本明細書に開示される実施形態は、熱管理システムを備えるアイウェアのための複層の光学要素を提供し、複層の光学要素が、基体光学要素と、可変着色要素と、高分子層と、透明な加熱要素とを備える。透明な加熱器は、可変着色要素または剤を直接的または間接的に加熱する。高分子層は、可変着色要素を含むことができるか、または関連付けられる。透明な加熱器によって熱が高分子に適用されると、可変着色要素が、その色濃度レベル(光透過を阻害する速度および程度)を、または熱が適用されていない場合は、その透明レベル(透過する光の速度および程度)をさらに迅速に切り替えることを可能にする。実施形態は、加熱がどのように、およびいつ発生するかを制御するために、コントローラ、センサ、および他の適切な電子部品を検討する。実施形態はさらに、光学要素が利用される特定の環境温度によって高分子層の特定のポリマーを選択すること、ならびにさらに可変着色要素または剤の種類、およびポリマーのガラス転移温度(TG)のうちの少なくとも1つを考慮することを検討する。全てではないがほとんどの実施形態において、光学システムは、電子部品を備えるアイウェアに収容または固定される。
本明細書に開示される実施形態は、熱管理システムを備えるアイウェアのための複層の光学要素を提供し、複層の光学要素が、基体光学要素と、可変着色要素と、高分子層と、透明な加熱要素とを備える。透明な加熱器は、可変着色要素または剤を直接的または間接的に加熱する。高分子層は、可変着色要素を含むことができるか、または関連付けられる。透明な加熱器によって熱が高分子に適用されると、可変着色要素が、その色濃度レベル(光透過を阻害する速度および程度)を、または熱が適用されていない場合は、その透明レベル(透過する光の速度および程度)をさらに迅速に切り替えることを可能にする。アイウェアは、熱管理システムを備え、熱管理システムが、加熱要素、コントローラ、センサ、タイマー、およびエネルギー源のうちの2つ以上を備える。
実施形態はさらに、光学要素が利用される特定の環境温度によって高分子層の特定のポリマーを選択すること、ならびに可変着色要素または剤の種類、およびポリマーのガラス転移温度(TG)のうちの少なくとも1つを考慮することを検討する。可変着色要素または剤は、例のみとして、フォトクロミック性、サーモクロミック性、高分子分散二色性液晶、エレクトロクロミック性であり得る。高分子層は、1ミクロン〜1.5ミリメートルの厚さを有することができる。全てではないがほとんどの実施形態において、光学システムは、電子部品を備えるアイウェアに収容または固定される。高分子層は、フォトクロミックデバイスの場合はモノリシック層、液晶デバイスの場合は高分子分散二色性液晶層、エレクトロクロミックデバイスの場合は固体状態の熱可塑性電解質にすることができる。高分子層は、必ずではないが、概して、可変着色要素を含む。所定の実施形態において、高分子層は、ホストプラスチックレンズブランク、レンズ、光学要素、またはデバイス内部に組み入れられる。他の実施形態において、高分子層は、ホストガラスレンズブランク、レンズ、光学要素、またはデバイス内部に組み入れられる。レンズブランクの場合、レンズブランクは、半仕上げレンズブランク、仕上げレンズブランク、または仕上げレンズであり得る。レンズは、非処方レンズ、サングラスのレンズ、または処方レンズであり得る。レンズは、屈折力なし、すなわち度の入っていないレンズを含むあらゆる屈折力であり得る。レンズまたはレンズブランクは、例のみとして、反射防止コーティング、ハード傷防止コーティングを含む、全ての通常の光学コーティングで被膜することができる。コーティングは、習慣的に有効である順にレンズまたはレンズブランク内に位置することができる。
本明細書で使用される眼鏡(eyeglasses)という用語は、アイウェア(eyewear)と同じであることを意味する。アイウェアは、フレームと、レンズまたは光学要素(処方または非処方)とを備え、レンズまたは光学要素が着用者の視線内に存在する、頭部上または周辺に着用される任意のデバイスであることを意味する。眼科用レンズは、例のみとして、半仕上げレンズブランク、レンズブランク、エッジングされた仕上げレンズ、眼鏡レンズであり得る。本明細書に使用されるUVおよび青色光は、約380ナノメートル〜480ナノメートルの範囲内にあることを意味する。本明細書に使用される透明という用語は、ほぼまたは大部分が透明であることを意味する。「透明」な要素は、透過した光の任意の減衰が十分に小さく、アイウェアがその意図される目的のために不適切にならない限り、100%透明である必要はない。傷防止層という用語は、ハードコーティングを含む。「電気構成要素(電子部品)」という用語は、例のみとして、コントローラ、タイマー、電源、センサ、誘導コイル、スイッチのうちの任意の1つ以上を意味する。可変着色要素という用語は、その色または着色を動的に変化、調整、または切り替えさせることが可能である要素または剤であり、例のみとして、フォトクロミック要素または剤、二色性液晶要素または剤、エレクトロクロミック要素または剤である。高分子層は、例のみとして、可変着色要素または剤を含む、均質高分子層、高分子母材層、非均質高分子層、高分子分散層、および高分子層のうちの1つ以上にすることができる。高分子層は、熱可塑性物質であり得る。さらに、本明細書に教示される実施形態の多くは、フォトクロミック可変着色要素または剤を利用するが、実施形態は、フォトクロミック性である可変着色要素または剤に限定されてはならないことを理解されたい。フォトクロミック要素は、1層内、複数の層内、または母材全体に存在することが可能である。フォトクロミック要素は、例のみとして、モノマー中、油中、油等の液体を用いてマイクロカプセル化して提供することが可能である。いくつかの実施形態において、任意かつ全ての可変着色要素または剤(単数または複数)が使用されてもよく、それによって温度が色および/または光透過切り替え速度を変化させる。
本明細書に開示される実施形態は、例のみとして、バイクヘルメットのフェイスシールド、スキー用ゴーグル、スポーツ用眼鏡、非処方眼鏡のレンズである眼科用レンズ、固定焦点、動的焦点、電子焦点、眼内レンズ、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、および角膜インレイである処方眼鏡等の任意かつ全ての光学要素またはアイウェア用品のために使用することができる。
本明細書に開示される実施形態は、屋内から屋外へ移動するとき、および屋外から屋内へ移動するときに、フォトクロマティック眼鏡レンズまたは他の光学要素のはるかにより高速の切り替えを可能にする。フォトクロミック剤を収容する材料に依存して、透明化または消色(濃から薄)の速度は、今日の人工フォトクロミック眼鏡レンズの状態の5倍〜10倍またはより高速にでき、透明化または消色時間はそれに応じて短くできる。加えて、実施形態は、今日の人工フォトクロミックレンズの現在の状態と比較すると、暖かい環境の屋外でより濃度が高いレンズを達成する能力を可能にする。実施形態は、この性能改善を、革新のほぼ光学的に透明な熱管理システムを通じて、さらに(組み合わせて)所定の実施形態において、市販されているフォトクロミックレンズまたは光学要素において現在利用されているよりも高いTGまたは軟化点のフォトクロミック剤(単数または複数)を含む母材を提供する母材化学構造を用いて達成する。熱管理システムは、ほぼ透明な加熱要素(図9、10および11)および/またはほぼ透明な冷却要素(図16)のうちの1つ以上を含む多様な電子構成要素からなることができる。
これまで、フォトクロミック光学要素および/またはレンズには必ず制限的な性能バランスが存在してきた。バランスは、屋外で発色変化が高速になればなるほど、フォトクロミック光学要素および/またはレンズが屋外の(太陽の熱または光線放射効果に起因して激化する)周囲熱または高温に対する感度が高くなることで、このために、フォトクロミック光学要素および/またはレンズの発色の程度、ならびに発色が可能な速度を制限する。これは、レンズが所定の発色レベルまで加熱されると、レンズ材料が軟化し、フォトクロミック剤(単数または複数)が、色あせが始まる最大発色点に到達することに起因する。本明細書に開示される実施形態は、フォトクロミック光学要素および/またはレンズのこの長い間の性能制限問題を解決する。本明細書に使用される場合の「変化」または「切り替え」という用語は同じことを意味することを意図する。色あせという用語は、着色が消失または薄くなることを意味することを意図する。TGという用語は、材料のガラス転移温度または軟化点を意味することを意図する。しかしながら、材料は、軟化点前の温度で軟化を開始する可能性がある。
実施形態は、自動車または他の車両のUV遮断またはカットフロントガラスの後ろの場合であっても、眼鏡(図12、13および14)または光学要素が、現在のフォトクロミックよりもはるかに濃度が高い状態まで発色することを可能にするフォトクロミックレンズまたは光学要素システムを含む。所定の実施形態において、熱活性化偏光要素または層を作動させるために、実施形態と関連付けられるほぼ透明な加熱要素を利用することができる。これは特に、フォトクロミック着色のレベルが削減されるUV遮断またはカットフロントガラスまたは窓の後ろで役立つ。UV遮断またはカットフロントガラスの後ろで利用される場合、熱活性化偏光要素または層は、眩輝の削減およびわずかな着色を提供する。この組み合わせは、運転者または乗客の眼に追加の視覚的快適性を提供する。これはまた、例のみとして、窓、フロントガラス、フェイスシールド等のUVを遮断またはカットするほぼ透明な物体の後ろで使用される任意の種類のレンズまたは光学要素の場合でもあることを指摘したい。
いくつかの実施形態は、ほぼ透明な冷却要素を含むことができる。このようなほぼ透明な冷却要素は、例のみとして、ペルチェ冷却器である。ほぼ透明な冷却要素は、例のみとして、#1)熱活性化偏光要素または層の位相順序を変化させるため、#2)屋外でのその内部温度をより長時間にわたってその色あせ点未満の温度に維持するようにフォトクロミック層または光学要素の内部温度に対して屋外で冷却することを提供するために利用することができ、このために、フォトクロミック用品またはレンズが屋外で発色したままであることを可能にし、より高い屋外周囲温度に対する温度感度が低下する。このように、透明な冷却システムを使用するフォトクロミックレンズまたは光学システムの実施形態は、現在のフォトクロミックよりも高い屋外温度で発色したままにすることができると同時に、全ての現在市販されているフォトクロミックよりもはるかに高速で消色または透明化する。また、実施形態は、通常使用されるよりも高いTGを有するポリマーである高分子層を利用することを提供することも指摘したい。これらの実施形態以前に、高いTGを有する高分子層を使用すると、90度Fを上回る温度で屋外ではより濃度が高い色を提供するが、屋外での発色から屋内でより透明な色への切り替えが非常に遅くなる。このため、これは商業的に受け入れられなかった。透明な加熱要素を利用する実施形態は、より高いTGの高分子層の使用を可能にし、このために、フォトクロミックレンズが、90度Fを超える高温で発色したままにすることを可能にするが、UV光環境から非UV光環境へ移動すると、着色透明化の高速切り替え時間を提供する。
歴史的に、フォトクロミック層または光学要素のTGが高くなればなるほど、光学要素またはレンズは、屋外で紫外線(UV)に暴露すると色の濃度が高くなるが、屋内でUV光に暴露しないとレンズの光学要素の消色、またはそうではなく着色の消失がもっと遅くなる。この重大な妥協(限定)は、全ての市販されているフォトクロミックを悩ませている。レンズ、光学要素、およびフォトクロミックの製造者は常に、屋外から屋内へ移動時の透明化または着色消失の所望される速度に対して、フォトクロミック剤を収容する高分子母材のTGと硬度のバランスを選択しなければならなかった。いくつかの実施形態は、屋外から屋内へ移動時にフォトクロミック母材(全体にフォトクロミック剤を有するフォトクロミック層またはフォトクロミックレンズブランクであろうとなかろうと)を加熱する透明な加熱要素を備える。この加熱効果が、フォトクロミック着色の透明化または消失の時間を高速化する。フォトクロミック剤を含む高分子母材を加熱する能力を有するため、フォトクロミック剤を含む高分子母材は、より高いTGを有するために、これまでに市販されているフォトクロミックよりも硬度が高い高分子材料からなることが可能である。このように、フォトクロミック用品の実施形態は、フォトクロミック用品の発色に関して、(80度F以上の温度の)屋外温度に対する感度が低い。
いくつかの実施形態のフォトクロミック用品は、人工の市販されているフォトクロミックの最高の状態よりも濃い色になり、はるかに迅速に透明化または消色し、所定の実施形態において、より高い周囲温度に対する温度感度がより低い。さらに最後に、いくつかの実施形態は、眩輝または反射光削減および保護を提供することによって、UVを遮断またはカットするほぼ透明なフロントガラスまたはフェイスシールドの後ろの場合に太陽光における視覚的快適性を改善する方式を提供する。本明細書に開示される実施形態は、強化されたフォトクロミック性能、強化されたフォトクロミック偏光性能、強化された偏光性能を提供することができる。本明細書に開示される実施形態の可変着色要素(単数または複数)(剤(単数または複数)とも呼ばれる)は、例のみとして、可変着色を発生させることが可能である染色剤、化学物質、材料成分にすることができる。多様な着色の色は、フォトクロミック業界においてよく知られている手段によって配合することができる。
図19は、多くのフォトクロマティック材料が発色および消色する機構である、4状態システムを示すフローチャートである。
図20は、多くのフォトクロマティック光学要素が発色する機構をさらに図示する。初期の光吸収率は極めて低く、0.15未満である。明るい太陽光に暴露すると、無色形態は電気的に励起され、有色形態に変換する。光吸収率が増加し、光学要素の加熱率、および光吸収率を増加させる。加熱および吸収の両方は、相互変換率のさらなる増加を生じさせる。上昇する温度が母材を軟化させ、後方変換率を増加させる。光吸収のレベルが最大閾値に到達し、図20に図示されるS字型曲線となる。曲線の頂上で、温度および光吸収は平衡状態で、固定周囲照射レベルになる。図20のX軸または時間軸は、特定の時間が表記されていないが、説明した状況下で吸収率が一般に時間の経過とともにどのように振舞うかを示すために含まれる。
熱の適用は、有色形態の不活性化を加速化し、活性放射が2つの機構によって不在な場合に無色状態に戻ることを高速化する。1つの機構は母材の軟化であり、分子間の再配列を可能にする。第2の機構は、再配列プロセスを活性化することである。このプロセスは、薄層(50〜100ミクロン)に適用されたフォトクロミックで最も機能するが、塊状のフォトクロミックでも効果的である。
加熱器層で分散される熱は、その温度を上昇させる。しかし、熱は、熱伝導を通じて、隣接の冷却器層内へも拡散する。すなわち、温度上昇は、加熱器層から隣接層へ分散する。このプロセスは、加熱器が隣接のフォトクロミック層を加熱することを可能にするので所望される。それは、最終的に、積層内の全ての層が同じ温度を有するまで続く。任意の層の積層の場合、熱拡散を通じて積層全体の温度のこの発散は、特徴的な発散時間内に発生する。我々の例の積層の場合、それは約2〜6秒である。
個別の層に挿入されたエネルギーは、温度増加、層の体積、および材料の特定の熱の積として計算することができる。温度増加が均一である場合、ほとんどのエネルギーは、はるかに最大体積を有するために、高分子レンズに挿入される。例のみとして、フォトクロミック要素または層、サーモクロミック要素または層、高分子分散二色性液晶要素または層、固体状態エレクトロクロミック要素または層等のこのような可変着色要素または層を透明化するには、厳密に言うと、可変着色層を加熱することで十分である。しかし、可変着色層に注入されたエネルギーは、この層が高分子レンズよりもはるかに薄いため、この層をホストしている高分子レンズ内よりもはるかに少ない。したがって、拡散時間よりも長い時間にわたってフォトクロミックレンズを加熱することは不十分であり、ほとんどの加熱エネルギーが、可変着色要素または層を透明化することを助けなくなってしまう。
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、拡散時間、すなわち1秒よりはるかに短い熱爆発において、可変着色要素または層を加熱するために必要なエネルギーを消散させる。このように、消散されたエネルギーは、加熱器およびフォトクロミック層の周囲に集中し、局部的により高い温度となる。この効果は、拡散時間よりもいくらか短い時間にわたって継続する。所定の実施形態において、熱爆発は、時限順次に複数回繰り返すことができ、これは、マイクロプロセッサにプログラミングすることができる。このように、一連の急速な爆発またはエネルギーおよびその結果の温度の上昇は、本特許明細書内で教示される多様な実施形態の可変着色要素を加熱する最もエネルギー効率の高い方式を提供することができる。
いくつかの実施形態には積層設計が提供される。製品は、眼鏡の前面表面上にITOおよびSiOxのコーティングを適用することによって加工する。2つの手法のうちの1つが使用されてもよい。第1の手法では、仕上げした眼鏡の光学要素(例えば、ハードコーティング済み)を用いて開始して、第1の電極として機能するように透明な導電性のITO層を適用し、次いで、フォトクロミック層、次いで、第2の電極として機能するように第2のITO層を提供することが可能である(図21、選択肢1を参照)。SiOxの抵抗層もまた、熱分解に対する安定性を提供するために、ITO層を提供する前に提供されてもよい。第2の手法では、既にその上にフォトクロミック層が適用されている既存の眼鏡光学要素(例えば、トランジションズレンズ)を用いて開始して、プラス端子で3.5vを供給する電気回路に接続される透明な、導電性のITOまたはSnOx/ITO層を用いてフォトクロミック層を上塗りすることが可能である(図21、選択肢2を参照)。全てではないが、ほとんどの場合、SiOx層またはハードコートの層は、ITO層の上に適用される。ほとんどの実施形態において、透明な導電層のためにITOが利用されるが、例のみとして、導電性高分子等、任意の透明な導電性材料を使用することができることを指摘したい。同様に、SiOx以外の抵抗材料が使用されてもよい。透明な加熱器を埋め込めば埋め込むほど、可変着色要素に近接し、デバイスのエネルギー効率が高くなる。外側表面に適用された透明な加熱要素は可変着色要素の性能に影響を与えるが、このような透明な加熱器は、熱のほとんどが迅速に分散するので、エネルギー効率に優れていない。本明細書に開示される実施形態は、何らかの種類の外側層のすぐ下に位置する透明な加熱要素を教示する。
図21は、加熱要素とフォトクロミックとを有するレンズを提供するための2つの選択肢を示す。選択肢1では、フォトクロミック層は、ITOを適用した後に適用される。次の層は、順に適用される。AR被膜2101、SiOx層2102、ITO層2103、SiOx層2104、ITO層2105、SiOx層2106、フォトクロマティック層2107、およびSiOx層2108。選択肢2では、既存のフォトクロミック層がさらなる処理の対象である。SiOx層2112および2113は、既存のフォトクロミック層2111の両側に適用されてもよい。順番に、パターン付ITO層2114、SiOx層2115およびARコーティング2116がSiOx層2113の上から適用される。フォトクロマティック層2111は、50〜250ミクロンの厚さであることが好ましい。SiOx層2112および2113は、100〜150nmの厚さであることが好ましく、抵抗であることを目的とする。ここおよび本明細書の他の場所で、SiOxまたはSiO2が2つの電極の間に開示される場合、SiOxは抵抗であることを目的とする。他の適切な透明な抵抗材料も使用されてもよい。パターン付ITO層2114は、20nmの厚さであることが好ましい。SiOx層2115は、2〜3ミクロンの厚さであることが好ましく、ハードコートとして機能してもよい。層2108および2115は、任意選択である。図21に開示される層は、レンズブランク上に積層される。
図22は、図21の構造のための追加の好ましい層の仕様を提供する表である。
図23は、図21の選択肢1の構造のためのエネルギー要件、および充電の間の日数を提供する表である。計算は、熱源、および室温で保たれるシンク(基体レンズ)を含む一次元熱伝達式に基づいた。
図24は、図21の選択肢2の構造のためのエネルギー要件、および充電の間の日数を提供する表である。計算は、熱源、および室温で保たれるシンク(基体レンズ)を含む一次元熱伝達式に基づいた。
図25は、第1の工程のフローを示す。第1のステップ2501において、エシロールトランジションズレンズブランク(Essilor Transitions Lens Blank)等のフォトクロマティックレンズブランクを用いて開始する。第2のステップ2502において、例えば、蒸着によって、独自の透明な加熱要素を追加する。第3のステップ2503において、ハードコートを追加する。第4のステップ2504において、得られたレンズをレンズ加工所へ出荷、レンズ製造者へ出荷、または在庫に入れる。
図26は、第2の工程のフローを示す。第1のステップ2601において、エシロールトランジションズレンズブランク等のフォトクロマティックレンズブランクを用いて開始する。第2のステップ2602において、ハードコートを追加する。第3のステップ2603において、例えば、蒸着によって、独自の透明な加熱要素を追加し、次いで、ハードコートを追加する。第4のステップ2604において、得られたレンズをレンズ加工所へ出荷、レンズ製造者へ出荷、または在庫に入れる。
電子フォトクロミックアイウェア(Electronic Photochromic Eyewear)は、従来のフォトクロミックアイウェアであり、レンズのための熱管理システムをさらに備え、電子部品が電子フレームと同様にフレーム内に位置するか、または非電子フレームと同様にフレームに固定されるかいずれかを可能にする。
電子フォトクロミックアイウェアは、今日のフォトクロミックの性能を大幅に強化する能力を提供する。発色の切り替え時間を高速化する能力を提供する。そして、過去の母材化学構造を使用することによる発色の程度は適切に作用しない。透明化の切り替え時間を「大幅に」高速化する能力を提供する。発色閾値に影響しない能力を提供し、事実、ピーク発色を増加することができる。強化された色濃度/温度の関係を提供する。
電子フォトクロミックを用いて、レンズは、どのような形状にもエッジングすることができる。レンズは、どのようなサイズにもエッジングすることができる。適切な電子部品を備えるどのような電子フレームでも機能する。外部電子モジュールを固定することができるテンプルを有するどのような非電子フレームでも機能する。
例として、加熱しない通常のトランジション6(T6)フォトクロマティックレンズは透明化時間を有するので、15分間の暴露後、T6は、73%の透過率まで透明化するために約9+/−分かかる。本明細書に開示されるように加熱することによって、T6は、約2分以内に約80%の透過率まで透明化する。これは、発色状態、発色の速度、または色濃度/温度の関係を損なうことなく発生する。
例として、通常のT6フォトクロマティックレンズは、典型的な屋内条件で、約12分で80%+の透過率まで透明化し、約1分光に暴露すると(屋外の晴れの条件)95度Fの周囲温度で約31%の透過率まで発色し、屋外の晴れ条件下の95度Fで27%の透過率まで最終的に発色し、ARコーティングを備えるレンズで使用した場合、典型的な屋内条件で95%の透過率まで最終的に透明化する。本明細書で開示される熱管理システムを備える同じレンズは同様なパラメータを有するが、特筆すべき違いとして、2分以内に約80%の透過率まで透明化する。
より高いTG材料を使用するためにフォトクロマティック要素の母材を変更し、そのフォトクロマティック要素を熱管理システムとともに使用すると、さらに、90度Fを超える温度の高温の屋外の晴れ条件において、15%の透過率の色濃度の程度を可能にする。より高いTGの高分子を使用することによって、レンズまたは光学要素は、より高い温度の安定性を有し、より薄い色に色あせすることなく、より長期間にわたってより高温でより濃度が高い色を維持する。しかしながら、正当な時間内に発色状態から消色状態へ切り替える能力は、透明な加熱要素を備える熱管理システムの適用という、本明細書に開示される実施形態によってのみ可能になる。
本明細書に開示される実施形態は、切り替え可能な可変着色用品および/または切り替え可能な偏光用品の性能に影響を与える、多様な配置層および/または要素のうちのいずれか1つまたは組み合わせからなる。これらの要素は、#1)加熱要素、#2)冷却要素、#3)偏光要素、#4)可変着色要素(複数可)、#5)高分子層、#6)高分子母材TGである(いかなる順にも列挙せず)。所定の実施形態において、例として、高分子分散二色性液晶要素または層等の可変着色要素が提供され、他では、エレクトロクロミック要素または層、所定の実施形態においてはサーモクロミック要素または層、およびまた他ではフォトクロミック要素または層が提供される。本明細書に開示される実施形態において、透明な加熱器を備える熱管理システムは、可変着色要素の性能を強化するために利用される。
本明細書に開示される実施形態は、性能が強化されたフォトクロミック光学要素または用品の実施形態であり、エネルギー源、センサ、および所定の実施形態においてはコントローラと組み合わされた熱生成光透明部材または要素の適用によって、その性能が強化される。透明な加熱要素は、例のみとして、電気抵抗が2Ω〜200Ω/sqを超える範囲内で、好ましい範囲が5Ω〜50Ωの範囲を有するインジウムスズ酸化物(ITO)層からなり得る。導電性高分子および/または導電性ナノ粒子を含む導電性高分子も使用できることに注意されたい。これは、優れた加熱性能を提供するために適切な密度を有する最適なコーティングを生成する。本開示の目的として、極、接続電極、および端子という言葉は、同じことを意味する。例のみとして、透明な加熱要素は、プラスおよびマイナス極、接続電極、または端子を備えることができる。傷防止コーティングおよびハードコートという用語は同じことを意味する。
図9および10は、例のみとして、適用することが可能である多数の種類の加熱要素設計のうちの2つを示す。図9は、炉燃焼器に類似する電気抵抗コイルである。しかしながら、使用される導電性および抵抗材料は、ITOである。適用が光学要素またはレンズのためであるという事実に起因して、導電性および抵抗材料は透明である。いくつかの実施形態において、コイル加熱要素が利用される場合にITOが表面にわたって均等に拡散しないことから、コイルは、薄い非常に近接してコイルされた導電性特徴からなる。これは、いくつかの実施形態では、UV光がフォトクロミック層またはその下の光学要素を活性化するという事実に起因する。いくらかのUV光がコイルによってカットされると、不均一な発色が発生する可能性がある。したがって、実施形態は、導電性抵抗コイルが緊密に設計されたコイルであるように考慮する。加熱要素が、レンズの表面を覆う不均一の導電性抵抗コーティングであるように構成される場合、コーティングは、例のみとして、所望される設計を用いてITOでコーティングされる表面をマスキングする、またはITOでコーティングされた後に表面をエッチングすることによって加工される。これらは、炉燃焼器に類似の導電性抵抗コイルコーティングが、どのように加工されるかの2つの例に過ぎない。
図9は、電気抵抗コイル900を示す。コイル900は、透明な電極910を含む。透明な電極910は、インジウムスズ酸化物(ITO)、導電性高分子、カーボンナノチューブ、および類似の材料を含む、任意の適切な透明な導体または半導体から作製されてもよい。コイルは、可能限り微細かつ近接していることが好ましく、これによって、より高い抵抗およびより効果的な加熱要素となる。コイルは、レンズ周辺部920まで延在することが好ましい。
図10は、レンズの表面全体を追う導電性抵抗層である。どちらも相互から絶縁されたどちらかの側部上に2つの接続電極(プラス極およびマイナス極)が存在する。これらの2つの接続電極は、加熱要素層を形成する表面の上に示されるが、光学要素またはレンズの周辺端に最も近接する層の側部端上にも位置する可能性があることを指摘したい。所定の実施形態において、熱管理システムに接続するこれらの2つの接続電極は、例のみとして、銀製ワイヤ、金、導電性高分子、ITO、カーボンナノチューブからなる可能性がある。
図10は、電気抵抗連続表面加熱要素1000を示す。加熱要素1000は、絶縁部1010と、第1の電気コネクタ1020と、第2の電気コネクタ1030と、連続抵抗層1040とを含む。連続抵抗層は、インジウムスズ酸化物(ITO)、導電性高分子、カーボンナノチューブ、および類似の材料を含む、任意の適切な透明な導体または半導体から作製されてもよい。
図11は、第1の加熱要素1120と第2の加熱要素1130との間に挟まれた高分子層1110を示す。高分子層1110は、1つ以上のフォトクロマティック剤を含む。第1および第2の加熱要素1120および1130は各々、ITO層、導電性高分子、またはカーボンナノチューブを含んでもよい。
層の配置および厚さは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態の一部であると考えられる。所定の実施形態において、加熱要素は、図1に提供されるように、フォトクロミック層または光学要素の後ろに位置することができ、他の実施形態において、加熱要素は、図3に提供されるように、フォトクロミック層または光学要素の前にあることができ、あるいは他の実施形態において、2つの加熱要素は、図2に提供されるように、フォトクロミック層または光学要素の前および後ろに位置することができる。さらに他の実施形態において、加熱要素は、図4および図15に提供されるように、フォトクロミック着色に加えて、電気抵抗を提供するフォトクロミック層を含む3つの層からなることができる。フォトクロミック層が(そのフォトクロミック着色特性に加えて)電気抵抗を提供するために使用される場合、2つのほぼ透明な電極層の間に位置する。全ての事例ではないが、所定の事例において、非常に微細な導電性粒子は、フォトクロミック剤(複数可)を含む高分子層の母材内に混合/分散することができる。これによって、この実施形態において、加熱要素は3つの層を備え、1つは第1の導電性のほぼ透明な電極層、第2はフォトクロミック導電性層、および第3は第2のほぼ透明な導電性電極層である。ほぼ透明な導電性電極層は、例のみとして、ITO(インジウムスズ酸化物)、導電性高分子、カーボンナノチューブからなることができる。
図1は、単一のフォトクロマティック層と単一の加熱層とを有するデバイス100を示す。フォトクロミック層は、光学要素とは別である。デバイス100は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層110と、光学要素120と、加熱要素層130と、フォトクロミック層140と、第2の傷防止層150とを含む。光学要素前面125は、着用者から最も遠くに配置された光学要素120の側部である。
図2は、フォトクロミック光学要素と、2つの加熱層とを有するデバイス200を示す。デバイス200は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層210と、第1の加熱要素層220と、フォトクロマティック光学要素230と、第2の加熱要素層240と、第2の傷防止層250とを含む。光学要素前面235は、着用者から最も遠くに配置されたフォトクロマティック光学要素230の側部である。
図3は、フォトクロミック光学要素と、1つの加熱層とを有するデバイス300を示す。デバイス300は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層310と、フォトクロマティック光学要素320と、第2の加熱要素層330と、第2の傷防止層340とを含む。光学要素前面325は、着用者から最も遠くに配置されたフォトクロマティック光学要素320の側部である。
図4は、単一のフォトクロマティック層と、2つの加熱層とを有するデバイス400を示す。フォトクロマティック層は、光学要素とは別である。デバイス400は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の反射防止コーティング410と、第1のハードコート層420と、光学要素430と、第2のハードコート層440と、第1の加熱層450と、フォトクロマティック層460と、第2の加熱層470と、ハードコート層480と、第2の反射防止コーティング490とを含む。
図5は、単一のフォトクロマティック層と、1つのSiO2層と、単一の加熱層とを有するデバイス500を示す。フォトクロマティック層は、光学要素とは別である。デバイス500は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層510と、光学要素520と、SiO2層530と、加熱層540と、フォトクロマティック層550と、第2の傷防止層560とを含む。光学要素前面525は、着用者から最も遠くに配置されたフォトクロマティック光学要素520の側部である。
図6は、2つのフォトクロマティック層と、単一の加熱層とを有するデバイス600を示す。フォトクロマティック層は、光学要素とは別である。デバイス600は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層610と、光学要素620と、第1のフォトクロマティック層630と、加熱要素層640と、第2のフォトクロマティック層650と、第2の傷防止層660とを含む。光学要素前面625は、着用者から最も遠くに配置されたフォトクロマティック光学要素620の側部である。
図7は、単一のフォトクロマティック層と、1つのSiO2層と、単一の加熱層とを有するデバイス700を示す。フォトクロマティック層は、光学要素とは別である。光学要素は、屈折力を有する。デバイス700は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層710と、光学要素720と、ハードコート層730と、加熱要素層740と、SiO2層750と、フォトクロマティック層760と、第2の傷防止層770とを含む。
図8は、単一のフォトクロマティック層と、1つのSiO2層と、単一の加熱層とを有するデバイス800を示す。フォトクロマティック層は、光学要素とは別である。デバイス800は、着用者の最も近接から最も遠い順に、第1の傷防止層810と、光学要素820と、第2の傷防止層830と、フォトクロマティック層840と、SiO2層850と、加熱要素層860と、第3の傷防止層870とを含む。
導電性粒子を含むフォトクロミック高分子層の充填の程度によって、必要な抵抗の程度を考慮して受容されるレベルまで、電気抵抗を調整できることが可能になる。また、フォトクロミック剤(単数または複数)を含む高分子層の厚さは、電気抵抗のレベルに貢献する。導電性粒子は、例のみとして、カーボンナノチューブ、導電性高分子、ナノ粒子にすることができる。所定の実施形態において、フォトクロミック剤(単数または複数)を含む高分子母材は、導電性高分子を含む。所定の事例において、導電性粒子は全く利用されない。フォトクロミック電気抵抗層を含む加熱要素の実施形態は、フォトクロミック層を加熱する非常に効率的な手段を提供する。
所定の実施形態は、フォトクロミック層に加えて、またはその置換において、熱切り替え可能な偏光要素または層を備える。また、所定の実施形態は、フォトクロミック偏光層または要素を利用する。このような偏光要素または層は、米国特許第7,978,391号および第7,505,189号に教示され、これらは参照により本明細書に組み入れる。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、米国特許第7,978,391号および第7,505,189号に教示される高度に変動する(信頼性がなく、かつ予測不可能)光線放射によって提供される熱とは対照的に、非常に精密かつ信頼性が高い加熱要素および熱管理システムを利用する。本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、1つ以上のほぼ透明な電子加熱要素と、エネルギー源と、光学要素と、フォトクロミック層または光学要素と、コントローラと、スイッチと、1つ以上のセンサからなるシステムを提供する。本明細書に開示される所定の実施形態において、タイマーが組み入れられる。本明細書に開示される他の実施形態において、熱切り替え可能な偏光要素が含まれる。さらに本明細書に開示されるまた他の実施形態において、フォトクロミック用品内部または隣接して電子冷却要素または層が含まれる。電子冷却要素または層は、偏光層をその熱で切り替えられていない状態に戻すために利用されてもよい。加えて、電子冷却要素または層は、フォトクロミック層または光学要素が、高温の屋外環境において発色したままであることを可能にするために、屋外環境において電気的に活性化することができる。
いくつかの実施形態において、電子冷却要素または層は、熱電モジュールまたはペルチェモジュールと時々呼ばれる、ほぼ透明な熱電冷却器(TEC)からなり、小型のヒートポンプとして機能する半導体ベースの電子構成部品である。TECに低電圧のDC電源を印加することによって、熱は、半導体要素を介して、ある面から他へと移動する。電流は、1つの面を冷却し、同時に反対面を加熱する。したがって、デバイスの所与の面は、印加される電流の極性を反対にすることによって、加熱または冷却のために使用することができる。TECの特徴によって、TECは正確な温度制御用途のために、ならびに空間制限および信頼性が最重要である、または冷媒が望ましくない場合に、高度に適切になっている。
いくつかの実施形態において利用されるほぼ透明な熱電冷却器は、第1のITO層と、第2のシリコン層と、第3のゲルマニウム層と、第4のITO層とからなる。図16を参照されたい。シリコンおよびゲルマニウム層の厚さは、それぞれ、200オングストローム〜2,000オングストロームの範囲である。層は、例のみとして、スパッタリング等の蒸着により蒸着される。必要な場合、ITO層(単数または複数)の上に、SiO2の薄層も提供することができることを指摘したい。さらに、例のみとして、導電性高分子等、ITOではなく外側の電極層には、他のほぼ透明な導電性材料を提供することができる。
ゲルマニウムの隣にプラスの電荷を、シリコンの隣にマイナスの電荷を置くことによって、熱の流れは、ゲルマニウムからシリコンへとなる。また、シリコンの隣にプラスの電荷を、ゲルマニウムの隣にマイナスの電荷を置き、熱の流れを反対方向にすることも可能である。したがって、例のみとして、プラスの電荷を有するその側をフォトクロミック層に最も近接して位置する、ほぼ透明な熱電冷却器を有することによって、太陽光においてフォトクロミック層から熱を外部へ引き出し(これによって冷却し)、これによって、フォトクロミック高分子層の内部温度の削減を助ける。これは、次いで、レンズが太陽光において屋外で発色したままで、さらに低い温度感度のままであることを可能にする。ほぼ透明な熱電冷却器はまた、熱的に活性化された偏光層または要素の隣に位置することもできる。この場合、熱電冷却器は、冷却し、それによって偏光状態をオンまたはオフにすることによって、液晶の順番を熱的に切り替えるために利用することができる。熱電冷却器の電荷または極性を反対にすることによって、加熱器になり、熱的に偏光した層または要素を加熱することができる。これはまた、透明化または消色時間を速めるために、フォトクロミック層を加熱する場合にも真であり得る。
この方法によって、1℃〜50℃の温度差を得ることができる。シリコンおよびゲルマニウムに加えて、例のみとして、ケイ化カドミウム−テルル化カドミウム等の他の二元金属カップルも使用することができる。眼鏡またはアイウェアためのレンズまたは光学要素において利用された場合、これらの積層は、光の入射方向に対して垂直、または光の入射方向に対して平行な平面に沿って適用されてもよい。あるいは、該別の方式は、眼の視野線と光学的に連通状態のレンズのエッジにまたはレンズの側面に適用することができる。フォトクロミック剤(単数または複数)を含む層または光学要素の内部温度は、屋外の周囲温度よりも高くなり、したがって、熱は、フォトクロミック層または光学要素から、レンズの前面または側部上の眼鏡またはアイウェアの周囲の空気へ向かって引き出される/運ぶことができるか、あるいはフォトクロミック層または光学要素から、着用者の眼に最も近接のレンズの後方バルクへ向かって引き出される/運ぶことができる。
図16は、電子冷却要素1600を示す。熱は、レンズの前1610から、レンズの後ろ1620へ流れる。冷却要素は、順に、第1のITO層1630と、シリコン層1640と、ゲルマニウム層1650と、第2の電極1660とを含む。他の適切な透明な材料が使用されてもよい。
図17は、冷却要素、加熱要素、光学要素、およびフォトクロミック層を組み入れるレンズ1700を示す。レンズ1700は、レンズの後ろ(眼に最も近接)から前へ、第1の反射防止コーティング層1705と、第1のハードコート層1710と、光学要素1720と、第2のハードコート層1730と、冷却要素1740と、フォトクロマティック層1750と、加熱要素1760と、ハードコート層1770と、第2の反射防止コーティング層1780とを含む。冷却要素1740は、図16に図示されているように、さらなる層を有してもよい。図17は、10番目の実施形態に対応する。
図18は、熱的に切り替え可能な偏光層、加熱要素、光学要素、およびフォトクロミック層を組み入れるレンズ1800を示す。レンズ1800は、レンズの後ろ(眼に最も近接)から前へ、第1の反射防止コーティング層1805と、第1のハードコート層1810と、光学要素1820と、第2のハードコート層1830と、熱的に切り替え可能な偏光層1840と、フォトクロマティック層1850と、加熱要素1860と、ハードコート層1870と、第2の反射防止コーティング層1880とを含む。図18は、11番目の実施形態に対応する。
本明細書に開示される実施形態は、フォトクロミック光学要素または層と、関連の電子部品とを含むシステムを備える。本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、高分子層であるフォトクロミック剤(単数または複数)を備える光学要素または層を検討するが、所定の実施形態において、このような層または光学要素は、ガラスである。いくつかの実施形態は、緊急の長期にわたって満たされていない必要性を解決するための非常に高度な方式である。光学要素という用語は、本特許明細書において使用される場合、光を透過する任意の光学要素であることを意味することを理解されたい。例のみとして、車両のフロントガラス、窓、バイクヘルメットのフェイスシールド、非処方の眼鏡、固定焦点および電気焦点両方の処方眼鏡、眼内レンズ、コンタクトレンズ。実施形態はまた、範囲内で所望される光透過または遮断の所望されるレベルの上または下に移動することができる、透過スペクトラムの範囲を変更する光を生成するためのフォトクロミック装填および染料化学のレベルに依存して使用することもできる。
いくつかの実施形態は、タイマーの使用を検討する。タイマーは、加熱部材または要素をオンおよびオフに自動的に切り替えるために追加することができる。所定の事例において、加熱要素は、オンとオフの間を継続的にサイクルする。切り替えの時間もまた、消費者の必要性または要件に依存して変更することができる。このように、自動車または他の車両のフロントガラスの後ろのフォトクロミック光学要素の色濃度または薄度の量は、着用者によって手動で変更または制御することができるか、あるいは自動モードに入れることができる。タイマーの目的は、加熱要素または部材が、材料が軟化しすぎて、フォトクロミック剤が色あせを開始するレベルを超えて、フォトクロミック剤を収容する光学要素の基材材料を加熱することを可能にしないことである。フォトクロミック剤を含む材料が過熱(特定点を超えて加熱される)することを可能にしないことによって、発色のレベルおよび発色の速度を最適化することができる。
これは、加熱要素または部材が、発色と消色の2つの状態の間をはるかにより高速で切り替えることを可能にするという事実に起因するが、発色または消色の程度を最大にするためには、加熱要素は、フォトクロミック剤を収容する光学要素の基材の温度およびそれに関連する高分子材料のTGを重く考慮しなければならない。
いくつかの実施形態は、タイマーと関連して使用されてもよく、または使用されなくてもよい、温度センサを検討する。フォトクロミック剤を含む所与の光学要素の基材で加熱温度に到達すると(これは、その表面上または表面に対して内部で測定することができる)、加熱要素または部材はオフにする。そして、温度がより低いレベルに戻ると、必要な場合、加熱要素をオンに戻すことができる。このサイクルは、予め設定した時間連続する、または手動で設定して変更することができる。ここでも、これは所望される場合、自動的に実現することができる(例のみとして、ハンズフリーを意味する)。いくつかの実施形態は、熱電対の使用を検討する。
電気は、例のみとして、燃料電池、電池、誘導的充電電池、AC電流、DC電流、太陽電池、運動、動力エネルギー、化学、機械等、そのような電気を提供する任意の該当するエネルギー源手段によって供給することができる。眼鏡用途の場合、各フォトクロミックレンズに対して、2つの小型のファルタ(Varta)V6HR電池は、充電されることが必要になる前に、約25回、環境室温より10度℃上回ってITO加熱要素を加熱することを可能にする。エネルギー源は、光学要素、レンズ、または用品内部に、光学要素、レンズ、または用品上に位置することができるか、あるいは光学要素、レンズ、または用品から除去することができる。アイウェア適用の場合、加熱要素以外の電子部品の全てではない場合もほとんどが取り外すことができ、例のみとして、眼鏡フレーム、スキー用ゴーグル、バイクヘルメット内部に含有/収容することができる。
光学要素、基材、レンズという用語は、本開示の目的のために、全て同じ意味を有する。本明細書に使用される場合、色あせまたは色あせるという用語は、フォトクロミック着色層または母材の透明化または消色と同じ意味を有することを意図する。
第1の実施形態において、例のみとして、ほぼ透明な電気的に加熱可能な表面または層の、加熱要素を備える性能が強化されたフォトクロミック光学要素は、フォトクロミック剤を含む材料層に近接して、または隣接して位置する。ほぼ透明な電気的に加熱可能な表面または層は、例のみとして、その表面上またはその内部に埋め込まれた加熱要素または部材を有する薄いガラスまたはプラスチックの層からなる。部材の加熱要素は、例のみとして、インジウムスズ酸化物(ITO)にすることができ、これは、電気の印加によって加圧または活性化され、かつ電気の除去によって加圧を解除または非活性化することが可能である。光学要素の性能のための透明度の必要性を満たす場合、加熱要素を製造するために、任意の導電性材料(導電性高分子を含む)を使用することができる。好ましい実施形態(例えば、図1を参照)において、加熱要素は、使用者の眼に最も近接して、または入射UV光波から最も遠くにフォトクロミック剤を含む層または光学要素の側に位置する。別の好ましい実施形態において、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の各側面上に1つあるように、2つの加熱要素が使用される。また別の実施形態において、1つの加熱要素は、フォトクロミック剤を備える層または光学要素の側に、かつ入射UVおよび/または長波長の青色光に最も近接して位置する。電気は、例のみとして、燃料電池、電池、誘導的充電電池、AC電流、DC電流、太陽電池、運動、動力エネルギー、化学、機械等、そのような電気を提供する任意の該当する手段によって供給することができる。この第1の実施形態において、加熱要素は、使用者によってオンまたはオフになり、すなわち、光学要素を使用している人が単に、所望されるフォトクロミック性能のレベルに依存して、随意に加熱要素をオンまたはオフにすることができる。
第2の実施形態において、例のみとして、ほぼ透明な電気的に可能な加熱表面または層の、加熱要素を備える性能が強化されたフォトクロミック光学要素は、フォトクロミック剤を含む材料層に近接して、または隣接して位置する。ほぼ透明な電気的に加熱可能な表面または層は、例のみとして、その表面上またはその内部に埋め込まれた加熱要素または部材を有する薄いガラスまたはプラスチックの層からなる。加熱要素または部材は、例のみとして、インジウムスズ酸化物にすることができ、これは、電気の印加によって加圧または活性化され、かつ電気の除去によって加圧を解除または非活性化することが可能である。光学要素の性能のための透明度の必要性を満たす場合、加熱要素を製造するために、任意の導電性材料(導電性高分子を含む)を使用することができる。好ましい実施形態において、加熱要素は、使用者の眼に最も近接して、または入射UV光波から最も遠くにフォトクロミック剤を含む層または光学要素の側に位置する。別の好ましい実施形態(例えば、図2を参照)において、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の各側面上に1つあるように、2つの加熱要素が使用される。また別の実施形態において、1つの加熱要素は、フォトクロミック剤を備える層または光学要素の側に、かつ入射UVおよび/または長波長の青色光に最も近接して位置する。電気は、例のみとして、燃料電池、電池、誘導的充電電池、AC電流、DC電流、太陽電池、運動、動力エネルギー、化学、機械等、そのような電気を提供する任意の該当する手段によって供給することができる。
この第2の実施形態において、加熱要素は、使用者に最も近接するフォトクロミック層または表面の側に位置する光検出器または光センサにより、オンまたはオフになる。光センサは、コントローラに連結することができるが、必ずしも連結しなければならないわけではない。コントローラは、例のみとして、ASICにすることができる。センサは、光透過または遮断のレベルを判定し、このレベルをコントローラに伝達する。コントローラは次いで、加熱要素をオンまたはオフにする。
第3の実施形態において、例のみとして、ほぼ透明な電気的に可能な加熱表面または層の、加熱要素を備える性能が強化されたフォトクロミック光学要素は、フォトクロミック剤を含む材料層に近接して、または隣接して位置する。ほぼ透明な電気的に加熱可能な表面または層は、例のみとして、その表面上またはその内部に埋め込まれた加熱要素または部材を有する薄いガラスまたはプラスチックの層からなる。部材の加熱要素は、例のみとして、インジウムスズ酸化物にすることができ、これは、電気の印加によって加圧または活性化され、かつ電気の除去によって加圧を解除または非活性化することが可能である。光学要素の性能のための透明度の必要性を満たす場合、加熱要素を製造するために、任意の導電性材料(導電性高分子を含む)を使用することができる。好ましい実施形態において、加熱要素は、使用者の眼に最も近接して、または入射UV光波から最も遠くにフォトクロミック剤を含む層または光学要素の側に位置する。別の好ましい実施形態(例えば、図2を参照)において、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の各側面上に1つあるように、2つの加熱要素が使用される。2つの加熱要素(フォトクロミック層の各側部上に1つ)の使用によって、フォトクロミック層が、フォトクロミック層の前および後ろのITO層に必要な電気抵抗を提供することを可能にする。また別の実施形態(例えば、図3を参照)において、1つの加熱要素は、フォトクロミック剤を備える層または光学要素の側に、かつ入射UVおよび/または長波長の青色光に最も近接して位置する。電気は、例のみとして、燃料電池、電池、誘導的充電電池、AC電流、DC電流、太陽電池、運動、動力エネルギー、化学、機械等、そのような電気を提供する任意の該当する手段によって供給することができる。
この第3の実施形態において、加熱要素は、使用者に最も近接するフォトクロミック層または表面の側に位置する光検出器または光センサにより、オンまたはオフになる。光センサは、コントローラに連結することができるが、必ずしも連結しなければならないわけではない。コントローラは、例のみとして、ASICにすることができる。センサは、光透過または遮断のレベルを判定し、このレベルをコントローラに伝達する。コントローラは次いで、加熱要素をオンまたはオフにする。この第3の実施形態は、コントローラの一部として、またはコントローラとは別に、タイマーをさらに備える。タイマーは、現行の連続サイクルのタイミングを設定することができるか、あるいはタイマーは、所望のレベルの光透過または遮断に到達すると、指定の時間後に加熱要素をオンおよびオフにするように設定することができる。
第4の実施形態(図示せず)において、フォトクロミック剤(単数または複数)を含む2つの層または光学要素を有する複合材料光学要素は、どちらもが紫外線放射および/または紫(長い青色波長)放射の光学経路にあるように配置される。これらの2つの層または光学要素は、層#1または光学要素#1が入射UV放射に最も近接し、層#2または光学要素#2が層#1または光学要素#1の後ろに位置し、入射UVおよび/または長い青色波長光波長からさらに遠くかつ使用者の眼に最も近接するように配置位置する。層#1または光学要素#1は、層#2または光学要素#2よりもUV光および/または長い青色光波長に対して反応または感度がより高く、層#2または光学要素#2よりも低いTGを有する材料からなり、ならびに/あるいはフォトクロミック剤が、層#2または光学要素#2よりもUV光および/または長い青色光波長(領域内)に対して反応および感度がはるかに高いことを可能にする、そのより高いTG材料構造内部により低いTG材料の領域を有する。加えて、加熱要素は、層#1または光学要素#1の表面に近接または隣接する。
この第4の実施形態において、加熱要素は、センサに連結されたコントローラによってオンまたはオフになる。所定の事例におけるコントローラは、UV光および/または長波長の青色光の周期的な透過を可能にして、十分な透過量で層#1または光学要素#1を貫通して、それによって層#2または光学要素#2を発色させるように、加熱要素を交互にオンおよびオフにする。これを実行することによって、複合材料光学要素の正味の発色は、フォトクロミック層が強化されることに起因して強化され、発色および透明化時間も強化される。層#1または光学要素#1の厚さおよびTGは、熱の適用時にこの透過を可能にするように最適化され、それによって、層#1または光学要素#1の温度を上昇させる。
第5の実施形態(図示せず)において、例のみとして、ほぼ透明な電気的に可能な加熱表面または層の、加熱要素を備える性能が強化されたフォトクロミック光学要素は、フォトクロミック剤を含む材料層に近接して、または隣接して位置する。ほぼ透明な電気的に加熱可能な表面または層は、例のみとして、その表面上またはその内部に埋め込まれた加熱要素または部材を有する薄いガラスまたはプラスチックの層からなる。部材の加熱要素は、例のみとして、インジウムスズ酸化物にすることができ、これは、電気の印加によって加圧または活性化され、かつ電気の除去によって加圧を解除または非活性化することが可能である。光学要素の性能のための透明度の必要性を満たす場合、加熱要素を製造するために、任意の導電性材料(導電性高分子を含む)を使用することができる。好ましい実施形態において、加熱要素は、使用者の眼に最も近接して、または入射UV光波から最も遠くにフォトクロミック剤を含む層または光学要素の側に位置する。別の好ましい実施形態において、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の各側に1つあるように、2つの加熱要素が使用される。また別の実施形態において、1つの加熱要素は、フォトクロミック剤を備える層または光学要素の側に、かつ入射UVおよび/または長波長の青色光に最も近接して位置する。
この第5の実施形態において、加熱要素は、フォトクロミック剤を含む光学要素の基材の表面に隣接して、またはフォトクロミック剤を含む光学要素の基材内に埋没してのいずれかに位置する熱センサにより、(直接的または間接的に)オンまたはオフになる。光センサは、コントローラに連結することができるが、必ずしも連結しなければならないわけではない。コントローラは、例のみとして、ASICにすることができる。センサは、フォトクロミック剤を含む光学要素の基材材料の温度を判定し、このレベルをコントローラに伝達する。コントローラは次いで、加熱要素をオンまたはオフにする。この動作は、現行のサイクル中、または特定の時間間隔にわたって連続することができる。
第6の実施形態(図6を参照)において、層#1または光学要素#1および層#2または光学要素#2を有する複合材料光学要素は、同じTGを有するが、いずれか、または両方は、層#2または光学要素#2が、層#1または光学要素#1よりも、より低いレベルの光に対してより高い光反応性/感度であるように、レンズ材料内部に領域を有することができる。この第6の実施形態における所定の事例において、加熱要素は、層#1または光学要素#1と層#2または光学要素#2との間に位置付けられる。この第5の実施形態における所定の事例において、加熱要素は、層#1または光学要素#1の前面表面上または近辺に位置する。センサに連結されるコントローラは、UV光および/または長波長の青色光の適切な透過が、層#2または光学要素#2ならびに層#1または光学要素#1を発色させることを可能にするように、加熱要素をオンおよびオフすることを命令する。これを実行することによって、複合材料光学要素の正味の発色は、フォトクロミック層が強化されることに起因して強化され、発色および透明化時間も強化される。層#1または光学要素#1の厚さおよびTGは、熱の適用時にこの透過を可能にするように最適化され、それによって、層#1または光学要素#1の温度を上昇させる。層#1は、図6の第1のフォトクロマティック層630に対応し、層#2は、第2のフォトクロマティック層650に対応する。図6は、フォトクロマティック層が光学要素とは別である場合を図示するが、2つのフォトクロマティック光学要素、光学要素#1および光学要素#2が存在する場合に同じ概念が適用されてもよい。
第7の実施形態(例えば、図4を参照)において、フォトクロミック剤を含む材料層全体に電位が印加される。このような層は、フォトクロミック剤を構成する分子が、印加された電位の方向に整合するために、転回または回転することがないように、相対的に低い動的粘度または弾性率を有することが必要である。電位は、各々がフォトクロミック剤を収容する層または光学要素の反対側上に存在する、2つのほぼ透明な電極によって生じる。フォトクロミック剤に電位を印加することによって、フォトクロミック剤の性能をプラスの方向に変化させ、それによって光学要素の消色の発色が可能である。実施形態7の構造は、フォトクロミック層全体に電位が適用されるだけでなく、熱の生成も提供する。
第8の実施形態(例えば、図7を参照)において、複合材料レンズまたは光学要素は、レンズブランク(半仕上げまたは仕上げ)に商業的に適用される、厚さ2ミクロン〜5ミクロンである外側傷防止層を備える。レンズの前方から内側および後方にむかって、このハードコート層の下の層は、約25ミクロン〜200ミクロンの厚さ、より好ましくは約30ミクロン〜125ミクロンの厚さのフォトクロミック高分子層、約2ミクロン〜20ミクロン、より好ましくは約3ミクロン〜10ミクロンの厚さのSiO2層、0.1ミクロン〜1.0ミクロン、より好ましくは0.1ミクロン〜0.5ミクロンの厚さのITO加熱要素(ハードコーティング層(例のみとしてSiO2)の表面にわたって連続、または炉燃焼器様設計(図面を参照)の形状であり得る)、これは、1ミクロン〜10ミクロン、より好ましくは1ミクロン〜5ミクロンの厚さであり得るハードコーティング層上に蒸着される。ハードコート層は、レンズの大部分を構成する大部分の厚さを備える光学要素の前面表面に隣接して位置する。例のみとして、光学要素は、1.67の屈折率を有するMR10(Mitsuiによる)である。前述の層全てがその上に適用されるので、レンズの前面湾曲の屈曲に合うのはこの光学要素の前面である。これは、ほとんどの部分の光学要素の前面に追加される層の全てが、共形様式で適用されるためである。光学要素の後面表面は、これもハードコートを備える仕上げしていない表面(半仕上げのレンズブランクまたは仕上げとして利用される場合、または仕上げレンズブランクとして利用される場合)にすることができ、反射防止コーティングは、次いで、前面表面および後面表面にさらに適用することができる。
実施形態#8を利用する実験において、グレイ着色に貢献するフォトクロミック剤を含むフォトクロミック層を含有する第1のフォトクロミック用品は、屋外温度が95度Fであるとき、太陽光の屋外でその最大色濃度状態にまで発色した。完全に発色した第1のフォトクロミック用品は、約30%の透過率を有すると測定された。第1のフォトクロミック用品は、図7に図示されるように多層構造を備える。第1のフォトクロミック用品が太陽光の屋外でその最大色濃度状態の約30%の透過率に発色した後、フォトクロミック用品は、周囲温度が70度Fの屋内に戻された。図7に示される加熱要素は、屋内に戻ると直ちに、発色した第1のフォトクロミックコーティング層を約120度Fの温度、または70度Fの屋内周囲室温を10℃上回る温度まで2分間、加熱するように、活性化された。発色したコーティング(従って、第1のフォトクロミック用品)は、約2分で85%の光透過率を有するように、その着色において消色または透明化した。比較を提供するために、同じ実験は次いで、加熱要素を活性化せずに(このために熱を全く適用せずに)第2のフォトクロミック用品で繰り返され、同じ光透過点まで透明化するための時間は、15分を超えた。第1のフォトクロミック用品が加熱要素を備えたことを除き、この比較の全ての変数は全く同じであった。
第9の実施形態において、高分子母材が第2のフォトクロミック用品よりも高いTGを有する第1のフォトクロミック用品を備えることを除き、加熱要素を備えるフォトクロミック用品の実施形態#8と同一である。このため、実施形態#8の実験は、屋外温度が100度Fであるとき、太陽光の屋外でその最大発色状態にまで発色している、グレイ着色に貢献するフォトクロミック剤を含むフォトクロミック層を含有するフォトクロミック用品を用いて繰り返された。完全に発色した第1のフォトクロミック用品は、約20%の透過率を有すると測定された。第1および第2のフォトクロミック用品は、図7に図示されるように多層構造を備えた。第1のフォトクロミック用品が、その最大発色状態で太陽光の屋外で約20%の透過率のその最大発色レベルまで発色した後、フォトクロミック用品は、周囲温度が70度Fの屋内に戻された。図7に示される加熱要素は、屋内に戻ると直ちに、発色した第1のフォトクロミックコーティング層を約120度Fの温度、または70度Fの屋内周囲室温を10℃上回る温度まで2分間、加熱するように、活性化された。発色したコーティング(従って、第1のフォトクロミック用品)は、約2分で85%の光透過率を有するように、その着色において消色または透明化した。比較を提供するために、同じ実験は次いで、加熱要素を活性化せずに(このために熱を全く適用せずに)第2のフォトクロミック用品で繰り返され、同じ光透過点まで透明化するための時間は、15分を超えた。この比較の全ての変数は、加熱要素および高分子母材のTGを除き、全く同じであった。第1のフォトクロミック用品は、加熱要素、およびフォトクロミック剤を収容するより高いTGの高分子母材を備えた。第2のフォトクロミック用品は、加熱要素を備えず、第1のフォトクロミック用品よりも低いTGであった。
第10の実施形態において、電気冷却要素は、フォトクロミックレンズ内部に位置する。電気冷却要素は、そのマイナスの電荷または極性がレンズの後方に面し、プラスの電荷または極性がフォトクロミック層に面するように位置する。この実施形態において、加熱要素は、レンズの前により近接するフォトクロミック層の前に位置し、電気冷却要素は、フォトクロミック層の後ろに(フォトクロミック層の後ろ)、しかし、隣接しない場合であっても非常に近接して位置する。このため、第10の実施形態は、例のみとして、#1、屋内から屋外へ移動時、必要な場合に、フォトクロミック層の母材をやや軟化させて発色効果を高速化するために、および/または#2、屋外から屋内へ移動時、加熱してフォトクロミック層によって提供された発色効果を消失させ、それによって、屋内の光透過率、または着色透明化時間を高速化する該別の方式を加速化するために、フォトクロミックレンズを加熱することを可能にするフォトクロミックレンズまたは用品を提供する。加えて、電気冷却要素は、例のみとして、80F以上の高温屋外環境においてより長時間、屋外で発色の程度を維持することを提供する。図17を参照されたい。低温環境の場合、冷却要素をフォトクロミック層の前に、加熱要素をレンズの後ろにより近接してフォトクロミック層の後ろに置くことが可能であることを指摘したい。
第11の実施形態において、熱的に切り替え可能な偏光要素は、フォトクロミックレンズ内部に位置する。この第11の実施形態において、熱的に切り替え可能または活性化偏光層は、フォトクロミック層の後方に位置する。加熱要素は、フォトクロミック層と熱的に切り替え可能な偏光層との間に位置する。熱的に切り替え可能な層は、フォトクロミック剤を含まない高分子分散二色性液晶からなる。フォトクロミック剤(単数または複数)は、フォトクロミック高分子層に組み入れられる。フォトクロミック層は、熱的に切り替え可能な偏光層の前方または前に位置する。このため、第11の実施形態は、例のみとして、#1、屋内から屋外へ移動時に、必要な場合に、フォトクロミック層の母材をやや軟化させて発色効果を高速化するために、および/または#2、屋外から屋内へ移動時、加熱してフォトクロミック層によって提供された発色効果を消失させ、それによって屋内光透過または着色透明化時間を高速化する該別の方法を高速化するために、および/または#3、自動車または車両内においてUV遮断またはカットフロントガラスの後ろにいるときに、偏光層を熱的切り替えるための熱を提供するために、フォトクロミックレンズを加熱することを可能にするフォトクロミックレンズまたは用品を提供する。
加えて、熱的偏光層は、例のみとして、#1、フォトクロミック層の着色発色貢献に加えて、太陽光の屋外にいるときに眩輝および反射光を削減する偏光層、および/または#2、UV遮断またはカットフロントガラスの後ろ等、フォトクロミック層を適切に発色させるために必要な適切な量のUV光が不在な場合に熱的にオンおよびオフを切り替えることができる偏光層を提供する。図18を参照されたい。
フォトクロミック層の上に位置する外側保護層は、オルガノシランを含む耐磨耗コーティング、放射硬化アクリレートベース薄膜を含む耐磨耗コーティング、シリカ、チタニア、および/またはジルコニア等の無機材料をベースとする耐磨耗コーティング、紫外線硬化、酸素バリアコーティング、UV遮断コーティング、およびこれらの組み合わせである種類の有機耐磨耗コーティングを含むことができる、保護コーティングの非限定例にすることができる。例えば、保護コーティングは、放射硬化アクリレートベースの第1のコーティング、およびオルガノシランを含む第2のコーティングを含むことができる。市販の保護コーティング製品の非限定例として、それぞれ、SDC Coating,Inc.およびPPG Industries,Inc.から入手可能であるSILVUE.RTM.124およびHI−GARD.RTMコーティングが挙げられる。
第12の実施形態において、加熱要素を備える透明な熱管理システムが、着用者に必要な屈折力に加工されているエッジングされた、またはエッジングされていないレンズのいずれかに適用される。加熱要素または部材は、例のみとして、インジウムスズ酸化物にすることができ、これは、電気の印加によって加圧または活性化され、かつ電気の除去によって加圧を解除または非活性化することが可能である(例えば、図9および10を参照)。光学要素またはレンズ、ならびに加熱要素の性能のための導電性、抵抗性、および透明度の必要性を満たす場合、加熱要素を製造するために、任意の導電性抵抗材料(導電性高分子を含む)を使用することができる。加えて、導電性材料が、フォトクロミック剤(単数または複数)が位置する層または母材に比較して、レンズの前面に向かって前方に適用される場合、加熱要素は、UV光の透過を可能にしなければならない。これによって、UV光がフォトクロミック剤(単数または複数)に到達する前に、加熱要素を通過するように、フォトクロミックレンズ内に見出されるフォトクロミック剤(単数または複数)に到達するためにUV光の十分な透過が必要であることを意味する。このため、熱管理システム内部で利用される導電性抵抗材料は、フォトクロミック剤にその着色発色を変化させるに十分なUV光を透過するように選択されなければならない。
第12の実施形態の全てではないが所定の事例において、フォトクロミック剤を含むエッジングされたレンズ(フォトクロミックレンズ)は、着用者の処方にレンズを研ぎ磨いてから、次いで、着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にエッジングする眼鏡販売店または眼鏡専門店の場所に存在しない眼鏡加工所から、眼鏡販売店または眼鏡専門店(眼鏡フレームおよびレンズを販売する)によって注文されてもよい。単焦点レンズおよび所定の二重焦点または累進多焦点付加レンズが、完成した屈折力の形式が在庫にある場合、処方に研ぎ磨く、またはデジタル的に表面を仕上げる(自由形状)必要はないことを指摘したい。また所定の事例において、眼鏡加工所は眼鏡販売店の場所に位置することができる。また所定の事例において、眼鏡販売店または眼鏡専門店は、インターネット上で利用可能な商業場所にすることができる。また他の事例において、フォトクロミックレンズの着用者は、眼鏡販売店、眼鏡専門店、眼鏡加工所、インターネットのうちの1つからフォトクロミックアイウェア(フォトクロミックレンズおよびフォトクロミックレンズを収容する眼鏡フレーム)を受領した後に、自分のフォトクロミック眼鏡の性能を強化させることを決定する。この場合、着用者は、自分のフォトクロミックアイウェアを変換者へ送ることができ、そこで透明な熱管理システムが適用される。
熱管理システムを有するフォトクロマティックレンズを消費者に提供するための1つの手法は、図30に図示される。第1のステップ3001で、消費者は、眼科医療従事者(ECP)から電子フォトクロミックレンズを注文する。第2のステップ3002で、加工所は、標準の(加熱要素のない)フォトクロミックブランクを処方に処理し、エッジングして、フレームとともに変換者へ送信する。第3のステップ3003で、変換者は、このレンズを電子フォトクロミックレンズに変換する。変換者は、反射防止コーティング等、他の任意選択層を追加してもよい。変換者は、レンズをコントローラへ電気的に接続し、レンズをフレームに取り付ける。変換者はレンズをECPへ出荷する。第4のステップ3004において、ECPはレンズを患者へ販売する。このプロセスは、多数の変換手法のうちの1つに過ぎない。
眼鏡販売店、眼鏡専門店、大規模眼加工所、インターネット、レンズ製造者、または着用者のいずれであろうと熱管理システムの注文が達成されると、熱管理システムを追加する以下の方法が守られる。着用者の屈折力を備える仕上げ(両方の表面が正しい屈曲を備える)フォトクロミック眼鏡レンズに熱管理システムを追加することは、本明細書において、「従来のフォトクロミックアイウェアを電子フォトクロミック眼鏡に変換すること」または「フォトクロミックレンズを電子フォトクロミックレンズに変換すること」と記載される。
フォトクロミック剤を含むレンズ(フォトクロミックレンズとして知られる)が所定の事例でエッジングされた後、傷防止コーティングで被膜され、他の事例においては、エッジングされたレンズはハードコートが被膜されない。いずれの場合も、フレームに必要な適切な形状にエッジングされた後のフォトクロミックレンズは、透明な熱管理システムを受容するように準備される。全てではないが所定の事例において、フォトクロミックレンズは、レンズ製造業界において周知の洗浄プロセスによって丁寧に洗浄される。全てではないが所定の事例において、フォトクロミックレンズが洗浄されると、外側表面上にSiO2層が(蒸着によって)適用される。
加熱要素を備える透明な熱管理システムは、着用者によって必要な屈折力を備えるレンズの外側前面表面上に適用される。第12の実施形態の場合、ITOまたは導電性高分子のいずれかのコーティングは、電気を印加すると層を加熱させる抵抗伝導性層の形で、蒸着によって適用される。加熱要素は、例のみとして、炉燃焼器等の形状、またはフォトクロミック剤に最も近接するレンズの表面全体を覆うコーティングにすることができる。加熱要素の適用に続いて、傷防止コーティングが浸漬コーティングによって適用される。全てではないが所定の事例において、ハード傷防止コーティングの上に、反射防止コーティングが次いで適用される。
着用者の眼科処方(着用者の必要な屈折力を有する)に仕上げられ、その外側表面上に傷防止コーティングが既に適用されているフォトクロミックレンズまたはレンズブランクを変換する場合、所定の実施形態において、熱管理システム(加熱要素)は、レンズの外側表面が熱管理システムの適用前に丁寧に洗浄されている場合は、傷防止コーティングを備える表面の上に直接適用されることを指摘したい。いくつかの事例において、傷防止コーティングの外部表面は、化学的にエッチングされ、他の事例において、表面はイオン処理によって準備される。化学的エッチングおよび/またはイオン処理は、熱管理システムが適用される外部表面への熱管理システムの結合を促進するように作用する。所定の他の実施形態において、熱管理システムを備えるフォトクロミックに変換されているフォトクロミックレンズまたはレンズブランクの最も外側のコーティングが、反射防止コーティングである場合、全てではないがほとんどの場合、反射防止コーティングは、加熱要素が適用される前に、剥ぎ取られる。このような剥ぎ取りは、薬浴によって達成することができる。
エッジングされたレンズに加熱要素が適用され、その外部表面を覆う傷防止コーティングを受容した後、全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを受容することができ、エッジングされたレンズは次いで、エネルギー源に電気的に接続されるために準備される。電気接続は、その外部表面を通過し、熱要素のプラスおよびマイナス極(端子)と接続する接続電極による、またはエッジングされたレンズの周辺縁を通じてプラスおよびマイナス極を接続する接続電極によることができる。全てではないが所定の事例において、接続は、例のみとして導電性ゴム等の、例のみとして圧縮性電気接触の使用にすることができ、導電性ゴムが使用される場合、2個が使用され、そのうちの1つが、熱管理システムのプラスおよびマイナスの極(端子)との接触を行う。他の事例において、エッジングされたレンズの周辺縁上、またはエッジングされたレンズの表面上のいずれかで、導電性ばねじかけのピンが使用される。他の事例において、レンズの周辺エッジまたは表面上に導電性タブが提供され、加熱要素のプラスおよびマイナスの極(または端子)に接続し、導電性電極が電気タブに接続される。そして、また他の事例において、導電性高分子または導電性エポキシが利用される。
電気接続が行われると、加熱要素を備えるエッジングされたフォトクロミックレンズは、次いで、着用者によって選択された眼鏡フレームに取り付けられる。所定の事例において、このフレームは、電子部品を備えるフレームである(例えば、図12を参照)(電子フレームとして知られる)。他の事例において、フレームは、外部の電子モジュールまたはアダプタ(例えば、図14および15を参照)が眼鏡フレームの1つまたは両方のテンプルの内部に適用されている、非電子フレームである。所定の実施形態において、1つの外部モジュールは、熱管理システムを備える両方のフォトクロミックレンズで機能することができる。他の実施形態において、1つの外部モジュールは、非電子眼鏡フレームに収容された2つのフォトクロミックレンズの各々に利用される。両方のフォトクロミックレンズに電気的に接続するために、1つの外部モジュールが利用される場合、電気リードは、適切な電気的接続性を提供するように、非電子フレームに適用または固定されなければならない。
図12は、熱管理システムを備えるフォトクロマティックアイウェア1200を示す。電気構成要素1210は、アイウェアのテンプル1220内部に収容されるように図示される。電気接続1230は、電気構成要素1220をレンズ1240に電気的に接続する。電気構成要素1210は、アイウェアの両方のテンプル内部に収容されるように図示される。しかし、すべての電気構成要素1210は、単一の場所に収容され、電気接続はその場所から両方のレンズに行われることができる。レンズ1240は、少なくとも1つのフォトクロマティック層と、少なくとも1つの加熱層とを含み、本明細書に記載される特定の構造または関連構造のうちのいずれかを有してもよい。
図13は、熱管理システムを備えるフォトクロマティックアイウェア1300を示す。電気構成要素1310は、フォトクロマティックレンズ1320内部の、周辺部に収容されると図示される。この実施形態において、眼鏡フレームは電気構成要素を含む必要はない。レンズ1320は、少なくとも1つのフォトクロマティック層と、少なくとも1つの加熱層とを含み、本明細書に記載される特定の構造または関連構造のうちのいずれかを有してもよい。
図14は、電子部品がアイウェア内に収容され、加熱要素を含むフォトクロマティックレンズに電気的に接続されてもよい1つの方式を示す。アイウェア1400は、テンプル1410を含む。テンプル1410は、テンプルヒンジ1415によって、フォトクロマティックレンズ1420に接続される。鼻ブリッジ1425は、レンズ1420をもう1つのレンズ(図示せず)に接続する。左テンプル1410の内側およびレンズ1420の後ろが図示される。電子部品は、テンプル1410の外部であっても、またはテンプル1410に埋め込まれてもよい、自立型モジュール1430に収容される。モジュール1430は、コントローラ1432を収容する。コントローラ1432は、光センサ1431、スイッチ1433、電池1434、および誘導コイル1435に電気的に接続される。光センサ1431およびスイッチ1433からの入力に依存して、コントローラ1432は、レンズ1420内の加熱器に電力を提供する。モジュール1430は、少なくとも2つのリードを有する電気コードケーブル1440、絶縁リード1450、および導電性ゴム1460によって、レンズ1420に電気的に接続される。
図15は、加熱要素を有するフォトクロマティックレンズへの電子モジュールの接続の詳細を示す。モジュール1500は、密閉筐体1510を含む。筐体1510は、光が筐体1510内部のセンサへ到達することを可能にするために、透明な窓120を有する。筐体1510は、任意の適切な組み合わせの電子部品を収容してもよい。1つの適切な組み合わせの電子部品は図14に示す。2つのリード1535を有する電気コードケーブル1530は、筐体1510から可撓性絶縁リード1540へ信号を運ぶ。リード1540は、導電性ゴム1550に電気的に接続され、これは、次に、直線1590によって図示されるように、透明な電極層の端部に電気的に接続される。図15の加熱要素1559は、第1の電極1561と、フォトクロミック層1562と、第2の電極1563とを含む。加圧されると、電圧は、フォトクロミック層1562全体に適用される。
図27は、内蔵型電子モジュール2720を有するテンプル2710の写真を示す。また10セント硬貨2730は縮尺のために示される。
図28は、電子モジュール上にクリップを有する眼鏡の一部の上面図を示す。眼鏡2810は、テンプル2850とレンズ2860とを含む。クリップオンモジュール2820は、テンプル2820上にクリップされる。電気接続は、可撓性ケーブル2830および電気リード2840によって、モジュール2820とレンズ2860との間に提供される。
図29は、眼鏡に電子機能を提供するために、非電子フレームを有する通常の眼鏡で使用するために適合されたモジュールを示す。モジュール2910は、電子部品を収容し、眼鏡フレームに付設されてもよい。可撓性ケーブル2920および電気リード2930は、モジュールからフレーム内のレンズへ信号および/または電力を運ぶために使用されてもよい。
実施形態12により教示される第1の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#3:エッジングされたレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#4:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#5:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#6:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図31は、実施形態12の第1の方法のフローチャートである。ステップ1〜6は、ボックス3110、3120、3130、3140、3150、および3160に示される。
実施形態12の第2の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#3:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#4:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#5:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#6:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図32は、実施形態12の第2の方法のフローチャートである。ステップ1〜6は、ボックス3210、3220、3230、3240、3250、および3260に示される。
実施形態12により教示される第3の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#3:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#4:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#5:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#6:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図33は、実施形態12の第3の方法のフローチャートである。ステップ1〜6は、ボックス3310、3320、3330、3340、3350、および3360に示される。
実施形態12により教示される第4の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#3:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを洗浄する。
ステップ#4:エッジングされたレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#5:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#6:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#7:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図34は、実施形態12の第4の方法のフローチャートである。ステップ1〜7は、ボックス3410、3420、3430、3440、3450、3460、および3470に示される。
実施形態12により教示される第5の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:ステップ#2:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを洗浄する。
ステップ#3:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#4:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#5:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#6:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#7:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図35は、実施形態12の第5の方法のフローチャートである。ステップ1〜7は、ボックス3510、3520、3530、3540、3550、3560、および3570に示される。
実施形態12により教示される第6の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを洗浄する。
ステップ#3:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#4:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#5:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#6:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#7:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図36は、実施形態12の第4の方法のフローチャートである。ステップ1〜7は、ボックス3610、3620、3630、3640、3650、3660、および3670に示される。
実施形態12により教示される第7の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#3:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを洗浄する。
ステップ#4:加熱要素が適用される予定である、フォトクロミックレンズの表面上にSiO2層を適用する。
ステップ#5:エッジングされたレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#6:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#7:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#8:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図37は、実施形態12の第7の方法のフローチャートである。ステップ1〜8は、ボックス3810、3820、3830、3840、3850、3860、3870、および3880に示される。
実施形態12により教示される第8の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを洗浄する。
ステップ#3:加熱要素が適用される予定である、フォトクロミックレンズの表面上にSiO2層を適用する。
ステップ#4:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#5:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#6:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#7:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#8:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図38は、実施形態12の第8の方法のフローチャートである。ステップ1〜8は、ボックス3810、3820、3830、3840、3850、3860、3870、および3880に示される。
実施形態12により教示される第9の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを洗浄する。
ステップ#3:加熱要素が適用される予定である、フォトクロミックレンズの表面上にSiO2層を適用する。
ステップ#4:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#5:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#6:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#7:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#8:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図39は、実施形態12の第9の方法のフローチャートである。ステップ1〜8は、ボックス3910、3920、3930、3940、3950、3960、3970、および3980に示される。
実施形態12により教示される第10の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#3:加熱要素が適用される予定である、フォトクロミックレンズの表面上にSiO2層を適用する。
ステップ#4:エッジングされたレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#5:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#6:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#7:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図40は、実施形態12の第10の方法のフローチャートである。ステップ1〜7は、ボックス4010、4020、4030、4040、4050、4060、および4070に示される。
実施形態12により教示される第11の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:加熱要素が適用される予定である、フォトクロミックレンズの表面上にSiO2層を適用する。
ステップ#3:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#4:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#5:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#6:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#7:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図41は、実施形態12の第11の方法のフローチャートである。ステップ1〜7は、ボックス4110、4120、4130、4140、4150、4160、および4170に示される。
実施形態12により教示される第12の方法は以下のとおりである。
ステップ#1:着用者の必要な屈折力を備えるフォトクロミックレンズを提供する。
ステップ#2:加熱要素が適用される予定である、フォトクロミックレンズの表面上にSiO2層を適用する。
ステップ#3:エッジングされていない仕上げレンズに加熱要素を備える熱管理システムを適用する。
ステップ#4:加熱要素の外側表面上に傷防止コーティングを適用する。
ステップ#5:全てではないが所定の事例において、反射防止コーティングを適用する。
ステップ#6:着用者によって選択された眼鏡フレームの形状にフォトクロミックレンズをエッジングする。
ステップ#7:加熱要素のプラス極およびマイナス極をエネルギー源に電気的に接続する。
図42は、実施形態12の第12の方法のフローチャートである。ステップ1〜7は、ボックス4210、4220、4230、4240、4250、4260、および4270に示される。
実施形態12の上述の開示される第12の方法の場合、ステップは、列挙された順に実行されなければならない。他の実施形態において、他の順が使用されてもよい。
熱管理システムの適用は、眼鏡販売店の現場の眼鏡加工所、大規模眼鏡加工所、または必要な蒸着および電子機器を備える独立した施設によって提供することができる。
本明細書に開示される光学要素は、仕上げレンズブランクまたは半仕上げレンズブランクにすることができることを理解されたい。レンズは、仕上げレンズ、すなわち、着用者によって要求される屈折力に処理または製造されているレンズにすることができる。半仕上げレンズブランクの場合、ブランクは、最終の屈折力または要求される処方を達成するように、表面加工および研磨、または自由形状またはデジタル的に表面加工されている。これに続いて、エッジングされ、加熱要素を可能にするために必要な電子部品を備える眼鏡またはアイウェアのフレームに取り付けられる。電子部品が加熱要素以外のレンズの外側に位置する場合、眼鏡内部に収容された電子部品は、レンズまたはレンズブランク内部に位置する加熱要素に電気的に接続されなければならない。所定の他の事例において、電子部品は全て、光学要素、レンズ、またはレンズブランク内部に組み入れることができる。レンズブランクは、度の入っていないレンズを含む、着用者のために必要な任意の眼科処方に処理することができる。
フォトクロミック用品の光学基材として使用するために適切な光学要素または光学基材は、例のみとして、(a)技術分野で周知のプラスチック光学基材のいずれかを含むことができ、ガラス等のプラスチック以外の基材を含むことができる。プラスチック光学基材の適切な例として、例のみとして、Mitsui Corporationの商標であるMR7、MR8、MR10製品、PPG Industries,Inc.によって商標CR.RTM.−39の下で販売されるモノマーである、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)等のアリルジグリコールカーボネート等のポリオール(アリルカーボネート)モノマー;PPC Industries,Inc.によるTRIVEX.RTMの商標の下で販売されている1つのそのようなポリマーの複合物である、例えば、イソシアネート機能ポリウレタンプレポリマーおよびジアアミン硬化物質の反応によって調整される、ポリウレア‐ポリウレタン(ポリウレアウレタン)ポリマー;ポリオール(メス)アクリロイルを末端導入したカーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エソキシ化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エソキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコール・ビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;商標LEXANの下で販売されている材料等、ビスフェノールAおよびホスゲンから得た炭素連鎖樹脂等の熱可塑性ポリカーボネート;商標MYLARの下で販売されている材料等のポリエステル;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;商標PLEXIGLASの下で販売されている材料等のポリ(メチルメタクリレート)、および多官能性イソシアン酸を、ポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーと反応させ、ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、および任意選択的にエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化された芳香族含有ビニルモノマーでホモポリマー化または共および/または三元ポリマー化のいずれかで調整されたポリマーを含むことができる。また、例えば、浸透網製品を形成するために、このようなモノマーの共重合体、および記載されたポリマーおよび共重合体の他のポリマーとの混合も検討される。
実施形態の光学用品に使用されるフォトクロミック材料は、上記のように膨潤によって光学基材に添加することができる。加えて、フォトクロミック剤は、例のみとして油によって液体内部で微細にカプセル化することができ、外側のポリマーシェルによって包囲することができる。代替として、フォトクロミック材料は、光学基材の表面上の少なくとも部分的なフォトクロミックコーティングを形成するために、コーティング組成物として光学基材に適用することができる。従来のフォトクロミックコーティングの非制限例として、上記に詳細を記載する従来のフォトクロミック化合物のいずれかを備えるコーティングが挙げられる。例えば、本明細書において非制限ではあるが、フォトクロミックコーティングは、米国特許第6,187,444号に記載されるようなフォトクロミックポリウレタンコーテイング;米国特許第4,756,973号、第6,432,544号、および第6,506,488号に記載されるようなフォトクロミックアミノプラスト樹脂コーティング;米国特許第4,556,605号に記載されるようなフォトクロミックポリシランコーティング;米国特許第6,602,603号、第6,150,430号、および第6,025,026号、ならびにWIPO公開WO第01/02449号に記載されるようなフォトクロミックポリ(メス)アクリレートコーティング;米国特許第6,436,525号に記載されるような無水物フォトクロミックコーティング;米国特許第6,060,001号に記載されるようなフォトクロミックポリアクリルアミドコーティング;米国特許第4,756,973号および第6,268,055号に記載されるようなフォトクロミックエポキシ樹脂コーティング;ならびに米国特許第6,531,076号に記載されるようなフォトクロミックポリ(ウレア‐ウレタン)コーティングにすることができる。前述の米国特許および国際公開の明細書は、本明細書に参照により具体的に組み入れる。
本明細書に開示される多様な実施形態では、フォトクロミック剤は、任意のフォトクロミック剤(単数または複数)にすることができることを理解されたい。これらの物質、ならびにそれらの化学および材料構成は、よく知られ、文献に記載される。このようなフォトクロミック剤は、例のみとして、当業者には周知の任意のフォトクロミック化合物であってもよいフォトクロミック剤である。「フォトクロミック剤」という用語は、本技術分野においてその通常の意味が与えられ、光に暴露すると色の可逆変化を示す任意の化合物を言及する。いくつかの事例において、光は紫外線、およびまたは長波長の青色光である。フォトクロミック剤は、以下の分類の材料を含む:クロメン(例えば、ナフトピラン、30ベンゾピラン、インデノナフトピラン、フェナントロピラン)、スピロピラン(例えば、スピロ(ベンジンドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピラン、スピロ(インドリン)ピラン、オキサジン(例えば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンジンドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンジンドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリンベンゾオキサジン)、水銀ジチオゾネート、フルギド類、フルギミド類等、またはこれらの組み合わせ。特定の実施形態において、フォトクロミック剤は、6’−(2,3ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル1−I−プロピル−スピロ[2H−インドール−2,3’−(3H)ナフタ(2,1−b)(1,4)オキサジン、スピロ−ナフトオキサジンである。
本明細書に使用される場合、「フォトクロミック量」は、活性化されると裸眼で識別できるフォトクロミック効果を生成するに少なくとも十分である、フォトクロミック剤の量を意味する。重合性混合物中のフォトクロミック剤の色濃度は、フォトクロミック化合物質のフォトクロミック効率、フォトクロミック化合物(例えば、重合化可能な材料中)の溶解度、材料または用品(例えば、レンズ)の厚さ、および光に暴露したときに材料または用品(例えば、レンズ)の所望される色濃度等、いくつかの検討事項に基づいて選択されてもよい。典型的に、用品に組み入れるフォトクロミック剤が多ければ多いほど、所定の限界まで、色密度は大きくなる。一般に、それ以上フォトクロミック剤を追加しても、識別可能な効果を有さないという点が存在する場合がある。重合性混合物または用品は、2つ以上のフォトクロミック剤を含んでもよい。加えて、用品または材料中のフォトクロミック剤の濃度は、本明細書に記載するように、用品の異なる場所で変動してもよい。最後に、いくつかの実施形態において、異なるスペクトルを有する異なるフォトクロミック剤を提供することが可能である。これは、発色および消色効果の速度を高めることに加えて、最終のemPower!仕上げのレンズの色を変更することを可能にすることができる。
フォトクロミック剤は、層(単数または複数)内部、光学要素に近接または隣接して見出される、あるいは光学要素内部に埋め込むことができる。フォトクロック剤を含む層(単数または複数)または光学要素は、適切なTG(ガラス転移温度または材料軟化点)および最適または所望される熱感受性を提供する材料で加工することができ、それによって最適な性能を提供する。多様なTGを有する材料は、本業界内部では周知で、文献に教示される。実施形態は、30℃〜140℃、好ましくは50℃〜100℃の範囲のフォトクロミックポリマー母材TG(フォトクロミック層または光学要素の)を検討する。これは、プラスの様式で所望されるフォトクロミック性能を変更するように熱を提供するために好ましいだけではなく、所望されるレベルでフォトクロミック活性化または非活性化のレベルを維持するように、所望されるフォトクロミック性能に到達すると熱を除去するために好ましい。例のみとして、屋内で薄い着色または透明化した状態に加熱すると、加熱要素は、電池または電力を節約するためにオフになる。屋外に移動するとき、加熱器が使用される場合、最初は、加熱要素が、色あせが発生する点まで母材を加熱しないことが好ましい。
これは、戸内(屋内)から戸外(屋外)へ移動する場合には必ずそうであり、戸外から戸内へ移動するときはそうでもない。戸内から戸外へ移動するときに加熱要素または部材をオンにすることによって、フォトクロミック剤および/または光学要素の発色は高速化され、ピーク色濃度が達成された直後または直前に加熱要素がオフにされると想定すると、このピーク色濃度を維持する。ほとんどの戸内環境において、フォトクロミック着色は、可能な限り除去されることが所望される。したがって、再び戸外から戸内へ移動すると、加熱要素または部材はオンになるが、戸内環境を考慮すると、加熱要素または部材の切り替えはあまり時間に依存しない。しかし、実施形態で上記に示したように、戸内から太陽光の戸外へ移動時、発色したフォトクロミック状態に迅速に切り替えることだけではなく、発色したフォトクロミック状態のレベルを維持し、さらにこの状態がさらに発色することを見ることさえ所望される。このように、この外部環境において、加熱要素がオンになるが、所定のレベルの発色または光遮断のレベル後にオフになり、加熱要素は、フォトクロミック剤および/またはフォトクロミック部室を収容する材料の化学構造が、フォトクロミック剤が、その後、このレベルでそのフォトクロミック活性を安定化する、またはこのレベルからそのフォトクロミック活性または遮断を増加することを可能にすることができるようにオフになる。
本明細書に開示される実施形態は、例のみとして、(より迅速に消色するようになる、より長期間にわたってピーク発色を維持する、より迅速に消色して戻る)ことによって、フォトクロミック活性の加速化機能として作用する。これは、1)加熱要素、2)加熱要素をオンおよびオフする適切なタイミングに3)適切なフォトクロミック化学構成および4)フォトクロミック剤を収容する適切な材料TGを組み合わせて達成される。センサ(単数または複数)、タイマー(単数または複数)、コントローラ(単数または複数)のうちの1つ以上は、その目的とする使用のためにフォトクロミック光学要素の最適化を可能にすることを助ける。
フォトクロミック剤を収容する材料のTGが低ければ低いほど、レンズは、屋内から屋外、およびこの反対の両方でより迅速に変化することが知られている。問題は、高い屋外熱においてより低いTGの材料は、その最大のピーク色濃度を保持しないことである。本明細書に開示される実施形態は、以前に可能であったよりもはるかにより迅速に、レンズまたは光学要素に発色および消色効果を提供する能力を可能にする。高温環境で色あせし、そのために発色効果が低下するフォトクロミック剤を収容する低いTGの材料とは対照的に、本明細書に開示される実施形態は、フォトクロミック剤の発色または消色を迅速に切り替えまたは変化する一方、高温屋外環境でピーク最大色濃度を保存するために、より高いTGの材料の使用を可能にするように、加熱要素の適用を通じて独自の方法を提供する。
これは、本明細書に開示される教示の好ましい態様である。現在のフォトクロミック製造者は常に、用品の高分子母材TGと同一用品の屋内でのフォトクロミック切り替え時間との受容可能なバランスを見出すために努力している。実施形態は、例のみとして、眼鏡レンズ等、屋内および屋外で使用される市販されている製品に提供されているよりも高いTGを使用することを可能にする。フォトクロミック剤(単数または複数)を含む現在市販されている高分子母材のTGは、40℃〜80℃範囲である。本明細書に開示される実施形態は、屋外および屋内でより迅速な切り替え時間を提供しながら、80℃〜90℃以上の高分子母材のTGを可能にする。これらの材料のTGを用いると、フォトクロミック着色の色あせは、現在市販されているフォトクロミックレンズと比較するとより高温で発生する。このため、温度に対する感度が低く、より高い周囲温度でより色濃度が高く、かつより長期間持続する着色を可能にする。
例のみとして、既存のフォトクロミック材料のTGが50℃/122Fである場合、40℃/104Fの内部母材温度(屋外周囲ではない)で色あせが始まる可能性がある。実施形態は、例のみとして、80℃/176FのTG材料の使用を可能にし、このために40℃/104Fと比較すると70℃/158Fのより高い内部母材温度で色あせが開始する。明確化のために、周囲屋外温度(例のみとして)が95F/35℃であっても太陽光の屋外にいる場合、内部高分子母材の温度は、95F/35℃をはるかに超えるようになることに注意されたい。ここでも、実施形態が、他の市販されかつ受容可能なフォトクロミック製品より高いTGを備える母材材料の使用を可能にする理由は、加熱要素が、フォトクロミックの消色、これにより屋内でフォトクロミック着色の高速の透明化を可能にする、母材材料を加熱する能力を提供するためである。このより高いTG材料と加熱要素を組み合わせることで、屋外でより色濃度が高く、温度依存が少ないフォトクロミック着色および屋内のより高速の透明化が可能になる。
より高いTG材料を利用する所定の実施形態において、加熱要素は、屋内から屋外へ移動するときに、短時間オンになる。加熱要素は、例のみとして、UV光レベルの変化、UV光のレベル、および/または可視光レベル、周囲温度のレベル、周囲温度の変化のうちの1つ以上を感知するセンサ(単数または複数)に応答してコントローラによってオンになるように命令することができる。加熱要素は、高いTG材料がフォトクロミック剤(単数または複数)の移動性を増加する軟化を開始するために、フォトクロミック層を加熱する。この実施形態において、加熱は、色あせ開始が発生するレベルまで進まないことが好ましい。このため、加熱器は、既定の時間にオンになってから、次いでオフになる、または熱センサが、フォトクロミック層がそのTG未満の所定の温度に到達した後にオフになるように注意深く制御される。この一時的加熱の結果は、フォトクロミック剤(単数または複数)の発色を高速化する、より高いTGの材料が可能になることである。いったん発色すると、より高いTGの材料は、はるかに温度に対する感度が低く、したがって、より低いTG母材に比較すると、その色濃度をより長時間かつより高い屋外温度で維持する。
屋外から屋内に再び入ると、加熱要素は再びオンになるが、これは、より高いレベルへおよび/またはより長期間にわたって加熱するためであり、かつ層または光学要素がほぼ透明または消色状態まで色あせするその軟化点近辺または軟化点までフォトクロミック層を加熱するためである。ここでも、例のみとして、UV光レベルの変化、UV光のレベル、および/または可視光レベル、周囲温度のレベル、周囲温度の変化のうちの1つ以上を感知するセンサ(単数または複数)は、その後、屋外から屋内へ移動するときに加熱器をオンにするように、コントローラと通信することができる。また、同じセンサは、レンズまたは光学要素が消費者または着用者にとって受容可能なレベルまで色あせすると、加熱器をオフにすることができる。加熱器がオフになる点もまた、例のみとして、タイマー、UVセンサ、可視光センサ、熱センサのうちの1つ以上によって制御することができる。加えて、熱偏光層もまた、同じセンサ、タイマー、および/またはコントローラのうちの1つ以上によって、熱的にオンに切り替え、およびオフに切り替えることができる。熱スイッチは、加熱要素および/または冷却要素によって活性化することができる。
以下は、現在市販されているフォトクロミック製品の多様なTG範囲、発色および透明化時間を示す表である。
*実施形態は、フォトクロミック着色の透明化の屋内時間を1分未満、30秒未満にまで高速化することができることを指摘したい。透明化の速度は、母材のTGおよびフォトクロミック層へより高温を提供する加熱要素に依存して、さらに迅速に高速化することさえ可能である。より低いTG母材は、熱の適用とともに、より高いTG母材よりもはるかに速く透明化する。また、60℃を超える加熱温度を提供することによって、例のみとして、50℃の加熱温度よりもはるかに速くフォトクロミック着色の透明化を高速化する。
所定の実施形態において、より高いTG母材および加熱要素に加えて、冷却要素または層が提供される。これは、このような実施形態の高分子母材TGが色あせ点を下回る温度でより長時間留まり続けることを可能にし、それによって、フォトクロミック用品またはレンズが、より高い色濃度、かつより高い温度安定性であることを可能にする。
例のみとして、自動車または車両のフロントガラスの後ろでフォトクロミック眼鏡を着用すること等、所定の用途または適用において、通常、眼鏡のフォトクロミック活性または濃色のレベルは、車両のフロントガラスが紫外線波長をカットすることに起因して、全ての実用目的において、いくらか作用する場合であっても、非常に低い。実施形態を利用し、加熱要素をオンにすることによって、このような実施形態は、フォトクロミック剤を、より高感度にし、UV光だけではなく、例のみとして、自動車または車両のフロントガラスによって完全にカットされない長波長の青色光等のより長い光波長に対しても活性化させる。加えて、熱的に切り替え可能な偏光要素または層も提供される場合、加熱要素は、偏光要素または層を熱的にオンに切り替えるために使用することができ、それによって反射光を削減する。熱的に切り替え可能な偏光要素または層は、フォトクロミック層または光学要素と組み合わせて、あるいはフォトクロミック層または光学要素を含まずに使用することができる。フォトクロミック剤(単数または複数)が適切に活性化または発色できない所定の実施形態において、熱的に切り替え可能な偏光要素は、眩輝または反射光の削減によって、人の眼に快適性を提供する。熱は、太陽光またはUV光がない場合に、本明細書に教示される加熱要素によって、熱的に切り替え可能な偏光要素を切り替えるために提供することができる。例のみとして、車内の空調システムが作動している間に自動車のフロントガラスの後ろで使用するために、熱が、加熱要素によって延長された時間適用されることが必要である場合、いくつかの実施形態は、例のみとして、自動車のシガーライターに、電気フォトクロミックアイウェアを差し込むことを提供する。これは、電子フォトクロミックアイウェア内部に収容された電池の充電を失わないことを可能にする。したがって、自動車または車両内で(フロントガラスの後ろで)フォトクロミック眼鏡を着用するとき、加熱要素をオンおよびオフの組み合わせによって、電子フォトクロミック眼鏡の性能を大幅に強化することが可能である。
この実施形態において、電気または電気機械スイッチは、戸外から戸内または戸内から戸外へ移動することを感知し、反応することから、例のみとして、車両のUVカットフロントガラスの後ろの戸内にいるときに加熱要素をオンにするように、眼鏡および/またはコントローラを切り替えるために提供される。スイッチは、手動スイッチ、タッチスイッチ、キャパシタスイッチ、光スイッチにすることができる。UVおよび/または長波長の青色光カットフロントガラスの後ろでフォトクロミック眼鏡またはアイウェアを着用するというこの特定の用途/適用の場合、加熱要素は、より頻繁にオンおよびオフにされるか、あるいは戸内から戸外または戸外から戸内へ移動することに関わる実施形態時より長時間オンのままにされる。これは、全てではないが所定の事例において、フォトクロミック剤の適切な感度を、UVカットフロントガラスの後ろで長波長のUV光波長に維持するために、および/または該当する場合、熱的に切り替え可能な偏光要素または層をオンに切り替えるために、交互の様式において、熱がより長時間適用されなければならないために実行される。本特許明細書において、#1)より長時間にわたって、または#2)交互の様式において、熱が適用されるかどうかを検討する際、#1または#2のいずれかのために適用される熱は、熱エネルギーの急激な爆発、または熱エネルギーの一連の爆発の形式であり得る。
コントローラは、この作用機構の命令を提供するようにプログラムされる。全てではないがほとんどの事例において、コントローラは、熱センサ、光センサ、およびUVセンサのうちの1つであるセンサから通信を受ける。コントローラはまた、所定の事例において、例のみとして、タイマーが、連続時間にわたってまたは指定時間中オンおよびオフをサイクルするために使用されるか、あるいはフォトクロミック剤を含む光学要素の基材材料の温度を考慮しながらタイマーが、連続時間にわたってまたは指定時間中オンおよびオフをサイクルするために(オン、オフ、オン、オフ等)使用されるか、タイマーを制御することができる。タイマーは、光学要素等を通過する光透過レベルを考慮しながら、連続時間にわたって、または指定時間中オンおよびオフをサイクルするために使用される。タイマーは、コントローラと通信してもよく、またはしなくてもよい。
ほぼ透明な加熱要素は、層(単数または複数)内部、または可変着色要素または剤に隣接して位置することができる。好ましい実施形態において、加熱要素は、使用者の眼に最も近接して、または入射UV光および長波長の青色光から最も遠くにフォトクロミック剤を含む層または光学要素の側に位置する。別の好ましい実施形態において、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の各側面上に1つあるように、2つの加熱要素が使用される。また別の実施形態において、1つの加熱要素は、フォトクロミック剤を備える層または光学要素の側に、かつ入射UVおよび/または長波長の青色光に最も近接して位置する。温度が5℃増加すると、フォトクロミック分子の相互変換率を、25%〜80%、好ましくは35%〜65%増加させることができることが知られている。加熱要素は、例のみとして、0.1〜5.0ジュール/分の範囲、好ましい範囲として0.1〜2.0ジュール/分の範囲の熱エネルギーを提供することができ、1℃〜25℃、より好ましくは7℃〜10℃の範囲内の温度の上昇を導く。眼鏡適用の場合、レンズあたり1.2ジュールは、10℃の温度上昇を提供した。加熱要素は、予めプログラムされた時間が決められた順次の電気爆発を提供し、それによって順次の加熱の熱爆発を生じるように、マイクロプロセッサによって制御することができる。爆発は、定義された期間維持することができるか、または急激な一連の短時間爆発であるように順次に発生することができる。実施形態は、着用者が加熱要素を手動でオンおよびオフすることができるように、加熱要素の手動制御も検討する。手動で制御される加熱要素を使用する場合、加熱要素はここでも、オフになるまで、順次の一連の爆発または持続する爆発を提供するようにプログラムすることができる。
加熱要素は一般に、フォトクロミック剤を含む層、母材、または光学要素の温度を1℃〜25℃の温度増加させることができる。70Fの室周囲温度を上回る温度の10Cの増加は、トランジションズ(Transitions Opticalによって製造される)のようなフォトクロミックレンズの透明化を高速化する上で顕著な効果を有することができる。例のみとして、これは特に、屋外周囲温度が70F未満のように低い場合にそうであり、屋外周囲温度が32F以下の冬季にはさらに明らかである。これらの屋外温度環境において、フォトクロミック用品は、時間と共に、屋外周囲温度となる。このより低い温度によって、次いで、フォトクロミック用品が屋内に移動する場合に透明化にさらに長い時間がかかるようになる。このように、これらの温度条件下では、加熱要素は、屋内に移動する際に、フォトクロミック着色の透明化または消色を高速化することに関して、より強力な効果を有する。
コントローラは、光学要素内部、または光学要素の表面上、または光学要素の外部に位置することができる。光センサまたは検出器は、最初に戸内から戸外、または戸外から戸内へ移動する際に、加熱要素をオンにするように、光透過率の変化を感知する。コントローラは、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の温度が、1℃〜25℃上昇すると、加熱器をオフにすることができる。屋内から屋外へ移動する際、コントローラは、光透過率が50%未満の光透過率に低下することをセンサが感知すると、加熱器をオフにすることができ、戸外から戸内へ移動する際、コントローラは、光透過率が80%の光透過率を超えて増加することをセンサが感知すると、加熱要素をオフにすることができる。所定の実施形態において、UV光のレベルを感知し、それによって、コントローラが加熱要素をオンおよびオフにするようにコントローラに通信するために、UVセンサも提供される。長波長UVおよび青色光センサ(380〜480ナノメートル)の使用は、屋内から屋外、および屋外から屋内へ移動する際に非常に有用である。全てではないがほとんどの事例において、センサは、UV光、長波長青色光透過率が5%〜30%の範囲内で変化すると、コントローラに(直接的または間接的に)通信する。センサが使用される場合、UVセンサは、必ずではないが通常、入射UVおよび長波長青色光に最も近接して位置するフォトクロミック剤の側、かつ使用者の眼から最も遠くに位置する。
タイマーは、コントローラの一部、またはコントローラとは別にすることができる。コントローラとは別の場合、タイマーは、光学要素内部、または光学要素の表面上、または光学要素の外部に位置することができる。タイマーという用語は、コントローラの内部またはコントローラの外部に関わらず、任意のタイミング要素、機構、またはソフトウェアであり得ることを理解されたい。タイマーは、熱センサが、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の1℃〜25℃の範囲内の温度上昇を感知すると、1ミリ秒〜5分の時間後に、加熱要素をオフにするように通信することができる。タイマーは、それぞれが所望される熱効果を有する温度のピークになる、熱エネルギーの迅速な順次または一連の短い爆発も提供することができる。
センサは、光学要素内部、または光学要素の表面上、または光学要素の外部に位置することができる。センサは、光センサまたは光検出器、熱センサ、UV光センサ、長波長青色光センサにすることができる。好ましい実施形態において、光センサまたは光検出器は、フォトクロミック剤を含む層または光学要素の後ろに位置する。別の好ましい実施形態において、光センサは、上方から入る周囲光を測定するように、上に面して提供される。これは、周囲光の程度または密度を測定することを可能にする。この場合、フォトクロミック剤(単数または複数)を含むレンズまたは光学要素を通じて入る光と対向することで、光センサは、屋内光の密度と屋外光の密度との間の違いを感知することができる。デバイスが屋外または屋内にあるかどうかを感知して知ることにより、コントローラは、加熱器および熱管理システムをいつ活性化するかを知ることになる。光センサは、UV光センサ、および/または可視光センサにすることができる。必要な場合、複数の光センサを使用することもできる。
熱センサが使用される場合、熱センサは、加熱要素、光学要素、フォトクロミック層、またはフォトクロミック光学要素のうちの1つ以上の温度レベルを感知する。所定の温度に到達していることを感知すると、コントローラは次いで、加熱要素または部材をオンまたはオフにし、および/または加熱要素の熱を増加または減少することができる。熱センサは、フォトクロミック剤を含む層または光学要素のいずれかの側部に位置することができる。熱センサは、光センサに加えて利用することができる。別の好ましい実施形態において、熱センサは、フォトクロミック層に隣接して位置する。電気エネルギーを提供する電源は、光学要素内部、または光学要素の表面上、または光学要素の外部に位置することができる。電源は、(例のみとして)充電式電池(単数または複数)、非充電式電池(単数または複数)、太陽電池(単数または複数)、燃料電池(単数または複数)、運動エネルギー源(単数または複数)のうちの1つ以上にすることができる。注意:所定の実施形態において、電源および/または電気構成部品は、眼鏡フレームの構成要素(単数または複数)内部またはその上に位置し、他の実施形態において、電源は眼鏡レンズ内部に位置し、さらに他の実施形態において、電源は、眼鏡フレームおよびレンズ両方の内部に位置する。
1つの好ましい実施形態において、エネルギー、感知、制御、およびタイミングを適切に提供するために必要な電子部品は全て、眼鏡フレームのテンプル内部に収容されるモジュール内部に位置する。別の好ましい実施形態において、所定の電子部品は、眼鏡フレームのテンプル内部に収容されるモジュール内部に収容され、所定の電子部品は、レンズ上またはレンズ内、あるいは眼鏡フレームの表面上のいずれかにあるモジュールの外部に位置する。
図14および15のまた別の好ましい実施形態において、自立型外部電子部品モジュールは、眼鏡フレームの内部テンプル上に固定される。これを固定することができる様式は、例のみとして、磁気、接着剤、ベルクロ(Velcro)、ネジ、機械式圧力または力等、任意の手段にすることができる。この実施形態において、自立型電子モジュールは、全ての(またはほとんどの)必要な電子部品を含み、外部環境に対して高度に耐湿障壁を提供する。自立型外部電子モジュールは、自立型モジュール内部に収容される光センサも備え、透明であるが、周囲光のレベルを感知するためにこれも自立型モジュールの一部として位置する耐湿密閉窓を通じて感知するように位置する。センサは、UVセンサ、および/または可視光センサにすることができる。
自立型外部電子モジュールは、自立型外部モジュールから突出する可撓性である絶縁部材を備え、かつ、外部に高度に耐湿電子モジュール内の電子部品とも(直接的または間接的に)接続する2つの電気リードを備える。この可撓性部材(例のみとして、絶縁電気可撓性ケーブル)が自立型外部モジュールに入るまたは接続される様式は、ここでも、密閉耐湿接続を提供する。2つの電気リードは、自立型外部電子モジュールから最も遠い可撓性部材の末端の外に突出する。これらの2つの電気リードは次いで、電子フォトクロミックレンズ内に含まれる加熱要素に接続され、これによって、必要な電源を提供する。
図14および15のこの好ましい実施形態は、非電子眼鏡フレーム、すなわち、電子部品を含まない眼鏡フレームに電子フォトクロミックレンズを付設することを可能にする。自立型外部高耐湿、耐塩、および耐汗電子モジュールを電子部品および/または電子接続を全く有さない眼鏡フレームのテンプルに固定することによって、この好ましい実施形態は、非電子眼鏡フレーム内部に収容されるフォトクロミックレンズ内部に位置する加熱要素に必要/要求される電源および電気接続を提供する。これは、フォトクロミックレンズへの電気接続を維持しながら、眼鏡フレームテンプルが開閉することを可能にする絶縁可撓性部材を備える眼鏡フレームのヒンジを通過することによって達成される。図14は充電式電池源を示すが、このような電池は非充電式であり得るか、または電源(電池の代わりに)は、例のみとして、燃料電池および/または太陽電池、あるいは充電式電池、非充電式電池、燃料電池、太陽電池、運動エネルギー源のうちの1つ以上の任意の組み合わせであり得ることを指摘したい。
[液晶可変着色要素を使用する実施形態]
液晶セル内部の高分子をそのTG以上および以下で熱的に制御することによって、液晶は、セルが電源要件の観点から双安定型セルおよび液晶配向の観点からマルチ安定型配向セルになるように、有効に制御することができる。本明細書に使用される場合、マルチ安定型配向とは、液晶の所定の配向を達成すると、液晶が、位置に有効に凍結またはその位置から解放されることができるように、液晶を制御することを意味する。例のみとして、高分子の温度が高分子のTG以上であり、かつ電位が液晶整合または位置決めを再配向するように液晶セルに任意の量印加された後、その整合または位置決めをさらに変更するために、またはそのより早期の位置を再確立するために、液晶の新しい整合または位置を、高分子の温度をそのTG未満に低下させることによって凍結することができ、その後、高分子の温度をそのTG以上に上昇させることによって解放することができる。さらに、液晶が凍結した後、電位を除去することができ(電源を切断)、液晶は、その凍結した整合または位置のままになる。
このように、実施形態の属性は、例のみとして、#1)双安定型(オンおよびオフ)、#2)マルチ安定型液晶配向、#3)液晶の屈折率を選択的に調整、#4)複屈折を選択的に調整、#5)全てではなくても、ほとんどの液晶を双安定型にする、#6)電力節約、これによって電力効率を高める、#7)液晶漏れおよび機能を破壊または損なう恐れなく液晶が凍結(高分子のTG未満)するときに成形することが可能、#8)各々が異なる所望される液晶整合または位置決めを有する液晶を備える複数の異なる領域を有する液晶デバイスを作成し、該領域間の壁を用いても用いなくてもこれを実行することが可能、#9)屈折勾配を作製する手段を提供、#10)より広い温度範囲にわたってメモリデバイスの強力安定性を増加する手段を提供、#11)メガヘルツレベルを維持しながら、各ピクセルのメモリストレージを増加またはより速い速度を提供し、これによって、スイッチ速度またはレートを不当に犠牲にすることなく、帯域幅を増加、のうちの1つ以上を提供することができるデバイスを作製することを可能にする。
本明細書に開示される実施形態は、高分子を含む液晶セル(単数または複数)を可能にし、液晶が双安定型であり、液晶セルの双安定性が、高分子の温度を高分子のTG以下、または以上等に制御することによって、大部分制御される。これらの実施形態は、液晶セル内部の高分子をそのTG以上および以下に熱的に制御することをさらに提供することができる。これは、セルが電源の観点からは双安定型セルおよび液晶配向の観点からはマルチ安定型セルになるように、液晶が有効に制御されることを可能にする。本明細書に使用される場合、マルチ安定型とは、液晶の所定の配向を達成すると、液晶が、位置に有効に凍結またはその位置から解放されることができるように、液晶を制御することを意味する。例のみとして、高分子の温度が高分子のTG以上であり、かつ電位が液晶整合または位置決めを再配向するように液晶セルに任意の量印加された後、その整合または位置決めをさらに変更するために、またはそのより早期の位置を再確立するために、液晶の新しい整合または位置を、高分子の温度をそのTG未満に低下させることによって凍結することができ、その後、高分子の温度をそのTG以上に上昇させることによって解放することができる。さらに、液晶が凍結した後、電位を除去することができ(電源を切断)、液晶は、その凍結した整合または位置のままになる。
適用およびそのために使用される液晶のタイプに応じて、例のみとして、コレステリックまたは空気圧式、双安定性は、高分子のTG未満の場合は液晶を一配向および/または整合、ならびに高分子のTG以上の場合は異なる配向および/または整合に安定させる高分子によって達成される。本明細書に使用されるモノマー安定化液晶という用語は、高分子安定化液晶であり得る。
整合は、整合層(単数または複数)によって大きく影響される。例のみとして、所定の実施形態において、高分子安定化液晶を安定させる高分子の温度が高分子のTG以上であるとき、電位が印加される。電位は、液晶の所定の配向および/または整合を提供する。高分子安定化液晶を安定させる高分子の温度が高分子のTG未満に低下すると、電位を除去することができ、液晶は、電位が印加された時点の配向および/または整合に固定または凍結される。液晶の配向および/または整合の変化が所望される場合、高分子安定化液晶を安定させる高分子の温度を高分子のTG以上に上昇させる。この温度に到達すると、電位は、液晶の配向または整合を変更するために再印加することができる、または印加されなくてもよい(いずれか所望されるほう)。
このような液晶の配向および/または整合は、液晶の屈折率に影響することを指摘しない。このように、双安定性は、電位と電位なしとの間のスイッチ、電位を提供するための電源をオンおよびオフにすること、2つの状態の間で液晶の配向および/または整合を変化させること、整合されているのと整合されていない(混乱している)との間で液晶の整合を変化させること、2つの状態の間で液晶の屈折率を変化させること、2つの状態の間で複屈折を変化させること、2つの状態の間で高分子安定化液晶セルを通過する液晶の透過率を変化させること、および液晶が1つの配向および/整合に固定または凍結する状態に比較して液晶が自由に移動することができる異なる状態のうちの1つ以上を提供することができる。
本明細書に開示される実施形態は、高分子安定化液晶セルを生成するために、(例のみとして)#1)モノマー安定化液晶、および/または#2)高分子安定化液晶を電子セル内に沈着することを可能にする(図43を参照)。好ましい実施形態において、3つの電極が利用され、そのうちの2つは、Z軸の電位の生成を提供し、1つは、X軸の電位を生成することができる。別の好ましい実施形態において、4つの電極が利用され、そのうちの2つは、Z軸の電位の生成を提供し、そのうちの2つは、X軸の電位を生成することができる。3つまたは4ついずれかの電極を使用する目的は、液晶分子を1方向に整合させ、それによって、濃い色を提供し(光透過率が少ない)、次いで、例のみとして、Z軸に沿って電位を維持しながら、次いで、分子の液晶整合を凍結するために高分子の温度を高分子のTG未満に低下させて、電位が生成できるようにすることである。温度が高分子のTG未満になると、電位を除去する。色を薄く(光透過率を増加)することが所望される場合、温度を高分子のTG以上に上昇させ、(例として)X軸に沿って電位を生成させ、この次の液晶の分子整合が発生すると、温度を高分子のTG未満に低下させてから、次いで、電位を除去し、それによって、薄色(光透過率を増加)を提供するように液晶分子を凍結させる。
電子セル内部にモノマー安定化液晶を沈着させる場合、モノマー安定化液晶は、例のみとして、光および/または熱によって硬化し、モノマーが高分子になる。硬化された後、高分子安定化液晶セルは、熱的に制御、プログラム、および再プログラムすることができる。高分子安定化液晶を電子セルに沈着する場合、高分子安定化液晶は、液晶を安定化させるために使用された高分子のTG以上の温度で沈着される。
いずれの場合も、液晶は最初に沈着されると、最初は、自由に移動、配向、および整合する。モノマー安定化液晶の場合、モノマーが高分子になり(硬化に続いて)、かつ高分子がそのTG未満の温度であると、液晶は安定化するようになる。そして、高分子のTG以上の温度で沈着された高分子安定化液晶の場合、温度が高分子のTG未満に低下すると、液晶は安定化するようになる。全てではないがほとんどの場合、モノマーの硬化中に、液晶分子を整合するために電位が印加される。加えて、高分子の温度がそのTG以上である期間中、液晶分子を整合させるために電位が印加される。一般に(しかし必ずではない)、モノマーが高分子に硬化されたとき、電位は印加されず、高分子の温度がそのTG未満であるとき、電位は一般に(しかし必ずではない)印加される。
この実施形態で最良に利用される高分子分散液晶は、以下の条件を満たす:
・双安定状態の生成には、ガラス化相のLCの相転位を抑制するに十分な、LCと高分子との間の十分な固着力が必要である
・高分子とLCとの間の混和性は、小滴(〜約5ミクロン)を生成するために抑制されなければならない
・小滴表面の間の固着エネルギーは、高分子鎖運動性が削減されたとき、場が不在な場合に整合状態の小滴を維持するに十分でなければならない。
上記は、例のみとして、両親媒性高分子、およびLC小滴をカプセル化するためにミセルを形成する水素結合力のある基を備えるLCを使用することによって達成することができる。プルオロニック酸、PEGリン脂質共役、PEG b−ポリエステル、PEG−b−ポリアミノ酸。
高分子の温度が、加熱器によって、液晶を安定化させる高分子のTGを超えて上昇した場合、液晶は、セル内部のその整合または配向変更することが自由である。高分子安定化液晶セル内に提供される高分子の温度がそのTG未満に低下すると、高分子が固定状態に戻るので、液晶はトラップされるようになる。これは、例のみとして、周囲冷却温またはペルチャ冷却器の使用によって達成することができる。
本明細書に教示される実施形態は、初めて、液晶を備える光学要素またはデバイスへの成形、エッジ、およびカットのうちの1つ以上の能力を提供する。これは、高分子がそのTG未満の温度で維持される限り、液晶漏れ、およびセルまたはデバイスが外観上の欠陥または機能の損失になることなく、このようなセルまたはデバイスを必要な任意の形状に成形することができることを可能にする。成形は、例のみとして、旋盤、光学式加工機、研磨機、艶出し器、およびレーザー等、任意の電気、機械、または光手段によって発生することができる。
図43〜45は、液晶可変着色要素を使用する実施形態を示す。
図43は、液晶可変着色要素を組み入れるデバイスを示す。レンズブランク4380上に、SiOx層4370、加熱要素4360、基材層4350、液晶セル4340、基材4330、ハードコート4320、および反射防止コート4310がこの順に蒸着される。SiOx層4370は、封止剤および/またはハードコートとして機能し、他の適切な材料も使用されてもよい。これは、ここで、およびSiOxまたはSiO2が封止剤および/またはハードコートとして使用するために開示される他の場所で同じである。加熱要素4360は、本明細書において教示される多様な構造およびその変形のうちのいずれかを有することができる。液晶セルは周知である。液晶セル4340は、光学整合層、電極、および液晶自体等、多様な下部構造を含む。液晶セル4340の電極は、図44または45に図示されるもの、およびその変形が好ましい。「基材」4330および4350は、液晶セルが構築される構造要素として機能することができるため、「基材」と呼ばれる。
図44は、液晶セル4340の電極構成を示す。第1の電極構成4400および第2の電極構成4450が開示される。
第1の電極構成4400は、第1の電極構造4410と、第2の電極構造4420とを含む。第2の電極構造4420は、2つの別の「E」型電極4425を有する。液晶セルにおいて、第1の電極構造4410および第2の電極構造4420は、液晶(図示せず)の用に空間を挟んで相互に並行に配置される。第1の電極構造4410と第2の電極構造4420との間に電位が印加されると、得られた電場によって、液晶が電極構造の平面に垂直に置かれるようになる。「E」型電極4425に電位が印加されると、得られた電場によって、液晶は、「E」の3つの線、すなわち図44の右から左の方向に沿って、かつ電極構造の平面に並行して置かれるようになる。
第2の電極構成4450は、第1の電極構成4400に類似する。第2の電極構成は、第1の電極構造4410および第2の電極構造4420に類似の、第1の電極構造4460と、第2の電極構造4470とを含む。第2の電極構造4470は、「E」型電極4425に類似の、2つの別の「E」型電極4475を有する。第2の電極構成4450は、第1の電極構成4400とは異なり、「E」型電極は異なって位置する。第2の電極構成は、第1の電極構成4400と同じ方式で作動する。
図45は、液晶セル4340の電極構成を示す。第3の電極構成4500および第2の電極構成4550が開示される。
第3の電極構成4500は、第1の電極構成4400に類似する。第3の電極構成は、第1の電極構造4410および第2の電極構造4410に類似の、第1の電極構造4510と、第2の電極構造4520とを含む。第2の電極構造4520は、「E」型電極4425に類似の、2つの別の「E」型電極4525を有する。第1の電極構造4520は、第1の電極構造4420とは異なり、第1の電極構造4520は、「E」型電極4525も含む。構成4500(および4550)において、電位は、液晶を横向きに配向することが所望される場合、電極4525にわたって、および電極4515にわたって、同じ方向に適用されてもよい。
第4の電極構成4550は、第3の電極構成4500に類似する。第4の電極構成は、第1の電極構造4510および第2の電極構造4510に類似の、第1の電極構造4560と、第2の電極構造4570とを含む。第1の電極構造4560は、2つの別の「E」型電極4565を有し、第2の電極構造4570はそれぞれ、第1および第2の電極構造4510および4520に類似の、2つの別の「E」型電極4575を有する。第4の電極構成4550は、第3の電極構成4500とは異なり、「E」型電極は異なって位置するが、2つの電極構成は類似の様式で動作する。
図43〜45には特定の形状が図示されるが、当業者は、類似の効果のために他の形状が使用されてもよいことを理解するであろう。例えば、「E」型は、電極の平面に並行な電場(図中左から右)を達成するためのいくつかの方式のうちの1つに過ぎず、当業者には適切な変形が容易に明らかであろう。
[エレクトロクロミック可変着色要素を使用する実施形態]
エレクトロクロミックデバイスの性能は、本明細書に開示される実施形態を利用することによって強化することができる。図46を参照されたい。透明な加熱器を使用することによって、固体状態の熱可塑性高分子電解質に強化された性能を提供させることが可能である。これは、熱可塑性高分子の温度を熱可塑性高分子のTG以上の温度まで上昇させることによって達成することができる。高分子電解質の温度が、高分子のTGに、または周辺であるとき、電解質は、デバイスに増加した切り替え速度および増加した電源効率(デバイスを駆動するためにより少ない電力を必要とすることを意味する)を提供する。実施形態はさらに、温度が使用される高分子のTG以上である場合を除き、デバイスの色または光透過率を変更しない、固体状態の高分子電解質を使用することを提供する。このように、温度が固体状態の高分子電解質のTG未満であると、光透過の色に変化がまったくなく、色および/または光透過率は固定されたままでるので、電力を除去することができるが、温度が固体状態の高分子電解質のTG以上に上昇すると、色および/または光透過の変化を可能にする。新しい所望される色および/または光透過が発生すると、固体状態の高分子電解質の温度が低下して、色および/または光透過が固定されてから、次いで、電源が除去される。
図46は、固体状態のエレクトロクロミックデバイスを示す。デバイスは、光学要素4650と、透明な加熱器4640と、第1の電極4630と、固体の高分子電解質4620と、第2の電極4610とを含む。本明細書の開示と同様な他の層も含まれてもよい。
添付の図面は、自己限定的であることを目的としない。これらもまた実施形態の範囲内に該当する多様な層の場所の多数の他の組み合わせが存在する。光学要素は、加熱要素または部材を適用する前にハードコートされてもよい。実施形態は、1つ以上のSiO2層の使用を検討する。実施形態は、例のみとして、蒸着、スパッタリング、真空システム、スピン、浸漬コーティング、成形変形、吸収等、業界で周知かつ適切な手段を通じて置かれる多様な層および電極を検討する。仕様内に提供される時間、温度範囲、TG(ガラス転移温度または材料軟化点)もまた、自己限定的であることを意図しない。例えば、「透明な加熱器」に使用されるような「透明」という用語は、100%の透明性を必要とすることを意図しない。そうではなく、その透明な状態のデバイス全体は、少なくとも80%の透明度、好ましくは85%の透明度または90%の透明度、最も好ましくは95%の透明度でなければならない。透明な電極等の任意の所与の層は、これらの全体的な透明度を満たすことができるに十分な透明度でなければならない。透明な導体のために業界で一般に使用される厚さに蒸着されたITO層等、一般に使用される透明な導体は、透明であると考えなければならない。実施形態はさらに、実施形態が利用される特定の環境温度によって高分子層のための特定の高分子を選択することと、可変着色要素または剤の種類、および高分子のTGのうちの少なくとも1つを考慮することとを検討する。可変着色要素または剤は、例のみとして、フォトクロミック、サーモクロミック、高分子分散二色性液晶、およびエレクトロクロミックにすることができる。高分子層は、1ミクロン〜1.5ミリメートルの厚さを有することができる。全てではないがほとんどの実施形態において、光学システムは、電子部品を備えるアイウェアに収容または固定される。さらに、実施形態の多くは、本明細書に教示される実施形態においてフォトクロミック可変着色要素または剤を使用することができるが、実施形態は、フォトクロミック性である可変着色要素または剤に限定されてはならないことを理解されたい。さらに、前述の開示されるほとんどの実施形態は、フォトクロミック可変着色層または要素、サーモクロミック、高分子分散二色性液晶要素、または固体状態のエレクトロクロミック可変着色層または要素のいずれかが、言うまでもなく、必要な構造およびそれと関連付けられる有効な電子部品を有することと置換され得ることを教示する。フォトクロミック層、サーモクロミック層、液晶セル、エレクトロクロミックデバイスのそれぞれの構造は知られている。本明細書に開示される本発明は、眼科用レンズまたは眼科用光学要素のみに限定されることを意図しない。光を透過するあらゆる光学要素またはデバイスは本発明をなすことができると考えられる。
本明細書に使用される場合、「備える」という用語は、他の要素も含む可能性がある、要素の列挙を記述するために使用され、本用語は、無制限の列挙を記述する。要素Aと、要素Bと、要素Cとを「備える」デバイスは、これらの要素を含まなければならないが、具体的に記載されていない他の要素も含む可能性がある。この「備える」という単語の使用は、特許請求において一般的かつ普及している。
本明細書に使用される場合、「実施形態」および「発明」という用語は、発明活動の例に言及する。これらの用語は、本明細書に開示される発明全体の範囲を制限することを目的としない。本明細書に記載される多様な実施形態は、重複を有する場合も、有さない場合もある。本発明の開示を必ずしも「実施形態」と分類されることを目的とするものでもない。本明細書に記載される実施形態は、当業者には容易に理解されるように、多様な置換において組み合わされてもよい。