシートフィルムが両面に積層されているものであってもよい。該セルローストリアセテートシートフィルムは、その厚さは20~200μmであることが好ましく、20~100μmであることがより好ましい。
本発明において、偏光フィルムを備え、光学シートがポリカーボネートである場合には、以下のような層構成とすることが好ましい。すなわち、先ず、ポリカーボネートシート上に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂からなる第1a接着層を積層し、該第1a接着層上に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物(A)を含む接着性組成物からなる主接着層を形成することが好ましい。
本発明において、偏光フィルムを備え、光学シートが脂環族ポリアミドである場合には、以下のような層構成とすることが好ましい。すなわち、光学シートが脂環族ポリアミドである場合には、以下のような層構成とすることが好ましい。すなわち、先ず、脂環族ポリアミド上に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物(A)を含む接着性組成物からなる主接着層を形成することが好ましい。
<フォトクロミック化合物>
本発明において、接着層を形成する接着性組成物は、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、(A)成分以外にその他の成分を含むことができる。中でも、得られる積層体の機能を高めるために、フォトクロミック化合物を含むことが好ましい。フォトクロミック化合物を含むことにより、日光が照射された場合には色が付き、室内においては透明となる、サングラスを製造することができる。本発明の接着性組成物からなる接着層は、フォトクロ化合物が運動する適度な空間を有することができ、接着性と併せて優れたフォトクロミック特性を発揮できる。
該接着性組成物には、公知の蛍光染料、染料、顔料、フォトクロミック化合物等が挙げられる。色素を配合する場合、その量は、使用する用途に応じて適宜決定すればよい。通常であれば、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および(A)成分の合計量100質量部に対して、色素を0.1~20.0質量部とすることが好ましく、0.5~10.0質量部とすることがより好ましく、1.0~7.0質量部とすることがさらに好ましい。
<その他の成分>
さらに、本発明の接着性組成物には、製膜性(積層体の生産性向上)のために、有機溶媒、水、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、香料、可塑剤等の添加剤を添加しても良い。添加するこれら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。また、これら添加剤を配合することにより、接着性組成物がフォトクロミック化合物を含む場合には、該フォトクロミック化合物の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上を発揮する。
該接着性組成物は、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、前記ポリイソシアネート化合物(A)、および必要に応じて配合されるその他の成分を混合することにより製造できる。各成分を混合する順序は、特に制限されるものではない。
本発明においては、以下の方法で接着層を介して光学シートが接合された積層体を製造できる。例えば、前記方法で準備した接着性組成物を混錬し、均一な状態の接着性シートを一旦作製した後、該接着性シートを光学シート同士の間に配置して、該光学シート同士を圧接することにより、接着層を介して光学シートが接合された積層体を製造できる。また、有機溶媒を含む接着性組成物を使用した場合には、光学シート上に、一旦、接着性組成物を塗布して塗布層を形成し、該塗布層から有機溶媒を除去して接着層とし、該接着層上に他の光学シートを配置して圧接することにより、積層体を得ることもできる。
以上、本発明の積層体について説明したが、本発明の積層体をさらに二次加工、例えば、曲げ加工等を行う場合には、総厚み(第一、第二光学シート、接着層、必要に応じて介在させる偏光フィルム、第一接着層、および第二接着層を含む全厚み)が以下の厚みであることが好ましい。具体的には、得られた積層体を曲げ加工性、及び曲げ加工した積層体の裏面、もしくは表面に熱可塑性樹脂を射出成形する時の成型性等の観点から、該積層体の総厚は、425~1500μmであることが好ましく、450~1400μmであることがより好ましく、500~950μmであることがさらに好ましく、600~710μmであることが特に好ましい。積層体の総厚みは、使用する第一光学シート、第二光学シート、接着層、必要に応じて介在させる偏光フィルム、第一接着層、および第二接着層の厚みで調整すればよい。ただし、第一光学シートの厚みが、第二光学シートの厚みの1.10倍以上5.00倍以下とならなければならない。
以上の方法で得られた積層体は、曲げ加工を施してレンズ状の曲面形状(上に凸型の形状)に加工することもできる。この際、上側の面になるのは第一光学シート、または第二光学シートのいずれでも構わないが、上側の面が第一光学シートとなるようにすることがより好ましい。前記積層体を曲げ加工する方法としては、例えば、熱プレス加工、加圧加工、減圧吸引加工などが挙げられる。曲げ加工する際の温度は、前記積層体に使用している光学シートの種類によって適宜決定されるが、100℃から150℃で実施することが好ましい。
本発明において、該光学基材は、第一光学シート上、もしくは第二光学シート上に、該第一光学シート、もしくは該第二光学シートと同じ材質の光学部材を射出成型して一体化することにより、光学物品として用いることもできる。より好ましくは、該第二光学シート上に、該第二光学シートと同じ材質の光学部材を射出成型して一体化した光学物品である。例えば、第二光学シートが脂環族ポリアミドであれば、脂環族ポリアミドを射出成型により該第二光学シートに積層すればよい。
〔ウレタンウレア樹脂(U1)の製造〕
(ウレタンプレポリマーの製造)
翼径135mmのマックスブレンド翼、邪魔板を備える内径260mm、高さ280mm、仕込用量10Lの反応容器に、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を接続した。マックスブレンド翼は100rpmで撹拌した。
ウレタンプレポリマー反応終了後、反応液を0℃付近まで冷却し、イソプロピルアルコール1430g、ジエチルケトン2670gに溶解させた後、液温を0℃に保持した。次いで、鎖延長剤であるビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン171gとジエチルケトン145gの混合溶液を30分以内に滴下し、0℃で1時間反応させた。その後さらに、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-アミノピペリジン42gを滴下し、0℃で1時間反応させることにより、ポリウレタンウレア樹脂(U1)のジエチルケトン溶液を得た。得られたポリウレタンウレア樹脂(U1)は、数平均分子量が19,000であり、重量平均分子量が41,000であり、多分散度が2.16であり、軟化点が105℃(軟化開始温度;約80℃)であり、動粘度が15,000cStであった。また、ポリウレタンウレア樹脂(U1)の溶液は、固形分の濃度(ポリウレタンウレア樹脂(U1)のの濃度)が36質量%であった。
上記ウレタンウレア樹脂(U1)の、数平均分子量、重量平均分子量、多分散度、軟化点、及び動粘度については以下の方法によって測定した。
数平均分子量、重量平均分子量、及び多分散度に関しては、本文中に記載の方法に分析を実施した。
ウレタンウレア樹脂溶液(U1)を、ステンレスの容器に流し込み、40℃で10時間、60℃で10時間、さらに真空乾燥機にて60℃で12時間乾燥させることにより、厚み1mmの試験片を作製した。得られた試験片を、熱機械測定装置(セイコーインスツルメント社製、TMA120C)を用い、昇温速度:10℃/分、測定温度範囲:30~200℃、プローブ:先端径0.5mmの針入プローブの条件にて軟化点を測定した。
ウレタンウレア樹脂(U1)溶液約10gを、キャノンフェンスケ粘度計(#600)に入れ、このキャノンフェンスケ粘度計(柴田科学株式会社製)を25℃±0.1℃に制御した恒温水槽に15分浸した後、動粘度を測定した。
ウレタンウレア樹脂(U1)の溶液1000g(固形分濃度36質量%)、フォトクロミック化合物5.7g(PC1/PC2/PC3=4.0/1.0/0.7g)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物 43.2g、さらに酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート] 3.6g、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L-7001 0.5gを添加し、室温で攪拌・混合を行い、接着性組成物1を得た。
表1に示すフォトクロミック化合物、ポリイソシアネート化合物((A)成分)、酸化防止剤を使用した以外は、接着性組成物1と同様にして調合を行い、接着性組成物2~3を得た。表1に示した(A)成分、酸化防止剤を下記に示した。
(A1)2級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
(A1-1)4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物。
(A2-1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(旭化成製、製品名『デュラネート 24A-100』)。
・HP1; エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]。
〔ウレタンウレア樹脂(U2)の製造〕
(ウレタンプレポリマーの製造)
翼径135mmのマックスブレンド翼、邪魔板を備える内径260mm、高さ280mm、仕込用量10Lの反応容器に、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を接続した。マックスブレンド翼は100rpmで撹拌した。
ウレタンプレポリマー反応終了後、反応液を20℃付近まで冷却し、プロピレングリコール-モノメチルエーテル5000gに溶解させた後、液温を20℃に保持した。次いで、鎖延長剤であるイソホロンジアミン121.5gを30分以内に滴下し、20℃で1時間反応させた。その後さらに、n-ブチルアミン9gを滴下し、20℃で1時間反応させることにより、ポリウレタンウレア樹脂(U2)のプロピレングリコール-モノメチルエーテル溶液を得た。得られたポリウレタンウレア樹脂(U2)は、数平均分子量が49,000であり、重量平均分子量が89,000であり、多分散度が1.82であり、軟化点が175℃(軟化開始温度;約155℃)であり、動粘度が2,500cStであった。また、ポリウレタンウレア樹脂(U2)の溶液は、固形分の濃度(ウレタンウレア樹脂(U2)の濃度)が20質量%であった。
ウレタンウレア樹脂(U2)の溶液1000g(固形分濃度20質量%)に、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L-7001 0.7gを添加し、室温で攪拌・混合を行い、第1a接着層用接着剤を得た。
ポリビニルアルコールフィルムを二色性染料で染色し、延伸、更にホウ酸で架橋させた、視感透過率は39.2%、偏光度は99.5%、a*が-0.3、b*が0.2、及び厚み30μmである偏光フィルム。
(i)積層体の作製
第一光学シートとしての厚み350μmのポリカーボネートシート(無延伸)に、第1a接着層用接着剤を、コーター(テスター産業製)を用いて塗工し、乾燥温度80℃で5分間乾燥させることにより、膜厚5μmの接着層(第1a接着層)を積層した。次いで、PET(ポリエチレンテレフタレート)製フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製ピューレックスフィルム、シリコン塗膜付)に、フォトクロミック組成物1を塗布し、110℃で10分間乾燥させた後膜厚40μmのフォトクロミック層を作製し、このフォトクロミック層を前述の接着層(第1a接着層)と貼り合わせ、接着層付き第一光学シートを作製した。
(剥離強度)
得られたフォトクロミック特性を有する積層体を、25×100mmの接着部分を有する試験片とし、試験機(オートグラフAGS-500NX、島津製作所製)に装着し、クロスヘッドスピード100mm/minで引張り試験を行うことで剥離強度を測定した。
得られたフォトクロミック特性を有する積層体を試料とし、これに、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL-2480(300W)SHL-100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃、積層シート表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させ、フォトクロミック特性を有する積層体のフォトクロミック特性を測定した。
(i)で得られたフォトクロミック特性を有する積層体の両表面に、ポリエチレン層とポリプロピレン層とからなる2層(合計厚み80μm)の保護フィルムを貼り付けた後、トムソン刃(両刃、刃角42°)を用い、横軸160mm、縦軸90mmの長方形の積層体を作製した。得られた長方形の積層体を、減圧吸引加工(熱曲げ加工)により、球面形状への曲げ加工を実施し、光学基材を得た。減圧吸引加工は、凹型の横軸6カーブ、縦軸4カーブの金型を150℃雰囲気中に設置し、凹型の金型に空けた4箇所の穴から、真空ポンプにて減圧吸引を行うことにより実施した。加工時間は、約2分間実施し、金型から取り外すことで球面形状に加工された積層体を得た。なお、上記金型に対して、積層体の第一光学シート側を接触させて曲げ加工を実施した。
(カーブ値)
得られた光学基材の横軸、及び縦軸のカーブ値を、レンズカーブ計を用いて測定した。
(ii)で得られた光学基材の両面に存在する保護フィルムを両面共に剥がした後、射出成型機の金型の凹面に前記光学基材を設置し、100℃に加熱した。射出成型機に120℃、5時間の予備加熱を行ったポリカーボネート樹脂のペレット(帝人化成製パンライト)を充填し、300℃、60rpmで加熱溶融し、射出圧力14000N/cm2で光学基材を設置した金型に射出することで、ポリカーボネート樹脂と一体化した光学物品(3mm厚)を製造した。
(外観)
(iii)で得られたハードコート層付き光学物品を10枚準備し、目視により外観を評価した。射出成型時に発生する、ポリカーボネート樹脂の流れ模様(歪)や、使用した光学基材の光学シートの剥離などの異常がみられる光学物品を不良とした。光学物品を10枚準備したため、同じ評価を10回繰り返し、評価結果は「合格レンズ数/10」で表記した。
(iii)で得られたハードコート層付き光学物品を10枚準備し、以下の方法で耐衝撃性を評価した。重量500gのミサイル型円筒形鉄柱(ANSI規格 Z87.1記載)を、127cmの高さから(3)で得られたハードコート層付き光学物品の凸面に対して落下させ、レンズに貫通、ひび、割れ(レンズが2つ以上の破片に分裂)、凹面側表面の欠けなどの不良が発生するかどうかを確認した。単に、ミサイル型円筒形鉄柱があたり、レンズ表面が凹んだだけものは合格とした。光学物品を10枚準備したため、同じ評価を10回繰り返し、評価結果は「合格レンズ数/10」で表記した。
(i)積層体の作製
第一光学シートとしての厚み350μmの延伸ポリカーボネートシート(2倍延伸)に、第1a接着層用接着剤を、コーター(テスター産業製)を用いて塗工し、乾燥温度80℃で5分間乾燥させることにより、膜厚5μmの接着層(第1a接着層)を積層した。次いで、PET(ポリエチレンテレフタレート)製フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製ピューレックスフィルム、シリコン塗膜付)に、接着層用組成物2を塗布し、110℃で10分間乾燥させた後膜厚40μmのフォトクロミック層を作製し、このフォトクロミック層を前述の第1a接着層と貼り合わせ、接着層付き第一光学シートを作製した。
得られた積層体を試料とし、島津製作所製紫外可視分光光度計UV-2550を用いて、積層体の紫外線照射前の視感透過率を測定した。
得られた積層体を試料とし、島津製作所製紫外可視分光光度計UV-2550を用いて、単体透過率(Ts)、平行透過率(Tp)および直交透過率(Tc)を測定し、偏光度(P)を次式により求めた。
なお、上記Ts、TpおよびTcは、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定し、視感度補正を行ったY値である。
表4に示す光学基材を作製する際の凸面側の表裏の向きを調整した以外は、実施例1と同様の方法で光学基材を作製した。その結果を、表4に示す。
表5に示すプラスチック樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学物品を作製した。視感透過率(発色前)、及び偏光度(発色前)に関しては、積層体と同様にして評価した。その結果を、表5に示す。
表2に示す第一光学シート、第二光学シート、接着性組成物、第1a接着層用接着剤、及び偏光フィルムを採用した以外は、偏光フィルムを使用しない場合は実施例1、偏光フィルムを使用する場合は実施例2と同様の方法で積層体を作製した。その結果を、表3に示す。延伸した光学シートを使用した場合には、延伸の記載と、その延伸倍率を表2に記載した。延伸の記載がないものは無延伸の光学シートである。
2 第一光学シート
3 第二光学シート
4 接着力向上接着層(第1a接着層)
5 主接着層
6 偏光フィルム
7 第一接着層
8 第二接着層
Claims (12)
- ポリカーボネート及びポリアミドの少なくとも一方を含む、第一光学シート及び第二光学シートが、ポリカーボネートジオールを含む接着性組成物を重合してなるポリウレタンウレア樹脂及びフォトクロミック化合物を含む接着層を介して直接的、又は間接的に接合された積層構造を有する積層体であって、下記の(1)、及び(2)の両方の特性を満足する積層体。
(1)前記第一光学シートの厚みが、前記第二光学シートの厚みの1.10倍以上5.00倍以下である。
(2)前記第一光学シートの延伸倍率が、前記第二光学シートの延伸倍率の1.10倍以上5.00倍以下である。 - 前記第一光学シートの厚みが、350μm以上700μm以下である請求項1に記載の積層体。
- 前記接着層が、
末端非反応性ウレタンウレア樹脂100質量部に対し、イソシアネート基を少なくとも2つ有するポリイソシアネート化合物(A)を4.0~20質量部含む接着性組成物から形成される層を少なくとも含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。 - 前記第一光学シートと前記第二光学シートとの間に偏光フィルムを有し、
該第一光学シートと該偏光フィルムとが第一接着層を介して接合され、
該第二光学シートと該偏光フィルムとが第二接着層を介して接合されてなる
請求項1~3の何れか1項に記載の積層体。 - 前記第一接着層がフォトクロミック化合物を含む請求項4に記載の積層体。
- 前記第一接着層、および前記第二接着層が、
末端非反応性ウレタンウレア樹脂100質量部に対し、イソシアネート基を少なくとも2つ有するポリイソシアネート化合物(A)を4.0~20質量部含み、
前記ポリイソシアネート化合物(A)が、
2級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(A1)100質量部としたとき、
炭素数が4~40であるポリイソシアネート化合物(A2)(ただし、前記ポリイソシアネート化合物(A1)は除く)が10~500質量部となる
接着性組成物から形成される層を少なくとも含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の積層体。 - 前記第一光学シート、および前記第二光学シートが、脂環族ポリアミド、又は、ポリカーボネートからなることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の積層体。
- 請求項1~7の何れか1項に記載の積層体であって、積層体の層厚みが425~1500μmである積層体。
- 請求項1~8の何れか1項に記載の積層体からなる上に凸型の光学基材であり、
上面が前記第一光学シートからなり、下面が前記第二光学シートからなる光学基材。 - 請求項9に記載の光学基材の前記第二光学シートからなる下面に、光学部材が積層されてなる光学物品。
- 第一光学シートの最表面の面積が35cm2以上である請求項10に記載の光学物品。
- 請求項10又は11に記載の光学物品を製造する方法であって、
前記光学基材の前記第二光学シートからなる下面に、射出成型により光学部材を積層する光学物品の製造方法。
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