JP2012048932A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 負極の電位が0.05Vになったときに、一般式Li1−aNixMnyMzO2(前記一般式中、Mは、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、MgおよびZrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.4≦a≦0.7、x+y+z=1、x≧y>0、x≧z>0)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として含有する正極、および膨潤性微粒子を6〜95体積%の割合で含み、耐熱性微粒子も含む多孔質層(A)と、耐熱性微粒子を主成分として含み、厚みが3μm以上の耐熱多孔質層(B)と、ポリオレフィン製の樹脂膜(C)とを有するセパレータを備えており、出力密度が1000W/kg以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
Li1−aNixMnyMzO2 (1)
[前記一般式(1)中、Mは、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、MgおよびZrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.4≦a≦0.7、x+y+z=1、x≧y>0、x≧z>0である。]
P ={1−(m/t)/(Σai・ρi)}×100 (2)
ここで、前記式中、ai:全体の質量を1としたときの成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:セパレータの厚み(cm)である。
<セパレータの作製>
水1000g中に、耐熱性微粒子である多面体形状のベーマイト合成品(アスペクト比1.4、D50=0.63μm)1000gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体;耐熱性微粒子100質量部に対して6質量部)とを、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌して分散させて、均一な耐熱多孔質層(B)形成用組成物を調製した。
正極活物質であるLiNi0.6Mn0.2Co0.2O2:86.2質量%と、導電助剤である黒鉛:9.0質量%およびアセチレンブラック:1.8質量%とを混合し、ここに、正極活物質、導電助剤および結着剤からなる正極合剤中において3質量%となる量のPVDF(結着剤)を含むNMP溶液を加え、よく混練して正極合剤含有スラリーを調製した。正極集電体となる厚みが20μmのアルミニウム箔の両面に、乾燥後の正極合剤層の質量が、正極集電体の片面あたり11.6mg/cm2となる量で前記のスラリーを均一に塗布し、その後80℃で乾燥し、更にロールプレス機で圧縮成形して正極を得た。なお、正極合剤含有スラリーをアルミニウム箔に塗布する際には、アルミニウム箔の一部が露出するようにした。前記正極の正極合剤層の厚みは、集電体(アルミニウム箔)の片面あたり、26μmであった。
負極活物質である天然黒鉛:90質量%と、導電助剤であるアセチレンブラック:4.7質量%とを混合し、ここに、負極活物質、導電助剤および結着剤からなる負極合剤中において5.3質量%となる量のPVDF(結着剤)を含むNMP溶液を加え、よく混練して負極合剤含有スラリーを調製した。負極集電体となる厚みが20μmの圧延銅箔の両面に、乾燥後の負極合剤層の質量が、負極集電体の片面あたり5.0mg/cm2となる量で前記のスラリーを均一に塗布し、その後80℃で乾燥し、更にロールプレス機で圧縮成形して負極を得た。なお、負極合剤含有スラリーを圧延銅箔に塗布する際には、圧延銅箔の一部が露出するようにした。前記負極の負極合剤層の厚みは、集電体(圧延銅箔)の片面あたり、21μmであった。
前記の正極と前記の負極とを、前記のセパレータを、その多孔質層(B)が正極と対向するように介在させつつ重ね合わせ、渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を、アルミニウムラミネートフィルム外装体に挿入し、非水電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとを2:4:4の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1mon/lの濃度で溶解させた溶液)を外装体内に注入した後に、外装体の開口部を熱融着して、長さ65mm、直径18mmの円筒形の巻回電極体を内部に有するラミネート形リチウムイオン二次電池を作製した。得られた電池の定格容量は1080mAhであった。
ベーマイト合成品と架橋PMMA微粒子との比率が、体積比で50:50となるようにした以外は実施例1と同様にして多孔質層(A)形成用組成物を調製し、この多孔質層(A)形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。このセパレータに係る多孔質層(A)では、ベーマイトの比重を3g/cm3、バインダの比重を1g/cm3、架橋PMMAの比重を1g/cm3として算出した膨潤性微粒子の体積比率が46体積%、耐熱性微粒子の体積比率が46体積%であった。
実施例1で用いたものと同じ架橋PMMA微粒子の水分散体を1000gに、実施例1で用いたものと同じバインダを、膨潤性微粒子100質量部に対して5質量部の量で加え、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌して分散させ、多孔質層(A)形成用組成物を調製した。
正極合剤層の質量を、正極集電体の片面あたり10.5mg/cm2に変更した以外は、実施例1と同様にしてラミネート形リチウムイオン二次電池を作製した。この電池の定格容量は1200mAhであった。また、実施例1の電池と同様にして求めた負極の電位が0.05Vとなったときの正極活物質の組成は、Li0.2Ni0.6Mn0.2Co0.2O2[前記一般式(1)におけるa=0.8、x=0.6、y=0.2、z=0.2]であった。
正極合剤層の質量を、正極集電体の片面あたり10.5mg/cm2に変更した以外は、実施例2と同様にしてラミネート形リチウムイオン二次電池を作製した。この電池の定格容量は1200mAhであった。また、実施例1の電池と同様にして求めた負極の電位が0.05Vとなったときの正極活物質の組成は、Li0.2Ni0.6Mn0.2Co0.2O2[前記一般式(1)におけるa=0.8、x=0.6、y=0.2、z=0.2]であった。
多孔質層(A)を形成しない以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。そして、このセパレータを用い、耐熱多孔質層(B)が正極と対向するようにした以外は、実施例1と同様にしてラミネート形リチウムイオン二次電池を作製した。この電池の定格容量および負極の電位が0.05Vとなったときの正極活物質の組成は、実施例1の電池と同じである。
耐熱多孔質層(B)を形成しない以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート形リチウムイオン二次電池を作製した。この電池の定格容量および負極の電位が0.05Vとなったときの正極活物質の組成は、実施例1の電池と同じである。
セパレータを縦5cm、横10cmの長方形に切り取り、黒インクで縦方向に平行に3cm、横方向に平行に3cmの十字線を描いた。なお、セパレータを長方形に切り取るにあたっては、その縦方向が、セパレータを構成する樹脂膜(C)の機械方向(MD)となるようにし、前記十字線は、その交点が、セパレータ片の中心となるようにした。その後、セパレータ片を恒温槽に吊るし、槽内温度を5℃/分の割合で150℃まで上昇させ、更に150℃で1時間温度を保った。その後、セパレータ片を取り出して冷却した後、十字線のうちのより短い方の長さd(mm)を計測し、下記式によって熱収縮率(%)を算出した。
熱収縮率 = 100×(30−d)/30
セパレータを縦6cm、横5cmの長方形に切り取り、その片面中央部に、先端の直径が0.3mmのペン先状の金属を設置した。更に、セパレータの他面中央部に、パーソナルコンピューターに接続されたデジタル顕微鏡カメラを設置した。前記ペン先状の金属を4℃/secの速度で200℃まで加熱してセパレータを局部加熱し、その際のセパレータの状態変化を前記デジタル顕微鏡カメラおよびパーソナルコンピューターで録画した。そして、録画データについて画像解析を行って、セパレータに形成された孔の面積を測定した。なお、顕微鏡にはサンコー社製「DILITE01−DinoLite USB接続デジタルカメラ」を、熱源にはgoot社製「ハイパワーミニステーション70W静電対策PX−251AS」を使用した。
各電池を定格容量まで充電後、所定の電流で11秒間放電した。放電電流は、1A、3A、5Aおよび10Aとした。そして、それぞれの放電時に、放電開始から10秒後の電池電圧を測定した。前記の各放電電流値を横軸に、電池電圧値を縦軸にプロットし、前記4点を結ぶ近似曲線から、下限電圧2.8Vの時の電流値を算出した。そして、この下限電圧(2.8V)のときの電流値と電圧2.8Vの積とから出力を求め、電池質量(0.041kg)で規格化した値を出力密度とした。
各電池について、定格容量に対して電流値1/2C(1mA)で4.2Vまで充電した後、所定電流値で3.0Vまで放電して、各電流値での放電容量を測定した。なお、放電電流値は1/2Cと10Cとした。そして、1/2Cでの放電容量に対する10Cでの放電容量の比を百分率で表して、容量維持率を求めた。この容量維持率が大きいほど、電池の負荷特性が良好であるといえる。
定格容量まで充電した各電池の、中央側面の近傍に熱電対をテープでとめ、更に厚み6mmのグラスウールを巻きつけ、直径30mmの円筒形のラミネートで外装し、電池を断熱状態にした。また、試験時の電池の電圧および表面温度をモニタリングした。そして、20℃で、充電状態の電池の中央から、直径3mmのステンレス製の釘を1mm/secの速度で突き刺した。そして、短絡による電圧降下が観測された時点で釘の降下を停止して保持し、その後の電池表面の最高温度を測定した。また、釘の停止から電池表面の最高温度に達するまでの時間を求め、その到達速度を算出した。
Claims (4)
- 正極活物質を含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する正極と、負極活物質として炭素材料を含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に有する負極と、セパレータとを備えた電極体、および非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記正極は、前記負極の電位が0.05Vになったときに、一般式Li1−aNixMnyMzO2(前記一般式中、Mは、Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、MgおよびZrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.4≦a≦0.7、x+y+z=1、x≧y>0、x≧z>0)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として含有しており、
前記セパレータは、加熱により非水電解液を吸収して膨潤する膨潤性微粒子と耐熱性微粒子とを含み、かつ構成成分の全体積中における前記膨潤性微粒子の割合が6〜95体積%であり、厚みが3μm以上の多孔質層(A)と、耐熱性微粒子を主成分として含み、かつ前記膨潤性微粒子を含まないかまたは構成成分の全体積中におけるその割合が6体積%未満であり、厚みが3μm以上の耐熱多孔質層(B)と、ポリオレフィン製の樹脂膜(C)とを有しており、
前記耐熱多孔質層(B)が、前記ポリオレフィン製の樹脂膜(C)の表面に形成されており、
出力密度が1000W/kg以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - セパレータは、150℃の温度雰囲気下に静置したときの熱収縮率が10%以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 直径0.3mmの金属棒の端面を押し当てて200℃で局部加熱を行った際に、セパレータに形成される孔の面積が3.0mm2以下である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
- セパレータにおける多孔質層(A)および耐熱多孔質層(B)の有する耐熱性微粒子は、耐熱温度が300℃以上の無機微粒子である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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